JP2000355690A - ポリカーボネート樹脂の熱分解法 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂の熱分解法

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JP2000355690A
JP2000355690A JP16860699A JP16860699A JP2000355690A JP 2000355690 A JP2000355690 A JP 2000355690A JP 16860699 A JP16860699 A JP 16860699A JP 16860699 A JP16860699 A JP 16860699A JP 2000355690 A JP2000355690 A JP 2000355690A
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Koji Tsujita
公二 辻田
Teruo Takahashi
輝雄 高橋
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Victor Company of Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 得られる油状物を液体燃料、化学原料として
再利用するポリカーボネート樹脂(PC)の熱分解にお
いて、常圧ないし低圧で、PCの熱分解温度を下げるこ
とを可能にし、反応残渣を低減させて、高収率で油状物
を回収し得る方法を提供する。 【解決手段】 PCを、PC100部に対して0.5部
以上のナトリウム、カルシウム、鉄、亜鉛、バリウム等
の炭酸塩、硫化物、酸化物及び硫酸塩から選ばれる無機
化合物並びに10部以上のPCの分解温度以下の温度で
溶融するビニル重合型プラスチックの存在下熱分解す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリカーボネート
樹脂の熱分解法に関し、より詳細には、ポリカーボネー
ト樹脂を含有する廃プラスチックの熱分解法において、
分解残渣を減少させ、資源として再利用可能な油状物を
効率良く得るポリカーボネート樹脂の熱分解法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、種々のプラスチック製品が大量に
生産され、これに伴い、産業廃棄物や一般廃棄物として
排出される廃プラスチックの量も急速に増加しており、
廃プラスチックの処分問題は深刻化しつつある。現在、
廃プラスチックの多くは単純焼却や埋め立てによって処
分されているが、燃焼熱カロリーが高いプラスチックを
ゴミ焼却炉で焼却すると、その熱により焼却炉を傷める
という問題がある。又、プラスチックを単純焼却するこ
とで大気中に放出される炭酸ガスによる地球温暖化とい
う問題を派生させている。一方、プラスチックは軽く嵩
張るため、廃棄物の中でも大きな容積を占め、埋め立て
地の用地不足が逼迫化してきた現在、将来に渡ってこの
よう処分方法を続けることは不可能である。上記のよう
な地球環境の観点、更に資源(原油)の枯渇という観点
から、廃棄されたプラスチックを再利用する、すなわち
リサイクルすることが非常に重要になってきている。
【0003】廃プラスチックのリサイクル方法には、廃
プラスチックをそのまま再利用するマテリアルリサイク
ル、廃プラスチックをモノマーへ解重合したり、化学分
解して化学原料に戻すケミカルリサイクル、熱エネルギ
ーとして回収するサーマルリサイクル等がある。マテリ
アルリサイクルの例として、飲料容器の一部を容器とし
て回収して再度飲料容器(リターナブルボトル)として
利用する方法、ポリエチレンフタレート(PET)ボト
ルを回収後、溶融、紡糸しポリエステル繊維として衣類
等に再利用する方法等があるが、このような方法が適用
できる樹脂は限られており、又、不純物や異物等の問題
もあり、総ての廃プラスチックに適用できるということ
にはならない。又、ケミカルリサイクルの例として、ポ
リエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のビニル
重合系プラスチックは比較的容易に解重合するので、そ
れらを熱分解して低分子化合物にし、燃料油や化学原料
として再利用する方法が実施され始めている。又、PE
Tやポリカーボネート樹脂等の重縮合系プラスチック、
フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、不飽
和ポリエステル樹脂、或いはそれらをガラス繊維等で強
化した繊維強化プラスチック(FRP)等は、ビニル重
合系プラスチックのように簡単に解重合できないため、
例えば、水素の存在下、高温・高圧で熱分解する水素分
解法、テトラリン等の水素供与性物質の存在下熱分解す
る液相分解法、水、アルコール等の水素供与性物質の存
在下超臨界状態に達するような高温・高圧で分解する超
臨界分解法等も考案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記分
解法は、いずれも密閉容器内で高温・高圧の状態で行う
必要があり、反応装置も安全性等を考慮すると高価なも
のとならざるを得ない。又、上記水素分解法は、水素の
爆発危険性から取り扱いが難しく、上記超臨界分解法
は、上記水素分解法における危険性はないものの、超臨
界状態という一種の極限状態になるため、それを密閉す
る装置に使用される材料も相当の耐久性が要求され、そ
の装置はより高価なものとなってしまうという問題があ
る。従って、より安価で安全にプラスチックの熱分解を
行うには、熱分解を常圧ないし低圧で行われ得ることが
望ましい。しかしながら、重縮合系プラスチック、特に
ポリカーボネート樹脂を単純に常圧ないし低圧で熱分解
させると、ポリカーボネート樹脂中の芳香環が多環重合
してグラファイト化した相当量の残渣が生じる。このよ
うな残渣の生成は、油状物への収率を低下させると共
に、熱分解装置を閉塞しその連続運転の障害となるとい
う問題がある。
【0005】上記残渣の生成を低減させるには、ポリカ
ーボネート樹脂の熱分解を水素供与性物質の存在下で行
えば良いが、汎用のポリカーボネート樹脂の大気圧下の
熱分解温度は430℃程度であり、従って、ポリカーボ
ネート樹脂の熱分解を常圧ないし低圧で行うと、沸点が
上記温度よりはるかに低い上記の水、アルコール等の水
素供与性物質では、ポリカーボネート樹脂の熱分解開始
前に熱分解系から系外に流出してしまうことになる。
又、廃プラスチックであるポリカーボネート樹脂の熱分
解は、資源やエネルギーを節約するために行うのである
から、ポリカーボネート樹脂の熱分解時に投入する熱エ
ネルギーはできるだけ少ない方が良く、従って、熱分解
温度もできるだけ低い方が好ましい。
【0006】本発明は、上記のような従来の技術の問題
点に鑑みてなされものであり、ポリカーボネート樹脂を
熱分解し、得られる油状物を液体燃料或いは化学原料と
して再利用するリサイクル法において、常圧ないし低圧
の条件下で、熱分解温度を下げることを可能にすると共
に、グラファイト状の分解残渣を低減させて、高収率で
油状物を回収し得るポリカーボネート樹脂の熱分解法を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を行った結果、ポリカーボネート樹脂に特定の無機化合
物並びにポリカーボネート樹脂の熱分解温度以下でその
温度に近接した溶融温度を有するプラスチックからなる
水素供与性物質を共存させることにより、ポリカーボネ
ート樹脂の熱分解温度を下げることができると共に、分
解残渣を低減させて、高収率で油状物を回収し得ること
を見出だして本発明に到達した。本発明者らは、更に、
それ自体の分解により水素や水を容易に放出する低分子
物質をポリカーボネート樹脂の熱分解時に反応槽に供給
することにより、分解残渣を一層低減させ得ることを、
又、溶融したポリカーボネート樹脂に紫外線を照射させ
ることにより、ポリカーボネート樹脂の熱分解が促進さ
れ得ることを、それぞれ見出だした。
【0008】すなわち、本発明は、ポリカーボネート樹
脂を、ポリカーボネート樹脂100重量部に対して0.
5重量部以上のナトリウム、アルミニウム、カルシウ
ム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜
鉛、錫又はバリウムの炭酸塩、硫化物、酸化物及び硫酸
塩から選ばれる1種又は2種以上の無機化合物並びに1
0重量部以上のポリカーボネート樹脂の分解温度以下の
温度で溶融するビニル重合型プラスチックの存在下、熱
分解することを特徴とするポリカーボネート樹脂の熱分
解法を要旨とする。
【0009】又、本発明の方法は、ポリカーボネート樹
脂の熱分解時に、更に炭酸水素ナトリウム及び/又は炭
酸水素ナトリウム水和物を添加することを特徴とする。
又、本発明の方法は、ポリカーボネート樹脂の熱分解前
の溶融したポリカーボネート樹脂に波長が200〜40
0nmの紫外線を照射することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】ポリカーボネート樹脂としては、
純粋のものに限らず、該樹脂を主成分として含む各物品
を用いることができる。そのような物品としては、C
D、DVD、MDに代表される光ディスクや電子機器の
ハウジング等が挙げられ、これら物品の廃棄物が好適で
ある。
【0011】ポリカーボネート樹脂に共存させる無機化
合物は、ナトリウム、アルミニウム、カルシウム、チタ
ン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、錫又
はバリウムの炭酸塩、硫化物、酸化物及び硫酸塩から選
ばれる1種又は2種以上からなる。これら金属の無機化
合物としては、炭酸ナトリウム、酸化アルミニウム、炭
酸カルシウム、二酸化チタン、酸化クロム(III)、二酸
化マンガン、酸化鉄(III)、酸化コバルト(II)、酸化銅
(II)、硫化亜鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、二酸化錫、硫酸
バリウム等が挙げられる。これらの中でも炭酸ナトリウ
ム、炭酸カルシウム、二酸化マンガン、酸化銅(II)、硫
化亜鉛、炭酸亜鉛、酸化鉄(III)、二酸化錫、硫酸バリ
ウム等が好ましく、炭酸ナトリウムが特に好ましい。こ
れら無機化合物は、1種に限らず2種以上用いても良
い。
【0012】無機化合物は、ポリカーボネート樹脂10
0重量部に対して0.5重量部以上、好ましくは1〜1
0重量部用いられる。0.5重量部未満ではポリカーボ
ネート樹脂の分解温度を低下させることができない。
又、10重量部を超えて用いても、それ以上の分解温度
の低下効果は余りなく、かえって無機化合物やその分解
残渣物が上記分解残渣の中に取り込まれて残渣量を増や
すことになるので好ましくない。無機化合物は、予めポ
リカーボネート樹脂と混合しておいても良く、ポリカー
ボネート樹脂とは別に熱分解槽に供給しても良い。
【0013】本発明は、ポリカーボネート樹脂に上記無
機化合物の他にビニル重合型プラスチックを共存させて
ポリカーボネート樹脂を熱分解することを特徴とする。
ポリカーボネート樹脂は、その熱分解でポリカーボネー
ト樹脂の結合が切断されて低分子化していくときに、そ
の多くが隣接するポリカーボネートより水素を奪いフェ
ノール及びその誘導体になる。そのためポリカーボネー
ト中の芳香環が多環縮合してグラファイト化し、上記残
渣を生成する。ポリカーボネート樹脂の熱分解時に、前
記のように水素供与性物質を反応系に添加するとグラフ
ァイト化を抑制することが可能であるが、前記のような
低沸点の水素供与性物質では分解の前に反応系外に留出
してしまい、その機能を果たせないのに対して、プラス
チック等の高分子物質ではその心配はない。しかし、そ
の高分子物質は、ポリカーボネート樹脂の分解前に水素
を放出し得るものでなければならない。本発明は、その
高分子物質として、ビニル重合型プラスチックを用いる
ことを特徴とするものである。このビニル重合型プラス
チックは、ポリカーボネート樹脂の分解温度以下の温度
で溶融し、その溶融に伴ってラジカルが生じ、そのラジ
カルがその樹脂分子を攻撃して、水素原子を放出する。
又、このビニル重合型プラスチックは、それ自体の分解
で上記残渣等の固形物を殆ど生成しないという、利点を
合わせ持っている。
【0014】このようなビニル重合型プラスチックとし
ては、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリ
(メタ)アクリル酸エステル樹脂等が挙げられる。ポリ
オレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン等が、ポリ(メタ)アクリル酸エステル樹脂として
は、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポ
リメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル等が挙
げられるが、ポリカーボネート樹脂の分解温度とビニル
重合型プラスチックの溶融温度が掛け離れていると、上
記作用及びそれによりもたらされる効果が小さくなって
しまい好ましいことではない。従って、ビニル重合型プ
ラスチックとしては、ポリカーボネート樹脂の分解温度
に近接した温度で溶融するものが好ましく、ポリスチレ
ン樹脂が特に好ましい。ビニル重合型プラスチックは、
純粋のものに限らず、該プラスチックを主成分として含
む各物品を用いることができ、それら物品の廃棄物も用
いることができる。
【0015】ビニル重合型プラスチックは、ポリカーボ
ネート樹脂100重量部に対して10重量部以上用いら
れる。ビニル重合型プラスチックの使用量を多くすれば
するほど、多くの水素を放出してグラファイト化の抑制
効果を高めることができるが、その使用量の増大に伴っ
て、ビニル重合型プラスチックの溶融、更には熱分解に
多くの熱量を要することになるので、無駄な熱消費及び
不必要の熱分解を避ける意味合いからその使用量には限
度があり、従って、ビニル重合型プラスチックの好まし
い使用量は、ポリカーボネート樹脂100重量部に対し
て20〜100重量部である。ビニル重合型プラスチッ
クは、予めポリカーボネート樹脂及び/又は上記無機化
合物と混合しておいても良く、ポリカーボネート樹脂及
び/又は上記無機化合物とは別々に熱分解槽に供給して
も良い。
【0016】又、本発明は、ポリカーボネート樹脂の熱
分解時に、更に炭酸水素ナトリウム及び/又は炭酸水素
ナトリウム水和物を添加することを特徴とする。炭酸水
素ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウム水和物は、
ポリカーボネート樹脂の熱分解温度以下の温度で分解
し、水素や水素供与性物質である水を放出するので、こ
の炭酸水素ナトリウムやその水和物を添加することによ
り、グラファイト化を一層抑制するという効果を発揮す
る。炭酸水素ナトリウムやその水和物は、比較的低温で
熱分解し易いことから、熱分解系への添加時期はポリカ
ーボネート樹脂の熱分解開始時又はそれ以降にしなけれ
ばならず、ポリカーボネート樹脂の熱分解開始の前に添
加したのでは上記の効果は得られない。これらの添加
は、単発的に、間欠的に、或いは連続的に行うことがで
き、又、それらを組み合わすこともでき、それらは適宜
選択される。炭酸水素ナトリウムやその水和物の添加量
は、規定されるものではないが、通常ポリカーボネート
樹脂100重量部に対して1〜10重量部である。
【0017】更に、本発明は、ポリカーボネート樹脂の
熱分解の前の溶融した状態にあるポリカーボネート樹脂
に波長が200〜400nmの紫外線を照射することを
特徴とする。ポリカーボネート樹脂は、その内部にカル
ボニル基を有するために、波長が200〜400nm、
好ましくは330〜360nmの紫外線を照射させるこ
とにより、紫外線がそのカルボニル基を励起して、ポリ
カーボネート樹脂の分解を促進させる。紫外線の照射
は、紫外線透過性の良い石英ガラスを用いて行うのが好
ましく、又、該樹脂に紫外線をまんべんなく照射するよ
うに、熱分解槽の樹脂を撹拌するのが好ましい。撹拌手
段としては、溶融樹脂の対流性が良好なスクリュー型の
撹拌翼を持つ撹拌機を用いて行うのが好適である。
【0018】本発明は、上記のようにしてポリカーボネ
ート樹脂を熱分解するものであるが、その際の反応温度
は、連続して熱分解する場合、常圧でポリカーボネート
樹脂を単独で熱分解する場合に必要とする温度である4
30℃近辺よりも相当に低い温度で良い。しかし、溶融
したポリカーボネート樹脂に紫外線を照射する場合や炭
酸水素ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウム水和物
をポリカーボネート樹脂の熱分解開始時に添加する場合
等、熱分解を連続して行うことができずにバッチ式で行
う場合は、熱分解の最終温度は上記温度を超えることと
なる。しかし、この場合も、ポリカーボネート樹脂を単
独で熱分解する場合の最終温度よりも低くすることがで
き、又、全部の油状物とガス成分の留出する際の平均留
出温度(ピーク温度)も、ポリカーボネート樹脂を単独
で熱分解する場合のピーク温度よりも低くすることがで
きる。更に、熱分解は、通常常圧で行われるが、必要に
応じて加圧下で行っても良いことは言うまでもない。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。又、以下の例におけるパーセント(%)は、重量規
準である。なお、ポリカーボネート樹脂の熱分解は、図
1に示した装置を用いて行った。又、紫外線照射には、
HOYA社製紫外線照射装置、HLS200U(強度波
長分布220〜530nm)を用い、ピーク波長350
nmで行った。更に、使用した材料は以下の通りであ
る。 ポリカーボネート樹脂(PC):三菱エンジニアリング
プラスチックス社製、商品名;ユーピロンH4000 ポリスチレン樹脂(PS):電気化学工業社製、商品
名;デンカスチロールGP 以下の化合物は総て試薬(一級)品を用いた。 炭酸ナトリウム(Na2 CO3 ) 硫化亜鉛(ZnS) 炭酸水素ナトリウム(NaHCO3
【0020】(実施例1)PC、Na2 CO3 及びPS
を表1に示す割合で混合した後、常圧で、PCを熱分解
した。その間発生するガスをコンデンサで凝縮し、油状
物とガス成分をそれぞれ回収した。油状物とガス成分の
留出が認められなくなった時点で熱分解を終了させ、熱
分解槽を冷却した後、分解残渣の重量、更に回収した油
状物の重量とガス成分の容量を測定し、それらの結果を
表2に示した。又、油状物とガス成分の留出が認めらた
時から留出が認められなくなった時の留出温度曲線から
求めた分解ピーク温度も表2に示した。油状物の重量か
ら油状物全体の油化率とPCの油化率を、又、分解残渣
の重量から全体残渣率とPCに由来する残渣率を、それ
ぞれ下記の規準で計算し、それらの結果を表2に示し
た。 PCの油化率:PSの油化率を94%(参考例参照)に
固定して計算。 分解残渣の収率:PSの残渣率を1.2%(参考例参
照)に固定し、添加したNa2 CO3 及びZnSはその
まま反応残渣中に、又、NaHCO3 はNa2 CO3
気体に分解し、分解生成物のNa2 CO3 は反応残渣中
に、それぞれ取り込まれるものとする。
【0021】(実施例2)PC、Na2 CO3 及びPS
の混合割合を表1に示す割合に変えた以外は、実施例1
と同様にしてPCの熱分解を行い、得られた油状物と分
解残渣の重量及びガス成分の容量を測定し、表2に示し
た。上記各重量から油化率と残渣率を求め表2に示し
た。又、分解ピーク温度も表2に示した。
【0022】(実施例3,4)Na2 CO3 の代りにZ
nSを用い、PC、ZnS及びPSの混合割合を表1に
示す割合にした以外は、実施例1と同様にしてPCの熱
分解を行い、得られた油状物と分解残渣の重量及びガス
成分の容量を測定し、表2に示した。上記各重量から油
化率と残渣率を求め表2に示した。又、分解ピーク温度
も表2に示した。
【0023】(実施例5)更に、熱分解槽に炭酸水素ナ
トリウムを添加し、実施例1と同様にしてPCの熱分解
を行った。得られた油状物と分解残渣の重量及びガス成
分の容量を測定し、表2に示した。上記各重量から油化
率と残渣率を求め表2に示した。又、分解ピーク温度も
表2に示した。
【0024】(実施例6)PCの溶融混合物に紫外線を
照射した後、実施例1と同様にしてPCの熱分解を行っ
た。得られた油状物と分解残渣の重量及びガス成分の容
量を測定し、表2に示した。上記各重量から油化率と残
渣率を求め表2に示した。又、分解ピーク温度も表2に
示した。
【0025】(比較例1)PCのみの熱分解を実施例1
と同様にして行った。得られた油状物と分解残渣の重量
及びガス成分の容量を測定し、表2に示した。上記各重
量から油化率と残渣率を求め表2に示した。又、分解ピ
ーク温度も表2に示した。
【0026】(比較例2)PCにNa2 CO3 を混合し
たものの熱分解を実施例1と同様にして行った。得られ
た油状物と分解残渣の重量及びガス成分の容量を測定
し、表2に示した。上記各重量から油化率と残渣率を求
め表2に示した。又、分解ピーク温度も表2に示した。
【0027】(比較例3)PCにPSを混合したものの
熱分解を実施例1と同様にして行った。得られた油状物
と分解残渣の重量及びガス成分の容量を測定し、表2に
示した。上記各重量から油化率と残渣率を求め表2に示
した。又、分解ピーク温度も表2に示した。
【0028】(参考例)PSのみの熱分解を実施例1と
同様にして行った。得られた油状物と分解残渣の重量及
びガス成分の容量を測定し、それらの結果を表2に示し
た。又、分解ピーク温度も表2に示した。
【0029】
【表1】
【表2】 表2から本発明の方法により、ポリカーボネート樹脂の
油化率が向上し、ポリカーボネート樹脂に由来する残渣
率が低下すると共に、分解ピーク温度も大幅に低下して
いることが判る。
【0030】
【発明の効果】本発明の方法により、ポリカーボネート
樹脂を常圧、且つ低温で熱分解することができ、しかも
熱分解時に生じる固形残渣を減らし、油状物の収量を向
上することができる。従って、廃ポリカーボネート樹脂
やそれを多く含む廃プラスチックから液体燃料や化学原
料として再利用可能な油状物を効率良く回収することが
できる。又、熱分解時にポリカーボネート樹脂と共存さ
せるビニル重合型プラスチックとして好適なポリスチレ
ン樹脂は大量に廃プラスチックとして存在しているの
で、該廃プラスチックを用いれば、該廃プラスチックの
リサイクル、有効利用をも同時に可能とする。更に、熱
分解を常圧、低温で行うことができるので、熱分解槽に
多額の設備費を掛ける必要はなく、熱分解時に投入する
熱エネルギーを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で用いたポリカーボネート樹脂
の熱分解装置の概略図である。
【符号の説明】
1 熱分解槽 2 紫外線照射光源 3 撹拌モータ 4 圧力計 5 撹拌翼 6 マントルヒータ 7 バンドヒータ 8 コンデンサ 9 油状物回収瓶 10 ガス成分捕集袋 11 炭酸水素ナトリウム又はその水和物貯槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08J 11/18 C08J 11/18 C08K 3/00 C08K 3/00 C08L 69/00 C08L 69/00 101/16 101/00 Fターム(参考) 4F073 AA31 AA32 BA26 BA52 CA45 FA02 FA03 FA05 GA01 HA05 4F301 AA26 AB02 AB03 CA09 CA23 CA24 CA45 CA53 CA71 4H029 CA01 CA09 CA11 4J002 BB012 BC032 BG052 CG001 DE046 DE056 DE066 DE086 DE096 DE136 DE146 DE226 DE236 DE246 DE266 DG026 FD196 GT00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリカーボネート樹脂を、ポリカーボネ
    ート樹脂100重量部に対して0.5重量部以上のナト
    リウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、クロム、
    マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、錫又はバリウムの
    炭酸塩、硫化物、酸化物及び硫酸塩から選ばれる1種又
    は2種以上の無機化合物並びに10重量部以上のポリカ
    ーボネート樹脂の熱分解温度以下の温度で溶融するビニ
    ル重合型プラスチックの存在下、熱分解することを特徴
    とするポリカーボネート樹脂の熱分解法。
  2. 【請求項2】 更に、ポリカーボネート樹脂の熱分解時
    に炭酸水素ナトリウム及び/又は炭酸水素ナトリウム水
    和物を添加することを特徴とする請求項1記載のポリカ
    ーボネート樹脂の熱分解法。
  3. 【請求項3】 熱分解の前の溶融したポリカーボネート
    樹脂に波長が200〜400nmの紫外線を照射するこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載のポリカーボネート
    樹脂の熱分解法。
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