JP2000355431A - シート搬送装置及び画像記録装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は装置の小型化、搬送精度の向上、長
寿命化を図ると共に、生産コストの低減化を図ったシー
ト搬送装置及び画像記録装置を提供することを目的とし
ている。 【解決手段】 上記課題を解決するために、本発明に係
るシート搬送装置及び画像記録装置の代表的な構成は、
シートを搬送する外側ベルトと、前記外側ベルトの内部
に配置された内側ベルトとを有し、前記内側ベルトに静
電吸着手段を設けたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録ヘッドを用いて記録される記録媒体を搬送するための
シート搬送装置、及びこれを備えた画像記録装置に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の静電吸着方式のシート搬送装置を
有するインクジェット記録装置について、図６を用いて
説明する。図6(a)に示す画像記録装置100は、画像記録
を行うための記録ヘッド101、シートを搬送するための
静電吸着方式のシート搬送装置である静電吸着ベルト10
2を有している。記録ヘッド101は搬送されるシート幅と
略等しい幅に吐出口を配列したライン型であり、各色の
インクを吐出するために複数の記録ヘッド（イエロー、
マゼンタ、シアン、ブラック）が搬送方向に配列されて
いる。これら記録ヘッド101にはそれぞれ吐出口をクリ
ーニングするヘッド回復装置111等の周辺装置が備えら
れている。

【０００３】上記ライン型の記録ヘッドを採用した場
合、記録ヘッドをキャリッジに搭載して走査させるシリ
アル型と比較して高速な画像形成が必要であるが、長い
距離を平面的に搬送する必要がある。しかし高速である
が故に記録直後は吐出されたインクが未定着であり、シ
ート保持のために記録面に接触すると画像を乱してしま
うおそれがある。そこでこのような装置に於いては静電
吸着手段を備えた静電吸着ベルト102にシートの記録面
裏側を吸着させ、記録面に接触せずに搬送するように構
成している。

【０００４】静電吸着ベルト102の静電吸着手段とは、
異なる極性の電極を交互に配設したくし歯電極103、104
を有し、複数の駆動ローラ108、従動ローラ109、圧力ロ
ーラ110等によって張架されている。静電吸着ベルト102
の幅方向両端部に両電極に給電するためのランド部103
ａ、104ａが、夫々極性を異にして設けられている。そ
してこのランド部103ａ、104ａにそれぞれ給電ブラシな
どの給電手段105、106を設け、高電圧を印加することに
より静電気を発生させてシートを吸着させている。

【０００５】また図6(b)に示すように、くし歯電極10
3、104上には電極の絶縁を兼ねた保護層107を布設して
おり、給電用のランド部103ａ、104ａはその保護層に窓
状の穴を設けることにより給電手段105、106が当接、通
電できるよう構成している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし上記従来の構成
にあっては、静電気を発生した静電吸着ベルト102はシ
ートの吸着のみならず付近のプラテン板などにも吸着力
を作用し、駆動負荷が大となり、ベルトの寿命の短縮
化、騒音の発生、消費電力の増大、駆動源の大型化等の
問題があった。

【０００７】またくし歯電極103、104がベルト内に埋め
込まれているため、静電吸着ベルト102の厚さや材質硬
度が電極部分で変化し、駆動ローラ108部等にてこれら
の要因が速度ムラとなって表れ、シート搬送精度が低下
してしまった。また一般に電極部は印刷や電極材の溶着
で加工するが、これらの加工を無端ベルトに対して施す
のは困難であり、帯状のベルトに加工した後に無端状に
結合して形成する。このため静電吸着ベルト102は機械
精度の良いシームレスベルトにならず、特に結合部は強
度、精度ともに品質が低くなりがちであり、ベルトの蛇
行（片寄り）を招く場合が多い。

【０００８】またくし歯電極103、104は高電圧が印加さ
れるため、絶縁効率の高い保護層107が必要となる。こ
の保護層の付加加工は静電吸着ベルト102の精度を低下
させると共に、生産コストが大幅に増加してしまう。ま
た静電吸着ベルト102の周囲環境により絶縁抵抗が変化
し、吸着力が変化してしまうという問題もある。

【０００９】更には静電吸着ベルト102のシート吸着範
囲外に給電部分を設ける必要があり、一般に幅方向両端
に給電用のランド部103ａ、104ａを設けるため、ベルト
幅を広くする必要があり、装置の大型化を招いている。
また給電ブラシや給電ローラ等の給電手段105、106を設
置した場合、記録ヘッド101やヘッド回復装置111等の周
辺装置と干渉するため、更なる大型化が必要とされる。

【００１０】そこで本発明は装置の小型化、搬送精度の
向上、長寿命化を図ると共に、生産コストの低減化を図
ったシート搬送装置及び画像記録装置を提供することを
目的としている。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係るシート搬送装置及び画像記録装置の代
表的な構成は、シートを搬送する外側ベルトと、前記外
側ベルトの内部に配置された内側ベルトとを有し、前記
内側ベルトに静電吸着手段を設けたことを特徴とする。

【００１２】

【発明の実施の形態】［第一実施形態］本発明に係るシ
ート搬送装置及び画像記録装置の第一実施形態につい
て、図を用いて説明する。図１は本実施形態に係る画像
記録装置の側面模式図、図２はシート搬送装置を説明す
る斜視図、図３はシート上の誘電量を測定した実験値を
示す図である。

【００１３】図１に示す画像記録装置１は画像記録を行
うための記録ヘッド２、シートＳを搬送するための静電
吸着方式のシート搬送装置３を有している。記録ヘッド
２はシートＳと同様の幅を有するライン型のインクジェ
ット記録ヘッドであり、各色のインクを吐出するヘッド
２Ｋ、２Ｃ、２Ｍ、２Ｙが搬送方向に配列されている。

【００１４】シート搬送装置３はシートを搬送する外側
ベルト４、シートを吸着する内側ベルト５からなる二重
構造のベルト機構である。外側ベルト４は0.1mm厚程度
のポリイミド等の誘電材料により、継ぎ目ない無端形状
に成形されている。この外側ベルト４は駆動手段である
モータ９に接続された駆動ローラ６、従動ローラ７、及
び該ベルトに張力を与える圧力ローラ８によって張架さ
れている。

【００１５】また外側ベルト４の下方にはクリーニング
ローラ対10が設けられて、シートＳを汚さないよう外側
ベルト４の清掃を行っている。更に従動ローラ７と対向
する位置には、シートＳを挟持搬送する搬送ローラ11が
付勢されている。

【００１６】内側ベルト５は二つの従動ローラ12、13に
よって張架されており、記録ヘッド２に対向する位置に
於いて外側ベルト４に当接させて構成している。従って
内側ベルト５は外側ベルト４の駆動に従動して回転し、
また外側ベルト４に対してプラテンとして機能する。

【００１７】図２に示すように、内側ベルト５には静電
吸着手段として、それぞれ正または負（又はグランド）
の異なる極性の電極を交互に配設したくし歯電極14、15
を布設している。これらくし歯電極14、15は内側ベルト
５の幅と略等しい長さに配設され、内側ベルト５幅全体
において吸着力を発生させている。

【００１８】また内側ベルト５両側の従動ローラ12部周
辺に、給電手段である給電ブラシ16を設けている。これ
らはくし歯電極14、15端部のランド部14ａ、15ａに当接
して異極性の直流高電圧を印加し、静電気力を発生す
る。ここで外側ベルト４が誘電材料にて形成されている
ことから、内側ベルト５の吸着力が外側ベルト４を介し
てシートＳに作用する。また内側ベルト５の従動ローラ
13には除電ブラシ17が接続されており、従動ローラ13を
介して内側ベルト５上の静電気を排除している。なお、
内側ベルト５は誘電材料であることから静電気が残留
し、内側ベルト５から離れた位置に於いてもある程度の
吸着力を保持している。

【００１９】図３に内側ベルト５上の静電気の発生分布
を示す。実験によるとくし歯電極14、15の静電気帯電電
位ｖ（すなわち吸着力の強さ）は、給電時ａより給電が
停止された直後以降の非給電部ｂの方が大となることが
わかった。すなわち外側ベルト４と内側ベルト５との接
触位置では、給電ブラシ16と内側ベルト５との接触位置
よりも吸着力が大きくなる。

【００２０】上記の如く構成したことにより、内側ベル
ト５は円筒シート上の単一材質とすることができ、金型
整形にて寸法精度の高い無端形状に形成することがで
き、送り速度ムラを極力排除することができる。従って
記録ヘッド２の色あわせのレジストレーション精度を高
くすることが可能となり、高品質な画像を記録すること
ができる。なお、内側ベルト５はくし歯電極を加工する
ために継ぎ目が必要となるが、内側ベルト５は送り駆動
ベルトではないため速度ムラは発生しない。

【００２１】また外側ベルト４はシートＳと内側ベルト
５の吸着力に挟まれて高い摩擦力が作用するが、内側ベ
ルト５が外側ベルト４に従動するよう構成されているた
め、モータ９に大きな負担を掛けることはない。また、
内側ベルト５は記録ヘッド２の下でプラテンとして作用
するため、外側ベルト４にバタツキが発生するおそれが
ない。

【００２２】［第二実施形態］次に本発明に係るシート
搬送装置及び画像記録装置の第二実施形態について図を
用いて説明する。図４は本実施形態に係る画像記録装置
の側面模式図であって、上記第一実施形態と説明の重複
する部分については同一の符号を付して説明を省略す
る。

【００２３】図４において内側ベルト５の給電手段であ
る給電ブラシ18は、外側ベルト４下側の直線部分に当接
して設置されている。このように構成することにより、
直線状のブラシを使用することが可能となり、加工性が
向上して生産コストの低減化を図ることができる。

【００２４】［第三実施形態］次に本発明に係るシート
搬送装置及び画像記録装置の第三実施形態について図を
用いて説明する。図５は本実施形態に係るシート搬送装
置を説明する斜視図であって、上記第一実施形態と説明
の重複する部分については同一の符号を付して説明を省
略する。

【００２５】本実施形態においてはくし歯電極14、15の
ランド部14ｂ、15ｂを回転方向に連結して常時給電でき
るパターンとし、外側ベルト４を高誘電体材質としてい
る。これにより給電手段として給電ローラ19を用いるこ
とができ、耐久性に優れた装置とすることができる。

【００２６】また本実施形態において駆動ローラ６には
除電ブラシ20が取り付けられており、外側ベルト４の除
電を行ってシートの分離を容易なものとしている。

【００２７】

【発明の効果】上記説明した如く本発明に係るシート搬
送装置及び画像記録装置に於いては、シート搬送装置を
シートを搬送する外側ベルトと、シートを吸着する内側
ベルトからなる二重構造のベルト機構とし、内側ベルト
に静電吸着手段を設けたことにより、外側ベルトを安価
且つ高精度な無端ベルトとして形成することができ、搬
送速度ムラを小さくすることが可能となると共に、ベル
ト寿命を大幅に延長させることが可能となった。

【００２８】また内側ベルトを外側ベルトに対してプラ
テンとして作用させることができ、同時に静電吸着力に
よるベルトの駆動負荷を低減させることが可能となっ
た。これによりプラテンを配置できなかったり、大きな
駆動力を要することもなく、また駆動モータの制御性を
向上させることができた。

【００２９】また外側ベルトが電極の保護層の機能を果
たすために、内側ベルトの電極上には保護層を設ける必
要がなく、生産コストの低減を図ることができる。また
装置内で湿式のベルト洗浄なども行うことが可能となっ
た。

【００３０】また給電手段をシート面積内に配置するこ
とが可能であるため、ベルトの幅を略シート幅と同様と
することができ、装置の小型化を図ることができる。ま
た給電部を外側ベルトの表面に配置する必要がないた
め、記録ヘッドの周辺装置の配置の自由度が大幅に増加
した。

【図面の簡単な説明】

【図１】第一実施形態に係る画像記録装置の側面模式図
である。

【図２】シート搬送装置を説明する斜視図である。

【図３】シート上の誘電量を測定した実験値を示す図で
ある。

【図４】第四実施形態に係る画像記録装置の側面模式図
である。

【図５】第三実施形態に係るシート搬送装置を説明する
斜視図である。

【図６】従来の画像記録装置を説明する図である。

【符号の説明】

Ｓ …シート １ …画像記録装置 ２ …記録ヘッド ３ …シート搬送装置 ４ …外側ベルト ５ …内側ベルト ６ …駆動ローラ ７ …従動ローラ ８ …圧力ローラ ９ …モータ 10 …クリーニングローラ対 11 …搬送ローラ 12 …従動ローラ 13 …従動ローラ 14 …くし歯電極 14ａ …ランド部 14ｂ …ランド部 15 …くし歯電極 15ａ …ランド部 15ｂ …ランド部 16 …給電ブラシ 17 …除電ブラシ 18 …給電ブラシ 19 …給電ローラ 20 …除電ブラシ

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シートを搬送する外側ベルトと、 前記外側ベルトの内部に配置された内側ベルトとを有
   し、 前記内側ベルトに静電吸着手段を設けたことを特徴とす
   るシート搬送装置。
2. 【請求項２】 前記外側ベルトは誘電材料にて継ぎ目の
   ない無端形状に成形したものであることを特徴とする請
   求項１記載のシート搬送装置。
3. 【請求項３】 前記内側ベルトは前記外側ベルトに当接
   しこれに従動するよう構成したことを特徴とする請求項
   １記載のシート搬送装置。
4. 【請求項４】 前記静電吸着手段とは、異なる極性の電
   極を交互に配設して静電気を発生するものであることを
   特徴とする請求項１記載のシート搬送装置。
5. 【請求項５】 前記外側ベルトの記録手段と対向すべき
   平面の該記録手段と対向する側に前記内側ベルトが平面
   的に当接していることを特徴とする請求項１記載のシー
   ト搬送装置。
6. 【請求項６】 シートに画像を記録する記録手段と、請
   求項１乃至５のいずれか１項記載のシート搬送装置とを
   有することを特徴とする画像記録装置。