JP2000342268A - アンピシリン耐性インフルエンザ菌の検査法及びそのキット - Google Patents
アンピシリン耐性インフルエンザ菌の検査法及びそのキットInfo
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Abstract
びそのキットを見出す。 【解決手段】インフルエンザ菌のp6遺伝子、ftsI遺伝
子、dacB遺伝子及びbla遺伝子を遺伝子増幅法により同
時に検出することを特徴とするアンピシリン耐性インフ
ルエンザ菌の存在及びその耐性度を判定する検査法、並
びにそのキットを提供する。
Description
策上重要なインフルエンザ菌の存在と耐性メカニズムの
異なるアンピシリン耐性インフルエンザ菌2種類の存在
及びその耐性度を同時に判定する方法並びにこのような
判定を行うためのキットに関する。
zae)は、肺炎、急性気管支炎、中耳炎、あるいは細菌性
化膿性髄膜炎などの感染症の起炎菌となることが多い菌
種としてよく知られた細菌である。この菌種におけるβ
-ラクタム系薬耐性には、薬剤を不活化する場合と、
細菌細胞の細胞質膜上に存在し、β-ラクタム系薬の
標的であるペニシリン結合蛋白質(PBP)が変異した場合
の、2つのメカニズムが知られている(Vega R., et a
l., Antimicrob. Agents Chemother., 9: 164-168,197
6.、Parr, T.R. Jr., et al., Antimicrob. Agents Che
mother., 25: 747-753, 1984.)。
-ラクタマーゼ(TEM型不活化酵素)産生能を有するよう
になったからである。TEM型不活化酵素は、TEM型と称さ
れる典型的なclassA型β-ラクタマーゼ産生遺伝子によ
りコードされ、TEM1型、TEM2型等の多種多様な変異型が
報告されている(Bush,K., et al., Antimicrob. Agent
s Chemother., 39: 1211-1233, 1995.、井上, 日本臨床
微生物学雑誌Vol.8, No.1, 59-64, 1998)。この不活化
酵素はプラスミドと呼ばれる染色体外のDNAにコードさ
れている。このようなタイプの耐性菌は、現在臨床検査
材料からは15%前後の割合で分離される。
耐性インフルエンザ菌、すなわちBLNARと呼ばれる耐性
菌は、諸外国においては1980年代にごくわずかに存在す
るすることが報告されていたが、我が国おいては最近ま
でその存在は明らかにされていなかった。近年、BLNAR
の臨床検査材料からの分離率が上昇し、臨床的にも本菌
株による難治な重症感染症が問題となってきている。
ザ菌の検出は、検体採取から処理されるまでの時間、あ
るいは検体の保存状況や培養方法によって左右されるこ
とが多く、くわえて治療のために最適な抗菌薬を証明す
る薬剤感受性検査に2日間を要し、しかもそのわりには
得られた結果の信頼性に乏しいという状況から、迅速か
つ正確なアンピシリン耐性インフルエンザ菌の検査法が
望まれていた。
としては、前述したように、β-ラクタマーゼ(TEM型
不活化酵素)を産生してペニシリン系薬剤を不活化する
もの、β-ラクタム系薬の作用標的であるPBPの変異に
よるアンピシリン耐性(BLNAR)の2種類が存在する。耐性
に関わるPBPの変異としては、双頭酵素であるPBP3蛋白
質は、β-ラクタマーゼ系薬の標的として重要なトラン
スペプチダーゼ活性領域側をコードするftsI遺伝子とPB
P4蛋白質をコードするdacB遺伝子が本発明者らによって
解析された。ここで用いられる「PBPの変異」とは、欠
失、置換、挿入等を意味するが、PBP3及びPBP4は主に置
換を意味し、PBP4は欠失をも意味する場合がある。
わる遺伝子は一様ではないことに加え、本菌は従来法で
あるディスク法や微量液体希釈法で薬剤感受性を測定す
ると、接種菌量の影響を受けやすく、往々にして菌の膜
を形成し、判定が困難な場合が多い。そのようなことか
ら、精度の高い判定方法が望まれていた。
目的は、インフルエンザ菌の存在及び2種類のアンピシ
リン耐性インフルエンザ菌の存在及びその耐性度を迅速
かつ正確に判定する方法、並びにこれらの判定用キット
を提供することにある。
て、本発明者らは種々の検討を行ない、変異を起こし
ていないPBP3蛋白質をコードするftsI遺伝子、変異を
起こしていないPBP4蛋白質をコードするdacB遺伝子、
アンピシリンを不活化するTEM型不活化酵素をコードす
るbla遺伝子を遺伝子増幅法により同時に増幅し、アン
ピシリン耐性インフルエンザ菌の検出精度を高める方法
を見出した。この方法によれば、インフルエンザ菌が変
異を起こしていない正常な遺伝子を保有していれば遺伝
子のDNA増幅が認められ、何らかの変異を生じた遺伝子
を保有している際には、当該遺伝子のDNA増幅が認めら
れない。
遺伝子とPBP4蛋白質をコードするdacB遺伝子に変異を有
し、TEM型不活化酵素を産生しない場合には、これら3つ
の遺伝子はすべてDNA増幅が認められないことになり、
検査材料中にインフルエンザ菌が存在しない場合と同じ
結果となる。
材料中のインフルエンザ菌の存在を確認するため、イン
フルエンザ菌に特徴的な表層蛋白質であるP6蛋白質をコ
ードするp6遺伝子(Nelson, M.B., et al, Infect. Im
munology,56:128-134,1988)を上述した3つの遺伝子
検索の中に加え、これら4種類の遺伝子を同時に増幅す
る方法を見出し、本発明を完成するに至った。
p6遺伝子、PBP3蛋白質をコードするftsI遺伝子、PBP4蛋
白質をコードするdacB遺伝子、及びアンピシリンを不活
化するTEM型不活化酵素をコードするbla遺伝子の4遺伝
子を遺伝子増幅法により同時に検出することを特徴と
し、これら遺伝子の増幅有無の検索によってインフルエ
ンザ菌の存在、並びにβ-ラクタマーゼによらないPBP変
異による耐性及びβ-ラクタマーゼによる耐性のメカニ
ズムの異なる2種類のアンピシリン耐性インフルエンザ
菌を同時に判定する方法及びその耐性度を判定する方
法、並びにそれらの判定用キットを提供するものであ
る。
インフルエンザ菌内在の遺伝子は、以下の遺伝子或いは
DNA領域である。インフルエンザ菌のp6蛋白質をコー
ドする遺伝子としては、p6遺伝子又はp6遺伝子の保存領
域を有するDNAが好ましく、特にp6遺伝子の74番目から2
78番目に相当するDNAが好ましい。PBP3蛋白質をコー
ドする遺伝子としては、ftsI遺伝子又はftsI遺伝子の変
異領域を有するDNAが好ましく、特に配列番号1に記載の
118番目から668番目に相当するDNAが好ましい。PBP4
蛋白質をコードする遺伝子としてはdacB遺伝子又はdacB
遺伝子の変異領域を有するDNAが好ましく、特に配列番
号2に記載の519番目から811番目に相当するDNAが好まし
い。TEM型不活化酵素をコードする遺伝子としては、b
la遺伝子又はbla遺伝子の保存領域を有するDNAが好まし
く、特にbla遺伝子の350番目から807番目に相当するDNA
が好ましい。
o.M19391)及びbla遺伝子(アクセッション番号:No.J0
1749)のDNA塩基配列の位置を示す番号は、開始コドン
から数えた番号であり、以下に記載するこれら遺伝子の
DNA塩基配列の位置を示す番号も同じ意味を表してい
る。
は、ftsI遺伝子(アクセッション番号:No.U32793)の
開始コドンから数えて931番目に相当し、以下の配列番
号3〜配列番号6の記載も同様である。すなわち、「118
番目」とは、開始コドンから数えて1048番目であり、
「668番目」とは開始コドンから数えて1598番目を意味
している。
acB遺伝子(アクセッション番号No.U32812)の開始コド
ンから数えて151番目に相当し、以下の配列番号7〜配列
番号9の記載も同様である。すなわち、「519番目」と
は、開始コドンから数えて669番目であり、「811番目」
とは開始コドンから数えて961番目を意味している。
フルエンザ菌株間で保存されているp6遺伝子のDNA領域
である。bla遺伝子の保存領域は、種々のTEM型不活化酵
素をコードするbla遺伝子間で保存されているbla遺伝子
のDNA領域である。これらの遺伝子配列が登録されてい
るGenBankで解析し、それぞれの保存領域を同定した。
とは、本発明者らが、これら遺伝子の変異株を常法によ
り解析し、同定したトランスペプチダーゼ活性領域の変
異である。
知のポリメラーゼ増幅反応(PCR:Polymerase Chain Re
action)法が用いられる。PCR法においては、下記の4
組みのプライマーを使用する。
とアンチセンスプライマーの組からなるもので、(1)イ
ンフルエンザ菌のp6遺伝子を特異的に増幅できるもの、
(2)変異のないPBP3蛋白質をコードするftsI遺伝子を変
異のあるftsI遺伝子と区別して特異的に増幅できるも
の、(3)変異のないPBP4蛋白質をコードするdacB遺伝子
を変異のあるdacB遺伝子と区別して特異的に増幅できる
もの、(4)TEM型不活化酵素をコードするbla遺伝子を特
異的に増幅できるもの、である。
く説明する。(1)インフルエンザ菌のp6遺伝子を特異
的に増幅できるプライマーとは、GenBankに登録されて
いる各種菌株のp6遺伝子を解析し、保存領域を同定し、
それを基にp6遺伝子のDNAの一部と実質的に同一な若し
くは実質的に相補的なオリゴヌクレオチドを設計した。
受性株の有する変異のないftsI遺伝子と種々のアンピシ
リン耐性インフルエンザ菌のftsI遺伝子上のトランスぺ
プチダーゼ活性領域のDNA塩基配列を比較し、明らかに
した変異領域を基に、前記するようなプライマーを設計
した。このプライマーは、配列番号1に記載のDNAの一部
と実質的に同一な若しくは実質的に相補的なオリゴヌク
レオチドである。感受性株であるRd株のDNA(配列番号
1)、アンピシリン感受性株であるT196株のDNA(配列番
号3)、BLNARであるKK-1株のDNA(配列番号4)、587株
のDNA(配列番号5)及びT066株のDNA(配列番号6)のDN
A塩基配列を比較した結果を図1に示す。尚、これらの
株は、臨床分離株であり、明治製菓株式会社 薬品総合
研究所に分譲可能な状態で保管されている。
受性株の有する変異のないdacB遺伝子と種々のアンピシ
リン耐性インフルエンザ菌のdacB遺伝子上のトランスペ
プチダーゼ活性領域のDNA塩基配列を比較し、明らかに
した変異領域を基に、前記するようなプライマーを設計
した。このプライマーは、配列番号2に記載のDNAの一部
と実質的に同一な若しくは実質的に相補的なオリゴヌク
レオチドである。感受性株であるRd株のDNA(配列番号
2)、アンピシリン感受性株であるT196株のDNA(配列番
号7)、BLNARであるKK-1株のDNA(配列番号8)及びT040
株のDNA(配列番号9)の塩基配列を比較した結果を図2
に示す。尚、これらの株は、臨床分離株であり、明治製
菓株式会社 薬品総合研究所に分譲可能な状態で保管さ
れている。
伝子を特異的に増幅できるプライマーとは、GenBankに
登録されている種々のTEM型不活化酵素をコードするbla
遺伝子を解析し、保存領域を同定し、それを基にTEM1型
不活化酵素をコードするbla遺伝子のDNAの一部と実質的
に同一な若しくは実質的に相補的なオリゴヌクレオチド
を設計した。
るプライマーの塩基配列を、センスプライマーとアンチ
センスプライマーの組で、以下に具体的に示す。すなわ
ち、p6遺伝子の74番目から278番目に相当するDNAを増幅
することができるプライマーは、配列番号10と配列番号
11に記載の組であり、PBP3蛋白質をコードする配列番号
1に記載のftsI遺伝子の118番目から668番目に相当する
DNAを増幅することができるプライマーは、配列番号12
と配列番号13に記載の組であり、PBP4蛋白質をコードす
る配列番号2に記載のdacB遺伝子の519番目から811番目
に相当するDNAを増幅することができるプライマーは、
配列番号14と配列番号15に記載の組であり、TEM1型不活
化酵素をコードするbla遺伝子の350番目から807番目に
相当するDNAを増幅することができるプライマーは、配
列番号16と配列番号17に記載の組である。
イマーの位置をftsI遺伝子のDNA塩基配列とともに図1
に示し、前記配列番号14と配列番号15に記載のプライマ
ーの位置をdacB遺伝子のDNA塩基配列とともに図2に示
した。
号17)は、例えばDNA自動合成機等を用いて化学的にオ
リゴヌクレオチドを合成することにより調製することが
できる。合成するオリゴヌクレオチドの長さは、遺伝子
増幅法のプライマーとして使用できる範囲であれば特に
限定されないが、15〜40塩基程度が好ましい。
7)は、前記DNAを増幅できるものであれば、これらの標
識化合物であってもよい。プライマーの標識体は上記プ
ライマーに検出可能な標識物を結合させたものが挙げら
れる。標識物としては非放射性で、直接測定が可能な蛍
光物質のフルオレッセイン及びその誘導体(フルオレッ
セインイソチオシアネート等)、並びにローダミン及び
その誘導体(テトラメチルローダミンイソチオシアネー
ト等)、並びに遅延蛍光を発する物質(DTTA:ジエチレン
トリアミン−N1,N2,N3,N4−四酢酸)等が挙げられ
る。
は、標識物と特異的に結合する物質を利用すれば、間接
的に標識物を検出することができる。こうした場合の標
識物としては、ビオチンあるいはハプテン等が挙げら
れ、ビオチンの場合には、これに特異的に結合する抗体
が利用できる。ハプテンとしては、2,4-ジニトロフェニ
ル基を有する化合物、ジゴキシゲニンを使うことがで
き、さらにはビオチンあるいは蛍光物質などもハプテン
として使用することができる。これらの標識化合物は、
いずれも単独又は必要であれば、複数種の組み合わせで
公知手段(特開昭59-93098号、特開昭59-93099号各公報
参照)により、プライマーに導入することができる。
する。 (1)検体の標準及び前処理 まず、目的のアンピシリン耐性インフルエンザ菌の存在
及び耐性度を判定しようとする検体を用意する。検体と
しては、各種検査材料、上咽頭あるいは咽頭ぬぐい液、
耳漏、鼓膜切開液、喀痰、髄液など、あるいはそれらか
ら得られた細菌培養液、単離培養された細菌コロニー等
が挙げられる。検査にはこれらの材料から遺伝子増幅法
の試料となるインフルエンザ菌の核酸成分を抽出するこ
とが必要であるが、そのための方法としては、界面活性
剤と蛋白質分解酵素のプロテイナーゼKを使用する。こ
の方法によって得られた核酸抽出液はその一部をそのま
ま遺伝子増幅法に使用することができる。
を加えることにより、検体中に目的とするインフルエン
ザ菌が存在すれば、プライマーの伸長反応に基づくPCR
法を行うことができる。PCR法はプライマーの他に耐熱
性DNAポリメラーゼとDNA合成の基質となる核酸を用い、
通常の方法で実施することができる。
マーとの結合物を検出すれば、被検体中のアンピシリン
耐性インフルエンザ菌を検出することができる。本発明
における遺伝子増幅法によるDNA増幅の有無の判定は、
増幅されたDNAのサイズを電気泳動で確認する方法や、
識別可能な標識を施したプライマーを用いて遺伝子増幅
を行った増幅DNAをそれと相補的な配列を持つプローブ
を固定した固相担体に捕獲して増幅DNAの標識で識別す
る方法(特開平1-252300号公報)等により行うことが
できる。
インフルエンザ菌の存在及び耐性度を判定するもので、
上記のようなプライマーを具備してなるもので、必要に
応じて各プライマーに検出可能な任意の標識物を導入し
てもよい。具体的には、p6遺伝子の74番目から278番目
に相当するDNA、PBP3蛋白質をコードする配列番号1に
記載のftsI遺伝子の118番目から668番目に相当するDN
A、PBP4蛋白質をコードする配列番号2に記載のdacB遺
伝子の519番目から811番目に相当するDNA、TEM1型不活
化酵素をコードするbla遺伝子の350番目から807番目に
相当するDNAをそれぞれ増幅することのできる前記8種
類のプライマー(配列番号10〜配列番号17)を具備してな
るもので、必要に応じて各プライマーに検出可能な任意
の標識物を導入してもよい。また、本発明のキットは、
必要に応じてPCR反応試薬と合わせることもできる。以
下、これらの試薬類について具体的に説明する。
A鎖を合成(増幅)するための単位DNA及びDNA伸長酵素
を含むものである。DNA伸長酵素としては、任意のDNAポ
リメラーゼを用いることができるが、好ましくは熱安定
性のDNAポリメラーゼであるTaq DNAポリメラーゼ、Tth
DNAポリメラーゼを用いることにより、迅速かつ特異的
に遺伝子増幅反応を行うことができる。
めの担体 本発明により増幅されたDNAを固定可能な固相担体で、
具体的にはマイクロタイターウエル、アガロースビー
ズ、ラテックス粒子、磁性ラテックス粒子等の固相材料
が挙げられる。好ましくは操作性及び機械化に優れたマ
イクロタイターウエル又は磁性ラテックス粒子が適して
いる。これらの固相担体にDNAを非特異的吸着、共有結
合、イオン結合、化学結合等の任意の結合様式で固定化
することができる。
るための洗浄液であって、本検出反応に影響がないもの
であれば特に限定されない。一般にリン酸緩衝液を用い
ることができる。増幅反応生成物のDNAに結合した標識
プライマーを間接的に測定するための試薬は、プライマ
ーに直接検出可能な標識以外の標識を導入した場合、そ
の標識を間接的に測定するための試薬類を含むものであ
る。例えば、標識がハプテンである場合、a)ハプテンと
特異的に結合する抗体に酵素を結合させたもの、b)当該
酵素の基質等が挙げられる。これらの具体例としては、
酵素がアルカリフォスファターゼの場合、基質として4-
メチルウンベリフェリルフォスフェート、4-ニトロフェ
ニルフォスフェート、NADP等が挙げられる。
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
ントン液体培地に混釈し、混釈液の1.5mlを遠心分離し
てインフルエンザ菌の菌体を集めた。遠心分離後はその
上清をほぼ完全に捨て、沈渣に10μlの滅菌水を加えて
懸濁した。次いで懸濁液の5μlを溶菌液[ 100mMトリ
ス-塩酸緩衝液(pH8.9)、 0.1%トリトンX-100、 20
0μg/mlプロテナーゼK、 0.45%ツイーン20、 0.45
%ノニデットP-40] 30μlに加えて60℃で20分間の溶菌
操作を行い、更に95℃で10分間加熱して菌体からDNAを
抽出させた。
とBチューブにそれぞれ2μlづつ加えて実施した。PCR反
応液の組成は、次に示す各プライマーを3pmole/30μ
l、Taq DNAポリメラーゼ0.5 U(宝酒造社製)/30μl、
dATP・dGTP・dCTP・dTTPをそれぞれ2.4μg/30μl、1.5
mM塩化マグネシウム、50 mM塩化カリウム、0.001%ゼ
ラチン、10 mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.3)である。その
他に、Aチューブにはp6遺伝子増幅用プライマー[配列番
号10;5'-acgatgctgcaggcaatggt-3'及び配列番号11;5'-c
cacgttcatcagtattacct-3']とTEM1型不活化酵素をコード
するbla遺伝子増幅用プライマー[配列番号16;5'-taagag
aattatgcagtgctgcc-3'及び配列番号17;5'-tccatagttgcc
tgactcccc-3']、一方Bチューブには、PBP3蛋白質をコー
ドするftsI遺伝子増幅用プライマー[配列番号12;5'-gat
actacgtcctttaaattaag-3'及び配列番号13;5'-gcagtaaat
gccacatactta-3']とPBP4蛋白質をコードするdacB遺伝子
増幅用プライマー[配列番号14;5'-gctcgatgttgttgtacac
g-3'及び配列番号15;5'-ctcggaataatgaatcggc-3]を含
む。PCRは94℃で15秒のDNA熱変性工程、57℃で15秒のプ
ライマーのアニーリング工程、72℃で15秒のDNA鎖伸長
工程という3段階の温度サイクルを35回繰り返して行っ
た。
lを採取し、それを3%アガロースゲル上で電気泳動を
行い、DNAのバンドの有無とDNAサイズマーカーでDNA鎖
長を確認することによって行った。それぞれの期待され
る増幅断片は、p6蛋白質をコードするp6遺伝子増幅断片
は205塩基対、PBP3蛋白質をコードするftsI遺伝子の増
幅断片は551塩基対、PBP4蛋白質をコードするdacB遺伝
子の増幅断片は293塩基対、TEM1不活化酵素をコードす
るbla遺伝子の増幅断片は456塩基対の長さとなり、電気
泳動での視覚判別が可能である。その電気泳動の結果の
写真を図3に示した。
た。すなわち、2%の馬溶血血液、15μg/mlのNAD、及び
0.5%のイーストエキスを加えたミューラーヒントン寒
天培地を用い、アンピシリンの最終濃度が64μg/mlから
0.016μg/mlまでの2倍希釈系列濃度となる薬剤含有培
地を作成した。これをアンピシリン耐性判定用の培地と
した。
培地(BBL社製市販培地)で前培養後、滅菌綿棒にてか
きとり、濁度が0.5となるようにミューラーヒントンブ
ロスに懸濁した。この菌液を100倍に希釈した後、その1
0μlをアンピシリン耐性判定用の培地にスポットし、37
℃で18時間培養した。判定は、寒天平板上に明らかなコ
ロニーの発育がみられた場合を発育(+)、みられないも
のを発育(-)として判定した。最小発育阻止濃度(MIC)は
菌の発育が(-)となった薬剤濃度とした。加えて、被験
菌株についてはペニシリナーゼチエック(昭和薬品化工
社製P/Case TESTを使用して不活化酵素(β-ラクタマー
ゼ)の産生性を調べた。
シリンに対するMICが2.0μg/ml以上でβ-ラクタマーゼ
非産生株をBLNAR株、それ以下のMICの場合はアンピシリ
ン感受性株、β-ラクタマーゼ酵素を産生する株は不活
化酵素産生株としている。臨床分離のインフルエンザ菌
111株(明治製菓株式会社 薬品総合研究所に分譲可能
な状態で保管している)についての成績を表1及び図4に
示す。
EM1型不活化酵素をコードするbla遺伝子のDNA増幅が確
認できた。これらの株のアンピシリンMICはすべて4μg/
ml以上で、耐性と判定された。これに対し、β-ラクタ
マーゼを産生しない株ではTEM1型不活化酵素をコードす
るbla遺伝子のDNA増幅はみられなかった。
ち、アンピシリンに1μg/ml以上のMICを示す34株は2株
を除いてPBP3蛋白質をコードするftsI遺伝子のDNAは増
幅されず、当該遺伝子の変異が確認された。アンピシリ
ンに0.5μg/mlのMICを示した10株では、ftsI遺伝子の変
異を有している株と変異を有していない株とがそれぞれ
5株づつ混在していた。アンピシリンに0.25μg/ml以下
のMICを示した53株では1株の例外を除いて、ftsI遺伝子
のDNA増幅が認められ、遺伝子変異のないことが確認さ
れた。PBP4蛋白質の変異株は5株認められたが,いずれ
もアンピシリンに対し0.5μg/ml以上のMICを示してい
た。
と高い相関を示していた。しかし、NCCLSがアンピシリ
ンに対する感受性・耐性のブレイクポイントと定めた2
μg/mlという薬剤濃度は遺伝子変異の結果が適切に反映
されていない。臨床的には遺伝子検索の結果判明したPB
P変異を有するBLNAR株におけるアンピシリンのMICは1
μg/ml以上、PBP変異を有しない株のMICは0.25μg/ml以
下、0.5μg/mlは緩衝濃度という考え方のほうが臨床に
より適していると考えられた。尚、いずれの菌株におい
てもp6遺伝子のDNA増幅がみられ、インフルエンザ菌で
あることが確認できた。
ルエンザ菌を検体から直接、高精度かつ迅速に検出する
ことができ、インフルエンザ菌感染症に対し、早期に適
切な治療を行うことが可能になった。
上のトランスぺプチダーゼ活性領域の一部を示すDNA塩
基配列である。Rd株は感受性株、T196株はアンピシリン
感受性株、KK-1株、587株及びT066株はBLNARである。下
線で示した個所は1対のプライマーの塩基配列に相当す
る。これら株のDNAで、同一の塩基は横棒で示し、異な
る塩基は一文字表記で示している。
上のトランスぺプチダーゼ活性領域の一部を示すDNA塩
基配列である。Rd株は感受性株、T196株はアンピシリン
感受性株、KK-1株、T040株はBLNARである。下線で示し
た個所は1対のプライマーの塩基配列に相当する。これ
ら株のDNAで、同一の塩基は横棒で示し、異なる塩基は
一文字表記で示している。
幅されたDNA断片を実施例3における電気泳動を行い、そ
の結果を撮影した写真を基に模式的に示した図である。
インフルエンザ菌の最小発育阻止濃度(MIC)を示す図で
ある。
Claims (8)
- 【請求項1】インフルエンザ菌のP6蛋白質をコードする
p6遺伝子、PBP3蛋白質をコードするftsI遺伝子、PBP4蛋
白質をコードするdacB遺伝子、及びアンピシリンを不活
化するTEM型不活化酵素をコードするbla遺伝子の4遺伝
子を同時に検出することを特徴とし、これらの検索によ
ってインフルエンザ菌の存在、並びにβ-ラクタマーゼ
によらないPBP変異による耐性及びβ-ラクタマーゼによ
る耐性のメカニズムの異なる2種類のアンピシリン耐性
インフルエンザ菌を同時に判定する方法。 - 【請求項2】p6遺伝子はp6遺伝子の保存領域を有するDN
A、ftsI遺伝子はftsI遺伝子の変異領域を有するDNA、da
cB遺伝子はdacB遺伝子の変異領域を有するDNA、bla遺伝
子はbla遺伝子の保存領域を有するDNAである請求項1に
記載の方法。 - 【請求項3】p6遺伝子の保存領域を有するDNAはp6遺伝
子の74番目から278番目に相当するDNAであり、ftsI遺伝
子の変異領域を有するDNAが配列番号1に記載のftsI遺
伝子の118番目から668番目に相当するDNAであり、dacB
遺伝子の変異領域を有するDNAが配列番号2に記載のdac
B遺伝子の519番目から811番目に相当するDNAであり、bl
a遺伝子の保存領域を有するDNAはbla遺伝子の350番目か
ら807番目に相当するDNAである請求項2に記載の方法。 - 【請求項4】検出が、遺伝子増幅法で検出することを特
徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の方
法。 - 【請求項5】遺伝子増幅法が、ポリメラーゼ増幅反応法
である請求項4に記載の方法。 - 【請求項6】ポリメラーゼ増幅反応法が、p6遺伝子、配
列番号1、配列番号2又はbla遺伝子により表されるDNAの
一部と実質的に同一な若しくは実質的に相補的なプライ
マーを用いることを特徴とする請求項5に記載の方法。 - 【請求項7】プライマーが配列番号10〜配列番号17で表
される塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであること
を特徴とする請求項6に記載の方法。 - 【請求項8】請求項6又は請求項7に記載のプライマーを
含むことを特徴とする、アンピシリン耐性インフルエン
ザ菌2種類の存在及び耐性度の判定用キット。
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JP15539999A JP4392078B2 (ja) | 1999-06-02 | 1999-06-02 | アンピシリン耐性インフルエンザ菌の検査法及びそのキット |
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JP15539999A JP4392078B2 (ja) | 1999-06-02 | 1999-06-02 | アンピシリン耐性インフルエンザ菌の検査法及びそのキット |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2000342268A true JP2000342268A (ja) | 2000-12-12 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101165600B1 (ko) | 2011-02-09 | 2012-07-23 | 한국원자력연구원 | 타미플루 민감성 및 내성 신종인플루엔자 a(h1n1)동시 진단 키트 및 이를 이용한 진단 방법 |
-
1999
- 1999-06-02 JP JP15539999A patent/JP4392078B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101165600B1 (ko) | 2011-02-09 | 2012-07-23 | 한국원자력연구원 | 타미플루 민감성 및 내성 신종인플루엔자 a(h1n1)동시 진단 키트 및 이를 이용한 진단 방법 |
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