JP2000356102A - 流体工学的表面を適合表面として形成する方法 - Google Patents
流体工学的表面を適合表面として形成する方法Info
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Abstract
た動翼一体形ロータ・ユニットに適合表面を形成する方
法を提供する。 【解決手段】 既存表面I1,I3の計測データを収集
し、その既存表面に適合する適合表面O1,O3を形成
する。計測データの収集と適合表面O1,O3の形成と
はロータ・ユニット1を固定したままで実行する。加工
処理領域の目標表面S3が、その格納データで与えられ
る。既存表面I1,I3から、接合部14を越えて延在
するように、その適合表面O1,O3を形成する。その
適合表面O1,O3が、既存表面I1,I3や、補修表
面と、段差部や所定の最小曲率を超える急激な屈曲部を
形成せずに連なるようにする。
Description
分に記載した種類の、動翼一体形ロータ・ユニットの流
体工学的表面を適合表面として形成する方法に関する。
ッシュを確保せずに、溶接、鍛接、軟ロウ付、または硬
ロウ付等の接合方法を用いて、ハブに動翼を一体に連結
して構成した動翼一体形ロータ・ユニットは、強度、重
量、及び構造容積の点で優れている。そのため、動翼一
体形ロータ・ユニットは、最近のターボ機械の構造とし
てますます広く採用されるようになってきている。動翼
一体形ロータ・ユニットは、主として、軸流タービンの
ロータ・ユニットとして従来一般的に用いられていた植
込形の動翼取付構造(例えば、パインツリー形や、ダブ
テール形の取付構造)を採用したロータ・ユニットに代
わるものとして採用されている。ただし、広く認められ
ているように、動翼一体形ロータ・ユニットは、植込形
の動翼取付構造を採用したロータ・ユニットと比べて、
ロータ・ユニットの製作時に動翼を連結する際にも、ま
た動翼の補修ないし交換を行う際にも、より多くのコス
トがかかり、それら作業の難度も高くなっている。その
ため、従来の製作方法及び補修方法を改良することや、
新規な製作方法及び補修方法を案出することが、強く求
められている。そのような改善方法ないし新規方法のう
ちで、特に注目を受けており、また重要な方法として、
リニア摩擦溶接法という接合方法がある。摩擦溶接を利
用したこの接合方法は、その名称にもかかわらず、金属
材料学的には、溶接というより、むしろ鍛接に近い接合
方法である。また、最近用いられるようになったもう1
つの接合方法として、誘導加熱溶接法という接合方法も
ある。この接合方法では、誘導加熱の後に印加する接合
圧力によって、微細粒子から成る「鍛接微細構造」が形
成される。
原理的には採用不可能ではないが、しかしながら、多く
の場合、それら方法を用いて接合した場合には、その接
合部が熱的ないし機械的な「弱点」となる。
外なく、接合する両部材のうちの少なくとも一方の部材
は、その接合部の近傍に剰余部分を備えた形状にしてお
くことが必要とされている。この剰余部分は、その部材
を把持して固定するために必要とされることもあり、ま
た、その部材に大きな力を作用させるために必要とされ
ることもある(例えば、リニア摩擦溶接法を用いる場合
等)。更に、このような剰余部分は、接合部の全ての側
面に対して仕上げ加工を施すことで、接合位置の誤差を
補正できるようにするために、削り代として必要とされ
ることもある。また、一般的に、接合工程それ自体によ
って、何らかの物質が生成されることが多く(例えば、
摩擦溶接におけるフラッシュ等)、接合工程の完了後に
そのような物質を除去するために削り代が必要とされる
こともある。いずれの場合にも、少なくとも接合部の近
傍領域の表面には、仕上げ加工を施して、その表面から
幾らかの材料を削り取ることによって、考慮すべき流体
工学的特性及び強度に関して適切な形状の表面を形成す
るようにしている。更にまた、こうして形成する表面
は、既存表面に適切に連なるような適合表面として形成
しなければならず、そのためには、既存表面を表す計測
データを、適当な計測方法を用いて収集しておく必要が
ある。最近の製作方法では、効率を高めるために、収集
した計測データを電子的に格納して、形成すべき表面の
3次元的な寸法形状を算出し、その表面を機械加工によ
って削り出すことで形成するようにしており、これら3
つのステップ、即ち、「計測」、「算出」、及び「形
成」のステップの全てを、互いにリンクさせたデータ処
理に基づいて実行している。
0A2には、コンプレッサ及びタービンの動翼の先端部
分が摩耗したときに、その動翼の摩耗した先端部分だけ
を補修する方法が記載されており、この公知の方法は、
動翼の摩耗した先端部分を所定の径方向高さhにおいて
切除し、その切除した先端部分の代わりに、残った基端
部分に適合する形状に仕上げた交換用先端部分を継ぎ合
わせるというものである。交換用先端部分を継ぎ合わせ
るには、ロウ付または溶接によって接合するようにして
いる。動翼の摩耗した先端部分を切除したならば、その
動翼の残った基端部分の切断面(この切断面は、後に接
合面となるものである)の寸法形状を計測し、その計測
データに基づいて、その切断面に適合する形状の交換用
先端部分を製作する。また、それを製作する際には、切
断面を3次元的に制御することのできるレーザ・ビーム
切断法によることが望ましい。この方法によれば、残っ
た基端部分の表面が、交換用先端部分の切断面(接合
面)から動翼先端まで径方向に延在する表面に連なり、
しかも、その動翼の全ての側面において真っ直ぐに連な
るようになる。仕上げ加工は、その接合部にロウ付また
は溶接によるビードが形成された場合にのみ、そのビー
ドを除去するために必要とされ、その他の部分に対して
は仕上げ加工を施す必要はない。このように仕上げ加工
が最小限で済むという利点に加えて、この方法によれば
更に、動翼を丸ごと交換せずに済み、部分的な補修を施
すだけで、その動翼を使用し続けることができるという
利点も得られる。一種の継ぎ当て法(パッチング)とも
いうべきこの方法は、動翼一体形ロータ・ユニットにも
適用可能であるが、ただし適用できるのは、動翼の先端
部分の補修に限られる。この方法は本質的に、水平面で
切断した輪郭線が直線でなければならず(直線のレーザ
ビームで切断加工するからである)、従って、例えば動
翼からハブへの移行部分などは3次元曲面であるが、こ
の方法では、任意の3次元曲面を形成することはできな
い。また、動翼の残った基端部分に補修用部品を接合す
る前に、その補修用部品の表面を、レーザ加工によっ
て、完成形状に仕上げておかねばならない。従って、接
合後には、削り取ることのできる削り代が存在していな
いため、接合による取付位置の誤差を補正することは殆
ど不可能である。また、接合後に、その補修用部品ない
し継ぎ当て部品に加工を施して完成形状にするというこ
とも不可能であり、なぜならば、接合した部品をレーザ
ビームで切断加工するには、動翼先端側から径方向内方
へ向けてレーザビームを照射しなければならず、その場
合、少なくともその動翼の基端部分のいずれかの箇所に
レーザビームが当たることが避けられず、その動翼を損
傷してしまうからである。
1には、機械加工の工程を自動化するためのマシン・ビ
ジョン・システムが記載されている。このマシン・ビジ
ョン・システムは、動翼の摩耗した先端をレーザ粉体肉
盛溶接によって補修するために用いられている。そこに
記載されている動翼の先端は、特別の形状をしたもので
あり、動翼断面の輪郭に沿った薄壁部が、その動翼の本
来の部分の翼端から更に径方向外方へ突出している。こ
の翼端から突出した薄壁部が、タービン・ハウジングま
たはハウジング・ライナに接触すると摩耗するため、そ
の摩耗した薄壁部を肉盛溶接によって補修するようにし
ている。それには先ず、翼端の薄壁部の摩耗した先端を
研削によって削り取り、滑らかな平坦面を形成する。薄
壁部の先端によって画成されている、動翼断面の輪郭に
沿った環状表面の形状が、カメラによって光電子的に記
録され、その形状から、その環状表面のリング状輪郭を
表す数学的曲線を求め、その数学的曲線に基づいて、個
々の位置ごとに薄壁部の厚さ(幅)を決定する。そし
て、その厚さのデータに基づいて溶接工程の制御を行
い、個々の位置における材料の肉盛量(パウダ流量、レ
ーザ強度)を、環状薄壁部の削り取られずに残った部分
の厚さに適合させる。このように材料の肉盛部を形成す
ることによって、事実上、薄壁部の外周面及び内周面
を、少なくとも近似的に平面形状の先端に連なるように
することができるが、ただしそのためには、ある程度の
仕上げ加工が必要である。
und Betrieb 129(1996年)(工
房及び工場)」という雑誌の、第672頁〜第674頁
に掲載されている「Kompressor− und
Turbinenschaufeln automat
isch reparieren(コンプレッサ及びタ
ービンの動翼の補修の自動化)」と題された記事には、
肉盛溶接を用いた動翼の先端及び前後縁の補修方法が記
載されている。その補修方法では、個々の動翼の既存表
面の3次元的形状を計測するために、走査式計測器を用
いて、接合ビードの近傍領域の複数の平面に沿った動翼
の断面形状を計測するようにしており、それによって得
られた計測データを格納しておくようにしている。そし
て、その既存表面の形状を、肉盛溶接領域の中まで延長
させた表面を計算して、その表面を数値制御機械加工に
よって形成するようにしている。この方法では、動翼先
端の3次元的形状を考慮に入れることができ、例えば、
湾曲ないし屈曲した表面形状を考慮に入れることができ
る。その場合の3次元的形状は、例えば、動翼の原形モ
デルを走査することによって計測し、その計測データを
格納しておく。更には、既存表面の表面形状が適正形状
でなくなっている場合に、その表面形状と、原形モデル
の表面形状との間の均等化を行うインテリジェント・イ
コライゼーションにも言及している。しかしながら、そ
の言及は、当業者に、そのイコライゼーションをどのよ
うに行えばよいかについての、具体的な示唆を与えるも
のではない。
ニットでは、その動翼リングのどの径方向高さの部分に
おいても、即ち、ハブから動翼先端までのどの部分にお
いても、適合表面を形成する必要が生じる可能性があ
る。本発明の方法が適用される状況のうちの第1の状況
として、新たにロータ・ユニットを製作するという状況
がある。その場合には、その大部分が完成形状に仕上げ
られている動翼をハブに接合した上で、少なくともハブ
に近接したその接合部では、金属材料を削り取ることに
よって動翼の表面を形成することになる。
トに摩耗や損傷が発生して、補修が必要になるという状
況がある。最悪の場合には、動翼を丸ごと交換しなけれ
ばならないこともあるが、それよりはむしろ、動翼のう
ちのある程度の大きさの部分だけを切除して交換すれば
十分なことの方が多い。通常、この部分的な切除・交換
が必要になるのは、動翼の前縁、後縁、それに先端の部
分である。損傷した部分の切除は、例えば、レーザビー
ム切断等によって行い、その切除部分に、その切除部分
より若干大きめの交換部品ないし継ぎ当て部品を接合す
る。また、その損傷が動翼の材料の表面付近にとどまっ
ているごく浅いものである場合には、交換部品を使用す
ることなく、単に、削り代を見込んだ厚さに材料を肉盛
をするだけで十分なことがある。この肉盛は、例えばレ
ーザ粉体肉盛溶接によって行うことができる。ただし、
実際には、これらの「動翼の丸ごとの交換」と、「動翼
の部分的な切除・交換(継ぎ当て)」と、「材料の肉
盛」とを、適当に組合せることによって好適な結果が得
られることが多く、なぜならば、長期に亘って運転して
いるうちには、様々な種類の損傷が発生し得るからであ
る。
鑑み成されたものであり、本発明の目的は、動翼一体形
ロータ・ユニットの流体工学的表面を適合表面として形
成する方法を提供することにあり、この方法は、新たに
ロータ・ユニットを構成する際にも、また、ロータ・ユ
ニットの補修を行う際にも、いずれにも好適に適用し得
るものである。また、この方法は、ハブから動翼への移
行部分から動翼の先端に至るまで、動翼の全長のどの部
分にも適用し得るものである。また、この方法は、最小
曲率を考慮に入れた、段差部や急激な屈曲部のない表面
を形成し得るものである。また、この方法では、金属材
料の削り取りや、それに先立つ接合や、材料の肉盛を、
いかなる方式で行ってもよい。また、この方法によれ
ば、極めて高い精度が得られ、しかも作業を低コストで
迅速に行うことができる。
れば、請求項1の前文部分に記載した構成要件と、請求
項1の特徴部分に記載した構成要件との組合せによって
達成される。
データの収集と適合表面の形成との両方の工程を、ロー
タ・ユニットを固定したままで、1回の作業サイクルに
おいて実行するというものである。これによって、高い
精度が得られ、作業時間も短縮される。
ば、加工処理を施すべき全ての領域の目標表面の形状
が、加工処理機械に「分かって」おり、従って、部品の
最適な目標形状が「分かって」いることになる。請求項
1の特徴部分の構成要件Cによれば、既存表面を表して
いる計測データと指定された目標表面を表している目標
データとが、先ず、3次元的計算空間のデータへと変換
され、続いて、実際に形成する部品表面を表すデータへ
と変換される。また、請求項1の特徴部分に細分項とし
て示したa項〜c項は、この構成要件Cを、更に規定し
たものである。細分項aの構成要件は、形成しようとす
る表面と既存表面との間、または形成しようとする表面
といわゆる補修表面との間の移行部分の形態を示してお
り、この補修表面は、その全ての側面が、当該部品の既
存表面を削り落とすことによって画成されて形成され
る。細分項bの構成要件は、形成しようとする表面の、
状況に応じた特徴を示したものであり、実際の用途にお
いては、数学的ないし理論的に指定された条件の変換
は、可能な最善の方法で行われ、即ち、最も低コストで
実行可能な条件に変換される。
置にあって目標断面形状を有する表面)を形成できない
場合、または完全には形成できない場合に、目標位置よ
りも目標断面形状の方を優先させることを示したもので
ある。
工による製作工程では、ソフトウェア的な要因によっ
て、理論的ないし数学的な指定条件から外れた製品が製
作される可能性がある(また、実際に、しばしばそうな
る)。高信頼性、且つ、高精度の加工処理方法を用いる
ことによって、そのような条件からのずれを小さくする
ことができ、そのずれの大きさを、流体工学的観点及び
強度的観点から許容可能な大きさに抑えることができ
る。例えば、切削加工によって表面を形成する場合に、
理論的は、その表面を、数学的連続性を有する滑らかな
表面として指定するのであるが、実際には、非常に小さ
な段差部、微細な溝、それに軽微な屈曲部は許容し得る
ものである。
1に記載した方法の好適な実施の形態の特徴を記載した
ものである。
いて、添付図面を参照して更に詳細に説明して行く。図
1は、動翼一体形ロータ・ユニットの、ハブ4の一部分
と動翼7の一部分とを示した図である。動翼7は、ハブ
4の径方向膨出部に取付けられており、この取付けはリ
ニア摩擦溶接法によることが好ましい。動翼7には、力
を加えることが容易なように、径方向内端である下端に
肉厚部11が形成されている。図中に接合部をハッチン
グで示した。図1は、動翼7の取付位置及び取付姿勢に
誤差があることを示すために、意図的に誇張して描かれ
ている。特に、図示例では、横方向の位置ずれ誤差と、
角度誤差との両方が存在しており、横方向の位置ずれ誤
差によって動翼7がハブ4に対して右側へずれており、
また、角度誤差によって動翼7が正しい径方向に対して
右傾している。
にロータ・ユニットを製作する際にも発生し得るもので
あり、また、補修を行う際にも発生し得るものである。
動翼7の左側に記入した参照符号は、補修を行う場合に
対応した参照符号であり、動翼7の右側に記入した参照
符号は、新たにロータ・ユニットを製作する場合に対応
した参照符号である。
に、動翼7の表面形状は、例えば精密鍛造等によって、
その大部分が完成形状に仕上げられている。従って、動
翼7の表面I1、I3は、既に完成形状にある既存表面
であり、それら既存表面は、基準表面として用いられる
ため、その表面形状を変化させたり、その表面を損傷さ
せたりしてはならない。肉厚部11のすぐ上方にある、
一点鎖線で示した基準面M1、M3は、計測領域を示し
ており、この計測領域内の複数の断面において、既存表
面の断面形状を計測する。ここで、複数の断面における
断面形状を計測するのは、動翼の断面形状が長手方向及
び横方向にどのように傾斜しているかを求め、それによ
って断面形状の径方向における変化を求めるためであ
る。従って、この計測領域は、実際には、横から見たと
きに1本の直線で表されるようなものではなく、即ち、
ある1つの径方向高さにおける断面形状だけを計測する
ものではなく、この計測領域はあくまでも、幅を持った
領域である。それゆえ、図中に示した一点鎖線は、計測
領域M1、M3の、略々中央付近を概略的に示している
に過ぎない。
14とハブ4との間に延在する既存表面I2を、図中に
計測領域M2として示した領域において計測する。
れら既存表面を接続するようにして適合表面O1を形成
する。この適合表面O1は、それら既存表面との間に段
差部や急激な屈曲部を持たず、またそれ自体も段差部や
急激な屈曲部を持たない表面であり、個々の位置ごとに
また個々の方向ごとに指定可能な最小曲率を維持するこ
とを考慮に入れた、できるだけ数学的連続性を備えた曲
面となるように形成する。また、目標位置と目標断面形
状との両方を満足することができない場合には「目標位
置よりも目標断面形状の方を優先させる」という原則に
従う。図示例では、接合の際に位置誤差及び姿勢誤差が
発生しており、このような状態で、本発明にかかる適合
表面の形成条件を適用すると、その結果、適合表面O1
は、径方向に緩やかにS字形に波を打った形状となり、
この場合、図中に網点領域によって示した部分を削り取
ることになる。
(図の右側)も以上と同様にするが、ただし、既存表面
の計測は、肉厚部分11の上方の計測領域M3だけで行
う。新たにロータ・ユニットを製作する場合は、ハブ4
の膨出部に削り代を付与しておき、上方の既存表面I3
から下方へ延在する適合表面O3が、この適合表面O3
と共にこれから削り出そうとする目標表面S3に滑らか
に接続するようにする。どの径方向高さにおいて、適合
表面O3が目標表面S3に合致するようになるかを明確
に断言することはできない。ただし、本発明によれば、
最小曲率を維持するという条件を満たした上で、目標表
面からのずれができるだけ小さくなるように、適合表面
O3から目標表面S3への移行領域が形成される。
場合であって、1本の動翼の略々全体を丸ごと、削り代
を有する部品に交換する場合を示したものである。この
場合には、ハブ5の膨出部に位置する計測領域M4にお
いて適当な計測方法を用いて計測を行うことによって、
接合部15とハブ5との間に延在する既存表面I4の形
状を表す計測データを収集する。そして、全ての側面に
おいて、この構成部品(ハブ5)の、計測を行った既存
表面4から所定の深さ以内に、いわゆる補修表面Rを規
定する。この場合に形成する適合表面O4は、この補修
表面Rから延出して、できるだけ低い径方向高さにおい
て、即ちできるだけ速やかに、目標表面S4へ移行する
(目標表面S4に合致するようになる)表面として形成
する。そして、そこから先は、目標表面S4を、動翼の
先端(不図示)に至るまで形成する。このように、適合
表面O4及び目標表面S4を削り出して形成する際に、
併せて補修表面Rも削り出して形成するのであるが、こ
のとき、補修表面Rを先に形成し、続けて適合表面O4
を形成するようにしてもよく、逆に、適合表面O4を先
に形成し、続けて補修表面Rを形成するようにしてもよ
い。従って、3つの「種類」の表面(O4、R、S4)
を形成するようにしており、それらのうちのO4が適合
表面である。これら3種類の表面が組み合わさって、実
際の動翼8の形状が形成される。この具体例では、比較
的多くの体積の余分な材料を削除しなければならない。
しかしながら、この具体例では、動翼8の寸法が、目標
寸法に極めて近いものとなり、従って、動翼8が高精度
のものとなる。
関するものであり、即ち、継ぎ当て補修では、動翼の一
部分だけを交換する。交換によって取付ける部品は、一
般的に、その全ての側面に削り代が付与されている。図
3は、ロータ・ユニット3の動翼9を周方向に見た側面
図であり、この動翼9はタービンに用いられる動翼であ
り、また、図にはハブ6の一部分を併せて示してある。
動翼9は、その前縁部分が、径方向高さの略々全長に亘
って、即ちこの動翼9の先端12に至るまで、先端へ向
かって右傾している切断面に沿って切除されている。こ
うして切除された部分と交換する形で、継ぎ当て部品1
8が溶接によって接合されている。継ぎ当て部品18の
形状は、おおむね動翼の形状であり、その全ての側面に
削り代が付与されている。継ぎ当て部品18は、角棒な
いし厚板から切り出して製作することができる。尚、図
中に接合部16をハッチングで示した。図4は、図3の
切断線A−Aに沿った、軸心方向でしかも接線方向に延
在する平面で切断した、動翼9の断面形状を示した図で
ある。この動翼9の全体のうち、図4において接合部1
6より右側の部分の形状は既存形状であり、この部分の
形状は変更しない。接合部16に近接した計測領域M5
の、動翼の断面形状の両側において、既存表面I5を適
当な計測方法を用いて計測することによって、それを表
す計測データを収集する。これによって、接合部16よ
り左方の輪郭を形成しようとする部分の表面を、適合表
面として形成することが可能になる。適合表面O5は、
できるだけ速やかに目標表面S5に移行するようにすべ
きであり、即ち、目標断面形状が目標位置に収まるよう
にすべきであるが、しかしながら、このことは、常に可
能であるとは限らない。少なくとも適合表面が目標表面
をできるだけ近似したものとなるように努めなければな
らないが、その場合に、目標断面形状を近似することが
重要であり、即ち、目標位置に合わせることよりも、目
標断面形状に合わせることの方が重要である(「目標位
置よりも目標断面形状の方を優先させる」のである)。
原理的には、図3及び図4に示した継ぎ当て方式は、動
翼のどの部分に対しても適用可能である。この継ぎ当て
方式は、動翼の中間部分に対しても適用でき、例えば、
動翼に穴を開けて円板形の継ぎ当て部品を接合するよう
にしてもよい。また、そのことからも分かるように、接
合部の形状は曲線状としてもよく、その場合の好ましい
具体例は、円の一部を成す形状とするというものであ
り、また、閉じた形状とするのであれば、全円の形状と
するのもよい。継ぎ当て部品は、常に交換用部品として
用いられ、所定の形状と、局所的な削り代とを付与され
ており、ある程度以上の大きさの動翼損傷部を補修する
ために用いられるものである。
耗するという形の損傷が発生することもあり、これが発
生するのは、例えば、動翼がステータ側の部材と接触し
た場合、気体流の中に侵蝕を生じさせる粒子が混入して
いた場合、それに、気体流が腐蝕性を有する高温ガスで
あった場合等である。この種の損傷を補修するには、損
傷した部材の表面に対して「凹凸除去」のための削り取
りを施した後に、失われた材料を「無定形状態」で付着
させ、この場合、特に、溶接またはロウ付によって溶融
状態で付着させることが好ましい。また、材料を溶融状
態で付着させる方法としては、部品を甚だしく熱に暴露
させずに済むという点で、レーザ粉体肉盛溶接が有望な
方法である。
ための図であり、同図には具体例として、動翼10の先
端13に補修を施す場合を示した。材料肉盛部19は、
図示の如く、その両側面及び上端のいずれにも削り代が
付与されている。尚、この図は、動翼を、ロータの軸心
の方向から見た部分断面図で示したものである。正確を
期すならば、先端を切除して短くなった動翼10の上端
の接合部17を表しているハッチングは、材料肉盛部1
9の断面の全域に亘って施さなければならず、なぜなら
ば、材料肉盛部19は、その全体が肉盛溶接によって形
成されており、従ってその全体が接合部だからである。
しかしながら、材料肉盛部19の全体にハッチングを施
したならば、この材料肉盛部19の内部構造が見難くな
るため、便宜上、実際の接合部の下端部分にだけ、ハッ
チングを施したのである。接合部17の下方の計測部M
6において計測を行うことで、動翼の断面形状を一周す
る既存表面I6の計測データを収集し、その収集した計
測データを、データ処理手段で処理する。そして、適合
表面O6を、目標表面6に合致するか、またはできるだ
けそれを近似するように形成する(ここでも「目標位置
よりも目標断面形状の方を優先させる」)。適合表面を
形成するための特に簡明な実施の形態は、断面の輪郭を
一周する全ての位置において、図中に参照符号I6で示
した既存表面をそのまま真っ直ぐに動翼の先端13まで
延長した表面として、適合表面を形成するというもので
あり、これは数学的には、最小曲率を「無限大」(∞)
に指定して上方へ延在させたことに他ならない。この方
法は、材料肉盛部の径方向高さが小さく、そのため、目
標表面への移行も、目標断面形状への移行も、実際問題
として不可能な場合に好適な方法である。ただし、この
ようにする場合には、接合部の近傍の既存表面と目標表
面との間のずれの大きさがどの程度になるかを、更に考
慮しなければならない。
更にもう1つの目標表面S7を細かい破線で示してあ
る。この目標表面S7は、目標表面S6に従って材料の
削り取りを行った後に、更に材料の削り取りを行うこと
を示したものである。即ち、目標表面S7は、先端に向
かって段階的に断面が変化する動翼を形成する際に、そ
の加工処理の目標となるものであり、図示例は、「水滴
形断面形状」を、長さ方向において厚さが略々一定した
薄板状の断面形状へ移行させ、それによって、動翼の前
縁にそれに対応した曲率を付与する場合を示したもので
ある。
に仕上げられている動翼を備えたロータ・ユニットの断
面部分図である。
換部品を備えたロータ・ユニットの図1と同様の部分断
面図である。
る。
図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 ハブと少なくとも1つの動翼リングとを
備えた、好ましくは軸流形の、動翼一体形ロータ・ユニ
ットの流体工学的表面を適合表面として形成する方法で
あって、例えばガスタービンの構成部品を新たに製作す
る場合やガスタービンのいわゆる動翼ディスクないし動
翼リング等の構成部品の補修を行う場合などに、少なく
とも1本の動翼をハブに一体に接合した後に、及び/ま
たは、少なくとも1本の動翼に少なくとも1個の動翼部
分を接合した後に、及び/または、局所的に材料を一体
的に付着させた後に、加工処理機械による削り取りを行
うようにし、その削り取りを実行する前の段階で、接合
する前記動翼、前記動翼部分、ないしは前記付着材料
が、接合部の近傍に全体的または局所的に削り代を有す
るようにしておき、更に、当該構成部品の局所的形状を
記述している既存表面の計測データを適当な計測方法を
用いて収集しておき、流体工学的表面を、前記既存表面
に整合する適合表面として形成するようにし、更にその
際に、前記接合部が流体工学的観点及び強度的観点から
見て好適な形状となるように当該流体工学的表面を形成
する方法において、 A)少なくとも1つの既存表面(I1〜I6)の計測デ
ータの収集と、少なくとも1つの適合表面(O1、O3
〜O6)の形成とを、ロータ・ユニット(1、2、3)
を加工処理機械に固定したまま途中で取外すことなく、
計測工程、算出工程、及び加工処理工程を含む一連の作
業サイクルにおいて実行し、 B)動翼先端(12、13)からハブ(4、5、6)ま
での間に存在する加工処理を施すべき各領域の、目標位
置にある目標形状を半径方向において規定している目標
表面(S3〜S7)を表すデータを、格納データの形と
して前記加工処理機械が利用できるようにしておき、 C)適当な計測方法を用いて収集した、通常は形状誤差
が付随しており前記接合部(14〜17)に近接して延
在している少なくとも1つの既存表面(I1〜I6)の
計測データに基づき、以下のa)乃至c)に記載した方
式に従って、前記接合部(14〜17)を超えて延在す
る表面(O1、O3〜O6)を表すデータを算出した後
に、材料を削り取ることによって当該表面(O1、O3
〜O6)を形成し、 a)形成する流体工学的表面(O1、O3〜O6)が、
少なくとも1つの既存表面(I1〜I6)に、及び/ま
たは、補修表面(R)に、いかなる位置においても接平
面同士が一致するようにして(できるだけ数学的連続性
を有するようにして)連なるようにし、即ち、急激な屈
曲部も段差部もなく、直線、及び/または、個々の位置
ごとに様々に指定可能な最小曲率を維持した曲線によっ
て連なるようにし、前記補修表面(R)は、理論的表面
であって、当該構成部品において計測データを収集した
既存表面(I4)から当該補修表面(R)までの深さが
個々の位置ごとに様々に指定可能な最小深さ以内となる
ように規定されて当該既存表面(I4)を削り落とすこ
とで画成される表面であり、 b)形成する流体工学的表面(O1、O3〜O6)が、
個々の位置ごとにないしは個々の方向ごとに様々に指定
可能な最小曲率をいかなる位置においても維持した、少
なくともその大部分の範囲が曲面であるところの、数学
的連続性を有する3次元曲面にできるだけ一致するよう
にし、 c)形成する流体工学的表面(O1、O3〜O6)が、
上記a)とすることによって、及び/または、上記b)
とすることによって、及び/または、当該構成部品の局
所的寸法のために、目標位置にある目標断面形状を半径
方向において規定している目標表面(S3〜S7)に合
致させることができないか、または、部分的にしか合致
させることができないような領域の全てにおいて、各々
の半径方向高さにおける流体工学的表面(O1、O3〜
O6)の形状を、数学的連続性を考慮に入れた上で、適
当なデータ格納方法を用いて格納してあるデータにより
表されている個々の位置における目標断面形状に、でき
るだけ近似させるようにする、ことを特徴とする方法。 - 【請求項2】 ハブに接合する以前の段階で既にその流
体工学的表面の大部分が完成形状に仕上げられている動
翼を用いて新たに構成部品を製作する際に、各々の動翼
(7)において、前記接合部(14)より径方向外側で
あって前記接合部(14)に近接した位置に延在する完
成形状の既存表面(I3)の計測データを適当な計測方
法を用いて収集し(M3)、計測した既存表面(I3)
から径方向内側へ延在して目標表面(S3)に連なる流
体工学的表面(O3)を適合表面として形成することを
特徴とする請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 ハブに接合する以前の段階で既にその流
体工学的表面の大部分が完成形状に仕上げられている動
翼を用いて新たに構成部品を製作する際に、ないしは動
翼の交換を伴う補修を行う際に、前記接合部(14)よ
り径方向外側であって前記接合部(14)に近接した位
置に延在する完成形状の既存表面(I1)の計測データ
と、前記接合部(14)とハブ(4)との間に存在する
完成形状の既存表面(I2)の計測データとを、夫々に
適当な計測方法を用いて収集し(M1、M3)、それら
既存表面(I1、I2)の間に延在する流体工学的表面
(O3)を適合表面として形成することを特徴とする請
求項1記載の方法。 - 【請求項4】 流体工学的表面の目標形状にとっての剰
余分である削り代を全ての側面に有する形状の少なくと
も1つの構成部品を用いて動翼の交換を伴う補修を行う
際に、前記接合部(15)とハブ(5)との間に延在す
る既存表面(I4)の計測データを適当な計測方法を用
いて収集し(M4)、補修表面(R)をその全ての側面
が当該構成部品の当該既存表面(I4)から所定の深さ
以内に位置するように画成し、画成した補修表面(R)
から径方向外側へ向かって延在してできるだけ低い径方
向高さにおいて目標表面(S4)に合致するようになる
表面(O4)を形成し、全ての側面の材料を削り取るこ
とで当該動翼(8)の流体工学的表面をできるだけ当該
目標表面(S4)に近似した表面となるように形成し、
ハブ(5)へ至る前記補修表面(R)を、材料を削り取
ることで形成することを特徴とする請求項1記載の方
法。 - 【請求項5】 流体工学的表面の目標形状にとっての剰
余分である削り代を全ての側面に有する形状の少なくと
も1つの継ぎ当て部品を用いて動翼の前縁ないし後縁の
一部分の交換を伴う補修(パッチング)を行う際に、継
ぎ当て部品を接合した動翼(9)の接合部(16)の近
傍に延在する吸入側側面及び高圧側側面の既存表面(I
5)の計測データを適当な計測方法を用いて収集し(M
5)、当該動翼(9)の補修対象領域内の全ての半径方
向高さ位置において、接合した全ての継ぎ当て部材の全
ての側面の材料を削り取ることによって、当該既存表面
(I5)を完成形状に仕上げ、その際に、当該既存表面
(I5)の完成形状を、適当なデータ格納方法を用いて
格納してあるデータによって表されている目標断面形状
(S5)に、できるだけ近似させるようにすることを特
徴とする請求項1記載の方法。 - 【請求項6】 動翼(10)の先端部分の全表面に材料
を肉盛することによって流体工学的表面の目標形状にと
っての剰余分である削り代を全ての側面に有する形状の
肉盛部を形成することを含む補修を行う際に、当該動翼
(10)の接合部(17)より径方向内側であって当該
接合部(17)に近接した位置に延在する当該動翼(1
0)の周囲の既存表面(I6)の計測データを適当な計
測方法を用いて収集し(M6)、当該既存表面(I6)
から動翼先端(13)の前記肉盛部における所望の径方
向高さ位置まで削り代を削り取ることによって、当該動
翼(10)の表面(O6)を完成形状に仕上げることを
特徴とする請求項1記載の方法。 - 【請求項7】 当該構成部品の材料の削り取りを、例え
ば研削加工やフライス加工、また特に高速フライス加工
等の、機械的切削によって行うか、または、放電加工
(EDM)や電気化学加工(ECM)等の、機械的切削
によるのではない電気的または電気化学的な方法によっ
て行うことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項記
載の方法。 - 【請求項8】 適当な計測方法を用いて行う表面の計測
データの収集を、接触式センサ等を用いる接触式計測法
によって行うか、または、光学式センサ等を用いる非接
触式計測法によって行うことを特徴とする請求項1乃至
7の何れか1項記載の方法。
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