JP2000355712A - 溶湯の成分調整方法及び溶湯の成分調整設備 - Google Patents

溶湯の成分調整方法及び溶湯の成分調整設備

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JP2000355712A
JP2000355712A JP17033499A JP17033499A JP2000355712A JP 2000355712 A JP2000355712 A JP 2000355712A JP 17033499 A JP17033499 A JP 17033499A JP 17033499 A JP17033499 A JP 17033499A JP 2000355712 A JP2000355712 A JP 2000355712A
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concentration
molten metal
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JP17033499A
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English (en)
Inventor
Kazuaki Shimokawa
和明 下川
Ikuo Watanabe
郁雄 渡辺
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 オペレータの経験に拘わらず、規格外製品の
発生を可及的に抑制することができる溶湯の成分調整方
法、及びその実施に使用する設備を提供する。 【解決手段】 演算装置1は、所定値以上の影響度であ
る各成分には、製品成分実績データから決定した調整濃
度を代入し、その他の各成分は対応する目標下限濃度を
代入し、重回帰式を用いて推定値J1 を算出し、得られ
た推定値J1 が、判定式を満足するか否かを判断する。
演算装置1は、判定式を満足すると判断した場合、製品
の最終位置における推定値Jn を算出したか否かを判断
し、それを算出していないと判断した場合、nに(n+
1)を代入して推定値Jを算出する。演算装置1は、判
定式を満足しないと判断した場合、影響度がより小さい
適宜の成分を選定し、きざみ幅Δαだけ大きくした後、
n=1を代入し、再び推定値J1 を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所要品質の製品を
製造すべく、溶湯の成分を調整する方法、及びその実施
に使用する設備に関する。
【0002】
【従来の技術】図8は、溶湯の成分調整プロセスを説明
する説明図であり、図中、21は、取鍋である。取鍋21に
は高炉(図示せず)から出銑された溶湯30が注入してあ
り、該溶湯30は一次精錬設備である転炉22内へ投入され
る。なお、高炉から出銑された溶湯の成分は高炉に設け
てある成分分析装置(図示せず)によって分析してあ
り、その分析結果は熔銑成分実績として与えられてい
る。
【0003】転炉22には、溶湯30と共に、主原料である
屑鉄、及び媒溶材である生石灰,ホタル石等が装入され
ており、高圧酸素の吹き込みによって着火して吹錬を開
始し、高圧酸素の吹き込み量を調整して、炭素,珪素,
マンガン,クロム,リン,硫黄等の成分濃度を減少させ
る。吹錬が終了する前の適宜のタイミングで転炉22から
溶湯のサンプルを採取し、成分分析装置25によってサン
プルの成分を分析する。一次精錬設備には、フェロクロ
ム,フェロシリコン又はフェロマンガン等の複数種類の
添加物が予め用意してあり、投入機23によって、指定し
た種類の添加物が指定した量だけ転炉22内へ投入され
る。投入した添加物が溶融し、吹錬が終了した場合、転
炉22内の溶湯30は他の取鍋27に注入される。
【0004】一次精錬された溶湯30が注入された取鍋27
は、真空脱ガスを行うべく二次精錬設備28まで移送され
る。二次精錬設備28には、脚部を設けてなる脱ガス槽
(図示せず)が昇降自在に配設してあり、脱ガス槽は、
取鍋27の溶湯30内に浸漬させた脚部から溶湯を吸い上
げ、溶湯30中に溶存する酸素,窒素及び水素等のガス成
分を真空脱ガスする。この真空脱ガス操作と並行して、
取鍋27から溶湯のサンプルが採取され、前記成分分析装
置25によってその成分が分析される。
【0005】二次精錬設備28には、前同様、複数種類の
添加物が予め用意してあり、前述した脱ガス槽に設けた
投入機によって、指定した種類の添加物が指定した量だ
け脱ガス槽内の溶湯へ投入される。投入した添加物が溶
融し、脱ガスが終了した場合、取鍋27は、連続鋳造又は
造塊を行う鋳造設備へ移送される。そして、鋳造設備は
二次精錬された溶湯から鋳片を鋳造し、該鋳片は種々の
加工設備によって製品に加工される。
【0006】従来、このような精錬設備によって溶湯30
の成分を調整するには、製品の規格別に、溶湯30に含ま
れる複数の成分の上下限値を予め定めておき、オペレー
タが経験的に各成分を調整すべき目標濃度を決定し、決
定した目標濃度になるように、一次精錬設備及び二次精
錬設備の操業スケジュール、並びに投入すべき添加物の
種類及びその投入量を定めていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
方法では、オペレータが経験的に各成分の目標濃度を決
定しているため、製品の品質のバラツキが大きく、材料
試験において許容値から外れる規格外製品が発生する場
合があった。
【0008】本発明はかかる事情に鑑みてなされたもの
であって、その目的とするところは、オペレータの経験
に拘わらず、規格外製品の発生を可及的に抑制すること
ができる溶湯の成分調整方法、及びその実施に使用する
設備を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】第1発明に係る溶湯の成
分調整方法は、溶湯を精錬して、溶湯に含まれる複数の
成分の濃度を、各成分に対応して定めた目標濃度にそれ
ぞれ調整する方法において、溶湯から製品を製造し、そ
の製品を試験した場合に得られる試験値を、前記溶湯中
の各成分の濃度及び各成分に対応して予め定めた係数を
適用する演算式によって推定して推定試験値を得るため
に、複数の成分及び複数の係数を対応付けて設定し、ま
た推定試験値の許容範囲、及び前記各成分の目標濃度範
囲を設定する第1ステップと、前記各成分について、対
応する目標濃度範囲内における濃度を適宜に定める第2
ステップと、定めた各濃度及び各成分に対応する係数を
前記演算式に適用して推定試験値を演算する第3ステッ
プと、得られた推定試験値が前記許容範囲内に含まれる
か否かを判断する第4ステップとを有し、演算して得ら
れた推定試験値が前記許容範囲内に含まれるまで、前記
第2ステップから第4ステップまでの各ステップを順に
繰り返し、演算して得られた推定試験値が前記許容範囲
内に含まれた場合、演算に用いた各濃度を前記各目標濃
度に決定することを特徴とする。
【0010】第2発明に係る溶湯の成分調整方法は、第
1発明において、実績試験値が前記許容範囲に含まれた
複数の製品について、成分を調整する前の溶湯中の各成
分の第1実績濃度、及び成分を調整した後の溶湯中の各
成分の第2実績濃度を予め記憶するステップと、前記実
績試験値に与える影響度が高い成分を予め設定するステ
ップと、成分を調整すべき溶湯に含まれる前記各成分の
第3実績濃度を求めるステップと、該第3実績濃度に近
似する第1実績濃度を選定するステップと、選定した第
1実績濃度に係る第2実績濃度を、前記各成分の目標濃
度に決定するステップとを有することを特徴とする。
【0011】第3発明に係る溶湯の成分調整方法は、第
1又は第2発明において、前記第1ステップにおいて、
製品の長手方向の複数の位置に対応して前記係数及び前
記許容範囲をそれぞれ設定し、前記第3ステップにおい
て、製品の長手方向の複数の位置で前記推定試験値をそ
れぞれ演算し、前記第4ステップにおいて、製品の長手
方向の全ての位置で、推定試験値が前記許容範囲内に含
まれるか否かを判断することを特徴とする。
【0012】第4発明に係る溶湯の成分調整設備は、溶
湯を精錬することによって、溶湯に含まれる複数の成分
の濃度を、各成分に対応して定めた目標濃度にそれぞれ
調整する設備において、溶湯から製品を製造し、その製
品を試験した場合に得られる試験値を、前記溶湯中の各
成分の濃度及び各成分に対応して予め定めた係数を適用
する演算式によって推定して推定試験値を得るために、
複数の成分及び複数の係数が対応付けて設定してある係
数記憶部と、前記推定試験値の許容範囲が設定してある
試験許容範囲記憶部と、前記各成分の目標濃度範囲が設
定してある成分目標濃度範囲記憶部と、前記各成分につ
いて、対応する目標濃度範囲内における濃度を適宜に定
める濃度設定手段と、定めた各濃度及び各成分に対応す
る係数を前記演算式に適用して推定試験値を演算する手
段と、得られた推定試験値が前記許容範囲内に含まれる
か否かを判断する判断手段と、そうであると判断した場
合、演算に用いた各濃度を前記各目標濃度に決定する手
段とを備えることを特徴とする。
【0013】第1及び第4発明にあっては、溶湯から製
造される製品を材料試験して得られる結果を推定した推
定試験値を演算するための係数を複数の成分別に予め設
定し、また、前記推定試験値の許容範囲、並びに前記各
成分の目標濃度範囲を予め設定しておく。
【0014】成分を調整すべき溶湯に含まれる各成分に
ついて、対応する目標濃度範囲内における適宜濃度を定
め、定めた各濃度及び前記各係数を用いて推定試験値を
演算する。得られた推定試験値が許容範囲内に含まれる
か否かを判断し、前記推定試験値が許容範囲内に含まれ
ていない場合、前記濃度とは異なる濃度を定める。この
濃度を用いて、前同様に推定試験値を演算し、得られた
推定試験値が許容範囲内に含まれるか否かを判断する。
これらの操作を、演算して得られた推定試験値が許容範
囲内に含まれると判断するまで繰り返す。そして、含ま
れると判断した場合、演算に用いた各濃度を各成分の目
標濃度に決定する。
【0015】これによって、オペレータの経験に拘わら
ず、規格外製品の発生を可及的に抑制することができ
る。
【0016】第2発明にあっては、製品について、例え
ばジョミニー(焼入性)試験を行う場合、炭素,マンガ
ン及びクロムの各成分が、ジョミニー推定試験値である
ロックウェルC硬さに及ぼす影響度が高い。そこで、こ
れらの成分の目標濃度を次のようにして定める。
【0017】許容範囲を満足する実績試験値であった複
数の製品について、成分を調整する前の溶湯中の前記各
成分の第1実績濃度、及び成分を調整した後の溶湯中の
前記各成分の第2実績濃度をそれぞれ記憶しておく。成
分を調整すべき溶湯に含まれる前記各成分の第3実績濃
度をそれぞれ測定し、得られた各第3実績濃度に近似す
る一群の第1実績濃度を選定し、選定した第1実績濃度
に係る第2実績濃度を、前記各成分の目標濃度にそれぞ
れ決定する。これによって、推定試験値に及ぼす影響度
が高い成分の目標濃度を迅速に決定することができる。
【0018】第3発明にあっては、製品の長手方向の複
数の位置に対応して前記係数及び前記許容範囲をそれぞ
れ定めておく。前述した如く定めた各成分の濃度、及び
各位置に係る係数を用いて、製品の長手方向の複数の位
置で前記推定試験値をそれぞれ演算する。得られた複数
の推定試験値が、製品の長手方向の全ての位置で対応す
る許容範囲内に含まれるか否かを判断し、そうであると
判断されるまで、前述した如く、適宜の成分の濃度の変
更、及び推定試験値の演算を繰り返す。
【0019】これによって、製品の長手方向の複数の位
置で推定試験値を満足するように、溶湯の各成分を調整
することができ、規格外製品の発生を更に抑制すること
ができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて具体的に説明する。図1は、本発明に係る設
備に備えられ、溶湯中の各成分の調整濃度(目標濃度)
を算出する装置の構成を示すブロック図であり、図中、
4は、二次精錬した溶湯の各成分の許容濃度が登録して
ある溶湯成分データベース、5は、材料試験における許
容値が登録してある試験値データベース、6は、溶湯の
各成分の濃度を用いて、材料試験の試験値を重回帰計算
によって算出するための重回帰係数及び補正値が登録し
てある係数データベースである。
【0021】図2は、図1に示した溶湯成分データベー
ス4に登録してある溶湯成分データを説明する図表であ
る。図2に示した如く、溶湯成分データとして、炭素,
珪素等の複数の成分の規定上下限濃度、及び該規定上下
限濃度内に設定した目標上下限濃度が、複数の鋼種別に
登録されている。
【0022】図3は、図1に示した試験値データベース
5に登録してある試験値データを説明する図表である。
図3に示した如く、試験値データとして、例えば、ジョ
ミニー(焼入性)試験で得られるロックウェルC硬さ
(HRC)について、製品の焼入された端部から距離を
隔てた複数の位置に対応してそれぞれ設けた規定上下限
値及び目標上下限値が、複数の鋼種別に登録されてい
る。
【0023】また、図4は、図1に示した係数データベ
ース6に登録してある係数データを説明する図表であ
る。図4に示した如く、試験値データベース5に前述し
た試験値データが登録してある場合、係数データとし
て、複数の鋼種別に、当該鋼種に含まれる各成分、その
成分に係る重回帰係数、及び補正値が製品の焼入された
端部から距離を隔てた複数の位置に対応して登録してあ
る。
【0024】複数の成分の調整量を演算する演算装置1
には、図示しない上位コンピュータから鋼種が与えられ
るようになっており、演算装置1は、それが与えられた
場合、前述した溶湯成分データベース4、試験値データ
ベース5及び係数データベース6から、当該鋼種に係る
データをそれぞれ読み出す。
【0025】ところで、前述した各データベース4〜6
とは別に、一次精錬設備である転炉に供給される熔銑の
成分を分析した結果が登録してある熔銑成分実績データ
ベース7、及び材料試験に合格した複数の製品の成分を
分析した製品成分実績データと、当該製品の精錬に供し
た熔銑の成分実績データとを対応付けたデータが鋼種別
に登録してある製品成分実績データベース8が設けてあ
る。
【0026】演算装置1は、熔銑成分実績データベース
7から該当する熔銑成分実績データを読み出すと共に、
与えられた鋼種に係る製品成分実績データを製品成分実
績データベース8から読み出す。演算装置1には、複数
の成分について、各成分の材料試験に及ぼす影響度が予
め設定してあり、演算装置1は、与えられた鋼種に係る
複数の成分の内、所定値以上の影響度である成分につい
て、熔銑成分実績データベース7から読み出した熔銑成
分実績データに基づいて、それに近似する熔銑の成分実
績データに対応する製品成分実績データを選定する。材
料試験がジョミニー試験である場合、炭素,マンガン及
びクロムの影響度が高い。そして、演算装置1は、選定
した製品成分実績データを、一次及び二次精錬された溶
湯の成分濃度である調整濃度に決定する。
【0027】演算装置1には、材料試験の結果を推定す
る重回帰式である次の(1)式、及びきざみ幅Δαが予
め与えられている。演算装置1は、当該鋼種の各成分を
前述した影響度が大きい順にソートし、所定値以上の影
響度である成分は前述した如く決定した調整濃度とし、
その他の各成分は目標下限濃度として(1)式に代入
し、次の(2)式を得る。材料試験がジョミニー試験で
ある場合、炭素,マンガン,クロム,…,アルミニウ
ム,チタン,窒素の順にソートされる。 Jn =f(a(m,n),[鋼種の各成分]) …(1) 但し、Jn :焼入された製品の端部から距離n
ポイントを隔てた位置における材料試験の推定値 a(m,n):焼入された製品の端部から距離nポイン
トを隔てた位置における当該成分の重回帰係数(mは、
各成分毎に重回帰係数が異なることを表す) Jn =f(a(m,n),[C],[Mn],[Cr],…,[N]) …(2)
【0028】この(2)式は次のように展開される。 J1 =a(1,1)×[C]+a(2,1)×[Mn]+a(3,1)× [Cr]+…+a(m,1)×[N]+b1 …(2−1) J2 =a(1,2)×[C]+a(2,2)×[Mn]+a(3,2)× [Cr]+…+a(m,2)×[N]+b2 …(2−2) ・ ・ Jn =a(1,n)×[C]+a(2,n)×[Mn]+a(3,n)× [Cr]+…+a(m,n)×[N]+b2 …(2−n)
【0029】演算装置1には、材料試験の目標上下限値
が鋼種別に予め設定してあり、また後述する如く算出し
た材料試験の推定値を評価する次の(3)式が与えられ
ている。 材料試験の該当位置における目標下限値≦Jn ≦材料試験の該当位置における 目標上限値 …(3)
【0030】図5は、材料試験の目標上下限値の一例を
示すグラフであり、図中、縦軸はロックウェルC硬さ
を、横軸は製品の焼入された端部からの距離をそれぞれ
表している。図5に示した如く、材料試験の結果である
ロックウェルC硬さに係る目標上限値は、製品の焼入さ
れた端部からの距離が長くなるに従ってシグモイド状に
低くなるように定めてある。また、ロックウェルC硬さ
に係る目標下限値は、前記目標上限値とは相対的に低い
値で、前同様のシグモイド状に定めてある。
【0031】演算装置1は、n=1を代入して、推定値
1 を(2−1)式を用いて算出し、得られた推定値J
1 が(3)式を満足するか否かを判断する。演算装置1
は、(3)式を満足すると判断した場合、製品の最終位
置における推定値Jn を算出したか否かを判断し、それ
を算出していないと判断した場合、nに(n+1)、即
ち2を代入し、(2−2)式を用いて推定値J2 を算出
する。
【0032】演算装置1は、推定値J1 ,J2 ,…を算
出する都度、それらが(3)式を満足するか否かを判断
し、(3)式を満足しないと判断した場合、前述した影
響度がより小さい成分であって、当該成分の濃度とその
目標上限濃度との差分がきざみ幅Δα以上であるものを
選定し、選定した成分の濃度をきざみ幅Δαだけ大きく
した後、n=1を代入して、再び推定値J1 を算出す
る。
【0033】演算装置1は、上述した操作を製品の最終
位置における推定値Jn を算出したと判断するまで繰り
返すことによって、当該鋼種に係る全ての成分の調整濃
度を決定する。
【0034】そして、このようにして決定した各成分の
調整濃度になるように、一次精錬設備及び二次精錬設備
の操業スケジュール、並びに投入すべき添加物の種類及
びその投入量を定め、一次精錬設備及び二次精錬設備を
操業する。
【0035】図6及び図7は、図1に示した演算装置1
による調整濃度の決定手順を示すフローチャートであ
る。演算装置1は、上位コンピュータから鋼種が与えら
れるまで待機し(ステップS1)、それが与えられた場
合、溶湯成分データベース4、試験値データベース5及
び係数データベース6から、当該鋼種に係るデータをそ
れぞれ読み出す(ステップS2)。また、演算装置1
は、熔銑成分実績データベース7から該当する熔銑成分
実績データを読み出すと共に、与えられた鋼種に係る製
品成分実績データを製品成分実績データベース8から読
み出す(ステップS3)。
【0036】演算装置1には、複数の成分について、各
成分の材料試験に及ぼす影響度が予め設定してあり、演
算装置1は、与えられた鋼種に係る複数の成分の内、所
定値以上の影響度である成分を特定し(ステップS
4)、特定した各成分について、熔銑成分実績データベ
ース7から読み出した熔銑成分実績データに基づいて、
製品成分実績データベース8から読み出した複数の熔銑
成分実績データから、前記各成分の濃度が近似するもの
を検索し(ステップS5)、得られた熔銑成分実績デー
タに対応する製品成分実績データを特定し(ステップS
6)、特定した製品成分実績データに含まれる前記各成
分の濃度を、調整すべき溶湯の前記各成分の調整濃度に
決定する(ステップS7)。
【0037】演算装置1は、当該鋼種の各成分を前述し
た影響度が大きい順にソートして、推定値Jn を算出す
る(2)式を生成する(ステップS8,S9)。 Jn =f(a(m,n),[C],[Mn],[Cr],…,[N]) …(2)
【0038】演算装置1は、所定値以上の影響度である
各成分には、ステップS7で決定した調整濃度を代入
し、その他の各成分は対応する目標下限濃度を代入する
(ステップS10)。演算装置1は、n=1を代入して
(ステップS11)、推定値J1 を(2)式を用いて算出
し(ステップS12)、得られた推定値J1 が、判定式で
ある次の(3)式を満足するか否かを判断する(ステッ
プS13)。 材料試験の該当位置における目標下限値≦Jn ≦材料試験の該当位置における 目標上限値 …(3)
【0039】演算装置1は、(3)式を満足すると判断
した場合、製品の最終位置(n=n)における推定値J
n を算出したか否かを判断し(ステップS14)、それを
算出していないと判断した場合、nに(n+1)を代入
し(ステップS15)てステップS12へ戻る。一方、演算
装置1は、ステップS13で推定値Jn が(3)式を満足
しないと判断した場合、前述した影響度がより小さい成
分であって、当該成分の濃度とその目標上限濃度との差
分がきざみ幅Δα以上であるものを選定し(ステップS
20)、選定した成分の濃度をきざみ幅Δαだけ大きくし
た(ステップS21)後、ステップS11へ戻ってn=1を
代入し、再び推定値J1 を算出する。
【0040】演算装置1は、ステップS14で製品の最終
位置における推定値Jn を算出したと判断するまでステ
ップS11〜ステップS21までの操作を繰り返した後、当
該鋼種に係る全ての成分の調整濃度を決定する(ステッ
プS30)。
【0041】
【発明の効果】以上詳述した如く、第1及び第4発明に
あっては、オペレータの経験に拘わらず、規格外製品の
発生を可及的に抑制することができる。
【0042】第2発明にあっては、試験値に及ぼす影響
度が高い成分の目標濃度を迅速に決定することができ
る。
【0043】第3発明にあっては、製品の長手方向の複
数の位置で試験値を満足するように、溶湯の各成分を調
整することができ、規格外製品の発生を更に抑制するこ
とができる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る設備に備えられ、溶湯中の各成分
の調整濃度を算出する装置の構成を示すブロック図であ
る。
【図2】図1に示した溶湯成分データベースに登録して
ある溶湯成分データを説明する図表である。
【図3】図1に示した試験値データベースに登録してあ
る試験値データを説明する図表である。
【図4】図1に示した係数データベースに登録してある
係数データを説明する図表である。
【図5】材料試験の目標上下限値の一例を示すグラフで
ある。
【図6】図1に示した演算装置による調整濃度の決定手
順を示すフローチャートである。
【図7】図1に示した演算装置による調整濃度の決定手
順を示すフローチャートである。
【図8】溶湯の成分調整プロセスを説明する説明図であ
る。
【符号の説明】
1 演算装置 4 溶湯成分データベース 5 試験値データベース 6 係数データベース 7 熔銑成分実績データベース 8 製品成分実績データベース

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶湯を精錬して、溶湯に含まれる複数の
    成分の濃度を、各成分に対応して定めた目標濃度にそれ
    ぞれ調整する方法において、 溶湯から製品を製造し、その製品を試験した場合に得ら
    れる試験値を、前記溶湯中の各成分の濃度及び各成分に
    対応して予め定めた係数を適用する演算式によって推定
    して推定試験値を得るために、複数の成分及び複数の係
    数を対応付けて設定し、また推定試験値の許容範囲、及
    び前記各成分の目標濃度範囲を設定する第1ステップ
    と、 前記各成分について、対応する目標濃度範囲内における
    濃度を適宜に定める第2ステップと、 定めた各濃度及び各成分に対応する係数を前記演算式に
    適用して推定試験値を演算する第3ステップと、 得られた推定試験値が前記許容範囲内に含まれるか否か
    を判断する第4ステップとを有し、 演算して得られた推定試験値が前記許容範囲内に含まれ
    るまで、前記第2ステップから第4ステップまでの各ス
    テップを順に繰り返し、演算して得られた推定試験値が
    前記許容範囲内に含まれた場合、演算に用いた各濃度を
    前記各目標濃度に決定することを特徴とする溶湯の成分
    調整方法。
  2. 【請求項2】 実績試験値が前記許容範囲に含まれた複
    数の製品について、成分を調整する前の溶湯中の各成分
    の第1実績濃度、及び成分を調整した後の溶湯中の各成
    分の第2実績濃度を予め記憶するステップと、前記実績
    試験値に与える影響度が高い成分を予め設定するステッ
    プと、成分を調整すべき溶湯に含まれる前記各成分の第
    3実績濃度を求めるステップと、該第3実績濃度に近似
    する第1実績濃度を選定するステップと、選定した第1
    実績濃度に係る第2実績濃度を、前記各成分の目標濃度
    に決定するステップとを有する請求項1記載の溶湯の成
    分調整方法。
  3. 【請求項3】 前記第1ステップにおいて、製品の長手
    方向の複数の位置に対応して前記係数及び前記許容範囲
    をそれぞれ設定し、前記第3ステップにおいて、製品の
    長手方向の複数の位置で前記推定試験値をそれぞれ演算
    し、前記第4ステップにおいて、製品の長手方向の全て
    の位置で、推定試験値が前記許容範囲内に含まれるか否
    かを判断する請求項1又は2に記載の溶湯の成分調整方
    法。
  4. 【請求項4】 溶湯を精錬することによって、溶湯に含
    まれる複数の成分の濃度を、各成分に対応して定めた目
    標濃度にそれぞれ調整する設備において、 溶湯から製品を製造し、その製品を試験した場合に得ら
    れる試験値を、前記溶湯中の各成分の濃度及び各成分に
    対応して予め定めた係数を適用する演算式によって推定
    して推定試験値を得るために、複数の成分及び複数の係
    数が対応付けて設定してある係数記憶部と、前記推定試
    験値の許容範囲が設定してある試験許容範囲記憶部と、
    前記各成分の目標濃度範囲が設定してある成分目標濃度
    範囲記憶部と、前記各成分について、対応する目標濃度
    範囲内における濃度を適宜に定める濃度設定手段と、定
    めた各濃度及び各成分に対応する係数を前記演算式に適
    用して推定試験値を演算する手段と、得られた推定試験
    値が前記許容範囲内に含まれるか否かを判断する判断手
    段と、そうであると判断した場合、演算に用いた各濃度
    を前記各目標濃度に決定する手段とを備えることを特徴
    とする溶湯の成分調整設備。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012144774A (ja) * 2011-01-12 2012-08-02 Jfe Steel Corp 2次精錬設備のインターロック装置
JP2016185563A (ja) * 2015-03-27 2016-10-27 株式会社神戸製鋼所 保留材の充当方法及び保留材の充当装置

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