JP2000340135A - カラー陰極線管装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 偏向ヨークにおいて生じる画像枠の上下にア
ンバランスに生じるひずみを、偏向ヨークの位置を設定
した後でも解消できる。 【解決手段】 ファンネル部１に、カラー陰極線管の管
軸方向に対して垂直に、上下方向に所定の距離だけ離れ
た位置に、ソレノイドコイル１６ａ，１６ｂが互いに平
行に配置されてなるひずみ補正手段を有する。これらの
ソレノイドコイル１６ａ，１６ｂには任意の定電流を通
電することが出来る。定電流を導通することで磁界が発
生して、カラー陰極線管装置の上下画像枠近傍における
電子ビームの軌道が修正され、画面歪を上下独立に容易
に補正できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明はカラー陰極線管装
置に関し、特にカラー陰極線管の表示画面に生じる糸巻
ひずみの補正手段を備えたものに関する。

【０００２】

【従来の技術】図４は、カラー陰極線管装置の概略構成
を示す側面断面図である。図４において、１は陰極線管
のファンネル部であって、このファンネル部１の後方の
ネック部２には、３本の電子ビーム３を発生する電子銃
４が配置されている。ファンネル部１の外周面の所定位
置には後述する偏向ヨーク５が配置される。

【０００３】また、ファンネル部１の前面部分には、シ
ャドウマスク７と、電子ビームによって赤、緑、青に発
光するストライプ状の蛍光体層６が形成されたパネル８
とが配置されている。このシャドウマスク７は、蛍光体
層６の直前で電子銃４からの３本の電子ビーム３を選択
的に透過させて、それぞれを所定位置に射突させるよう
にパネル８に取付けられている。さらに、ファンネル１
の側面上部位置には、カラー陰極線管装置を動作させる
ときに、内部に高電圧を供給するためのアノードボタン
９が配置されている。

【０００４】図５は、電子ビームを上下左右方向に偏向
させる偏向ヨーク５を示す斜視図である。この偏向ヨー
ク５は、水平コイル１０と、垂直コイル１１と、水平コ
イル１０の開口部（電子ビーム３の進行方向前方）側の
上下部に各々配置される永久磁石１２ａ、１２ｂとを備
えている。水平コイル１０は、電子ビーム３を画面水平
方向に偏向させるためのコイルであり、垂直コイル１１
は、電子ビーム３を画面上下方向に偏向させるためのコ
イルである。これらのコイル１０，１１は、それぞれ図
６と図７に示すように各々が鞍型（サドル形状）に構成
され、図８に示すように水平コイル１０の外側を垂直コ
イル１１で覆う位置関係に配置されている。永久磁石１
２ａ，１２ｂは、上下の糸巻ひずみを補正するためのも
のである。

【０００５】次に、上記カラー陰極線管装置の動作につ
いて説明する。

【０００６】３本の電子ビーム３は、ネック部２に配置
された電子銃４から発射され、偏向ヨーク５で上下、左
右方向に電磁偏向され、シャドウマスク７の孔を通して
蛍光体層６に当たり、パネル８前面の画面領域に画像を
映出する。通常、カラー陰極線管装置に画像を映出する
際には、画面領域内で定められた四角形の画像枠に画像
を形成する必要がある。

【０００７】図９は、偏向ヨークによって生じる画面歪
のパターンを示す図である。ここで、偏向ヨーク５の各
々のコイル１０，１１には補正電流が印加され、その電
流値に応じて電子ビーム３の偏向量が定まる。水平コイ
ル１０に印加される電流量のピーク値を常に同一とし、
かつ、垂直コイル１１に印加する電流量のピーク値も常
に同一とした場合には、画面歪は図９に示すように上下
及び左右で対象な凹型の画面歪（糸巻ひずみ）が発生す
る。ここで、左右の糸巻ひずみはカラー陰極線管装置を
動作させる時、偏向ヨーク５の水平コイル１０に加える
偏向電流波形をパラボラ電流で振幅変調して補正すれ
ば、左右の凹型の歪を除去して画面領域を直線で区画す
ることができる。しかし、上下の糸巻ひずみについて
は、偏向電流を同様な動作回路で補正することが容易で
はない。そこで、図５に示すように、ひずみ量に応じた
強さの永久磁石１２ａ，１２ｂを偏向ヨーク５の上下定
位置に固定して配置することによって、凹状の画面歪を
除去して直線で区画された画面領域を実現していた。

【０００８】つぎに上下糸巻ひずみの補正原理について
説明する。図１０は、偏向ヨーク５の上下の永久磁石１
２ａ、１２ｂによる電子ビーム３の補正方向を示す図で
ある。ファンネル１の上下に配置された永久磁極１２
ａ、１２ｂによって形成された磁界は、偏向ヨーク３に
よって形成される磁界とともに各々上下位置を通過する
電子ビーム３をそれぞれ上下方向（Ｆ１，Ｆ２方向）に
偏向させ、上下の糸巻ひずみが除去される。

【０００９】このように、左右の糸巻ひずみは偏向ヨー
ク５の水平コイル１０に印加する電流量で調整でき、上
下の糸巻ひずみは偏向ヨーク５の上下位置に配置された
永久磁石１２ａ，１２ｂで補正できる。その結果、従来
のカラー陰極線管装置では、パネル８の四角の画像枠に
画像を映出することができる。

【００１０】

【発明が解決しようとする問題点】ところが、カラー陰
極線管装置では偏向ヨーク５によって電子ビーム３を偏
向する場合に、上述した糸巻ひずみを除去するだけでな
く、他の表示特性を同時に調整する必要がある。そのた
めに偏向ヨーク５をファンネル１に取り付ける際、偏向
ヨーク５とファンネル１との間に隙間を設けて、その隙
間の広さの範囲内で偏向ヨーク５を上、下方向で所定の
角度だけ傾けていた。そして、偏向ヨーク５が上向きの
傾斜で配置された場合は、図１２（Ａ）に示すように、
上縁近傍、及び下縁近傍で下向きに凸の歪が発生し、下
向きの傾斜で配置された場合には、図１２（Ｂ）に示す
ように、上縁近傍、及び下縁近傍で上向きに凸の歪が発
生することが知られていた。

【００１１】このように、カラー陰極線管装置の偏向ヨ
ーク５自体を調整しても、組立精度のバラツキや調整方
法のバラツキ等があれば、上下画像枠にアンバランスな
画面歪が発生することから、偏向ヨーク５をカラー陰極
線管装置のファンネル１に固定した後で、画面歪を除去
するための調整が必要となる。しかし、上下画像枠に対
して不均等に生じる画面歪は、その凹量調整の精度が
１．０ｍｍ以下の範囲で要求されており、このような調
整精度を満たす画面歪の微調整は容易ではないという問
題があった。

【００１２】この発明は、上述のような課題を解決する
ためになされたもので、その目的は、偏向ヨークをファ
ンネルの所定の位置に固定した後でも画像枠の上下にア
ンバランスに生じるひずみを解消できるカラー陰極線管
装置を提供することである。

【００１３】

【課題を解決するための手段】この発明に係るカラー陰
極線管装置は、３本の電子ビームを発生する電子銃部
と、電子ビームによって所定の色に発光するストライプ
状の蛍光体層が形成されたパネル面と、パネル面に到達
する電子ビームを偏向するための偏向ヨークが外面に配
置されたファンネル部とを有するカラー陰極線管装置に
おいて、ファンネル部の外面近傍であって、偏向ヨーク
よりパネル面側に配置されたひずみ補正手段を備え、パ
ネル面の画面領域の上下画像枠に不均等に生じるひずみ
をそれぞれ上下独立に補正したものである。

【００１４】また、ひずみ補正手段は、ファンネル部に
固定される環状固定部と、該環状固定部によりファンネ
ル部の上下方向に所定の距離だけ離れて支持された一対
のソレノイドコイルと、該ソレノイドコイルにそれぞれ
任意の定電流を独立に導通するための電流制御回路とか
らなるものである。

【００１５】さらに、環状固定部は、ファンネル部に固
定される偏向ヨークの外径より大きな内径の環状部分を
有しているものである。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、添付した図面を参照して、
この発明の実施の形態について説明する。

【００１７】図１は、この発明のカラー陰極線管装置を
斜め上方から見た背面形状を示す斜視図である。また、
図２は該装置の側面図である。

【００１８】これらの図において、１は陰極線管を構成
するファンネル部、２はネック部、５は偏向ヨーク、８
はパネル、９はアノードボタンである。これらの部材、
及び、図示しないパネル８内面の蛍光体層、シャドウマ
スクはいずれも、図４に示す従来のカラー陰極線管装置
と同じ構成をなしている。

【００１９】１３はファンネル部１に固定される円環状
の固定枠であって、その環状部分の内径が偏向ヨーク５
の外径よりも大きく構成されている。したがって、カラ
ー陰極線管を構成するファンネル部１に偏向ヨーク５を
取付けて固定した後でも、固定枠１３をネック部２側か
ら偏向ヨーク５の外側を通してファンネル１の側面に装
着できるものである。

【００２０】この固定枠１３はパネル８の上下方向に対
してそれぞれ突出した支持アーム１５ａ，１５ｂを備
え、これら支持アーム１５ａ，１５ｂは、後述する図３
に示す形状のソレノイドコイル１６ａ、１６ｂをファン
ネル１の上下方向で所定の距離だけ離れた位置に支持し
ている。これらのソレノイドコイル１６ａ、１６ｂに
は、それぞれリード線１７ａ、１７ｂを介して定電流源
（電流制御回路）１８ａ、１８ｂが接続されている。ソ
レノイドコイル１６ａ、１６ｂは、これらの定電流源１
８ａ、１８ｂにより任意の大きさの直流電流が継続して
通電されることによって、パネル８の画面領域の上縁近
傍、及び下縁近傍で不均等に生じるひずみを補正するひ
ずみ補正手段として構成される。

【００２１】上記固定枠１３をカラー陰極線管へ固定す
るに際しては、両者の接触面で両面接着テープ材、また
はボンド等を使用した仮り止めを行い、その後にシリコ
ーンボンド１４等でしっかりと固定するようにしてい
る。

【００２２】次に、図１２に示すような画面領域の上縁
近傍、及び下縁近傍で生じるひずみの補正動作について
説明する。

【００２３】図３は、ソレノイドコイルによる磁界と電
子ビーム３に作用する力の関係を説明する図である。こ
の実施の形態に係るカラー陰極線管装置は、図１２に示
すように、上下画像枠に下向きに凸のアンバランスな歪
が発生していた場合には、図３（Ａ）に示すように上部
のソレノイドコイル１６ａには、矢印Ｂ１で示す向きに
磁界が発生するように定電流源１８ａから電流を供給す
るとともに、同図（Ｂ）に示すように下部のソレノイド
コイル１６ｂには、矢印Ｂ２で示す向きに磁界が発生す
るように定電流源１８ｂから電流を供給する。そうすれ
ば、画像枠上部と下部においてソレノイドコイル１６
ａ、１６ｂの近傍を通過する電子ビーム３には、磁界Ｂ
１、Ｂ２による力Ｆ１，Ｆ２が図示の方向に作用して、
電子ビーム３のパネル８への到達位置が変位する。

【００２４】このようにカラー陰極線管の画面領域にお
いて、上下画像枠の近傍に到達する電子ビームの軌道が
修正されれば、図１２（Ａ）に示すような上下画像枠に
不均等に生じるひずみ成分を容易に補正することができ
る。なお、このカラー陰極線管装置はストライプ状の蛍
光体層がパネル８に形成された構造をなしているから、
シャドウマスクの孔を通過する電子ビームの軌道が上下
方向に修正されても、色ズレが発生することはない。

【００２５】ここでは、一例として図１２（Ａ）に示す
ような歪の補正方法を記述したが、図１２（Ｂ）に示し
た上下の画像枠に上向きに凸の画面歪の補正を行うに
は、図３の定電流源１８ａ、１８ｂから、それぞれ上述
した場合とは逆向きの電流を供給すれば補正できる。ま
た、定電流源１８ａ、１８ｂをそれぞれ調整して、ソレ
ノイドコイル１６ａ、１６ｂに流す電流を自由に設定す
れば、そこに発生する磁界の強さを変更することも可能
であり、したがって上下画像枠のひずみの大きさに応じ
て補正の量を独立に調整することができる。

【００２６】また、ソレノイドコイル１６ａ、１６ｂの
長さによって、ソレノイドコイル１６ａ、１６ｂから発
生する磁界Ｂ１、Ｂ２の電子ビーム３に作用する範囲が
変化する。そこで、ソレノイドコイル１６ａ、１６ｂの
長さは、ソレノイドコイル１６ａ、１６ｂが組み込まれ
るカラー陰極線管の大きさ、即ち画像枠の左右方向の長
さに応じて定められる。

【００２７】

【発明の効果】この発明は、以上に説明したように構成
されているので，以下に示すような効果を奏する。

【００２８】請求項１に係るカラー陰極線管装置によれ
ば、３本の電子ビームを発生する電子銃部と、電子ビー
ムによって所定の色に発光するストライプ状の蛍光体層
が形成されたパネル面と、パネル面に到達する電子ビー
ムを偏向するための偏向ヨークが外面に配置されたファ
ンネル部とを有するカラー陰極線管装置において、ファ
ンネル部の外面近傍であって、偏向ヨークよりパネル面
側に配置されたひずみ補正手段を備え、パネル面の画面
領域の上下画像枠に不均等に生じるひずみをそれぞれ上
下独立に補正したことにより、偏向ヨークをファンネル
の所定の位置に固定した後でも画像枠の上下にアンバラ
ンスに生じるひずみを解消することができる。

【００２９】また、請求項２の発明では、ひずみ補正手
段は、ファンネル部に固定される環状固定部と、該環状
固定部によりファンネル部の上下方向に所定の距離だけ
離れて支持された一対のソレノイドコイルと、該ソレノ
イドコイルにそれぞれ任意の定電流を独立に導通するた
めの電流制御回路とからなるので、上下画像枠のひずみ
の大きさに応じて補正の量を独立に調整することができ
る。

【００３０】また、請求項３の発明では、環状固定部
は、ファンネル部に固定される偏向ヨークの外径より大
きな内径の環状部分を有しているので、上下歪を補正す
るための磁界を任意に発生して、カラーブラウン管の調
整が完了し、偏向ヨークを固定したあとでも脱着が可能
である。したがって、偏向ヨークを装着して歪調整を行
った後に、必要に応じてひずみ補正手段を装着して、上
下歪の歪量の調整を行うことができ、偏向ヨークによる
歪調整に必要とされる精度も軽減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この発明のカラー陰極線管装置を斜め上方か
ら見た背面形状を示す斜視図である。

【図２】 この発明のカラー陰極線管装置の側面図であ
る。

【図３】 ソレノイドコイルによる電子ビームの補正方
向を示す図である。

【図４】 従来のカラー陰極線管の概略構造を示す図で
ある。

【図５】 偏向ヨークの概略構造を示す図である。

【図６】 偏向ヨークの水平コイルの形状を示す図であ
る。

【図７】 偏向ヨークの垂直コイルの形状を示す図であ
る。

【図８】 偏向ヨークの水平コイル、垂直コイルの位置
関係を示す図である。

【図９】 偏向ヨークによって生じる画面歪のパターン
を示す図である。

【図１０】 偏向ヨークの上下の永久磁石による電子ビ
ームの補正方向を示す図である。

【図１１】 カラー陰極線管における正常な画面形状を
示す図である。

【図１２】 偏向ヨークを傾けて固定した場合に発生す
る歪のパターン図である。

【符号の説明】

１ ファンネル部、 ２ ネック部、 ３ 電子ビー
ム、 ４ 電子銃、 ５偏向ヨーク、 ６ ストライプ
状の蛍光体層、 ７ シャドウマスク、 ８パネル、
９ アノードボタン、 １０ 水平コイル、 １１ 垂
直コイル、１２ａ，１２ｂ 永久磁石、 １３ 環状の
固定枠、 １４ シリコンボンド、１５ 支持アーム、
１６ａ，１６ｂ ソレノイドコイル、 １７ａ，１７
ｂリード線、 １８ａ，１８ｂ 定電流源。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ３本の電子ビームを発生する電子銃部
   と、前記電子ビームによって所定の色に発光するストラ
   イプ状の蛍光体層が形成されたパネル面と、前記パネル
   面に到達する前記電子ビームを偏向するための偏向ヨー
   クが外面に配置されたファンネル部とを有するカラー陰
   極線管装置において、 前記ファンネル部の外面近傍であって、前記偏向ヨーク
   よりパネル面側に配置されたひずみ補正手段を備え、前
   記ひずみ補正手段により前記パネル面の画面領域の上縁
   近傍、及び下縁近傍で不均等に生じるひずみをそれぞれ
   上下独立に補正することを特徴とするカラー陰極線管装
   置。
2. 【請求項２】 前記ひずみ補正手段は、前記ファンネル
   部に固定される環状固定部と、該環状固定部により前記
   ファンネル部の上下方向に所定の距離だけ離れて支持さ
   れた一対のソレノイドコイルと、該ソレノイドコイルに
   それぞれ任意の定電流を独立に導通するための電流制御
   回路とからなることを特徴とする請求項１に記載のカラ
   ー陰極線管装置。
3. 【請求項３】 前記環状固定部は、前記ファンネル部に
   固定される偏向ヨークの外径より大きな内径の環状部分
   を有していることを特徴とする請求項２に記載のカラー
   陰極線管装置。