JP2000329695A - 蛍光寿命測定装置 - Google Patents

蛍光寿命測定装置

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JP2000329695A JP11140118A JP14011899A JP2000329695A JP 2000329695 A JP2000329695 A JP 2000329695A JP 11140118 A JP11140118 A JP 11140118A JP 14011899 A JP14011899 A JP 14011899A JP 2000329695 A JP2000329695 A JP 2000329695A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 蛍光の時間変化を高時間分解能で効率的に測
定することができる蛍光寿命測定装置を提供する。 【解決手段】 パルス光源11からの光を光分岐器12
によって2つの光束に分岐し、一方を、ゲート光学系2
を介して蛍光の観測に用いるゲートパルスとして検出媒
体6に入射させ、他方を、励起光学系3を介して蛍光の
生成に用いる励起パルスとして被測定物質4に入射させ
て、被測定物質4からの蛍光を蛍光光学系5を介して検
出媒体6に照射させる。ここで、ゲートパルスによって
検出媒体6中に生成された非線形光学効果による屈折率
変化が誘起された領域を通過した蛍光成分を、偏光状態
の変化を利用して蛍光像として観測し、その位置変化を
時間変化に対応させて観測することによって、蛍光の時
間変化、特に蛍光寿命の高時間分解能での測定が可能と
なる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光パルス照射後に
物質が発する蛍光を高時間分解能で観測することができ
る蛍光寿命測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】フェムト秒領域の超短パルスレーザーな
どのレーザー技術の発展に伴って、近年、フェムト秒の
時間領域・時間スケールで起こる様々な現象に注目が集
まっている。そのような現象の1つとして、物質が光パ
ルスの照射によって発する蛍光現象がある。
【0003】上記したようなフェムト秒の超短パルス光
を物質に照射するとフェムト秒の時間領域で時間変化し
ていく蛍光を得ることができ、例えば、フェムト秒の時
間スケールでの蛍光現象の振る舞いが得られる。このよ
うな蛍光現象を観測する技術としては、例えばストリー
クカメラを用いる方法や、ポンプアンドプローブによる
サンプリング計測の方法が行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】フェムト秒の時間領域
での蛍光現象を測定するには、フェムト秒程度の高い時
間分解能を実現可能な蛍光の測定方法が必要である。し
かしながら、上記したような従来の測定方法では、充分
な時間分解能での測定を行うことができない。
【0005】すなわち、ストリークカメラを用いる測定
方法(例えば特開平10−48044号公報)において
は、100フェムト秒より短い時間分解能での蛍光測定
を行うことが困難である。また、ストリーク掃引のタイ
ミングを各測定に対してフェムト秒のオーダーで合わせ
て一致させることは難しく、したがって、このような時
間領域では、測定を複数回行ってそれらの測定結果を積
算することによって確実な測定結果を得る方法を用いる
ことができない。これは、蛍光測定のような非常に微弱
な光を観測対象とする測定において特に問題となる。
【0006】ストリークカメラを用いる測定方法に準じ
る高時間分解能での測定技術として、光カーゲートを利
用する方法(例えば特開平9−189612号公報)が
ある。この方法では、大きい光カー効果を示す媒質に光
を入射させ、それとは別の方向から適当に偏光した蛍光
を入射させて、その偏光変化を観測することによって蛍
光の時間分解測定を行う。この場合、大きなカー効果を
示すカーゲートでの複屈折の継続時間が長く媒質の物性
が重畳されてしまうため、ストリークカメラによる測定
に比べて精度が劣り、したがって高い時間分解能での時
間変化測定ができない。また、強い光信号でないと測定
することができないなど問題が多い。
【0007】また、ポンプアンドプローブによるサンプ
リング計測においては、高時間分解能での測定も可能で
ある。しかし、この方法では繰り返し現象しか測定する
ことができず、また、一度の測定において固定した時刻
についてのみ現象の観測が可能であるため、蛍光現象な
どの現象の時間変化・時間発展を観測するには非常に長
時間にわたる計測を行わなければならない。特にこの場
合、光源が不安定で時間によるドリフトが大きいときな
どに時間とともに測定条件等が変化してしまうという問
題を生じ、精度の高い測定を行うことが困難となる。
【0008】本発明は、以上の問題点に鑑みてなされた
ものであり、蛍光現象の観測と蛍光寿命の測定を高時間
分解能で効率的に行うことができる蛍光寿命測定装置を
提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、本発明による蛍光寿命測定装置は、パルス光
源によって供給された光パルスから、それぞれの出力タ
イミングが同期された第1の光束と第2の光束とを生成
して出力する光源部と、光パルスのパルス位置におい
て、その強度に応じた複屈折を示す検出媒体と、第1の
光束に基づいてゲートパルスを形成し、検出媒体にゲー
トパルスを入射するゲート光学系と、第2の光束に基づ
いて励起パルスを形成し、これを被測定物質に入射させ
て蛍光を発生させるための励起光学系と、検出媒体にゲ
ートパルスが入射されることによって非線形光学効果に
よる屈折率変化が誘起された光飛跡領域を含む検出媒体
の所定領域に被測定物質からの蛍光を照射する蛍光光学
系と、検出媒体の所定領域を通過した蛍光を検出する光
検出部と、を備え、ゲート光学系は、ゲートパルスを所
定の偏光状態とするためのゲートパルス偏光手段と、ゲ
ートパルスを検出媒体に所定の入射条件によって入射さ
せる入射光学系とを有し、蛍光光学系は、蛍光を所定の
偏光状態とするための蛍光偏光手段を有し、光検出部
は、検出媒体の所定領域を通過した蛍光のうち、所定の
偏光成分のみを透過させる検光手段と、検光手段を透過
した蛍光を検出・観測する光検出手段と、検出媒体の所
定領域を通過し検光手段を透過した蛍光を光検出手段に
結像させて蛍光像とする結像手段と、を有することによ
って、光飛跡領域において複屈折性を示すパルス位置が
時間とともに移動することを利用して、蛍光像により蛍
光の時間変化を測定することを特徴とする。
【0010】大強度の超短パルスレーザーなどのレーザ
ー技術の発展に伴って、通常の光に比べて強度が大きい
レーザー光によって生じる光カー効果等の物質の非線形
光学効果(nonlinear optical effect)と、それに起因
する様々な現象が問題となっている。すなわち、電場の
2次以上の高次の項に対する物質の非線形感受率は1次
の項に比べて小さい値であるため、通常の光においては
線形の応答のみが観測されるが、レーザー光などの充分
に大きい強度(電場)を有する光に対しては、このよう
な2次以上の非線形項による効果が現れる。
【0011】このような非線形光学効果による現象とし
ては、例えば、大強度の光パルスを物質に照射すること
によって生じる光の自己集束効果(self-focusing effe
ct)や、光のビーム径が細いままで伝搬するチャネリン
グやフィラメンテーションなどの自己束縛効果(self-t
rapping effect)が知られている。また、このような現
象を用いて光パルスの光飛跡の観測が可能となる。
【0012】上記した蛍光寿命測定装置においては、こ
の光飛跡の観測方法を蛍光現象の観測に利用する。すな
わち、超短パルス光源である高強度フェムト秒レーザー
などのパルス光源を用いて、パルス光源から出力された
2つの光束から蛍光の観測・測定のためのゲートパル
ス、及び蛍光の励起・生成のための励起パルスを生成す
る。そして、ゲートパルス、及び励起パルスによって被
測定物質で発生された蛍光、をそれぞれ所定の偏光状態
としてそれらを検出媒体に入射・照射する。ここで、ゲ
ートパルスの入射によって、検出媒体中にゲートパルス
の各時刻でのパルス位置に対応して非線形光学効果によ
り屈折率が変化して屈折率に異方性を生じた複屈折を示
す領域が形成される。
【0013】このとき、検出媒体を通過した蛍光のう
ち、偏光状態の変化した成分を検光手段によって選択し
光検出手段によって検出することによって、ゲートパル
スの検出媒体内での伝搬に伴って時間とともに移動する
複屈折によって生成され、その位置が蛍光の発せられた
時刻と対応づけられた蛍光像を得ることができる。
【0014】検出媒体において蛍光像を生成するための
ゲートパルスは上記したように時間幅の短いパルス光源
からのパルス光であるから、これによって、この蛍光像
の各位置と、蛍光現象の時間変化における各時刻とを高
精度で対応させることができ、このことから蛍光像の強
度等の位置変化(位置依存性)を測定することによって
蛍光現象の時間変化(時間依存性)を高時間分解能で効
率的に観測したこととなるので、蛍光寿命を高時間分解
能で決定することが可能となる。
【0015】このような測定方法はタイミングジッター
が非常に小さく、ある時間の範囲にわたって一度に、か
つ例えばフェムト秒の時間分解能など高時間分解能で蛍
光を測定することができる方法である。また、一度の測
定による単一ショットで効率的に測定できるため、その
測定時間が短くてすみ、また、装置の動作条件の変化等
による精度の劣化をも抑制できる。
【0016】また、特に検出媒体については、例えば非
線形光学効果を効率的に起こし得る物質を選択して用い
れば良いが、特に、非線形光学効果の応答速度が高速で
ある液体または気体からなる物質を用いることが好まし
く、これによってその時間分解能を高めることができ
る。
【0017】光源部については、例えば、光パルスを出
力する単一のパルス光源と、光パルスを分岐して第1の
光束と第2の光束とを生成する光分岐手段と、を有して
構成することができる。この場合、同一のパルス光源を
用いることによって2つの光束が同期され、光源部の構
成を簡単化することができる。
【0018】あるいは、光源部は、第1の光束となる光
パルスを出力するゲートパルス光源と、第2の光束とな
る光パルスを出力する励起パルス光源と、第1の光束及
び第2の光束の出力タイミングを同期させるタイミング
制御手段と、を有して構成することができる。この場
合、タイミング制御手段によって2つの光束が同期され
る。このタイミング制御手段は、例えばトリガー回路と
遅延回路とから構成することができる。このような構成
の場合、例えばゲートパルスと励起パルスのパルス幅や
波長を異なるものとして設定し別々に制御することが可
能である。
【0019】また、ゲート光学系または励起光学系のい
ずれか一方は、ゲート光学系と励起光学系との光路長差
を設定・変更するための可変光遅延手段を有することを
特徴とする。
【0020】また、入射光学系は、その光路方向の位置
が可動である可動光学系を有して構成されていることを
特徴とする。
【0021】ゲートパルスの入射に対する励起パルスの
被測定物質への入射タイミング及びそれによって発生し
た蛍光の検出媒体への照射タイミング、または蛍光照射
時のゲートパルスの空間分布形状などを可変光遅延手段
または可動光学系を用いて変更することによって、長い
蛍光寿命に対応した観測を行うことができるなど、測定
目的に好適な様々な測定条件による蛍光現象の観測・測
定が可能となる。
【0022】さらに、ゲートパルス偏光手段及び蛍光偏
光手段は、少なくとも一方に波長板または偏光子を含ん
で構成されて、ゲートパルス及び蛍光の偏光状態はそれ
ぞれ所定の直線偏光に設定され、蛍光の検出媒体への照
射軸は、ゲートパルスの検出媒体への入射軸を含みゲー
トパルスの直線偏光の軸に対して垂直な平面内にあっ
て、蛍光の直線偏光の軸は、前記平面に対して45度の
傾きとして設定され、検光手段は、検出媒体の所定領域
を通過した蛍光のうち、検出媒体に照射される蛍光の直
線偏光と直交した偏光成分のみを透過させることを特徴
とする。
【0023】また、蛍光の照射軸の、ゲートパルスの入
射軸に対する照射角度が90度であることを特徴とす
る。
【0024】このように各パルスの偏光状態及び検光手
段等を設定することによって、効率的な測定装置の構成
とすることができる。
【0025】また、光検出部は、検出媒体の所定領域を
通過した蛍光の2次元の光像を1次元の光像に変換する
光像変換手段をさらに有し、光検出手段は一次元光検出
器を有して構成されていることを特徴とする。
【0026】シリンドリカルレンズなどを用いた光像変
換手段によって2次元光像を1次元光像に集束・変換
し、一次元光検出器によって1次元画像として検出する
ことによって、蛍光像による蛍光現象の観測をより効率
的に行うことができる。
【0027】あるいは、光検出部は、検出媒体の所定領
域を通過した蛍光の2次元の光像を1次元の光像に変換
する光像変換手段と、光像変換手段及び光検出手段の間
に設置される分光手段とをさらに有することを特徴とす
る。
【0028】観測される蛍光像を形成する蛍光成分を分
光手段によって分光し、光検出手段によって測定するこ
とによって、蛍光現象の波長依存性など、さらに様々な
情報についての観測・測定を行うことが可能となる。
【0029】また、ゲート光学系または励起光学系の少
なくとも一方は、ゲートパルスまたは励起パルスの波長
を変化させる波長変換手段を有することを特徴としても
良い。あるいは、励起光学系は、励起パルスの個々の波
形またはパルス列の構成などの時間波形を変化させる波
形変換手段を有することを特徴としても良い。波長また
は波形の変換手段を備えることによって、検出媒体中で
の光パルスの分布形状や、被測定物質での蛍光の発生条
件の変更など、様々な条件設定での観測・測定を行うこ
とができる。
【0030】また、ゲート光学系または励起光学系の少
なくとも一方は、ゲートパルスまたは励起パルスの空間
分布を変化させる空間分布変換手段を有することを特徴
とする。
【0031】さらに、空間分布変換手段は、所定形状の
スリットを有し、ゲートパルスまたは励起パルスの空間
分布をスリットによってスリット形状に構成するスリッ
ト状マスクであることを特徴とする。
【0032】ゲート光学系にスリットなどの空間分布変
換手段を設置することによって検出媒体に入射されるゲ
ートパルスの空間形状を制御することができ、これによ
って例えば測定の時間分解能の向上を実現することがで
きる。また、励起光学系に同様にスリットなどの空間分
布変換手段を設置することによっても、被測定物質に入
射される励起パルスの空間形状を制御して、パルス径を
小さくするなど時間分解能を向上させることができる。
【0033】さらに、光検出手段からの画像データの処
理を行う画像処理手段を有することによって、例えば画
像データから輝度情報を抽出して蛍光寿命を測定するな
どの画像処理や必要な演算等をリアルタイムで行うこと
が可能となり、観測・測定をより効率化できる。
【0034】また、検出媒体は、入射されるゲートパル
スの通過後に、ゲートパルスによって誘起された屈折率
変化による複屈折が1ピコ秒よりも速く消失する物質か
らなることを特徴とする。これによって、測定系の時間
分解能をフェムト秒域とすることが可能となる。
【0035】検出媒体に対するこのような条件は、構造
の簡単なものほど満たされやすい。例えば、検出媒体
は、希ガスからなることを特徴としても良い。希ガス
は、時間分解能を向上させるための検出媒体として好適
である。
【0036】また、光源部に用いられるパルス光源は、
出力される光パルスのパルス幅が1ピコ秒よりも短いパ
ルスレーザーであることを特徴とする。これによって、
上記の検出媒体の選択とともに、測定の時間分解能をフ
ェムト秒域とすることが可能となる。
【0037】さらに、光源部に用いられるパルス光源
は、出力される光パルスのピークパワーを増大させる光
増幅手段を有するパルスレーザーであることを特徴とす
る。上記したような短いパルス幅のレーザーに対する光
増幅の方法が知られており、これを利用して非常に大き
いピークパワーの光パルスを得ることにより、非線形光
学効果の小さい物質についても検出媒体として利用する
ことが可能となるなど、装置構成の自由度が大きくな
る。
【0038】また、検出媒体は、入射されるゲートパル
スによってブレークダウンが起こる物質からなり、ブレ
ークダウンによって誘起されるプラズマで蛍光の不要成
分を吸収させることが可能なように構成されたことを特
徴とする。
【0039】このような物質を検出媒体として用い、例
えば上記したような大きいピークパワーの光パルスを集
光して検出媒体に入射させると、容易に物質のブレーク
ダウンを引き起こすことができ、これを利用して測定の
時間分解能をさらに向上させることが可能となる。すな
わち、大強度のゲートパルスにより検出媒体中において
ブレークダウンを発生させ、ブレークダウンによって誘
起されるプラズマによって、検出媒体上の各位置ごとに
到達する蛍光のうち時間的に遅い不要成分を吸収させる
ことによって、光検出手段に到達する蛍光の時間幅を制
限してさらに時間分解能を向上させることができる。
【0040】また、光検出手段は、暗雑音を抑制する機
能を有する光検出器を有して構成されていることを特徴
としても良い。このような光検出器としては、例えば冷
却CCDカメラを挙げることができ、暗雑音が抑制され
た光検出器を用いることによって、検出・観測の効率を
向上させて、例えば微弱な蛍光などについてもその観測
・測定が可能となる。
【0041】また、検出媒体において、ゲートパルスを
長くフィラメント状に伝搬させるように構成されたこと
を特徴としても良い。
【0042】ゲートパルスによる蛍光像の生成におい
て、検出媒体に誘起される複屈折の分布形状が各時刻で
ほぼ同じとなる測定条件であれば、画像処理による校正
・補正等も不要になる。さらに、その分布が細いほど系
の空間的または時間的な分解能が向上され、また、信号
の時間軸方向の一様性が向上されて測定の精度が高めら
れる。
【0043】このような条件を実現するためには、例え
ば上記のように検出媒体中のできるだけ長い距離の間に
わたって、ゲートパルスをその集束状態・分布形状がほ
ぼ一定となる一本のフィラメント状に伝搬させると良
い。これは、例えばゲート光学系の入射光学系等の構成
によって設定することが可能である。
【0044】また、励起パルスの被測定物質への入射軸
と、蛍光の被測定物質からの出射軸とが略同一軸上にあ
ることを特徴とする。
【0045】このように軸を設定した場合、被測定物質
に入射される励起パルス断面の広がりの方向が蛍光の出
射軸と垂直な方向となるので、励起パルスの空間的広が
りの各部分から発生する蛍光間での検出媒体までの光路
長の違いとそれによる時間差を抑制することができる。
このとき、被測定物質を通過した励起パルスも蛍光と同
様に検出媒体・光検出部の方向へと導光されるが、この
励起パルス自体をも検出することによって、蛍光測定の
時間の原点を容易に決定することが可能となる。
【0046】さらに、蛍光光学系または光検出部の少な
くとも一方は、励起パルスに用いた波長の光を一部また
は全部除去するフィルターを備えることを特徴とする。
【0047】上記のように励起パルスの入射軸と蛍光の
出射軸とを略同一軸とした場合などにおいて、励起パル
スの検出が不要である場合、または励起パルスの強度が
強すぎて蛍光の測定精度上問題となる場合には、その波
長成分の光を除くフィルターを挿入することによって、
励起パルスの強度を調整またはその光成分を除去するこ
とが可能である。
【0048】また、励起光学系は、被測定物質に入射す
る励起パルスの断面を小さくさせる励起パルス集光手段
を備えることを特徴としても良い。このように被測定物
質に焦点を合わせて励起パルスを導光することによっ
て、被測定物質において蛍光が発生する領域範囲を小さ
くして、蛍光の光路長差をさらに低減して測定の時間分
解能を向上させることができる。
【0049】あるいは、蛍光光学系は、被測定物質から
の蛍光を検出媒体へと効率的に導光する蛍光集光手段を
備えることを特徴としても良い。これによって、蛍光測
定の感度を向上させることができる。また、蛍光の光路
・ビーム広がりなどを適当なものに設定することがで
き、したがって蛍光の光路長差をさらに低減することが
できる。例えば、蛍光の発生領域が点光源と見なせる場
合には、蛍光集光手段によって平行光に変換して蛍光の
波面をそろえ、同時刻に発生した蛍光が検出媒体内のゲ
ートパルスの伝搬軸に沿った位置にも同時刻に到達する
ように構成することが可能である。
【0050】上記したそれぞれの集光手段としては、例
えばレンズ、軸外し放物面鏡、または凹面鏡等を用いる
ことができる。特に、励起パルス集光手段または蛍光集
光手段は、収差が低減されるように形成された集光光学
系を用いて構成されることが好ましい。収差を低減した
ような特殊な設計を行った光学部品などの集光光学系を
用いることによって、測定精度・時間分解能の低下を防
ぐことができる。例えば、蛍光は一般に広いスペクトル
成分を有しているので、蛍光集光手段として色収差の小
さいものを用いることによって、時間分解能の低下が防
止される。
【0051】また、このような装置は、動熱力学の観測
または制御に適用することが可能である。
【0052】
【発明の実施の形態】以下、図面と共に本発明による蛍
光寿命測定装置の好適な実施形態について詳細に説明す
る。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号
を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比
率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0053】図1は、本発明に係る蛍光寿命測定装置の
第1の実施形態を示すブロック図である。本実施形態に
おける蛍光寿命測定装置は、光源部1、ゲート光学系
2、励起光学系3、蛍光光学系5、検出媒体6、及び光
検出部7とから構成されている。
【0054】光源部1は、光パルスを生成・出射する超
短パルス光源11と、光分岐器12とを有して構成され
る。超短パルス光源11から出射された光パルスは、光
分岐器12によって、ゲート光学系2へと導光される第
1の光束と励起光学系3へと導光される第2の光束とに
分岐される。
【0055】光源部1から出力された第1の光束及び第
2の光束は、それぞれゲートパルス及び励起パルスとさ
れて、検出媒体6及び被測定物質4へとそれぞれ導かれ
る。
【0056】ゲート光学系2は、光源部1からの第1の
光束に基づいてゲートパルスを形成し、所定の入射軸か
ら検出媒体6に入射する。このゲート光学系2は、ゲー
ト光学系2と励起光学系3及び蛍光光学系5との遅延時
間差を設定・変更するための可変光遅延器21と、ゲー
トパルスを所定の偏光状態とするための波長板23及び
偏光子24からなるゲートパルス偏光手段22と、ゲー
トパルスを検出媒体6へと所定の入射条件によって入射
させる入射光学系25とを有して構成されている。
【0057】一方、励起光学系3は、光源部1からの第
2の光束に基づいて励起パルスを形成し、所定の入射軸
から被測定物体4に入射する。この励起パルスによって
被測定物質4に発生した本装置による時間変化測定の対
象となる蛍光は、所定の照射軸から蛍光光学系5により
検出媒体6へと照射される。この蛍光光学系5は、蛍光
を所定の偏光状態とするための偏光子54からなる蛍光
偏光手段52を有して構成されている。
【0058】以上の構成において、ゲートパルスはゲー
ト光学系2を介して検出媒体6に例えば集束して入射さ
れる。このとき、集光されたゲートパルスは検出媒体6
中の所定領域で大強度・高密度の光束を形成し、そのパ
ルス位置において、光カー効果等の非線形光学効果によ
り検出媒体6中の屈折率の変化が誘起される。このよう
な屈折率変化を生じた複屈折を示す領域はゲートパルス
の光が分布している空間領域に相当するものであって、
以下これを光飛跡領域と呼ぶ。この光飛跡領域の位置
は、光飛跡領域を形成するゲートパルスのパルス位置の
移動・進行によって、各時刻において異なる位置とな
る。すなわち、光飛跡領域の位置情報は時間情報と対応
している。
【0059】ここで、光飛跡領域を含む検出媒体6の所
定領域に被測定物質4からの蛍光を蛍光光学系5を介し
て照射すると、光飛跡領域内における屈折率の異方性
(複屈折性)によって、各時刻において光飛跡領域を通
過した蛍光成分のみ検出媒体6のその他の領域を通過し
た蛍光成分に対してその偏光状態が変化する。この変化
した光成分を光検出部7を用いて観測することにより、
光飛跡領域によって生成された蛍光像が測定される。
【0060】この光飛跡領域はゲートパルスの移動に伴
ってその検出媒体6中でのパルス位置が時間とともに移
動していくので、上記した蛍光像は検出媒体6を通過し
た時刻によって異なる位置となる。このように各時刻に
おいて異なる位置に現れる蛍光像から形成されて観測さ
れる全体の蛍光像と、その強度等の分布・位置変化を観
測することによって、被測定物質4において発生した蛍
光の時間変化を観測・測定することができ、これによっ
て蛍光寿命などの測定が可能となる。
【0061】光検出部7は、検出媒体6の所定領域を通
過した蛍光のうち所定の偏光成分のみを透過させる検光
子71と、検光子71を透過した蛍光成分を結像させて
観測される蛍光像を生成する結像レンズ72と、結像し
た蛍光の光像を観測するための光検出手段であるカメラ
73とを有して構成されている。これによって、光飛跡
領域を通過した蛍光成分を検光子71によって選択的に
透過し、カメラ73によってこの蛍光成分を観測・撮像
して、得られた蛍光像から蛍光の時間変化を測定する。
【0062】なお、上記した実施形態においては、ゲー
トパルス偏光手段22は波長板23及び偏光子24か
ら、また、蛍光偏光手段52は偏光子54から構成され
ているが、これは偏光手段22、52の構成の一例を示
したものであって、ゲート光学系2及び蛍光光学系5に
入力される光束及び蛍光の偏光状態と、設定するゲート
パルス及び蛍光の偏光状態によって、それぞれその他の
構成、例えば波長板のみからなる構成等、を用いること
ができる。
【0063】また、ゲート光学系2における入射光学系
として、ゲートパルスを集束して検出媒体6に入射させ
る入射光学系25を用いているが、ゲートパルスの強度
や検出媒体6として用いる物質の選択等の測定条件によ
って、集束を行わない光学系を入射光学系として用いて
も良い。
【0064】また、例えば励起パルスの被測定物質4へ
の入射軸と、蛍光の検出媒体6への照射軸とが略同一軸
上にあるときなど、測定上必要な場合には、蛍光光学系
に干渉フィルターやミラー等からなる励起パルス除外手
段をさらに設けても良い。
【0065】図2は、図1に示した実施形態による蛍光
寿命測定装置について、具体的な構成とともに示す一実
施例である。
【0066】本実施例においては、波長800nm、パ
ルス幅100fs、パルス当たりのエネルギーが7mJ
のチタン・サファイアレーザーを超短パルス光源11と
して用い、このパルス光源11からの光パルスは、例え
ばハーフミラーなどからなる光分岐器12によって第1
の光束l1及び第2の光束l2に分岐される。ここで、こ
の光パルスは、図2中において紙面、すなわち後述する
ゲートパルスの検出媒体6への入射軸、励起パルスの被
測定物質4への入射軸、及び被測定物質4からの蛍光の
検出媒体6への照射軸を含む平面(以下、検出平面とい
う)、に対して水平な方向の直線偏光を有している。な
お、必要があれば、パルス光源11と光分岐器12との
間に波長板などを設置しても良い。この場合、光分岐器
12として例えばプリズム型の偏光ビームスプリッター
を用いることが可能である。
【0067】第1の光束l1は、ゲート光学系によって
ゲートパルスlgとされて検出媒体6へと導かれ、一
方、第2の光束l2は、励起光学系によって励起パルス
eとされて被測定物質4へと導かれ、さらに、励起パ
ルスleの入射による励起によって被測定物質4中に発
生して放出された蛍光lpは、蛍光光学系によって検出
媒体6へと導かれる。
【0068】ゲートパルスlgと蛍光lpとの検出媒体6
への入射・照射のタイミングは、ゲート光学系における
可変光遅延器21と、蛍光lpを発生させるための励起
パルスleを導く励起光学系における光路部分30とに
よって調整・設定または変更される。
【0069】励起光学系の光路部分30は、装置の構成
時に設定され固定されるものであって、遅延時間が固定
された光遅延器としての機能を有し、ゲート光学系に対
する光路長差とそれによる遅延時間差の初期条件を調整
・設定するために用いられる。一方、ゲート光学系の可
変光遅延器21は、可動直角ミラー21aを有して構成
されており、この可動直角ミラー21aを移動させるこ
とによって光路長を変化させて、励起光学系に対する光
路長差とそれによる遅延時間差を変更・設定することが
可能なように構成されている。
【0070】ゲートパルスlgと蛍光lpとのそれぞれの
偏光状態は、ゲート光学系におけるゲートパルス偏光手
段である波長板23及び偏光子24と、蛍光光学系にお
ける蛍光偏光手段である偏光子54とによってそれぞれ
設定される。
【0071】ゲートパルス偏光手段の波長板23は本実
施形態においては1/2波長板であり、可変光遅延器2
1を通過した第1の光束l1は、1/2波長板23によ
ってその直線偏光の方向が90度回転されて検出平面に
対して垂直な直線偏光を有するように変換され、さらに
垂直な直線偏光を有する成分のみを透過する偏光子24
を通過する。これによって、検出平面に対して垂直な直
線偏光を有するゲートパルスlgが得られる。なお、こ
の偏光子24は垂直な直線偏光を有する成分をより確実
に選択するためのものであって、設置しない構成とする
ことも可能である。
【0072】一方、励起パルスleによって被測定物質
4で生成された蛍光lpは、検出平面に対して45度傾
いた直線偏光を有する成分のみを透過する偏光子54を
通過する。これによって、検出平面に対して45度傾い
た直線偏光を有する蛍光lpが得られる。
【0073】上記のようにして得られたゲートパルスl
g及び蛍光lpは、それぞれ所定の入射軸及び照射軸によ
って検出媒体6に入射及び照射される。検出媒体6とし
ては、常温・一気圧の空気を用いる。ただし、図2に示
した実施例においては装置全体が空気雰囲気中に設置さ
れているので、その空気のうち所定の領域にある部分を
そのまま検出媒体6として用いている。
【0074】ゲート光学系からのゲートパルスlgは、
焦点距離200mmの平凸レンズである集束レンズ25
aを通って、所定の入射軸によって空気である検出媒体
6に集光されつつ入射される。このとき、検出媒体6内
にゲートパルスlgと空気との相互作用によって、光カ
ー効果等の非線形光学効果を生じた光飛跡領域が生成さ
れる。この光飛跡領域内では検出媒体6の屈折率が変化
し、特にその屈折率に蛍光lpの照射軸に垂直な面内で
の異方性(複屈折性)を生じる。
【0075】この光飛跡領域を含む検出媒体6の所定領
域に対して、蛍光光学系からの蛍光lpが、ゲートパル
スlgの入射軸に対して垂直な軸を照射軸として照射さ
れる。この蛍光lpのうち、検出媒体6を透過した成分
である透過蛍光lp’が光検出部によって検出される。
【0076】透過蛍光lp’は、対物レンズ74を介し
て検光子71に入射する。この検光子71は、透過蛍光
p’のうち、検出媒体6に照射された蛍光lpの直線偏
光に対して直交した直線偏光成分のみを透過するように
構成されている。したがって、検出媒体6の非線形光学
効果による屈折率の異方性を生じていない領域を透過し
た透過蛍光lp’の成分は検光子71を透過せず、光飛
跡領域を通過して光飛跡領域内の屈折率の異方性によっ
てその偏光状態が変化を受けた透過蛍光lp’の成分の
みが検光子71を透過する。
【0077】すなわち、検光子71を通過した透過蛍光
p’の成分による蛍光像の各位置は、非線形光学効果
による屈折率変化が誘起された光飛跡領域の蛍光lp
検出媒体6通過時における位置に対応している。また、
この光飛跡領域の位置は、ゲートパルスの移動・進行に
したがって時間とともに移動・変化する。したがって得
られた蛍光像の各位置は各時刻に対応し、蛍光像とその
位置変化(位置依存性)は全体としてみれば蛍光lp
その時間変化(時間依存性)に対応している。
【0078】検光子71を通過した透過蛍光lp’の成
分による蛍光像は、結像レンズ72によってCCDカメ
ラ73上に結像されて撮像され、これによって、ゲート
パルスlgの移動とともに蛍光lpの時間変化が蛍光像と
して観測・測定される。なお、本実施例においては、対
物レンズ74は倍率10倍のものを用い、CCDカメラ
73のカメラレンズの焦点を無限大として測定を行って
いる。
【0079】また、CCDカメラ73は横640×縦4
80画素を有して8ビットの強度情報が得られるものを
使用し、走査線の影響を低減するために、CCDカメラ
73は検出平面に対して90度傾けて画素構造の縦方向
がゲートパルスlgの検出媒体6中での伝搬方向(入射
軸方向)と一致するように設置した。この条件におい
て、CCDカメラ73の画素間隔に対応する観測面上の
距離は4.8μmであり、これはすなわち16fs/画
素の時間スケールに対応する。
【0080】また、図2に示した測定装置においては、
ゲートパルスlgが検出媒体6内の非常に小さい領域内
に集光されるので、これに伴って空気がブレークダウン
を起こし空気プラズマが生成されて、プラズマ発光が起
こる。このプラズマ発光は広帯域のスペクトル成分を有
する白色光である。この発光の影響を除去するため、検
光子71及び結像レンズ72の間に蛍光lpのうち測定
の対象としていない(興味のない)スペクトル成分を除
くための適当な波長に対応した干渉フィルター75を設
置している。
【0081】一方、上記した測定対象となるスペクトル
成分については、蛍光寿命の測定前に、蛍光lpを照射
せず他の条件を観測時の条件と同一とした測定を行い、
この測定結果の画像データを蛍光観測時の測定結果の画
像データから減算することによって、透過蛍光lp’に
よる蛍光像の選択的な観測・撮像を行った。ただし、ゲ
ートパルスlgがプラズマ発光を伴わない条件によって
測定を行うこともできるが、その場合には、上記したよ
うな画像データの減算処理は行わなくても良い。また、
蛍光lpのうちの測定対象とするスペクトル成分につい
ては、干渉フィルター75の変更等によってその設定を
変更することが可能である。
【0082】また、ゲートパルスlgのパルス当たりの
エネルギーは、各光学要素における損失等によって、集
束レンズ25aの直前において3.5mJであった。な
お、図2に示した実施例による蛍光寿命測定装置によっ
て蛍光lpの時間変化の測定を実際に行ったが、この観
測においては、さらにNDフィルターによってゲートパ
ルスlgを減光して、パルス当たり1.0mJとして観
測を行った。
【0083】以下に、本発明に係る蛍光寿命測定装置に
よる効果を、上記した実施例による装置構成及び観測条
件によって行った観測の結果とともに説明する。本蛍光
寿命測定装置においては、光源として超短パルス光を出
力可能な超短パルスレーザーをパルス光源11として用
い、その超短パルスの光束を光分岐器12によって分岐
させて蛍光lpの観測・測定に用いるゲートパルスl
gと、蛍光lpの励起・生成に用いる励起パルスleとを
形成している。
【0084】このように非常に短い光パルスの時間幅を
有する超短パルスを用いることによって、蛍光像の位置
変化と蛍光の時間変化とを高精度で対応させて、観測さ
れる蛍光像による高時間分解能での蛍光の時間変化の測
定が可能となり、その蛍光寿命を高い精度で決定するこ
とができる。また、その超短パルスを分岐させて用いる
ことによって、ゲートパルスlg及び励起パルスleによ
って生成された蛍光l pの検出媒体6への入射・照射の
タイミングの正確な同期が実現できる。
【0085】特に、上記した実施例での超短パルスのパ
ルス幅100fsのように充分に短い時間幅の光パルス
を用いることによって、ゲートパルスlgの特定の時間
における光の空間分布にほぼ対応した光飛跡・分布の像
を、2次元画像として直接的に観測することがはじめて
可能となる。したがって、ゲートパルスlgの移動に伴
って生成され移動していく蛍光lpの像によって形成さ
れる蛍光像においては、ゲートパルスlgとして用いた
光パルスの時間幅にほぼ相当する高い時間分解能で、蛍
光lpの時間変化についての測定を行うことができる。
【0086】さらに、上記した実施形態においては、ゲ
ート光学系2は可変光遅延器21を備えており、これに
よってゲートパルスlg及び蛍光lpの入射・照射の相互
のタイミングを変更することができる。このとき、この
タイミングの変化は蛍光lpが照射されるときのゲート
パルスlgの入射軸方向への位置の変化となり、したが
って、相互のタイミングを適宜変化させることによっ
て、蛍光lpの時間変化に対して観測・測定したい時間
領域の蛍光像部分を測定視野中として、順次必要な情報
を得ることができる。
【0087】図3に、このようにしてゲートパルスlg
による蛍光像によって観測された蛍光lpの時間変化を
模式的に示す。横軸は、蛍光lpの到達時間・時刻を表
す。一方、縦軸は、蛍光lpの各時刻における強度を表
している。ここで図3は、CCDカメラ73によって得
られた2次元画像のうち、ゲートパルスlgの入射軸に
垂直な方向についての画像データを加算して、ゲートパ
ルスlgの入射軸(測定の時間軸に相当)方向、すなわ
ちゲートパルスlgの伝搬方向についての1次元画像
(以下、これを演算画像とよぶ)に変換し、各測定点で
の強度を表示することによって得られる。
【0088】また、図3の横軸に示した蛍光lpの到達
時間については、上記演算画像の各測定位置を、その位
置にゲートパルスlgが到達する時間に対応させること
によって、ゲートパルスlgによる蛍光像の各位置を蛍
光現象の各時刻に変換して得られる。
【0089】図3より、本発明による蛍光寿命測定装置
によって、被測定物質4から発せられる蛍光の時間変化
の様子が高時間分解能で明確に観測されていることがわ
かる。この図を、例えば指数関数でフィッティングする
ことによって、測定対象としている蛍光の寿命を算出す
ることが可能となる。
【0090】また、検出媒体6におけるゲートパルスl
gの伝搬・移動については、ゲートパルスlgを長い距離
にわたってフィラメント状に伝搬させることによって、
空間分解能及び時間分解能をさらに向上させ、かつ、信
号の時間軸方向の一様性を向上させることができる。上
記した実施例においては、ゲートパルスlgの検出媒体
6への入射光学系として、焦点距離200mmの長焦点
距離の平凸レンズである集束レンズ25aを用いてい
る。
【0091】これによって、観測される光飛跡領域(光
分布)におけるゲートパルスlgのビーム径が小さく、
かつビーム径の大きな変化がない条件でのフィラメント
状の状態の伝搬が実現される。このとき、蛍光lpとの
相互作用時間が短く、かつ光励起密度が均一となるの
で、前記した演算画像による蛍光lpの観測・測定はそ
の時間分解能がより向上され、また、測定結果に対する
画像処理による校正や補正等が不要になるなど測定の信
頼性が向上される。なお、上記した集束レンズ25aの
焦点距離については、さらに長焦点の凸レンズを用いて
さらに測定精度を向上させる構成としても良い。
【0092】なお、上記した相互のタイミングを変更す
る手段である可変光遅延器21については、ゲート光学
系2ではなく励起光学系3に設置する構成、または両光
学系2、3に設置する構成としても良い。また、特定の
タイミングでの蛍光及びその時間変化の観測のみを行
い、時間原点を調整・変更等する必要がない場合には、
可変光遅延器などのタイミング調整手段を有しない構成
としても良い。
【0093】また、ゲートパルスlgの集束状態などの
測定条件の調整・変更については、例えば図2に示す実
施例において、入射光学系である集束レンズ25aを光
軸方向に可動な構成の可動光学系とすることによっても
実現することができ、さらに測定の信頼性を向上させる
ことができる。
【0094】検出媒体6については、図2に示した実施
例では空気を用いているが、それ以外の非線形光学効果
を生じ得る物質を検出媒体6として用いても良い。特
に、検出媒体6としては気体または液体からなる物質を
用いることが好ましい。この場合、気体または液体の非
線形光学効果の応答速度は固体の場合に比べて一般に高
速であり、したがって、より高時間分解能での観測が可
能となる。例えば、検出媒体としてはCS2(常温で液
体)を用いることができ、この場合、空気の場合よりも
応答時間は遅いが、ゲートパルスの強度を小さくして観
測を行うことができる。
【0095】また、検出媒体6として、ゲートパルスの
通過後に誘起された屈折率変化による複屈折が1ピコ秒
よりも速く消失する物質を用いることが好ましい。これ
によって、測定の時間分解能をフェムト秒域とすること
が可能となる。このような条件は構造が簡単なものほど
満たされやすく、例えば希ガスは、時間分解能を向上さ
せるための検出媒体6として好適である。
【0096】なお、検出媒体に用いる物質として好まし
い条件としては、(1)入射する光パルスの波長に対し
て充分な透過率があること、(2)ゲートパルスの検出
平面に垂直な偏光成分に対して非線形光学効果が大きく
高速応答すること、(3)蛍光の偏光状態を乱さないこ
と、(4)入射光のパルス幅を大きく変えるような分散
を持たないこと、(5)入射光の光エネルギーに対して
充分な耐性があること、などがある。
【0097】検出媒体の設置方法としては、図2の実施
例では装置全体が検出媒体となる空気中に設置された構
成とされているが、このような設置方法以外にも様々な
方法が考えられる。例えば、ゲートパルスlg及び蛍光
pが入射・照射される所定の領域と、それ以外の装置
の一部とを含む領域に対して囲いを設置し、その囲いの
内部を検出媒体によって満たすという方法がある。囲い
を設置する領域としては、例えば図2に点線によって示
した領域60aまたは60bなどが可能であり、また、
これ以外の領域に設定することもできる。この場合、囲
いのうち少なくとも光パルスの入射・照射または出射が
行われる部位を構成するための材質は、上記した検出媒
体についての好ましい条件を同様に満たすものを用いる
ことが望ましい。
【0098】この場合の囲いについては、図4に囲い6
0としてその一例を示すように、入射光の入射・照射ま
たは出射が行われる部位以外は、背景光の影響を低減す
るため黒色などに塗装すること(図4中の斜線部分)が
望ましい。また、入射光の入射・照射または出射が行わ
れる部位は、例えば両面に反射防止膜が施された石英ガ
ラスなどからなる窓状に形成する。
【0099】図4においては、図2に示す領域60bの
ように囲いが光検出部をすべてその内部に含む場合に用
いられる囲い60を示し、ゲートパルス入射面61に形
成された入射窓61aが示されている。また、蛍光照射
面63についても同様に照射窓(図示していない)が形
成されている。なお、図2に示す領域60aのように光
検出部の一部が囲い60の外部に設置される場合には、
さらに蛍光出射面64に出射窓を設ける必要がある。ま
た、ゲートパルス出射面62についても、必要があれば
出射窓を有する構成としても良い。また、囲いを設置す
る領域が小さい場合など、観測中における検出媒体の変
性が問題となるときには、ポンプ等を接続して検出媒体
を循環させる構成とすることが望ましい。
【0100】検出媒体が気体であれば、光パルスの入射
・照射または出射が行われる部位について、窓ではなく
開口部とすることも可能である。この場合、開口部から
放出されてしまう検出媒体である気体を、ボンベからホ
ース等を介して囲いの内部に連続的に供給することが必
要である。
【0101】また、無害の気体を検出媒体とする場合に
おいて、囲いを用いずに、ボンベ等に接続されたホース
の出力口を検出媒体の領域近傍の所定の位置とし、気体
をその領域に噴射することによって供給して、検出媒体
として用いることも可能である。この場合、気体の純度
という点ではやや劣るが、実行が容易であって装置が簡
単化するとともに、窓材による光の吸収・反射等の問題
が生じない、という利点がある。
【0102】さらに、検出媒体の領域に、検出媒体とな
る気体または液体を充填したセルを設置して検出媒体と
する方法がある。この方法は、特に液体や、有毒ガス等
の取り扱いが困難な気体を用いる場合に適している。ま
た、用いる検出媒体の分量を少なくすることができる。
この場合、セルを構成するための容器は、囲いの場合と
同様に、上記した検出媒体についての好ましい条件を同
様に満たすものを用いることが望ましい。
【0103】このとき、入射光の偏光方向が確定してい
ることに対応して、図5にセル65として(a)上面図
及び(b)側面図を示すように、ゲートパルス入射面6
6あるいはゲートパルス出射面67を、その法線(図5
(b)中に点線で示す)が光軸に対してブルースター角
θbとなるように形成することによって、ゲートパルス
入射面66については反射を抑制させ透過率を増加させ
ることができ、また、ゲートパルス出射面67について
はセルの出射端面で反射して検出媒体内に戻る光を抑制
して測定の精度を向上させることができる。これは、検
出媒体中における泡の発生が問題となる液体を用いた場
合に、反射光が泡で散乱することを防ぐことができるの
で特に有効である。
【0104】なお、ゲートパルスlgの入射・出射面に
対して上記のようにブルースター角を用いるときには、
特に液体を検出媒体として用いた場合、空気と屈折率が
大きく異なるので、ゲートパルスlgの進行方向が変化
することを考慮してその光路を設定する必要がある。
【0105】また、蛍光lpの照射・出射面について
は、反射防止膜が施されていることが望ましい。また、
蛍光lpの偏光状態に影響を与えない範囲において、図
6(a)及び(b)にそれぞれ上面図によってその例を
示すように、光の反射を抑制する目的で蛍光照射面6
8、蛍光出射面69を水平方向等について斜めに形成し
て、セルが上面からみて台形状(例えば図6(a)の形
状)または平行四辺形状(例えば図6(b)の形状)な
どになるようにしても良い。この場合にも同様に、光パ
ルスの進行方向の変化を考慮して光路を設定する。
【0106】このようにセルを用いた場合、検出媒体で
ある気体または液体を適宜交換または循環等できるよう
に上部等に2つのコックを設置しておくと良い。また、
特に検出媒体を気体としたときにその純度を高める方法
として、最初に一方のコックからセル内を真空引きし、
そのコックを閉じた後、他方のコックから気体を充填す
る方法を用いることができる。なお、セルの形状につい
ては、上記したものに限らず、光パルスのエネルギー、
偏光状態、光路等の諸条件に応じて、様々な形状・構成
とすることができる。
【0107】パルス光源11については、出力される光
パルスのパルス幅が1ピコ秒よりも短いパルスレーザー
であることが好ましい。これによって、上記した希ガス
などの高時間分解能測定が可能な検出媒体の選択ととも
に、測定の時間分解能をフェムト秒域とすることが可能
となる。さらに、出力される光パルスのピークパワーを
増大させる光増幅手段を有するパルスレーザーを用いる
ことが好ましい。短いパルス幅のレーザーに対して光増
幅の方法が知られており、これを利用して非常に大きい
ピークパワーの光パルスを得ることにより、非線形光学
効果の小さい物質についても検出媒体として利用するこ
とが可能となるなど、装置構成の自由度が大きくなる。
【0108】また、入射されるゲートパルスによってブ
レークダウンが起こる物質を検出媒体として用い、例え
ば上記したような大きいピークパワーの光パルスを集光
して検出媒体に入射させると、容易に物質のブレークダ
ウンを引き起こすことができ、これを利用して測定の時
間分解能をさらに向上させることが可能となる。すなわ
ち、大強度のゲートパルスにより検出媒体中においてブ
レークダウンを発生させ、ブレークダウンによって誘起
されるプラズマによって、検出媒体上の各位置ごとに到
達する蛍光のうち時間的に遅い不要成分を吸収させるこ
とによって、光検出手段に到達する蛍光の時間幅を制限
してさらに時間分解能を向上させることができる。
【0109】また、カメラ73などの光検出手段として
は、例えば冷却CCDカメラなど、暗雑音を抑制する機
能を有するものを用いることによって、さらに検出・観
測の効率と測定精度を向上させて、例えば微弱な蛍光な
どについてもその観測・測定が可能となる。
【0110】図7は、本発明に係る蛍光寿命測定装置の
第2の実施形態を示すブロック図である。本実施形態に
おける蛍光寿命測定装置は、光源部1、ゲート光学系
2、励起光学系3、及び検出媒体6については第1の実
施形態と同様である。一方、蛍光光学系5においては、
偏光子54に加えて被測定物質4のすぐ後段にレンズ5
1をさらに設置している。これによって、被測定物質4
で発生した蛍光を効率的に集めて、その測定が行われる
検出媒体6内の光飛跡領域に導くことが可能となる。こ
こで、時間分解能の低下を防止するためには、収差が充
分に小さくなるように光学系を設計することが必要であ
る。
【0111】また、光検出部7については、検光子71
及び結像レンズ72の後段に、透過蛍光の2次元の光像
を1次元の光像に変換する光像変換手段であるシリンド
リカルレンズ76と、シリンドリカルレンズ76によっ
て生成された1次元の光像を検出するための一次元光検
出器77とが設置されている。特に、このシリンドリカ
ルレンズ76を、励起パルスの入射軸に垂直な方向につ
いて一次元光検出器77上に透過蛍光を集束して1次元
光像を形成するように設置することによって、図3に示
したような蛍光の時間変化についての情報をより効率的
に得ることが可能となる。
【0112】図8は、本発明に係る蛍光寿命測定装置の
第3の実施形態を示すブロック図である。本実施形態に
おける蛍光寿命測定装置は、光源部1、ゲート光学系
2、励起光学系3、蛍光光学系5、及び検出媒体6につ
いては第1の実施形態と同様である。一方、光検出部7
については、第2の実施形態と同様に光像変換手段とし
てシリンドリカルレンズ76が用いられ、このシリンド
リカルレンズ76の後段に、分光器78が設置されて、
シリンドリカルレンズ76によって生成された1次元光
像を分光器78の入射スリットに入射して分光し、分光
器78の出力結像位置とカメラ73の受光面とを一致さ
せて、分光器78からの2次元の出力像をカメラ73で
観測する。
【0113】このように分光を伴って測定を行うことに
よって、蛍光の各波長成分(スペクトル成分)について
その時間変化の情報を得ることが可能となる。このよう
な構成を用いて得られる測定結果である観測像の一例を
図9に示す。横軸は各スペクトル成分に対応する波長で
あり、上記した分光によって得られるものである。ま
た、縦軸は図3に示したグラフの横軸と同様の位置・時
間変換によって得られた蛍光の到達時間を表す。
【0114】このような2次元の測定結果により、蛍光
の各スペクトル成分に対する時間変化の情報を取得する
ことができる。例えば、図9に示した2次元強度分布を
一定の波長について切り出して縦軸である時間(時間軸
方向の位置に対応)についての1次元の強度分布を作成
することによって、図3に示したような特定のスペクト
ル成分についての強度分布をそれぞれのスペクトル成分
に対して得ることができる。なお、測定精度を向上する
ために、あらかじめ蛍光のスペクトルを取得しておい
て、得られた観測像にフィルターをかけるなどすること
が好ましい。
【0115】図10は、本発明に係る蛍光寿命測定装置
の第4の実施形態を示すブロック図である。本実施形態
における蛍光寿命測定装置は、その装置構成については
第1の実施形態と同様であるが、装置各部の制御や画像
データについての演算等を行う制御部8がさらに設置さ
れている。この制御部8は、画像処理装置81、制御装
置82、及び表示装置83を有して構成されている。
【0116】画像処理装置81はCCDカメラ73に接
続されており、この画像処理装置81によってCCDカ
メラ73で撮像された観測像の整理や解析・必要な演算
等が行われる。例えば、図2に示した実施例について上
記した蛍光の照射時・非照射時の画像データの減算や、
図3に示した図の生成などは、CCDカメラ73によっ
て画像データを取得した後、解析を行うことによって得
ることができるが、図10に示すようにCCDカメラ7
3を画像処理装置81に接続することによって、観測・
測定時にリアルタイムで上記したような画像処理を行う
ことが可能である。
【0117】この画像処理装置81はさらに装置全体を
制御するための制御装置82に接続されている。この制
御装置82は、画像処理装置81を介した画像データ等
の取得、得られたデータの表示装置83による表示等を
行う。また、制御装置82は可変光遅延器21に接続さ
れており、遅延時間を観測と相関させて制御することが
できる。また、必要があればパルス光源11等にさらに
接続される構成としても良い。
【0118】また、観測を行った結果によれば、図2に
示した装置においては、透過蛍光の強度はゲートパルス
の強度の2乗にほぼ比例し、主に検出媒体6中に生じる
光カー効果によって観測が可能になっていることがわか
った。このとき、得られた観測像の画像データは、ゲー
トパルスの各時刻での強度の2乗分布に対応している。
したがって、上記した画像処理装置81において各画素
の画像データの強度についてそれぞれ平方根をとるか、
またはさらにarcsinなどの演算を行って観測像と
することによって、より正確に光パルスの強度の空間分
布が反映された観測像を得ることができる。
【0119】図11は、本発明に係る蛍光寿命測定装置
の第5の実施形態を示すブロック図であり、ここでは光
源部1に単一のパルス光源を用いるのではなく、蛍光測
定のためのゲートパルス、及び蛍光生成のための励起パ
ルスに対してそれぞれ別のゲートパルス光源11a及び
励起パルス光源11bを用いている。
【0120】ゲートパルスに対する励起パルスと励起パ
ルスによって生成される蛍光のタイミングは、可変光遅
延器21に加えてタイミング制御回路15によって制御
されている。タイミング制御回路15は、トリガー回路
16及び遅延回路17を有して構成されており、これに
よって両パルスを同期させるとともに、遅延時間差の設
定・変更を行うことができる。この場合、ゲート光学系
2及び励起光学系3がともに可変光遅延器を有しない構
成としても良い。また、このように2つの光源を用いた
場合、ゲートパルス及び励起パルスのパルス幅や波長を
異なるものとすることができ、例えばそれらの選択によ
ってさらに時間分解能の向上等を実現することが可能と
なる。
【0121】図12は、本発明に係る蛍光寿命測定装置
の第6の実施形態を示すブロック図である。本実施形態
における蛍光寿命測定装置は、光源部1、ゲート光学系
2、蛍光光学系5、及び検出媒体6については第1の実
施形態と同様である。一方、励起光学系3については、
被測定物質4に入射される励起パルスの入射軸の方向
が、被測定物質4から蛍光光学系5・検出媒体6へと出
射される蛍光の出射軸の方向と略同一軸上になるように
構成されている。
【0122】例えば図1、図2に示した実施形態のよう
に、励起パルスの入射軸と蛍光の出射軸とが略直交する
など異なる軸上にある場合には、被測定物質4を通過し
た励起パルスを蛍光の出射軸上から除くことができる
が、励起パルスのビーム断面形状に対応して被測定物質
4内に形成される蛍光発生領域の断面形状が蛍光の出射
軸方向に広がりをもってしまうため、各部位において発
生した蛍光の検出媒体6への導光で光路長差を生じる。
【0123】これに対して、本実施形態のように励起パ
ルスの入射軸と蛍光の出射軸とを略同一軸とすることに
よって、励起パルスのビーム断面方向が蛍光の出射軸と
垂直な方向となるので、それによる光路長差が低減され
る。このとき、被測定物質4内の蛍光発生領域の各部位
から検出媒体6への蛍光の導光時間差が小さくなるの
で、測定の時間分解能を向上させることができる。
【0124】このような構成とした場合には、被測定物
質4を通過した励起パルス成分についても蛍光の出射軸
方向に導光されるが、このような励起パルス自体をも検
出することによって、蛍光測定の時間の原点を容易に決
定することができる。ただし、一般には、励起パルスは
測定対象である蛍光に比べて強く、これが光検出器に入
射することによって蛍光の測定効率を低下させてしまう
場合がある。
【0125】このような問題に対して、本実施形態にお
いては、図12に示すように光検出部7の検光子71の
後段にフィルター79を挿入・設置している。このフィ
ルター79は、励起パルスに用いた波長成分の光をカッ
トするものであり、このようなフィルター79として
は、例えば通常の色ガラスフィルターなどを用いること
ができ、また、より効率的に励起パルスのみをカットす
るものとして、ノッチフィルターなどを用いることが可
能である。
【0126】励起パルスのフィルター79によるカット
・除去はその全部であっても一部であっても良い。例え
ば、上記したように励起パルスが検出媒体6に到達した
時刻が蛍光測定の時間の基準点となるため、励起パルス
を一部残して検出することによって、時間原点の決定に
用いることができる。また、フィルターの配置位置につ
いては、図12においては光検出部7内に設置している
が、蛍光光学系5内に挿入・設置しても良い。ただし、
この場合には蛍光が検出媒体6に入射する前なので、吸
収のない波長領域においては充分分散が抑制されたもの
をフィルターとして使用する必要がある。
【0127】図13は、本発明に係る蛍光寿命測定装置
の第7の実施形態を示すブロック図である。本実施形態
における蛍光寿命測定装置は、光源部1、ゲート光学系
2、検出媒体6、及び光検出部7については第1の実施
形態と同様である。一方、励起光学系3については、被
測定物質4に入射される励起パルスが被測定物質4上で
ちょうど焦点を結ぶ光学系となるように、励起パルス集
光手段としてレンズ31を設置している。これによっ
て、被測定物質4内の蛍光発生位置がほぼ点光源と見な
せるようになるので、ビームの有限な大きさ・広がりか
らくる蛍光の検出媒体6への光路長差・導光時間差を抑
制することができ、測定の時間分解能が向上される。
【0128】ここで、レンズ31については、その分散
が励起パルスのパルス幅が広がらない程度に小さいもの
を用いることが好ましい。また、それ以外の収差につい
ても充分小さくなるように設計されたものを用いること
が好ましい。また、レンズ以外の励起パルス集光手段と
しては、軸外し放物面鏡や、凹面鏡などを用いることが
できる。これらは、レンズと比較して色収差の低減が可
能であって、特に10フェムト秒程度以下の光を励起パ
ルスとして用いる場合に重要である。
【0129】また、本実施形態においては、さらに蛍光
光学系5に蛍光集光手段としてレンズ51が設置されて
いる。このように蛍光光学系5にレンズ51を設置する
ことによって、被測定物質4からの蛍光を検出媒体6に
効率的に導光することができ、測定効率を向上させるこ
とができる。
【0130】また、本実施形態においては、レンズ51
は被測定物質4の蛍光発生位置から出射された蛍光を、
波面のそろった平行光に変換するように配置されてい
る。これによって、被測定物質4から同時刻に発せられ
た蛍光が検出媒体6におけるゲートパルスの伝搬軸に沿
った位置に到達するタイミングをそろえて、その同時性
を保つことが可能となり、したがって、測定の時間分解
能をさらに向上させることができる。
【0131】このレンズ51については、蛍光は一般に
広いスペクトルを有しているので、特に色収差の小さい
ものを使用することが好ましい。また、それ以外の収差
についてもレンズ31と同様に充分小さくなるように設
計されたものを用いることが好ましい。また、レンズ以
外の蛍光集光手段としては、励起パルス集光手段と同様
に、軸外し放物面鏡や、凹面鏡などを用いることがで
き、これらはさらに色収差を低減することが必要なとき
に有効である。
【0132】本発明による蛍光寿命測定装置は、上記し
た実施形態・実施例に限られるものではなく、様々な変
形が可能である。例えば、ゲート光学系または励起光学
系の光路上に、ゲートパルスまたは励起パルスの波長を
変化させる波長変換手段を設置しても良い。ゲート光学
系に波長変換手段を用いることによって、例えば最も時
間分解能が良くなる波長を測定に用いるものとして選択
・設定することができる。また、励起光学系に波長変換
手段を用いることによって、興味のある励起波長で被測
定物質を励起して蛍光を発生させることが可能となる。
このような波長変換手段としては、例えば光パラメトリ
ック増幅器、和・差周波発生装置、SHG結晶等があ
る。
【0133】また、励起光学系の光路上に、励起パルス
の波形等を変化させる波形変換手段を設置して、様々な
時間波形による蛍光の発生と時間変化を観測するように
しても良い。波形変換手段としては、例えば特開平10
−206234号公報に開示されているものであって、
パルス列生成器及び波形生成器などがある。このうち、
パルス列生成器とは光パルスをパルス列に変換等するも
のであって、例えばエタロンなどを用いることができ
る。また、波形生成器とは光パルスの波形等の状態を変
化させるものであって、例えば空間光変調器などを用い
ることができる。
【0134】また、ゲート光学系または励起光学系に、
ゲートパルスまたは励起パルスの空間分布を変化させる
空間分布変換手段を設置しても良い。このような空間分
布変換手段としては、所定の幅のスリットを有するスリ
ット状マスクなど様々な形態のものを用いることができ
る。上記のような空間分布変換手段を用いてゲートパル
スまたは励起パルスの空間形状を制御することによっ
て、その他の条件や測定目的等に応じて測定条件を制御
することができ、例えば測定の時間分解能を向上させる
測定条件を実現することが可能となる。
【0135】すなわち、ゲート光学系にスリットの長手
方向が検出平面に垂直(ゲートパルスの入射軸及び蛍光
の照射軸に垂直)な方向となるようにスリット状マスク
を設置した場合、検出媒体6において蛍光の照射軸方向
についてのゲートパルスの広がりが狭くされる。このと
き、蛍光がゲートパルスの領域を通過するのに要する通
過時間、すなわち各蛍光成分がゲートパルスと相互作用
する時間が短くなり、特定の時刻に検出媒体6を通過し
た蛍光による光像のゲートパルスの伝搬軸方向について
の幅が小さくなるので、これによって、測定の時間分解
能を向上させることができる。
【0136】また、励起光学系にスリット状マスクを設
置した場合、被測定物質4に入射される励起パルスの断
面を小さくして、レンズによる集光を行った場合などと
同様に光路長差の低減によって測定の時間分解能を向上
させることができる。これ以外にも、様々な空間分布変
換手段によって測定条件の制御を行うことが可能であ
る。
【0137】なお、各光学系での導光については、例え
ば光ファイバーなどを用いる構成としても良い。ただ
し、光ファイバーを用いた場合には、光ファイバーの分
散によって光パルスのパルス幅が広がってしまい、蛍光
測定の時間分解能が劣化してしまう。このため、分散シ
フトファイバー、グレーティングファイバーや、回折格
子対、プリズム対等を用いることによってパルス幅の広
がりを補正するように構成することが望ましい。
【0138】本発明による蛍光寿命測定装置を用いた蛍
光とその時間変化の観測・測定は、様々な被測定物質に
対して適用することができる。また、通常の意味での蛍
光に限らず、例えば励起パルスの強度を上げ、被測定物
質にアブレーションを起こさせることによって物質のア
ブレーション過程を測定するなど、様々な測定や動熱力
学の観測・制御等に広く適用することが可能である。
【0139】
【発明の効果】本発明による蛍光寿命測定装置は、以上
詳細に説明したように、次のような効果を得る。すなわ
ち、超短パルスレーザーなどから出力される同期した2
つの光パルスを用い、その一方を所定の偏光状態とし、
これを蛍光の観測・測定に用いるゲートパルスとして検
出媒体に入射させ、他方を励起パルスとして被測定物質
に入射させて被測定物質において蛍光を励起・生成させ
る。この発生した蛍光を所定の偏光状態として検出媒体
に照射し、ゲートパルスに伴って移動しつつ形成される
複屈折性を示す領域を利用して、各時刻における蛍光成
分が各位置の光像成分に対応した蛍光像を得ることによ
って蛍光の時間変化を測定する。これによって、高時間
分解能での蛍光の時間変化測定と、それによる高時間分
解能での蛍光寿命の決定等が可能となる。
【0140】測定方法としては、所定の物質を検出媒体
として用い、この検出媒体内のゲートパルス光が分布し
ている領域(光飛跡領域)に生じる非線形光学効果によ
る屈折率変化を利用し、蛍光の偏光状態の変化によって
蛍光像を検出する。ここで、ゲートパルスによる光飛跡
領域が時間とともに伝搬していくことから、蛍光の時間
変化を位置変化に対応させて、CCDカメラ等の光検出
器によって直接的に観測・測定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る蛍光寿命測定装置の第1の実施形
態を示すブロック図である。
【図2】図1に示した実施形態による蛍光寿命測定装置
の一実施例を示す構成図である。
【図3】図2に示した蛍光寿命測定装置によって観測さ
れた蛍光の時間変化を模式的に示す図である。
【図4】検出媒体に用いられる囲いの一例を示す斜視図
である。
【図5】検出媒体に用いられるセルの一例を示す(a)
上面図、及び(b)側面図である。
【図6】検出媒体に用いられるセルの他の例を示す上面
図である。
【図7】本発明に係る蛍光寿命測定装置の第2の実施形
態を示すブロック図である。
【図8】本発明に係る蛍光寿命測定装置の第3の実施形
態を示すブロック図である。
【図9】図8に示した蛍光寿命測定装置によって観測さ
れる蛍光像を示す図である。
【図10】本発明に係る蛍光寿命測定装置の第4の実施
形態を示すブロック図である。
【図11】本発明に係る蛍光寿命測定装置の第5の実施
形態を示すブロック図である。
【図12】本発明に係る蛍光寿命測定装置の第6の実施
形態を示すブロック図である。
【図13】本発明に係る蛍光寿命測定装置の第7の実施
形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
1…光源部、11…超短パルス光源、11a…ゲートパ
ルス光源、11b…励起パルス光源、12…光分岐器、
15…タイミング制御回路、16…トリガー回路、17
…遅延回路、2…ゲート光学系、21…可変光遅延器、
21a…可動直角ミラー、22…ゲートパルス偏光手
段、23…波長板、24…偏光子、25…入射光学系、
25a…集束レンズ、3…励起光学系、30…光路部
分、31…レンズ、4…被測定物質、5…蛍光光学系、
51…レンズ、52…蛍光偏光手段、54…偏光子、6
…検出媒体、60…囲い、65…セル、7…光検出部、
71…検光子、72…結像レンズ、73…カメラ、74
…対物レンズ、75…干渉フィルター、76…シリンド
リカルレンズ、77…一次元光検出器、78…分光器、
79…フィルター、8…制御部、81…画像処理装置、
82…制御装置、83…表示装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 細田 誠 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内 (72)発明者 土屋 裕 静岡県浜松市市野町1126番地の1 浜松ホ トニクス株式会社内 Fターム(参考) 2G043 AA01 EA01 FA03 GA04 GB01 GB03 GB19 GB21 HA01 HA02 HA07 KA05 KA07 KA08 KA09 LA01 NA04

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パルス光源によって供給された光パルス
    から、それぞれの出力タイミングが同期された第1の光
    束と第2の光束とを生成して出力する光源部と、 光パルスのパルス位置において、その強度に応じた複屈
    折を示す検出媒体と、 前記第1の光束に基づいてゲートパルスを形成し、前記
    検出媒体に前記ゲートパルスを入射するゲート光学系
    と、 前記第2の光束に基づいて励起パルスを形成し、これを
    被測定物質に入射させて蛍光を発生させるための励起光
    学系と、 前記検出媒体に前記ゲートパルスが入射されることによ
    って非線形光学効果による屈折率変化が誘起された光飛
    跡領域を含む前記検出媒体の所定領域に前記被測定物質
    からの前記蛍光を照射する蛍光光学系と、 前記検出媒体の所定領域を通過した前記蛍光を検出する
    光検出部と、を備え、 前記ゲート光学系は、前記ゲートパルスを所定の偏光状
    態とするためのゲートパルス偏光手段と、前記ゲートパ
    ルスを前記検出媒体に所定の入射条件によって入射させ
    る入射光学系とを有し、前記蛍光光学系は、前記蛍光を
    所定の偏光状態とするための蛍光偏光手段を有し、 前記光検出部は、前記検出媒体の所定領域を通過した前
    記蛍光のうち、所定の偏光成分のみを透過させる検光手
    段と、前記検光手段を透過した前記蛍光を検出・観測す
    る光検出手段と、前記検出媒体の所定領域を通過し前記
    検光手段を透過した前記蛍光を前記光検出手段に結像さ
    せて蛍光像とする結像手段と、を有することによって、
    前記光飛跡領域において複屈折性を示すパルス位置が時
    間とともに移動することを利用して、前記蛍光像により
    前記蛍光の時間変化を測定することを特徴とする蛍光寿
    命測定装置。
  2. 【請求項2】 前記光源部は、光パルスを出力する単一
    のパルス光源と、前記光パルスを分岐して前記第1の光
    束と前記第2の光束とを生成する光分岐手段と、を有す
    ることを特徴とする請求項1記載の蛍光寿命測定装置。
  3. 【請求項3】 前記光源部は、前記第1の光束となる光
    パルスを出力するゲートパルス光源と、前記第2の光束
    となる光パルスを出力する励起パルス光源と、前記第1
    の光束及び前記第2の光束の出力タイミングを同期させ
    るタイミング制御手段と、を有することを特徴とする請
    求項1記載の蛍光寿命測定装置。
  4. 【請求項4】 前記ゲート光学系または前記励起光学系
    のいずれか一方は、前記ゲート光学系と前記励起光学系
    との光路長差を設定・変更するための可変光遅延手段を
    有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記
    載の蛍光寿命測定装置。
  5. 【請求項5】 前記入射光学系は、その光路方向の位置
    が可動である可動光学系を有して構成されていることを
    特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の蛍光寿命
    測定装置。
  6. 【請求項6】 前記ゲートパルス偏光手段及び前記蛍光
    偏光手段は、少なくとも一方に波長板または偏光子を含
    んで構成されて、前記ゲートパルス及び前記蛍光の偏光
    状態はそれぞれ所定の直線偏光に設定され、 前記蛍光の前記検出媒体への照射軸は、前記ゲートパル
    スの前記検出媒体への入射軸を含み前記ゲートパルスの
    直線偏光の軸に対して垂直な平面内にあって、前記蛍光
    の直線偏光の軸は、前記平面に対して45度の傾きとし
    て設定され、 前記検光手段は、前記検出媒体の所定領域を通過した前
    記蛍光のうち、前記検出媒体に照射される前記蛍光の直
    線偏光と直交した偏光成分のみを透過させることを特徴
    とする請求項1〜5のいずれか一項記載の蛍光寿命測定
    装置。
  7. 【請求項7】 前記蛍光の前記照射軸の、前記ゲートパ
    ルスの前記入射軸に対する照射角度が90度であること
    を特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の蛍光寿
    命測定装置。
  8. 【請求項8】 前記光検出部は、前記検出媒体の所定領
    域を通過した前記蛍光の2次元の光像を1次元の光像に
    変換する光像変換手段をさらに有し、前記光検出手段は
    一次元光検出器を有して構成されていることを特徴とす
    る請求項1〜7のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装
    置。
  9. 【請求項9】 前記光検出部は、前記検出媒体の所定領
    域を通過した前記蛍光の2次元の光像を1次元の光像に
    変換する光像変換手段と、前記光像変換手段及び前記光
    検出手段の間に設置される分光手段とをさらに有するこ
    とを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の蛍光
    寿命測定装置。
  10. 【請求項10】 前記ゲート光学系または前記励起光学
    系の少なくとも一方は、前記ゲートパルスまたは前記励
    起パルスの波長を変化させる波長変換手段を有すること
    を特徴とする請求項1〜9のいずれか一項記載の蛍光寿
    命測定装置。
  11. 【請求項11】 前記励起光学系は、前記励起パルスの
    個々の波形またはパルス列の構成などの時間波形を変化
    させる波形変換手段を有することを特徴とする請求項1
    〜10のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
  12. 【請求項12】 前記ゲート光学系または前記励起光学
    系の少なくとも一方は、前記ゲートパルスまたは前記励
    起パルスの空間分布を変化させる空間分布変換手段を有
    することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項記
    載の蛍光寿命測定装置。
  13. 【請求項13】 前記空間分布変換手段は、所定形状の
    スリットを有し、前記ゲートパルスまたは前記励起パル
    スの空間分布を前記スリットによってスリット形状に構
    成するスリット状マスクであることを特徴とする請求項
    12記載の蛍光寿命測定装置。
  14. 【請求項14】 前記光検出手段からの画像データの処
    理を行う画像処理手段を有することを特徴とする請求項
    1〜13のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
  15. 【請求項15】 前記検出媒体は、入射される前記ゲー
    トパルスの通過後に、前記ゲートパルスによって誘起さ
    れた屈折率変化による複屈折が1ピコ秒よりも速く消失
    する物質からなることを特徴とする請求項1〜14のい
    ずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
  16. 【請求項16】 前記検出媒体は、希ガスからなること
    を特徴とする請求項1〜15のいずれか一項記載の蛍光
    寿命測定装置。
  17. 【請求項17】 前記光源部に用いられるパルス光源
    は、出力される光パルスのパルス幅が1ピコ秒よりも短
    いパルスレーザーであることを特徴とする請求項1〜1
    6のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
  18. 【請求項18】 前記光源部に用いられるパルス光源
    は、出力される光パルスのピークパワーを増大させる光
    増幅手段を有するパルスレーザーであることを特徴とす
    る請求項1〜17のいずれか一項記載の蛍光寿命測定装
    置。
  19. 【請求項19】 前記検出媒体は、入射される前記ゲー
    トパルスによってブレークダウンが起こる物質からな
    り、前記ブレークダウンによって誘起されるプラズマで
    前記蛍光の不要成分を吸収させることが可能なように構
    成されたことを特徴とする請求項1〜18のいずれか一
    項記載の蛍光寿命測定装置。
  20. 【請求項20】 前記光検出手段は、暗雑音を抑制する
    機能を有する光検出器を有して構成されていることを特
    徴とする請求項1〜19のいずれか一項記載の蛍光寿命
    測定装置。
  21. 【請求項21】 前記検出媒体において、前記ゲートパ
    ルスを長くフィラメント状に伝搬させるように構成され
    たことを特徴とする請求項1〜20のいずれか一項記載
    の蛍光寿命測定装置。
  22. 【請求項22】 前記励起パルスの前記被測定物質への
    入射軸と、前記蛍光の前記被測定物質からの出射軸とが
    略同一軸上にあることを特徴とする請求項1〜21のい
    ずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
  23. 【請求項23】 前記蛍光光学系または前記光検出部の
    少なくとも一方は、前記励起パルスに用いた波長の光を
    一部または全部除去するフィルターを備えることを特徴
    とする請求項1〜22のいずれか一項記載の蛍光寿命測
    定装置。
  24. 【請求項24】 前記励起光学系は、前記被測定物質に
    入射する前記励起パルスの断面を小さくさせる励起パル
    ス集光手段を備えることを特徴とする請求項1〜23の
    いずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
  25. 【請求項25】 前記蛍光光学系は、前記被測定物質か
    らの前記蛍光を前記検出媒体へと効率的に導光する蛍光
    集光手段を備えることを特徴とする請求項1〜24のい
    ずれか一項記載の蛍光寿命測定装置。
  26. 【請求項26】 前記励起パルス集光手段または前記蛍
    光集光手段は、収差が低減されるように形成された集光
    光学系を用いて構成されることを特徴とする請求項24
    または25記載の蛍光寿命測定装置。
  27. 【請求項27】 動熱力学の観測または制御に適用した
    ことを特徴とする請求項1〜26のいずれか一項記載の
    蛍光寿命測定装置。
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