JP2000348983A - 電解コンデンサ、その陽極体及びその製造方法 - Google Patents

電解コンデンサ、その陽極体及びその製造方法

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JP2000348983A JP11173890A JP17389099A JP2000348983A JP 2000348983 A JP2000348983 A JP 2000348983A JP 11173890 A JP11173890 A JP 11173890A JP 17389099 A JP17389099 A JP 17389099A JP 2000348983 A JP2000348983 A JP 2000348983A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 弁作用金属を用いた電解コンデンサの陽極体
について、弁金属箔を積層した陽極体の内部まで十分な
誘電体酸化皮膜の形成が可能として、低いインピーダン
スで優れた高周波特性を有する電解コンデンサのための
陽極体と、このような陽極体を基本構造とする電解コン
デンサを提供する。 【解決手段】 電解コンデンサの陽極体は、粗面化され
た表面に酸化皮膜の誘電体層を有する複数の矩形の陽極
弁金属箔を積層して成る積層体と、積層体を積層方向に
挟持して固定しかつ陽極弁金属箔の金属部分と電気的に
接続された弁作用金属の固定枠体と、から成る。このよ
うな陽極体は、粗面化した帯状の弁金属箔の表面に酸化
皮膜誘電体を形成し、複数枚の陽極弁金属箔を積層し、
積層材を積層方向に挟持する固定枠材を取り付けて、積
層した陽極弁金属箔を固定し、積層材を切断して所要形
状の複数個の陽極体に分離することにより、製造され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弁作用金属を用い
た電解コンデンサとこれに利用される陽極体およびその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電解コンデンサは、アルミニウム
やタンタルなどの弁作用金属陽極として利用して、金属
の表面に形成した酸化物皮膜 を誘電体層 として利用し
て、陽極体とされ、さらに陰極には溶液電解質や固体電
解質を用いる。それは、さらに、弁金属と電解質にそれ
ぞれ陽極リード部と陰極リード部が接続され、外装が施
されている。
【0003】従来の陰極としての電解質には、例えば、
アルミニウム電解コンデンサでは有機酸を含む有機溶媒
等が用いられて、タンタル電解コンデンサでは二酸化マ
ンガン等が用いられてきた。
【0004】さらに昨今は、電子回路のディジタル化に
対応して、電子部品の高周波対応性が求められてきてい
る。電解コンデンサにおいても、低インピーダンス化に
よる高周波応答性の向上を図るために、陰極用電解質に
電気伝導度の高い導電性高分子材料が適用され、他方で
は、電気電子機器の小型化に伴い、これらに用いる電解
コンデンサに対しても小型化と大容量化の要求が高まっ
てきている。
【0005】ところで小型大容量化を達成するために、
電解コンデンサに用いられる陽極体について、特に多数
の弁金属箔を積層した陽極体も知られている。例えば、
特開昭61−30020号では、陽極体を開示するが、
所定の大きさに打ち抜いた弁金属箔を積層して、弁金属
箔同士を溶接 により一体化し、その後に積層体が陽極
酸化され各弁金属層上に誘電体酸化皮膜を形成した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前述の方
法には主に以下の2点で問題があった。第一に、陽極酸
化する前に弁金属箔を積層し、その後に積層体の状態で
陽極酸化を行うと積層体の内部まで十分陽極酸化を行う
ことが極めて困難であり、結果として十分な誘電体酸化
皮膜を形成できなかった。誘電体酸化皮膜が十分に形成
できないと、最終製品である電解コンデンサは、単位体
積あたりのコンデンサ容量が設計時に期待した容量より
低かったり、耐電圧値が低くなってしまう。
【0007】さらに、第二に、電子部品小型化の要求に
対し、従来の方法では、積層する前に金属箔を所定の大
きさに打ち抜くので、小型の陽極体を得るためには積層
する金属箔を最終形状に合わせて小さくする必要があっ
た。小さな金属箔は、製造上の限界があり、その小さな
金属箔を積層することはさらに困難であった。
【0008】本発明の目的は、電解コンデンサに用いら
れる弁金属箔を積層した陽極体の内部まで十分な誘電体
酸化皮膜の形成が可能な陽極体とその製造方法を提供す
ることである。本発明の別の目的は、陽極体全体がもつ
べき静電容量をより効率よく取り出すことができる陽極
体とその製造方法を提供することにある。本発明の別の
目的は、小型化を量産的に実現できる電解コンデンサ用
の陽極体を提供すること、およびその簡易な製造方法を
提供せんとするものである。本発明の更なる別の目的
は、さらに、より低いインピーダンスで優れた高周波特
性を有する電解コンデンサとその製造方法を提供するも
のである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、陽極弁金属箔
の積層体と積層体の積層方向を取り囲む枠体により一体
化した陽極体を、電解コンデンサの基本構成とするもの
である。このコンデンサ陽極体においては、固定用枠体
が、表面に予め誘電体酸化皮膜を形成した複数枚の陽極
弁金属箔の積層体の少なくとも上下の面を固定して、積
層体を固定させ、積層体の両側の側面に、各陽極弁金属
箔の縁部を露出させる。
【0010】この陽極体の構造は、陽極弁金属箔に既に
誘電体層を具備するので、露出した各陽極弁金属箔の縁
部より電解液を浸透させることにより誘電体層上に陰極
を形成して電解コンデンサを得る。さらに、固定用枠体
は、その材料に弁金属を利用して、陽極弁金属箔と接触
させることにより、電解コンデンサの陽極用の導電体と
することもできる。
【0011】上記の陽極体は、電解質に固体の導電性高
分子を利用して、固体電解コンデンサの基本構造として
も利用することができる。この固体電解コンデンサで
は、積層体の各陽極弁金属箔上に陰極層として導電性高
分子層を形成し、積層体の側面に露出した陰極層に陰極
用電導体を接続固定する。
【0012】このような、陽極体ないし電解コンデンサ
は、積層体の両側側面間の距離、すなわち、積層体の幅
を小さくすることができ、これにより、各陽極弁金属箔
の誘電体層から陰極用電導体に至る陰極層の電気的経路
を短くすることができ、コンデンサの内部インピーダン
スを低下させる利点がある。
【0013】本発明の陽極体は、固定枠体を、弁金属か
ら構成し、陽極弁金属箔の金属部分と電気的に接続する
ように構成し、最終製品の電解コンデンサにおいて陽極
端子を兼ねるようにすればさらに小型化が図れる。
【0014】本発明の電解コンデンサとその陽極体の製
造方法は、共通して、陽極酸化された陽極弁金属箔が積
層され、積層された弁金属箔が、長いチャンネル状の枠
材の溝部内に嵌め込んで枠付けされる。この枠付けされ
た積層材を、弁金属箔の積層面にほぼ垂直方向に、所望
の間隔で切断する。これにより、所望の厚みの切断され
た多数の陽極体又はコンデンサ素子を得る。
【0015】積層材の切断面が、陽極体の側面又は、コ
ンデンサ素子の側面とされ、多数の弁金属箔の縁部が露
出している。切断の際に、切断幅を狭くすることによ
り、切断された積層体の各弁金属箔は、矩形にすること
ができ、積層体の幅を小さくすることができる。
【0016】特に、コンデンサ素子とするには、陽極酸
化された陽極弁金属箔には、予め、陰極層として固体の
導電性高分子の薄層を形成して、弁金属箔を集積するこ
とにより、切断されたコンデンサ素子には、陽極弁金属
箔の誘電体酸化皮膜層上に陰極層を備え、側面からは、
弁金属箔の縁部と共に、陰極層が露出している。
【0017】本発明電解コンデンサは、積層体の両側の
側面に、陽極弁金属箔上に既に形成された導電性高分子
層が露出しているので、陰極用導電体を、積層体の側面
に形成することによって陽極弁金属箔上の導電性高分子
層に接続することができる。他方、陽極弁金属箔の金属
部とは誘電体層により絶縁される。他方の陽極用導電体
は、陽極弁金属箔の金属部と接続される。このようにし
て、陰極用と陽極用の導電体を備えた電解コンデンサが
得られる。
【0018】この電解コンデンサは、積層体の側面に露
出した陰極層、即ち、導電性高分子層に陰極電導体を接
続固定するので、切断された積層体の幅を小さくするこ
とにより、各陽極弁金属箔の誘電体層から陰極用電導体
に至る陰極層の電気的経路を短縮して、内部インピーダ
ンスを低下させる。
【0019】さらに本発明の電解コンデンサに、上記の
電解コンデンサの複数個を重積して、陽極用導電体同
士、及び陰極用導電体同士を、それぞれ、陰極リードと
陽極リードとに接続固定した重積型電解コンデンサを含
む。これにより、電解コンデンサを単位コンデンサとし
て、所望数を並列接続することにより、所望容量のコン
デンサを得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の電解コンデンサ用の陽極
体は、表面に誘電体層を形成した弁金属箔の積層体と、
積層体を固定する固定枠体とから成る。弁金属箔を陽極
に利用するが、弁金属箔は、予め表面が陽極酸化されて
その金属の酸化物皮膜が形成されて、誘電体層に利用さ
れる。
【0021】積層体は、金属箔は、表面を対面させなが
ら、多層に積層され、固定枠体が、積層体の上面と下面
を押圧することによって積層体に一体的に固定されて、
陽極体とされる。これにより、積層する前に箔の状態で
誘電体酸化皮膜を形成し、その後積層するので、積層体
のままで十分な誘電体酸化皮膜が形成された陽極体が実
現できる。
【0022】本発明のコンデンサ陽極体は、矩形状の陽
極弁金属箔を重積し、その長辺と積層体の積層方向とで
なす側面に少なくとも片側には、枠体は配置されない。
これにより、本発明の陽極体に陰極層として電解質溶液
や固体電解質を担持し形成した場合にも、この担持もし
くは形成した陰極の物理的長さ、即ち、静電容量を引き
出す際の経路を最短距離にすることができる。この結
果、電解コンデンサのインピーダンスを低くすることが
可能となる。
【0023】さらに詳しくは、本発明の陽極体において
は、陽極用の弁金属箔は、表面に安定で薄い酸化皮膜を
形成し、酸化皮膜が絶縁抵抗と高い誘電率を備えた金属
から選ばれる。弁金属には、アルミニウム、タンタル、
又はチタニウムを利用することができる。
【0024】弁金属箔は、予め粗面化されて、比表面積
が拡大されているのが、大きい容量を得るのに好まし
い。特に粗面化は、弁金属箔の表面上で、陰極層が形成
される領域に適用される。
【0025】誘電体層は、弁金属箔の表面の全部又は大
部分に、陽極酸化処理により酸化皮膜を作ることによっ
て成される。積層体は、弁金属箔の誘電体層が互いに対
面するように重積される。
【0026】固定枠体は、積層体の外周に添えて少なく
とも上面と下面とを押圧する部材であり、閉環状でも、
開環状であってもよい。通常は上面と下面と端面とを囲
むヨークが利用される。一対のヨークにより積層体の外
周取り囲む閉環状にでき、1個のヨークにより、開環状
にもできる。固定枠体は、合成樹脂などの絶縁体か、金
属による導体でもよい。
【0027】特に、金属の固定枠体が、陽極弁金属箔の
金属部分と電気的に接続して積層体を固定するために利
用できる。金属製の固定枠体は、弁金属から成り、枠体
の表面は、陽極酸化処理により絶縁層が形成されてい
る。これにより、固定枠が陰極層の導電性高分子層と接
触しても、その電気的な短絡が防止できる。特に、この
ような固定枠体は、弁金属箔と導通させて、陽極層と電
気的に接続することができ、この場合には、固定枠体に
はその外面に金属端子部を設け、陽極配線部材の役割を
兼ねる。
【0028】本発明の電解コンデンサは、このような陽
極体を基本構造にして、さらに、陰極層としての導電性
高分子層と、この陰極層に接続される陰極導電体と、陽
極層としての弁金属箔に接続される陽極導電体とが含ま
れる。導電性高分子層は、陽極体の積層された各弁金属
に、その誘電体層上に、適用され、陰極層として利用さ
れる。導電性高分子層は、陽極体の積層体中に、含浸さ
れる。導電性高分子層を重積前の各弁金属箔に予め添着
して後に積層体に重積することもできる。
【0029】陰極層としての導電性高分子層には、複素
環式5員環化合物から、特に電導度の大きい化合物、例
えば、ピロールのポリマーが利用できる。導電性化合物
のモノマーは、陽極弁金属箔の表面上で酸化重合反応に
より、ポリマー層となって接着する。
【0030】陰極導電体は、金属片、導電性ポリマー、
導電粒子含有ペーストなどが、積層体の露出した側面に
適用されて、陰極層の導電性高分子層に電気的に接続さ
れる。
【0031】他方の陽極導電体は、積層体の弁金属箔の
金属に接続される。積層体に貫通する金属ワイヤ又はピ
ンにより、多層の弁金属箔と接触する構造が採用でき
る。また、積層体の矩形弁金属箔の長辺を含む側面上
に、金属片を多層の弁金属箔に溶接して導通させる構造
も採用できる。多層の弁金属箔を溶接により加熱して相
互に溶融短絡させて導通を図ることも可能である。
【0032】さらに、陽極導電体は、積層体の矩形弁金
属箔の短辺を含む端面上に形成されてもよい。端面の利
用は、陰極導電体又はコンデンサの厚みを大きくしない
利点が有る。
【0033】このような陽極導電体は、上記の金属製の
固定枠体と接続し、その外面に設けた金属端子部を陽極
配線部材とすることができる。陽極導電体は、別個の導
体リードと接続されることもできる。
【0034】このようにして、本発明の電解コンデンサ
は、それぞれ誘電体層とを有する複数の弁金属箔と誘電
体層上の導電性高分子層とから成る積層体と、積層体を
固定する固定枠体と、各弁金属箔を互いに接続する陽極
用導電体と、各導電性高分子層を互いに接続する陰極用
導電体とから、構成されている。積層体は、固定枠体
が、積層体の上面と下面とを押圧することによって固定
され、陰極用導電体が、各導電性高分子層と直接接触す
るように積層体の側面に形成され、かつ、各弁金属箔と
は酸化皮膜を介して絶縁されている。
【0035】このコンデンサ構造は、各々充分に静電容
量を保持している弁金属箔を、固定枠体で固定して単位
体積当たりの静電容量を増大させることができ、小型か
つ大容量の電解コンデンサを実現することができる。
【0036】本発明の陽極体の製造方法は、弁金属箔の
表面のすくなくとも一部分に誘電体酸化皮膜を陽極酸化
して形成すること、複数の陽極弁金属箔を積層するこ
と、積層した陽極弁金属箔を積層方向に固定し固定枠材
を取り付けること、枠付けした積層材を切断して、所要
形状の複数の陽極体に分離することにより製造される。
【0037】さらに、このようにして提供された陽極体
には、電解液を充填して、陽極弁金属箔の誘電層上に陰
極層を形成すること、電解液に電気的に接続される陰極
用導電体、例えば、金属容器を形成することがなされ
て、コンデンサ素子とされる。
【0038】さらに、本発明の電解コンデンサの製造法
は、複数の帯状の弁金属箔に各々酸化皮膜を介して導電
性高分子層を形成すること、導電性高分子層が形成され
た複数の弁金属箔を積層して積層材を形成すること、該
積層材の上面と下面とを固定枠材で挟持して、積層され
た複数の弁金属箔を固定すること、枠付けされた積層材
を、長手方向に垂直に所定形状の複数のコンデンサ素子
に切断して、弁金属箔の積層体が固定枠体で固定された
個々のコンデンサ素子にすること、コンデンサ素子を陽
極酸化すること、コンデンサ素子に各導電性高分子層に
電気的に接続され陰極用導電体を形成すること、から成
っている。
【0039】このような陽極体及びコンデンサ素子の製
造方法により、第一に、弁金属箔の表面に誘電体酸化皮
膜を事前に形成して陽極弁金属箔とし、その後に積層す
ることにより、箔の状態で必要十分な誘電体酸化皮膜を
事前に形成することができる。この結果、最終的に、積
層体の深部にまで十分な誘電体酸化皮膜をもった電解コ
ンデンサとすることができる。
【0040】この方法は、第二に、積層した長尺の陽極
弁金属箔を固定するために積層材に長尺の固定枠材を取
りつけて、その後枠材ごと積層材を切断することがで
き、より小型の陽極体素子の多数の製造が容易となる。
【0041】積層体の切断面は、多数の金属箔が露出す
るので、上記積層体の側面として、陰極層及び陰極導電
体の形成に利用することができ、切断間隔を調整して、
積層体の両側面間の幅、即ち厚みを小さく確保でき、コ
ンデンサのインピーダンスの低下と同時に小型化を図る
ことが容易となる。
【0042】本発明の方法は、こうして、大きな積層体
を製造し、それを多数に分割して必要形状の素子とする
ことができ、小型の陽極体素子の効率のよい量産が容易
になるのである。
【0043】第三に、陽極体を陽極酸化することが可能
である。切断により所要の形状に加工した陽極体素子の
金属露出部を再び陽極酸化することにより、積層や機械
加工によって生じた欠陥やストレスを後で修復すること
ができる。
【0044】本発明の製造方法は、複数の陽極弁金属箔
の積層材に固定枠材を取り付けた後、陽極弁金属箔の積
層体を貫通して、電気的に接続する陽極導電体を設ける
ことを含んでもよい。陽極導電体は、固定枠体と電気的
的に接続を図ることもできる。
【0045】このような陽極導電体としては、長手方向
に等間隔に、積層体及び枠体を貫通する金属ワイヤ又は
ピンを利用することができる。切断の工程では、所要形
状の複数個の陽極体に分離され、得られた各陽極体にそ
れぞれ陽極導電体を含むことができる。さらに、固定枠
体に弁金属材料を利用することにより、固定枠体は、積
層体に接続できるので、陽極側配線部材に直接利用する
ことができる。
【0046】この製造方法により、全ての弁金属箔相互
の電気的接続がより完全になり、陽極体全体がもつ静電
容量をより効率よく取り出すことが可能なコンデンサ陽
極体の製造が可能になる。
【0047】実施の形態1 本発明の陽極体11は、図1(A)と(B)に示すよう
に、狭幅の外形矩形の環状の固定枠体2と、該枠体2に
より外周縁が取り囲まれた積層体10とから成り、積層
体は、表面の一部に酸化皮膜を形成した細帯状の弁金属
からなる陽極弁金属箔(この例では、アルミニウム箔)
3、3・・・の各片が対面するように多数積層されてい
る。
【0048】図1(B)と(C)に示すように、各陽極
弁金属箔3は、箔の表面状に酸化被覆部34と金属表面
部36とが、区分されて形成され、各箔の金属表面部3
6、36同士が、互い接触して電気的に導通するように
されている。
【0049】アルミニウムの陽極弁金属箔3の表面の一
部を、図1(C)に拡大して図示するが、酸化皮膜部3
4は、箔表面が粗面化され、この粗面化された表面に酸
化アルミニウムの皮膜を形成して誘電体酸化皮膜31が
形成されている。
【0050】弁金属箔、例えばアルミニウム箔の積層体
10は、固定枠体2によりその積層方向に挟持されて固
定される。固定枠体2はこの例では、弁金属のアルミニ
ウムから形成され、半割状のヨークを端部同士を突合せ
て、環状にされている。この枠体2は、積層体10の個
々の陽極弁金属箔3中の誘電体酸化皮膜31が形成され
ていない金属表面部36を介して、ほぼすべての陽極弁
金属箔3と電気的に接続されている。尤も、陽極弁金属
箔3の金属表面部36も粗面化されていてもよく、積層
状態で、金属表面部36が相互に接触して導電が確保で
きる。
【0051】この弁作用金属の固定枠体2は陽極弁金属
箔3との金属表面部36と電気的に接続されており、最
終製品の電解コンデンサにおいて陽極端子を兼ねること
ができ、コンデンサの小型化を図ることができる。
【0052】このような陽極体11は、積層体10の層
間に電解質を含浸させて、容器内又は樹脂に封入され、
枠体の端子部又はそのリードと、電解質(不図示)に接
続されたリードとを対極として、コンデンサが形成され
る。
【0053】金属固定枠体2は、積層体の周囲を積層方
向に強圧するようにかしめて覆うが、好ましくは、積層
体の箔の重積した側面が露出するように配置される。特
に図1(A)と図2(A)で、矢印で示した積層方向と
矩形の陽極弁金属箔3の長辺とでなす面Xには弁作用金
属の固定枠体2を配置しておらず、これにより弁金属箔
2の長片側縁部が露出されている。
【0054】このような構成により、コンデンサ陽極体
の静電容量、すなわち誘電体酸化皮膜31としての酸化
アルミニウム皮膜に帯電した静電容量を別の陰極を介し
て引き出す際、陰極の物理的長さ、言い換えれば静電容
量を引き出す際の経路を最短距離にすることができる。
この結果、最終製品である電解コンデンサのインピーダ
ンスを低くすることが可能となる。
【0055】固定枠体2は、1つのヨークだけの半割状
として、積層体の積層方向を加圧できるものも利用され
る。図7(A)には、この例の固定枠体2の態様を示す
が、固定枠体2は、アルミニウム等の金属の1つのヨー
クだけを用いて、半割状にして陽極弁金属箔3の積層体
10における金属表面部36側を積層方向に挟むように
して固定することもできる。
【0056】コンデンサ陽極体の金属端子部57は、直
接に陽極端子として利用され、又は陽極用のリードを接
続するための端子として利用される。金属端子部57
は、溶接したリード線等であってもよい。
【0057】図2(A)、(B)は、別の陽極導電体を
利用する形態の例を示す。導電体5が、アルミニウムの
固定枠体2と積層体10をなす陽極弁金属箔3の金属表
面部36とを積層方向に貫通するように配置されて、導
電体5がアルミニウム枠体2と各陽極弁金属箔3との電
気的な接続を確実にしている。導電体5には枠体2と同
じ材料のアルミニウムのワイヤーが好ましく利用され
る。
【0058】図7(B)は、導電体を貫通した固定枠体
2の別の例を示す。固定枠体2は、アルミニウム等の金
属の1つのヨークだけを用いて、開環状として半割状の
まま開環状として、陽極弁金属箔3の積層体の主に金属
表面部36を積層方向に挟むようにして固定することも
できる。この場合も、金属ワイヤの導電体5は、固定枠
体2と積層された金属表面部36の陽極弁金属箔3とを
貫通して、固定枠体2と陽極弁金属箔との電導を確保す
ることができる。
【0059】以上のことから、陽極体内部まで十分な誘
電体酸化皮膜の形成が可能で、陽極体全体がもつ静電容
量をより効率よく取り出すことができる。陽極体は、さ
らに市場からの要求である小型化に対しても応えられ、
かつ最終製品である電解コンデンサに用いた場合にその
インピーダンスを低くすることが可能な陽極体を提供す
ることができる。
【0060】実施の形態2 本発明の陽極体の製造方法は、図3と図4に示すが、弁
作用金属の比較的長い箔に酸化皮膜を形成して陽極弁金
属箔に調製し(a)、この陽極弁金属箔を多数枚重積し
て積層し(b)、この積層材に固定枠材を取り付けて積
層材を一体化し(c)、次いで、積層体を切断して、所
望形状の多数の陽極体に分離する(d)の各工程から成
っている。
【0061】陽極弁金属箔3の調製工程(a)におい
て、アルミニウムやタンタル等の長い金属箔が利用され
る。これら金属箔は、箔長手方向に対して、その表面の
幅方向の一部を金属表面部36として残して、他の部分
を粗面化して誘電体酸化皮膜を陽極酸化して酸化被覆部
34とし、陽極弁金属箔とする(図4(A))。
【0062】また、この陽極弁金属箔の調整工程(a)
においては、弁金属の表面全面を粗面化と酸化皮膜の形
成とを行い、次いで、その表面の一部だけを研磨するな
どして酸化皮膜を除去して金属の表面を露出させ、金属
表面部36とする方法も採用できる。
【0063】弁金属箔の表面を粗面化する上記エッチン
グ方法としては、電解液中での交流エッチングもしくは
直流エッチング等の従来の技術を用いることができる。
誘電体酸化皮膜31を形成には、従来の陽極酸化液中で
定電圧陽極酸化の方法が用いられる。定電流陽極酸化に
よる方法や、特に、熱処理して誘電体酸化皮膜を形成す
る別の方法も利用できる。
【0064】陽極弁金属箔の積層工程(b)では、上記
の(a)の工程で得られた個々の陽極弁金属箔3を、図
4(B)に示すように、誘電体酸化皮膜31を形成しな
かった金属表面部36を互いに接触させて多数の金属箔
を重積させる。
【0065】次の固定枠材を取り付ける工程(c)で
は、固定枠体2には、好ましくは、弁作用金属を使用し
て、この例では、枠材として2つ枠体2a、2bの金属
チャンネルを使用して、図4(C) に示すように、積
層材は、チャンネルの内側にはめ込まれて、一体化され
る。
【0066】固定枠体2の取付けに際し、必要であれ
ば、例えば弁金属箔の積層体に固定枠材2をプレス等に
より加圧されるのが好ましい。固定枠材が陽極弁金属箔
3の積層体をその積層方向から挟持して、陽極弁金属箔
同士の間、及び陽極弁金属箔と固定枠材との間の電気的
接続および物理的固定を確実にすることができる。
【0067】積層材を切断する工程(d)は、固定枠材
2としてのチャンネルで固定された積層体を、ダイシン
グソー により所望の間隔で切断して、スライスし(図
4(D))、その切断面を研磨することで必要形状の複
数個の陽極体素子に加工する。切断加工の方法は、切削
や研削の他の方法も採用できる。
【0068】陽極体素子の再度陽極酸化工程(e)は、
上記の工程(d)により得られた所望形状の陽極体素子
を再び陽極酸化する。陽極酸化により機械加工により生
じた弁作用金属の固定枠体2と金属箔との切断表面に誘
電体酸化皮膜31の酸化アルミニウム皮膜を形成する。
この再陽極酸化の方法には、上記工程(a)において使
用された陽極酸化方法、例えば、陽極酸化液中で定電圧
陽極酸化や定電流陽極酸化の方法が利用される。
【0069】上記工程を順次行い、最後に、金属枠体の
外面の一部を研磨することにより、陽極体素子の一部分
に金属端子部57を形成し、最終的に図1に示したよう
なコンデンサ陽極体が得られる。
【0070】図5と図6には、陽極導電体を設けた別の
実施の形態を示す。製造工程は、陽極弁金属箔の金属表
面部と弁作用金属の固定枠体とを電気的に接続した導電
体を形成する工程(D)を備えている。
【0071】この工程は、固定枠材2で固定された積層
体に、図6(D)に示す如く、固定枠材2と陽極弁金属
箔3中の金属表面部36とを貫く貫通孔50を長手方向
に一定間隔で設ける。次いで、この貫通孔50に導電体
5として金属ワイヤ51を挿通する。金属ワイヤとして
は、アルミニウム、タンタル、又はチタンが利用され
る。金属ワイヤーは、弁作用金属の固定枠材2と各層の
陽極弁金属箔3すべてと電気的に接続される。
【0072】切断の工程(e)においては、固定枠材ご
と積層体をスライスして、薄い陽極体にする(図6
(E)。枠付けした積層材は、切断後の各陽極体素子に
それぞれ導電体5を含むような位置でダイシングソーを
用いて切断する。この場合には、挿通された金属ワイヤ
の間をダイシングすることにより、切片に切断され、各
切片には、少なくとも一本の導電体ワイヤが貫通されて
固定されている。
【0073】このように切片の切断面は、積層体の側面
Xとして利用され、切断面を研磨することにより、露出
した表面Xが得られ、所望形状の複数個の陽極体素子を
得る。次いで、同様に、誘電体酸化皮膜を再度陽極酸化
して、素子の切断端面に酸化皮膜を形成する。
【0074】以上上記工程を順次行い、最後に陽極体素
子の金属枠体の表面を研磨して陽極体素子の一部分に金
属表面を露出させ、接続端面とし、最終的に図2に示し
たようなコンデンサ陽極体を得る。
【0075】(実施例1)エッチング工程(a)は、金
属箔に純度99.98%以上の厚み100μm、幅20
mmのアルミニウム帯(軟質材)を利用した。その帯状
箔の幅15mmだけエッチングして粗面化された。エッ
チングは、30℃の濃度10wt%、塩酸溶液中に浸漬
して、電流密度0.2A/cm2、20Hzの交流電流
でなされた。エッチング部分だけが下記の条件で陽極酸
化された。陽極酸化条件は、陽極酸化液:アジピン酸ア
ンモニウム5wt%水溶液、陽極酸化液温度:60℃、
陽極酸化電圧:12Vであった。
【0076】金属箔は、図4に示したように一部分に金
属が露出する部分としての幅5mmのアルミニウム金属
表面部36と幅15mmの酸化被覆部34とが形成され
た。積層工程(b)は、帯状の陽極弁金属箔3を、金属
表面部36が相互に重なるように50層に積み重ねて、
積層体とした。
【0077】固定枠材の取り付け(c)では、枠材20
にアルミニウム(純度99%以上)のチャンネル(開口
部5mm、板厚1mm)を2個使用し、工程(b)で得
られた積層体を開口部の空所に、図面のように、嵌め込
んだ。この結果、弁作用金属の固定枠材2のチャンネル
は、個々の金属表面部により、陽極弁金属箔3の陽極層
と電気的に接続された。
【0078】切断工程(d)では、積層体を固定枠材ご
と長手方向に垂直にダイシングソーにより、2mmの間
隔で切断して、多数の切片に分離した。これらの切片の
切断面をサンドペーパで研磨し、7mm×22mm×厚
み2mmの形状の複数個の陽極体素子に加工した。
【0079】工程(e)では、得られた陽極体素子は、
工程(a)と同様にして、再陽極酸化された。主に弁作
用金属の固定枠材20としてのチャンネルの表面および
(d)工程における切断により露出したアルミニウム端
面に誘電体層31を形成した。
【0080】金属枠体の外面を研磨して、素子の一部分
に金属端子部57としてアルミニウム表面を露出させ、
最終的に図1に示すようなコンデンサ陽極体を得た。
【0081】この実施例1で得られたコンデンサ陽極体
を静電容量を導電率50mS/cmのホウ酸アンモニウ
ム水溶液中、10Hzで測定した結果、1052μF
(同様の陽極体素子10個測定時の平均値)であった。
以上の結果、陽極体内部まで十分な誘電体酸化皮膜の形
成が可能となり、陽極体全体がもつ静電容量をより効率
よく取り出すことができ、かつ小型であるコンデンサ陽
極体を得た。
【0082】(実施例2)上記の工程(a)、(b)及
び(c)は、実施例1と同じにして、積層体に固定枠材
を取り付けた。次いで、導電体接続工程(d)は、固定
枠体2により固定された積層体に、図6の如く、アルミ
ニウムチャンネルと陽極弁金属箔3中の金属部分36と
を貫く1mmΦの貫通孔を多数設けた。個々の貫通孔に
導電体5としてのアルミニウムワイヤーを隙間なく挿入
した。
【0083】任意の形状の複数個の陽極体素子に分離す
る工程(e)では、上記の工程(d)で得られた固定枠
材20としてのアルミニウムチャンネルと導電体5のア
ルミニウムワイヤーとを備えた積層体を、切断後の各素
子にそれぞれ導電体5が具備するような位置でダイシン
グソーを用いて切断し、サンドペーパで研磨して、7m
m×22mm×厚み2mmの形状の複数個の素子を得
た。
【0084】この実施例2で得られたコンデンサ陽極体
を上記のホウ酸アンモニウム水溶液中、10Hzで測定
した結果、1105μF(同様の陽極体素子を10個測
定した時の平均値)であった。
【0085】以上の結果、陽極体内部まで十分な誘電体
酸化皮膜の形成が可能となり、陽極体全体がもつ静電容
量をより効率よく取り出すことができ、かつ小型である
コンデンサ陽極体を提供することが可能となる。さらに
本実施例2によるコンデンサ陽極体では導電体5として
のアルミニウムワイヤーを形成した結果、陽極弁金属箔
と固定枠材20としてのアルミニウムチャンネルとの電
気的接続がより確実かつ信頼性が高くなることは明らか
である。
【0086】実施の形態3 本発明の電解コンデンサは、図8と図9に示すように、
狭幅の外形矩形の環状の固定枠体2と、該枠体により周
縁が取り囲まれた積層体10とから成り、積層体は、表
面の一部に酸化皮膜を形成した細帯状の弁金属からなる
陽極弁金属箔(この例では、アルミニウム箔)3、3・
・・の各片が対面するように多数積層されている。
【0087】各陽極弁金属箔3は、箔の表面状に陰極領
域35と陽極領域37とが、区分されて、形成され、各
弁金属箔3の金属表面部同士が、互い接触して電気的に
導通するよう陽極導電体により接続されている。
【0088】他方、各弁金属箔3の陰極領域35の表面
には、陰極層6としての導電性高分子層が形成されてい
る。アルミニウム箔の陽極弁金属箔の表面の一部を、図
10に拡大して図示するが、陰極領域35は、箔表面が
粗面化され、この粗面化された表面に酸化アルミニウム
の皮膜を形成して誘電体酸化皮膜31が形成され、誘電
体層の上には、陰極層6としての導電性高分子層が適用
されている。
【0089】図8において、各弁金属箔3の陰極部35
を含む積層体10の周囲は、陰極導電体7が接着され
て、陰極層に電気的接続されている。この電解コンデン
サは、陽極導電体5と陰極導電体7とには、それぞれ、
配線リードが、形成されている。
【0090】電解コンデンサ1において、陰極用導電体
7に比較して陰極層6の導電性高分子層の抵抗値が大き
いので、電解コンデンサ1のインピーダンスは、導電性
高分子層6の抵抗値と電解コンデンサ1の酸化皮膜31
に帯電した電荷を引き出す導電性高分子層6における経
路長によって決定される。従って、誘電体層31の表面
と陰極用導電体7との間に位置する導電性高分子層6に
おける電荷の経路長を短くすることが電解コンデンサ1
のインピーダンスを低くするために効果的である。以上
のような理由で、電解コンデンサ1のように、陰極用導
電体7を積層体10の長辺側の側面に設けると、電荷の
経路を物理的に最短にすることができるので、電解コン
デンサ1のインピーダンスを低減することができる。
【0091】さらに、本実施の形態の電解コンデンサに
金属端子等を取り付け、樹脂等によりモールドして製造
されるチップ形状のコンデンサ部品のインピーダンスも
低減されたものとなる。
【0092】しかしながら、本発明の電解コンデンサ
は、各弁金属箔の長辺を含む側面に陰極用導電体を備え
た構造以外に、各弁金属箔の短辺を含む側面に陰極用導
電体を備える構造であってもよい。
【0093】上記の積層体の側面に接続された金属箔か
らなる陽極用導電体に替えて、積層体をなす各弁金属箔
の陽極領域を溶接して導電させることもできる。この電
解コンデンサは、積層体の側面に陽極用導電体を接続す
る必要がないので、電解コンデンサの厚みの増加を抑制
し、電解コンデンサをさらに小型化することができる。
【0094】実施の形態4 次に、電解コンデンサ1の製造方法について説明する。
図12に示すように、電解コンデンサ1は、(a)一次
弁金属箔の所定の領域に粗面処理を施し、酸化皮膜を介
して導電性高分子層を形成する一次弁金属箔調製工程
と、(b)導電性高分子層を備えている一次弁金属箔を
積層する積層工程と、(c)積層された一次弁金属箔に
固定枠材を取り付け一体化する固定枠体取付け工程と、
(d)固定枠材で固定された一次弁金属箔を所定の寸法
に切断し、切断された一次弁金属箔が積層されているコ
ンデンサ素子を作製する切断工程と、(e)コンデンサ
素子に陽極用導電体を接続する陽極用導電体形成工程
と、(f)陽極用導電体を備えているコンデンサ素子を
陽極酸化する陽極酸化工程と、(g)コンデンサ素子の
各弁金属箔の導電性高分子層に接触する陰極用導電体を
形成する陰極用導電体形成工程とを経て製造される。
【0095】以上の工程は、切断工程までは、酸化皮膜
を介して導電性高分子層を形成して容量部にする工程を
除いて、基本的に前述の陽極体の製造工程と同じであ
る。
【0096】図11(A)を参照して、金属箔調製工程
(a)の一次弁金属箔30に容量部の形成においては、
弁金属表面は、一次弁作用金属30酸化皮膜を介して導
電性高分子層を形成すべき陰極領域35と、陰極領域3
5以外の陽極領域37とに区分される。図10に概念的
に示すように、弁金属箔3は、粗面化処理が施されか
つ、酸化皮膜31を介して導電性高分子層6が形成され
ている陰極領域35と酸化皮膜31が形成されていない
陽極領域37とを備えている。
【0097】一次弁金属箔30の長手方向に延びる陰極
領域35の表裏両面が粗面化される。次に、陽極酸化溶
液中で定電圧陽極酸化処理を施して陰極領域35の表裏
両面に酸化皮膜を形成し、さらに酸化皮膜上に導電性高
分子層を形成する。このようにして、陰極領域35、導
電性高分子層及び陰極領域35と導電性高分子層とに挟
まれる酸化皮膜からなる容量部を一次弁金属箔30に予
め形成される。
【0098】一次弁金属箔30の陰極領域35を粗面化
するのは、陰極領域35の表面積を増大させ、容量部の
静電容量を増大させるためである。粗面処理を省略し
て、平坦な陰極領域35に酸化皮膜を介して導電性高分
子層を形成してもよい。
【0099】積層工程は、図11(B)に示すように、
各一次弁金属箔30に形成された容量部を対面させて複
数の一次弁金属箔30を積層し積層材とする工程であ
る。
【0100】本発明に電解コンデンサの製造方法におい
て形成する陽極領域37は、上記図11(A)と異なっ
て、設定しないこともできる。例えば、一次弁金属箔3
0全体に粗面化し、全体に酸化皮膜と導電性高分子層を
形成することもできる。この場合、これら一次弁金属箔
を積層した後、積層された一次弁金属箔を切断すること
で、露出される一次弁金属箔の切断断面を、陽極導電体
の接続に供することができる。
【0101】積層工程に続く固定枠体取付け工程では、
図11(C)に示すように、積層材13の短辺側の側面
を露出させ、一方の長手側側面からは固定枠材としてチ
ャンネル20で、他方の長手側側面からは固定枠材20
で積層材13を挟みつける。このようにして、半割形状
の固定枠材20、20とが一体化された閉環状の固定枠
材2で、積層材の上面と下面とを挟むように固定する。
固定枠材20は、複数の一次弁金属箔30を積層方向
(一次弁金属箔30の厚さ方向)に固定する。
【0102】固定枠材20は、上述のように、金属材料
や非金属材料を用いることができる。非金属材料は、固
定枠材20で固定された状態で一次弁金属箔30を切断
することを考慮して、切断が容易な合成樹脂とすること
ができ、例えば、アクリル樹脂が好ましい。
【0103】また、金属材料には、弁作用金属を利用す
ることができる。固定枠材20で固定された一次弁金属
箔30を陽極酸化する際に、固定枠材20には電流が流
れることが考慮されている。電解陽極酸化工程におい
て、弁作用金属を主成分とする固定枠材は陽極酸化液中
に溶出することなく、表面に絶縁性酸化皮膜が形成され
るからである。アルミニウムまたはその合金が利用され
る。
【0104】また、固定枠材には、塑性変形が可能な材
料を利用して、固定枠材で積層体を固定し、弁金属箔の
積層体を、固定枠材とともにプレス等により加圧するこ
とができる。確実に各一次弁金属箔を物理的に固定する
ことができる。また、既に、弁金属は、陰極層としての
高分子層を備えるので、弁金属箔をプレスにより、各々
静電容量を備えた弁金属箔の体積を圧縮することができ
る。これは、単位体積当たりの静電容量が大きな電解コ
ンデンサを製造することできる。
【0105】切断工程は、図11(D)に示すように、
固定枠材20で固定された一次弁金属箔30の集積体
を、長手方向に対して直交又は斜交して、ダイシングソ
ーで切断して、多数のコンデンサ素子12を得る。こう
して得られたコンデンサ素子12は、所定の厚み寸法に
切断された弁金属箔3が積層された積層体を有し、この
積層体は、切断された固定枠材2で周囲を固定されてい
る。
【0106】さらに積層体においては、上述した各弁金
属箔の導電性高分子層が接触するように、各弁金属箔が
積層されている。各弁金属箔は、外形が矩形であり、固
定枠体の切断面から各弁金属箔の切断面は露出されてい
る。両側の切断面は、各弁金属箔の長片を含む積層体の
側面を構成している。固定枠体の切断面から、各弁金属
箔の陽極領域及び陰極領域の弁金属断面、及び陰極領域
の酸化皮膜上に形成された導電性高分子層の断面が露出
されている。
【0107】陽極用導電体形成工程は、コンデンサ素子
の切断面で露出された各弁金属箔の陽極領域の側面に接
触する陽極用導電体を形成する工程である。陽極用導電
体には、弁金属の箔や導電性の樹脂が利用できる。金属
箔は、各弁金属箔の陽極領域の側面の一部に、陽極用導
電体である金属箔を溶接する。 導電性塗料を利用する
には、切断面で露出された各弁金属箔の陽極領域の側面
に塗布し、各弁金属箔の陽極領域を互いに導通させても
よい。何れも、導電性高分子層に接触しないように陽極
用導電体が形成される。
【0108】陽極用導電体形成工程に続く陽極酸化工程
は、コンデンサ素子に陽極酸化処理を施すことで、切断
面で露出された各弁金属箔の金属断面に酸化皮膜を形成
するものである。
【0109】陰極用導電体形成工程においては、陰極用
導電体が、切断面で露出された導電性高分子層の側面に
は直接接触するように、積層体及び固定枠体の側面を覆
う。陰極用導電体は、固定枠体の切断面で露出された各
弁金属箔の金属断面とは、陽極酸化処理で形成された酸
化皮膜により絶縁されている。
【0110】陰極用導電体は、カーボンや銀等の導電性
物質を含有する市販の導電性ペーストや塗料、又は導電
性高分子層から形成することができる。陰極用導電体に
は、弁金属箔の側面に形成された酸化皮膜に直接触れる
こと及び、電解コンデンサの漏れ電流の抑制する効果を
有することが望まれていることを考慮すると、導電性高
分子、特に、ポリピロールが、好ましい。
【0111】このようにして形成された電解コンデンサ
は、図8に示すように、陽極用導電体5は積層体10の
側面に設けられ、陰極用導電体7は積層体10の側面と
固定枠体2の側面とを覆うように設けられたものであ
り、陽極用導電体5と陰極用導電体7とは絶縁されてい
る。積層体10は、矩形の弁金属箔3を積層させたもの
であり、積層体10の上面と下面とは固定枠体2で挟持
され固定されている。各弁金属箔3を固定する固定枠体
2は、図9に示すように、断面ヨークの二つの固定枠体
部材2a、2bからなるものであり、これら2つの固定
枠体部材2a、2bが積層体10を側面から挟むように
固定している。
【0112】図8に示すように、各弁金属箔3の陽極領
域の側面4は、固定枠体2の開口部2cで露出されてい
る。さらに、開口部2cで露出されている陽極領域の側
面4はアルミニウム箔からなる陽極用導電体5が接続さ
れている。また、陽極用導電体5と陰極用導電体7と
は、各弁金属箔3に形成された酸化皮膜31を介して絶
縁されている。
【0113】固定枠体2が合成樹脂である場合には、固
定枠体2を介して陽極用導電体5は陰極用導電体7と電
気的に導通しない。固定枠体が弁作用金属である場合に
は、陽極用導電体5と陰極用導電体7とは、各弁金属箔
3に形成された酸化皮膜31及び固定枠体の表面に形成
された酸化皮膜21により、絶縁される。
【0114】さらに、陽極用導電体5及び陰極用導電体
7に、別々に金属端子等を取り付け、樹脂等によりモー
ルドすることでチップ形状のコンデンサ部品が完成す
る。
【0115】次に、図13及び図14には、各弁金属箔
3のを貫通する金属ワイヤ51により陽極用導電体が形
成された電解コンデンサ1を示す。陽極用導電体として
金属ワイヤ51を用いたことを除いては上記の電解コン
デンサの実施形態と同じである。
【0116】電解コンデンサ1の陽極用導電体5は弁金
属箔の側面に接続されるものではないので、電解コンデ
ンサ1の厚みを抑制することができる。従って、本実施
の形態の電解コンデンサに金属端子等を取り付け、樹脂
等によりモールドして製造されるチップ形状のコンデン
サ部品を小型化することができる。また、陽極用導電体
5は電解コンデンサ1に内在するので、陽極用導電体
が、剥離欠落することなく、各弁金属箔3の陽極領域3
7を確実に電気的に接続することができる。
【0117】図16に示す工程で、電解コンデンサ1の
製造工程において、図15(A)に示す一次弁金属箔調
製工程、図15(B)に示す積層工程及び図15(C)
に示す固定枠体取付け工程は、前述した電解コンデンサ
の製造方法と同様である。
【0118】固定枠体取付け工程の後に、陽極用導電体
形成工程(d)は、図15(D)に示すように、固定枠
材で固定された各一次弁金属箔30全ての陽極領域37
を貫通する貫通孔を穿孔する。多数の貫通孔50が、所
定の間隔を隔てて一次弁金属箔30の長手方向に沿って
設けられている。これら貫通孔に陽極用導電体として金
属ワイヤ51が挿入され、金属ワイヤ51が、各弁金属
箔3と接触させる。陽極領域37には導電性高分子層が
形成されていないので、金属ワイヤ51は陰極層とは接
触しない。
【0119】切断工程(e)は、金属ワイヤ51が挿入
された貫通孔の間で、一次弁金属箔の積層体が所定の間
隔を隔てて切断され、多数のコンデンサ素子12に分離
される。コンデンサ素子を切断しスライスする具体的手
段は、実施の形態2と同様である。
【0120】図16に示すように、陽極用導電体形成工
程(d)と切断工程(e)は、逆にしてもよい。即ち、
固定枠材で固定した一次弁金属箔を先に切断して所定の
形状のコンデンサ素子を形成し(e)、各コンデンサ素
子をなす各弁金属箔の陽極領域を貫通するように貫通孔
を設け、この貫通孔に金属ワイヤを挿入して、陽極用導
体を形成しすることもできる(d)。
【0121】電解コンデンサ1の製造方法は、各弁金属
箔の陽極領域を貫通する金属ワイヤを挿入するので、各
弁金属箔の陽極領域と陽極用導電体との電気的接続をよ
り完全になり、積層体を物理的に補強する効果もある。
陽極酸化工程(f)では、コンデンサ素子を陽極酸化す
ることにより、切断によって露出した金属面に酸化皮膜
を形成する。
【0122】上記の実施形態により製造されたコンデン
サ素子は、図16の陰極用導電体形成工程(g)の後
に、さらに陽極酸化されるのが好ましい。陽極酸化工程
(h)は、陰極用導電体形成工程中で各弁金属箔の酸化
皮膜に生じた物理的欠陥及び化学的欠陥を陽極酸化処理
で修復するものである。前述した一次弁金属箔調製工程
で用いた陽極酸化法と同様の方法で、陰極用導電体を備
えたコンデンサ素子を陽極酸化する。このようにして、
各弁金属箔の酸化皮膜の欠陥を修復することで電解コン
デンサの信頼性はより高いものとなる。
【0123】(実施の形態5)次に、図18と図19に
おいては、別の例の電解コンデンサ1は、開環状で断面
形状がヨーク状の固定枠体2に固定された弁金属の積層
体10を備えている。積層体10は、ヨークにより上面
と下面と1つの端面が覆われ、他方に端面がヨークから
開放され、開放された端面に陽極用電導体が固定され
る。
【0124】上記実施の形態1と同様に、積層体10
は、酸化皮膜31と導電性高分子層6とを備えている弁
金属箔3を複数積層させたものである。また、固定枠体
2は、2つの対向する平行部材と平行部材をつなぐ1つ
の端部材を備え、他方に開口部を備えている。さらに、
矩形状の各弁金属箔の長辺を含む側面及び短辺側の端面
は、固定枠体2に覆われずに、露出されている。固定枠
体2の開口部で露出された各弁金属箔3の短辺側の端面
が陽極領域37とされる。
【0125】固定枠体2の開口部で露出された各弁金属
箔3の陽極領域37には、アルミニウム箔からなる陽極
用導電体が接続されている。即ち、陽極用導電体は、積
層体10の各弁金属箔3の短辺を含む側面に形成されて
いる。また、積層体10の長辺側の側面には、導電性高
分子層6と直接接触する陰極用導電体7が形成されてい
る。陽極用導電体5と陰極用導電体7とは、各弁作用金
属に形成された酸化皮膜31絶縁されている。
【0126】固定枠体には、絶縁性材料が使用され、固
定枠体を介して陽極用導電体と陰極用導電体7とが導通
することはないので、陽極用導電体と陰極用導電体7と
は、各弁作用金属4に形成された酸化皮膜31によって
絶縁されている。このような電解コンデンサ1は、図1
2にに示す製造工程に沿って製造される。
【0127】図17は、図17(A)に示す一次弁金属
箔調製工程と図17(B)に示す積層工程の後、図17
(C)に示すように、開口部を有するヨークの固定枠材
20で積層材13の上面と下面とを挟持するように、積
層材13を固定する。このとき、各一次弁金属箔30の
陽極領域37を含む長手方向の側面(多層面)が固定枠
材20の開口部から露出させるようにする。
【0128】固定枠体取り付け工程に続き、図17
(D)に示すように、固定枠材20で固定された一次弁
金属箔30を一次弁金属箔30の短辺と平行に所望の間
隔でダイシングソーで切断して、狭幅の複数のコンデン
サ素子12を形成する。
【0129】コンデンサ素子12は、積層された弁金属
箔3が矩形に切断され、固定枠体2は、固定枠材20を
切断された結果、長辺側の開口部からは各弁金属箔の長
辺側の側面を露出させ、且つ、短辺側の開口部からは各
弁金属箔の短辺側の端面が、露出される。露出された端
面に、図18と図19に示すように、陽極用導電体5と
してアルミニウムの金属箔52を利用し、各弁金属箔の
陽極領域を互いに導通させるように、短辺側開口部で露
出されている各弁金属箔の端面に、導電性高分子層に接
触しないように、アルミニウム箔52が溶接される。
【0130】陽極用導電体を形成したあと、上記の電解
コンデンサの製造方法と同様の工程を経て、図18と図
19に示すように、集積体の端面側に、陽極用導体5と
してアルミニウム箔52を備えた電解コンデンサ1が完
成する。電解コンデンサ1は、陽極用導電体を積層体1
0の端面に備えているので、電解コンデンサ1の厚みを
さらに薄くして、小型化することができる。
【0131】陽極用導電体の形成方法には、変形が可能
である。上記方法に代えて、固定枠材で固定された状態
の積層体に予め陽極用導電体としての金属箔を取着し、
切断工程で狭幅のコンデンサ素子に分離しても良い。こ
の場合、陽極用導電体の金属箔は、固定枠材の開口部か
ら露出されている各弁金属箔の陽極領域を接続するよう
に陽極用導電体を形成した後、積層体を切断してコンデ
ンサ素子を形成してもよい。つまり、切断工程と陽極用
導電体形成工程とは、順序が逆であってもよい。
【0132】陽極用導電体は、金属箔を使用しないで、
固定枠体2の開口部から露出される各弁金属箔3の短辺
側の側面を溶接により溶融して各陽極領域37を導通さ
せることもできる。
【0133】また、この実施の形態では、一次弁金属箔
30の長辺側の側面を陽極領域として利用しているが、
全面が粗面化され、陽極酸化処理された一次弁金属箔3
0を使用して導電性高分子層6が形成されることもでき
る。このようにして、一次弁金属箔30の長辺側の端面
に(切断後は、積層体の端面に)のみ金属部を露出さ
せ、この金属部を陽極領域37として、陽極導電体を接
続することもできる。
【0134】(実施例3)実施例1と同様に同様にし
て、厚さ100μm、幅20mmの帯状アルミニウム箔
(軟質材)を用いて、幅方向距離15mmを陰極領域3
5とし、粗面化し、陽極酸化処理を施し、粗面処理が施
された領域に酸化アルミニウム皮膜を酸化皮膜として形
成した。粗面化と陽極酸化処理の条件は、実施例1と同
じである。
【0135】アルミ箔の粗面処理が施された陰極領域
に、陰極層としてポリピロールの導電性高分子層を形成
し、アルミ箔8に容量部を形成した。ポリピロール層の
形成方法は、1mol/lのピロールモノマーを含有す
るエチレングリコール水溶液と、酸化剤として1mol
/lの硫酸鉄(Fe2(SO43)を含有する酸化剤溶
液とを調製し、アルミ箔を陰極領域だけ、モノマー液に
5分間浸漬し、続いて、陰極領域を酸化液に5分間浸漬
して、化学重合法により酸化アルミニウム皮膜上にポリ
ピロール層を形成させた。このように、モノマー溶液へ
の浸漬と酸化剤溶液との浸漬を繰り返してポリピロール
層を必要な厚さにした。このようにして、図11(A)
に示すように、15mm幅の導電性高分子層を備えた陰
極領域35と、他方の長辺から5mm幅の金属表面を有
する陽極領域37とを有するアルミニウム箔30を作製
した。
【0136】帯状の50枚のアルミ箔8を、図11
(B)に示すように、各アルミ箔の容量部及び陽極領域
37とが、それぞれ対面するように、積み重ねて積層材
13とした。さらに、図11(C)に示すように、固定
枠に2つのアクリル製のチャンネル2a、2b(開口部
5mm、板厚1mm)を利用して、積層材13の上面と
下面とを挟むように固定した。ダイシングソーにより積
層体を2mm間隔に切断して、厚さ2mmの複数の切片
に分離した。これらの切片の切断面を研磨して、寸法縦
7mm×横22mm×厚さ2mmのコンデンサ素子を作
製した。
【0137】次に、陽極用導電体としてアルミニウム箔
を利用して、上記コンデンサ素子の切断面で露出されて
いる各アルミ金属箔の陽極領域の側面に、厚み100μ
m、幅2mmの溶接した。さらに、コンデンサ素子に陽
極酸化処理した。陽極用導電体を陽極とし、一次弁金属
箔調製工程で行った条件と同じ条件で電解陽極酸化を施
して、各アルミ金属箔の陰極領域の側面に酸化アルミニ
ウムを形成した。
【0138】次に、陰極用導電体にはポリピロールを利
用して、上記一次弁金属箔調製工程と同様の方法で、各
アルミ箔の容量部をモノマー溶液と酸化剤溶液との交互
浸漬を繰り返して、重合化した。各アルミ箔の陽極領域
に接触することなくかつ、各アルミ箔とは酸化アルミニ
ウムによって絶縁されるように、前述の化学重合法を用
いてポリピロール層を重合形成し、陰極用導電体とし
た。
【0139】コンデンサ素子各々にリード線を取り付け
た。この場合は、コンデンサ素子の陰極用導電体として
のポリピロール層に、カーボン層を含有する導電性材料
及び銀ペーストを用いてリード線を接続した。一方、陽
極用導電体としてのアルミニウム箔には、別のリード線
を溶接により接続した。
【0140】(実施例4)さらに、実施例3コンデンサ
素子には、再度陽極酸化をしたあと、同様にリード線を
取り付けてコンデンサとした。再度陽極酸化は、実施例
1の弁金属箔の陽極酸化と同じ条件で行った。
【0141】(実施例5)上記実施例3と同様にアルミ
箔を積層して積層体を形成し、この積層体に固定枠体を
取り付けた。図15(D)に示すように、固定枠体のア
クリル製チャンネルを具備した積層体に、アクリル製チ
ャンネルと積層されたアルミ箔の陽極領域とを貫通する
1mmΦの貫通孔を所定の2mmの間隔を多数設け、こ
の各貫通孔に陽極用導電体であるアルミニウムワイヤを
隙間なく挿入し、全てのアルミ箔の陽極領域が電気的に
接続された。
【0142】次に、図15(E)に示すように、積層体
を、各切片が各々陽極用導電体を長手方向に垂直な面で
ダイシングソーにより2mm間隔に切断し、厚さ2mm
の複数の切片に分離した。これらの切片の切断面をサン
ドペーパで研磨して、寸法が7mm×22mm×厚み2
mmの40個のコンデンサ素子12を作製した。
【0143】さらに、コンデンサ素子に陽極酸化して、
コンデンサ素子の切断面で露出されている各アルミ金属
箔の陰極領域の金属面に酸化アルミニウムを形成した。
陰極用導電体を、コンデンサ素子の各アルミ箔の陰極層
のポリピロール層と電気的に接続するために、側面にポ
リピロール層よって形成した。ピロール層は、上記一次
弁金属箔調製工程で用いた化学重合法と同じ方法であっ
た。実施例3同様にして、コンデンサ素子各々にリード
線を取り付け、電解コンデンサとした。
【0144】(実施例6)さらに、上記のコンデンサ素
子は、リード線取り付け前に、上記の実施例4と同様
に、再度陽極酸化処理(酸化皮膜修復工程)をし、同様
にしてリード線と取り付け電解コンデンサを20個完成
させた。
【0145】このようにして作製された実施例3の20
個の電解コンデンサ及び実施例4に係る20個の電解コ
ンデンサについて、試験を行った。その結果を表1に示
す。
【0146】これらの電解コンデンサは、容量とインピ
ーダンス、漏れ電流が測定された。静電容量は、バイア
ス電圧を1.5Vとして、測定周波数100Hzにおけ
る容量を測定した。インピーダンスは、バイアス電圧を
1.5Vとし、測定周波数100KHzにおけるインピ
ーダンスを測定した。漏れ電流は、電解コンデンサに電
圧6.3Vを印加して、30秒後の漏れ電流を測定し
た。
【0147】
【表1】
【0148】上記固定枠体2から、実施例の電解コンデ
ンサはいずれも大容量かつ低インピーダンスを達成して
いることが判る。これは、いずれの電解コンデンサも、
各々容量部を備えているアルミ箔を積層させた構造であ
り、また、各アルミ箔の積層体の側面に陰極用導電体を
接続することによって、電解コンデンサのインピーダン
スを低減させたことによる。
【0149】特に、実施例4及び6の電解コンデンサの
漏れ電流値は、さらに低い値であることが判る。これ
は、実施例4及び6の電解コンデンサが、陰極用導電体
形成工程で生じた酸化アルミニウム皮膜の物理的欠陥及
び化学的欠陥を再陽極酸化工程で修復したことによる。
【0150】実施の形態6 本発明の重積型電解コンデンサは、上記の電解コンデン
サを複数個重ね合わせて、共通の陽極リードと陰極リー
ドとを備えて一体化したものである。図20(A)と
(B)に示す重積型電解コンデンサは、図18と図19
に示した4つの電解コンデンサが利用され、各電解コン
デンサは、端面側に金属箔52を溶接固定した陽極導電
体5を備え、側面側には、陰極用導体7として導電性高
分子層が被着形成されている。重積型電解コンデンサ
は、このような電解コンデンサ4個を、積層体側面同士
が対面して導電性高分子の陰極用導電体7同士が接触す
るように、重積し、重積された電解コンデンサの外面に
は、L状の金属シートが陰極用導電体7に接着するよう
に固定されて陰極リード79とされる。
【0151】他方の4つの電解コンデンサは、各コンデ
ンサの陽極用導電体5の金属箔52が積層体端面側に溶
接固定されており、陽極リード59は、その金属板が、
重積された電解コンデンサの陽極用導電体52の全部と
溶接されて、固定され、導通する。一体化された重積型
コンデンサは、両端部に、陽極リード59と陰極リード
79とを端面として残し、必要により、側面部は、絶縁
材8により被覆されて、電解コンデンサ製品とされる。
【0152】この重積型電解コンデンサは、同じ容量の
コンデンサを単一の積層体から構成するよりも、各積層
体の幅が小さくでき、コンデンサの内部インピーダンス
を低減することができる。
【0153】
【発明の効果】本発明によるコンデンサ陽極体とその製
造方法は、弁金属箔の表面を予め誘電体酸化皮膜を形成
して陽極弁金属箔として積層し、陽極弁金属箔の金属表
面部を電気的に接続し、金属端子部を有する金属固定枠
で固定するので、陽極体全体が有するべき静電容量をよ
り効率よく取り出すことができ、コンデンサの小型化を
図ることができる。
【0154】また本発明による別のコンデンサ陽極体お
よびその製造方法によれば、粗面化された弁金属箔の表
面のすくなくとも一部分に誘電体酸化皮膜を有した複数
枚の矩形の陽極弁金属箔が積層されてなる積層体と、陽
極弁金属箔の金属部分と電気的に接続した導電体と、積
層した陽極弁金属箔を固定し、かつ導電体と電気的に接
続し、かつ少なくとも一部分に金属端子部を有した固定
枠体とを具備したことにより、陽極体全体がもつ静電容
量をより効率よく取り出すことが可能でかつ小型化が可
能となることに加え、弁金属箔の電気的接続がより確実
かつ信頼性が高いものとなる。
【0155】また、本発明の電解コンデンサは、積層し
た陽極弁金属箔を固定する固定枠体を具備することによ
り、陽極弁金属箔を積層した後、すなわち積層体の状態
で任意の形状に機械的加工を行ない、素子化することが
容易になる。
【0156】本発明は、この固定枠体を弁作用金属とす
れば、陽極弁金属箔の金属部分と電気的に接続するよう
に構成し、最終製品の電解コンデンサにおいて陽極端子
を兼ねるようにすればさらに小型化が図れる。また固定
枠を弁作用金属で構成したことにより、この固定枠体を
含む陽極体素子全体を陽極酸化することで弁作用金属の
固定枠体表面にも誘電体酸化皮膜を形成することも可能
となる。
【0157】本発明のコンデンサ陽極体は、より具体的
には、粗面化された弁金属箔の表面のすくなくとも一部
分に誘電体酸化皮膜を有する複数枚の矩形の陽極弁金属
箔が積層されてなる積層体と、積層した陽極弁金属箔を
固定し、かつ導電体と電気的に接続し、かつ少なくとも
一部分に金属端子部を有した弁作用金属の固定枠体と、
該枠体と陽極弁金属箔の金属表面部とを電気的に接続し
た導電体と、を具備したことを特徴とする。
【0158】このような導電体を利用する構成により、
前述のコンデンサ陽極体の構成による効果作用に加え、
金属箔相互の電気的接続と金属箔と金属枠体との電気的
接続がより確実でかつ信頼性が高いものとなり、陽極体
全体が有するべき静電容量をより効率的に発揮すること
ができる。
【0159】本発明のコンデンサ陽極体の製造方法は、
粗面化した弁金属箔の表面のすくなくとも一部分に誘電
体酸化皮膜を陽極酸化して形成し、陽極弁金属箔とする
工程と、複数枚の陽極弁金属箔を積層する工程と、積層
した陽極弁金属箔を積層方向に固定する固定枠を取り付
ける工程と、上記枠付けした層体を機械加工して、所要
形状の複数個の陽極体素子とする工程と、陽極体素子に
再度陽極酸化する工程と、から成るものである。
【0160】このような製造方法により、第一に、粗面
化した弁金属箔の表面に誘電体酸化皮膜を事前に形成し
て陽極弁金属箔とし、その後に積層する工程を採ること
により、箔の状態で必要十分な誘電体酸化皮膜を事前に
形成することができる。この結果、最終的に積層体の深
部にまで十分な誘電体酸化皮膜をもったコンデンサ陽極
体とすることができる。第二に、積層した陽極弁金属箔
を固定するために積層体に対して金属固定枠体を取りつ
けることにより、その後枠体ごと積層体を切断や研磨す
るのに従来の機械加工法を用いることができ、より小型
の陽極体素子の多数の製造が容易となる。
【0161】また素子の形状の調整に機械加工を用いる
ことができることから、比較的大きな積層体を製造し、
それを分割して必要形状の素子とすることができ、小型
の陽極体素子の効率のよい製造が容易になる。第三に機
械加工により所要の形状に加工した陽極体素子を再び陽
極酸化することにより、積層や機械加工によって生じた
欠陥やストレスを後で修復することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態によるコンデンサ陽極体の
斜視図(A)と、コンデンサ陽極体を陽極体の厚み方向
中央部で切断した断面図(B)と、陽極体の一部拡大断
面図(C)とを示す。
【図2】 本発明の他の実施の形態に係るコンデンサ陽
極体の斜視図(A)とコンデンサ陽極体を厚み方向中央
部で切断した断面図(B)である。
【図3】 本発明の実施形態に係るコンデンサ陽極体の
製造方法の工程フローチャートを示す。
【図4】 本発明の実施形態に係るコンデンサ陽極体の
製造方法の工程を示す図。
【図5】 本発明の他の実施形態に係るコンデンサ陽極
体の製造方法を説明する工程フローチャートである。
【図6】 本発明の他の実施形態によるコンデンサ陽極
体の製造方法の工程を示す斜視図である。
【図7】 本発明の実施形態に係るコンデンサ陽極体の
斜視図(A、B)を示す。
【図8】 本発明の実施の形態に係る電解コンデンサの
斜視図である。
【図9】 図8に示した電解コンデンサの断面図であ
る。
【図10】 弁金属箔の拡大された模式図である。
【図11】 本発明の実施の形態に係る電解コンデンサ
の製造工程を示す斜視図であるものである。
【図12】 本発明の実施の形態係る電解コンデンサの
製造工程のフローチャートを示す。
【図13】 本発明の他の実施例に係る電解コンデンサ
の斜視図を示す。
【図14】 図13に示した電解コンデンサの断面図を
示す。
【図15】 本発明の別の実施の形態に係る電解コンデ
ンサの製造工程を示す。
【図16】 本発明の別の実施の形態に係る電解コンデ
ンサの製造工程のフローチャートを示す。
【図17】 本発明の実施の形態に係る電解コンデンサ
の製造工程を示す
【図18】 本発明の実施の形態に係る電解コンデンサ
の斜視図である。
【図19】 図18に示した電解コンデンサの断面図で
ある。
【図20】 重積型電解コンデンサの斜視図(A)と断
面図(B)を示す。
【符号の説明】
1 電解コンデンサ 10 積層体 11 陽極体 12 電解コンデンサ素子 2 固定枠体 3 陽極弁金属箔 31 誘電体酸化皮膜 4 積層体側部 5 陽極用導電体 50 貫通孔 51 金属ワイヤ 6 導電性高分子層(陰極層) 57 金属端子部 6 金属表面部 7 陰極用導電体

Claims (34)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粗面化された表面に酸化皮膜の誘電体層
    を有する複数の矩形の陽極弁金属箔を積層して成る積層
    体と、積層体を積層方向に挟持して固定する固定枠体
    と、から成る電解コンデンサの陽極体。
  2. 【請求項2】 陽極弁金属箔の長辺と積層体の積層方向
    とから成る積層体側面には、固定枠体が配置されない
    で、陽極弁金属箔の長辺縁部が露出する請求項1に記載
    の陽極体。
  3. 【請求項3】 積層体の陽極弁金属箔の金属部分を互い
    に電気的に接続する陽極用導電体を含む請求項1の陽極
    体。
  4. 【請求項4】 上記の導電体が、陽極弁金属箔の金属部
    分と固定枠体とを貫通する金属線である請求項3に記載
    の電解コンデンサの陽極体。
  5. 【請求項5】 上記の導電体が、陽極弁金属箔の長辺若
    しくは短辺と積層体の積層方向とから成る積層体側面に
    若しくは端面において、陽極弁金属箔の金属部分と接続
    された金属箔である請求項3に記載の電解コンデンサの
    陽極体。
  6. 【請求項6】 上記の陽極弁金属箔が、アルミニウムも
    しくはその合金から成る請求項1ないし4のいずれかに
    記載の陽極体。
  7. 【請求項7】 上記の固定枠体が、アルミニウムもしく
    はその合金から成る請求項1ないし5のいずれかに記載
    の電解コンデンサの陽極体。
  8. 【請求項8】 それぞれ箔表面に酸化皮膜を介して絶縁
    された導電性高分子層を有する複数の陽極弁金属箔が積
    層された積層体と、該積層体の上面と下面とを押圧して
    積層された複数の弁金属箔を固定する固定枠体と、各弁
    金属箔を互いに接続する陽極用導電体と、各導電性高分
    子層を互いに接続する陰極用導電体と、から成る電解コ
    ンデンサ。
  9. 【請求項9】 矩形状の陽極弁金属箔の長辺と積層体の
    積層方向とから成る積層体側面には、固定枠体が配置さ
    れない請求項8に記載の電解コンデンサ。
  10. 【請求項10】 陰極用導電体が、上記の積層体側面に
    形成され、各弁金属箔上の導電性高分子層と直接接触し
    且つ各弁金属箔とは酸化皮膜を介して絶縁されている請
    求項9に記載の電解コンデンサ。
  11. 【請求項11】 陰極用導電体が、導電性高分子を含む
    請求項8又は10に記載の電解コンデンサ。
  12. 【請求項12】 陽極用導電体が、積層体の積層方向と
    矩形状の陽極弁金属箔の長辺若しくは短辺とからなる積
    層体側面若しくは端面に形成された請求項8ないし10
    のいずれかに記載の電解コンデンサ。
  13. 【請求項13】 陽極用導電体が、積層体の各弁金属箔
    を貫通して接触する金属ワイヤである請求項8に記載の
    電解コンデンサ。
  14. 【請求項14】 陽極用導電体が弁金属から成る請求項
    8に記載の電解コンデンサ。
  15. 【請求項15】 陽極用導電体がアルミニウム若しくは
    その合金から成る請求項8に記載の電解コンデンサ。
  16. 【請求項16】 陽極弁金属箔がアルミニウム若しくは
    その合金から成る請求項8に記載の電解コンデンサ。
  17. 【請求項17】 導電性高分子層が適用される弁金属箔
    の表面が粗面化されている請求項8記載の電解コンデン
    サ。
  18. 【請求項18】 導電性高分子層が、複素環式5員環化
    合物のポリマーから成る請求項8に記載の電解コンデン
    サ。
  19. 【請求項19】 固定枠体が弁金属から成る請求項8に
    記載の電解コンデンサ。
  20. 【請求項20】 固定枠体が、合成樹脂の成形体である
    請求項8に記載の電解コンデンサ。
  21. 【請求項21】 請求項8ないし10のいずれかに記載
    の複数の電解コンデンサを重積して、各電解コンデンサ
    の陽極用導電体を接続固定する陽極リードと、各電解コ
    ンデンサの陰極用導電体に接続固定した陰極リードとを
    備えて一体化された重積型電解コンデンサ。
  22. 【請求項22】 上記複数の電解コンデンサが、側面同
    士を対面させて重積され、各側面に形成された導電性高
    分子の陰極用導電体が互いに接続されている請求項21
    に記載の重積型電解コンデンサ。
  23. 【請求項23】 粗面化した帯状の弁金属箔の表面のす
    くなくとも一部に酸化皮膜誘電体を形成するために陽極
    酸化する工程と、 複数枚の陽極弁金属箔を積層する工程と、 積層材を積層方向に挟持する固定枠材を取り付けて、積
    層した陽極弁金属箔を固定し、陽極弁金属箔の金属部分
    と電気的に接続する枠付け工程と、上記枠付けした積層
    材を切断して所要形状の複数個の陽極体に分離する切断
    工程と、 陽極体を陽極酸化する工程と、から成るコンデンサ陽極
    体の製造方法。
  24. 【請求項24】 切断工程が、上記枠付けした積層材
    を、弁金属箔の積層面にほぼ垂直方向に切断して、複数
    の陽極体に分離することを含む請求項23に記載の陽極
    体の製造方法。
  25. 【請求項25】 製造方法が、枠付け工程後に、積層材
    のほぼ全ての陽極弁金属箔の金属部分と電気的に接続す
    る陽極用導電体を形成する工程を含み、その後に、上記
    の切断工程を行う請求項23に記載の陽極体の製造方
    法。
  26. 【請求項26】 陽極用導電体を形成する工程が、固定
    枠体と積層した金属箔とを貫通する貫通孔を設けるこ
    と、次いで、貫通孔に金属線を挿通すること、とから成
    る請求項25に記載の陽極体の製造方法。
  27. 【請求項27】 上記の切断工程が、上記枠付けした積
    層材を、金属箔の積層面にほぼ垂直に、かつ上記の隣接
    する貫通孔の間の位置で切断して、陽極体に分離する方
    法である請求項26に記載の陽極体の製造方法。
  28. 【請求項28】 それぞれ箔表面上に誘電体層を介して
    導電性高分子層を有する複数の陽極弁金属箔が積層され
    た積層体と、該積層体の上面と下面とを押圧して複数の
    弁金属箔を一体に固定する固定枠体と、各弁金属箔を互
    いに接続する陽極用導電体と、各導電性高分子層を互い
    に接続する陰極用導電体とを備えた電解コンデンサの製
    造方法であって、 複数の帯状の弁金属箔に誘電体層上に導電性高分子層を
    形成する工程と、 複数の陽極弁金属箔を積層して積層材とし、積層材の上
    面と下面とを固定枠体で挟持して固定する枠付けする工
    程と、 枠付けした積層材を該積層材の長手方向に所定の間隔で
    切断し、それぞれ切断された弁金属箔が積層されて固定
    枠体で固定された個々のコンデンサ素子に分離する切断
    工程と、 各コンデンサ素子を陽極酸化して、各弁金属箔の側面の
    一部又は全部に酸化皮膜を形成する工程と、 各コンデンサ素子に、各導電性高分子層に電気的に接続
    されかつ、切断された各弁金属箔の側面とは酸化皮膜を
    介して絶縁されている陰極用導電体を形成する工程と、 を含むことを特徴とする電解コンデンサの製造方法。
  29. 【請求項29】 製造方法が、導電性高分子層を形成す
    る工程に先立って、弁金属箔を粗面化することと、該粗
    面化した表面領域に酸化皮膜を形成することを含む請求
    項28記載の電解コンデンサの製造方法。
  30. 【請求項30】 製造方法が、切断工程の前に、該積層
    材の露出側面に陽極用導電体を形成する工程を含む請求
    項28に記載の電解コンデンサの製造方法。
  31. 【請求項31】 陽極用導電体形成工程において、切断
    工程に先立って、積層材の各弁金属箔を導電性高分子層
    とは絶縁された領域で貫通する貫通孔を設け、該貫通孔
    に金属ワイヤを挿入し、切断工程において、金属ワイヤ
    が挿通された電解コンデンサに分離することを特徴とす
    る請求項30に記載の電解コンデンサの製造方法。
  32. 【請求項32】 製造方法が、切断工程の後に、陽極用
    導電体を、コンデンサ素子に形成する陽極用導電体形成
    工程を含むことを特徴とする請求項28に記載の電解コ
    ンデンサの製造方法。
  33. 【請求項33】 陽極用導電体形成工程において、各弁
    金属箔が導通するように該各弁金属箔を溶接して陽極用
    導電体とすることを特徴とする請求項28又は32に記
    載の電解コンデンサの製造方法。
  34. 【請求項34】 製造方法は、コンデンサ素子に陰極用
    導電体を形成した後、該コンデンサ素子を再陽極酸化を
    する工程を含む請求項28ないし33のいずれかに記載
    の電解コンデンサの製造方法。
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