JP2000344969A - 接着性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

接着性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物

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JP2000344969A
JP2000344969A JP11156242A JP15624299A JP2000344969A JP 2000344969 A JP2000344969 A JP 2000344969A JP 11156242 A JP11156242 A JP 11156242A JP 15624299 A JP15624299 A JP 15624299A JP 2000344969 A JP2000344969 A JP 2000344969A
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thermoplastic elastomer
olefin
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adhesive
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JP11156242A
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Noboru Sakamaki
昇 酒巻
Kyoko Kobayashi
恭子 小林
Akira Uchiyama
晃 内山
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 前処理のプライマーを塗布すること無く、シ
アノ系接着剤による接着性能において優れた接着力が得
られるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を提供
する。 【解決手段】 結晶性ポリオレフィン(a)5〜60重
量部と、オレフィン系共重合体ゴム(b)40〜95重
量部とからなり(成分(a)および(b)の合計は10
0重量部)、オレフィン系共重合体ゴム(b)が完全ま
たは部分架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー
(c)100重量部に対して、水酸基を有する充填剤
(d)5〜100重量部を配合するか、または変性剤
(e)として水酸基を有する不飽和単量体をグラフト変
性させることを特徴とするオレフィン系熱可塑性エラス
トマー組成物を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、α-シアノアクリレート系接着剤(以下シア
ノ系接着剤という)による接着性能においてプライマー
を塗布することなく優れた接着強さが得られるオレフィ
ン系熱可塑性エラストマー組成物に関するものである。
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シアノ系接着剤に
よる接着性能において優れた接着力が得られるオレフィ
ン系熱可塑性エラストマー組成物に関するものであり、
更に詳しくは、シアノ系接着剤用前処理剤のプライマー
を塗布すること無く、接着性能として優れた接着強さが
得られるオレフィン系熱可塑性エラストマーに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、オレフィン系熱可塑性エラストマ
ー材料同士またはオレフィン系熱可塑性エラストマー材
料と他種材料との接着に、接着剤としてシアノ系接着剤
のみを使用して接着しても、必要とされる接着強さが得
られていない。これはオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーが非極性であることから接着強さが弱く、必要とされ
る適当な接着強さが得られていないのが現状である。
【0003】そこで、オレフィン系熱可塑性エラストマ
ーの接着性を改善するために、オレフィン系熱可塑性エ
ラストマー材料の接着面をサンドブラストや研磨紙によ
る表面研磨、または前処理剤のプライマー塗布による表
面の処理等によって改質し接着性能を得ようとしてい
た。接着性能はプライマー塗布が最も適している。その
工程は接着面の脱脂、前処理剤のプライマー塗布、乾
燥、シアノ系接着剤を塗布、固化となっている。オレフ
ィン系熱可塑性エラストマー材料のシアノ系接着剤によ
る接着も、プライマー塗布処理を行うと接着性能も良く
なるが、工程が増え、プライマー乾燥時間が必要とされ
る。
【0004】オレフィン系熱可塑性エラストマーは、自
動車のモール部品類や建築材料のガスケット等に使用さ
れているが、組立の工程で熱可塑性エラストマー成形品
同士の端末を接着して等により使用される。これらの工
程での接着には、短時間で接着力が得られるシアノ系接
着剤が使われることが多い。接着後に早く接着強さが得
られ、次の工程に移れるからである。シアノ系接着剤を
使用しての接着方法は脱脂工程、プライマー塗布、乾
燥、接着剤塗布、接着としている。一般的には表面の研
磨工程は除かれていて、接着剤を塗布し、固化完了後、
組み込み工程と一連の工程となっている。
【0005】オレフィン系熱可塑性エラストマーのシア
ノ系接着剤系による接着には、オレフィン用プライマー
による表面処理が最も適しており、良好な接着強さが得
られている。しかし、オレフィン系熱可塑性エラストマ
ー材料では、プライマーによる表面処理工程が必須とな
り、プライマーを使用すると、塗布工程や乾燥時間を含
め経済的にコスト高となるために、生産工程からはプラ
イマーを塗布せず、簡略な接着方法が無いため問題とな
っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のような事情を鑑
み、本発明者らは、前記問題を解決するべく鋭意検討し
たところ、特定の充填剤を配合するか又は特定の変性剤
によって変性された完全または部分架橋されたオレフィ
ン系熱可塑性エラストマーを基材として、シアノ系接着
剤による接着性能が優れ、かつプライマーを用いること
なく実質的に十分な必要とされる接着強さが得られるオ
レフィン系熱可塑性エラストマー材料が得られることを
見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明にかかるオレフィ
ン系熱可塑性エラストマー組成物は、結晶性ポリオレフ
ィン(a)5〜60重量部とオレフィン系共重合体ゴム
(b)40〜95重量部からなり、オレフィン系共重合
体ゴム(b)が完全または部分架橋されたオレフィン系
熱可塑性エラストマー(c)100重量部に、水酸基を
有する充填剤(d)1〜100重量部を配合してなる組
成物である。更にはオレフィン系熱可塑性エラストマー
(c)に変性剤(e)として水酸基を有する不飽和単量
体0.1〜20重量部をグラフト変性させたオレフィン
系熱可塑性エラストマー組成物である。
【0008】シアノ系接着剤は微量の水分で固化(重
合)反応を起こす。この固化反応を行わせるために、水
酸基を有する充填剤、あるいは水酸基を有する変性剤を
利用し、それらの水酸基とシアノ系接着剤の固化反応行
うことから、非極性のオレフィン系熱可塑性エラストマ
ーにおいて良好な接着強さを得ることが出来る。すなわ
ち、本発明は完全または部分架橋されたオレフィン系熱
可塑性エラストマーに水酸基を有する充填剤(d)を配
合したもの、あるいは水酸基を有する変性剤(e)をオ
レフィン系熱可塑性エラストマーにグラフト反応させ
て、ポリマーに水酸基を有する変性剤が枝状に化学結合
していることにより、これらの水酸基とシアノ系接着剤
の固化が起こり接着力が高まるのである。
【0009】このことから、本発明においては、オレフ
ィン系熱可塑性エラストマーの含有する水酸基とシアノ
系接着剤との反応性が高まり、プライマーを使用せずし
て接着性能に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマー
組成物が得られるのである。
【0010】
【発明の具体的発明】以下、本発明に係るオレフィン系
熱可塑性エラストマー組成物について詳細に説明する。
【0011】結晶性ポリオレフィン(a) 本発明で用いられる結晶性ポリオレフィン(a)として
は、炭素原子数2〜20のα-オレフィンの単独重合体
または共重合体が挙げられる。前記の結晶性ポリオレフ
ィン(a)として、具体的な例には、以下のような
(共)重合体が挙げられる。 (1)エチレン単独重合体(製法は、低圧法、高圧法の
いずれでも良い) (2)エチレンと10モル%以下の他のα-オレフィン
または酢酸ビニル、エチルアクリレートなどのビニルモ
ノマーとの共重合体 (3)プロピレン単独重合体 (4)プロピレンと10モル%以下の他のα-オレフィ
ンとのランダム共重合体
【0012】(5)プロピレンと30モル%以下の他の
α-オレフィンとのブロック共重合体 (6)1-ブテン単独重合体 (7)1-ブテンと、10モル%以下の他のα-オレフィ
ンとのランダム共重合体 (8)4-メチル-1-ペンテン単独重合体 (9)4-メチル-1-ペンテンと、20モル%以下の他の
α-オレフィンとのランダム共重合体
【0013】前記のα-オレフィンとしては、具体的に
は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペ
ンテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどが挙げられる。
【0014】オレフィン系共重合体ゴム(b) 本発明で用いられるオレフィン系共重合体ゴム(b)
は、炭素原子数2〜20のα-オレフィンを主成分とす
る無定形ランダムな弾性共重合体であって、2種以上の
α-オレフィンからなる非晶性α-オレフィン共重合体、
2種以上のα-オレフィンと非共役ジエンとからなるα-
オレフィン・非共役ジエン共重合体などがある。
【0015】前記のオレフィン系共重合体ゴム(b)と
して、具体的には、以下のようなゴムが挙げられる。 (1)エチレン・α-オレフィン共重合体ゴム [エチレン/α-オレフィン(モル比)=約90/10
〜約50/50] (2)エチレン・α-オレフィン・非共役ジエン共重合
体ゴム [エチレン/α-オレフィン(モル比)=約90/10
〜約50/50] (3)プロピレン・α-オレフィン共重合体ゴム [プロピレン/α-オレフィン(モル比)=約90/1
0〜約50/50] (4)ブテン・α-オレフィン共重合体ゴム [ブテン/α-オレフィン(モル比)=約90/10〜
約50/50]
【0016】前記のα-オレフィンとしては、具体的に
は、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペ
ンテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどが挙げられる。
【0017】前記の非共役ジエンとしては、具体的に
は、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、シクロ
オクタジエン、メチレンノルボルネン、5-エチリデン-2
-ノルボルネン、(5-ビニル-2-ノルボルネン、)などが
挙げられる。
【0018】これらの共重合体ゴムのムーニー粘度ML
1+4 (100℃)は、10〜250、特に40〜150
が好ましい。
【0019】また、前記のオレフィン系ゴム(b)がα
-オレフィン・非共役ジエン共重合である場合は、非共
役ジエンの共重量は、ヨウ素価表示にして25以下が好
ましい。ヨウ素価が25以下であれば、成形性が良好で
ある。
【0020】他のゴム 本発明においては、前記のオレフィン系共重合体ゴム
(b)に加えてさらに他のゴムを配合してもよい。他の
ゴムとして、具体的には、ブチルゴム(IIR)等のジ
エン系ゴム、ポリイソブチレンなどが挙げられる。
【0021】オレフィン系熱可塑性エラストマー(c) 本発明で用いられる熱可塑性エラストマー(c)におい
て、結晶性ポリオレフィン(a)とオレフィン系ゴム
(b)との配合割合(結晶性ポリオレフィン(a)/オ
レフィンゴム(b))は、重量比にして、60/40〜
5/95、好ましくは35/65〜10/90である。
【0022】結晶性ポリプロピレン(a)の配合割合
が、上記範囲内にあると、硬さとゴム的な感触の点から
優れる。前記のオレフィン系共重合体ゴム(b)は、熱
可塑性エラストマー中において、部分架橋、完全架橋な
どの架橋状態で存在していることにより、ゴム的性質が
発現され好ましい。
【0023】オレフィン系共重合体ゴム(b)を架橋す
るためには、架橋剤としては、有機ペルオキシドやフェ
ノール系架橋剤等が用いられる。
【0024】有機ペルオキシド 本発明においては、有機ペルオキシドは、オレフィン系
熱可塑性エラストマー(c)(結晶性ポリオレフィン
(a)とオレフィン系ゴム(b)との合計)100重量
部に対して、0.05〜3重量部、好ましくは0.1〜
1重量部の割合で用いられる。
【0025】前記有機ペルオキシドによる部分架橋処理
に際し、ペルオキシド架橋用助剤、あるいは多官能性ビ
ニルモノマーを配合することができる。このような化合
物を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待
できる。特に、本発明においては、ジビニルベンゼンが
最も好ましい。ジビニルベンゼンは、取扱い易く、上記
の被架橋処理物であるオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー(c)の主成分である結晶性ポリオレフィン(a)お
よびオレフィン系ゴム(b)との相溶性が良好であり、
かつ、有機ペルオキシドを可溶化する作用を有し、有機
ペルオキシドの分散剤として働くため、熱処理による架
橋効果が均質で、流動性と物性とのバランスのとれた熱
可塑性エラストマーが得られる。
【0026】前記のような架橋助剤もしくは多官能性ビ
ニルモノマーは、前記の被架橋処理物であるオレフィン
系熱可塑性エラストマー(c)全体に対して、0.1〜
2重量部、特に0.2〜1重量部の割合で用いるのが好
ましい。
【0027】水酸基を有する充填剤(d) 本発明において用いられる水酸基を有する充填剤(d)
としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等
があげられる。これらの水酸基を有する充填剤(d)は
単独もしくは2種以上を混合して用いられる。本発明に
係るオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物におい
て、これらの水酸基を有する充填剤(d)は、オレフィ
ン系熱可塑性エラストマー(c)(結晶性ポリオレフィ
ン(a)とオレフィン系ゴム(b)との合計)100重
量部に対して、以下の場合1〜100重量部、好ましく
は5〜50重量部配合される。
【0028】他の充填剤 本発明では、水酸基を有しない他の充填剤を併用するこ
ともできる。他の充填剤としては、具体的には、ケイ酸
カルシウム、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、サ
ブ、酸化チタン、シリカ、等が挙げられる。これらの他
の充填剤は、オレフィン系熱可塑性エラストマー(c)
(結晶性ポリオレフィン(a)とオレフィン系ゴム
(b)との合計)100重量部に対して、100重量部
以下の範囲で配合される。前記の水酸基を有する充填剤
(d)の配合割合が前記範囲内にあると接着性能やゴム
的性質の点から好ましい。
【0029】変性剤(e) 本発明で用いられる変性剤(e)としては、水酸基を有
する不飽和単量体、アミノ基を有する不飽和単量体、不
飽和カルボン酸およびその誘導体、不飽和エポキシおよ
びその誘導体が挙げられる。具体的には、ヒドロキシエ
チルアクリレート、N,N'-ジメチルアミノメチルメタク
リレート、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル
酸、グリシジルアクリレート等が挙げられる。本発明に
係るオレフィン系熱可塑性エラストマーにおいて、これ
らの変性剤(e)は、オレフィン系熱可塑性エラストマ
ー(c)(結晶性ポリオレフィン(a)とオレフィン系
ゴム(b)との合計)100重量部に対して0.1〜2
0重量部、好ましくは0.5〜10重量部グラフト変性
される。
【0030】熱可塑性エラストマーを作る場合の動的に
熱処理される条件から、特に架橋反応工程で変性剤
(e)が添加されていると、有機ペルオキシドのラジカ
ルが変性剤(e)との反応開始剤となり、変性剤(e)
のグラフト反応も同時に生成され、結晶性ポリオレフィ
ン(a)とオレフィン系ゴム(b)へグラフト反応を生
成することができる。また、動的に熱処理される条件か
らの架橋反応工程で、変性剤(e)が添加されていて
も、水酸基を有する充填剤(d)が配合されていても、
架橋反応やグラフト反応に影響は与えないで目的の組成
物を得ることが出来る。
【0031】第3級アミノ化合物 さらに、本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー組成物には、必要によって、接着剤の固化(重合)反
応を促進する機能を有する物質、即ち触媒として働く物
質を添加することが出来る。これらの物質としては、例
えばシアノ系接着剤の硬化反応を促進するような第3級
アミノ化合物等を挙げることが出来る。
【0032】本発明においては必要に応じて第3級アミ
ノ化合物又は有機スズ化合物を使用しても良い。第3級
アミノ化合物としては、具体的には、ジメチルプロピル
アミン、ジエチルプロピルアミン、トリス(ジメチルア
ミノメチル)フェノール、テトラグアニジン、N,N'-ジ
ブチルエタノールアミン、N-メチル-N,N'-ジエタノール
アミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2.]オク
タン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0.]-7-ウ
ンデセン、テトラメチルブタンジアミンが挙げられる。
このような第3級アミノ化合物の配合量は、オレフィン
系熱可塑性エラストマー(c)(結晶性ポリオレフィン
(a)とオレフィン系ゴム(b)との合計量)100重
量部に対し、0.01〜10重量部、好ましくは0.0
5〜5重量部である。
【0033】その他の添加剤 本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物には、必要に
応じ、鉱物油系軟化剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候
安定剤、老化防止剤、着色剤、滑剤、などの添加物を、
本発明の目的を損なわない範囲で配合することができ
る。鉱物油系軟化剤はゴム成分を軟化させ、架橋された
場合でもその硬さを和らげる働きをするとともに、充填
剤が混合される場合には、充填剤の分散性を上げるとと
もに、出来た熱可塑性エラストマーの成形加工性をも良
くすることが出来る。
【0034】架橋方法 本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物
は、[1]結晶性ポリオレフィン(a)、オレフィン系共
重合体ゴム(b)を架橋剤の存在下で「動的に熱処理」
した後に、充填剤(d)を「動的に熱処理」して製造し
てもいいし、[2]結晶性ポリオレフィン(a)とオレフ
ィン系共重合体ゴム(b)と充填剤(d)を同時に架橋
剤の存在下で「動的に熱処理」して製造してもかまわな
い。
【0035】前記の「動的に熱処理する」とは、前記の
ような各成分を溶融状態で混練することをいう。混練装
置としては、従来公知の混練装置、たとえば開放型のミ
キシングロール、非開放型のバンバリーミキサー、押出
機、ニーダー、連続ミキサーなどが用いられる。これら
の内では、非開放型の混練装置が好ましく、混練は、窒
素ガス、炭酸ガスなどの不活性ガスの雰囲気下で行なう
ことが好ましい。
【0036】架橋度 本発明に係る熱可塑性エラストマー(c)は、成分
(d)であるオレフィン系ゴムが完全または部分的に架
橋されている。本発明では特に、部分的に架橋されてい
るオレフィン系熱可塑性エラストマーが用いられるが、
この「部分的に架橋された」とは、下記の方法で測定し
たゲル含量が20〜98%の範囲内にある場合をいい、
本発明においては、ゲル含量が40〜98%の範囲内に
あることが好ましい。
【0037】[ゲル含量の測定法]熱可塑性エラストマ
ーの試料を約100mg秤量して0.5mm×0.5m
m×0.5mmの細片に裁断し、次いで、得られた細片
を、密閉容器中にて30mlのシクロヘキサンに、23
℃で48時間浸漬する。次に、この試料を濾紙上に取り
出し、室温にて72時間以上恒量になるまで乾燥する。
この乾燥残渣の重量からポリマー成分以外のシクロヘキ
サン不溶性成分(繊維状フィラー、充填剤、顔料等)の
重量を減じた値を、「補正された最終重量(Q)」とす
る。
【0038】一方、試料の重量からポリマー成分以外の
シクロヘキサン可溶性成分(たとえば軟化剤)の重量お
よびポリマー成分以外のシクロヘキサン不溶性成分(繊
維状フィラー、充填剤、顔料等)の重量を減じた値を、
「補正された初期重量(P)」とする。ここに、ゲル含
量(シクロヘキサン不溶解分)は、次式により求められ
る。 ゲル含量[重量%]=[補正された最終重量(Q)]÷
[補正された初期重量(P)]×100
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明は、これらの実施例により限定されるものではな
い。
【0040】
【実施例1】MFR(ASTM D 1238−65
T、230℃)24g/10分、密度0.91g/cm
3のポリプロピレン(a−1)20重量部と、エチレン
含有量67モル%、ヨウ素価13、ムーニー粘度ML
1+4(100℃)74のエチレン・プロピレン・5-エチ
リデン-2-ノルボルネン共重合体ゴム(b−1)80重
量部と、水酸基を有する充填剤(d)として協和化学製
(キスマ5B)の水酸化マグネシウム(d−1)5重量
部を、バンバリーミキサーを用いて、窒素雰囲気中、1
80℃で5分間混練した後、この混練物をロールに通し
てシート状にし、これをシートカッターで裁断して角ペ
レットを製造した。次いで、この角ペレットと、2,5-ジ
メチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3
0.7量部と、ジビニルベンゼン0.7重量部とをヘ
ンシェルミキサーで撹拌混合した。
【0041】次いで、この混合物を、L/D=40、ス
クリュー径50mmの2軸押出機を用いて、窒素雰囲気
中、220℃で押出してオレフィン系熱可塑性エラスト
マー組成物を得た。次いで、プレス成形により、温度1
90℃にて溶融させ加圧し、20℃にて加圧状態で冷却
を5分間行って厚さ0.5mmと厚さ2mmのシートを
作成した。硬さ測定試験は上記成形した2mm厚のプレ
スシートを使用し、JIS K6251に準じて測定し
た。また、ゲル含量の測定には0.5mm厚のプレス成
形シートを用いて行い、得られたオレフィン系熱可塑性
エラストマー組成物のゲル含量は、90重量%であっ
た。
【0042】接着強さ測定用試験片は、前記プレス成形
による2mm厚シートから、幅25mm、長さ90mm
の短冊形状を切り出して作成した。この短冊状試料を室
温23℃、湿度50%RHの雰囲気において接着を行っ
た。接着は短冊状の試料の厚みと幅方向の接着する面を
アセトンで湿らせた綿布で軽く拭いて脱脂し、臭いが消
えるまで乾燥した。その脱脂した面同士を合わせ、シア
ノ系接着剤(東亞合成(株)製の「アロンアルファ」瞬
間接着剤221)が少し溢れる位の量を滴下し、その面
同士を突き合わせ24時間放置した。この接着した試料
を同雰囲気にて引張試験機で接着強さを調べた。引張速
度は毎分20mmの速度にて試験を行って試験片が破断
するまでの最大荷重{Nf}を求め、その値を接着面積
(cm2)で除して、接着強さ{Nf/cm2}を求めた。全て
の結果を表1に示す。
【0043】
【実施例2】ポリプロピレン(a−1)20重量部と、
エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン
共重合体ゴム(b−1)80重量部と、水酸化マグネシ
ウム(d−1)20重量部を用いた以外は、実施例1と
同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を
得た。得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成
物のゲル含量は、86重量%であった。次いで実施例1
と同様にして硬度、および接着強さ試験を行った。結果
を表1に示す。
【0044】
【実施例3】ポリプロピレン(a−1)20重量部と、
エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン
共重合体ゴム(b−1)80重量部と、水酸化マグネシ
ウム(d−1)20重量部および鉱物油系軟化剤(出光
製のホワイトプロセスオイルPW−380)40重量部
を用いた以外は、実施例1と同様にしてオレフィン系熱
可塑性エラストマー組成物を得た。得られたオレフィン
系熱可塑性エラストマー組成物のゲル含量は、85重量
%であった。次いで実施例1と同様にして硬度および接
着試験を行った。結果を表1に示す。
【0045】
【実施例4】ポリプロピレン(a−1)20重量部と、
エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン
共重合体ゴム(b−1)60重量部、およびMFRが
0.6g/10分のブチルゴム(b−2)20重量部と
水酸化マグネシウム(d−1)20重量部を用いた以外
は、実施例1と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラス
トマー組成物を得た。得られたオレフィン系熱可塑性エ
ラストマー組成物のゲル含量は、84重量%であった。
次いで実施例1と同様にして硬度および接着試験を行っ
た。結果を表1に示す。
【0046】
【実施例5】ポリプロピレン(a−1)20重量部と、
エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン
共重合体ゴム(b−1)80重量部、および変性剤
(e)として和光純薬(株)製の2-ヒドロキシエチル
メタアクリレート(e−1)2重量部を加えてバンバリ
ーミキサーで混練した以外は、実施例1と同様にしてオ
レフィン系熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られ
たオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物のゲル含量
は、91重量%であった。次いで実施例1と同様にして
硬度および接着試験を行った。結果を表1に示す。
【0047】
【実施例6】ポリプロピレン(a−1)20重量部と、
エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン
共重合体ゴム(b−1)80重量部、および2-ヒドロ
キシエチルメタアクリレート(e―1)2重量部、更に
有機スズ化合物(f)として和光純薬(株)製のマレイ
ン酸ジブチルスズ(IV)ポリマー(f−1)0.5重量
部を加えてバンバリーミキサーで混連した以外は、実施
例1と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー組
成物を得た。得られたオレフィン系熱可塑性エラストマ
ー組成物のゲル含量は、82重量%であった。次いで実
施例1と同様にして硬度および接着試験を行った。結果
を表1に示す。
【0048】
【実施例7】ポリプロピレン(a−1)20重量部と、
エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン
共重合体ゴム(b−1)80重量部、および水酸化マグ
ネシウム(d−1)20重量部、2-ヒドロキシエチル
メタアクリレート(e―1)2重量部、マレイン酸ジブ
チルスズ(IV)ポリマー(f−1)0.5重量部を加え
てバンバリーミキサーで混練した以外は、実施例1と同
様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を得
た。得られたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物
のゲル含量は、92重量%であった。次いで実施例1と
同様にして硬度および接着試験を行った。結果を表1に
示す。
【0049】
【実施例8】ポリプロピレン(a−1)20重量部と、
エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン
共重合体ゴム(b−1)80重量部、および水酸化マグ
ネシウム(d−1)40重量部、さらに2―ヒドロキシ
エチルメタアクリレート(e―1)2重量部、マレイン
酸ジブチルスズ(IV)ポリマー(f―1)0.5重量
部、その他の充填剤として白石カルシウム製ホワイトン
SB(d−2)20重量部を加えてバンバリーミキサー
で混連した以外は、実施例1と同様にしてオレフィン系
熱可塑性エラストマー組成物を得た。得られたオレフィ
ン系熱可塑性エラストマー組成物のゲル含量は、93重
量%であった。次いで実施例1と同様にして硬度および
接着試験を行った。結果を表1に示す。
【0050】
【比較例1】ポリプロピレン(a−1)20重量部と、
エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン
共重合体ゴム(b−1)80重量部を使用し、実施例1
と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマーを得
た。得られたオレフィン系熱可塑性エラストマーのゲル
含量は、90重量%であった。次いで実施例1と同様に
して硬度および接着試験を行った。結果を表1に示す。
【0051】
【比較例2】ポリプロピレン(a−1)70重量部と、
エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン
共重合体ゴム(b−1)30重量部、水酸化マグネシウ
ム(d−1)20重量部を使用し、実施例1と同様にし
てオレフィン系熱可塑性エラストマーを得た。得られた
オレフィン系熱可塑性エラストマーのゲル含量は、90
重量%であった。次いで実施例1と同様にして硬度およ
び接着試験を行った。得られた熱可塑性エラストマー組
成物は硬さが硬くゴム的性質を帯びるものではなく、シ
アノ系接着剤による接着強さは弱く実用に適するレベル
に至らなかった。
【0052】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BB03W BB05X BB06W BB07W BB12W BB14W BB14X BB15W BB15X BB17W BB17X BB18X BB21X BN14X BP02W BP03W DE076 DE146 FD010 FD016 GJ01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】結晶性ポリオレフィン(a)5〜60重量
    部と、オレフィン系共重合体ゴム(b)40〜95重量
    部からなり(成分(a)および(b)の合計は100重
    量部)、オレフィン系共重合体ゴム(b)が完全または
    部分架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー
    (c)100重量部に対して、水酸基を有する充填剤
    (d)1〜100重量部を配合してなることを特徴とす
    るオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 【請求項2】結晶性ポリオレフィン(a)5〜60重量
    部と、オレフィン系共重合体ゴム(b)40〜95重量
    部(成分(a)および(b)の合計は100重量部)と
    からなり、オレフィン系共重合体ゴム(b)が完全また
    は部分架橋されたオレフィン系熱可塑性エラストマー
    (c)100重量部に対し、変性剤(e)として水酸基
    を有する不飽和単量体0.1〜20重量部をグラフト変
    性させてなることを特徴とするオレフィン系熱可塑性エ
    ラストマー組成物。
JP11156242A 1999-06-03 1999-06-03 接着性オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物 Pending JP2000344969A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020079400A (ja) * 2016-01-21 2020-05-28 三井化学株式会社 組成物、積層体、包材、電池ケース用包材および電池
JPWO2021200928A1 (ja) * 2020-03-31 2021-10-07

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CN115315478A (zh) * 2020-03-31 2022-11-08 三井化学株式会社 热塑性弹性体组合物及其成型体

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