JP2000340142A - 電子線装置及び該電子線装置を用いた画像形成装置 - Google Patents

電子線装置及び該電子線装置を用いた画像形成装置

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JP2000340142A
JP2000340142A JP11145845A JP14584599A JP2000340142A JP 2000340142 A JP2000340142 A JP 2000340142A JP 11145845 A JP11145845 A JP 11145845A JP 14584599 A JP14584599 A JP 14584599A JP 2000340142 A JP2000340142 A JP 2000340142A
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electron beam
film
electron
cold cathode
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JP11145845A
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Hideaki Mitsutake
英明 光武
Yasuhiro Ito
靖浩 伊藤
Yoshihisa Sano
義久 左納
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Original Assignee
Canon Inc
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  • Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)
  • Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 放電電流などによる電子放出素子への悪影響
を抑制した信頼性の高い電子線装置を提供する。 【解決手段】 複数の冷陰極素子を有する基板11と、
基板11に対向して設けられるフェースプレート17
と、これらの間隔を保持するスペーサ20とを有する電
子線装置において、スペーサ20の基板11に当接する
側に低抵抗膜3を設け、この低抵抗膜3をフェースプレ
ート17側に設けられた低電位が印加される取出し配線
21に接続し、且つこの低抵抗膜3を基板11上の絶縁
層5a上に位置させたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスペーサを有する薄
型の電子線装置、特に複数の冷陰極素子を配置した平面
型画像形成装置に好適に用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】平面型表示装置は、薄型でかつ軽量であ
ることから、ブラウン管型表示装置に置き換わるものと
して注目されている。特に、電子放出素子と電子ビーム
の照射により発光する蛍光体とを組み合わせて用いた表
示装置は、従来の他の方式の表示装置よりも優れた特性
が期待されている。たとえば、近年普及してきた液晶表
示装置と比較しても、自発光型であるためバックライト
を必要としない点や、視野角が広い点が優れていると言
える。
【0003】従来から、電子放出素子として熱陰極素子
と冷陰極素子の2種類が知られている。このうち冷陰極
素子では、たとえば表面伝導型放出素子や、電界放出型
素子(以下FE型と記す)や、金属/絶縁層/金属型放
出素子(以下MIM型と記す)、などが知られている。
【0004】表面伝導型放出素子としては、たとえば、
M.I.Elinson,Radio Eng.Ele
ctron Phys.,10,1290,(196
5)や、後述する他の例が知られている。
【0005】表面伝導型放出素子は、基板上に形成され
た小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより
電子放出が生ずる現象を利用するものである。この表面
伝導型放出素子としては、前記エリンソン等によるSn
2 薄膜を用いたものの他に、Au薄膜によるもの
[G.Dittmer:”Thin Solid Fi
lms”,9,317(1972)]や、In23
SnO2 薄膜によるもの[M.Hartwell an
d C.G.Fonstad:”IEEE Tran
s.ED Conf.”,519(1975)]や、カ
ーボン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第26巻、
第1号、22(1983)]等が報告されている。
【0006】これらの表面伝導型放出素子の素子構成の
典型的な例として、図12に前述のM.Hartwel
lらによる素子の平面図を示す。同図において、201
は基板で、202はスパッタで形成された金属酸化物よ
りなる導電性薄膜である。導電性薄膜202は図示のよ
うにH字形の平面形状に形成されている。該導電性薄膜
202に後述の通電フォーミングと呼ばれる通電処理を
施すことにより、電子放出部203が形成される。図中
の間隔Lは0.5〜1[mm]、Wは0.1[mm]で
設定されている。尚、図示の便宜から、電子放出部20
3は導電性薄膜202の中央に矩形の形状で示したが、
これは模式的なものであり、実際の電子放出部の位置や
形状を忠実に表現しているわけではない。
【0007】上述の冷陰極素子は、熱陰極素子と比較し
て低温で電子放出を得ることができるため、加熱用ヒー
ターを必要としない。したがって、熱陰極素子よりも構
造が単純であり、微細な素子を作成可能である。また、
基板上に多数の素子を高い密度で配置しても、基板の熱
溶融などの問題が発生しにくい。また、熱陰極素子がヒ
ーターの加熱により動作するため応答速度が遅いのとは
異なり、冷陰極素子の場合には応答速度が速いという利
点もある。このため、冷陰極素子を応用するための研究
が盛んに行われてきている。
【0008】たとえば、表面伝導型放出素子は、冷陰極
素子のなかでも特に構造が単純で製造も容易であること
から、大面積にわたり多数の素子を形成できる利点があ
る。そこで、たとえば本出願人による特開昭64−31
332号公報において開示されるように、多数の素子を
配列して駆動するための方法が研究されている。
【0009】また、表面伝導型放出素子の応用について
は、たとえば、画像表示装置、画像記録装置などの画像
形成装置や、荷電ビーム源、等が研究されている。
【0010】特に、画像表示装置への応用としては、た
とえば本出願人によるUSP5,066,883や特開
平2−257551号公報や特開平4−28137号公
報において開示されているように、表面伝導型放出素子
と電子ビームの照射により発光する蛍光体とを組み合わ
せて用いた画像表示装置が研究されている。
【0011】図13は平面型の画像表示装置をなす表示
パネル部の一例を示す斜視図であり、内部構造を示すた
めにパネルの一部を切り欠いて示している。
【0012】図中、315はリアプレート、316は側
壁、317はフェースプレートであり、リアプレート3
15、側壁316およびフェースプレート317によ
り、表示パネルの内部を真空に維持するための外囲器
(気密容器)を形成している。
【0013】リアプレート315には基板311が固定
されているが、この基板311上には冷陰極素子312
が、n×m個形成されている(n,mは2以上の正の整
数であり、目的とする表示画素数に応じて適宜設定され
る。)。また、前記n×m個の冷陰極素子312は、図
13に示すとおり、m本の行方向配線313とn本の列
方向配線314により配線されている。これら基板31
1、冷陰極素子312、行方向配線313および列方向
配線314によって構成される部分をマルチ電子ビーム
源と呼ぶ。また、行方向配線313と列方向配線314
の少なくとも交差する部分には、両配線間に絶縁層(不
図示)が形成されており、電気的な絶縁が保たれてい
る。
【0014】フェースプレート317の下面には、蛍光
体からなる蛍光膜318が形成されており、赤(R)、
緑(G)、青(B)の3原色の蛍光体(不図示)が塗り
分けられている。また、蛍光膜318をなす上記各色蛍
光体の間には黒色体(不図示)が設けてあり、さらに蛍
光膜318のリアプレート315側の面には、Al等か
らなるメタルバック319が形成されている。
【0015】Dx1〜DxmおよびDy1〜Dynおよ
びHvは、当該表示パネルと木図示の電気回路とを電気
的に接続するために設けた気密構造の電気接続用端子で
ある。Dx1〜Dxmはマルチ電子ビーム源の行方向配
線313と、Dy1〜Dynはマルチ電子ビーム源の列
方向配線314と、Hvはメタルバック319と各々電
気的に接続している。
【0016】また、上記気密容器の内部は1.3×10
-4Pa程度の真空に保持されており、画像表示装置の表
示面積が大きくなるにしたがい、気密容器内部と外部の
気圧差によるリアプレート315およびフェースプレー
ト317の変形あるいは破壊を防止する手段が必要とな
る。リアプレート315およびフェースプレート316
を厚くすることによる方法は、画像表示装置の重量を増
加させるのみならず、斜め方向から見たときに画像のゆ
がみや視差を生ずる。これに対し、図13においては、
比較的薄いガラス板からなり大気圧を支えるための構造
支持体(スペーサあるいはリブと呼ばれる)320が設
けられている。このようにして、マルチビーム電子源が
形成された基板311と蛍光膜318が形成されたフェ
ースプレート317間は通常サブミリないし数ミリに保
たれ、前述したように気密容器内部は高真空に保持され
ている。
【0017】以上説明した表示パネルを用いた画像表示
装置は、容器外端子Dx1乃至Dxm,Dy1乃至Dy
nを通じて各冷陰極素子312に電圧を印加すると、各
冷陰極素子312から電子が放出される。それと同時に
メタルバック319に容器外端子Hvを通じて数百
[V]ないし数[kV]の高圧を印加して、上記放出さ
れた電子を加速し、フェースプレート317の内面に衝
突させる。これにより、蛍光膜318をなす各色の蛍光
体が励起されて発光し、画像が表示される。
【0018】上記表示パネル中に設置されたスペーサ3
20は、以下の理由によりフェースプレート317とリ
アプレート315間に印加される高電圧に絶えるだけの
高い絶縁性とともに高い帯電抑制性が要求される。
【0019】第1に、スペーサ320の近傍から放出さ
れた電子の一部がスペーサ320に当たることにより、
あるいはフェースプレート317に到達した電子が一部
反射されその一部がスペーサ320に当たることにより
2次電子の放出が起こり、スペーサ帯電を引き起こす可
能性がある。これまでに本出願人が得た知見では、スペ
ーサ表面に正帯電が生じる場合が殆どであった。このス
ペーサの帯電により冷陰極素子312から放出された電
子はその軌道を曲げられ、蛍光体上の正規な位置とは異
なる場所に到達し、スペーサ近傍の画像がゆがんで表示
される。
【0020】第2に、冷陰極素子312からの放出電子
を加速するためにマルチ電子ビーム源とフェースプレー
ト317との間には数百V以上の高電圧(即ち1kV/
mm以上の高電界)が印加されるため、スペーサ320
表面での沿面放電が懸念される。特に、上記のようにス
ペーサが帯電している場合は、放電が誘発される可能性
がある。
【0021】スペーサに微小電流が流れるようにして帯
電を除去する提案が本出願人によりなされている(特開
平8−180821号公報、特開平8−250032号
公報)。そこでは絶縁性のスペーサの表面に高抵抗薄膜
を形成することにより、スペーサ表面に微小電流が流れ
るようにしている。ここで用いられている高抵抗膜は、
酸化スズ、あるいは酸化スズと酸化インジウム混晶薄膜
や島状の金属膜等である。
【0022】また、本出願人による上記提案において
は、前記高抵抗膜が被覆されたスペーサをマルチ電子ビ
ーム源及びフェースプレートと電気的に良好に接続する
為に、接続部に低抵抗膜を形成する構成も開示されてい
る。更に、前記高抵抗膜及び前記低抵抗膜が被覆された
スペーサを、導電性を有するフリットガラスを用いて、
マルチ電子ビーム源及びフェースプレートと電気的接続
及び機械的固定を行う構成も開示されている。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】以上説明した画像表示
装置の表示パネルにおいては、表示パネルの表示面積や
リアプレート315およびフェースプレート317の厚
みに応じて、スペーサ320を複数個配置する。しかし
ながら、表示面積を大きくするとともにスペーサ320
の必要数が増大し、パネルの組立工程において表示パネ
ル上にスペーサを配置する為の時間が増えるなどのコス
トアップとなる。また、組立時のスペーサの歩留りが表
示パネルの歩留りに影響する程度が高まり、これもコス
トアップの要因となる。
【0024】従って、本発明は、画像表示装置の表示パ
ネル組立工程におけるスペーサアセンブリーを簡単にす
るパネル・スペーサ構成及びその組立方法を提案し、ロ
ーコストで製造可能な表示パネルを提供することが目的
である。
【0025】また、以上説明した画像表示装置の表示パ
ネルにおいては、主要な部材としてリアプレート31
5、フェースプレート317、スペーサ320を有して
いるが、これらの組立手順についてもローコスト化の観
点などから工夫の余地がある。例えば、スペーサ320
をフェースプレート317に最初に固定した後にリアプ
レート315側に当接する場合、スペーサ320とリア
プレート315間の電気的接続を確実に取るために、ス
ペーサ320の位置やサイズ(特に、フェースプレート
317とリアプレート315間隔を規定するスペーサ3
20の高さ)公差を十分配慮する必要がある。
【0026】また、表示パネル内での不意の放電時に、
基板311上に形成された冷陰極素子312を放電電流
などから保護するための構造を付加することにより、よ
り信頼性の高い表示パネルを提供していくことも必要で
ある。
【0027】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明の目的
は、以下の構成を有する電子線装置及び画像形成装置に
より達成される。
【0028】すなわち、本発明の電子線装置は、電子源
が設けられる第1の基板と、前記第1の基板に対向して
設けられる第2の基板と、前記第1の基板と前記第2の
基板の間隔を保持する間隔保持部材とを有しており、前
記電子源は、前記第1の基板上の第1の領域に複数の冷
陰極素子を有しており、前記間隔保持部材は、前記第1
の領域の周辺部に延長して配置された延長部と、前記第
1の基板に当接する側に低抵抗膜を有しており、前記低
抵抗膜は、低抵抗膜電位規定部により所定の電位に規定
されており、且つ前記第1の基板上に高抵抗部材を介し
て位置していることを特徴としているものである。
【0029】本発明の電子線装置によれば、前記第1の
基板に当接する側の前記低抵抗膜を、前記電子源をなす
前記複数の冷陰極素子と電気的に直接的には接続しない
ことにより、不意の放電時に前記間隔保持部材を介して
流れる放電電流による前記電子源への影響を抑制するこ
とができる。
【0030】本発明の電子線装置では、前記低抵抗膜
は、前記第2の基板上に形成された第1の配線を介して
前記低抵抗膜電位規定部に接続されていることが好まし
く、これにより、前記第1の基板に対して、前記第2の
基板及び前記間隔保持部材を電気的にも機械的にも実質
的に独立させることができる。例えば、組立工程におい
て前記複数の冷陰極素子を有する前記第1の基板の歩留
まりと前記第2の基板・前記間隔保持部材の歩留まりを
独立に管理すればよいので、電子線装置全体の作製歩留
まりが向上する。また、不意の放電が発生した場合にお
いても、前記部材を介した放電電流を第1の基板に流入
させることなく第2の基板だけで処理できるので、電子
線装置の信頼性を向上させることができる。
【0031】また、前記間隔保持部材は、前記延長部に
おいて前記第2の基板上に対して固定部材により固定さ
れていることも好ましく、このようにして前記複数の冷
陰極素子を有する前記第1の領域内に前記固定部材を有
しないことにより、前記冷陰極素子を密に配置でき、高
精細な画像表示が可能となる。例えば、固定部材に必要
なスペースが不要となり、冷陰極素子の特性や冷陰極素
子からの放出電子に対する固定部材からの影響を回避で
きる。また、本構成においては、前記間隔保持部材は、
第1の領域外に設置された固定部材により自立する構成
であることから、組立時の調整工数を減らすことがで
き、組立コストの削減につながる。
【0032】また、前記固定部材は絶縁性材料からなる
ことも好ましい。即ち、高電圧印加部の周辺に配置する
前記間隔保持部材としては、絶縁性材料からなるほうが
耐電圧設計がやり易くなる。また、更なる高耐圧設計に
おいては、固定部材の表面或いは間隔保持部材内に導電
性を与えることにより適切な電位を付与して電界集中を
防止する方法を併用するのが好ましい。
【0033】また、前記第2の基板上には、前記複数の
冷陰極素子から放出される電子が照射される電子照射領
域に加速電極が形成されており、前記加速電極と前記第
1の配線との間に前記固定部材が配置されていることも
好ましい。このように、高電圧が印加される前記加速電
極と、前記第1の基板に印加される低電圧と近い電位が
印加される前記第1の配線の間に絶縁性材料からなる前
記固定部材を配置することにより、加速電極と第1の配
線間の絶縁耐圧を向上させることが出来る。
【0034】また、前記加速電極は、前記電子照射領域
を含み且つ前記電子照射領域よりも大きい面積を有する
ことも好ましく、これにより反射電子などの不要電荷に
より電子照射領域の周辺部に生じる帯電を防止する効果
がある。
【0035】また、前記間隔保持部材は、前記加速電極
の成す領域の周辺部まで前記延長部を有し、前記低抵抗
膜は、前記加速電極の成す領域の周辺部まで延長されて
いることも好ましい。このように、高電圧の印加される
加速電極の範囲より外側に、低電圧の印加される前記低
抵抗膜端を配置することにより、低電位側の電界集中を
抑制することが出来る。
【0036】また、前記第1の領域に対応する前記間隔
保持部材の真空中に表出する表面には、前記間隔保持部
材表面よりも帯電の少ない膜が形成されていることも好
ましい。
【0037】また、前記間隔保持部材表面よりも帯電の
少ない膜は、前記低抵抗膜及び前記第2の基板と電気的
に接続されている導電性膜であることが好ましく、かか
る前記導電性膜は、107 [Ω/口]以上1014[Ω/
口]以下の高抵抗膜を含むことが好ましく、さらにかか
る導電性膜は、前記第2の基板と電気的に接続する領域
において、前記高抵抗膜より少なくとも1桁小さいシー
ト抵抗の低抵抗膜を有することも好ましい。
【0038】また、前記間隔保持部材表面よりも帯電の
少ない膜の少なくとも一部は、2以下の2次電子放出係
数を有することも好ましい。
【0039】本発明の電子線装置は、さらなる特徴とし
て、「前記複数の冷陰極素子は配線にて結線され、前記
配線は、複数の行方向配線と複数の列方向配線からなる
マトリクス配線である」こと、「前記複数の冷陰極素子
は配線にて結線され、前記配線は、複数の行方向配線か
らなり、前記冷陰極素子は、隣接する前記行方向配線と
結線される」こと、「前記冷陰極素子は、電極間に電子
放出部を含む導電性薄膜を有する」こと、「前記冷陰極
素子は、表面伝導型放出素子である」こと、「前記第2
の基板は、前記第1の基板側の面に前記複数の冷陰極素
子から放出された電子を制御する電極及び電子の衝突に
より画像が形成される画像形成部材を有する」こと、を
包含する。
【0040】また、本発明の画像形成装置は、以上の構
成を有する本発明の電子線装置を用いたことを特徴とし
ているものである。
【0041】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好ましい態様に
ついて説明する。
【0042】図1は、実施例に用いた表示パネルの斜視
図であり、内部構造を示すためにパネルの一部を切り欠
いて示している(詳細は後述)。本構成により、第1の
実施態様を説明する。
【0043】図2は図1のA−A’断面の模式図であ
り、図3は図1のB−B’断面の模式図であり、これら
はいずれもパネルの一端部の近傍のみを表している。両
図中の各部の符号は図1に対応している。
【0044】図中、15はリアプレート、16は側壁、
17はフェースプレート(第2の基板)であり、リアプ
レート15、側壁16およびフェースプレート17によ
り、表示パネルの内部を真空に維持するための外囲器
(気密容器)を形成している。また、気密容器内部に
は、大気圧を支えるためのスペーサ(間隔保持部材)2
0が設けられている。
【0045】リアプレート15には基板(第1の基板)
11が固定されているが、この基板11上には冷陰極素
子12がn×m個形成されており、m本の行方向(X方
向)配線13(13a,13b)とn本の列方向(Y方
向)配線14により単純マトリクス配線されている
(n,mは2以上の正の整数であり、目的とする表示画
素数に応じて適宜設定される。例えば、高品位テレビジ
ョンの表示を目的とした表示装置においては、n=30
00、m=1000以上の数を設定することが望まし
い。)。これらの行方向配線と列方向配線は絶縁層5に
よって絶縁されている。なお、後述のスペーサ20が基
板11と当接する部分には、行方向配線13bの上に更
に絶縁層(高抵抗部材)5aが形成されている。
【0046】上記基板11、複数の冷陰極素子12、行
方向配線13及び列方向配線14によって構成される部
分をマルチ電子ビーム源と呼ぶ。
【0047】フェースプレート17には蛍光膜18及び
メタルバック19が形成されている。
【0048】スペーサ20は、薄板状の絶縁性部材1の
表面に高抵抗膜2を成膜し、かつフェースプレート17
の内側(メタルバック19)及び基板11の表面(行方
向配線13b)に当接する側に低抵抗膜3が成膜して構
成されている。
【0049】薄板状のスペーサ20は、行方向(X方
向)に沿って配置され、行方向配線13b上に形成され
た絶縁層5上に設置されている。スペーサ20は、冷陰
極素子12及び蛍光膜18のなす領域に挟まれた範囲か
ら外側の領域まで延長されており、この外側の領域に設
置した固定部材4によりフェースプレート17上に垂直
に設置され、外囲器内の所定の位置に固定されている。
【0050】高抵抗膜2は、基板11側では低抵抗膜3
及び導電性の接続線22を介してフェースプレート17
上に設けられた取出し配線(第1の配線)21と電気的
に接続されている。また、高抵抗膜2は、フェースプレ
ート17側では低抵抗膜3を介してメタルバック19と
電気的に接続されている。更に、リアプレート側の低抵
抗膜3は、メタルバック19の成す領域の周辺部まで延
長されている。
【0051】固定部材4は、スペーサ20の端部が挿入
される溝部(不図示)を有しており、スペーサ20は前
記溝部に接着剤で固定されている。また、固定部材4
は、フェースプレート17上に設けられたメタルバック
19と取出し配線21との間に配置されている。部材間
の配置に関して付け加えると、メタルバック19は、冷
陰極素子12から放出された電子が照射される電子照射
領域よりも大きい領域を有している。
【0052】また、行方向配線13(13a,13b)
は冷陰極素子12を駆動する為の電源V2(図1のDx
1〜Dxmの一部に対応)に接続され、取出し配線21
は冷陰極素子12を駆動する電位と近い電位に規定する
為の電源V1に接続され、メタルバック19は電子を加
速する為の高電圧を印加する電源Hvに接続されてい
る。
【0053】本実施態様の表示パネルは以下の手順で作
製される。
【0054】(1)スペーサ20を固定部材4と接着固
定する。表示パネル内にスペーサ20を設置し真空排気
する際に、スペーサ端部がフェースプレート17及びリ
アプレート15に対して斜めに接地しないように、十分
な位置及び角度合せが必要である。これにより、スペー
サ端部での応力発生とそれに伴なうスペーサ破壊を防止
し、表示パネル作製工程におけるスペーサ及びパネルの
歩留まりを向上させる。この手順は、スペーサ20自体
の反りが発生しやすい長尺ものを用いる場合に特に有効
となる工程である。
【0055】(2)スペーサ20をフェースプレート1
7上にて位置決めする。冷陰極素子12及び蛍光膜18
のなす領域内或いはその領域外で位置決め治具を用いて
スペーサ20を所定の位置に位置決めする。その後、固
定部材4はフェースプレート17に対して接着する。
【0056】(3)リアプレート側の低抵抗膜3と取出
し配線21の間を接続線22で接続する。上記接続は、
固定部材4に対して、高圧印加されるメタルバック19
とは逆側で行い、固定部材4により沿面距離を確保し
た。
【0057】(4)外囲器を形成する。フェースプレー
ト17、側壁16、複数の冷陰極素子12が形成された
基板11が固定されているリアプレート15の接合部を
フリットガラスを用いて加熱封着し、外囲器を形成す
る。フェースプレート17及びリアプレート15は互い
に十分位置合せを行う。
【0058】外囲器を組み立てるにあたっては、各部材
の接合部に十分な強度と気密性を保持させるため封着す
る必要があるが、たとえばフリットガラスを接合部に塗
布し、大気中あるいは窒素雰囲気中で、400℃〜50
0℃で10分以上焼成することにより封着を達成でき
る。
【0059】(5)真空排気及び封止を行う。不図示の
排気管を通じて外囲器内を徐々に真空排気し、十分な真
空度(例えば1.3×10-4Pa程度)に達した後排気
管を封止する。すなわち、外囲器内の真空排気の後、ス
ペーサ20は外囲器に外側から加わる大気圧により外囲
器内の所定の位置に固定される。
【0060】以上の工程により、表示パネルが完成する
(尚、冷陰極素子の作製プロセス、べ一キング工程等は
説明を省略した)。
【0061】固定部材4としては、ガラス、セラミック
或いはプラスチックなど様々な材料を用いることが出来
るが、表示パネルを作製する工程で加熱される場合は、
適度な耐熱性を有し、基板11、フェースプレート17
及びスペーサ20と熱膨張率の近い材料を用いることが
好ましい。また、耐電圧設計の観点からは、絶縁性の高
い材料で高耐圧を維持する方法と、スペーサ20と同様
に表面或いは部材内に導電性を与えることにより適切な
電位を付与して電界集中を防止する方法の2種がある。
前者のほうが扱いは簡単であるが、より高い電界に対し
て高耐圧設計をする場合には後者の方式と併用するのが
望ましい。
【0062】また、固定部材4の溝部とスペーサ20の
間及び固定部材4とフェースプレート17との間を接着
する接着剤についても適度な耐熱性を有し、基板11、
フェースプレート17及びスペーサ20と熱膨張率の近
い材料を用いることが好ましい。
【0063】また、取出し配線21は、例えば印刷・焼
成等により銀ペースト材料などを用いて形成することが
出来る。
【0064】また、接続線22は、Au,Cu,Ni等
の金属線や合金線(ソーダライムガラスと熱膨張率の近
い426合金など)などを用いることが出来る。
【0065】また、取出し配線21と接続線22の接着
は、例えば耐熱性の高いセラミック系の導電性の接着剤
などを用いて行えばよい。
【0066】以上説明した本発明の第1の実施態様にお
いては、以下の効果を有する。
【0067】まず、基板11に当接する側の低抵抗膜3
を、前記電子源をなす前記複数の冷陰極素子12と電気
的に直接的には接続しないことにより(絶縁層5aを介
して当接)、不意の放電時にスペーサ20を介して流れ
る放電電流による前記電子源への影響を抑制することが
できる。
【0068】また、複数の冷陰極素子12のなす領域
(第1の領域)内に固定部材4を有しないことにより、
冷陰極素子12を密に配置でき、高精細な画像表示が可
能となる。例えば固定部材に必要なスペースが不要とな
り、冷陰極素子の特性や冷陰極素子からの放出電子に対
する固定部材からの影響を回避できる。また、本構成に
おいては、スペーサ20は、固定部材4により自立する
構成であることから、組立時の調整工数を減らすことが
でき、組立コストの削減につながる。
【0069】また、前記スペーサ20の延長部は、スペ
ーサ20の位置決めや固定に支障をきたさない限り、片
端のみにあってもよく、この場合、固定部材4は前記延
長部を有する側の片端のみに配置される。このことによ
り、部品点数や組立工数をさらに削減することができ
る。
【0070】また、固定部材4は、絶縁性材料であって
も真空中よりも高い比誘電率を有する為、空間中の電界
を歪ませることになる。従って、電位規定されている高
抵抗膜2や低抵抗膜3と接しないように固定部材4を配
置したほうが、総じて電界集中の生じにくい構成とな
る。
【0071】また、スペーサ20をフェースプレート1
7に固定し、かつリアプレート側の低抵抗膜3をフェー
スプレート17上の取出し配線21を介して電位規定部
V1に接続することにより、リアプレート17及び基板
11に対して、フェースプレート17及びスペーサ20
を電気的にも機械的にも実質的に独立させることができ
る。例えば、組立工程において複数の冷陰極素子12を
有する基板11及びリアプレート15の歩留まりと、ス
ペーサ20及びフェースプレート17の歩留まりを独立
に管理すればよいので、電子線装置全体の作製歩留まり
が向上する。また、不意の放電が発生した場合において
も、スペーサ20を介した放電電流を基板11に流入さ
せることなくフェースプレート17側だけで処理できる
ので、電子線装置の信頼性を向上させることができる。
【0072】また、高電圧が印加されるメタルバック1
9と、取出し配線21の間に絶縁性材料からなる固定部
材4を配置することにより、メタルバック19と取出し
配線21間の絶縁耐圧を向上させることが出来る。メタ
ルバック19を電子照射領域よりも広げることで反射電
子などの不要電荷により電子照射領域の周辺部に生じる
帯電を防止する効果や、メタルバック19より外側にリ
アプレート15側の低抵抗膜3の端を配置することによ
り低電位側の電界集中を抑制する効果と合せて、本発明
の表示パネルの耐電圧の特性を向上させることが出来
る。
【0073】以下に、本発明の他の実施態様と効果を説
明する。
【0074】(1)本発明の表示パネルの他の実施態様 図4は、第2の実施態様で用いる表示パネルの断面図で
あり、第1の実施態様を示した図3に相当しており、第
1の実施態様と同じ部材は同一符号を付した。以下で
は、第1の実施態様と異なる部分だけ説明する。
【0075】スペーサ20の延長部まで延びたリアプレ
ート側の低抵抗膜3は、更にフェースプレート17側ま
でスペーサ20上に設けられた延長電極23と接続され
ている。延長電極23は、取出し線21と接続されてい
る。
【0076】本構成においては、スペーサ20上に延長
電極23を形成することにより、空中配線となる接続線
22を不要な構成とした。
【0077】延長電極23を設けるに当っては、メタル
バック19やフェースプレート側の低抵抗膜3との沿面
距離を十分にとり、且つこれらの高電圧規定部に向かっ
て曲率の小さい凸部が出来ないようにすることが重要で
ある。必要な沿面距離としては、適切な高抵抗の帯電防
止膜を有する場合で0.2mm/kV程度或いはそれ以
上である。凸部の最小曲率半径としては、10μm程度
或いはそれ以上である。また、延長電極23は、固定部
材4に対して高電圧の印加されるメタルバック19と逆
側に配置し、延長電極23及び取出し配線21への沿面
放電が起きにくい構成とした。また、本構成では、固定
部材4は2つの部材からなりスペーサ20を両側から挟
むように位置決め固定される。
【0078】図5は、第3の実施態様で用いる表示パネ
ルの断面図であり、第1の実施態様を示した図3に相当
しており、第1の実施態様と同じ部材は同一符号を付し
た。以下では、第1の実施態様と異なる部分だけ説明す
る。
【0079】本構成においては、スペーサ20をリアプ
レート15側に固定する構成とした。スペーサ20を固
定する固定部材4’をリアプレート15側に設け、スペ
ーサ20を基板11上に固定した。リアプレート側の低
抵抗膜3は、基板11上に行方向配線とは別に設けられ
た取出し配線24に接続された。
【0080】本構成においては、冷陰極素子12に接続
された行方向配線13bとスペーサ20が直接接しない
ように構成することにより、不意の放電による電子源の
劣化を防止する効果を有する。
【0081】第3の実施態様の別の構成例としては、取
出し配線24の代わりに、絶縁層5aとスペーサ20の
間に設置された導電性の板材を用いることが出来る。こ
の導電性の板材は、冷陰極素子12から放出された電子
の軌道を遮蔽しないように、開口や切り欠き等を設ける
ことが出来る。
【0082】また、図1の実施形態例においては、気密
容器のリアプレート15にマルチ電子ビーム源の基板1
1を固定する構成としたが、マルチ電子ビーム源の基板
11が十分な強度を有するものである場合には、気密容
器のリアプレートとしてマルチ電子ビーム源の基板11
自体を用いてもよい。
【0083】また、フェースプレート17の下面には、
蛍光膜18が形成されている。本実施形態例はカラー表
示装置であるため、蛍光膜18の部分にはCRTの分野
で用いられる赤、緑、青、の3原色の蛍光体が塗り分け
られている。各色の蛍光体は、たとえば図6の(a)に
示すようにストライプ状に塗り分けられ、蛍光体のスト
ライプの間には黒色導電材61が設けてある。黒色導電
材61を設ける目的は、電子ビームの照射位置に多少の
ずれがあっても表示色にずれが生じないようにする事
や、外光の反射を防止して表示コントラストの低下を防
ぐ事などである。
【0084】また、蛍光膜18のリアプレート側の面に
は、CRTの分野では公知のメタルバック19を設けて
ある。メタルバック19を設けた目的は、蛍光膜18が
発する光の一部を鏡面反射して光利用率を向上させる事
や、負イオンの衝突から蛍光膜18を保護する事や、電
子ビーム加速電圧を印加するための電極として作用させ
る事や、蛍光膜18を励起した電子の導電路として作用
させる事などである。メタルバック19は、蛍光膜18
をフェースプレート基板17上に形成した後、蛍光膜表
面を平滑化処理し、その上にAlを真空蒸着する方法に
より形成した。なお、蛍光膜18に低電圧用の蛍光体材
料を用いた場合には、メタルバック19は用いない。ま
た、本実施形態例では用いなかったが、加速電圧の印加
用や蛍光膜の導電性向上を目的として、フェースプレー
ト基板17と蛍光膜18との間に、たとえばITOを材
料とする透明電極を設けてもよい。
【0085】Dx1〜DxmおよびDy1〜Dynおよ
びHvは、当該表示パネルと不図示の駆動回路とを電気
的に接続するために設けた気密構造の電気接続用端子で
ある。Dx1〜Dxmはマルチ電子ビーム源の行方向配
線13と、Dy1〜Dynはマルチ電子ビーム源の列方
向配線14と、Hvはフェースプレートのメタルバック
19と電気的に接続している。また、気密容器内部を真
空に排気するには、気密容器を組み立てた後、不図示の
排気管と真空ポンプとを接続し、気密容器内を1.3×
10-5[Pa]程度の真空度まで排気する。その後、排
気管を封止するが、気密容器内の真空度を維持するため
に、封止の直前あるいは封止後に気密容器内の所定の位
置にゲッター膜(不図示)を形成する。ゲッター膜と
は、たとえばBaを主成分とするゲッター材料をヒータ
ーもしくは高周波加熱により加熱し蒸着して形成した膜
であり、該ゲッター膜の吸着作用により気密容器内は
1.3×10-3[Pa]ないしは1.3×10-5[P
a]の真空度に維持される。
【0086】以上説明した表示パネルを用いた画像表示
装置は、容器外端子Dx1ないしDxm,Dy1ないし
Dynを通じて各冷陰極素子12に電圧を印加すると、
各冷陰極素子12から電子が放出される。それと同時に
メタルバック19に容器外端子Hvを通じて数百[V]
ないし数[kV]の高圧を印加して、上記放出された電
子を加速し、フェースプレート17の内面に衝突させ
る。これにより、蛍光膜18をなす各色の蛍光体が励起
されて発光し、画像が表示される。
【0087】通常、冷陰極素子12として好適に用いら
れる表面伝導型放出素子への印加電圧は12〜16
[V]程度、メタルバック19と冷陰極素子12との距
離dは1[mm]から5[mm]程度、メタルバック1
9への印加電圧は3[kV]から15[kV]程度であ
る。
【0088】(2)スペーサの実施態様 スペーサ20は、耐大気圧機能を達成するために必要な
数だけ、かつ必要な間隔をおいて配置され、フェースプ
レート17の内側および基板11の表面に当接される。
【0089】スペーサ20としては、取出し配線21と
フェースプレート17内面のメタルバック19との間に
印加される高電圧に耐えるだけの絶縁性を有し、かつス
ペーサ20の表面への帯電を防止する程度の導電性を有
する必要がある。
【0090】スペーサ20の絶縁性部材1としては、例
えば石英ガラス、Na等の不純物含有量を減少したガラ
ス、アルカリ土類金属を成分に含み電気絶縁性を高めた
ガラス(旭ガラス(株)製のPD200など)、ソーダ
ライムガラス、アルミナ等のセラミックス部材等が挙げ
られる。なお、絶縁性部材1はその熱膨張率が気密容器
および基板11を成す部材と近いものが好ましい。
【0091】スペーサ20を構成する高抵抗膜2には、
高電位側のフェースプレート17(メタルバック19
等)に印加される加速電圧Vaを帯電防止膜である高抵
抗膜2の抵抗値Rsで除した電流が流される。そこで、
スペーサの抵抗値Rsは帯電防止および消費電力からそ
の望ましい範囲に設定される。帯電防止の観点から表面
抵抗R/□は1014Ω以下であることが好ましい。十分
な帯電防止効果を得るためには1011Ω以下がさらに好
ましい。表面抵抗の下限はスペーサ形状とスペーサ間に
印加される電圧により左右されるが、107 Ω以上であ
ることが好ましい。
【0092】絶縁性部材1上に形成された帯電防止膜
(高抵抗膜2)の厚みtは10nm〜1μmの範囲が望
ましい。材料の表面エネルギーおよび基板との密着性や
基板温度によっても異なるが、一般的に10nm以下の
薄膜は島状に形成され、抵抗が不安定で再現性に乏し
い。一方、膜厚tが1μm以上では膜応力が大きくなっ
て膜はがれの危険性が高まり、かつ成膜時間が長くなる
ため生産性が悪い。従って、帯電防止膜(高抵抗膜2)
の厚みtは50〜500nmであることが望ましい。表
面抵抗R/□はρ/tであり、以上に述べたR/口とt
の好ましい範囲から、帯電防止膜(高抵抗膜2)の比抵
抗ρは1[Ωcm]乃至1010[Ωcm]が好ましい。
さらに表面抵抗と膜厚のより好ましい範囲を実現するた
めには、ρは102 [Ωcm]乃至106 [Ωcm]と
するのが良い。
【0093】スペーサ20は上述したようにその表面に
形成した帯電防止膜(高抵抗膜2)を電流が流れること
により、あるいはディスプレイ全体が動作中に発熱する
ことによりその温度が上昇する。帯電防止膜の抵抗温度
係数が大きな負の値であると温度が上昇した時に抵抗値
が減少し、スペーサ20に流れる電流が増加し、さらに
温度上昇をもたらす。そして電流は電源の限界を越える
まで増加しつづける。このような電流の暴走が発生する
抵抗温度係数の値は経験的に負の値で絶対値が1%以上
である。すなわち、帯電防止膜の抵抗温度係数は−1%
未満であることが望ましい。
【0094】帯電防止特性を有する高抵抗膜2の材料と
しては、例えば金属酸化物を用いることが出来る。金属
酸化物の中でも、クロム、ニッケル、銅の酸化物が好ま
しい材料である。その理由はこれらの酸化物は二次電子
放出効率が比較的小さく、冷陰極素子12から放出され
た電子がスペーサ20に当たった場合においても帯電し
にくためと考えられる。金属酸化物以外にも炭素は二次
電子放出効率が小さく好ましい材料である。特に、非晶
質カーボンは高抵抗であるため、スペーサ抵抗を所望の
値に制御しやすい。
【0095】帯電防止特性を有する高抵抗膜2の他の材
料として、アルミと遷移金属合金の窒化物は遷移金属の
組成を調整することにより、良伝導体から絶縁体まで広
い範囲に抵抗値を制御できるので好適な材料である。さ
らには後述する表示装置の作製工程において抵抗値の変
化が少なく安定な材料である。かつ、その抵抗温度係数
が−1%未満であり、実用的に使いやすい材料である。
かかる遷移金属元素としてはTi,Cr,Ta等が挙げ
られる。
【0096】合金窒化膜はスパッタ、窒素ガス雰囲気中
での反応性スパッタ、電子ビーム蒸着、イオンプレーテ
ィング、イオンアシスト蒸着法等の薄膜形成手段により
絶縁性部材上に形成される。金属酸化膜も同様の薄膜形
成法で作製することができるが、この場合窒素ガスに代
えて酸素ガスを使用する。その他、CVD法、アルコキ
シド塗布法でも金属酸化膜を形成できる。カーボン膜は
蒸着法、スパッタ法、CVD法、プラズマCVD法で作
製され、特に非晶質カーボンを作製する場合には、成膜
中の雰囲気に水素が含まれるようにするか、成膜ガスに
炭化水素ガスを使用する。
【0097】スペーサ20を構成する低抵抗膜3は、高
抵抗膜2に比べ十分に低い抵抗値を有する材料で構成さ
れる。かかる低抵抗膜3は、高抵抗膜2を高電位側のフ
ェースプレート17(メタルバック19等)及び低電位
側の取出し配線21と電気的に接続する為に設けられた
ものであり、以下に列挙する複数の機能を有することが
出来る。
【0098】高抵抗膜2をフェースプレート17及び
取出し配線21と電気的に接続する。既に記載したよう
に、高抵抗膜2はスペーサ20表面での帯電を防止する
目的で設けられたものであるが、高抵抗膜2をフェース
プレート17(メタルバック19等)及び取出し配線2
1と直接接続した場合、接続部界面に大きな接触抵抗が
発生し、スペーサ表面に発生した電荷を速やかに除去で
きなくなる可能性がある。これを避ける為に、フェース
プレート17及び基板11と当接するスペーサ端部(当
接面および/または端部側面)に低抵抗の中間層(低抵
抗膜3)を設けた。
【0099】高抵抗膜2の電位分布を均一化する。冷
陰極素子12より放出された電子は、フェースプレート
17と基板11の間に形成された電位分布に従って電子
軌道を成す。スペーサ20の近傍で電子軌道に乱れが生
じないようにする為には、高抵抗膜2の電位分布を全域
にわたって制御する必要がある。高抵抗膜2をフェース
プレート17(メタルバック19等)及び基板11(配
線13,14等)と直接或いは当接材を介して接続した
場合、接続部界面の接触抵抗の為に、接続状態のむらが
発生し、高抵抗膜2の電位分布が所望の値からずれてし
まう可能性がある。これを避ける為に、スペーサ20が
フェースプレート17及び基板11と当接するスペーサ
端部(当接面および/または端部側面)に低抵抗の中間
層(低抵抗膜3)を設け、この中間層部に所望の電位を
印加することによって、高抵抗膜2全体の電位を制御可
能とした。
【0100】放出電子の軌道を制御する。冷陰極素子
12より放出された電子は、フェースプレート17と基
板11の間に形成された電位分布に従って電子軌道を成
す。スペーサ近傍の冷陰極素子から放出された電子に関
しては、スペーサを設置することに伴う制約(配線、素
子位置の変更等)が生じる場合がある。このような場
合、歪みやむらの無い画像を形成する為には、放出され
た電子の軌道を制御してフェースプレート17上の所望
の位置に電子を照射する必要がある。フェースプレート
17及び基板11と当接するスペーサ端部(端部側面)
に低抵抗の中間層(低抵抗膜3)を設けることにより、
スペーサ20近傍の電位分布に所望の特性を持たせ、放
出された電子の軌道を制御することが出来る。
【0101】(3)マルチ電子ビーム源の実施態様 本発明の電子線装置及び画像表示装置に用いるマルチ電
子ビーム源は、冷陰極素子の材料や形状あるいは製法に
制限はない。したがって、たとえば表面伝導型放出素子
やFE型、あるいはMIM型などの冷陰極素子を用いる
ことができる。
【0102】特に表面伝導型放出素子は、比較的製造方
法が単純なため、大面積化や製造コストの低減が容易で
ある。また、発明者らは、表面伝導型放出素子の中で
も、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形成
したものがとりわけ電子放出特性に優れ、しかも製造が
容易に行えることを見いだしている。したがって、高輝
度で大画面の画像表示装置のマルチ電子ビーム源に用い
るには、最も好適であると言える。そこで、実施態様及
び実施例の表示パネルにおいては、電子放出部もしくは
その周辺部を微粒子膜から形成した表面伝導型放出素子
を用いた。
【0103】以下では、本発明に好適に用いられる表面
伝導型放出素子について基本的な構成と製法および特性
を説明し、その後で多数の素子を単純マトリクス配線し
たマルチ電子ビーム源の構造について述べる。
【0104】(表面伝導型放出素子の好適な素子構成と
製法)電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜から形
成する表面伝導型放出素子の代表的な構成には、平面型
と垂直型の2種類があげられる。ここでは例として、平
面型の表面伝導型放出素子の素子構成についてのみ説明
する。
【0105】図8に示すのは、平面型の表面伝導型放出
素子の構成を説明するための平面図(a)および断面図
(b)である。図中、101は基板、102と103は
素子電極、104は導電性薄膜、105は通電フォーミ
ング処理により形成した電子放出部、106は通電活性
化処理により形成した薄膜である。
【0106】また、導電性薄膜104の部分には、微粒
子膜を用いるのが好ましい。ここで述べた微粒子膜と
は、構成要素として多数の微粒子を含んだ膜(島状の集
合体も含む)のことを指す。微粒子膜を微視的に調べれ
ば、通常は、個々の微粒子が離間して配置された構造
か、あるいは微粒子が互いに隣接した構造か、あるいは
微粒子が互いに重なり合った構造が観測される。
【0107】以上述べたように、導電性薄膜104を微
粒子膜で形成したが、そのシート抵抗値については、1
3 から107 [Ω/□]の範囲に含まれるよう設定し
た。
【0108】また、電子放出部105は、導電性薄膜1
04の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気的に
は周囲の導電性薄膜よりも高抵抗な性質を有している。
亀裂は、導電性薄膜104に対して、後述する通電フォ
ーミングの処理を行うことにより形成する。亀裂内に
は、数Åから数百Åの粒径の微粒子を配置する場合があ
る。なお、実際の電子放出部の位置や形状を精密かつ正
確に図示するのは困難なため、図8においては模式的に
示した。
【0109】また、薄膜106は、炭素もしくは炭素化
合物よりなる薄膜で、電子放出部105およびその近傍
を被覆している。薄膜106は、通電フォーミング処理
後に、後述する通電活性化の処理を行うことにより形成
する。
【0110】以上、好ましい素子の基本構成を述べた
が、実施例においては以下のような素子を用いた。
【0111】すなわち、基板101には青板ガラスを用
い、素子電極102と103にはNi薄膜を用いた。素
子電極の厚さdは1000Å、電極間隔Lは2μmとし
た。また、微粒子膜の主要材料としてPdもしくはPd
Oを用い、微粒子膜の厚さは約100Å、幅Wは100
μmとした。
【0112】次に表示装置に用いた表面伝導型放出素子
の特性について述べる。
【0113】図9に、表示装置に用いた素子の、(放出
電流Ie)対(素子印加電圧Vf)特性、および(素子
電流If)対(素子印加電圧Vf)特性の典型的な例を
示す。なお、放出電流Ieは素子電流Ifに比べて著し
く小さく、同一尺度で図示するのが困難であるうえ、こ
れらの特性は素子の大きさや形状等の設計パラメータを
変更することにより変化するものであるため、2本のグ
ラフは各々任意単位で図示した。
【0114】表示装置に用いた素子は、放出電流Ieに
関して以下に述べる3つの特性を有している。
【0115】第一に、ある電圧(これを閾値電圧Vth
と呼ぶ)以上の大きさの電圧を素子に印加すると急激に
放出電流Ieが増加するが、一方、閾値電圧Vth未満
の電圧では放出電流Ieはほとんど検出されない。すな
わち、放出電流Ieに関して、明確な閾値電圧Vthを
持った非線形素子である。
【0116】第二に、放出電流Ieは素子に印加する電
圧Vfに依存して変化するため、電圧Vfで放出電流I
eの大きさを制御できる。
【0117】第三に、素子に印加する電圧Vfに対して
素子から放出される電流Ieの応答速度が速いため、電
圧Vfを印加する時間の長さによって素子から放出され
る電子の電荷量を制御できる。
【0118】以上のような特性を有するため、表面伝導
型放出素子を表示装置に好適に用いることができた。た
とえば多数の素子を表示画面の画素に対応して設けた表
示装置において、第一の特性を利用すれば、表示画面を
順次走査して表示を行うことが可能である。すなわち、
駆動中の素子には所望の発光輝度に応じて閾値電圧Vt
h以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の素子には閾値
電圧Vth未満の電圧を印加する。駆動する素子を順次
切り替えてゆくことにより、表示画面を順次走査して表
示を行うことが可能である。
【0119】また、第二の特性または第三の特性を利用
することにより、発光輝度を制御することができるた
め、階調表示を行うことが可能である。
【0120】次に、上述の表面伝導型放出素子を基板上
に配列して単純マトリクス配線したマルチ電子ビーム源
の構造について述べる。
【0121】図10に示すのは、図1の表示パネルに用
いたマルチ電子ビーム源の平面図である。基板11上に
は、後述の図8で示すものと同様な表面伝導型放出素子
が配列され、これらの素子は行方向配線13と列方向配
線14により単純マトリクス状に配線されている。行方
向配線13と列方向配線14の交差する部分には、電極
間に絶縁層(不図示)が形成されており、電気的な絶縁
が保たれている。
【0122】図10のB−B’に沿った断面を、図11
に示す。なお、このような構造のマルチ電子源は、予め
基板上に行方向配線13、列方向配線14、電極間絶縁
層(不図示)、および表面伝導型放出素子の素子電極1
02,103と導電性薄膜104を形成した後、行方向
配線13および列方向配線14を介して各素子に給電し
て通電フォーミング処理と通電活性化処理を行うことに
より製造した。
【0123】以上、マルチ電子ビーム源として多数の冷
陰極素子を単純マトリクス配線した構造を説明したが、
マルチ電子ビーム源は、並列に配置した複数の冷陰極素
子の個々を両端で接続した冷陰極素子の行を複数配し
(行方向と呼ぶ)、この配線と直交する方向(列方向と
呼ぶ)に沿って、冷陰極素子の上方に配した制御電極
(グリッドとも呼ぶ)により、冷陰極素子からの電子を
制御するはしご状配置の電子源とすることもできる。
【0124】また、本発明の思想によれば、表示用とし
て好適な画像形成装置に限るものでなく、感光性ドラム
と発光ダイオード等で構成された光プリンタの発光ダイ
オード等の代替の発光源として、上述の画像形成装置を
用いることもできる。またこの際、上述のm本の行方向
配線とn本の列方向配線を、適宜選択することで、ライ
ン状発光源だけでなく、2次元状の発光源としても応用
できる。この場合、画像形成部材としては、以下の実施
例で用いる蛍光体のような直接発光する物質に限るもの
ではなく、電子の帯電による潜像画像が形成されるよう
な部材を用いることもできる。
【0125】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳述
する。以下に述べる各実施例においては、マルチ電子ビ
ーム源として、前述した、電極間の導電性微粒子膜に電
子放出部を有するタイプのn×m個(n=3072、m
=1024)の表面伝導型放出素子を、m本の行方向配
線とn本の列方向配線とによりマトリクス配線したもの
(図1および図10参照)を用いた。
【0126】(実施例1)本実施例では、前述した図
1、図2、図3に示した表示パネルを作製した。本実施
例の表示パネルは以下の手順で作製した。
【0127】(1)スペーサ20を固定部材4と接着固
定する。スペーサ20としては、PD200ガラス(旭
ガラス(株)製)からなる加熱延伸成形した絶縁性部材
1(高さ2mm、板厚200μm、長さ500mm)の
表面のうち、気密容器内に露出する主となる2面に高抵
抗膜2(CrおよびAlのターゲットを高周波電源で同
時スパッタすることにより形成したCr−Al合金窒化
膜(200nm厚、約1010[Ω/□]:両端に未成膜
領域それぞれ25mm)を成膜し、当接面にTi(下引
き層、200Å)、Pt(800Å)からなる低抵抗膜
3(高さ50μm、幅200μm、長さ500mm:両
端に未成膜領域それぞれ25mm(フェースプレート
側)、20mm(リアプレート側))を成膜したものを
用いた。スペーサ20とアルミナからなる固定部材4
は、後ほど表示パネル内にスペーサ20を設置し外囲器
形成或いは真空排気する際に、スペーサ端部がフェース
プレート17及びリアプレート15に対して斜めに接地
しないように、十分な位置及び角度合せを行い、セラミ
ック系の接着剤により互いに固定した。
【0128】(2)スペーサ20をフェースプレート1
7上にて位置決めする。冷陰極素子12及び蛍光膜18
のなす領域内或いはその領域外で位置決め治具を用いて
スペーサ20を所定の位置に位置決めした。基板11の
行方向配線13(線幅300μm)に対応して等間隔で
行方向配線13と平行にフェースプレート17上に配置
し、両端の低抵抗膜3の電気的な接続も行った。このと
き、固定部材4は、フェースプレート17に対してセラ
ミック系の接着剤により接着した。また、接続線22と
してAu線を用い、導電材料を混入したセラミック系の
接合材により、基板11側の低抵抗膜3と引出し配線2
1に接続した。
【0129】(3)外囲器を形成する。フェースプレー
ト17の2mm下方に、基板11の接合されたリアプレ
ート17を側壁16を介し配置し、リアプレート15と
側壁16の接合部、およびフェースプレート17と側壁
16の接合部は、フリットガラス(不図示)を塗布し、
大気中で400℃乃至500℃で10分以上焼成するこ
とで封着した。フェースプレート17及びリアプレート
15は互いに十分位置合せを行った。
【0130】(4)真空排気及び封止を行う。以上のよ
うにして完成した気密容器内を排気管(不図示)を通じ
真空ポンプにて排気し、十分な真空度に達した後、容器
外端子Dx1〜DxmとDy1〜Dynを通じ、行方向
配線電極13および列方向配線電極14を介して各素子
に給電して前述の通電フォーミング処理と通電活性化処
理を行うことによりマルチ電子ビーム源を製造した。
【0131】次に、1.3×10-4Pa程度の真空度
で、不図示の排気管をガスバーナーで熱することで溶着
し外囲器(気密容器)の封止を行った。最後に、封止後
の真空度を維持するために、ゲッター処理を行った。
【0132】なお、外囲器内の真空排気の後、スペーサ
20は外囲器に外側から加わる大気圧により外囲器内の
所定の位置に固定される。
【0133】以上のように完成した、図1、図2、図3
に示されるような表示パネルを用いた画像表示装置にお
いて、各冷陰極素子(表面伝導型放出素子)12には、
容器外端子Dx1〜Dxm,Dy1〜Dynを通じ、走
査信号及び変調信号を不図示の信号発生手段よりそれぞ
れ印加することにより電子を放出させ、メタルバック1
9には、高圧端子Hvを通じて高圧を印加することによ
り放出電子ビームを加速し、蛍光膜18に電子を衝突さ
せ、各色蛍光体(図7のR,G,B)を励起・発光させ
ることで画像を表示した。なお、高圧端子Hvへの印加
電圧Vaは3[kV]ないし10[kV]、各配線1
3、14間への印加電圧Vfは14[V]とした。ま
た、リアプレート15側の低抵抗膜3にフェースプレー
ト17側に設けた取出し配線21を介して電圧を印加す
る電源V1からは、冷陰極素子12とメタルバック19
間に印加される電界を概ね乱さない電圧を印加した。
【0134】このとき、スペーサ20に近い位置にある
冷陰極素子12からの放出電子による発光スポットも含
め、2次元状に等間隔の発光スポット列が形成され、鮮
明で色再現性のよいカラー画像表示ができた。
【0135】また、Hvに13kV〜15kVの高電圧
を印加した際にまれに生じた放電時においても、スペー
サ20を行方向配線上に直接設置した従来の方式(図1
3)に比較して、冷陰極素子12の劣化の程度は小さか
った。
【0136】(実施例2)前述した第2の実施態様以下
で示した表示パネル(図4、図5参照)を用いて画像表
示を行った。実施例1同様、スペーサ20に近い位置に
ある冷陰極素子12からの放出電子による発光スポット
も含め、2次元状に等間隔の発光スポット列が形成さ
れ、鮮明で色再現性のよいカラー画像表示ができた。ま
た、Hvに13kV〜15kVの高電圧を印加した際に
まれに生じた放電時においても、スペーサ20を行方向
配線上に直接設置した従来の方式(図13)に比較し
て、冷陰極素子12の劣化の程度は小さかった。
【0137】
【発明の効果】以上説明した本発明の電子線装置および
画像形成装置においては以下の効果が得られる。
【0138】1.スペーサ(間隔保持部材)に設けられ
た低抵抗膜を、電子源基板(第1の基板)上に形成され
た複数の冷陰極素子と電気的に直接的には接続しないこ
とにより、不意の放電時に前記間隔保持部材を介して流
れる放電電流による前記電子源への影響を抑制すること
ができる。
【0139】2.スペーサ(間隔保持部材)の電子源基
板(第1の基板)に当接する側に設けられた低抵抗膜
を、フェースプレート(第2の基板)側に形成された取
出し配線(第1の配線)を介して低抵抗膜電位規定部
(V1)に接続することにより、第1の基板に対して、
第2の基板及び間隔保持部材を電気的にも機械的にも実
質的に独立させることができる。このため、組立工程に
おいて複数の冷陰極素子を有する第1の基板の歩留まり
と第2の基板・間隔保持部材の歩留まりを独立に管理す
ればよいので、電子線装置全体の作製歩留まりが向上す
る。また、不意の放電が発生した場合においても、間隔
保持部材を介した放電電流を第1の基板に流入させるこ
となく第2の基板だけで処理できるので、電子線装置の
信頼性を向上させることができる。
【0140】3.スペーサ(間隔保持部材)を、複数の
冷陰極素子を有する領域外において固定部材により固定
することにより、冷陰極素子を密に配置でき、高精細な
画像表示が可能となる。また、固定部材に必要なスペー
スが不要となり、冷陰極素子の特性や冷陰極素子からの
放出電子に対する固定部材からの影響を回避できる。
【0141】4.高電圧が印加される加速電極と、電子
源基板(第1の基板)に印加される低電圧と近い電位が
印加される取出し配線(第1の配線)の間に絶縁性材料
からなる固定部材を配置することにより、加速電極と第
1の配線間の絶縁耐圧を向上させることが出来る。 5.加速電極の面積を、電子照射領域を含み且つ電子照
射領域よりも大きい面積とすることにより、反射電子な
どの不要電荷により電子照射領域の周辺部に生じる帯電
を防止する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である画像表示装置の、表示
パネルの一部を切り欠いて示した斜視図である。
【図2】第1の実施態様で用いる表示パネルの概要図
(図1のA−A’断面の一部)である。
【図3】第1の実施態様で用いる表示パネルの概要図
(図1のB−B’断面の一部)である。
【図4】第2の実施態様で用いる表示パネルの概要図
(図1のA−A’断面の一部)である。
【図5】第3の実施態様で用いる表示パネルの概要図
(図1のA−A’断面の一部)である。
【図6】表示パネルのフェースプレートの蛍光体配列を
例示した平面図である。
【図7】実施例で用いた表示パネルのフェースプレート
の蛍光体配列を示した平面図である。
【図8】実施例で用いた平面型の表面伝導型放出素子の
平面図(a),断面図(b)である。
【図9】実施例で用いた表面伝導型放出素子の典型的な
特性を示す図である。
【図10】実施例で用いたマルチ電子ビーム源の基板の
一部平面図である。
【図11】実施例で用いたマルチ電子ビーム源の基板の
一部断面図である。
【図12】従来知られた表面伝導型放出素子の一例を示
す図である。
【図13】従来の画像表示装置の、表示パネルの一部を
切り欠いて示した斜視図である。
【符号の説明】
1 絶縁性部材 2 高抵抗膜 3 低抵抗膜 4 固定部材 5,5a 絶縁層 11 基板(第1の基板) 12 冷陰極素子 13,13a,13b 行方向配線 14 列方向配線 15 リアプレート 16 側壁 17 フェースプレート(第2の基板) 18 蛍光膜 19 メタルバック 20 スペーサ 21,24 取出し配線(第1の配線) 22 導電性の接続線 23 延長電極 61 黒色導電材 101,201 基板 102,103 素子電極 104,202 導電性薄膜 105,203 電子放出部 106 堆積膜(炭素膜) 311 基板 312 冷陰極素子 313 行方向配線 314 列方向配線 315 リアプレート 316 側壁 317 フェースプレート 318 蛍光膜 319 メタルバック 320 スペーサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 左納 義久 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 Fターム(参考) 5C032 CC05 CC10 CD04 5C036 EE09 EE19 EG01 EG29 EG33 EG34 EH02 EH06 EH08

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子源が設けられる第1の基板と、前記
    第1の基板に対向して設けられる第2の基板と、前記第
    1の基板と前記第2の基板の間隔を保持する間隔保持部
    材とを有しており、 前記電子源は、前記第1の基板上の第1の領域に複数の
    冷陰極素子を有しており、 前記間隔保持部材は、前記第1の領域の周辺部に延長し
    て配置された延長部と、前記第1の基板に当接する側に
    低抵抗膜を有しており、 前記低抵抗膜は、低抵抗膜電位規定部により所定の電位
    に規定されており、且つ前記第1の基板上に高抵抗部材
    を介して位置していること、を特徴とする電子線装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記低抵抗膜は、前
    記第2の基板上に形成された第1の配線を介して前記低
    抵抗膜電位規定部に接続されていることを特徴とする電
    子線装置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記間隔保持部材
    は、前記延長部において前記第2の基板上に対して固定
    部材により固定されていることを特徴とする電子線装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項3において、前記固定部材は絶縁
    性材料からなることを特徴とする電子線装置。
  5. 【請求項5】 請求項3において、前記第2の基板上に
    は、前記複数の冷陰極素子から放出される電子が照射さ
    れる電子照射領域に加速電極が形成されており、前記加
    速電極と前記第1の配線との間に前記固定部材が配置さ
    れていることを特徴とする電子線装置。
  6. 【請求項6】 請求項5において、前記加速電極は、前
    記電子照射領域を含み且つ前記電子照射領域よりも大き
    い面積を有することを特徴とする電子線装置。
  7. 【請求項7】 請求項6において、前記間隔保持部材
    は、前記加速電極の成す領域の周辺部まで前記延長部を
    有し、前記低抵抗膜は、前記加速電極の成す領域の周辺
    部まで延長されていることを特徴とする電子線装置。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれかにおいて、前
    記第1の領域に対応する前記間隔保持部材の真空中に表
    出する表面には、前記間隔保持部材表面よりも帯電の少
    ない膜が形成されていることを特徴とする電子線装置。
  9. 【請求項9】 請求項8において、前記間隔保持部材表
    面よりも帯電の少ない膜は、前記低抵抗膜及び前記第2
    の基板と電気的に接続されている導電性膜であることを
    特徴とする電子線装置。
  10. 【請求項10】 請求項9において、前記導電性膜は、
    107 [Ω/口]以上1014[Ω/口]以下の高抵抗膜
    を含むことを特徴とする電子線装置。
  11. 【請求項11】 請求項10において、前記導電性膜
    は、前記第2の基板と電気的に接続する領域において、
    前記高抵抗膜より少なくとも1桁小さいシート抵抗の低
    抵抗膜を有することを特徴とする電子線装置。
  12. 【請求項12】 請求項8乃至11のいずれかにおい
    て、前記間隔保持部材表面よりも帯電の少ない膜の少な
    くとも一部は、2以下の2次電子放出係数を有すること
    を特徴とする電子線装置。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至12のいずれかにおい
    て、前記複数の冷陰極素子は配線にて結線され、前記配
    線は、複数の行方向配線と複数の列方向配線からなるマ
    トリクス配線であることを特徴とする電子線装置。
  14. 【請求項14】 請求項1乃至12のいずれかにおい
    て、前記複数の冷陰極素子は配線にて結線され、前記配
    線は、複数の行方向配線からなり、前記冷陰極素子は、
    隣接する前記行方向配線と結線されることを特徴とする
    電子線装置。
  15. 【請求項15】 請求項1乃至13のいずれかにおい
    て、前記冷陰極素子は、電極間に電子放出部を含む導電
    性薄膜を有することを特徴とする電子線装置。
  16. 【請求項16】 請求項15において、前記冷陰極素子
    は、表面伝導型放出素子であることを特徴とする電子線
    装置。
  17. 【請求項17】 請求項1乃至16のいずれかにおい
    て、前記第2の基板は、前記第1の基板側の面に前記複
    数の冷陰極素子から放出された電子を制御する電極及び
    電子の衝突により画像が形成される画像形成部材を有す
    ることを特徴とする電子線装置。
  18. 【請求項18】 請求項17に記載の電子線装置を用い
    たことを特徴とする画像形成装置。
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