JP2000335964A - 誘電体磁器組成物 - Google Patents

誘電体磁器組成物

Info

Publication number
JP2000335964A
JP2000335964A JP11149386A JP14938699A JP2000335964A JP 2000335964 A JP2000335964 A JP 2000335964A JP 11149386 A JP11149386 A JP 11149386A JP 14938699 A JP14938699 A JP 14938699A JP 2000335964 A JP2000335964 A JP 2000335964A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
composition
mol
dielectric
lbt
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11149386A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsuguto Takeuchi
嗣人 竹内
Toshihiko Tani
俊彦 谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP11149386A priority Critical patent/JP2000335964A/ja
Publication of JP2000335964A publication Critical patent/JP2000335964A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い比誘電率ε、高いQ×f値、及び低い
温度係数τfを有し、しかも、1000℃程度の温度で
焼成可能な誘電体磁器組成物を提供すること。 【解決手段】 高誘電率材料に対し、一般式aLi
−bBi−cTiO(但し、14.2≦a≦1
9.2mol%、14.2≦b≦19.2mol%、6
1.6≦c≦71.6mol%、a+b+c=100m
ol%)で表される組成物を20wt%以上添加する。
具体的には、組成式Li1/2Bi1/2TiOで表
される組成物に対し、CaTiOを30〜50mol
%加え、さらに、Biの30〜50mol%をLaで置
換すると良い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘電体磁器組成物
に関し、更に詳しくは、自動車電話、携帯電話等の移動
体通信や衛星放送TV受信機等に使用される積層LCフ
ィルタ、誘電体共振器、温度補償コンデンサ等、マイク
ロ波帯域で使用される各種デバイスに用いられる誘電体
材料として好適な誘電体磁器組成物に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】マイクロ波帯域で使用される各種通信機
器には、フィルタ、誘電体共振器等、誘電体磁器組成物
を用いた各種デバイスが使用されている。このような用
途に用いられる誘電体磁器組成物に対しては、損失が低
いこと(すなわち、Q(=1/tanδ)値、あるいは
Q値と共振周波数fの積(Q×f値)が高いこと)及
び、共振周波数fの温度係数τが小さいことが要求
される。
【0003】また、Q値及びτが実用上十分な値であ
る場合には、比誘電率εは、できるだけ高いことが要
求される。これは、共振周波数fは、比誘電率ε
平方根と共振モードに関与する長さLに逆比例するの
で、比誘電率εが大きいほど長さLを小さくできる、
すなわち、デバイスを小型化できるためである。
【0004】さらに、自動車電話、携帯電話等のマイク
ロ波通信機器に対する小型化、軽量化に対する要求を満
足させるために、近年では、積層LCフィルタ、積層デ
ィレイライン等の積層デバイスが注目されている。積層
LCフィルタ等の積層デバイスは、シート状の誘電体層
に導体層となる電極ペーストを印刷して積層し、誘電体
層と導体層を一体焼成することにより得られるものであ
る。
【0005】この積層デバイスに用いられる誘電体磁器
組成物に対しては、焼成温度ができるだけ低いことが要
求される。これは、焼成温度が高いと、導体層として耐
熱性の高いPdやPtを使用する必要があり、積層デバ
イスの高コスト化を招くためである。導体層として安価
な材料、例えばAgやCu等及びこれらの合金を使用
し、これと一体焼成するためには、誘電体磁器組成物
は、1000℃程度で焼結できることが必要である。
【0006】このような高い比誘電率ε及びQ値、並
びに低い温度係数τを同時に満足させる誘電体磁器組
成物として、従来から、種々の材料が提案されている。
例えば、特開平9−227225号公報には、所定の組
成を有するCaO−Bi −R−TiO
(但し、Rは、La、Ce、Pr、Nd、Sm、E
u、Gdのうちの少なくとも一種)系混合物を1000
〜1400℃で2時間焼成することにより得られる、比
誘電率ε=80〜166、Q×f値=320〜95
0、τ=+6〜+164ppm/℃を有する誘電体磁
器組成物が開示されている。
【0007】また、低温で焼成可能なマイクロ波用誘電
体磁器組成物としては、例えば、ケイ酸塩系材料(比誘
電率ε=6〜15)、誘電体に低融点ガラスを添加し
た材料(比誘電率ε=25〜67)、Bi−Nb系の
低温焼結材料(比誘電率ε=43〜98)等が知られ
ている。
【0008】また、特開平7−105729号公報に
は、所定の組成を有するTiO−BiO3/2−Cu
O系混合物を、950℃で2時間焼成することにより得
られる、比誘電率ε=76〜84、Q値=300〜6
20、τ=−5〜−10ppm/℃を有する誘電体磁
器組成物が開示されている。
【0009】さらに、特開平10−17363号公報に
は、所定の組成を有するCaO−Bi−R
−TiO(但し、Rは、La、Ce、Pr、Nd、S
m、Eu、Gdのうちの少なくとも一種)系混合物に対
して、さらにLiO、B、SiO又はGeO
を0.1〜5.5wt%添加し、これを950℃〜1
050℃で2時間焼成することにより得られる、比誘電
率ε=130〜165、tanδ=0.8〜3.6×
10−3、τ=−20〜−140ppm/℃を有する
誘電体磁器組成物が開示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述したCaO−Bi
−R−TiO系の誘電体磁器組成物は、
比較的高い比誘電率εを有している。しかしながら、
焼成温度として1000℃〜1400℃を要し、積層デ
バイス用の誘電体磁器組成物としては、やや焼成温度が
高いという問題がある。また、ケイ酸塩系材料、誘電体
に低融点ガラスを添加した材料、Bi−Nb系の低温焼
結材料、及びTi0−BiO3/2−CuO系の誘電
体磁器組成物は、比較的低温で焼成可能であるが、いず
れも比誘電率εは、100以下である。
【0011】これに対し、CaO−Bi−R
−TiO系にLiO等を添加した誘電体磁器組成
物は、950〜1050℃で焼成でき、しかも、比誘電
率ε =130〜165の値が得られるとされている。
しかしながら、積層デバイスをさらに小型化する上では
不十分であり、より高誘電率を有する材料を開発する必
要がある。
【0012】本発明が解決しようとする課題は、高い比
誘電率ε、高いQ×f値、及び低い共振周波数の温度
係数τを有し、しかも、1000℃程度の温度で焼成
可能な誘電体磁器組成物を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明に係る誘電体磁器組成物は、次の化1の式に示
す一般式で表される組成物を20wt%以上含むことを
要旨とするものである。
【0014】
【化1】aLiO−bBi−cTiO (但し、14.2≦a≦19.2mol%、14.2≦
b≦19.2mol%、61.6≦c≦71.6mol
%、a+b+c=100mol%)
【0015】化1の式に示す組成物は、それ自体が低温
焼結性を有する高誘電率材料である。そのため、これを
単独で、あるいは、他の組成物に対して化1の式に示す
組成物を20wt%固溶又は混合させることにより、低
温焼結性に優れた誘電体磁器組成物を得ることができ
る。
【0016】特に、他の組成物として高誘電率材料を用
いた場合には、誘電体磁器組成物全体の焼結性が改善さ
れるだけではなく、化1の式に示す組成物及び高誘電率
材料が本来有する比誘電率を越える比誘電率εを有す
る誘電体磁器組成物を得ることができる。具体的には、
高誘電率材料としてCaTiO相当の組成物を用い
た、次の化2の式に示す一般式で表される組成物が好適
である。
【0017】
【化2】aLiO−bBi−cTiO−dC
aO (但し、4.0≦a≦14.5mol%、4.0≦b≦
14.5mol%、54.1≦c≦64.5mol%、
6.5≦d≦37.8mol%、a+b+c+d=10
0mol%。)
【0018】また、化2の式に示す誘電体磁器組成物に
おいて、Biの一部をランタノイド元素、すなわち、L
a、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、T
b、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLu、の少な
くとも1種で置き換えてもよい。Biの一部をランタノ
イド元素で置換すると、化2の式に示す誘電体磁器組成
物が有する高い比誘電率ε及び低温焼結性を良好に維
持したまま、温度係数τ がほぼ0である誘電体磁器組
成物を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態につ
いて詳細に説明する。本発明に係る誘電体磁器組成物
は、次の化3の式に示す組成物(以下、これを「主組成
物」という。)を基本成分とする。
【0020】
【化3】aLiO−bBi−cTiO (但し、14.2≦a≦19.2mol%、14.2≦
b≦19.2mol%、61.6≦c≦71.6mol
%、a+b+c=100mol%)
【0021】ここで、化3の式に示す主組成物は、後述
するように、パイロクロア相とスピネル相の混合相を主
成分とし、それ自体が、比較的高い比誘電率ε及びQ
×f値、低い温度係数τを有し、しかも、低温で焼結
可能な誘電体磁器組成物である。特に、組成式Li
1/2Bi1/2TiOで表される主組成物(以下、
これを「LBT」という。)及びこの近傍の組成を有す
る主組成物は、低温焼結性に優れているので、積層デバ
イス用の誘電体磁器組成物として好適である。
【0022】また、主組成物は、単独で使用しても良い
が、他の組成物(以下、これを「副組成物」という。)
に主組成物を加えて使用しても良い。副組成物に主組成
物を加えて誘電体磁器組成物とすると、低温焼結性に優
れた主組成物によって誘電体磁器組成物全体の焼結性が
向上し、副組成物単相を緻密化させるに要する焼結温度
より低い焼結温度で緻密化させることができる。
【0023】但し、誘電体磁器組成物には、主組成物が
20wt%以上含まれている必要がある。主組成物の含
有量が20wt%未満になると、主組成物の添加による
焼結性の改善効果が小さくなり、焼結温度の大幅な低下
が望めないので好ましくない。
【0024】なお、副組成物に主組成物を加える場合、
主組成物の組成が実質的に化3の式の範囲内に入ってい
ればよく、主組成物の結晶構造、主組成物を構成する各
成分の存在形態等については、特に限定されるものでは
ない。すなわち、得られる誘電体磁器組成物は、主組成
物と副組成物の混合体からなっていても良く、あるい
は、主組成物と副組成物の全部又は一部が固溶体となっ
ていてもよい。
【0025】また、副組成物には、種々の組成物を用い
ることができ、特に限定されるものではないが、主組成
物より高い比誘電率εと、高いQ×f値を有する高誘
電率材料を用いるのが好ましい。具体的には、比誘電率
ε>100、Q×f値>1000GHzである材料が
好適である。
【0026】主組成物と高誘電率材料からなる副組成物
とを複合化させると、低温焼結性に優れ、しかも、主組
成物より大きな比誘電率ε及びQ×f値を有する誘電
体磁器組成物を得ることができる。特に、高誘電率材料
の種類及びその含有量を最適化した場合には、主組成物
及び副組成物が本来有する比誘電率よりも大きな比誘電
率εを有する誘電体磁器組成物を得ることができる。
【0027】副組成物としては、具体的には、CaTi
、SrTiO、PrZrO、(Pb,Ca)Z
rO等が好適な一例として挙げられる。また、これら
は、単独で主組成物と複合化させても良いが、2以上の
高誘電率材料と主組成物とを複合化させても良い。ま
た、副組成物としてCaTiOを用いる場合、次の化
4の式に示す組成範囲が特に好ましい。
【0028】
【化4】aLiO−bBi−cTiO−dC
aO (但し、4.0≦a≦14.5mol%、4.0≦b≦
14.5mol%、54.1≦c≦64.5mol%、
6.5≦d≦37.8mol%、a+b+c+d=10
0mol%。)
【0029】ここで、化4の式で表される誘電体磁器組
成物は、上述したLBTに対して10〜70mol%
(3.6〜43.6wt%CaTiO)のCaTiO
に相当する副組成物を複合化させた組成に相当する。
特に、高い比誘電率εを有する誘電体磁器組成物を得
るためには、CaTiO量は30〜70mol%(1
2.5wt%〜43.6wt%CaTiOに相当)が
好ましい。また、高い比誘電率εと、良好な低温焼結
性の双方を備えた誘電体磁器組成物を得るためには、C
aTiO量は、30〜50mol%(12.5〜2
5.0wt%CaTiOに相当)の範囲がさらに好ま
しい。
【0030】また、誘電体共振器、温度補償用コンデン
サに用いられる誘電体には、実用温度範囲において共振
周波数fが変動しないこと、すなわち、共振周波数の
温度係数τが小さいことが求められる。具体的には、
τは、30ppm/℃以下であることが必要とされ
る。
【0031】しかしながら、CaTiOを初めとする
高誘電率材料は、一般に、大きな温度係数τを有して
いる。例えば、CaTiOのτは+800ppm/
℃、SrTiOのτは+1670ppm/℃であ
る。そのため、高誘電率材料の含有量が増加するに伴
い、誘電体磁器組成物のτが増加する傾向にある。
【0032】そこで、このような場合には、化4の式に
おいて、Biの一部をランタノイド元素、すなわち、L
a、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、T
b、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuの少なく
とも1種で置き換えるとよい。Biの一部をランタノイ
ド元素に置き換えると、誘電体磁器組成物のτを低下
させることができ、実用温度範囲において共振周波数f
の変動の少ない誘電体磁器組成物を得ることができ
る。
【0033】なお、Biと置き換えるランタノイド元素
の種類及び置換量は、誘電体磁器組成物の組成、要求さ
れる特性等に応じて定めるとよい。例えば、LBTに対
してCaTiOを加え、Biの一部をLaで置換する
場合において、温度係数τがほぼ0であり、かつ、高
い比誘電率ε及びQ×f値を有し、しかも、良好な低
温焼結性を有する誘電体磁器組成物を得るためには、C
aTiO量を30〜50mol%とし、かつ、La置
換量を30〜50mol%とすれば良い。
【0034】以上のように、化3の式に示す主組成物
は、それ自体が比較的高い比誘電率ε を有する低温焼
結性に優れた誘電体磁器組成物である。また、副組成物
に対して主組成物を添加すると、低温焼結性に優れた誘
電体磁器組成物を得ることができる。さらに、副組成物
として高誘電率材料を用いた場合には、主組成物単相及
び副組成物単相より大きな比誘電率εを有する誘電体
磁器組成物を得ることができる。これらの点は、本件出
願人により初めて見出されたものである。
【0035】本発明に係る誘電体磁器組成物がこのよう
な特異な性質を示すのは、化3の式に示す組成範囲に限
定された主組成物を基本成分として用いた点にあるが、
その作用の詳細については、不明である。おそらく、主
組成物と副組成物による固溶体の形成、固溶体の割合、
主組成物の固溶量等に起因していると思われる。
【0036】
【実施例】(実施例1)原料粉末には、LiCO
Bi、TiO、CaCO、及びLa
用いた。これらの原料を、表1に示す組成となるように
秤量し、ボールミルで湿式混合した後(溶媒:エタノー
ル、メディア:φ3mmZrOボール、混合時間:2
4時間)、空気中、800℃×4時間の条件で仮焼し
た。
【0037】なお、表1中、試料名「LBT」は、上述
したように、組成式Li1/2Bi 1/2TiOで表
される組成物に該当する。また、試料名「LBT−CT
x」は、LBTにCaTiO(以下、これを「CT」
という。)相当の原料粉末をxmol%加えた組成物に
該当する。また、試料名「LBLTy−CTx」は、L
BTに対してCT相当の原料粉末をxmol%加え、さ
らに、LBT中に含まれるBiのymol%をLaで置
き換えた組成物に該当する。また、特に、LBT中のB
iを全てLaで置き換えた組成物を「LLaT−CT
x」と表記した。
【0038】
【表1】
【0039】次に、仮焼粉をボールミルにて再度解砕し
(溶媒:エタノール、メディア:φ3mmZrOボー
ル、解砕時間:24時間)、500μmのふるいにかけ
た。次いで、ふるいにかけられた粉末を金型に充填し、
40MPaで予備成形した後、冷間静水圧プレスにより
300MPaで本成形した。得られた成形体を白金箔の
上に乗せ、空気中、750〜1300℃×2時間、昇降
温速度200℃/hrの条件下で焼成することにより、
誘電体磁器組成物を得た。
【0040】得られた誘電体磁器組成物について、焼結
体密度の測定、及び結晶相の同定を行った。なお、焼結
体密度は、アルキメデス法を用いて測定し、結晶相の同
定には、X線回折法を用いた。結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】LBTの場合、焼成温度を750℃とする
と、焼結体の収縮率はわずか5.5%であった。これに
対し、焼成温度を850〜1050℃とすると、焼結体
の収縮率は、いずれも14%を越えた。また、焼成温度
を1150℃以上とすると、LBTが溶融したため、焼
結体は得られなかった。LBTは、複数の結晶相が混在
しているために、理論密度の算出はできなかったが、収
縮率の大きさから、850〜1050℃という比較的低
い焼成温度で緻密な焼結体が得られており、低温焼結性
に優れた誘電体磁器組成物であることがわかる。
【0043】また、LBT−CTx系材料の場合、CT
量を20mol%(LBT−CT20)とし、焼成温度
を950℃とすると、収縮率はLBTより若干低下して
13.5%となった。CT量を40mol%(LBT−
CT40)及び60mol%(LBT−CT60)に増
加させると、焼成温度950℃における収縮率は、それ
ぞれ、8.5%及び6.3%となり、CT量の増加に伴
い、焼結性が低下する傾向を示した。
【0044】これに対し、焼成温度を1000〜105
0℃とすると、LBT−CTx系材料は、いずれも収縮
率が15%を超えており、緻密な焼結体が得られた。C
T単独では、緻密な焼結体を得るのに1400℃以上の
高温を必要とすることから、CTに対するLBTの複合
化は、焼結温度の低下に対して極めて有効であり、低温
焼結性に優れた誘電体磁器組成物が得られることがわか
る。
【0045】さらに、LBLTy−CTx系材料の場
合、CT量を40mol%、La置換量を40mol%
(LBLT40−CT40)とし、焼成温度を950℃
とすると、収縮率は、LBT−CT40よりさらに低下
して、6.3%となった。また、La置換量を50mo
l%(LBLT50−CT40)とすると、焼成温度9
50℃での収縮率は、5.0%まで低下し、La置換量
の増加に伴い、焼結性が低下する傾向を示した。
【0046】これに対し、焼成温度を1050℃とする
と、LBLT50−CT60を除き、LBLTy−CT
x系材料の収縮率は、いずれも17%を超えており、緻
密な焼結体が得られた。また、LBLT50−CT60
の場合であっても、焼成温度を1100℃とすれば、収
縮率は15%を超え、緻密な焼結体が得られた。
【0047】図1に、1050℃で焼成したLBT、L
BT−CTx系材料、及びLBLTy−CTx系材料の
X線回折パターンを示す。また、表2中に、次の数1の
式で算出したペロブスカイト構造相の割合Rを示す。
【0048】
【数1】R=Iper(121)/(I
per(121)+Ipyr(222)) 但し、 Iper(121):ペロブスカイト構造相(121)
面に相当する回折線強度 Ipyr(222):パイロクロア相(222)面に相
当する回折線強度
【0049】LBTは、BiTiと思われるパ
イロクロア相と、Li1+xTi −x(0<x<
3)と思われるスピネル相の混合相となった。一方、L
BT−CTx系材料及びLBLTy−CTx系材料は、
斜方晶ペロブスカイト構造相と同定されるピークが出現
し、ペロブスカイト構造相、パイロクロア相及びスピネ
ル相の三相からなる混合相となった。
【0050】また、ペロブスカイト構造相の割合Rは、
CT量及びLa置換量が多いほど、及び焼成温度が高く
なるほど増加した。図1及び表2に示すように、105
0℃で焼成したLBT−CT60は、R=0.94であ
り、パイロクロア相に相当するピークがほぼ消滅してい
ることから、CTに対するLBTの限界固溶量は、30
〜40mol%と考えられる。また、LBT50−CT
60は、R=1.00であり、ペロブスカイト構造相単
相になっていることから、Laは、CTに対するLBT
の限界固溶量を引き上げる効果があると考えられる。
【0051】また、表2中に、各試料のパイロクロア相
の格子定数(apyro)、及び立方晶として計算した
ペロブスカイト構造相の格子定数(apero)を示
す。各試料のaperoは、CTの格子定数3.824
Åに比べて大きく、固溶が生じたことを示唆している。
また、apyroにも僅かな変化が認められ、固溶体が
形成されていると考えられるが、どのような固溶系とな
っているかは不明である。
【0052】ペロブスカイト構造相単相となったLBL
T50−CT40(焼成温度1050℃)及びLBLT
50−CT60(焼成温度1050℃及び1100℃)
について、格子定数から理論密度を算出し、相対密度を
求めた。その結果、1050℃で焼成したLBLT50
−CT40の相対密度は、96.7%であった。また、
1050℃及び1100℃で焼成したLBLT50−C
T60の相対密度は、それぞれ、85.8%及び96.
9%であった。
【0053】(実施例2)実施例1で得られた各誘電体
磁器組成物について、電気的特性の評価を行った。電気
的特性は、マイクロ波領域の周波数(2〜5GHz)で
の誘電特性(比誘電率ε及び誘電損失(Q値))によ
り評価した。
【0054】また、マイクロ波領域での誘電特性は、T
011モードの共振が得られるように円柱状に加工し
た試料を用い、ネットワークアナライザ(ヒューレット
パッカード社製8753B)により、両端短絡法で測定
した。結果を表3、並びに図2及び図3に示す。
【0055】
【表3】
【0056】LBT及びCT単体の比誘電率εは、表
3に示すように、それぞれ、78及び172であった。
これに対し、LBTとCTとを複合化させたLBT−C
Tx系材料の比誘電率εは、図2(a)に示すよう
に、CT量が60mol%までは単調に増加し、その後
低下した。CT量40〜60mol%の試料で得られた
比誘電率ε〜200は、CTそのものの比誘電率ε
=172を凌駕した。
【0057】Q×f値は、CT量の増加とともに急速に
増加し、CT量40〜60mol%の領域では、500
〜1000GHzとなった。一方、τは、図2(b)
に示すように、比誘電率εが比較的小さいCT量20
mol%前後で0ppm/℃に近い極小値をとり、その
後、CT量の増加と共に単調に増加した。
【0058】また、表3に示すように、LBT−CT4
0及びLLaT−CT40の比誘電率εは、それぞ
れ、192及び179であった。これに対し、CT量を
40mol%に固定したまま、Biの一部をLaで置換
したLBLTy−CT40系材料の比誘電率ε及びQ
×f値は、図3(a)に示すように、La置換量30〜
50mol%で極大を取る形で増加した。増加量は、L
a無置換の試料(LBT−CT40)に対し、εで約
10%、Q×f値で約50%であった。
【0059】一方、τは、図3(b)に示すように、
La置換量の増加と共にLBT−CT40の183pp
m/℃からLLaT−CT40の−196ppm/℃ま
で単調に減少した。図3(b)より、CT量を40mo
l%とする場合、La置換量を30〜40mol%とす
れば、τ=0ppm/℃となる誘電体磁器組成物が得
られることがわかる。
【0060】一般に、比誘電率の異なる2つの相からな
る多結晶材料の比誘電率εは、一方の相の体積分率が
変化するに伴い、下に凸の曲線を描いて変化することが
知られている。しかしながら、本発明に係るLBT−C
Tx系材料、及びLBLTy−CTx系材料の比誘電率
εは、全く逆の傾向を示し、いずれも、CT量あるい
はLa置換量の変化に伴い、上に凸の曲線を描いて変化
した。
【0061】特に、LBTに添加するCT量、及びLa
置換量を最適化すると、上述した従来技術では得られな
かった高い比誘電率ε〜210、高いQ×f値〜70
0GHz、及び低い温度係数τ〜0ppm/℃を有
し、しかも、低温焼結性に優れた誘電体磁器組成物を得
ることができた。
【0062】このような、LBT−CTx系材料及びL
BLTy−CTx系材料の諸特性は、構成する3結晶相
の割合と密接に関係していると考えられる。例えば、L
BT−CTx系材料の比誘電率εの特異な変化は、お
そらく、高誘電率相であるLBT−CT固溶体と思われ
るペロブスカイト構造相の割合、LBT固溶量の変化等
に起因して生じたと考えることができる。しかしなが
ら、現在のところ、各結晶相の役割は、推測の域を超え
ておらず、詳細は不明である。
【0063】以上、本発明の実施の形態について詳細に
説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しないで種々の改変
が可能である。
【0064】例えば、上記実施例では、高誘電率材料と
してCaTiOとLBTとを複合化させた例について
説明したが、SrTiO、PbZr0、(Pb、C
a)ZrO等、他の高誘電率材料とLBTとを複合化
させる場合、あるいは、これらの2以上の高誘電率材料
とLBTとを複合化させる場合も同様であり、高誘電率
材料の種類に応じてLBT含有量を最適化すれば、低温
焼結性を良好に維持したまま、高い比誘電率εを有す
る誘電体磁器組成物を得ることができる。
【0065】また、上記実施例では、LBT中のBiを
Laで置換した誘電体磁器組成物について説明したが、
Sm、Nd、Pr等、他のランタノイド元素で置換する
場合も同様であり、高誘電率材料の種類、温度係数τf
に及ぼす効果の大きさに応じて、置換量を最適化すれば
よい。この場合、温度係数τに及ぼす効果の大きいラ
ンタノイド元素を用いるほど、少量の置換で温度係数τ
を大きく調節できるという利点がある。
【0066】さらに、上記実施例においては、単一の陽
イオン元素を含む酸化物及び炭酸塩を用いて、固相反応
法により原料粉末を調整しているが、原料粉末の調整方
法は、これに限定されるものではない。
【0067】すなわち、硫酸塩、シュウ酸塩等、熱分解
によって酸化物を生ずる他の塩類、あるいは、2以上の
陽イオン元素を含む複合酸化物、各種塩類等を用いて固
相反応法により原料粉末を調整しても良い。また、ギ酸
塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、あるいは、アルコキシド
等を用いた液相法により原料粉末を調整し、これを用い
て誘電体磁器組成物を作製しても良く、これにより上記
実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0068】
【発明の効果】本発明に係る誘電体磁器組成物は、一般
式aLiO−bBi−cTiO(但し、1
4.2≦a≦19.2mol%、14.2≦b≦19.
2mol%、61.6≦c≦71.6mol%、a+b
+c=100mol%)で表される主組成物を20wt
%以上含んでいるので、主組成物により誘電体磁器組成
物全体の焼結性が改善され、1000℃程度の低温で緻
密な焼結体が得られるという効果がある。
【0069】また、主組成物と複合化させる他の組成物
として、CaTiO等の高誘電率材料を用いると、主
組成物及び高誘電率材料が本来有する比誘電率を超える
比誘電率を有する誘電体磁器組成物が得られるという効
果がある。
【0070】さらに、主組成物とCaTiO等の高誘
電率材料とを複合化させた場合において、Biの一部を
ランタノイド元素の少なくとも1種で置き換えると、比
誘電率ε及びQ×f値がさらに増加し、しかも、誘電
体磁器組成物の焼結性を低下させることなく、共振周波
数fの温度係数τをほぼ0にすることができるとい
う効果がある。
【0071】以上のように、本発明によれば、低温焼結
性に優れた高誘電率材料が得られるので、これを例え
ば、誘電体共振器、積層LCフィルタ等に応用すれば、
マイクロ波通信機器の小型化、軽量化に寄与するもので
あり、産業上その効果の極めて大きい発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】1050℃で焼成された本発明に係る誘電体磁
器組成物のX線回折パターンを示す図である
【図2】図2(a)は、LBT−CTx系材料の比誘電
率ε及びQ×f値のCT量依存性を示す図であり、図
2(b)は、LBT−CTx系材料の温度係数τのC
T量依存性を示す図である。
【図3】図3(a)は、LBLTy−CT40系材料の
比誘電率ε及びQ×f値のLa置換量依存性を示す図
であり、図3(b)は、LBLTy−CT40系材料の
温度係数τのLa置換量依存性を示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式 aLiO−bBi−cTiO (但し、14.2≦a≦19.2mol%、14.2≦
    b≦19.2mol%、 61.6≦c≦71.6mol%、a+b+c=100
    mol%)で表される組成物を20wt%以上含むこと
    を特徴とする誘電体磁器組成物。
  2. 【請求項2】 一般式 aLiO−bBi−cTiO−dCaO (但し、4.0≦a≦14.5mol%、4.0≦b≦
    14.5mol%、 54.1≦c≦64.5mol%、6.5≦d≦37.
    8mol%、 a+b+c+d=100mol%。)で表される誘電体
    磁器組成物。
  3. 【請求項3】 Biの一部を、La、Ce、Pr、N
    d、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、E
    r、Tm、Yb、及びLuの少なくとも1種で置き換え
    ることを特徴とする請求項2に記載の誘電体磁器組成
    物。
JP11149386A 1999-05-28 1999-05-28 誘電体磁器組成物 Pending JP2000335964A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11149386A JP2000335964A (ja) 1999-05-28 1999-05-28 誘電体磁器組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11149386A JP2000335964A (ja) 1999-05-28 1999-05-28 誘電体磁器組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000335964A true JP2000335964A (ja) 2000-12-05

Family

ID=15474001

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11149386A Pending JP2000335964A (ja) 1999-05-28 1999-05-28 誘電体磁器組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000335964A (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002145662A (ja) * 2001-01-05 2002-05-22 Sumitomo Special Metals Co Ltd マイクロ波用誘電体磁器組成物
JP2002145660A (ja) * 2000-11-06 2002-05-22 Sumitomo Special Metals Co Ltd マイクロ波用誘電体磁器組成物
JP2002145661A (ja) * 2000-11-08 2002-05-22 Sumitomo Special Metals Co Ltd マイクロ波用誘電体磁器組成物
WO2006013981A1 (ja) * 2004-08-06 2006-02-09 Nippon Tungsten Co., Ltd. 誘電体磁器組成物および誘電体磁器
US7265071B2 (en) 2004-03-17 2007-09-04 Sanyo Electric Co., Ltd. Dielectric ceramic composition and multilayer ceramic part using the same
JP2008088004A (ja) * 2006-09-29 2008-04-17 Tdk Corp 誘電体磁器組成物の製造方法
JP2009203109A (ja) * 2008-02-27 2009-09-10 Tdk Corp 誘電体磁器組成物及び誘電体磁器
JP2009203110A (ja) * 2008-02-27 2009-09-10 Tdk Corp 誘電体磁器組成物

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002145660A (ja) * 2000-11-06 2002-05-22 Sumitomo Special Metals Co Ltd マイクロ波用誘電体磁器組成物
JP4609744B2 (ja) * 2000-11-06 2011-01-12 日立金属株式会社 マイクロ波用誘電体磁器組成物
JP2002145661A (ja) * 2000-11-08 2002-05-22 Sumitomo Special Metals Co Ltd マイクロ波用誘電体磁器組成物
JP2002145662A (ja) * 2001-01-05 2002-05-22 Sumitomo Special Metals Co Ltd マイクロ波用誘電体磁器組成物
JP4655254B2 (ja) * 2001-01-05 2011-03-23 日立金属株式会社 マイクロ波用誘電体磁器組成物
US7265071B2 (en) 2004-03-17 2007-09-04 Sanyo Electric Co., Ltd. Dielectric ceramic composition and multilayer ceramic part using the same
WO2006013981A1 (ja) * 2004-08-06 2006-02-09 Nippon Tungsten Co., Ltd. 誘電体磁器組成物および誘電体磁器
JP2008088004A (ja) * 2006-09-29 2008-04-17 Tdk Corp 誘電体磁器組成物の製造方法
JP2009203109A (ja) * 2008-02-27 2009-09-10 Tdk Corp 誘電体磁器組成物及び誘電体磁器
JP2009203110A (ja) * 2008-02-27 2009-09-10 Tdk Corp 誘電体磁器組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1767507B1 (en) Dielectric ceramic composition and laminated ceramic capacitor
KR100814674B1 (ko) 유전체 자기 조성물 및 그 제조방법
JP5272754B2 (ja) 誘電体磁器組成物および電子部品
JP5077362B2 (ja) 誘電体セラミック及び積層セラミックコンデンサ
US8420560B2 (en) Dielectric ceramic, method for producing dielectric ceramic, and method for producing powder for producing dielectric ceramic
EP3303238A1 (en) Glass ceramic sintered compact and wiring board
JP3882054B2 (ja) 積層セラミックコンデンサ
JP2000335964A (ja) 誘電体磁器組成物
JP5041206B2 (ja) 誘電体磁器組成物の製造方法
JP4412266B2 (ja) 誘電体磁器組成物及びその製造方法
JP5527053B2 (ja) 誘電体磁器、誘電体磁器の製造方法及び電子部品
JP3940419B2 (ja) 誘電体磁器組成物及びその製造方法
JP3706489B2 (ja) 誘電体磁器およびその製法
JP2012051750A (ja) 誘電体磁器組成物の製造方法および積層型セラミック電子部品
JP4849325B2 (ja) 誘電体磁器組成物
JP4765367B2 (ja) 誘電体磁器組成物
JP2003146752A (ja) 誘電体磁器組成物
JP2009227483A (ja) 誘電体磁器組成物
JPH11219844A (ja) 誘電体磁器および積層セラミックコンデンサ
JP2006273616A (ja) 誘電体磁器組成物
KR100823217B1 (ko) 유전체 자기 조성물 및 그 제조 방법
JP3588210B2 (ja) 誘電体磁器組成物
JP3793548B2 (ja) 誘電体磁器および積層セラミックコンデンサ
JP4553301B2 (ja) 誘電体磁器組成物および電子部品
JP4946875B2 (ja) 誘電体磁器組成物