JP2000337975A - スラスト力検出装置、トルク・スラスト力検出装置及び検出方法 - Google Patents

スラスト力検出装置、トルク・スラスト力検出装置及び検出方法

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JP2000337975A
JP2000337975A JP2000067802A JP2000067802A JP2000337975A JP 2000337975 A JP2000337975 A JP 2000337975A JP 2000067802 A JP2000067802 A JP 2000067802A JP 2000067802 A JP2000067802 A JP 2000067802A JP 2000337975 A JP2000337975 A JP 2000337975A
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Hiroo Ozeki
宏夫 大関
Akitomo Komazaki
聡寛 駒崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 温度変化の影響を受けずに構造が単純であり
しかも小型で安価な精度のよいスラスト力検出装置、ト
ルク・スラスト力検出装置及び検出方法を提供すること
を目的とする。 【解決手段】 検出装置1は、検出軸2の外周表面に互
いに反対方向に配され歪みに応じて磁気特性が変化する
一対の磁歪材3、4と、磁歪材3、4の磁気特性の変化
を電気的なインピーダンスの変化に変換する一対の検出
コイル5、6と、温度変化に基づくインピーダンスの変
化を補償する温度補償回路7a、7b、7c、7dと、
それぞれの検出コイル5、6の電圧の差に基づいて検出
軸2のトルクTを検出する減算回路12と、電圧の和に
基づいて検出軸2のスラスト力Sを検出する加算回路1
5とを備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外力が加わって歪
みを生ずることにより磁気特性が変化する磁性材を利用
したスラスト力検出装置及び検出方法、トルク・スラス
ト力検出装置及び検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、非晶質性磁歪材の透磁率の変化を
検出することによってトルクを検出する検出装置が種々
開発されている。例えば、特許第2633125号公報
に示されるような、トルク伝達軸の外周面に一対の磁気
異方性部を形成し、この磁気異方性部に対応して一対の
検出コイルを設け、さらに各検出コイルからの出力信号
をそれぞれ処理するための一対の信号処理ラインを設け
ることで、一対のトルク検出系を構成し、トルク伝達軸
に印加されるトルクの大小に応じた交流信号を一対の検
出コイルから出力したうえで、一対の信号処理ラインで
処理することで、トルクの大きさを測定するものであっ
て、一対のトルク検出系どうしが均一でないことにもと
づきトルク信号の零点出力が温度変化にしたがい変動す
るのを打ち消すように補償するアンバランスを一方のト
ルク検出系に発生させることのできる感温抵抗を備えた
ものがある。
【0003】あるいは特開昭63−207541号公報
に示されるように、ドリルを用いた機械加工においてこ
のドリルに作用するトルクを検出するために、ドリルと
連結される回転機構の一部に捻れやすい捻れ部を設ける
とともにこの両端に反射部を設け、これらの反射部に光
を照射し反射した光の位相差をカウンタによって検出
し、この信号と回転数検出器からの回転数信号とを演算
制御部によって補正し、これによってドリルに作用する
トルクを演算するものがある。このときドリルを支持す
るフレームの一部には歪みやすい平行平板構造が設けら
れており、この平行平板構造に歪みゲージを設置するこ
とによってドリルのスラスト方向の力も検出可能となっ
ている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら特開昭6
3−207541号公報における検出装置においては、
ドリルと連結される回転機構の一部に捻れやすい捻れ部
を設ける必要があるためねじり方向の剛性が低下してし
まうとともに、平行平板構造を設けることによってこの
部分の剛性も低下したものとなる。また、特許第263
3125号公報における検出装置においては、温度補償
を行うための感温抵抗は1つだけ設けられたものであ
り、一対設けられた検出コイルに生じる個々の特性変動
を打ち消すものではなくアンバランスを一方のトルク検
出系に発生させることによって温度補償を行うものであ
り、それぞれの検出コイルに対して温度補償を行うもの
ではない。
【0005】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たもので、温度変化の影響を受けずに精度良い検出が行
えるとともに、構造が単純であり、しかも小型で安価な
スラスト力検出装置及び検出方法、トルク・スラスト力
検出装置及び検出方法を提供することを目的としてい
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、請求項1に記載の発明は、軸線方向に作用する力に
よって歪む円柱状の検出軸と、この検出軸の外周表面に
配され、前記検出軸の歪みに応じて磁気特性が変化する
一対の磁性材と、前記一対の磁性材に対応するようにそ
れぞれの外周に配され、前記磁性材の磁気特性の変化を
電気的なインピーダンスの変化に変換する一対の変換素
子と、前記それぞれの変換素子に接続され、温度変化に
基づく前記インピーダンスの変化を補償する温度補償回
路と、前記検出軸の歪みに基づく前記インピーダンスの
変化を検出し、前記検出軸の軸線方向に作用する力を検
出するスラスト力検出手段とを備えたことを特徴とす
る。
【0007】本発明によれば、一対設けられた変換素子
のそれぞれに温度補償回路を設けたことにより、簡易な
構成で温度変化による検出信号の温度ドリフトを少なく
することができる。また、検出部分である磁性材は検出
軸の周囲に配されたものであり、この磁性材の磁気特性
の変化は、外周に配された変換素子によって電気的なイ
ンピーダンスの変化に変換されるため、検出軸の剛性は
低下されないとともに、検出軸に非接触な状態でスラス
ト力検出を行うことができる。そのため、長期間安定し
たスラスト力検出を行うことができる。さらに、検出部
分である磁性材と変換素子とは作用力発生点近傍に設置
された構造であるため、検出軸が受ける力を高精度に検
出することができる。
【0008】請求項2に記載の発明は、軸線方向及び軸
線まわりに作用する力によって歪む円柱状の検出軸と、
この検出軸の外周表面に配され、前記検出軸の歪みに応
じて磁気特性が変化する一対の磁性材と、前記一対の磁
性材に対応するようにそれぞれの外周に配され、前記磁
性材の磁気特性の変化を電気的なインピーダンスの変化
に変換する一対の変換素子と、前記それぞれの変換素子
に接続され、温度変化に基づく前記インピーダンスの変
化を補償する温度補償回路と、前記検出軸の歪みに基づ
く前記インピーダンスの変化を検出し、前記検出軸の軸
線まわりに作用する力を検出するトルク検出手段と、前
記検出軸の歪みに基づく前記インピーダンスの変化を検
出し、前記検出軸の軸線方向に作用する力を検出するス
ラスト力検出手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】本発明によれば、検出軸の外周に配された
一対の磁性材の変化に基づき、この検出軸に作用するト
ルクの検出とスラスト力の検出とを同時に行うことがで
きる。また、検出軸の剛性を低下させることなく長期間
安定した検出を行うことができる。
【0010】請求項3に記載の発明は、軸線方向及び軸
線まわりに作用する力によって歪む円柱状の検出軸と、
この検出軸の外周表面にそれぞれの検出方向が前記検出
軸の軸線に対して互いに反対方向に所定角度傾斜して配
され、前記検出軸の歪みに応じて磁気特性が変化する一
対の磁性材と、前記一対の磁性材に対応するようにそれ
ぞれの外周に配され、前記磁性材の磁気特性の変化を電
気的なインピーダンスの変化に変換する一対の変換素子
と、前記それぞれの変換素子に接続された交流供給源
と、前記それぞれの変換素子に接続され、温度変化に基
づく前記インピーダンスの変化を補償する温度補償回路
と、前記磁性材の磁気特性の変化に応じたそれぞれの変
換素子の電圧の差に基づいて前記検出軸に作用するトル
クを検出する減算部と、それぞれの変換素子の電圧の和
に基づいて前記検出軸に作用するスラスト力を検出する
加算部を備えたことを特徴とする。
【0011】本発明によれば、検出軸の軸線に対して互
いに反対方向に所定角度傾斜して配された磁性材は検出
軸の歪みに応じて磁気特性を変化させるとともに、それ
ぞれの磁性材に対応するように配置され交流供給源が接
続された変換素子からはそれぞれの電気的なインピーダ
ンスの変化に応じた信号が出力される。そして、それぞ
れの変換素子からの信号を温度補償回路を介して電圧と
して減算部及び加算部に入力しそれぞれの電圧の差と和
とを求めることにより、検出軸に作用するトルクとスラ
スト力とを同時に検出することができる。
【0012】請求項4に記載の発明は、軸線方向に作用
する力によって歪む円柱状の検出軸の外周表面に前記検
出軸の歪みに応じて磁気特性が変化する一対の磁性材を
配するとともに、前記磁性材の磁気特性の変化を電気的
なインピーダンスの変化に変換する一対の変換素子を前
記一対の磁性材に対応するようにそれぞれの外周に配
し、前記それぞれの変換素子に温度補償回路を接続し
て、温度変化に基づく前記インピーダンスの変化を補償
しつつ、このインピーダンスの変化を検出することによ
って、前記検出軸の軸線方向に作用する力を検出するこ
とを特徴とする。
【0013】本発明によれば、簡易な構成で温度変化に
よる検出信号の温度ドリフトを抑えながら検出軸の剛性
を維持しつつ、検出軸に非接触な状態で安定したスラス
ト力検出を長期間行うことができる。
【0014】請求項5に記載の発明は、軸線方向及び軸
線まわりに作用する力によって歪む円柱状の検出軸の外
周表面に前記検出軸の歪みに応じて磁気特性が変化する
一対の磁性材を配するとともに、前記磁性材の磁気特性
の変化を電気的なインピーダンスの変化に変換する一対
の変換素子を前記一対の磁性材に対応するようにそれぞ
れの外周に配し、前記それぞれの変換素子に温度補償回
路を接続して、温度変化に基づく前記インピーダンスの
変化を補償しつつ、このインピーダンスの変化を検出す
ることによって、前記検出軸の軸線まわりに作用する力
と軸線方向に作用する力とを同時に検出することを特徴
とする。
【0015】本発明によれば、簡易な構成で温度変化に
よる検出信号の温度ドリフトを抑えながら検出軸の剛性
を維持しつつ、検出軸に非接触な状態でトルクとスラス
ト力との検出を同時に長期間行うことができる。
【0016】請求項6に記載の発明は、軸線方向及び軸
線まわりに作用する力によって歪む円柱状の検出軸の外
周表面に前記検出軸の歪みに応じて磁気特性が変化する
一対の磁性材をそれぞれの検出方向が前記検出軸の軸線
に対して互いに反対方向に所定角度傾斜するように配す
るとともに、前記それぞれの変換素子に交流供給源を接
続し、前記磁性材の磁気特性の変化に応じたそれぞれの
変換素子の電圧の差に基づいて前記検出軸に作用するト
ルクと、前記それぞれの変換素子の電圧の和に基づいて
前記検出軸に作用するスラスト力とを同時に検出するこ
とを特徴とする。
【0017】本発明によれば、一対の磁性材を検出軸の
外周表面にそれぞれの検出方向を検出軸の軸線に対して
互いに反対方向に所定角度傾斜して配したことにより、
それぞれの電圧の差と和とを求めることによって、検出
軸に作用するトルクとスラスト力とを同時に検出するこ
とができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態による
トルク・スラスト力検出装置を図1を参照して説明す
る。図1において検出装置1は、円柱状の検出軸2と、
この検出軸2の外周表面に配された一対の磁性材である
第一磁歪材3及び第二磁歪材4と、これら第一、第二磁
歪材3、4の外周に配された一対の検出コイル(変換素
子)である第一検出コイル5及び第二検出コイル6とを
備えている。
【0019】検出軸2は、例えば金型用鋼HPM75
や、SNCM材、SKD材、SKH材、S45C等の鉄
鋼材料によって円柱状に形成されたものであって、軸線
方向に作用する力であるスラスト力Sと軸線まわりに作
用する力であるトルクTとによってそれぞれの矢印の方
向に歪みを生じる。
【0020】第一、第二磁歪材3、4は、検出軸2の軸
線方向にそれぞれ離間して配置されたものであるととも
に、検出軸2の上端2a、下端2bからもそれぞれ離間
して配置されている。この第一、第二磁歪材3、4は、
例えばFe:Ni:Mo:Bの合金からなっており、作
用力による歪みや温度変化による歪みによって透磁率が
変化するものである。このうち第一磁歪材3は、帯状の
同一形状を有する複数の膜体3aが、図1中、検出軸2
の軸線方向に対して−45゜の角度で検出軸2の外周全
周にわたってそれぞれ平行に同じ間隔を有して配された
ものである。一方、第二磁歪材4は、帯状の同一形状を
有する複数の膜体4aが、第一磁歪材3の膜体3aと反
対向きになるように配置されたものであって、図1中、
検出軸2の軸線方向に対して+45゜の角度で検出軸2
の外周全周にわたってそれぞれ平行に同じ間隔を有して
配されたものである。これら第一、第二磁歪材3、4は
検出軸2の外周に溶射されて一体形成されているととも
に、検出軸2の歪みに応じてその磁気特性(インダクタ
ンスと損失抵抗)が変化する。
【0021】このとき、第一、第二磁歪材3、4が上端
2a、下端2bから離間して設られていることによっ
て、検出装置1を設置する際に検出軸2に磁性体が取り
付けられたり、または磁性体が近傍に設けられた場合に
おいても、この取り付けられた磁性体又は近傍に設けら
れた磁性体から発生する漏れ磁束によって歪み測定に誤
差が生じるのを防止するようになっている。また、検出
軸2と第一、第二磁歪材3、4とを、例えば接着剤を用
いずに溶射によって接合させることによって、検出軸2
の歪みを第一、第二磁歪材3、4で測定する際に、熱膨
張係数が一桁大きい接着剤の影響を受けないようにし、
温度変化のみに起因するそれぞれ第一、第二磁歪材3、
4の磁気特性の変化に基づく測定誤差をなるべく減少さ
せるようになっている。
【0022】変換素子である第一、第二検出コイル5、
6は、それぞれの第一、第二磁歪材3、4に対応するよ
うにそれぞれの外周に配されたものであって、樹脂など
を被覆した銅線を二層に巻いて円筒状に形成させたそれ
ぞれコイル5aと5b、コイル6aと6bからなる二層
構造のものであり、その内周は検出軸2及び第一、第二
磁歪材3、4と離間するように配置されている。この第
一、第二検出コイル5、6は、検出軸2の歪みによる第
一、第二磁歪材3、4の磁気特性の変化を自己のインピ
ーダンス(インダクタンスと損失抵抗)の変化に変換す
るためのものである。
【0023】第一検出コイル5には2つの温度補償回路
7a、7cがそれぞれ直列に接続されているとともに、
第二検出コイル6には2つの温度補償回路7b、7dが
それぞれ直列に接続されている。前述したように、検出
軸2の熱膨張係数と各磁歪材3、4の熱膨張係数とは異
なっており、各磁歪材3、4を検出軸2に溶着すること
によって温度変化による磁歪材3、4の磁気特性の変化
を抑えるようにしているが、温度変化による磁気特性の
変化が完全にゼロとなるわけではなく依然として温度ド
リフトが生ずる。温度補償回路7はこの温度ドリフトを
極めて少なくするためのものである。
【0024】この温度補償回路7a〜7dはそれぞれ、
図3に示すように、NTCサーミスタ(Negative Tempe
rature Coefficient サーミスタ)30と、温度変化に
よる抵抗値変化が小さくNTCサーミスタ30に並列接
続された抵抗31と、NTCサーミスタ30及び抵抗3
1による並列抵抗に直列接続された絶対値調整用の抵抗
32とからなる。
【0025】上記NTCサーミスタ30は、温度上昇に
従ってその抵抗値が減少する負特性を有するサーミスタ
であり、その変化特性は温度上昇に正比例して抵抗値が
減少する訳ではなく、温度上昇に従って非線型的に抵抗
値が減少する特性を有する。このNTCサーミスタ30
は、温度変化によるそれぞれの磁歪材3、4の磁気特性
(透磁率)の変化に起因するそれぞれの検出コイル5、
6の変化を補償するためのものであり、各検出コイル
5、6のインピーダンスは温度上昇による磁歪材3、4
の磁気特性の変化に伴ってその値が上昇する特性を有す
るため、インピーダンスの温度変化分を補償するため負
特性を有するNTCサーミスタ30が用いられる。
【0026】NTCサーミスタ30に並列接続された抵
抗31は、NTCサーミスタ30の非線型特性が線形特
性となるように補償するためのものである。つまり、N
TCサーミスタ30と抵抗31とによる並列回路を1つ
のサーミスタとして見た場合に、このサーミスタの特性
は線形の特性を有する。温度変化によりインピーダンス
の直流抵抗分のみが変化する場合、例えば、図1中の各
検出コイル5、6の抵抗成分の温度係数が0.4%/℃
である場合には、NTCサーミスタ30と抵抗31との
並列回路は温度係数を−0.4%/℃と設定するのが最
良である。絶対値調整用の抵抗32は温度補償回路7a
(7b、7c、7d)全体の抵抗値を調整するためのも
のである。
【0027】図1中、右側の回路はトルク検出手段とし
てのトルク検出用回路Aを構成しており、左側の回路は
スラスト力検出手段としてのスラスト力検出用回路Bを
構成している。トルク検出用回路Aは、第一、第二磁歪
材3、4の磁気特性の変化を電気的なインピーダンスの
変化に変換する第一、第二検出コイル5、6のコイル5
a、6aと、この第一、第二検出コイル5、6のコイル
5a、6aにそれぞれ直列に接続され温度変化に基づく
インピーダンスの変化を補償する温度補償回路7a、7
bと、交流電流を出力するとともに一端は第1、第2検
出コイル5、6のコイル5a、6aの接点に接続され他
端は同じ抵抗値を有する抵抗9a、9bの接点に接続さ
れた1つの交流電圧源8と、温度補償回路7aと抵抗9
aとの接点に接続され交流信号を直流信号に変換する第
1変換部10と、温度補償回路7bと抵抗9bとの接点
に接続され交流信号を直流信号に変換する第2変換部1
1と、第1変換部10と第2変換部11との間の直流電
圧の差を求める減算回路(減算部)12とを備えてい
る。
【0028】すなわち、交流電圧源8と抵抗9aと温度
補償回路7aと第一検出コイル5のコイル5aとは1つ
の閉回路を形成しており、交流電圧源8と抵抗9bと温
度補償回路7bと第二検出コイル6のコイル6aとは1
つの閉回路を構成しており、それぞれの閉回路は対称形
をなしている。このとき抵抗9a、9bはこれら閉回路
に流れる電流を電圧に変換するためのものである。
【0029】一方、スラスト検出用回路Bは、交流電圧
源8によって励磁された第一、第二検出コイル5、6の
コイル5a、6aによって電磁誘導された一対の第一、
第二検出コイル5、6のコイル5b、6bに直列に接続
された温度補償回路7c、7dと、この温度補償回路7
cに接続し交流信号を直流信号に変換する第3変換部1
3と、温度補償回路7dに接続し交流信号を直流信号に
変換する第4変換部14と、第3、第4変換部13、1
4の接地点GNDを基準としたそれぞれの直流電圧の和
を求める加算回路(加算部)15とを備えている。ま
た、減算回路12と加算回路15とは図示しない演算部
と接続されており、演算部は減算回路12及び加算回路
15の出力値から検出軸2に作用する力を検出するよう
になっている。
【0030】このように構成されたトルク及びスラスト
力の検出装置1の動作について説明する。まず、検出軸
2にトルクTが作用された場合について説明する。第
一、第二磁歪材3、4は正磁歪材からなっており、引張
歪みが生じると透磁率は増加し、圧縮歪みが生じると透
磁率が減少する磁気機械効果を備えている。この第一、
第二磁歪材3、4を外周に配置させた検出軸2に例えば
図1中、矢印方向にトルクTが作用した場合、検出方向
が軸線方向に対して負の方向の角度(−45゜)に設け
られた第一磁歪材3には引張歪みが生じ、一方、検出方
向が軸線方向に対して正の方向の角度(+45゜)に設
けられた第二磁歪材4には圧縮歪みが生じる。このと
き、互いに反対方向に同じ角度で配されているそれぞれ
の第一、第二磁歪材3、4は、作用されたトルクTに応
じてその透磁率を変化させる。すなわち、第一、第二磁
歪材3、4の透磁率は絶対値を等しくしてそれぞれ増
加、減少される。
【0031】この第一、第二磁歪材3、4の透磁率の変
化に応じるように比例して、それぞれの磁歪材3、4の
外周に設置した円筒状の第一、第二検出コイル5、6の
コイル5a、6aのインピーダンスが変化する。このと
き、交流電圧源8によって、トルク検出用回路Aのそれ
ぞれの閉回路には交流電流が流れる。この交流電流は抵
抗9a、9bで接点aを基準とした交流の電圧に変換さ
れ、第1、第2変換部10、11によって直流電圧に変
換される。そしてこれらの直流電圧は減算回路12に入
力され、減算回路12はこの直流電圧の減算値を演算部
に出力し、演算部はトルクTを算出する。
【0032】つぎに、検出軸2にスラスト力が作用され
た場合について説明する。検出軸2に、図1中、矢印方
向のスラスト力Sが作用した場合、第一、第二磁歪材
3、4には圧縮方向の力が作用し、圧縮歪みが生じる。
このとき、第一、第二磁歪材3、4は検出軸2の軸線を
基準として互いに反対方向に同じ角度で配されているた
め等しく歪まされる。そのため、それぞれの磁歪材3、
4の透磁率はスラスト力Sに応じて等しく変化する(こ
の場合、圧縮力を受けるため、透磁率は等しく減少され
る)。このとき、第一、第二検出コイル5、6のコイル
5b、6bのインピーダンスは透磁率の変化に応じて変
化する。交流電圧源8によって励磁された第一、第二検
出コイル5、6のコイル5a、6aによって電磁誘導さ
れた第一、第二検出コイル5、6のコイル5b、6bは
接点bによって接続されており、この接点bは接地点G
NDと接続されている。そのため、各検出コイル5、6
のコイル5b、6b間には接地点GNDを基準とした交
流電圧が生じる。この交流電圧は第3、第4変換部1
3、14によって直流電圧に変換され、加算回路15は
これら直流電圧の値を加算する。そして演算部は加算回
路15の出力に基づきスラスト力Sを算出する。
【0033】すなわち、一対の第一、第二磁歪材3、4
を、検出軸2の軸線を基準として互いに反対方向に同じ
角度で配置させるとともに、それぞれの磁歪材3、4の
磁気特性の変化を電気的なインピーダンスの変化に変換
する一対の第一、第二検出コイル5、6の電圧の和と差
を検出することによって、検出軸2に作用するトルクT
とスラスト力Sとを同時に検出することができる。例え
ば、図1中、矢印方向のトルクTとスラスト力Sとが同
時に作用した場合、これらに応じた歪みをHT、HS と
すると、第一磁歪材3に生じる歪みH3 は、 H3 = HT − HS (c1) である。一方、第二磁歪材4に生じる歪みH4 は、 H4 = −HT −HS (c2) である。ここで、減算回路12によって(c1)、(c
2)式の差を求めることによりスラスト力Sによる歪み
成分HS がキャンセルされ、一方加算回路15によって
(c1)、(c2)式の和を求めることによりトルクT
の歪み成分HT がキャンセルされることになり、この各
歪み成分がキャンセルされた値に基づいてトルクTとス
ラスト力Sとを同時に求めることができる。
【0034】次に、図3中に示された抵抗32、抵抗3
1、及びNTCサーミスタ30の値の設定及び本発明の
一実施形態による検出装置が周囲の温度に関わりなく検
出軸2に作用する力による歪みのみを測定することがで
きる原理について説明する。ここではトルク検出用回路
Aのうち、温度補償回路7aを含んだ閉回路部分につい
て説明する。直流電圧の値VBは(1)式で表される。
【数1】 但し、E0 は交流電圧源8から出力される交流電圧の振
幅、Zは第一磁歪材3と第一検出用コイル5との電気的
に等価な回路のインピーダンスの値、Rvは温度補償回
路7aの抵抗値、Rsは抵抗9aの値である。
【0035】ここで、インピーダンスの値Zを(2)式
で表す。
【数2】 ここで、 Z1:常温(例えば25℃)で検出軸2に外力がかかっ
ていない場合のインピーダンスの実数部 Z2:常温(例えば25℃)で検出軸2に外力がかかっ
ていない場合のインピーダンスの虚数部 m1:外力によるインピーダンスの実数部の変化率 m2:外力によるインピーダンスの虚数部の変化率 α1:インピーダンスの実数部の温度係数 α2:インピーダンスの虚数部の温度係数 T:温度補償回路7a周囲の温度 T0:常温(例えば25℃) F:検出軸2にかかる外力 i:虚数単位(つまり、i2=−1)
【0036】また、温度補償回路7aの抵抗値Rvを温
度変化を考慮に入れて(3)式に表す。
【数3】 但し、Rv0は常温(例えば25℃)における温度補償回
路7aの抵抗値であり、αvは温度補償回路7aの温度
係数である。
【0037】(2)、(3)式を(1)式に代入すると
(4)式となる。
【数4】
【0038】ここで、
【数5】
【数6】 とおく。
【0039】
【数7】 であるので、X1、X2はそれぞれ(7)式及び(8)式
に示されたように近似できる。
【数8】
【数9】
【0040】よって、X1+X2、つまり(4)式の分母
の平方根の中身は(9)式となる。
【数10】 従って、
【数11】 となる。ここで、
【数12】 であるので、テーラー展開を(10)式に用いて2次以
降を無視すると、
【数13】 となる。
【0041】次に、直流電圧の値VBが温度変化、つま
り式中に表れる項(T−T0)に影響されない条件を求
める。(11)式から解るように、
【数14】 である場合、項(T−T0)が含まれる項が零となるの
で直流電圧の値VBが温度変化に影響を受けないことに
なる。即ち、温度補償回路7aの温度係数αvが、
【数15】 である場合に、直流電圧の値VBが温度変化に影響を受
けなくなる。
【0042】上記の式中においては温度補償回路7aの
抵抗値をRvとして一括していたが、図3中に示される
ように、温度補償回路7aをなす抵抗32、抵抗31、
及びNTCサーミスタ30を考慮した場合であっても、
抵抗32及び抵抗31には温度変化による抵抗変化が小
さい抵抗を用い、抵抗32、抵抗31、及びNTCサー
ミスタ30を合成した温度変化特性が(13)式を満足
するように各々を選択すれば、温度変化に影響されず検
出軸2に加わる外力のみによる歪みを測定することがで
きる。
【0043】また、上記(13)式を満足する場合、
(11)式は、
【数16】 となる。この場合、抵抗9a間の電圧値Vは、(14)
式中の項
【数17】 を減算することによって、
【数18】 となり、検出軸2に作用する力に比例した電圧を得るこ
とができる。
【0044】このように、一対設けられた第一、第二検
出コイル5、6のコイル5a、5b、6a、6bそれぞ
れに温度補償回路を設けたことにより、簡易な構成で温
度変化による検出信号の温度ドリフトを少なくすること
ができる。また、検出部分である第一、第二磁歪材3、
4は検出軸2の周囲に配されたものであり、この第一、
第二磁歪材3、4の磁気特性の変化は、外周に配された
第一、第二検出コイル5、6によって電気的なインピー
ダンスの変化に変換されるため、検出軸2の剛性は低下
されないとともに、検出軸2に非接触な状態でトルクT
の検出を行うことができる。そのため、長期間安定した
トルクTの検出を行うことができる。さらに、検出部分
である第一、第二磁歪材3、4はトルク発生点近傍であ
る検出軸2に直接設置され、第一、第二検出コイル5、
6は、その内周が検出軸2及び第一、第二磁歪材3、4
に接触しないように配置させたボビンの外周に巻いた構
造であるため、検出軸2が受ける力を高精度に検出する
ことができる。
【0045】また、それぞれの磁歪材3、4に対応する
ように配置させた検出コイル5、6のコイル5a、6a
には共通の交流電圧源8が接続されており、さらに検出
コイル5、6のコイル5b、6bはコイル5a、6aに
より電磁誘導されており、これら検出コイル5、6のコ
イル5a、5b、6a、6bからはそれぞれの電気的な
インピーダンスの変化に応じた信号が出力される。この
とき磁歪材3、4は検出軸2の外周表面に互いに反対方
向に配されたものであり、それぞれの検出コイル5、6
のコイル5a、5b、6a、6bからの信号を温度補償
回路7a、7b、7c、7dを介して電圧として減算回
路12及び加算回路15に入力することにより、減算回
路12は検出軸2のトルクTを、加算回路15は検出軸
2のスラスト力Sを同時に検出することができる。
【0046】第一、第二磁歪材3、4は検出軸2の上端
2a、下端2bからそれぞれ離間した位置に溶射されて
いるので、外部磁場に影響されることがなく、検出精度
を更に向上させることができる。また、例えば磁歪材
3、4と検出軸2とを接着剤を用いて接合させた場合、
検出軸2の歪みを磁歪材3、4で測定する際に、熱膨張
係数が大きく異なる接着剤の影響を受けて測定誤差の原
因となる場合があるが、溶射によって接合させたことに
より、温度変化のみに起因する磁性材の磁気特性の変化
に基づく測定誤差をなるべく減少させることができる。
【0047】次に、図2を参照して本発明の他の実施形
態について説明する。なお、図1と共通するものは同一
の符号を付して説明する。図2において、検出装置21
は、円柱状の検出軸2と、この検出軸2の外周表面に互
いに反対方向に上端2a、下端2bから離間して配され
た一対の磁性材である第一磁歪材3及び第二磁歪材4
と、これら第一、第二磁歪材3、4の外周に配された一
対の検出コイル(変換素子)である第一検出コイル5、
第二検出コイル6とを備えている。また、この検出軸2
には、スラスト力SとトルクTとがそれぞれの矢印の方
向に作用される。第一、第二磁歪材3、4は、帯状の同
一形状を有する複数の膜体3a、4aが、検出軸2の軸
線方向に対して±45゜の角度で検出軸2の外周全周に
わたってそれぞれ平行に同じ間隔を有して溶射されたも
のであり、検出軸2の歪みに応じてその磁気特性(イン
ダクタンスと損失抵抗)が変化する。また、第一、第二
検出コイル5、6は、それぞれコイル5aと5b、6a
と6bから成る二層構造のものであり、検出軸2の歪み
による第一、第二磁歪材3、4の磁気特性の変化を自己
のインピーダンス(インダクタンスと損失抵抗)の変化
に変換する。
【0048】第一、第二検出コイル5、6のコイル5
a、6aには交流電圧源8によって交流電流が流され
る。交流電圧源8の一端は第一、第二検出コイル5、6
のコイル5a、6aの接続点と接続されており、他端は
2つの温度補償回路27a、27bの接点cと接続され
ている。この温度補償回路27a、27bは、温度上昇
分によるインピーダンスの増加分を補償するためのもの
であって、温度上昇に従って抵抗分が増加する性質の素
子が用いられている。この素子には例えばPTCサーミ
スタ(Positive Temperature Coefficient サーミス
タ)が用いられる。
【0049】上記PTCサーミスタは、温度上昇に従っ
てその抵抗値が増加する正特性を有するサーミスタであ
るが、その変化特性は温度上昇に正比例して抵抗値が増
加するする訳ではなく、温度上昇に従って非線形的に抵
抗値が増加する特性を有する。このPTCサーミスタは
インピーダンスの温度変化による変化を補償するための
ものであり、上記のようにインピーダンスは温度上昇に
伴ってその値が上昇する特性を有し、インピーダンスの
温度変化分を補償するために正特性を有するPTCサー
ミスタが用いられている。
【0050】図4は温度補償回路27a、27bの回路
構成を示す図である。図4において、82はPTCサー
ミスタであり、PTCサーミスタ82に並列接続された
抵抗80は、PTCサーミスタ82の非線形特性が線形
特性となるように補償するためのものである。つまり、
PTCサーミスタ82と抵抗80とによる並列回路を1
つのサーミスタとして見た場合に、このサーミスタの特
性は線形の特性を有する。例えば、インピーダンスの抵
抗成分の温度係数が0.4%/℃である場合には、PT
Cサーミスタ82と抵抗80との並列回路も温度係数が
0.4%/℃となるように設定するのが最良である。8
4は絶対値調整用の抵抗であり、温度補償回路27a、
27b全体の抵抗値を調整するためのものである。
【0051】図2中、右側の回路はトルク検出手段とし
てのトルク検出用回路Aを構成しており、左側の回路は
スラスト力検出手段としてのスラスト力検出用回路Bを
構成している。そして、トルク検出用回路Aのうち、P
TCサーミスタを備えた温度補償回路27aには抵抗2
9aが直列に接続されており、一方、温度補償回路27
bには、抵抗29bが直列に接続されている。これら抵
抗29a、29bの一端は第一、第二検出コイル5、6
のコイル5a、6aのそれぞれの一端と接続しており、
これら接続点は交流信号を直流信号に変換する第1、第
2変換部10、11と接続されている。抵抗29a、2
9bは検出コイル5、6のコイル5a、6aを流れる電
流を電圧に変換するためのものであり、同一の抵抗値を
有している。第1、第2変換部10、11は減算回路
(減算部)12に接続されており、この減算回路12は
第1変換部10と第2変換部11との間の直流電圧の差
を求めるようになっている。
【0052】一方、スラスト検出用回路Bは、交流電圧
源8によって励磁された第一、第二検出コイル5、6の
コイル5a、5bによって電磁誘導された一対の第一、
第二検出コイル5、6のコイル5b、6bに直列に接続
されたNTCサーミスタを備えた温度補償回路7c、7
dと、この温度補償回路7cに接続し交流信号を直流信
号に変換する第3変換部13と、温度補償回路7dに接
続し交流信号を直流信号に変換する第4変換部14と、
第3、第4変換部13、14の接地点GNDを基準とし
たそれぞれの直流電圧の和を求める加算回路(加算部)
15とを備えている。
【0053】このような構成を持つ検出装置21によっ
ても、検出軸2のトルクTとスラスト力Sとは、第一、
第二検出コイル5、6の温度変化に基づくインピーダン
スの変化を補償しつつそれぞれの第一、第二検出コイル
5、6の電圧の差と和とを求めることにより、同時に安
定して検出することができる。
【0054】なお、上記各実施形態に示したそれぞれの
温度補償回路の代わりに、図5に示す温度補償回路を用
いても良い。この温度補償回路においては、サーミスタ
Rtと線形補償用の抵抗R2〜R7とを組み合わせたも
のを複数並列接続した線形補償部と、この線形補償部に
直列に接続した絶対値補償用の抵抗R1とから構成され
ている。そして、このように構成することにより、さら
に直線性の良い温度補償回路とすることができる。ま
た、温度上昇に従って抵抗分が増加する性質の素子は、
PTCサーミスタでなくても良く、白金測温抵抗体であ
っても良い。
【0055】次に、ドリルによってワークに穴を開ける
加工を施した際にこのドリルに作用するトルクTとスラ
スト力Sとを本発明の検出装置を用いて検出した結果に
ついて説明する。なお、この実施例において第一、第二
磁歪材3、4はドリルの外周表面に直接設けたものであ
る。このときの加工条件を図6に示す。ドリルは高速度
工具鋼(SKH材)からなるツイストドリルであって、
先端角118゜、直径5mmのものを用いた。そして、
厚さ10mmの炭素鋼(JIS S45C)に対して切
削速度20m/min.(回転速度1300rpm、送
り0.10mm/rev.)で加工を行った。
【0056】図7は、加工穴数と検出装置によって検出
されたドリルに作用する力の平均値との関係を示したも
のである。このうち図7(a)は加工穴数とドリルに作
用する切削トルクTの平均値との関係を示しており、横
軸は加工穴数、縦軸は1回の穴開け加工で検出装置によ
って検出された切削トルクTの平均値である。また、図
7(b)は加工穴数とドリルに作用するスラスト力Sの
平均値との関係を示しており、横軸は加工穴数、縦軸は
1回の穴開け加工で検出装置によって検出されたスラス
ト力Sの平均値である。これより、本発明の検出装置は
ドリルに作用するトルクTとスラスト力Sとを同時に安
定して検出可能であることが分かる。なお、このときの
トルクTは約1.0N・mであって、加工穴数が800
個を越えたあたりから下降する。一方、スラスト力Sは
600〜800N程度であって、加工穴数が800個を
越えたあたりから1000N程度に上昇し、その値も不
安定である。また、図8は図7より求めた、加工穴数と
切削トルクTに対するスラスト力Sの比率との関係を示
しており、このとき横軸は加工穴数であり縦軸は(スラ
スト力S/トルクT)を表している。
【0057】図9に、一回の穴開け動作によって検出装
置が検出したトルクTの値を示す。このうち、図9
(a)は2個目の穴の加工時に検出されたドリルに作用
するトルクTであり、図9(b)は1080個目の穴の
加工時に検出されたトルクTである。一回の穴開け動作
は約5秒間であるが、この穴開け動作中においてトルク
Tは安定して検出されていることが分かる。また、10
80個目のトルクTも安定して検出可能であって、検出
装置は長期間安定して使用可能であることが分かる。図
10は、このときの検出装置が検出したスラスト力であ
る。このうち、図10(a)は2個目の穴の加工時に検
出装置によって検出されたドリルに作用するスラスト力
であり、図10(b)は1080個目の穴の加工時に検
出されたスラスト力である。図9同様に、穴開け動作中
においてスラスト力も安定して検出されていることが分
かる。以上、これらの実施例からも、本発明の検出装置
は、第一、第二検出コイル5、6の温度変化に基づくイ
ンピーダンス変化を温度補償回路がそれぞれ補償してい
ることから、結果として加工時に生じる熱の影響を受け
ることなく、トルクTとスラスト力Sとを長期間、同時
に安定して検出可能であることが分かる。
【0058】
【発明の効果】本発明のスラスト力検出装置及び検出方
法、トルク・スラスト力検出装置及び検出方法は、以下
のような効果を有するものである。請求項1に記載の発
明によれば、一対設けられた変換素子のそれぞれに温度
補償回路を設けたことにより、簡易な構成で温度変化に
よる検出信号の温度ドリフトを少なくすることができ
る。また、検出部分である磁性材は検出軸の周囲に配さ
れたものであり、この磁性材の磁気特性の変化は、外周
に配された変換素子によって電気的なインピーダンスの
変化に変換されるため、検出軸の剛性は低下されないと
ともに、検出軸に非接触な状態でスラスト力検出を行う
ことができる。そのため、長期間安定したスラスト力検
出を行うことができる。さらに、検出部分である磁性材
と変換素子とは作用力発生点近傍に設置された構造であ
るため、検出軸が受ける力を高精度に検出することがで
きる。
【0059】請求項2に記載の発明によれば、検出軸の
外周に配された一対の磁性材の変化に基づき、この検出
軸に作用するトルクの検出とスラスト力の検出とを同時
に行うことができる。また、検出軸の剛性を低下させる
ことなく長期間安定した検出を行うことができる。
【0060】請求項3に記載の発明によれば、検出軸の
軸線に対して互いに反対方向に所定角度傾斜して配され
た磁性材は検出軸の歪みに応じて磁気特性を変化させる
とともに、それぞれの磁性材に対応するように配置され
交流供給源が接続された変換素子からはそれぞれの電気
的なインピーダンスの変化に応じた信号が出力される。
そして、それぞれの変換素子からの信号を温度補償回路
を介して電圧として減算部及び加算部に入力しそれぞれ
の電圧の差と和とを求めることにより、検出軸に作用す
るトルクとスラスト力とを同時に検出することができ
る。
【0061】請求項4に記載の発明によれば、簡易な構
成で温度変化による検出信号の温度ドリフトを抑えなが
ら検出軸の剛性を維持しつつ、検出軸に非接触な状態で
安定したスラスト力検出を長期間行うことができる。
【0062】請求項5に記載の発明によれば、簡易な構
成で温度変化による検出信号の温度ドリフトを抑えなが
ら検出軸の剛性を維持しつつ、検出軸に非接触な状態で
トルクとスラスト力との検出を同時に長期間行うことが
できる。
【0063】請求項6に記載の発明によれば、一対の磁
性材を検出軸の外周表面にそれぞれの検出方向を検出軸
の軸線に対して互いに反対方向に所定角度傾斜して配し
たことにより、それぞれの電圧の差と和とを求めること
によって、検出軸に作用するトルクとスラスト力とを同
時に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトルク・スラスト力検出装置の実施形
態の一例を示す図である。
【図2】本発明のトルク・スラスト力検出装置の実施形
態の一例を示す図である。
【図3】温度補償回路の回路構成を示す図である。
【図4】温度補償回路の回路構成を示す図である。
【図5】温度補償回路を回路構成を示す図である。
【図6】本発明の検出装置を用いてドリルに作用する力
を検出したときの加工条件を説明する図である。
【図7】本発明の検出装置を用いてドリルに作用する力
を検出したときの、加工穴数と検出された力との関係を
説明する図である。
【図8】本発明の検出装置を用いてドリルに作用する力
を検出したときの、加工穴数とトルクに対するスラスト
力の比率との関係を説明する図である。
【図9】本発明の検出装置を用いてドリルに作用する力
を検出したときの、加工穴数と検出されたトルクとの関
係を説明する図である。
【図10】本発明の検出装置を用いてドリルに作用する
力を検出したときの、加工穴数と検出されたスラスト力
との関係を説明する図である。
【符号の説明】
1、21 検出装置 2 検出軸 3 第一磁歪材 4 第二磁歪材 5 第一検出コイル 5a、5b コイル 6 第二検出コイル 6a、6b コイル 7a、7b、7c、7d 温度補償回路 27a、27b 温度補償回路 8 交流電圧源 9a、9b 抵抗 29a、29b 抵抗 10 第1変換部 11 第2変換部 12 減算部(減算回路) 13 第3変換部 14 第4変換部 15 加算部(加算回路) T トルク S スラスト力 A トルク検出用回路(トルク検出手段) B スラスト力検出用回路(スラスト力検出手段)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸線方向に作用する力によって歪む円柱
    状の検出軸と、 この検出軸の外周表面に配され、前記検出軸の歪みに応
    じて磁気特性が変化する一対の磁性材と、 前記一対の磁性材に対応するようにそれぞれの外周に配
    され、前記磁性材の磁気特性の変化を電気的なインピー
    ダンスの変化に変換する一対の変換素子と、 前記それぞれの変換素子に接続され、温度変化に基づく
    前記インピーダンスの変化を補償する温度補償回路と、 前記検出軸の歪みに基づく前記インピーダンスの変化を
    検出し、前記検出軸の軸線方向に作用する力を検出する
    スラスト力検出手段とを備えたことを特徴とするスラス
    ト力検出装置。
  2. 【請求項2】 軸線方向及び軸線まわりに作用する力に
    よって歪む円柱状の検出軸と、 この検出軸の外周表面に配され、前記検出軸の歪みに応
    じて磁気特性が変化する一対の磁性材と、 前記一対の磁性材に対応するようにそれぞれの外周に配
    され、前記磁性材の磁気特性の変化を電気的なインピー
    ダンスの変化に変換する一対の変換素子と、 前記それぞれの変換素子に接続され、温度変化に基づく
    前記インピーダンスの変化を補償する温度補償回路と、 前記検出軸の歪みに基づく前記インピーダンスの変化を
    検出し、前記検出軸の軸線まわりに作用する力を検出す
    るトルク検出手段と、 前記検出軸の歪みに基づく前記インピーダンスの変化を
    検出し、前記検出軸の軸線方向に作用する力を検出する
    スラスト力検出手段とを備えたことを特徴とするトルク
    ・スラスト力検出装置。
  3. 【請求項3】 軸線方向及び軸線まわりに作用する力に
    よって歪む円柱状の検出軸と、 この検出軸の外周表面にそれぞれの検出方向が前記検出
    軸の軸線に対して互いに反対方向に所定角度傾斜して配
    され、前記検出軸の歪みに応じて磁気特性が変化する一
    対の磁性材と、 前記一対の磁性材に対応するようにそれぞれの外周に配
    され、前記磁性材の磁気特性の変化を電気的なインピー
    ダンスの変化に変換する一対の変換素子と、 前記それぞれの変換素子に接続された交流供給源と、 前記それぞれの変換素子に接続され、温度変化に基づく
    前記インピーダンスの変化を補償する温度補償回路と、 前記磁性材の磁気特性の変化に応じたそれぞれの変換素
    子の電圧の差に基づいて前記検出軸に作用するトルクを
    検出する減算部と、 それぞれの変換素子の電圧の和に基づいて前記検出軸に
    作用するスラスト力を検出する加算部を備えたことを特
    徴とするトルク・スラスト力検出装置。
  4. 【請求項4】 軸線方向に作用する力によって歪む円柱
    状の検出軸の外周表面に前記検出軸の歪みに応じて磁気
    特性が変化する一対の磁性材を配するとともに、 前記磁性材の磁気特性の変化を電気的なインピーダンス
    の変化に変換する一対の変換素子を前記一対の磁性材に
    対応するようにそれぞれの外周に配し、前記それぞれの
    変換素子に温度補償回路を接続して、温度変化に基づく
    前記インピーダンスの変化を補償しつつ、このインピー
    ダンスの変化を検出することによって、 前記検出軸の軸線方向に作用する力を検出することを特
    徴とするスラスト力検出方法。
  5. 【請求項5】 軸線方向及び軸線まわりに作用する力に
    よって歪む円柱状の検出軸の外周表面に前記検出軸の歪
    みに応じて磁気特性が変化する一対の磁性材を配すると
    ともに、 前記磁性材の磁気特性の変化を電気的なインピーダンス
    の変化に変換する一対の変換素子を前記一対の磁性材に
    対応するようにそれぞれの外周に配し、前記それぞれの
    変換素子に温度補償回路を接続して、温度変化に基づく
    前記インピーダンスの変化を補償しつつ、このインピー
    ダンスの変化を検出することによって、 前記検出軸の軸線まわりに作用する力と軸線方向に作用
    する力とを同時に検出することを特徴とするトルク・ス
    ラスト力検出方法。
  6. 【請求項6】 軸線方向及び軸線まわりに作用する力に
    よって歪む円柱状の検出軸の外周表面に前記検出軸の歪
    みに応じて磁気特性が変化する一対の磁性材をそれぞれ
    の検出方向が前記検出軸の軸線に対して互いに反対方向
    に所定角度傾斜するように配するとともに、前記それぞ
    れの変換素子に交流供給源を接続し、 前記磁性材の磁気特性の変化に応じたそれぞれの変換素
    子の電圧の差に基づいて前記検出軸に作用するトルク
    と、 前記それぞれの変換素子の電圧の和に基づいて前記検出
    軸に作用するスラスト力とを同時に検出することを特徴
    とするトルク・スラスト力検出方法。
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