JP2000356610A - 石炭の溶融性およびコークス強度の評価方法、コークスの製造方法 - Google Patents

石炭の溶融性およびコークス強度の評価方法、コークスの製造方法

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JP2000356610A
JP2000356610A JP2000111075A JP2000111075A JP2000356610A JP 2000356610 A JP2000356610 A JP 2000356610A JP 2000111075 A JP2000111075 A JP 2000111075A JP 2000111075 A JP2000111075 A JP 2000111075A JP 2000356610 A JP2000356610 A JP 2000356610A
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Kunio Miyazawa
邦夫 宮澤
Takeshi Noda
健史 野田
Kiyoshi Fukada
喜代志 深田
Shozo Itagaki
省三 板垣
Takaaki Kondo
隆明 近藤
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Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 石炭の溶融性を正確に推定することが可能な
石炭の溶融性評価方法を提供する。 【解決手段】 石炭について加熱状態で核磁気共鳴を測
定して自由誘導減衰信号を求め、該減衰信号を用いて前
記石炭の溶融性を評価することを特徴とする石炭の溶融
性評価方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非粘結炭および微
粘結炭(非微粘結炭)、ならびに風化炭などの流動性を
示さないか又は流動性の低い石炭を配合して、所定の品
位のコークスを得る製鉄用コークスの製造技術におい
て、石炭の品質、特に石炭の溶融性および石炭を乾留後
のコークス強度を評価する方法に関する。また本発明
は、この評価方法を用いたコークスの製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】高炉による製鉄に必要なコークス製造に
おいて、特に重要な品質制御項目はコークスの強度であ
る。コークス強度が向上すれば、高炉操業を安定して行
うことができる。高価な強粘結炭を多量に配合すればコ
ークス強度は向上するが、コークス製造コストがアップ
する。一方、安価な非微粘結炭の配合割合を増やせばコ
ストは下がるが、コークス強度は低下する。
【0003】ところで、現状のコークスは、一般に十数
種類の銘柄の石炭を配合して製造している。製造する際
には、コークス品質(特に強度)にバラツキが出ないよ
うにすることが大事である。強度などにバラツキがある
と、高炉で要求されるコークス強度目標に対して安全係
数を見込んで高価な粘結炭を多めに配合することにな
り、製造コストがアップする。コークス強度のバラツキ
を低減する上では、理想的には配合時の石炭の銘柄比率
を常時同じにすることが望ましい。しかし、配合銘柄お
よび配合割合を常時一定とする操業は、石炭の需給上困
難である。そこで、石炭品質(性状)を予め分析により
評価しておき、銘柄切り替え時には類似した石炭品質を
有する銘柄を用いる。または、石炭品質とコークスの強
度との間の相関関係を調べておき、銘柄切り替え時には
この相関関係を利用して配合銘柄と配合割合を決めると
いう方法が採られている。
【0004】相関関係を利用してコークス強度を推定す
る際には、石炭性状に関するものとして、例えば、配合
する石炭の石炭化度パラメーター、粘結性パラメータ
ー、不活性成分パラメーターを測定して組み合せること
が行われる。これらのパラメーターは、一般的に以下の
ように評価される。すなわち、石炭化度パラメーター
は、石炭の成熟度を表わすビトリニットの平均反射率
(RO )で評価される。粘結性パラメーターは、石炭の
軟化溶融性を表わすギーセラー最高流動度(MF)で評
価される。不活性成分パラメーターは、石炭組織分析よ
り得られるトータルイナート(TI)量で評価される。
【0005】このうちギーセラー最高流動度(MF)
は、ギーセラープラストメーター法を用いて、次のよう
な手順、操作で測定される。すなわち、攪拌棒をセット
したレトルト中に石炭試料を充填した後、金属浴中で所
定の昇温速度で加熱する。加熱しながら攪拌棒に一定の
トルクをかけておくと、石炭の軟化溶融とともに攪拌棒
が回転する。この回転挙動により、軟化開始温度、流動
度(流動性)、最高流動度(MF)、および固化温度を
測定することができる。
【0006】しかし、ギーセラープラストメーター法で
は、強粘結炭などを測定する上では問題ないが、非微粘
結炭を対象としたときには回転数が小さくなり検出精度
が低下する。加えて、非微粘結炭の中には全く流動性を
示さない(つまり溶融しない)ものだけでなく、配合し
た時に他の溶融する石炭の流動度を低下させる(MFが
実質的にマイナスの値である)ものがある。このような
特性を有する石炭に対しては、原理的にギーセラープラ
ストメーター法では測定を行うことができない。さら
に、非微粘結炭のうちでも、低石炭化度領域のもの、ま
たは中石炭化度領域のものの一部については、450℃
を越えた高温領域で固化してしまう。固化すると流動度
の値はゼロとなるため、それ以上の温度において測定不
能となる。このように、ギーセラープラストメーター法
では、非微粘結炭などの石炭に対しては粘結性パラメー
ターを正確に評価することが原理的にできない。
【0007】近年のコスト削減のニーズに伴い、非微粘
結炭のような安価な石炭を多量に配合してコークスを製
造することが多くなってきた。そのため、ギーセラープ
ラストメーター法などを用いた方法では、石炭の溶融性
およびコークス強度を正確に推定することが難しいとい
う問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明においては、石
炭の溶融性およびコークス強度を正確に推定することが
可能な石炭の溶融性評価方法およびコークス強度の評価
方法、およびこの方法を用いたコークスの製造方法を提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するためになされたものであり、配合炭を構成する個
々の石炭(原料炭)について、加熱しながらNMR(核
磁気共鳴)信号である自由誘導減衰信号を測定する。測
定した信号を解析して、個々の石炭について石炭性状パ
ラメーターを反映したスピン−スピン緩和時間および成
分量を求める。緩和時間および成分量の少なくとも一方
を用いて石炭の溶融性を評価し、またこれらの量の少な
くとも一方とコークス強度との関係から、以後配合割合
を用いてコークス強度を正確に推定する。こうして、コ
ークス製造のための配合管理を容易にすることができ
る。
【0010】すなわち本発明によれば、石炭について加
熱状態で核磁気共鳴を測定して自由誘導減衰信号を求
め、該減衰信号を用いて前記石炭の溶融性を評価するこ
とを特徴とする石炭の溶融性評価方法が提供される。
【0011】本発明においては、前記自由誘導減衰信号
を3成分に波形分離して得られる最も運動性の高い成分
を用いて、前記石炭の溶融性を評価することが好まし
い。
【0012】また本発明においては、前記自由誘導減衰
信号から求めたスピン−スピン緩和時間および成分量の
少なくとも一方を用いて、石炭の溶融性を評価すること
が好ましい。
【0013】また本発明によれば、配合炭を構成する原
料炭の少なくとも1つについて加熱状態で核磁気共鳴を
測定して自由誘導減衰信号を求め、該減衰信号と配合炭
を乾留した後のコークス強度との関係を求め、この関係
を用いて配合炭のコークス強度を配合割合から推定する
ことを特徴とするコークス強度の評価方法が提供され
る。
【0014】本発明においては、前記原料炭について求
めた前記自由誘導減衰信号を3成分に波形分離して得ら
れる最も運動性の高い成分を用いて、配合炭のコークス
強度を推定することが好ましい。
【0015】また本発明においては、前記自由誘導減衰
信号から求めたスピン−スピン緩和時間および成分量の
少なくとも一方を用いて、配合炭のコークス強度を推定
することが好ましい。
【0016】また本発明によれば、(a)原料炭につい
て加熱状態で核磁気共鳴を測定して自由誘導減衰信号を
求める工程と、(b)前記減衰信号を用いて原料炭を選
別する工程と、(c)選別した原料炭を配合して配合炭
を作製する工程と、(d)配合炭を乾留してコークスを
作製する工程とを備えることを特徴とするコークスの製
造方法が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の評価方法を実施す
る手順の一例を示す。
【0018】(1)まず、配合炭を構成する個々の銘柄
の石炭(原料炭)について加熱状態でNMR測定を行
い、それぞれの銘柄について時間領域の関数である自由
誘導減衰信号(M(t);tは時間)を測定する。この
ように石炭を加熱する過程でNMR信号を測定する技術
(高温NMR技術)については、例えばFUEL誌、第
67巻、579頁(1988年)に記載されている。す
なわち、高温まで昇温可能なプローブを備えたNMR装
置を用いて、例えばソリッドエコー法(90°x−τ−
90°y)などにより、自由誘導減衰信号を測定するこ
とができる。
【0019】ソリッドエコー法などのNMR測定は、通
常の方法に従って行えば良い。NMR測定は、例えば、
水素または炭素など石炭分子を構成している原子の原子
核について測定する。この際、水素の原子核からのNM
R信号は、炭素の同位体13Cの原子核からの信号の約4
倍の強度で測定される。また、同位体13CのNMR信号
は全炭素の1.1%についてのみ測定可能であるが、水
素の原子核のNMR信号は石炭中のすべての水素につい
て測定することができる。従って、高温NMR測定は水
素の原子核について行うのが好ましい。
【0020】NMR測定は、加熱により石炭中の分子運
動が顕著になる温度範囲において行う。このような温度
範囲としては、例えば原料炭が強粘結炭の場合には、3
50〜550℃であり、非微粘結炭の場合には、350
〜500℃である。これらの温度範囲に共通する同じ温
度において、個々の銘柄の石炭について測定を行う。な
お、測定は、石炭をゆっくりと昇温させながら行っても
良いし、測定温度に石炭を保持しながら測定しても良
い。
【0021】(2)次に、手順(1)で測定した信号M
(t)から、個々の銘柄の石炭についてスピン−スピン
緩和時間および成分量を求める。石炭は、様々な有機化
合物(天然高分子化合物)の混合物であり多成分系と見
なせるため、信号M(t)も石炭の成分ごとにいくつか
の波形に分離できる。また、信号を数成分の信号波形に
分離することは、精度の点でも望ましい。このような信
号の波形分離は、例えば、文献「高分子の磁気共鳴」
(共立出版)に記載されている方法に従って行う。
【0022】通常、信号の波形分離は、見かけの構成成
分が単一である信号の関数型を、例えば、ガウス型また
はローレンツ型関数で近似して、複数の信号成分に分離
して行う。具体的には、ガウス型またはローレンツ型の
関数を用いた非線形の最小自乗フィッティングによる分
離、または片対数プロット上での図形分離などを利用す
る。こうして、自由誘導減衰信号M(t)を、石炭の成
分ごとに次式(1)のように波形分離する。
【0023】 M(t)=ΣMi0exp{−(t/T2im /m}……………………(1) ここで、Mi0は石炭のi成分の成分量であり、T2iはi
成分のスピン−スピン緩和時間である。また、mはロー
レンツ型関数の波形について1となり、ガウス型関数の
波形について2となる値である。このように波形分離し
たのち、ローレンツ型関数で近似される成分について、
成分量Ma0とスピン−スピン緩和時間T 2aとを求める。
なおMa0については、自由誘導減衰信号M(t)全体の
減衰前の値M(0)(=ΣMi0)で割った値:M’
a0(=Ma0/M(0))を以後用いる。
【0024】NMRの理論に従うと、ガウス型関数で近
似される成分の分子運動状態は固体的である一方、ロー
レンツ型関数で近似される成分の分子運動状態は液体的
であって運動性が高いと考えられる。すなわち、ローレ
ンツ型関数のスピン−スピン緩和時間T2aと成分量M’
a0とは、石炭の溶融成分、言い換えれば石炭の最も運動
性の良い成分、すなわち高運動性成分の特性値を示して
いる。特に、緩和時間T2aは石炭の各成分の緩和時間の
中で最も長い値を示す。
【0025】図1は、自由誘導減衰信号M(t)の波形
分離の方法を示す一例である。図1は、横軸を時間t、
縦軸を信号M(t)の対数Log(M(t))とする片
対数プロットである。図1に示すように、時間とともに
減衰する信号M(t)を、3つの信号波形(a)、
(b)、(c)に分離する。分離は、例えば前述したよ
うに最小自乗フィッティングによって行う。直線状の信
号波形(a)が、前式(1)においてmを1としたロー
レンツ型の波形である。この直線の傾きの逆数の逆符号
を測定することによって、スピン−スピン緩和時間T2a
を求めることができる。また、この直線の縦軸での切片
を測定することによって、成分量M’a0を求めることが
できる。なお、信号M(t)の縦軸での切片がM(0)
である。前述したように、信号波形(a)は石炭の溶融
成分からの信号成分である。波形(a)の傾きが小さい
ほど、つまりT2aが大きいほど、石炭が良く溶融してい
て粘度が小さくなっていることを示す。なお、信号波形
(b)および(c)は、前式(1)においてmを2とし
たガウス型の波形であり、石炭の非溶融成分からの信号
成分である。信号(c)は石炭のイナート成分からのも
の、信号(b)はイナート以外の非溶融成分からのもの
である。
【0026】図2は、自由誘導減衰信号M(t)の波形
分離の方法を示す他の例である。図2では信号M(t)
を、直線状のローレンツ型の波形(a’)および
(b’)と、ガウス型の波形(c’)との3つの信号波
形に分離している。図1と同様に、信号波形(a’)は
石炭の溶融成分からの信号成分すなわち運動成分であ
り、波形(c’)は石炭のイナート成分からの信号成分
すなわち非運動成分である。図2の波形(b’)は、イ
ナート成分と相互作用した溶融成分の一部によって形成
される中間成分からの信号成分である。図2のように波
形分離できるのは、石炭が加熱によって図1の場合より
もより良く溶けている場合である。図2においても、波
形(a’)の直線の傾きおよび縦軸での切片から、スピ
ン−スピン緩和時間T2aおよび成分量M’a0を求めるこ
とができる。
【0027】実際の自由誘導減衰信号M(t)の波形分
離は、図1の方法を用いても良いし、図2の方法を用い
ても良いし、両者を組み合わせて用いても良い。なお、
非微粘結炭からなる原料炭について加熱状態で核磁気共
鳴を測定した場合にも、その信号は図1または2に示す
ような3成分に波形分離して解析できる。この場合、運
動成分に相当する波形(a)または(a’)の信号成分
が、非微粘結炭の溶融性を示す。
【0028】(3)次に、石炭銘柄および/または配合
割合の異なる複数の配合炭を作製し、各配合炭について
緩和時間T2と成分量M’0とを算出する。各配合炭の緩
和時間T2は、手順(2)で求めた個々の銘柄の緩和時
間T2aから、下式(2)に従って足し合わすことによっ
て算出することができる。 Log(T2)=ΣWiLog(T2ai)…………………………………(2) ここで、Wiは配合炭におけるi銘柄の石炭の配合割合
(率)であり、T2aiはi銘柄の石炭の高運動成分のス
ピン−スピン緩和時間T2aである。
【0029】また各配合炭の成分量M’0は、手順
(2)で求めた個々の銘柄の成分量M’a 0から、下式
(3)に従って足し合わすことによって算出することが
できる。 M’0=ΣWi・(M’a0i)…………………………………(3) ここで、Wiは配合炭におけるi銘柄の石炭の配合割合
(率)であり、M’a0iはi銘柄の石炭の高運動成分の
成分量である。
【0030】こうして、上式(2)および(3)に従っ
て、各配合炭の緩和時間T2の対数値Log(T2)およ
び成分量M’0を算出する。このように、本発明におい
ては、配合炭の緩和時間および成分量は直接測定しなく
ても、個々の銘柄の石炭について測定した緩和時間およ
び成分量からそれぞれ求めることができる。
【0031】(4)次に、手順(3)で作製した各配合
炭を乾留してコークスを製造し、それぞれのコークスに
ついて強度を測定する。強度測定は、例えばJISK2
151に示されたドラム強度測定に準拠して行う。
【0032】(5)手順(3)で求めた各配合炭の緩和
時間Log(T2 )および成分量M’0と、手順(4)
で測定した各コークスの強度とから、緩和時間とコーク
ス強度との間の相関関係、および成分量とコークス強度
との相関関係を、それぞれ作図などによって求める。
【0033】(6)(5)で求めた相関関係を用いて、
以後は、着目する配合炭について、その配合割合のみか
らコークス強度を正確に推定することができる。すなわ
ち、配合割合と手順(2)で求めた個々の銘柄の石炭の
緩和時間とから、前式(2)に従って配合炭の緩和時間
を算出する。算出した配合炭の緩和時間から、手順
(5)で求めた相関関係に基いて、乾留後のコークスの
強度を正確に推定できる。
【0034】また、配合割合と手順(2)で求めた個々
の銘柄の石炭の成分量とから、前式(3)に従って配合
炭の成分量を算出する。算出した配合炭の成分量から、
手順(5)で求めた相関関係に基いて、乾留後のコーク
スの強度を正確に推定できる。なお、配合炭の緩和時間
と成分量の両方を用いてコークス強度を推定しても良い
し、いずれか一方のみを用いて推定しても良い。
【0035】本発明者らは、高温NMRの技術によって
種々の石炭について昇温過程で自由誘導減衰信号M
(t)を測定した。そして、測定した信号M(t)を前
式(1)によって解析して、スピン−スピン緩和時間
(T2a)および成分量(M’0)の温度依存性を調べ
た。その結果、強粘結炭の分子運動が極めて顕著になる
温度領域(例えば460〜480℃)で石炭について測
定したローレンツ型関数の緩和時間T2aおよび成分量
M’0は、これらの石炭を含む配合炭から得られるコー
クス強度との間に良好な相関関係を示すことを見出して
いる。すなわち、上述の手順(3)で求めた配合炭の緩
和時間および成分量と、手順(4)で求めたコークス強
度との間には、良好な相関関係が成り立つことを見出し
ている。従って、上述の手順(5)で求めた相関関係を
用いることによって、配合炭の配合割合のみからコーク
ス強度を正確に推定することができる。
【0036】また、これらの緩和時間T2aおよび成分量
M’0の少なくとも一方を用いて、各石炭の溶融性を評
価することもできる。
【0037】また、各原料炭についての本発明の評価結
果に基づいてコークスを製造すれば、コークスの製造コ
ストを下げることができる。具体的には、原料炭につい
て加熱状態で核磁気共鳴を測定して自由誘導減衰信号を
求め、この減衰信号を用いて原料炭を選別し、選別した
原料炭から配合炭を作製し乾留してコークスを製造す
る。本発明を用いれば、製造後のコークス強度を正確に
推定できるため、必要な強度を確保するために安全係数
を見込んで非微粘結炭の原料炭を少なめに配合するとい
う必要がない。そのため非微粘結炭を従来よりも多量に
使用でき、コークスの製造コストが下がる。
【0038】また、供給元から購入した後の原料炭につ
いて本発明の評価方法を適用するだけでなく、供給元か
ら購入する前の原料炭について本発明の評価方法を適用
して、購入する前に原料炭の選別を行っても良い。
【0039】
【実施例】(実施例1)5つの銘柄(A炭〜E炭)の非
微粘結炭の石炭を粘結炭のベース配合炭と混合して複数
の配合炭を作製し、各配合炭からコークスを作製した。
そして、各配合炭の緩和時間とコークス強度との間の相
関関係を求めた。
【0040】まず、非微粘結炭の各銘柄の石炭につい
て、以下のような測定を行った。乾燥した各銘柄の石炭
を60メッシュアンダーに粉砕した後、各石炭を3℃/
分の昇温速度で昇温しながら、石炭中の水素原子核の信
号M(t)をソリッドエコー法で測定した。測定条件
は、パルス幅2μs以下、パルス間隔8μs、測定温度
480℃とした。測定した信号M(t)に対して、図1
に示すような2つのガウス型関数と1つのローレンツ型
関数を用いた非線形の最小自乗フィッティングによって
波形分離した。波形分離によって、高運動成分に対応す
るスピン−スピン緩和時間(T2a)を得た。
【0041】下表1に、A炭〜E炭の各非微粘結炭につ
いて測定したT2aの値を示す。また、JISに準拠して
各石炭について測定した石炭の性状パラメーター
(RO 、MF、TI)、および灰分の値も示す。
【0042】
【表1】
【0043】次に、4つの銘柄の粘結炭(F炭〜I炭)
を、それぞれ15、32、23、30重量%の割合で配
合して、粘結炭のベース配合炭を作製した。そして、各
粘結炭およびベース配合炭について、上述の非微粘結炭
の場合と同様にして、スピン−スピン緩和時間(T2a
を測定した。
【0044】下表2に、F炭〜I炭の各粘結炭について
測定した(T2a)の値(測定温度480℃)およびベー
ス配合炭のT2の値を示す。また、表2には、JISに
準拠して各粘結炭およびベース配合炭について測定した
性状パラメーター(RO 、MF、TI)、および灰分の
値も示す。
【0045】
【表2】
【0046】なお、上表2におけるベース配合炭の緩和
時間T2 は、F炭〜I炭の各粘結炭について測定したT
2aの値から、前式(2)に従って算出した値である。
【0047】次に、上述の粘結炭のベース配合炭に、1
0重量%のA炭〜E炭の非微粘結炭をそれぞれ配合し
て、複数の配合炭を作製した。そして、各配合炭につい
て缶焼試験を行った。すなわち、炉温1100℃のコー
クス炉の中で7時間の乾留を実施したのち、炉から出し
て散水して消火した。配合炭の充填密度は0.8T/m
3 とした。こうしてコークスを作製したのち、JISに
準拠してコークスドラム強度(DI30 15)を測定した。
【0048】下表3に、各配合炭についてのT2 の値、
および各配合炭から作製されたコークスの強度を示す。
【0049】
【表3】
【0050】なお、上表3において、各配合炭について
のT2 の値は、表1に示すA炭〜E炭のT2aの値、およ
び表2に示すベース配合炭のT2 の値から、配合割合を
用いて式(2)に従って算出した値である。
【0051】図3に、上表3に示した各配合炭のT2
値とコークスの強度との相関関係を示す。なお、図3の
横軸は各配合炭の緩和時間の対数Log(T2 )であ
る。図3から明らかなように両者の間には良好な相関関
係があり、この相関関係を用いればコークスの強度を高
精度で推定できることが分かる。こうして、本発明の効
果が確認された。また、粘結炭からなるベース配合炭
(図3においてドラム強度の値が最も大きい測定点)に
ついても良好な相関関係が成り立っている。このことか
ら、本発明によるコークス強度の評価方法は、非微粘結
炭を配合したもののみならず、従来の粘結炭領域の石炭
を配合したものについても有効であることが分かる。
【0052】(実施例2)コールタールピッチと無煙炭
とを用いて疑似石炭を調製し、この疑似石炭について加
熱状態で核磁気共鳴を測定した。石炭は大別して溶融成
分とイナート成分から構成されているので、疑似石炭の
コールタールピッチは石炭の溶融成分に対応し、溶融し
ない無煙炭は石炭のイナート成分に対応する。
【0053】疑似石炭に添加する無煙炭の量を0、1
0、20、30、40、および100重量%と変えた状
態で、実施例1と同様にして、石炭中の水素原子核の信
号M(t)を測定した。なお測定温度は440℃とし
た。得られた信号M(t)を波形分離したところ、図2
に示すような1つのガウス型関数と2つのローレンス型
関数で波形分離する条件が、フィッティング性が良好で
あった。
【0054】図4は、無煙炭の添加量が30%のときに
測定した信号M(t)を実際に波形分離した一例であ
る。事前に無煙炭単独について測定した信号M(t)は
ガウス関数1成分のみであり、またピッチ単独について
測定した信号はローレンツ関数1成分のみであった。従
って、図4に示す疑似石炭の信号には中間の新規成分が
出現していることが分かる。
【0055】図5は、無煙炭の添加量と中間成分の成分
量との関係を測定した一例である。明らかに添加量を変
更すると新規中間成分の量が比例して変化する。従っ
て、図4および図5の結果より、無煙炭(イナート成
分)と相互作用したピッチ(溶融成分)の一部が中間成
分を形成しているものと推察できる。
【0056】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によれ
ば、非微粘結炭を含む幅広い種類の石炭に対して精度良
く石炭性状を評価でき、石炭評価精度の向上、およびコ
ークス強度推定精度の向上が図れる。従って、コークス
強度を確保するために安全係数を見込んで非微粘結炭を
少なめに配合するという必要がなくなり、従来よりも多
量に配合することができる。その結果、コークス製造コ
ストの削減につながるという経済的効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】NMR信号(自由誘導減衰信号)の波形分離の
一例を示す図。
【図2】NMR信号の波形分離の他の例を示す図。
【図3】実施例1で得られた配合炭の緩和時間とコーク
ス強度との関係の一例を示す図。
【図4】実施例2で得られたNMR信号の波形分離の一
例を示す図。
【図5】実施例2で得られた無煙炭の添加量とNMR信
号の中間成分の量との関係の一例を示す図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 24/08 510L (72)発明者 深田 喜代志 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 板垣 省三 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 近藤 隆明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石炭について加熱状態で核磁気共鳴を測
    定して自由誘導減衰信号を求め、該減衰信号を用いて前
    記石炭の溶融性を評価することを特徴とする石炭の溶融
    性評価方法。
  2. 【請求項2】 前記自由誘導減衰信号を3成分に波形分
    離して得られる最も運動性の高い成分を用いて、前記石
    炭の溶融性を評価することを特徴とする請求項1記載の
    石炭の溶融性評価方法。
  3. 【請求項3】 前記自由誘導減衰信号から求めたスピン
    −スピン緩和時間および成分量の少なくとも一方を用い
    て、石炭の溶融性を評価することを特徴とする請求項1
    記載の石炭の溶融性評価方法。
  4. 【請求項4】 配合炭を構成する原料炭の少なくとも1
    つについて加熱状態で核磁気共鳴を測定して自由誘導減
    衰信号を求め、該減衰信号と配合炭を乾留した後のコー
    クス強度との関係を求め、この関係を用いて配合炭のコ
    ークス強度を配合割合から推定することを特徴とするコ
    ークス強度の評価方法。
  5. 【請求項5】 前記原料炭について求めた前記自由誘導
    減衰信号を3成分に波形分離して得られる最も運動性の
    高い成分を用いて、配合炭のコークス強度を推定するこ
    とを特徴とする請求項4記載のコークス強度の評価方
    法。
  6. 【請求項6】 前記自由誘導減衰信号から求めたスピン
    −スピン緩和時間および成分量の少なくとも一方を用い
    て、配合炭のコークス強度を推定することを特徴とする
    請求項4記載のコークス強度の評価方法。
  7. 【請求項7】 (a)原料炭について加熱状態で核磁気
    共鳴を測定して自由誘導減衰信号を求める工程と、 (b)前記減衰信号を用いて原料炭を選別する工程と、 (c)選別した原料炭を配合して配合炭を作製する工程
    と、 (d)配合炭を乾留してコークスを作製する工程と を備えることを特徴とするコークスの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002077123A1 (fr) * 2001-03-16 2002-10-03 Nippon Steel Corporation Procede de production de coke a haute resistance pour hauts fourneaux
JP2018504581A (ja) * 2014-11-27 2018-02-15 トタル ラフィナージュ シミ 炭化水素供給原料の精製プロセスの監視方法
CN114901782A (zh) * 2020-01-07 2022-08-12 杰富意钢铁株式会社 混煤的制造方法和焦炭的制造方法

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