JP2001292458A - カラー陰極線管装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 陰極線管装置を表示装置に組込んだ後ラスタ
ー歪の補正及びそれに伴うランディング位置のずれの補
正を可能にする。 【解決手段】 陰極線管のファンネル部２に設けた歪補
正コイル１１ａ〜１１ｄに流す電流を調整してラスター
歪の補正を行ない、この歪の補正に伴うランディング位
置のずれを、パネルスカート部１３とファンネル部２の
シール面の近傍に設けられたランディング補正コイル１
２ａ〜１２ｄに流す電流を調整することにより、補正す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、カラー陰極線管装
置に関し、特に歪補正によるランディングのずれの補正
に関する。

【０００２】

【従来技術】図１０に、カラー陰極線管装置の構造を示
す。外囲器を構成するガラスバルブは、パネルガラス部
１と、ファンネル部２とを含む。ファンネル部２のネッ
ク部２ａには電子銃３が配設されている。ファンネル部
２の外側には、偏向ヨーク４が設けられ、ガラスパネル
部１の内部には、色選択機構５が設けられ、パネルガラ
ス部１の内面には蛍光面６が形成されている。また、ガ
ラスパネル部１のスカート部には、陰極線管の爆縮を防
ぐための金属製の防爆バンド７が設けてある。

【０００３】電子銃３から放射された３本の電子ビーム
８は、偏向ヨーク４によって上下左右に偏向される。偏
向された電子ビーム８は、色選択機構５を通過し、蛍光
面６の所定の位置に達する。蛍光面６上を上下左右に電
子ビーム８で走査することにより画像が表示される。

【０００４】電子ビーム８の軌跡、特に偏向の中心から
蛍光面までの距離は、画面の周辺にいくほど長くなる。
このため、電子ビーム８の振れは、図１１に示すように
画面の４隅が最も大きくなり、管面のラスター（表示画
面）は中ほどがくびれたピン歪を持つ。

【０００５】この歪を少なくするため、左右方向（９）
については、水平偏向ヨークに流す電流で補正し、上下
方向（１０）については、偏向ヨークの磁界分布で補正
している。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、陰極線
管装置を表示装置に組込む前に最適値に定めても、その
後、陰極線管装置を表示装置のシャーシに組込むと、シ
ャーシの影響により、ラスターの歪が変化し、左右方向
は水平偏向ヨークに流す電流で補正するが、上下方向は
補正が困難であると言う問題があった。

【０００７】本発明は上記の問題を解決するためのもの
であり、表示装置に組込んだ後もラスターの歪をなくす
ための補正をすることができる陰極線管装置を提供する
ことを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】請求項１のカラー陰極線
管装置は、カラー陰極線管と、上記カラー陰極線管のフ
ァンネル部に設けられた歪補正コイルと、上記カラー陰
極線管のパネルスカート部とファンネル部のシール面の
近傍に設けられたランディング補正コイルとを有するも
のである。

【０００９】請求項２のカラー陰極線管装置は、請求項
１において、上記歪補正コイルは、ファンネル部の角部
の近傍であって、かつ偏向ヨークの開口部の近傍に設け
られ、上記ランディング補正コイルは、上記パネルスカ
ート部と上記ファンネル部のシール面の近傍であって、
かつ角部の近傍に設けられていることを特徴とする。

【００１０】請求項３のカラー陰極線管装置は、請求項
１において、上記ランディング補正コイルは、画面の短
辺方向のランディング位置を変化させないように配設さ
れていることを特徴とする。

【００１１】請求項４のカラー陰極線管装置は、請求項
１において、上記歪補正コイルは、画面の長辺方向の磁
界を発生させるものであり、上記ランディング補正コイ
ルは、画面の短辺方向の磁界を発生させるものであるこ
とを特徴とする。

【００１２】

【発明の実施の形態】図１は、本発明の実施の形態の陰
極線管装置の側面図、図２はその平面図である。この陰
極線管装置は、図１０に示すのと同様の部材を含む。偏
向ヨーク４及び防爆バンド７は、図１０では断面にして
示してあるが、図１及び図２では外観が示してある。

【００１３】本実施の形態の陰極線管装置はさらに、４
つの歪補正コイル１１ａ〜１１ｄと４つのランディング
補正コイル１２ａ〜１２ｄを備えている。

【００１４】歪補正コイル１１ａ〜１１ｄ（そのうち１
１ｃは図１では１１ｂの陰になり、図２では１１ｄの陰
になっている）は、ファンネル部２の偏向ヨーク開口部
４の付近に、画面の４隅に対応した位置、即ち角部に設
けられ、水平方向（画面の長辺方向）の磁界を発生する
よう側面図で見た時にループを描くように構成されてい
る。歪補正コイル１１ａ〜１１ｄはそれぞれリード線２
１ａ〜２１ｄを介して補正電流供給回路２０に接続可能
となっている。

【００１５】ランディング補正コイル１２ａ〜１２ｄ
（そのうち１２ｃは図１では１２ｂの陰になり、図２で
は１２ｄの陰になっている）は、パネルスカート部１３
とファンネル部２のシール面の近傍の間に、画面の４隅
に対応した位置、即ち角部に設けられ、垂直方向（画面
の短辺方向）の磁界を発生するよう側面図で見た時にル
ープを描くように構成されている。ランディング補正コ
イル１２ａ〜１２ｄはそれぞれリード線２２ａ〜２２ｄ
を介して補正電流供給回路２０に接続可能となってい
る。

【００１６】これらの補正コイル１１ａ〜１１ｄ、１２
ａ〜１２ｄによる補正の仕方を図３〜図９を参照して説
明する。これらの図のうち、図３はラスターの歪の一例
を示す正面図、図４は歪補正コイルによる磁界を示す正
面図、図５は歪補正コイルによる磁界が電子ビームに与
える力の向きを示す図であり、同図（ａ）は正面図、同
図（ｂ）は平面図である。また、図６は歪補正コイルに
よるラスターの補正の方向を示す正面図、図７はランデ
ィング補正コイルによる磁界を示す正面図、図８はラン
ディング補正コイルによる磁界が電子ビームに与える力
の向きを示す図であり、同図（ａ）は正面図、同図
（ｂ）は平面図である。図９はランディング補正コイル
によるランディング位置の補正の方向を示す正面図であ
る。

【００１７】これらの図及び図１、図２において、管軸
に沿い、電子銃からパネルガラスに向う方向をｚ方向と
し、パネルガラスを正面から見て右方向をｘ方向、上方
向をｙ方向とする。これらは以下の動作の説明、特に電
子ビームの方向や補正コイルに流す電流による磁界の方
向の説明に用いる。

【００１８】例えば、陰極線管装置を表示装置に組込ん
だ後、ラスターが図３に実線２５で示すように歪んだと
する。図３で破線２４は歪んでいないラスターを表わ
し、図示の例では、歪によりラスターの右上、左上及び
左下が突出している。

【００１９】以下、画面の右上隅の歪を例に取って、そ
の補正について説明する。画面右上に関しては、電子ビ
ーム８が画面奥（図３でも奥側）から手前に、且つ上方
及び右方に偏向されながら、飛んで来る。即ち、Ｚ＋方
向、Ｘ＋方向、Ｙ＋方向に飛んで来る。

【００２０】図１及び図２に示すように、ファンネル部
２の偏向ヨーク４の開口部付近に設けた歪補正コイルの
うち、画面の右上隅に対応する位置に配置された歪補正
コイル１１ａに補正電流を流し、図４に示すように歪を
補正する方向の磁界１６を発生させる。コイル１１ａに
鎖交する磁束のうち、コイル１１ａの下側を通るループ
に沿うものが電子ビームの通過する領域２６を横切る。
電子ビームのうちコイル１１ａによる磁束が通過する領
域を通過するものはこの磁束により軌跡を変えられる。

【００２１】磁束と電子ビームの相互作用は図５に拡大
して示してある。同図（ａ）は正面から見た図、同図
（ｂ）は平面図である。図５（ａ）、（ｂ）に示すよう
に電子ビームに対し、磁束が作用すると、Ｙ−方向（図
５（ａ）で下向き）でかつ、Ｚ＋方向（図５（ｂ）で下
向き）の力Ｆが発生する。これにより電子ビームの軌跡
は図５（ａ）で下向きに、かつ図５（ｂ）で下向きに変
えられる。図５（ａ）、（ｂ）では、電子ビームの軌跡
が、補正電流により、位置８ａから位置８ｂに変ったも
のとして図示してある。

【００２２】この結果、画面上でラスター（表示画面）
が図６に示すように、Ｙ−方向、Ｘ−方向に動く。この
結果、図３に示すラスターの右上の突出を減らし、又は
なくすことができ、シャーシの影響による右上の歪を補
正することができる。他の３つの隅部についても、歪補
正コイル１１ｂ〜１１ｄにより同様にして歪を補正す
る。

【００２３】一方、このようにして歪を補正すると、ラ
ンディング位置も変化してしまう。ランディング補正コ
イルはその補正のためのものである。

【００２４】図１及び図２に示すように、パネルスカー
ト部１３とファンネル部２のシール面付近に設けたラン
ディング補正コイルのうち、画面の右上隅に対応する位
置に配置されたランディング補正コイル１２ａに補正電
流を流し、図７に示すように歪を補正する方向の磁界１
７を発生させる。コイル１２ａに鎖交する磁束のうち、
コイルの左側を通るループに沿うものが電子ビームの通
過する領域２７を横切る。電子ビームのうちコイル１２
ａによる磁束が通過する領域を通過するものはこの磁束
により軌跡を変えられる。

【００２５】磁束と電子ビームの相互作用は図８に拡大
して示してある。同図（ａ）は正面から見た図、同図
（ｂ）は平面図である。図８（ａ）、（ｂ）に示すよう
に電子ビームに対し、磁束が作用すると、Ｘ＋方向（図
８（ａ）で右向き）でかつ、Ｚ−方向（図８（ｂ）で上
向き）の力Ｆ２が発生する。これにより電子ビームの軌
道は図８（ａ）で右向きに、かつ図８（ｂ）で上向きに
変えられる。図８（ａ）、（ｂ）では、電子ビームの軌
跡が、ランディング補正電流により、位置８ｂから位置
８ｃに変ったものとして示してある。

【００２６】この結果、電子ビームの蛍光面への衝突位
置も図９に示すように、Ｘ＋方向に変る。ランディング
補正コイルは、パネルフェースの近傍に配置されている
ため、磁界も加えてもそれによる画面上の位置の変化は
小さい。即ち歪補正電流で補正を加えたラスターに対し
て影響を与えるほどでない。

【００２７】このようにして、歪補正でずれたランディ
ング位置を元に戻すことができる。なお、他の３つの隅
部についてもそれぞれランディング補正コイル１２ｂ〜
１２ｄにより同様に補正が行なわれる。

【００２８】なお、以上の説明で、画面が横長であるも
のとして、「上下」、「左右」、「垂直」、「水平」と
いった用語を使用したが、縦長の画面の場合には、「上
下」と「左右」、「垂直」と「水平」を入替えるべきで
ある。一般的に言えば、上記の説明のうち「上下」、
「垂直」を「短辺」方向と、「左右」、「水平」を「長
辺」方向と言直すことができる。

【００２９】

【発明の効果】本発明は上記のように構成されているの
で下記の効果を奏する。

【００３０】請求項１の発明によれば、陰極線管装置を
表示装置に組込んだ後、歪補正コイルに流す電流を調整
することにより、歪補正を行なうことができ、また、こ
の歪補正に伴いランディング位置がずれた場合にはその
ずれを、ランディング補正コイルに流す電流を調整する
ことができる。

【００３１】請求項２の発明によれば、目立ちやすい角
度部の歪を補正することができ、また偏向コイルの開口
部、従って、パネル面から十分離れた位置に設けた歪補
正コイルにより、ラスターの歪を感度良く修正すること
ができる一方、パネル面の近くに設けたランディング補
正コイルによりランディング位置の微調整を行なうこと
ができる。

【００３２】請求項３の発明によれば、ランディング位
置の補正により、再び短辺方向のラスター歪を発生させ
ることがない。

【００３３】請求項４の発明によれば、ファンネル部の
偏向ヨーク開口部に形成される長辺方向の磁界により、
画面上で長辺方向及び短辺方向にラスターを補正するこ
とができ、パネルスカート部とファンネル部のシール面
の付近に形成される短辺方向の磁界により、ランディン
グ位置を長辺方向に補正することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施の形態の陰極線管装置の概略
側面図である。

【図２】 図１の陰極線管装置の概略平面図である。

【図３】 ラスター歪の一例を示す正面図である。

【図４】 歪補正コイルによる磁界を示す正面図であ
る。

【図５】 歪補正コイルによる磁界が電子ビームに与え
る力の向きを示す図であり、同図（ａ）は正面図、同図
（ｂ）は平面図である。

【図６】 歪補正コイルによるラスターの補正の方向を
示す正面図である。

【図７】 ランディング補正コイルによる磁界を示す正
面図である。

【図８】 ランディング補正コイルによる磁界が電子ビ
ームに与える力の向きを示す図であり、同図（ａ）は正
面図、同図（ｂ）は平面図である。

【図９】 ランディング補正コイルによるランディング
位置の補正の方向を示す正面図である。

【図１０】 従来の陰極線管装置の概略を示す側面図で
ある。

【図１１】 ラスター歪を示す正面図である。

【符号の説明】

１ パネルガラス、 ２ ファンネル部、 ３ 電子
銃、 ４ 偏向ヨーク、５ 色選択機構、 ６ 蛍光
面、 ７ 防爆バンド、 ８，８ａ，８ｂ，８ｃ電子ビ
ーム、 ９ 左右歪、 １０ 上下歪、 １１ａ〜１１
ｄ 歪補正コイル、 １２ａ〜１２ｄ ランディング補
正コイル、 １３ パネルスカート部、１６ 歪補正磁
界、 １７ ランディング補正磁界、 ２０ 補正電流
供給装置、 ２１ａ〜２１ｄ，２２ａ〜２２ｄ リード
線、 ２４ 元のラスター、 ２５ 歪んだラスター、
２６，２７ 電子ビームの通過する領域。

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 カラー陰極線管と、 上記カラー陰極線管のファンネル部に設けられた歪補正
   コイルと、 上記カラー陰極線管のパネルスカート部とファンネル部
   のシール面の近傍に設けられたランディング補正コイル
   とを有するカラー陰極線管装置。
2. 【請求項２】 上記歪補正コイルは、ファンネル部の角
   部の近傍であって、かつ偏向ヨークの開口部の近傍に設
   けられ、 上記ランディング補正コイルは、上記パネルスカート部
   と上記ファンネル部のシール面の近傍であって、かつ角
   部の近傍に設けられていることを特徴とする請求項１に
   記載のカラー陰極線管装置。
3. 【請求項３】 上記ランディング補正コイルは、画面の
   短辺方向のランディング位置を変化させないように配設
   されていることを特徴とする請求項１に記載のカラー陰
   極線管装置。
4. 【請求項４】 上記歪補正コイルは、画面の長辺方向の
   磁界を発生させるものであり、上記ランディング補正コ
   イルは、画面の短辺方向の磁界を発生させるものである
   ことを特徴とする請求項１に記載のカラー陰極線管装
   置。