JP2000334505A - 継目無鋼管の製造方法 - Google Patents

継目無鋼管の製造方法

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JP2000334505A
JP2000334505A JP11143737A JP14373799A JP2000334505A JP 2000334505 A JP2000334505 A JP 2000334505A JP 11143737 A JP11143737 A JP 11143737A JP 14373799 A JP14373799 A JP 14373799A JP 2000334505 A JP2000334505 A JP 2000334505A
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rolling
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Tatsuro Katsumura
龍郎 勝村
Takashi Ariizumi
孝 有泉
Shozo Azuma
祥三 東
Kinumasa Ono
絹正 小野
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱間加工性が劣悪で継目無鋼管材として不適
当とされてきた難加工材、または、鋳造ままであるため
素材中心部にザク等が存在する品質の悪い素材を、主に
マンネスマン穿孔圧延するに際し、製管時の疵の発生を
抑制することができる。 【解決手段】 難加工材または鋳造まま材からなる鋳片
を用いて傾斜穿孔圧延法によって継目無鋼管を製造する
方法において、穿孔圧延用主ロールの回転速度を4.5
m/sec未満に限定し、かくして、プラグ先端圧下率
を95%以上に維持し、もって、管内面疵の発生を抑制
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、継目無鋼管の製
造方法、特に、従来、熱間加工性が劣悪で継目無鋼管材
として不適当とされてきた難加工材、または、鋳造まま
であるため素材中心部にザク等が存在する品質の悪い素
材を、主にマンネスマン穿孔圧延するに際し、製管時の
疵の発生を抑制することができる、難加工材から継目無
鋼管を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】継目無鋼管は、一般に鋳造した鋼片に加
工を加えるか、あるいは連続鋳造機により作られた丸ま
たは角鋼片状のビレットを用い、前記ビレットにマンネ
スマン穿孔、プレス穿孔または熱間押出し等を施して中
空素管を調製し、その後、エロンゲータ、プラグミルま
たはマンドレルミル等の圧延機により前記中空素管を延
伸し、そして、このようにして、延伸した前記中空素管
を最終的にサイザーやストレッチレデューサにかけて定
径することによって製造される。
【0003】継目無鋼管の素材は、合金成分の少ない一
般の低炭素鋼のように丸型鋼片への連続鋳造が比較的容
易に行えて、素材の熱間加工性が良いものは、鋳造まま
で素材とし、そして、鋳造ままでは鋼片中央部にポロシ
ティや偏析が生じやすいステンレス鋼等、熱間加工性の
悪いものであれば鋼塊等に鋳造し、その後、大きな加工
を加えて丸型鋼片とする。
【0004】加工性劣化の主な原因は、鋳片の中心部偏
析やポロシティにある。即ち、特に大きな影響を与える
ポロシティの発生機構は、一般に、連続鋳造鋳片の最終
凝固段階において鋳片内に空隙が生じ、本来、溶鋼が供
給されるべきところが、高合金鋼等の場合では、Cr等
の含有量が高いために溶鋼の粘性が上昇する等の理由
で、前記空隙に溶鋼が供給されないことにある。
【0005】例えば、Cr量と粘性との関係を図4に示
すが、図4から明らかなように、Cr量が0.5%を超
えると溶鋼の粘性が急激に増加し、このため、ポロシテ
ィが生じやすくなる。
【0006】このように、内部に欠陥を有する可能性の
ある素材を鋳造ままで用いた場合は、製管工程の最初に
マンネスマン穿孔という過酷な加工を受けるため、軸芯
部のポロシティや偏析により管内面疵が発生する。この
ため、特に、難加工材である、合金成分を多く含有する
鋼や加工性を劣化させる硫黄Sを比較的多く含有する快
削鋼等の炭素鋼はもとより、炭素量の多い普通鋼種やC
rが添加された鋼種についても、内部品質を向上させる
ための穿孔前圧延が必要であるといわれていた。
【0007】例えば、高Cr鋼の継目無管素材の製造方
法として、400×520mmの比較的大断面を持つ角
形状のブルームを連続鋳造機等により鋳造し、加熱後、
分塊圧延等を用いて矩形型形状鋼塊から小断面の丸型鋼
塊、即ち、丸ビレットを調製するといった要領である。
このような、鋳造材に予加工を加えて継目無鋼管用素材
とする製管法は、鋳造ままで素材となすことのできる鋼
種を用いる場合と比べて、工程の増加、予加工時の加熱
等によるコストの増加につながる。従って、できる限り
予加工を加えずに製管する手法が求められていた。
【0008】この問題を解決するために、一つは鋳造方
法の改善、また一つは製管方法の改善が多く提案されて
いる。
【0009】鋳造方法の改善については、連続鋳造材を
鋳造中に圧下し、欠陥を機械的に圧着させる方法がスラ
ブ等、矩形断面の鋼片においては良く適用されている。
この軽圧下プロセスを丸ビレットに適用したときの大き
な問題は、圧下ロールにより引き起こされる鋳片形状の
悪化と、圧下量を増加したときに発生する可能性のある
凝固界面の割れである。
【0010】単純に、丸鋳片を一対の平ロールにより圧
下すれば、当然、圧下部はつぶれて、鋳片断面は扁平化
する。しかも圧下により、断面内で圧下方向と直交する
方向に引張り応力が発生することによって割れが生じや
すくなる。また、ポロシティの圧着効果を高めるために
圧下量を大きくすれば、形状はさらに真円から遠ざか
る。この結果、割れの発生率は高くなって、継目無管製
造用の丸ビレットとして用いるには、ビレットを転がす
ことによって行う搬送が出来なくなったり、また、穿孔
時の噛込みが不安定になる等の重大な問題が発生し、結
局、鋳片の内部品質が不十分なままで我慢せざるを得な
い。
【0011】この問題を解決するため、例えば、特開平
7−108358(以下、先行技術1という)には、圧
下される部分を予め大きめにしておくという、楕円モー
ルドによる鋳造法が開示されている。
【0012】しかしながら、この方法は、軽圧下に対し
ては有効であるものの、真円モールドに比べ鋳造時の流
れが不均一になることに起因する湯面変動やパウダーの
引き込みにより、新たな欠陥の原因になることが明らか
であり、完全な解決策にはなり得ない。
【0013】一方、製管プロセスにおいても、穿孔時の
マンネスマン割れに起因する内面疵発生防止技術を検討
した事例は多い。例えば、特開昭55−106611
(以下、先行技術2という)には、内面疵の発生限界の
みならず、噛込みや偏肉についても穿孔条件を規定した
技術が開示されている。
【0014】しかしながら、先行技術2中にも記されて
いるように、内面疵の発生限界は、素材の材質、温度、
製法に依存するために、連続鋳造ままの素材や難加工材
については、先行技術2を適用しても疵の発生を防止で
きない。
【0015】また、穿孔圧延ロールの傾斜角を噛込み前
からその直後まで、および、尻抜け直前と直後、これら
と定常圧延中との水準を変化させることによって内面疵
の発生を抑制する技術が登録番号1811008(以
下、先行技術3という)に開示されている。先行技術3
は、疵抑制という観点では、理にかなった方法を適用し
ている。即ち、マンネスマン割れを抑制する手段とし
て、ロール傾斜角の高い状態で穿孔を継続したいが、そ
の場合には噛込み不良が生じやすくなるために、噛込み
・尻抜け時のみ傾斜角を小さくするというものである。
【0016】しかしながら、先行技術3も万能とは言い
がたい。即ち、先行技術3によれば、素材材質が劣悪で
ある場合には、かなりの低傾斜角で噛込ませ、その直後
に能率を維持するために高傾斜角にロールを配置せねば
ならず、かなりの機械的負荷が発生し、機械的故障の危
険がある。しかも、疵そのものは低傾斜角で噛込ませる
間にも生じているから、噛込み時と尻抜け時、すなわち
管の先後端に生ずる疵は抑制できない。然るに大故障等
に起因する生産能率の大幅な低下を抑制しつつ、内面品
質の良い製品を作る事は困難である。また、大きな機械
的負荷に耐えられるように設計する必要があるので設備
費も高価なものとなる。
【0017】一方、素材の加工性が劣悪である場合に、
その製造方法を検討した例も多くある。例えば、登録番
号1828639(以下、先行技術4という)には、硫
黄快削鋼、鉛快削鋼等の快削鋼製継目無管をマンネスマ
ン製管法にて製造するにあたり、素材先端外径をロール
開度以下にすべくテーパ加工し、内面疵を抑制する技術
が開示されている。
【0018】先行技術4は、特開昭56−89307等
の先行技術を引き合いに出し、素材の加工や製管後の手
入れが多くなるために問題であるとしているが、この先
行技術も素材端面にテ−パ加工を施すという点でその枠
を超えるものではなく、製造コストを低減できる技術で
はない。
【0019】また、製造コストを低減するために、なる
べく素材に予加工を加えないようにしながら製管する技
術として、例えば、特開平1−228603(以下、先
行技術5という)には、特定の鋼種、ここでは二相ステ
ンレス鋼に対し連続鋳造された丸ビレットの加工度およ
び加熱温度を特定値に限定する技術が開示され、特開平
6−106209(以下、先行技術6という)には、穿
孔機およびプラグからなる幾何学的関係に基づく穿孔圧
延方法が開示されている。
【0020】後者は素材を限定せず、一見、かなり有効
な提案であるように見える。ところが、素材品質が劣悪
である場合には、鉄と鋼誌第56年第7号「継目無鋼管
の製造技術について」(以下、先行文献という)等にお
いて記されているように、管内面疵を抑制し得る、ある
圧下率が存在し、少なくとも材質の特性を把握しなくて
はならないため、このような提案は全く無力に等しい。
何故ならばマンネスマン穿孔という過酷な加工を受ける
が故に、内面疵の発生源ともなるビレット軸芯部の状態
は、素材の鋼種あるいは製法によって全く異なるからで
ある。
【0021】しかも、鋳造ままの素材、特にそれが高合
金鋼であるような場合には、ビレット内質の劣化が著し
く、上記先行文献に示されたような圧下率ではとても内
面疵は抑制できないのが現状である。また、その圧下率
を取るべく、穿孔条件を変更しようとしても、今度は素
材が噛込み不良を起こしてしまい、結局、内面疵の抑制
を行えないという問題があった。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】以上述べたように、従
来の素材製造・製管工程により内面品質の良い製品を得
るためには、素材に予加工を与える必要があるが、予加
工をするための特別な設備投資が必須となりコストが上
昇するデメリットがある。一方、素材内質の悪い部分を
容認しつつ製管しようとするならば、比較的大がかりな
設備改造等を伴うことや、素材一つ一つに加工をする必
要が生じ、やはりコスト負担は免れ得ずデメリットが発
生する問題点があった。
【0023】このようなことから、ほぼ従来通りの工程
を経ながら難加工材、特に、鋳造ままの高合金鋼等の難
加工材から製管した後も、管内面疵を残さないようにす
ることは極めて困難であった。従って、可能な限り鋳造
まま等の予加工を施さない素材を用い、かつ穿孔で内面
疵を作らず、それを大きな設備投資なく製造できる「コ
スト増のデメリット」を解決する技術が切望されてい
た。
【0024】従って、この発明の目的は、鋳造ままの丸
鋳片等内質劣化の著しい素材を用いることによって素材
コストの抑制を行い、前記素材を穿孔するにあたり穿孔
圧延用主ロールの回転速度を一定値未満と規定すること
によって軽圧下穿孔を実現し、これによりマンネスマン
穿孔を行っても管内面疵を防止できるようにした、継目
無鋼管の製造方法を提供するものである。
【0025】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
難加工材または鋳造まま材からなる鋳片を用いて傾斜穿
孔圧延法によって継目無鋼管を製造する方法において、
穿孔圧延用主ロールの回転速度を4.5m/sec未満
に限定し、かくして、プラグ先端圧下率を95%以上に
維持し、もって、管内面疵の発生を抑制することに特徴
を有するものである。
【0026】請求項2記載の発明は、前記難加工材は、
0.5重量%を超えるCrを含有していることに特徴を
有するものである。
【0027】請求項3記載の発明は、前記難加工材は、
0.5重量%を超えるCrを含有し、0.0001重量
%以上のSを含有し、且つ、Cr、NiおよびMoの含
有量の合計が1.5重量%を超えることに特徴を有する
ものである。
【0028】
【発明の実施の形態】以下に、この発明の原理を説明す
る。
【0029】先に述べた先行文献等の知見を鑑みれば、
加工性の劣悪な素材を疵なく穿孔・製管するには、軽圧
下穿孔が必要である事が示唆されている。これを実現す
るためには、穿孔プラグを素材側へ前進させ、軽圧下状
態を作り出す事が必要になる。このことは、一見矛盾す
るが、傾斜穿孔圧延法を用いながらマンネスマン効果、
すなわち回転鍛造効果をできる限り抑制しつつ穿孔すれ
ば如何なる素材に対しても内面疵を生ずることなく製管
することが可能となることを意味している。
【0030】そこで、本発明者等は、鋭意研究を重ねた
結果、従来よりもはるかに小さい圧下で穿孔を可能に
し、管内面疵を抑制できるといった知見を得た。即ち、
穿孔に用いられる穿孔圧延用主ロールの回転速度を4.
5m/sec未満に限定することによって、管内面疵を
抑制することができるといった知見を得た。
【0031】なお、ここでいうロール回転速度とは、あ
る速度で穿孔を実施したときの噛込み不良が発生する直
前、即ち、噛込み限界での速度である。例えば、マンネ
スマン穿孔に使用されるロール形状が樽型である場合に
は、その最大となる点、即ち、最もロール径が大きい部
分での周速である。
【0032】軽圧下穿孔、即ち、下式にて定義されるプ
ラグ先端圧下率の拡大は、通常の穿孔圧延状態では限界
が存在する。
【0033】プラグ先端圧下率=プラグ先端位置でのロ
ール間隔(d)/ビレット径(D)この関係を図5に示
す。図5において、1は、ビレット、2は、穿孔圧延用
主ロール、3は、穿孔プラグである。
【0034】上式によれば、プラグ先端でのロール間隔
を大きくすることは、プラグ先端圧下率を高めることと
同義であり、その方法には、ロール間隔を開くことと、
プラグをビレット方向に予め前進させておき穿孔する方
法とが考えられる。何れにしても、ビレットがロールに
接触してからプラグにあたるまでの接触面積が少なくな
って、プラグの抗力に打ち勝つだけの推力を穿孔ロール
から得難い。このために、ビレットが進まなくなって穿
孔が行えない。一方、多くの実験結果から、本発明者等
は、鋳造ままの内質が劣化した素材や難加工材と呼ばれ
る合金鋼等については、プラグ先端圧下率を95%以上
確保できれば、ほぼ疵の解消が可能であることを見出し
た。
【0035】本発明者等は、素材をロールに対し、いか
に効率良く引込み、プラグの抗力に打ち勝つ推力を付与
できるかという点について多くの検討を重ねた。その結
果、ロール・素材間の摩擦係数を高めることが有利であ
るとの結論を得た。ロールの素材引込力を大きくする方
法としては、既にロール表面に凹凸を付与する技術が特
開平2−251305等に開示されているが、ロールの
使用による表面凹凸の経時変化には対応できない点や、
凹凸形状が不適切に大きい場合には製品表面性状の劣化
を招くという問題がある。
【0036】一方、ロール・素材間の摩擦係数について
は、例えば、特開平5−57307に、増摩擦剤なるも
のを穿孔ロールと素材ビレット間に供給する技術が開示
されている。しかしながら、この技術も高合金鋼等で生
じやすい、ロール表面の劣化に起因する「すべり」を低
減し、穿孔本数の増加に伴うビレット前進効率を補償す
るものである。また、同公報の実施例中にも明記されて
いるように、適用例の内、疵が生じたものは素材性であ
る、との表現もあり、これは換言すれば素材性起因の内
面疵は抑制できないことにほかならない。何れにして
も、常時、ある程度の摩擦係数を維持し、穿孔プラグの
効力に打克つだけの推力を付与し得る有効な圧延方法は
確認されていなかった。
【0037】そこで、本発明者等は、ロール回転速度に
着目して検討を行った。摩擦力とロール回転速度または
圧延速度には相関があると言われてきた。しかしなが
ら、この相関は表面になんの加工も施されていない、材
料の進行方向と完全に直交したロールを用いた通常の板
圧延で確認された事項である。
【0038】これに対して穿孔圧延は、先述したよう
に、表面に十分な加工が施され、かつロールは材料の進
行方向と若干の角度しか持たない軸に置かれている、全
く異なった圧延である。しかも穿孔プラグという材料の
進行を阻むものもある。更に、摩擦係数とプラグ先端圧
下率の間には、何の相関も見出されてはいなかった。
【0039】そこで、本発明等は、多くの実験を重ねた
結果、図1に示すように、ロール回転速度とプラグ先端
圧下率に明白な相関があることを見出した。図1は、横
軸にロール回転数を、縦軸に前述の噛み込み限界でのプ
ラグ先端圧下率をとり、内面疵発生の有無をプロットし
たものである。
【0040】図1から明らかなように、より低速側で高
いプラグ先端圧下率での穿孔、即ち、軽圧下穿孔が可能
であることが分かる。これより、回転速度が4.5m/
sec未満の領域で、先に述べた内質の良くない素材に
対して内面疵を抑制するために十分な圧延条件である、
プラグ先端圧下率95%を確保でき、実際に穿孔後の管
の品質を調査したところ、疵抑制が十分に行えることが
分かった。
【0041】なお、一般炭素鋼の鋳造まま材でも、この
発明の適用により軽圧下穿孔が可能となり、内面疵の発
生率をほぼ0にすることも可能となった。また、内質が
劣化しやすい、硫黄を多く含んだ炭素鋼や高合金鋼等の
難加工材、また、その鋳造まま材についても内面疵の発
生を従来の炭素鋼並に抑制できることが認められた。
【0042】噛込み不良が生じた場合の、穿孔プラグに
かかるスラスト荷重および穿孔ロール荷重を図2に示
す。ここでは、素材が穿孔ロールに噛込むとほぼ同時
に、穿孔プラグにも荷重がかかり始め、時間が経過して
も素材が穿孔ロールに噛み込んでいかない様子を示して
いる。
【0043】一方、図3には通常穿孔時の荷重を示して
いるが、ここではロール荷重が充分に大きくなる、すな
わち接触面積が十分に大きくなった後、穿孔プラグと接
触していることが示されている。そこで、この発明を適
用すると、穿孔時間は高速で穿孔圧延したときより延び
るが、図3に示したような通常穿孔状態とほぼ同一にな
ることが認められた。噛込み限界のプラグ先端圧下率
は、図3に示したものと同様の状況を示した場合の最大
を持って決定した。
【0044】
【実施例】この発明を、実施例により更に詳細に説明す
る。
【0045】(実施例1)熱間モデル穿孔機により、こ
の発明について検討を行った。素材ビレットには、鋳造
ままの0.4%炭素鋼を用い、素材加熱温度は1250
℃、穿孔圧延用主ロール入側面角は2.5度、穿孔圧延
用主ロール傾斜角は9度、穿孔圧延用主ロールは樽型を
用い、その表面加工は通常のナーリングと呼ばれる0.
5mm深さ程度の凹凸加工を施した条件にて穿孔実験を
実施した。なお、管内面不良に関しては、各水準10本
の穿孔を行い、総圧延長さあたりの管内面疵が発生して
いる部分の素管長さの比率を不良率として評価し、その
発生率が15%以上である場合を×、5%以上〜15%
未満を△、1%以上〜5%未満を○、更に、今回の試験
中に管内面疵の発生がなかったものを◎とした。この結
果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】表1から明らかなように、ロール回転速度
が本発明範囲外である4.5m/sec以上で穿孔を行
った比較例は、何れも、管内面疵発生による不良率が高
く、ロール回転速度の増加に伴って、不良率が増加する
ことが分かった。
【0048】これに対して、本発明例は、プラグ先端圧
下率が何れも、95%以上を確保できたことから、管内
面疵発生による不良率が極めて少なく、ロール回転速度
が4m/secでは、不良率は、0であった。
【0049】上述したように、プラグ先端圧下率を大き
くする、即ち、軽圧下穿孔とは、穿孔プラグを素管入側
へ前進させることによって、プラグ先端でのロール間隔
が広がることと等しく、素材ビレット径は変わらないこ
とからロール間隔が広くなることは、軽圧下状態を作り
出していることとも一致する。
【0050】(実施例2)実施例1におけると同様な穿
孔条件にしたがって、13%Crの直鋳(鋳造まま)材
および従来通りの予加工を施した13%Cr予加工材を
用いて実験を行った。この結果を表2に示す。
【0051】
【表2】
【0052】表2から明らかなように、13%Crの予
加工材を穿孔した場合には、5.8m/secのロール
回転速度による圧延での不良率が10%弱と工業生産を
行う上では問題があった。一方、直鋳の比較例では、同
じ穿孔条件でも不良率が20%と非常に高く、工業生産
は成り立たなかった。
【0053】これに対して、本発明例では、予加工材で
ロール回転速度4.45m/secでの穿孔により不良
率は4%、ロール回転速度4m/secでの穿孔では、
無疵で製管が可能であった。また、直鋳材については、
プラグ先端圧下率が97%となる2.25m/secの
ロール回転速度での穿孔で不良率は1%、プラグ先端圧
下率が97.5%となる1.7m/secのロール回転
速度での穿孔では不良率は0%であった。
【0054】(実施例3)実施例1におけると同様な穿
孔条件にしたがって、素材に予加工を施した、種々の鋼
材を用いて実験を行った。この結果を表3に示す。
【0055】
【表3】
【0056】表3から明らかなように、本発明適用対象
となる鋼種では、不良率は、何れも5.5%を超え、か
なりの手入れを必要とすることが分かった。これらにつ
いて、本発明を適用したところ、不良率は、1から5%
の範囲内で、何れも大幅な内面疵低減が可能となること
が分かった。
【0057】0.52Cr、1Cr、2.25Crの予
加工材、2.25Crの直鋳材、1Cr−0.7Mo−
0.01Sの予加工材、および、0.6Ni−0.65
Cr−0.3Mo−0.05Sの直鋳材についても十分
な内面疵抑制が可能となることが分かった。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、従来、熱間加工性が劣悪で継目無管材として不適当
であった難加工材または鋳造ままであるため素材中心部
にザク等が存在する品質の悪い素材を穿孔圧延するに際
し、設備に大幅な変更を加えることなく穿孔条件を最適
化させることが可能となり、これにより管内面疵をなく
し、付加価値の高い高合金鋼管等のコスト低減および生
産性向上が可能となるといった有用な効果がもたらされ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ある穿孔条件での、ロール回転速度とプラグ先
端圧下率との関係を示すグラフである。
【図2】噛込み不良時の穿孔プラグ荷重と穿孔ロール荷
重との関係を示すグラフである。
【図3】通常穿孔時の穿孔プラグ荷重と穿孔ロール荷重
との関係を示すグラフである。
【図4】Cr量と溶鋼の粘度との関係を示すグラフであ
る。
【図5】プラグ先端位置でのロール間隔(d)とビレッ
ト径(D)との関係を示す説明図である。
【符号の説明】
1:ビレット 2:穿孔ロール 3:穿孔プラグ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東 祥三 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 小野 絹正 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 難加工材または鋳造まま材からなる鋳片
    を用いて傾斜穿孔圧延法によって継目無鋼管を製造する
    方法において、 穿孔圧延用主ロールの回転速度を4.5m/sec未満
    に限定し、かくして、プラグ先端圧下率を95%以上に
    維持し、もって、管内面疵の発生を抑制することを特徴
    とする、継目無鋼管の製造方法。
JP11143737A 1999-05-24 1999-05-24 継目無鋼管の製造方法 Pending JP2000334505A (ja)

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