JP2000343693A - インクジェットヘッド及びその製造方法 - Google Patents

インクジェットヘッド及びその製造方法

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JP2000343693A
JP2000343693A JP16035499A JP16035499A JP2000343693A JP 2000343693 A JP2000343693 A JP 2000343693A JP 16035499 A JP16035499 A JP 16035499A JP 16035499 A JP16035499 A JP 16035499A JP 2000343693 A JP2000343693 A JP 2000343693A
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electrode
diaphragm
common electrode
jet head
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JP16035499A
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Makoto Tanaka
田中  誠
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 静電型イングジェットヘッドにおいて、個別
電極及び共通電極と外部駆動回路との実装時の工程の簡
単化によるヘッド製造におけるスループットの向上、及
び接合されたシリコン基板を各ヘッドに分割するダイジ
ング工程の際にギャップ内へのダストを含んだ水等が毛
管現象で浸入することを防止することによる歩留まりの
向上、さらに高密度化、小型化可能で長期信頼性にも優
れたインクジェトヘッド及びその製造方法の提供。 【解決手段】 振動板/液室基板1の振動板11側に個
別電極13を設け、共通電極基板2を共通電極とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はインクジェットヘッド及
びその製造方法に関し、特に静電気力を用いるインクジ
ェットヘッド及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、ファクシミリ、複写装置等の
画像記録装置として用いるインクジェット記録装置にお
いて使用するインクジェットヘッドは、インク滴を吐出
するノズル孔と、このノズル孔が連通する吐出室(圧力
室、加圧液室、液室、インク流路等とも称される。)
と、この吐出室内のインクを加圧するエネルギーを発生
するエネルギー発生手段とを備えて、エネルギー発生手
段を駆動することで吐出室内インクを加圧してノズル孔
からインク滴を吐出させるものであり、記録の必要なと
きにのみインク滴を吐出するインク・オン・デマンド方
式のものが主流である。
【0003】従来、吐出室内のインクを加圧するエネル
ギーを発生するエネルギー発生手段として、圧電素子を
用いて吐出室の壁面を形成する振動板を変形させて吐出
室内容積を変化させてインク滴を吐出させるようにした
もの(特開平2−51734号公報参照)、或いは、発
熱抵抗体を用いて吐出室内でインクを加熱して気泡を発
生させることによる圧力でインク滴を吐出させるように
したもの(特開昭61−59911号公報参照)などが
知られている。
【0004】しかしながら、上述した従来のインクジェ
ットヘツドのうち、前者の圧電素子を用いる方式におい
ては、吐出室に圧力を生じさせるために振動板に圧電素
子のチップを貼り付ける工程が複雑であり、特にインク
ジェット記録装置では高速、高印字品質が求められてき
ており、これに対応するためにはマルチノズル化、ノズ
ルの高密度化が不可欠であるが、圧電素子を微細に加工
し、多数の圧電素子を振動板に接着することは、極めて
煩雑で多くの時間がかかる。しかも、高密度化の結果、
圧電素子を幅数十〜百数十μmで加工する必要が生じて
きているが、従前の機械加工における寸法、形状精度で
は加工品質にばらつきが発生するために印字品質のばら
つきが大きくなる。
【0005】また、後者のインクを加熱する方式におい
ては、圧電素子を用いる場合の問題は生じないものの、
発熱抵抗体の急速な加熱、冷却の繰り返し、気泡消滅時
の衝撃によって、発熱抵抗体がダメージを受けるため
に、総じてインクジェットヘッドの寿命が短くなる。
【0006】そこで、こうした問題を解決するものとし
て、特開平6−71882号公報に記載されているよう
に、吐出室の壁面を形成する振動板を静電気力によって
変形させることで吐出室内容積を変化させてインク滴を
吐出させる静電型インクジェットヘッドが提案されてお
り、この静電気力を用いる方式にあっては、小型、高密
度、高印字品質及び長寿命を達成できるという利点があ
る。
【0007】そこで、従来の静電型インクジェットヘッ
ド及び外部駆動回路との実装方法について図19を参照
して説明する。インクジェットヘッドは、第1の基板
(振動板/液室基板)101と、第1の基板101の下
側にギャップスペーサ部材103を介して接合した第2
の基板(電極基板)102と、第1の基板101の上側
に設けた蓋部材を兼ねるノズル基板104とを備え、第
1の基板101には、ノズル基板104に形成した複数
のノズル孔106が連通する吐出室107、各吐出室1
07にインクを供給するための共通インク流路108、
各吐出室107と共通インク流路108とを連通する流
体抵抗部109、各吐出室107の底部となりその壁面
を形成する変形可能な振動板111と、電極基板102
の個別電極用外部電極に対応する部分となるコンタクト
部110を設けている。
【0008】また、電極基板102にはギャップ形成用
の凹部を形成し、この凹部内に振動板111に所定のギ
ャップ112を置いて対向する個別電極113を設け、
この電極113の表面を酸化膜等の電極保護膜114で
被覆している。この電極113を個別電極として使用
し、振動板111を共通電極として使用する。また、電
極113を外方に延設して個別電極用外部電極115を
一体に形成し、外部電極115上に電極パッド116を
設けている。
【0009】そして、このインクジェットヘッドの個別
電極用外部電極115の電極パッド116と駆動回路を
実装した回路基板121の電極パッド122との間をワ
イヤボンディングによるリード線123にて接続する。
【0010】また、従来のインクジェットヘッド及び外
部駆動回路との実装方法としては、図20に示すよう
に、図19の第1の基板101のコンタクト部110を
形成する部分を除去してワイヤボンディングによるワイ
ヤ124で外部回路基板121と接続するもの、或いは
図21に示すように異方性導電膜125を介してフレキ
シブルプリント基板(FPC)126で外部回路基板1
21と接続するものなどもある。
【0011】また、インクジェットヘッドの製造方法と
しては、第1の基板101及び第2の基板102にシリ
コン基板を用いて、ウエハ−トゥ−ウエハで接合し、各
ヘッド毎に分割するダイシング工程を行うことで、図2
2或いは図23に破線で示すダイシング分割線127で
分割する方法が知られている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来のインクジェットヘッドにあっては、振動板の変位方
向をインク滴吐出方向とし、かつ、個別電極及び共通電
極(振動板兼用)と外部駆動回路との実装面(リード線
接続面)がいずれもインク滴噴射面側に配置されている
構造にしている。
【0013】そのため、図19に示すように、コンタク
ト部となる凹部を設けた場合には、ワイヤボンディング
のワイヤがノズル面よりも高くなり、ワイヤが用紙と接
触しない構造にする必要がある。また、図20に示すよ
うに、コンタクト部の側壁部を除去した場合には、ワイ
ヤボンディングやFPCでの実装が可能になるが、図2
3に示すようにウエハ−トゥ−ウエハで接合してダイシ
ング工程で分割する製造方法を用いた場合に、ダイシン
グ中に振動板111と個別電極113とのギャップ11
2内に毛管現象によってダストが混じった水等が吸い込
まれ易くなり、歩留まりが低下する。
【0014】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、工程上や実装上の不都合を招くことなく、高密
度化、小型化可能で、長期信頼性にも優れたインクジェ
ットヘッド及びその製造方法を提供することを目的とし
ている。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係るインクジェットヘッドは、振動板側に
個別電極を設け、振動板に対向する電極を共通電極とし
た構成とした。ここで、振動板を形成し個別電極を設け
た振動板基板と、共通電極を形成した共通電極基板とを
有し、これらの振動板基板と共通電極基板とを個別電極
と共通電極とのギャップを形成するギャップ形成部材を
介して接合することができる。また、振動板基板に個別
電極と前記共通電極とのギャップを形成する凹部を設
け、振動板基板と共通電極基板とを接合することもでき
る。さらに、共通電極基板に個別電極と共通電極とのギ
ャップを形成する凹部を設け、これらの振動板基板と共
通電極基板とを接合することもできる。
【0016】また、振動板基板はSOI基板とし、この
SOI基板の活性層部分で個別電極を形成することがで
きる。この場合、SOI基板の活性層が1〜20μmの
厚みを有し、かつ、オーミック形成が可能な不純物濃度
を有していることが好ましい。
【0017】本発明に係るインクジェットヘッドの製造
方法は、振動板基板にSOI基板を用いて、このSOI
基板の活性層の一部を熱酸化処理して、振動板兼用の個
別電極及び共通電極とのギャップを形成するギャップス
ペーサ部を同一面内に同時に形成する構成としたもので
ある。
【0018】また、本発明に係る他のインクジェットヘ
ッドの製造方法は、振動板基板にSOI基板を用いて、
このSOI基板の活性層をパターニングして振動板兼用
の個別電極及び共通電極とのギャップを形成するギャッ
プスペーサ用凸部を形成する工程と、ギャップスペーサ
用凸部のみを酸化する工程とを含み、振動板兼用の個別
電極及び前記共通電極とのギャップを形成するギャップ
スペーサ部を同一面内に同時に形成する構成としたもの
である。
【0019】さらに、本発明に係る更に他のインクジェ
ットヘッドの製造方法は、振動板基板にシリコン基板を
用いて振動板の厚みを有する酸化膜を形成する工程と、
酸化膜のうちの個別電極を形成する領域を除去する工程
と、電極間絶縁のための酸化層を形成する工程と、酸化
膜を除去した領域にポリシリコン層を埋め込む工程とを
含む構成としたものである。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は本発明に係る静電型イ
ンクジェットヘッドの第1実施形態を示す図3のA−A
線に沿う断面説明図、図2は図3のB−B線に沿う側断
面説明図、図3は図1の上面図、図4は図1の下面図で
ある。このインクジェットヘッドは、第1の基板である
振動板/液室基板1と、振動板/液室基板1の下側にギ
ャップスペーサ部材3を介して接合した第2の基板で
り、共通電極となる共通電極基板2、振動板/液室1の
上側に設けた蓋部材を兼ねるノズル基板4とを備えてい
る。ここでは、振動板/液室基板1及び共通電極基板2
にはシリコン単結晶基板を用いている。
【0021】振動板/液室基板1には、ノズル基板4に
形成した複数のノズル孔6が連通する吐出室7を形成す
る凹部と、各吐出室7にインクを供給するための共通イ
ンク流路8を形成する凹部と、各吐出室7と共通インク
流路8とを連通する流体抵抗部9を形成する溝と、各吐
出室7の底部となりその壁面を形成する変形可能な振動
板11とを設けている。
【0022】また、振動板/液室基板1の振動板11の
外面側には絶縁分離膜12を介して個別電極13を設
け、この個別電極13の表面を酸化膜等の電極保護膜1
4で被覆保護している。また、個別電極13を共通イン
ク流路8の下方側に延設して個別電極用外部電極15を
一体に形成している。
【0023】そして、共通電極基板2を振動板/液室基
板1に設けたギャップスペーサ部材3を介して振動板/
液室基板1の下側に接合することで、共通電極(共通電
極基板2)と個別電極13とを所定のギャップ16を置
いて対向させて配置している。また、共通電極基板2に
は個別電極用外部電極15の部分を開口する開口部17
を形成している。なお、ギャップスペーサ部材3は絶縁
分離膜12を一体に形成したものであり、個別電極13
を形成する凹部18を設けている。
【0024】このインクジェットヘッドにおいては、駆
動波形を個別電極13に印加して共通電極基板2である
共通電極との間に充電することで電荷によるクーロン力
を発生させ、個別電極13と共に振動板11を共通電極
基板2側に撓ませて、吐出室7の容積を拡大する。この
状態から、個別電極13と共通電極基板2との間の電荷
を急激に放電させることにより、振動板11はその弾性
復元力によって復帰し、吐出室7内の容積が急激に収縮
し、このとき発生するインク圧力によってノズル孔6か
らインク滴が吐出される。
【0025】そして、再度個別電極13に駆動波形を印
加して振動板11を共通電極基板2側に変位させてその
状態に保持し、インク滴吐出により吐出室7内に負圧が
生じて共通インク流路8からインク供給路(流体抵抗
部)9を通じて吐出室7内にインクが供給され、ノズル
孔6のインクメニスカスがある程度安定した状態で、次
のインク滴吐出行程へと移行する。なお、駆動波形とし
ては、極性の異なる駆動波形(パルス波形)を交互する
ことができる。
【0026】ここで、このインクジェットヘッドは、電
極との実装面がヘッド裏面側(インク噴射面と反対の面
側)に集約されているので、個別電極13及び共通電極
となる共通電極基板2への外部駆動回路の実装は、図5
に示すように、駆動回路を実装した回路基板20にそれ
ぞれ個別電極用電極パッド21、共通電極用電極パッド
22を設けて、各電極パッド21、22に設けたバンフ
23、24を個別電極用外部電極15及び共通電極基板
2に接続するバンフ実装で行うことができる。
【0027】このバンフ実装方法は最も安価で容易な実
装方法であり、バンフ実装の場合にはダイボンドを兼ね
ることができるので実装時のアライメント回数を減らす
ことができて、工程が簡単になる。特に、共通電極基板
2が共通電極自体を兼ねるようにすることで、一層裏面
実装が容易となる。しかも、共通電極基板にパターニン
グがない場合には、振動板基板との接合時にアライメン
トの必要がなくなるので、接合専用のアライメント装置
が不要になり、ヘッド製造におけるスループットが向上
する。
【0028】また、図6に示すように振動板/液室基板
1及び共通電極基板2にシリコン基板を用いてウエハ−
トゥ−ウエハで製作、接合するようにした場合、ダイシ
ング分割線26でここのヘッドに分割するときにも、ギ
ャップ16内へのダストを含む水等が毛管現象で浸入す
ることを防止でき、信頼性が向上し、歩留まりも向上す
る。
【0029】次に、図7は本発明に係るインクジェット
ヘッドの第2実施形態を示す側断面説明図である。この
インクジェットヘッドは、振動板/液室基板31にシリ
コン基板32を用いて個別電極13を形成すると共に共
通電極基板2とのギャップ16を規定する凹部33を形
成し、絶縁膜である酸化層34を介して共通電極基板2
と接合したものである。この酸化層33は振動板11と
個別電極13とを分離する絶縁分離膜12を兼ねてい
る。ここで、振動板/液室基板31及び共通電極基板2
はいずれもシリコン基板であり、振動板/液室基板31
の凹部33はLOCOS法により形成することができ
る。
【0030】そこで、このインクジェットヘッドの製造
方法の一例について図8を参照して説明する。同図
(a)に示すように表面32aが鏡面研磨されたシリコ
ン基板32を用いて、同図(b)に示すように、シリコ
ン基板32の研磨面32aを保護するためのバッファ酸
化膜(マスク層)35と、異方性エッチングで、吐出室
7用の凹部を形成し、LOCOS法で個別電極用凹部3
3を形成するためのマスク層36となる窒化膜を順次成
膜する。
【0031】次に、同図(c)に示すように、ギャップ
16を規定する凹部33を形成する領域のマスク層36
及びバッファ酸化膜35をパターニングして除去した
後、凹部33を形成するために熱酸化処理行って酸化膜
37を形成する。その後、同図(d)に示すように酸化
膜37並びに残存しているマスク層35、36を除去す
る。
【0032】次いで、同図(e)に示すように、シリコ
ン基板32に電極絶縁用に酸化処理を施して酸化層34
を形成した後、個別電極13及びその保護膜14をデポ
し、パターニングして形成する。その後、シリコン基板
32と共通電極基板2とを接合する。共通電極基板2と
なるシリコン基板の表面には予め熱酸化処理で保護膜を
形成しておくこともできる。
【0033】ここでは、振動板/液室基板31となるシ
リコン基板32と共通電極基板2との接合方法には接着
剤等を含めて種々の接合方法を用いることができるが、
最もギャップ制御性のよいSi−to−Siの直接接合法で
接合している。
【0034】この直接接合法は、両方のシリコン基板
(基体)を過水処理(洗浄)して、接触させ800〜1
100℃程度でアニールすることによって行われる。処
理雰囲気はN2やO2等である。その後、異方性エッチン
グにより吐出室7となる凹部等を形成して振動板/液室
基板31とし、ノズル基板4を接合してインクジェット
ヘッドとする。
【0035】なお、振動板/液室基板31として結晶面
方位(110)のシリコン基板を用いているが、これに
限るものではない。また、電極の配置も選択する基板の
方位によって表面の吐出室7と共にある定められた結晶
方位にあわせて形成する必要があるが、吐出室7等の異
方性エッチングに関してはその説明を省略する。この場
合、吐出室7等を形成する異方性エッチング用のマスク
層35、36のパターンニングは、振動板/液室基板3
1と共通電極基板2との接合の前後のいずれでもよい
が、接合前、詳しくは酸化膜37の除去後に行うことが
好ましい。また、異方性エッチングの工程も接合の前後
のいずれでもよいが、ノズル配列密度(吐出室の配列密
度でもある。)が高い場合には、吐出室間の隔壁の破損
のおそれがあるので接合後の方が好ましい。
【0036】このようにすることで、極めて精度の高い
ギャップ16を得ることができる。このギャップの精度
は噴射液滴の大きさ、体積Mj、液滴速度Vjに直接影
響を与えるので、ギャップ精度が高くなることで印字品
質が向上し、また、ギャップのバラツキが低減すること
で低電圧化を図ることもできる。
【0037】次に、図9は本発明に係るインクジェット
ヘッドの第3実施形態を示す側断面説明図である。この
インクジェットヘッドは、SOI基板からなる振動板/
液室基板41に活性層を酸化処理した振動板11兼用の
個別電極13を形成し、共通電極基板2とのギャップ1
6を規定するギャップスペーサ部材42を介して共通電
極基板2と接合したものである。
【0038】また、図10は本発明に係るインクジェッ
トヘッドの第4実施形態を示す側断面説明図である。こ
のインクジェットヘッドは、SOI基板からなる振動板
/液室基板41に活性層を酸化処理した振動板11兼用
の個別電極13を形成し、共通電極基板2に個別電極1
3と共通電極基板2とのギャップ16を規定する凹部4
3を形成して、振動板/液室基板41と共通電極基板2
と接合したものである。なお、凹部43はLOCOS法
などで形成できる。
【0039】そこで、これらの第3、第4実施形態のイ
ンクジェットヘッドにおける振動板/液室基板41の製
造方法の一例について図11を参照して説明する。先
ず、同図(a)に示すようにベースウエハ51上にイン
タ酸化膜52を介して活性層53を形成したSOI膜5
0を用意する。ここで、活性層53の厚さは所望の振動
板の厚さ程度が必要であり、且つ、電極として使用する
ので金属とのオーミックコンタクトが可能な程度の不純
物濃度が必要である。
【0040】シリコン振動板の厚さを決定する要因とし
ては、振動板の幅及び長さ、ギャップ長16、駆動電圧
(個別電極と共通電極間の電圧)、振動板の変位量、加
圧室(吐出室)の体積等があり、一義的に定めるのは難
しいが、100V以下の駆動電圧で、100dpi程度以
上のピッチの静電ヘッドを形成するには、1〜20μm
程度の振動板厚さが必要である。また、活性層の不純物
濃度は、オーミックコンタクトをとるために、例えばN
型ウエハの場合、3E18〜5E19/cm3程度のP
(リン)の注入を行っている。不純物濃度が低すぎる
と、オーミックコンタクトができなくなり、不純物濃度
が高すぎると、接合面となる酸化膜表面が荒れてしまい
Si−to−Si直接接合ができなくなる。
【0041】そこで、同図(b)に示すように、SOI
基板50の研磨面を保護するためのバッファ酸化膜(マ
スク層)35を形成し、次に、異方性エッチングで吐出
室用の凹部を形成するためのマスク層36としての窒化
膜を成膜する。
【0042】次に、同図(c)に示すように、SOI基
板50の個別電極形成面(活性層53の面:裏面であ
る)のマスク層35、36を除去し、リソグラフィ技
術、ドライエッチング技術等により、活性層53を加工
して振動板11を兼ねた個別電極13を形成する。ここ
で、インタ酸化膜52はウェットエッチングにより除去
するとよい。これは、後工程で接合面54となるベース
ウエハ51表面に不用意なダメージ、表面荒れを発生さ
せないためである。
【0043】そして、同図(d)に示すように、酸化処
理をして振動板11兼用の個別電極13(個別電極13
を兼ねた振動板11、以下同じ)に保護膜14を形成す
る。なお、このとき、共通電極基板2或いはギャップス
ペーサ部材42との接合面54にも適度な膜厚の酸化膜
が形成される。
【0044】このようにして得られた振動板/液室基板
41となるSOI基板50をギャップスペーサ部材42
を介して(図9)或いはそのまま(図10)共通電極基
板2と接合する。なお、共通電極基板2となるシリコン
基板の表面には予め熱酸化処理で保護膜を形成しておく
こともできる。
【0045】ここでは、振動板/液室基板41となるS
OI基板50と共通電極基板2との接合方法には接着剤
等を含めて種々の接合方法を用いることができるが、最
もギャップ制御性のよいSi−to−Siの直接接合法で接
合している。
【0046】この直接接合法は、両方のシリコン基板
(基体)を過水処理(洗浄)して、接触させ800〜1
100℃程度でアニールすることによって行われる。処
理雰囲気はN2やO2等である。その後、異方性エッチン
グにより吐出室7となる凹部等を形成して振動板/液室
基板41とし、ノズル基板4を接合してインクジェット
ヘッドとする。
【0047】なお、振動板/液室基板41となるSOI
基板50のベースウエハに結晶面方位(110)のシリ
コン基板を用いているが、これに限るものではない。ま
た、電極の配置も選択する基板の方位によって表面の吐
出室7と共にある定められた結晶方位にあわせて形成す
る必要があるが、吐出室7等の異方性エッチングに関し
てはその説明を省略する。この場合、吐出室7等を形成
する異方性エッチング用のマスク層35、36のパター
ンニングは、振動板/液室基板41と共通電極基板2と
を接合する前後のいずれでもよいが、接合前、詳しくは
活性層53のパターニングの前に行うことが好ましい。
また、異方性エッチングの工程も接合の前後のいずれで
もよいが、ノズル配列密度(吐出室の配列密度でもあ
る。)が高い場合には、吐出室間の隔壁の破損のおそれ
があるので接合後の方が好ましい。
【0048】このようにSOI基板の活性層をそのまま
振動板に用いて、個別電極を兼ねた振動板を形成するの
で、インタ酸化膜をエンドポイントにすることにより、
異方性エッチングによる液室等の形成が容易になる。ま
た、振動板を個別電極としてそのまま使用しているの
で、振動板の板厚/剛性制御が容易になり、バラツキを
小さくすることができる。
【0049】次に、図12は本発明に係るインクジェッ
トヘッドの第5実施形態を示す側断面説明図である。こ
のインクジェットヘッドは、SOI基板からなる振動板
/液室基板61に活性層を酸化処理した振動板11兼用
の個別電極13を形成すると共に、共通電極基板2との
ギャップ16を規定する活性層を酸化処理したギャップ
スペーサ部63を形成して、振動板/液室基板61と共
通電極基板2と接合したものである。
【0050】そこで、このインクジェットヘッドにおけ
る振動板/液室基板61の製造方法の一例について図1
3を参照して説明する。先ず、前述した図11で用いた
のと同様に、図13(a)に示すようにベースウエハ5
1上にインタ酸化膜52を介して活性層53を形成した
SOI膜50を用意する。なお、ここでも、活性層53
の厚さは所望の振動板の厚さ程度が必要であり、且つ、
電極として使用するので金属とのオーミックコンタクト
が可能な程度の不純物濃度が必要であることは前同様で
ある。
【0051】そこで、同図(b)に示すように、SOI
基板50の研磨面を保護するためのバッファ酸化膜(マ
スク層)35を形成し、次に、異方性エッチングで吐出
室用の凹部を形成するためのマスク層36としての窒化
膜を成膜する。
【0052】次に、同図(c)に示すように、SOI基
板50の個別電極形成面(活性層53の面:裏面であ
る)のマスク層35、36のうち、個別電極となる部分
を残してパターニング除去する。そして、同図(d)に
示すように、マスク層35,層36のない部分の活性層
53を熱酸化処理してギャップスペーサ部63を形成す
ると共に、振動板11を兼ねた個別電極13を形成す
る。
【0053】その後、同図(e)に示すように、マスク
層35、36を除去して、再度酸化処理をして振動板1
1兼用の個別電極13に保護膜14を形成する。なお、
ここで、後工程で接合面となるギャップスペーサ部63
表面に不用意なダメージ、表面の荒れを発生させないた
め、マスク層35、36の除去を行わずに、マスク層3
5、36を電極保護膜14として用いることもできる。
【0054】このようにして得られた振動板/液室基板
61となるSOI基板50を共通電極基板2と接合す
る。なお、共通電極基板2となるシリコン基板の表面に
は予め熱酸化処理で保護膜を形成しておくこともでき
る。
【0055】ここでは、振動板/液室基板61と共通電
極基板2との接合方法には接着剤等を含めて種々の接合
方法を用いることができるが、最もギャップ制御性のよ
いSi−to−Siの直接接合法で接合している。その後、
異方性エッチングにより吐出室7となる凹部等を形成し
て振動板/液室基板61とし、ノズル基板4を接合して
インクジェットヘッドとする。
【0056】なお、振動板/液室基板61となるSOI
基板としてベースウエハに結晶面方位(110)のシリ
コン基板を用いているが、これに限るものではない。ま
た、電極の配置も選択する基板の方位によって表面の吐
出室7と共にある定められた結晶方位にあわせて形成す
る必要があるが、吐出室7等の異方性エッチングに関し
てはその説明を省略する。この場合、吐出室7等を形成
する異方性エッチング用のマスク層35、36のパター
ンニングは、振動板/液室基板61なるSOI基板50
と共通電極基板2とを接合する前後のいずれでもよい
が、接合前、詳しくは活性層53のパターニングの前に
行うことが好ましい。また、異方性エッチングの工程も
接合の前後のいずれでもよいが、ノズル配列密度(吐出
室の配列密度でもある。)が高い場合には、吐出室間の
隔壁の破損のおそれがあるので接合後の方が好ましい。
【0057】このようにSOI基板の活性層をそのまま
振動板に用いているので、インタ酸化膜をエンドポイン
トにすることにより、異方性エッチングによる液室等の
形成が容易になる。また、振動板を個別電極としてその
まま使用しているので、振動板の板厚/剛性制御が容易
になり、バラツキを小さくすることができる。
【0058】また、SOI基板の活性層の一部を酸化処
理することにより、振動板兼用の個別電極を形成すると
共にギヤップスペーサ部を同一面内に同時に形成するこ
とができ、工程が容易且つ簡略化する。
【0059】次に、図14は本発明に係るインクジェッ
トヘッドの第6実施形態を示す側断面説明図である。こ
のインクジェットヘッドは、SOI基板からなる振動板
/液室基板71に活性層からなる個別電極13を形成す
ると共に、共通電極基板2とのギャップ16を規定する
活性層を酸化処理したギャップスペーサ部73を形成し
て、振動板/液室基板71と共通電極基板2と接合した
ものである。
【0060】そこで、このインクジェットヘッドにおけ
る振動板/液室基板71の製造方法の一例について図1
5を参照して説明する。先ず、前述した図11で用いた
のと同様に、図15(a)に示すようにベースウエハ5
1上にインタ酸化膜52を介して活性層53を形成した
SOI膜50を用意する。なお、ここでも、活性層53
の厚さは所望の振動板の厚さ程度が必要であり、且つ、
電極として使用するので金属とのオーミックコンタクト
が可能な程度の不純物濃度が必要であることは前同様で
ある。
【0061】そこで、同図(b)に示すように、SOI
基板50の研磨面を保護するためのバッファ酸化膜(マ
スク層)35を形成し、次に、異方性エッチングで吐出
室用凹部を形成するためのマスク層36としての窒化膜
を成膜する。
【0062】次に、同図(c)に示すように、SOI基
板50の個別電極形成面(活性層53の面:裏面であ
る)のマスク層35、36と活性層53のうち、個別電
極となる部分及びギャップスペーサ部となる部分を残し
てパターニング除去する。
【0063】そして、同図(d)に示すように、ギャッ
プスペーサ部となる部分のマスク層35、36を除去す
る。ここでの酸化膜35の除去はウエットエッチングで
行うことが好ましい。これは後工程で接合面となる部分
に不用意なダメージ、表面荒れを発生させないためであ
る。次に、所望のギャップが得られるまでその部分を熱
酸化処理して、ギャップスペーサ部73を形成する。
【0064】次に、同図(e)に示すように、マスク層
35、36を除去して、再度酸化処理をし、振動板11
兼用の個別電極13を形成して保護膜14を形成する。
なお、ここで、後工程で接合面となるギャップスペーサ
部73表面に不用意なダメージ、表面の荒れを発生させ
ないため、マスク層35、36の除去を行わずに、マス
ク層35、36を電極保護膜14として用いることもで
きる。
【0065】このようにして得られた振動板/液室基板
71となるSOI基板50を共通電極基板2と接合す
る。なお、共通電極基板2となるシリコン基板の表面に
は予め熱酸化処理で保護膜を形成しておくこともでき
る。
【0066】ここでは、振動板/液室基板71と共通電
極基板2との接合方法には接着剤等を含めて種々の接合
方法を用いることができるが、最もギャップ制御性のよ
いSi−to−Siの直接接合法で接合している。その後、
異方性エッチングにより吐出室7となる凹部等を形成し
て振動板/液室基板71とし、ノズル基板4を接合して
インクジェットヘッドとする。
【0067】なお、振動板/液室基板71となるSOI
基板としてベースウエハに結晶面方位(110)のシリ
コン基板を用いているが、これに限るものではない。ま
た、電極の配置も選択する基板の方位によって表面の吐
出室7と共にある定められた結晶方位にあわせて形成す
る必要があるが、吐出室7等の異方性エッチングに関し
てはその説明を省略する。この場合、吐出室7等を形成
する異方性エッチング用のマスク層35、36のパター
ンニングは、振動板/液室基板61なるSOI基板50
と共通電極基板2とを接合する前後のいずれでもよい
が、接合前、詳しくは活性層53のパターニングの前に
行うことが好ましい。また、異方性エッチングの工程も
接合の前後のいずれでもよいが、ノズル配列密度(吐出
室の配列密度でもある。)が高い場合には、吐出室間の
隔壁の破損のおそれがあるので接合後の方が好ましい。
【0068】このようにSOI基板の活性層をそのまま
振動板に用いているので、インタ酸化膜をエンドポイン
トにすることにより、異方性エッチングによる液室等の
形成が容易になる。また、振動板を個別電極としてその
まま使用しているので、振動板の板厚/剛性制御が容易
になり、バラツキを小さくすることができる。
【0069】また、SOI基板の活性層の一部を酸化処
理することにより、振動板兼用の個別電極を形成すると
共にギヤップスペーサ部を同一面内に同時に形成するこ
とができ、工程が容易且つ簡略化する。しかも、活性層
の一部でギャップスペーサ部も形成するので、ギャップ
スペーサの高さと振動板の厚さを自由に設定することが
できる。
【0070】次に、図16は本発明に係るインクジェッ
トヘッドの第7実施形態を示す側断面説明図である。こ
のインクジェットヘッドは、SOI基板からなる振動板
/液室基板81に酸化膜層82を形成して振動板兼用の
個別電極であるポリシリコン層83を埋め込み形成し、
共通電極基板2とのギャップ16を規定するギャップス
ペーサ部材84を介して共通電極基板2と接合したもの
である。
【0071】また、図17は本発明に係るインクジェッ
トヘッドの第8実施形態を示す側断面説明図である。こ
のインクジェットヘッドは、SOI基板からなる振動板
/液室基板81に酸化膜層82を形成して振動板兼用の
個別電極であるポリシリコン層83を埋め込み形成し、
共通電極基板2に個別電極13(ポリシリコン層83)
と共通電極基板2とのギャップ16を規定する凹部85
を形成して、振動板/液室基板81と共通電極基板2と
接合したものである。なお、凹部85はLOCOS法な
どで形成できる。
【0072】そこで、これらの第7、第8実施形態のイ
ンクジェットヘッドにおける振動板/液室基板81の製
造方法の一例について図18を参照して説明する。先
ず、前述した図11で用いたのと同様に、図18(a)
に示すように鏡面研磨したSOI膜50を用意し、同図
(b)に示すように、SOI基板50の研磨面を保護す
るためのバッファ酸化膜(マスク層)35を形成し、次
に、異方性エッチングで吐出室用の凹部を形成するため
のマスク層36としての窒化膜を成膜する。
【0073】次に、同図(c)に示すように、SOI基
板50の個別電極形成面の酸化膜35及びマスク層36
を除去する。ここでの酸化膜35の除去はウエットエッ
チングで行うことが好ましい。これは接合面54となる
部分に不用意なダメージ、表面荒れを発生させないため
である。そして、振動板と同程度の厚さまで基板表面を
酸化処理して酸化膜層82を形成し、この酸化膜層82
のうちの個別電極を形成する領域のみをパターニング除
去して凹部82aを形成する。このとき、凹部82a底
部となる部分に絶縁分離膜となる酸化層膜82を残すよ
うにする。
【0074】その後、同図(d)に示すように、酸化膜
層82上に振動板兼用の個別電極を形成するためのポリ
シリコン層83を成膜し、十分な低抵抗化処理を施す。
そして、同図(e)に示すように吐出室形成面側のポリ
シリコン層83をドライエッチング等で除去するととも
に、個別電極形成面側のポリシリコン層83をCMP法
(Chemical‐Mechanical‐Polishing)等で研磨す
る。そして、同図(f)に示すように酸化処理を施して
電極保護膜14を成膜する。
【0075】このようにして得られた振動板/液室基板
81となるSOI基板50を共通電極基板2と接合す
る。なお、共通電極基板2となるシリコン基板の表面に
は予め熱酸化処理で保護膜を形成しておくこともでき
る。
【0076】ここでは、振動板/液室基板81と共通電
極基板2との接合方法には接着剤等を含めて種々の接合
方法を用いることができるが、最もギャップ制御性のよ
いSi−to−Siの直接接合法で接合している。その後、
異方性エッチングにより吐出室7となる凹部等を形成し
て振動板/液室基板81とし、ノズル基板4を接合して
インクジェットヘッドとする。
【0077】なお、振動板/液室基板81となるSOI
基板としてベースウエハに結晶面方位(110)のシリ
コン基板を用いているが、これに限るものではない。ま
た、電極の配置も選択する基板の方位によって表面の吐
出室7と共にある定められた結晶方位にあわせて形成す
る必要があるが、吐出室7等の異方性エッチングに関し
てはその説明を省略する。この場合、吐出室7等を形成
する異方性エッチング用のマスク層35、36のパター
ンニングは、振動板/液室基板81なるSOI基板50
と共通電極基板2とを接合する前後のいずれでもよい
が、接合前、詳しくはポリシリコン層の研磨の前に行う
ことが好ましい。また、異方性エッチングの工程も接合
の前後のいずれでもよいが、ノズル配列密度(吐出室の
配列密度でもある。)が高い場合には、吐出室間の隔壁
の破損のおそれがあるので接合後の方が好ましい。
【0078】このようにポリシリコン層で振動板兼用の
個別電極を形成した場合には、上述したようにSOI基
板の活性層をそのまま振動板兼用個別電極に用いた場合
に比べて、振動板の降伏応力が劣る(1/5〜1/6)
ものの、コストは安価になる。
【0079】なお、上記実施形態では振動板基板が振動
板と液室用凹部を形成する振動板/液室基板の例で説明
したが、振動板基板とは別個に液室用凹部を形成する液
室基板を接合することもできる。
【0080】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るイン
クジェットヘッドによれば、振動板側に個別電極を設
け、振動板に対向する電極を共通電極とした構成とした
ので、個別電極と共通電極の外部回路との接続部をヘッ
ド裏面側に集約することが可能になり、工程上や実装上
の不都合を招くことなく、高密度化、小型化可能で、長
期信頼性にも優れたインクジェットヘッドが得られる。
【0081】ここで、振動板を形成し個別電極を設けた
振動板基板と、共通電極を形成した共通電極基板とを有
し、これらの振動板基板と共通電極基板とを個別電極と
共通電極とのギャップを形成するギャップ形成部材を介
して接合することで、容易にギャップを形成することが
できる。また、振動板基板に個別電極と前記共通電極と
のギャップを形成する凹部を設け、振動板基板と共通電
極基板とを接合することで、電極基板側のパターニング
が不要になり、接合時のアライメントが不要になってス
ループットが向上すると共に、高精度のギャップを容易
に形成できる。さらに、共通電極基板に個別電極と共通
電極とのギャップを形成する凹部を設け、これらの振動
板基板と共通電極基板とを接合することもで、容易にギ
ャップを形成することができる。
【0082】また、振動板基板はSOI基板とし、この
SOI基板の活性層部分で個別電極を形成することで、
個別電極を兼ねた振動板を容易に形成することができ、
振動板の厚さ/剛性の制御が容易でバラツキも低減す
る。この場合、SOI基板の活性層が1〜20μmの厚
みを有し、かつ、オーミック形成が可能な不純物濃度を
有していることで、個別電極を兼ねた振動板を容易に得
ることができる。
【0083】本発明に係るインクジェットヘッドの製造
方法は、振動板基板にSOI基板を用いて、このSOI
基板の活性層の一部を熱酸化処理して、振動板兼用の個
別電極及び共通電極とのギャップを形成するギャップス
ペーサ部を同一面内に同時に形成する構成としたので、
工程が簡略化する。
【0084】また、本発明に係る他のインクジェットヘ
ッドの製造方法は、振動板基板にSOI基板を用いて、
このSOI基板の活性層をパターニングして振動板兼用
の個別電極及び共通電極とのギャップを形成するギャッ
プスペーサ用凸部を形成する工程と、ギャップスペーサ
用凸部のみを酸化する工程とを含み、振動板兼用の個別
電極及び共通電極とのギャップを形成するギャップスペ
ーサ部を同一面内に同時に形成する構成としたので、工
程が簡略化する。
【0085】さらに、本発明に係る更に他のインクジェ
ットヘッドの製造方法は、振動板基板にシリコン基板を
用いて振動板の厚みを有する酸化膜を形成する工程と、
酸化膜のうちの個別電極を形成する領域を除去する工程
と、電極間絶縁のための酸化層を形成する工程と、酸化
膜を除去した領域にポリシリコン層を埋め込む工程とを
含む構成としたので、コストが低減する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る静電型インクジェットヘッドの第
1実施形態を示す図3のA−A線に沿う断面説明図
【図2】図3のB−B線に沿う側断面説明図
【図3】図1の上面図
【図4】図1の下面図
【図5】同実施形態のヘッドの外部回路実装構造に一例
を説明する説明図
【図6】同実施形態のヘッドのダイシング工程を説明す
る説明図
【図7】本発明に係るインクジェットヘッドの第2実施
形態を示す断面説明図
【図8】同実施形態のヘッドの振動板/液室基板の製造
工程の一例を説明する説明図
【図9】本発明に係るインクジェットヘッドの第3実施
形態を示す断面説明図
【図10】本発明に係るインクジェットヘッドの第4実
施形態を示す断面説明図
【図11】同実施形態のヘッドの振動板/液室基板の製
造工程の一例を説明する説明図
【図12】本発明に係るインクジェットヘッドの第5実
施形態を示す断面説明図
【図13】同実施形態のヘッドの振動板/液室基板の製
造工程の一例を説明する説明図
【図14】本発明に係るインクジェットヘッドの第6実
施形態を示す断面説明図
【図15】同実施形態のヘッドの振動板/液室基板の製
造工程の一例を説明する説明図
【図16】本発明に係るインクジェットヘッドの第7実
施形態を示す断面説明図
【図17】本発明に係るインクジェットヘッドの第8実
施形態を示す断面説明図
【図18】同実施形態のヘッドの振動板/液室基板の製
造工程の一例を説明する説明図
【図19】従来のインクジェットヘッドと外部回路との
実装構造の一例を示す説明図
【図20】従来の他のインクジェットヘッドと外部回路
との実装構造の他の一例を示す説明図
【図21】従来の他のインクジェットヘッドと外部回路
との実装構造の更に他の一例を示す説明図
【図22】従来のインクジェットヘッドとダイシング工
程を説明する説明図
【図23】従来の他のインクジェットヘッドとダイシン
グ工程を説明する説明図
【符号の説明】
1、31、41、61、71、81…振動板/液室基
板、2…共通電極基板、3…ギャップスペーサ部材、4
…ノズル基板、6…ノズル孔、7…吐出室、9…共通イ
ンク流路、11…振動板、13…個別電極、32…シリ
コン基板、50…SOI基板、83…ポリシリコン層。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク滴を吐出するノズルと、このノズ
    ルが連通する液室と、この液室の隔壁の一部を構成する
    振動板と、この振動板に対向する電極とを備え、前記振
    動板と電極との間に発生させる静電気力で前記振動板を
    変形させてインク滴を吐出させるインクジェットヘッド
    において、前記振動板側を個別電極とし、前記電極を共
    通電極としたことを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のインクジェットヘッド
    において、前記振動板を兼ねる個別電極を設けた振動板
    基板と、前記共通電極となる共通電極基板とを有し、こ
    れらの振動板基板と共通電極基板とを前記個別電極と前
    記共通電極とのギャップを形成するギャップ形成部材を
    介して接合したことを特徴とするインクジェットヘッ
    ド。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のインクジェットヘッド
    において、前記振動板を兼ねる個別電極を設けた振動板
    基板と、前記共通電極となる共通電極基板とを有し、前
    記振動板基板に前記個別電極と前記共通電極とのギャッ
    プを形成するギャップスペーサ部を設け、これらの振動
    板基板と共通電極基板とを接合したことを特徴とするイ
    ンクジェットヘッド。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のインクジェットヘッド
    において、前記振動板を兼ねる個別電極を設けた振動板
    基板と、前記共通電極となる共通電極基板とを有し、前
    記共通電極基板に前記個別電極と前記共通電極とのギャ
    ップを形成するギャップスペーサ部を設け、これらの振
    動板基板と共通電極基板とを接合したことを特徴とする
    インクジェットヘッド。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載のイン
    クジェットヘッドにおいて、前記振動板基板がSOI基
    板であり、このSOI基板の活性層部分で前記個別電極
    を形成したことを特徴とするインクジェットヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のインクジェットヘッド
    において、前記SOI基板の活性層が1〜20μmの厚
    みを有し、かつ、オーミック形成が可能な不純物濃度を
    有していることを特徴とするインクジェットヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6に記載のインクジェット
    ヘッドを製造するインクジェットヘッドの製造方法にお
    いて、前記SOI基板の活性層の一部を熱酸化処理し
    て、前記振動板兼用の個別電極及び前記共通電極とのギ
    ャップを形成するギャップスペーサ部を同一面内に同時
    に形成することを特徴とするインクジェットヘッドの製
    造方法。
  8. 【請求項8】 請求項5又は6に記載のインクジェット
    ヘッドを製造するインクジェットヘッドの製造方法にお
    いて、前記SOI基板の活性層をパターニングして前記
    振動板兼用の個別電極及び前記共通電極とのギャップを
    形成するギャップスペーサ用凸部を形成する工程と、前
    記ギャップスペーサ用凸部のみを酸化する工程とを含
    み、前記振動板兼用の個別電極及び前記共通電極とのギ
    ャップを形成するギャップスペーサ部を同一面内に同時
    に形成することを特徴とするインクジェットヘッドの製
    造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至4のいずれかに記載のイン
    クジェットヘッドを製造するインクジェットヘッドの製
    造方法において、前記振動板基板にシリコン基板を用い
    て前記振動板の厚みを有する酸化膜を形成する工程と、
    前記酸化膜のうちの個別電極を形成する領域を除去する
    工程と、電極間絶縁のための酸化層を形成する工程と、
    前記酸化膜を除去した領域にポリシリコン層を埋め込む
    工程とを含むことを特徴とするインクジェットヘッドの
    製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017181369A (ja) * 2016-03-31 2017-10-05 株式会社エンプラス 流体取扱装置

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