JP3307774B2 - 熱式流量測定装置 - Google Patents

熱式流量測定装置

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JP3307774B2 JP12541094A JP12541094A JP3307774B2 JP 3307774 B2 JP3307774 B2 JP 3307774B2 JP 12541094 A JP12541094 A JP 12541094A JP 12541094 A JP12541094 A JP 12541094A JP 3307774 B2 JP3307774 B2 JP 3307774B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、流体の流量を検出する
流量計に関し、詳細には、流体温度の変化によって生ず
る流量信号の変化を補償する熱式流量測定装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、熱式流量測定装置は、発熱抵
抗体とその周囲の流体との間の伝熱現象を利用して質量
流量を高精度に測定できることから内燃機関等に利用さ
れている。この種の熱式流量測定装置は、流路内に設け
られた発熱抵抗体および温度補償用抵抗体と、温度補償
用抵抗体の抵抗値から発熱抵抗体に通電する通電量を制
御する制御回路とから構成されている。そして、流路の
空気流により冷却され温度が下がる発熱抵抗体に対し、
所定の温度に発熱抵抗体を保つように発熱抵抗体への通
電量を制御回路が制御することから発熱抵抗体が出力す
る空気流量に応じた信号により空気流量の測定を行う。
【0003】ところが、この種の熱式流量測定装置は、
空気流量と関係なく吸気温度に依存する発熱抵抗体のリ
ード線の熱伝導および発熱抵抗体の表面から周囲への熱
輻射によって測定した空気流量に誤差を生ずることがあ
る。そのため要求される吸入空気温度特性を充分に満足
できていない。そこで、この吸入空気温度特性を改善す
るため負の熱伝導特性を有する部材をリード線部材に使
用した発熱抵抗体が考えられ、例えばリード線にFe−
Ni合金を使用した発熱抵抗体を用いた熱式流量測定装
置がある。また熱輻射率の小さい金属を表面の金属膜に
蒸着した発熱抵抗体が考えられ、例えば表面にAuを蒸
着した発熱抵抗体を用いた熱式流量測定装置がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな発熱抵抗体を用いた熱式流量測定装置によると、リ
ード線部材にFe−Ni合金を使用した発熱抵抗体を用
いたものは、このリード線が腐食することにより電気的
接続不良を生ずるおそれがあるため耐久性に問題があ
る。またこのリード線の腐食はリード線を耐食加工する
ことにより回避可能であるが、耐食加工の工程が増加す
るため生産性を悪化させるという新たな問題が生ずるお
それがある。また、表面金属膜に熱輻射率の小さいAu
を使用した発熱抵抗体を用いたものは製造コストが増加
するという問題がある。
【0005】本発明は、このような問題を解決するため
になされたもので、生産性、耐久性を悪化させることな
く、良好な吸入空気温度特性を有する熱式流量測定装置
を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
めの本発明による請求項1記載の熱式流量測定装置は、
流路内に設けられた発熱抵抗体と、前記流路内に設けら
れた温度補償用抵抗体と、前記温度補償用抵抗体の検出
値に応じて前記発熱抵抗体への通電量を調整する制御回
路とを備え、前記発熱抵抗体の発熱部表面を覆う保護膜
の外表層に、この保護膜に含まれる金属原子により構成
される金属層を有することを特徴とする。
【0007】また、本発明による請求項2記載の熱式流
量測定装置は、請求項1記載の熱式流量測定装置におい
て、前記金属層は、前記保護膜中から露出表面側に金属
原子を移動させることにより構成されることを特徴とす
る。また、本発明による請求項3記載の熱式流量測定装
置は、請求項1または2記載の熱式流量測定装置におい
て、前記保護膜は、酸化金属を含有するガラスからなる
ことを特徴とする。
【0008】また、本発明による請求項4記載の熱式流
量測定装置は、請求項3記載の熱式流量測定装置におい
て、前記酸化金属は、酸化鉛であることを特徴とする。
また、本発明による請求項5記載の熱式流量測定装置
は、請求項3または4記載の熱式流量測定装置におい
て、前記金属層は、前記保護膜を還元雰囲気内で加熱処
理することにより析出し構成されることを特徴とする。
【0009】また、本発明による請求項6記載の熱式流
量測定装置は、請求項5記載の熱式流量測定装置におい
て、前記還元雰囲気は、水素ガスを用いたことを特徴と
する。
【0010】
【作用および発明の効果】本発明の熱式流量測定装置に
よると、発熱抵抗体を覆う保護膜の外表層に鉛層を析出
させることにより発熱抵抗体の熱輻射量を抑制すること
ができることから、吸入空気温度特性を向上させる効果
がある。また、本発明の熱式流量測定装置によると、発
熱抵抗体を覆う保護膜の外表層の鉛層は析出により構成
されることから保護膜と鉛層とは高い密着性を有し耐久
性を高める効果がある。
【0011】また、本発明の熱式流量測定装置による
と、発熱抵抗体を覆う保護膜の外表層の鉛層が発熱抵抗
体の熱輻射量を抑制するため熱損失量が低減でき、計測
精度を向上させる効果および装置起動時の安定時間を短
縮する効果がある。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。自動車用のエンジンに吸入される吸入空気量を計
測する熱式流量測定装置に本発明を適用した実施例を図
1〜図6に示す。熱式流量測定装置の全体構成について
説明する。図2に示すように熱式流量測定装置10は図
2の左側から吸入空気が導入され、図2の右側へ流出す
る。熱式流量測定装置10の上流側開口11は図示しな
いエアクリーナに挿入され取付けられている。一方、下
流側開口12は、熱式流量測定装置10より大径の図示
しない吸気ダクトに挿入されていて、図示しないベルト
により外部から締め付けられている。
【0013】熱式流量測定装置10は、中央円筒部13
と上流側円筒部14と下流側円筒部15とを備え、中央
円筒部13の外側には制御回路16bを収容する回路容
器16が形成されている。中央円筒部13と上流側円筒
部14と下流側円筒部15とをそれぞれ連結することに
より流路が形成されている。この流路の上流側には砲弾
形状の上流ハウジング17が取付けられていて、下流側
には内部に熱センサ部20を有する中央円筒部13と一
体成形された中央ハウジング18、下流側円筒部15と
一体成形された下流ハウジング19が取付けられてい
る。熱センサ部20の内部には4本の支持ピン22、2
3、24、25が円筒形の樹脂部21の上流側、下流側
とに突出するようにインサート成形されている。上流側
に突出した支持ピンは長短2種類からなり、短い方の支
持ピン24、25の間に温度補償用抵抗体26が取付け
られ、長い方の支持ピン22、23の間に発熱抵抗体3
0が取付けられている。温度補償用抵抗体26と発熱抵
抗体30とはそれぞれ図示しない配線により制御回路1
6bと電気的に接続されている。温度補償用抵抗体26
と発熱抵抗体30は感温抵抗体である。発熱抵抗体30
は制御回路16bにより加熱電流が流されることにより
発熱する。一方、温度補償用抵抗体26は温度補償用抵
抗体26の周囲を流れる空気流の温度に応じて抵抗値が
変化する。温度補償用抵抗体26、発熱抵抗体30これ
らの周囲温度に応じて、常に所定の温度差を保つように
発熱抵抗体30に通電する加熱電流量を制御回路16b
が制御している。
【0014】次に、熱式流量測定装置10の制御回路1
6bの構成を図3に基づいて説明する。図示しない車載
バッテリに接続されている端子+Bは、図示しない貫通
コンデンサを経由して、パワートランジスタ45のコレ
クタ端子に接続されている。温度補償用抵抗体26と発
熱抵抗体30と接続部分には、パワートランジスタ45
のエミッタ端子が接続されている。基準電位に接続され
ている端子GNDは、抵抗器41と抵抗器43との接続
部分に接続されている。
【0015】ホイートストンブリッジ回路は、抵抗器4
1、42、43と温度補償用抵抗体26と発熱抵抗体3
0とから構成されている。発熱抵抗体30の抵抗値と抵
抗器43の抵抗値との積と、直列接続されている温度補
償用抵抗体26と抵抗器42の合成抵抗値と抵抗器41
の抵抗値との積とが等しい関係になるとき、このホイー
トストンブリッジ回路が平衡状態になるように抵抗器4
1、42、43と温度補償用抵抗体26と発熱抵抗体3
0とが接続されている。発熱抵抗体30と抵抗器41と
の接続部分にはオペアンプ44の非反転入力端子が接続
され、また抵抗器42と抵抗器43との接続部分にはオ
ペアンプ44の反転入力端子が接続されている。パワー
トランジスタ45のベース端子にはこのオペアンプ44
の出力端子が接続され、この接続がフィードバック回路
を形成している。またオペアンプ44の非反転入力端子
には出力端子VG が接続され、この出力端子VG から電
圧V1 が出力されている。
【0016】次に、発熱抵抗体30の構成を図1および
図4に基づいて説明する。図4に示すように、発熱抵抗
体30は、円筒部31とリードワイヤ32、33と細線
35と保護膜36a、36bから構成されている。電気
的に絶縁物質である円筒部31は例えばアルミナを材料
とする。円筒部31は、例えば外径φ0.5mm、内径
φ0.2mm、長さ2mmの大きさに形成されていて、
この円筒部31の両端部には例えば外径φ0.15mm
の円柱形状のリードワイヤ32、33がそれぞれ接触し
ない程度に挿入され接着剤34により固定されている。
リードワイヤ32、33の材料は例えば白金であり、ま
た接着剤34の材料は例えば軟化点1000℃前後のガ
ラスである。円筒部31の外壁表面には細線35が巻付
けられ、細線35の両端部は円筒部31の端部近傍のリ
ードワイヤ32、33にそれぞれ点溶接されている。細
線35が巻付けられている円筒部31およびリードワイ
ヤ32、33を保護するため、例えば酸化鉛を含有した
ガラスによる保護膜36a、36bが形成されている。
円筒部31の外壁表面および円筒部31の表面に細線3
5が巻付けられている部分には保護膜36aが形成さ
れ、細線35が点溶接されている筒部31の端部近傍の
リードワイヤ32、33には保護膜36bが点溶接部分
を包込むように形成されている。この保護膜36a、3
6bは塗布した酸化鉛を含有したガラスを800℃前後
の温度により焼結したものである。
【0017】図1に示すように、この保護膜36a、3
6bの表面にはガラスに含まれる酸化鉛を還元すること
により析出する鉛層36cが形成されている。この鉛層
36cは、水素雰囲気炉による温度600℃〜800℃
の環境下において保護膜36a、36bの還元処理を3
0分以上行うことにより、次の(1)に表される還元反
応式から保護膜36a、36bの表面に鉛が析出し、鉛
層が形成される。
【0018】 PbO + H2 → Pb + H2 O ・・・ (1) 次に、熱式流量測定装置10の制御回路16bの回路動
作を図3に基づいて説明する。ここで、V1 、V2 、V
3 およびV4 はその記号が付してある部分の電圧を示し
ている。抵抗器41は発熱抵抗体30に流れる電流を電
圧に変換し電圧V1 を検出し、また直列接続された抵抗
器42と抵抗器43とは温度補償用抵抗体26に流れる
電流を電圧に変換し電圧V2 を検出する。この検出した
電圧V1、V2 をそれぞれオペアンプ44の非反転入力
端子、反転入力端子に入力することにより、電圧V1 と
電圧V2 とにより生ずる電位差を差動増幅し、オペアン
プ44の出力端子に接続されたパワートランジスタ45
のベース端子の電圧を制御している。このベース端子の
電圧の制御により温度補償用抵抗体26と発熱抵抗体3
0との温度差が例えば約200℃になるように保たれて
いる。
【0019】抵抗器41、42、43と温度補償用抵抗
体26と発熱抵抗体30とから構成されるホイートスト
ンブリッジ回路に電圧が印加されると、オペアンプ44
の非反転入力端子には電圧V1 、反転入力端子には電圧
V2 が発生する。電圧V1 、V2 の大小関係がV1 >V
2 となるとき、オペアンプ44の出力電圧V4 は上昇す
る。これに伴いパワートランジスタ45のエミッタ電圧
V3 も上昇する。この電圧V3 の上昇により発熱抵抗体
30を流れる電流は上昇し、発熱抵抗体30の発熱温度
は上昇する。この結果、発熱抵抗体30の抵抗値は上昇
し、電圧V1 は低下する。一方、電圧V1 が低下し、電
圧V1 、V2 の大小関係がV1 <V2 となると、オペア
ンプ44の出力電圧V4 は低下する。このためパワート
ランジスタ45のエミッタ電圧V3 も低下する。この電
圧V3 の低下により発熱抵抗体30を流れる電流は低下
し、発熱抵抗体30の発熱温度は低下する。この結果、
発熱抵抗体30の抵抗値は低下、電圧V1 は上昇し、電
圧V1 、V2 の大小関係はV1 >V2 となるため、再び
前述の制御を繰返す。
【0020】このようにオペアンプ44は出力電圧V4
により電圧V1 、V2 の大小関係がV1 =V2 となるよ
うにパワートランジスタ45を制御し、発熱抵抗体30
への通電量を調整している。一方、発熱抵抗体30に流
れる加熱電流をI、発熱抵抗体30の抵抗値をRHとす
ると、発熱抵抗体30は(I2 ・RH)の電力を消費し
発熱する。この発熱電力(I2 ・RH)は流路を流れる
空気に放熱されるため、この流路を流れる空気流量の増
減によって空気に奪われる熱量が変化する。このため、
空気流量に応じて発熱抵抗体30の温度が変化し、抵抗
値RHも変化しようとする。しかし、前述のホイートス
トンブリッジ回路により、発熱抵抗体30の抵抗値RH
が変化しないようにオペアンプ44がパワートランジス
タ45を制御し発熱抵抗体30の通電量を変化させてい
る。つまり、空気流量に応じて加熱電流Iを変化させる
ことにより、(I2 ・RH)を変化させRHが常に所定
抵抗値になるように制御されている。
【0021】したがって、この加熱電流Iは空気流量に
相関をもった値になり、抵抗器41により電圧V1 に変
換され、図示しない増幅回路を経由して出力されてい
る。次に、空気温度変化した場合の出力電圧V1 の変化
を図5に基づいて説明する。図5は発熱抵抗体30の構
成および熱収支を示したものである。発熱抵抗体30の
発熱量は、円筒部31からなる発熱部39の対流熱伝達
によるQEと、発熱部39の輻射熱QRと、リードワイ
ヤ32、33の熱伝導QCと、リードワイヤ32、33
の対流熱伝達QLとの総和により近似計算される。この
熱収支計算を消費電力に換算すると、次の(2)で表さ
れる。
【0022】 PT =PE +PR +2PC +2PL ・・・ (2) また(2)において、発熱部39の熱伝達により消費さ
れる電力PE はKingの式より、次の数1で表され
る。
【0023】
【数1】
【0024】ここで、D :発熱部39の直径
(m) L1 :発熱部39の長さ(m) ρa :空気の比重量(kg/m3 ) υa :空気の動粘性係数(m3 /s) G :空気流量(kg/s) ΔT1 :発熱部39と空気との温度差(℃) λa :空気の熱伝導率(W/m℃) C1 、C2 :定数 同様に(2)において、リードワイヤ32、33の対流
熱伝達により消費される電力PL はKingの式より、
次の数2で表される。
【0025】
【数2】
【0026】ここで、d :リードワイヤ32、
33の直径(m) L2 :リードワイヤ32、33の長さ(m) ΔT2 :リードワイヤ32、33と空気との温度差
(℃) 同様に(2)において、発熱部39の輻射熱により消費
される電力PR は次の数3で表される。
【0027】
【数3】
【0028】ここで、ε :発熱部39の輻射率 T1 :発熱部39の温度(℃) Ta :空気の温度(℃) C3 :定数 同様に(2)において、リードワイヤ32、33の熱伝
導により消費される電力PC は次の数4で表される。
【0029】
【数4】
【0030】ここで、ΔT3 :リードワイヤ32、
33の両端の温度差(℃) λL :リードワイヤ32、33の熱伝導率(W/
m℃) 数1〜数4に示されるように、数3の発熱部39の輻射
熱による消費電力PRおよび数4のリード線2の熱伝導
による消費電力PC は、空気流量に依存しない空気温度
の関数として与えられる。このことから空気温度の変化
により空気流量が少ない場合と多い場合とではPR とP
C が総消費電力PT に対して及ぼす影響度が異なる。
【0031】この影響が顕著に現れている従来の図示し
ない発熱抵抗体を用いた熱式流量測定装置の出力電圧の
空気流量に対する流量特性変化率を図7に示す。空気温
度が20℃の各空気流量に対する出力電圧を基準にし
て、空気温度が−20℃または80℃のときの各空気流
量に対する出力電圧の変動率(流量特性変化率)をそれ
ぞれ破線および実線で示したグラフである。流量特性変
化率は空気流量に関わらず0%または一定値になること
が望ましい。この従来の図示しない発熱抵抗体を用いた
熱式空気流量測定装置では、空気温度が−20℃から8
0℃に変化した場合、各空気流量に対する出力電圧は破
線と実線とによって挟まれた範囲内の流量特性変化率分
の出力電圧が変動することがこのグラフからわかる。
【0032】そこで、この流量特性変化率を前記空気流
量に関わらず0%または一定値に近くするためには、空
気流量に依存しない空気温度の関数として与えられるリ
ードワイヤ32、33の熱伝導により消費される電力P
C および発熱部39の輻射熱により消費される電力PR
の空気温度による変動を抑制すれば良いことがわかる。
【0033】リードワイヤ32、33の熱伝導により消
費される電力PC の空気温度による変動の抑制は、空気
温度によって異なるリードワイヤ32、33への熱逃げ
量の変化を抑えることにより可能であることが次の説明
から導かれる。空気温度が高い場合、数1のPE の値が
大きくなることに伴いリードワイヤ32、33の温度が
上昇するため、数4のΔT3 (リードワイヤ32、33
の両端の温度差)の値が大きくなる。また空気温度が低
い場合、数1のPE の値が小さくなることに伴いリード
ワイヤ32、33の温度が降下するため、ΔT3 の値が
小さくなる。これにより温度に依存する関数であるλL
(リードワイヤ32、33の熱伝導率)は変動するた
め、空気温度が高い場合と低い場合とではリードワイヤ
32、33への熱逃げ量が変化する。
【0034】そこで、リードワイヤ32、33を負の熱
伝導率温度係数を有する部材にすることによりリードワ
イヤ32、33への熱逃げ量がほぼ一定になり、空気温
度の変化によるリードワイヤ32、33の影響を抑制す
ることが可能であると考えられる。しかしながら、負の
熱伝導率温度係数を有する部材は、機械的強度、耐食
性、コスト等の面から考慮すると、発熱抵抗体のリード
ワイヤ用部材に適するものは非常に少ないため実用的で
はない。
【0035】一方、発熱部39の輻射熱により消費され
る電力PR の空気温度による変動の抑制は、発熱部39
の熱輻射量を抑えることにより可能であることが次の説
明から導かれる。発熱部39の熱輻射量は、数3に示す
ように空気温度の4乗に比例する物性値である。そのた
め、空気温度の影響を抑えるには熱輻射量の絶対値を減
少させることが効果的である。
【0036】そこで、発熱部39を熱輻射率の低い保護
膜で覆うことにより熱輻射量を減少させ、空気温度の変
化による影響を抑制することが可能である。発熱部39
を熱輻射率の低い保護膜で覆うことは、従来の図示しな
い発熱抵抗体の発熱部の表面を覆う保護膜に追加加工を
施すことにより可能である。従来の図示しない発熱抵抗
体の発熱部の表面の保護膜は酸化鉛を含有しているた
め、この保護膜に含まれる酸化鉛を前述した水素雰囲気
炉によって還元処理することにより、前記(1)に表さ
れる還元反応式から保護膜の表面に鉛が析出し、鉛層が
形成される。この保護膜の表面に形成された鉛層の熱輻
射率は0.06〜0.08であり、従来の保護膜の熱輻
射率である0.8〜0.9と比較して1/10以下に減
少することを確認している。
【0037】この保護膜の表面に鉛層が形成された発熱
抵抗体30を用いた熱式流量測定装置10の出力電圧V
1 の空気流量に対する流量特性変化率を図6に示す。図
6の流量特性変化率は、従来の流量特性変化率である図
7と比較して従来の1/3以下に抑制されていることが
わかる。これは熱式流量測定装置として要求される吸入
空気温度特性を充分に満足するものである。
【0038】本実施例によると、熱式流量測定装置10
に用いる発熱抵抗体30を覆う保護膜36a、36bの
表面に鉛層36cを析出させることにより発熱抵抗体3
0の熱輻射量を1/10以下に抑制することができるこ
とから、吸入空気温度特性を向上させる効果がある。ま
た、本実施例によると、熱式流量測定装置10に用いる
発熱抵抗体30を覆う保護膜36a、36bの表面の鉛
層36cが発熱抵抗体30の熱輻射量を抑制するため熱
損失量が低減でき、計測精度を向上させる効果および装
置起動時の安定時間を短縮する効果がある。
【0039】さらに、本実施例によると、従来の熱式流
量測定装置に用いられている発熱抵抗体を追加加工によ
り還元処理することから生産性を悪化させることなく保
護膜36a、36bの表面に鉛層36cを容易に設ける
ことができる効果がある。なお、本実施例では、発熱抵
抗体30の構成として円筒部31に細線を巻付けたもの
を用いたが、本発明では、発熱する構成であればこれに
限られることはなく、薄膜式の発熱抵抗体、厚膜式の発
熱抵抗体等の他の構成からなる発熱抵抗体でも良い。
【0040】また、本実施例では、発熱抵抗体30の発
熱材料として用いられる細線を巻ける円筒部31として
アルミナを用いたが、本発明では、電気的に絶縁物質で
あればアルミナに限られることはなく、例えばジルコニ
ア等の他の材料でも良い。また、本実施例では、発熱抵
抗体30の発熱材料として白金を材料とする細線35を
用いたが、本発明では、発熱材料として用いられるもの
であれば白金に限られることはなく、例えばニッケル合
金等の他の材料でも良い。
【0041】また、本実施例では、発熱抵抗体30を覆
う保護膜36a、36bとして酸化鉛を含有したガラス
を用いたが、本発明では、酸化金属を含有したガラスで
あればガラスに含有する酸化金属は酸化鉛に限られるこ
とはなく、他の酸化金属でも良い。また、本実施例で
は、発熱抵抗体30を覆う保護膜36a、36bに含有
される酸化鉛を還元するため水素ガスを用いたが、本発
明では、ガラスに含有された酸化鉛を還元できれば水素
ガスに限られることはなく、例えば一酸化炭素ガス等の
他の還元性の成分を有するガスでも良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による熱式流量測定装置の発熱
抵抗体の図4に示すI−I線断面拡大図である。
【図2】本発明の実施例による熱式流量測定装置を示す
断面図である。
【図3】本発明の実施例による熱式流量測定装置の制御
回路の一部を示す回路図である。
【図4】本発明の実施例による熱式流量測定装置の発熱
抵抗体の部分破断平面図である。
【図5】本発明の実施例による熱式流量測定装置の発熱
抵抗体と熱伝達経路を示す模式的説明図である。
【図6】本発明の実施例による熱式流量測定装置の空気
温度の変化に対する流量特性変化率を空気流量ごとに表
したグラフである。
【図7】従来の熱式流量測定装置の空気温度の変化に対
する流量特性変化率を空気流量ごとに表したグラフであ
る。
【符号の説明】
10 熱式流量測定装置 16b 制御回路 26 温度補償用抵抗体 30 発熱抵抗体 31 円筒部 32、33 リードワイヤ 34 接着剤 35 細線(発熱部) 36a、b 保護膜 36c 鉛層(金属層)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−162413(JP,A) 特開 平3−37988(JP,A) 特開 平5−223614(JP,A) 特開 平3−28719(JP,A) 特開 昭60−260859(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01F 1/68 G01P 5/12

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流路内に設けられた発熱抵抗体と、 前記流路内に設けられた温度補償用抵抗体と、 前記温度補償用抵抗体の検出値に応じて前記発熱抵抗体
    への通電量を調整する制御回路とを備え、 前記発熱抵抗体の発熱部表面を覆う保護膜の外表層に、
    この保護膜に含まれる金属原子により構成される金属層
    を有することを特徴とする熱式流量測定装置。
  2. 【請求項2】 前記金属層は、前記保護膜中から露出表
    面側に金属原子を移動させることにより構成されること
    を特徴とする請求項1記載の熱式流量測定装置。
  3. 【請求項3】 前記保護膜は、酸化金属を含有するガラ
    スからなることを特徴とする請求項1または2記載の熱
    式流量測定装置。
  4. 【請求項4】 前記酸化金属は、酸化鉛であることを特
    徴とする請求項3記載の熱式流量測定装置。
  5. 【請求項5】 前記金属層は、前記保護膜を還元雰囲気
    内で加熱処理することにより析出し構成されることを特
    徴とする請求項3または4記載の熱式流量測定装置。
  6. 【請求項6】 前記還元雰囲気は、水素ガスを用いたこ
    とを特徴とする請求項5記載の熱式流量測定装置。
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