JP2000328406A - 経編地とその製造方法 - Google Patents

経編地とその製造方法

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JP2000328406A
JP2000328406A JP11128522A JP12852299A JP2000328406A JP 2000328406 A JP2000328406 A JP 2000328406A JP 11128522 A JP11128522 A JP 11128522A JP 12852299 A JP12852299 A JP 12852299A JP 2000328406 A JP2000328406 A JP 2000328406A
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Hisayuki Sugimoto
久行 杉本
Tatsuo Tsubota
達夫 坪田
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Takeda Lace Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 身体に直に接する身生地としての使用が可能
なジャカード柄の伸縮性の経編地であって、縁部に波形
状のスカラップが形成された装飾性に優れる経編地を提
供する。 【解決手段】 非伸縮性糸と伸縮性糸を用い、ジャカー
ドガイド筬を有する経編機により編成し、ジャカードガ
イド筬で主に柄を構成するとともに、他の地ガイド筬で
基布の編組織を構成し、経緯に伸縮性を有する編地10
を編成する。この編地10の縁部11において、基布の
糸は隣接する他の編地部20との間を繋がないように編
成し、ジャカードガイド筬の糸は隣接する編地部20と
の間を山部13aに相当する部分で繋いで他部分では繋
がないように編成し、適度のテンションを付与してセッ
トすることにより、山部13aと谷部13bを交互に有
するスカラップ13を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主としてショー
ツ、ガードル、ブラジャー等のファンデーション、スリ
ップ、キャミソール等のランジェリーその他の肌に直に
接する女性用下着やスポーツウエアに好適に使用される
ジャカード柄を有する伸縮性あるいは非伸縮性の経編地
に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来よ
り、非伸縮性糸および伸縮性糸の2種の糸を使用し、ジ
ャカードガイド筬を備える経編機により、基布をサテン
編、デンビ編、プレーンコード編、チュール編等を基本
とする編組織にして、ジャカードガイド筬により厚地、
薄地、穴地等の変化によるレース様の所謂ジャカード柄
を構成した伸縮性の経編地が知られている。
【0003】この伸縮性の経編地は、例えば、1枚のジ
ャカードガイド筬と、3枚の地ガイド筬とにより編成す
るもので、ジャカードガイド筬によりナイロンやポリエ
ステル繊維等の非伸縮性糸を導糸して基布をベースにし
て部分的に柄を構成し、他の1枚の地ガイド筬により前
記同様の非伸縮性糸を導糸して基布の編目を形成すると
ともに、他の2枚の地ガイド筬によりポリウレタン繊維
等のスパンデックス糸その他の伸縮性糸を導糸して挿入
編することにより基布の編組織を構成し、基布に比較的
大きな伸縮性(伸長性)を付与したものである。
【0004】かかるジャカード柄の経編地は、表面の目
が細かく緻密で肌触り(当触感)がよく、しかも伸縮性
があって身体へのフィット性に優れており、主にガード
ルやブラジャーその他の伸縮性が要求される女性用下着
において、特に身体の肌と直に接する所謂身生地として
好適に使用される。
【0005】ところで、従来のジャカード柄の経編地
は、その縁部(耳部)が通常の編地と同様に経方向(編
方向)に単なる直線状をなしているもので、縁部の装飾
性に乏しいものである。
【0006】そのため、ガードルやブラジャーその他の
女性用下着等の使用において、縁部に装飾性が要求され
る場合には、例えば山部と谷部を有する波形状のスカラ
ップを形成した別のレース生地等を、前記経編地の縁部
に縫製手段により取着して使用しており、手数のかかる
縫製作業を必要とし、コスト高になる上、前記縫製部分
が着用者に違和感を生じさせるという問題がある。
【0007】なお、柄筬を使用する経編レース地におい
て、その縁部に波形状のスカラップを形成したものはあ
るが、ジャカード柄の経編地に比して生地自体の当触感
や肌触りあるいは身体へのフィット性に劣り、肌に直に
接する身生地としての使用には適さないもので、肌に接
する部分には別の生地(裏生地)を必要とする。
【0008】本発明は、上記に鑑みて、肌に直に接する
身生地としての使用が可能なジャカード柄の経編地であ
って、しかも波形状のスカラップが形成された装飾性に
優れる経編地を提供するものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記の課題を解決する
本発明は、非伸縮性糸と伸縮性糸を用い、ジャカードガ
イド筬と地ガイド筬とにより編成され、前記伸縮性糸に
よって経緯両方向または経方向に伸縮性が付与されてな
るジャカード柄を有する経編地であって、編地縁部に山
部と谷部を交互に有する波形状のスカラップが形成され
てなることを特徴とする。
【0010】このように構成される経編地は、ジャカー
ド柄を有する伸縮性経編地特有の外観を呈し、目が細か
く緻密で肌触りがよく、身体へのフィット性も良好であ
り、しかも波形状のスカラップにより縁部の装飾性にも
優れており、別の装飾用のレース生地等を縫製手段等に
より取着せずに、そのまま例えば女性用下着における身
生地として好適に使用できる。
【0011】前記の経編地としては、少なくとも1枚の
ジャカードガイド筬と2枚以上の地ガイド筬とにより編
成してなり、前記ジャカードガイド筬により非伸縮性糸
を導糸して柄を構成するとともに部分的に基布を構成
し、また2枚以上の地ガイド筬のうちの少なくとも1枚
の地ガイド筬により非伸縮性糸を導糸して基布の編目を
形成するとともに、他の少なくとも1枚の地ガイド筬に
より伸縮性糸を導糸して挿入および/または編目形成す
ることにより基布の編組織を構成したものが、編組織の
安定性等の点から特に好適である。
【0012】また、前記の経編地として、少なくとも1
枚のジャカードガイド筬と少なくとも1枚の地ガイド筬
とにより編成してなるもので、前記ジャカードガイド筬
により伸縮性糸を導糸して柄を構成するとともに部分的
に基布を構成し、他の1枚の地ガイド筬により非伸縮性
糸を導糸して基布の編目を形成してなるものとすること
もできる。この場合、編地表面のジャカード柄を構成す
る糸が収縮することで、通常のジャカード柄とは異なっ
た風合の柄を呈することになる。
【0013】前記の経編地において、前記の波形状のス
カラップは、編地縁部において基布を構成する糸が、隣
接する他の編地部との間を繋がないように編成されると
ともに、ジャカードガイド筬により導糸される糸が、前
記隣接する他の編地部との間を山部に相当する部分で繋
いで他部分では繋がないように編成され、適度のテンシ
ョンを付与した状態でセット(熱セット等)することに
より、編地縁部に山部と谷部を形成してなるものとする
ことができる。
【0014】これにより、ジャカード柄の経編地であっ
ても、特別の加工を要さず、編成後の通常のセット加工
によって、形の綺麗な波形状をなすスカラップを形成で
き、容易にかつコスト安価に提供できる。
【0015】前記の場合において、前記編地縁部と隣接
する他の編地部との間に、前記谷部に相当する部分では
前記編地縁部と隔離され、かつ山部に相当する部分では
前記編地縁部および隣接する編地部の両者に繋がれるよ
うに編成される繋ぎ用糸条部が形成され、ジャカードガ
イド筬により導糸されて該糸条部に配される糸が、他の
非伸縮性糸より高い張力を有する糸よりなるものとする
ことができる。
【0016】これにより、熱セットの際に、編地全体に
テンションを与えることにより、高い張力の糸により繋
ぎ用糸条部に連結された山部が充分に引張られて山部と
谷部が明瞭に現われ、この状態でセットされることによ
り形の綺麗な波形状をなすスカラップが形成される。
【0017】また前記の経編地において、前記ジャカー
ドガイド筬により導糸される糸が、スカラップの波形状
に沿って谷部に相当する部分では粗い組織となるように
ジャカード制御されて編成され、該谷部に相当する部分
が伸縮性糸の収縮力で凹入せしめられてなるものとする
ことができる。この場合も、谷部の形の綺麗な波形状を
なすスカラップを形成することができる。
【0018】前記の経編地において、前記スカラップの
波形に沿う数ウエールにおいて、ジャカードガイド筬に
より導糸される非伸縮性糸が厚地の組織となるようにジ
ャカード制御されて編成されてなるものが好適である。
これによりスカラップの山部と谷部に沿って厚地部分が
でき、生地端が補強されて形態安定性に優れたものとな
る。
【0019】前記の経編地において、経方向に大きい伸
長性を有するものとすることができる。
【0020】また前記の経編地において、部分的に伸長
性や弾性力を異ならせてなるものとすることができる。
【0021】さらに本発明は、前記の各経編地における
伸縮性糸を導糸する筬のうちの少なくとも1枚の糸を、
吸湿性や吸乾性または吸臭性等を有する糸に換えて編成
し、縁部において山部と谷部を有する波形状のスカラッ
プを形成したものとすることができる。これにより、吸
湿性や吸乾性または吸臭性等を有するジャカード柄の経
編地を得ることができる。
【0022】また前記の経編地における伸縮性糸を導糸
する筬の糸を非伸縮性糸に換えるか、または伸縮性糸を
省略して編成し、縁部において山部と谷部を有する波形
状のスカラップを形成したものとすることができる。こ
れによりジャカード柄を有する非伸縮性の経編地を得る
ことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面に
示す実施例に基いて説明する。
【0024】図1は本発明に係る経編地の1実施例を示
す平面図であり、図2は同上の経編地を編成する最も基
本的な筬構造での各筬の基本組織とジャカードガイド筬
の変化状態の一例を示し、図3は伸縮性糸を導糸する地
ガイド筬の変更例を示している。図4は同上の経編地の
ジャカードガイド筬による編成状態(ラッピング状態)
を示す一部の組織図、図5は編成後の熱セット時の経編
地の一部の略示平面図、図6は分離した状態の略示平面
図である。
【0025】ジャカード柄を有する経編地(A)は、ジ
ャカード装置により運動が制御される少なくとも1枚の
ジャカードガイド筬と、他の1もしくは複数枚の地ガイ
ド筬とを備える経編機により編成される。なお、ジャカ
ードガイド筬は、筬の運動とは別に各ガイドが編針ピッ
チの1針分緯方向に変位できるように設けられており、
ジャカード装置の変位プログラムに従って制御されて、
所望の柄の編成が行なわれるようになっている。
【0026】そして、伸縮性の経編地(A)の場合は、
その構成糸に非伸縮性糸と伸縮性糸を用い、例えば図2
のように1枚のジャカードガイド筬(L1 )と3枚の地
ガイド筬(L2 )(L3 )(L4 )とを備える経編機に
より編成される。
【0027】すなわち、前記ジャカードガイド筬(L1
)により非伸縮性糸を導糸して厚地、薄地、穴地等の
適宜の組合せによるレース様の任意の柄(12)を構成
するとともに、部分的に基布を構成し、また、他の1枚
の地ガイド筬(L2 )により非伸縮性糸を導糸して基布
の編目を形成するとともに、他の2枚の地ガイド筬(L
3 )(L4 )により伸縮性糸を導糸して前記編目に対し
て挿入することにより基布の編組織を構成するように編
成される。こうして編成されるとにより、ジャカード柄
を有しかつ前記伸縮性糸によって経緯両方向または経方
向に伸縮性が付与されたものとなる。本発明の経編地
(A)の場合は、前記のように編成される編地(10)
の縁部(11)に、山部(13a)と谷部(13b)を
交互に有する波形状のスカラップ(13)が形成されて
いる。
【0028】図2は前記の経編地(A)のジャカード制
御による柄出しの原理を説明する各筬のラッピング図
で、1リピートが6コースの場合を示している。この図
2に編成の具体例を説明する。
【0029】ジャカードガイド筬(L1 )には、非伸縮
性糸が基本的にフルセットで導糸されて、各ガイドが個
々にジャカード制御されることにより、2針間に交互に
渡る基本組織に対して、任意のコース位置で同図の(L
1-a)あるいは(L1-b)の組織のように変化させられ
て、所望の柄(12)が構成されるとともに、部分的に
基布が構成される。
【0030】また、1枚の地ガイド筬(L2 )には、非
伸縮性糸が基本的にフルセットで導糸されて、例えば鎖
編により基布の編目が形成され、また他の2枚の地ガイ
ド筬(L3 )(L4 )には、ポリウレタン繊維のスパン
デックス糸等の伸縮性糸がフルセットで導糸されて、前
記鎖編のウエールに対し地ガイド筬(L3 )については
同一の編目ウエールにジグザグ状に挿入され、また地ガ
イド筬(L4 )については左右に3ウエール間にわたっ
て横振り挿入されることにより、基布の編組織が編成さ
れる。この編組織の場合は、前記地ガイド筬(L3 )に
より導糸される伸縮性糸により経方向の伸縮性が付与さ
れ、また地ガイド筬(L4 )により導糸される伸縮性糸
により主に緯方向の伸縮性が付与される。前記ジャカー
ドガイド筬(L1 )により導糸された非伸縮性糸は、前
記基布の編組織の上で所望の柄が構成されることにな
る。
【0031】このようにして所望の柄(12)が形成さ
れかつ経緯両方向に伸縮性が付与された編地(10)が
編成されるとともに、この編地(10)の縁部(11)
においては、山部(13a)と谷部(13b)を交互に
有する波形状のスカラップ(13)が形成される。
【0032】このスカラップ(13)の形成手段として
は、例えば、基布用の地ガイド筬(L2 )(L3 )(L
4 )により導糸される非伸縮性糸と伸縮性糸が、隣接す
る他の分離用等の編地部(20)との間を繋がないよう
に編成されるとともに、ジャカードガイド筬(L1 )に
より導糸される非伸縮性糸が、前記他の生地部(20)
との間を山部(13a)に相当する部分で繋ぎ、かつ谷
部(13b)等の他の部分では繋がないように編成され
る。
【0033】図4は、編地(10)の縁部(11)を波
形状のスカラップ(13)に構成するためのジャカード
ガイド筬(L1 )による編組織の1例を示している。な
お、ガイド筬(L2 )(L3 )(L4 )については、全
コースにわたって図2の基本組織で編成されるので、そ
の図示を省略している。
【0034】図4において、(W1 )〜(W7 )は経編
レース地(A)になる編地(10)の縁部最側端から並
列する編目ウエールを順に示し、また(W1')〜(W
3')は隣接する他の編地部(20)の縁部の側端から並
列する編目ウエールを順にな示し、さらに(W0 )は前
記編地(10)と隣接する編地部(20)の側端のウエ
ール(W1 )(W1')間に設けた繋ぎ用糸条部(14)
の編目ウエールを示している。なお、この糸条部(1
4)のウエール(W0 )を省略した組織で編成される場
合もある。
【0035】そして、前記ジャカードガイド筬(L1 )
については、全てのウエールで非伸縮性糸を導糸して図
4の編組織のように編成するとともに、図2の3枚の地
ガイド筬のうち、同一ウエール内で経方向に延びる鎖編
の地ガイド筬(L2 )と伸縮性糸を挿入する地ガイド筬
(L3 )については全てのウエールで導糸し、また3ウ
エール間に渡って伸縮性糸を横振り挿入する地ガイド筬
(L4 )については、前記編地(10)の最側端のウエ
ール(W1 )と隣接する編地部(20)の最側端のウエ
ール(W1')およびその間の繋ぎ用糸条部(14)との
ウエール(W0)の3ウエール分を糸抜きにして導糸し
て、編地(10)と編地部(20)とを相互に繋がない
ように、つまり分離した状態で編成する。
【0036】このとき、ジャカードガイド筬(L1 )で
繋ぎ用のウエール(W0 )に導糸される非伸縮性糸につ
いては、前記編地(10)と隣接する編地部(20)と
の間で、前記谷部(13b)に相当する部分では前記編
地(10)縁部(11)と隔離し、かつ山部(13a)
に相当する部分では、前記縁部(11)および編地部
(20)の両者を、地ガイド筬(L2 )(L3 )による
繋ぎ用糸条部(14)を介して繋ぐように編成する。
【0037】こうして前記ジャカードガイド筬(L1 )
が図4の編組織のようにその緯方向の移動がジャカード
制御されることにより、前記編地(10)と隣接する編
地部(20)とが、ジャカードガイド筬(L1 )の糸で
山部(13a)に相当する部分でのみ糸条部(14)を
介して(糸条部を存さない場合は直接)繋がれて、かつ
谷部(13b)等の他の部分では繋がれることなく編成
されることになる。(14a)は非伸縮性糸による繋ぎ
部を示す。
【0038】また、図4では、前記ジャカードガイド筬
(L1 )により導糸される非伸縮性糸が、スカラップ
(13)の波形状に沿って谷部(13b)に相当する部
分で穴地もしくは穴地と薄地との組合せ等による比較的
粗い組織となるようにジャカード制御されて編成されて
いる。
【0039】この編成後に、図5のように前記編地(1
0)とこれに隣接する他の編地部(20)とを幅方向に
適度のテンションかけて引張ると、前記の編地縁部(1
1)の隣接する編地部(20)と繋っている部分のみが
外方に引張られて凸状をなす山部(13a)となり、ま
た繋っていない部分では凹入した谷部(13b)とな
る。特に、前記編地(10)と隣接する編地部(20)
との間の繋ぎ用糸条部(14)のウエール(W0 )に配
される非伸縮性糸が、他の糸より高い張力を有する糸よ
りなるものであると、該糸により繋ぎ用糸条部(14)
に連結された山部(13a)が充分に引張られて、山部
(13a)と谷部(13b)が明確に現われる。
【0040】また図4のように谷部(13b)に相当す
る部分が前記の粗い組織となるように編成されている
と、複数ウエール間に渡る伸縮性糸の収縮力および編地
特有の収縮力で、前記谷部(13b)に相当する部分が
凹入し易くて、図5のような湾曲状に凹入した谷部(1
3b)が形成され易く、山部(13a)と谷部(13
b)がさらに明確に現われることになる。
【0041】したがって、前記のようにテンションをか
けて張った状態で熱セットすることにより、前記の山部
(13a)と谷部(13b)が交互に有する波形状に良
好に保持されることになる。
【0042】そこで、前記の非伸縮性糸による繋ぎ部
(14a)を、波形状に沿って例えば図5の一点鎖線の
位置でカットすることにより、編地(10)の縁部(1
1)が隣接する他の分離用等の編地部(20)および/
または糸条部(14)と切り離され(図6)、図1のよ
うな経編地(A)が得られる。
【0043】前記のように構成される経編地(A)にお
いて、前記スカラップ(13)の波形に沿う数ウエール
において、ジャカードガイド筬(L1 )により導糸され
る非伸縮性糸が厚地の組織となるようにジャカード制御
して編成しておくことができる。これにより編成後のス
カラップ(13)に沿うカットが容易であり、しかもス
カラップ(13)が形成された生地端の保形強度が増
し、身体へのフィット性の良好なものが得られる。
【0044】上記のように編成される本発明の経編地
(A)において、前記糸条部(14)のウエール(W0
)のジャカードガイド筬(L1 )の糸に換えて、繋ぎ
用の別の筬を追加して、抜き糸あるいは糸の溶解により
熱セット後に編地(10)を他の編地部(20)と分離
できるようにして実施することも可能である。
【0045】なお、本発明の経編地(A)の基本の編組
織については、上記した実施例のように地ガイド筬(L
2 )を鎖編の組織で編成する場合のほか、用途やデザイ
ンに応じて適宜変更でき、例えば、サテン編、デンビ
編、プレーンコード編、チュール編等において実施する
ことができる。これらの場合も、スカラップの形成につ
いては、上記の実施例と同様に実施できる。例えば、地
ガイド筬(L2 )(L3)(L4 )により導糸される非
伸縮性糸と伸縮性糸が隣接する他の編地部との間を繋が
ないように編成し、ジャカードガイド筬(L1 )により
導糸される非伸縮性糸が前記他の生地部(20)との間
を山部(13a)に相当する部分で繋ぎ、かつ谷部(1
3b)等の他の部分では繋がないように編成しておくこ
とにより、編成後の熱セットの際に幅方向にテンション
をかければ、波形状のスカラップを形成することができ
る。
【0046】上記の実施例においては、1枚のジャカー
ドガイド筬(L1 )と3枚の地ガイド筬お(L2 )(L
3 )(L4 )で編成する場合を示したが、これ以外の種
々の筬構造での編成が可能である。
【0047】例えば、図2の筬構造において、伸縮性糸
を導糸する地ガイト筬(L3 )(L4 )のうちの一方の
筬を使用しないか、または省略して、3枚筬で編成する
ことができる。図2における地ガイド筬(L4 )を使用
しないで編成すると、地ガイド筬(L3 )で挿入される
伸縮性糸により、経方向にのみ大きい伸縮性(伸長性)
を有し、緯方向には伸長性を殆ど有さないか、あるいは
伸長性の小さいものになる。また地ガイド筬(L3 )を
除いて、筬(L1 )(L2 )(L4 )の3枚筬で編成す
れば、経緯両方向に伸縮性を有するものとなる。
【0048】上記した4枚筬あるいは3枚筬の編成にお
いて、伸縮性糸を導糸する1枚の地ガイド筬を、例えば
図3の(a)あるいは(b)の筬(Ln )のように、横
振りしながら編目を形成する組織で編成することができ
る。この場合、伸縮性糸が編目形成されることにより、
基布の組織が安定したものになる。
【0049】また伸縮性糸を図3(a)または(b)の
地ガイド筬(Ln )の組織で編成する場合、該地ガイド
筬(Ln )とジャカードガイド筬(L1 )との2枚筬で
の編成も可能になる。
【0050】さらに、図2の筬構造において、ジャカー
ドガイド筬(L1 )に伸縮性糸を導糸して柄を構成する
とともに部分的に基布を構成し、他の少なくとも1枚の
地ガイド筬(L2 )により非伸縮性糸を導糸して基布の
編目を形成するようにして編成することがてきる。これ
により、経編地の表面でジャカード柄を構成する糸が収
縮することになって、通常のジャカード柄とは趣きの違
った柄を呈するものになる。
【0051】この実施例の場合、前記ジャカードガイド
筬(L1 )の伸縮性糸としては、ポリウレタン繊維等の
弾性糸の外側に他の染色可能な合成繊維を巻付けてカバ
リングした、いわゆるカバリング弾性糸を用いるのが好
ましい。これにより、ジャカード柄を構成する伸縮性糸
が編地の表面に浮き出ても、該伸縮性糸の表面にも染色
を施すことができ、染色加工上の問題が生じない。
【0052】前記のようにジャカードガイド筬に伸縮性
糸を配して編成する場合において、前記編目を編む地ガ
イド筬(L2 )以外の地ガイド筬(L3 )(L4 )につ
いては、その双方に上記同様に伸縮性糸を導糸して編成
することも、またこれら地ガイド(L3 )(L4 )の一
方または双方を除いて、ジャカードガイド筬(L1 )と
地ガイド筬(L2 )と、他の1枚の地ガイド筬(L3 )
または(L4 )との3枚筬で編成したり、またジャカー
ドガイド筬(L1 )と地ガイド筬(L2 )と2枚筬で編
成することもできる。前者の伸縮性生地としての弾性力
(パワー)が大きくなり、また後者の場合、比較的薄く
軽量な経編地が得られる。
【0053】なお、前記伸縮性経編地の伸長性や弾性力
(パワー)は、伸縮性糸の素材や種類、太さおよび横振
り挿入幅等の編組織との組合せによって、任意に設定す
ることができる。例えば、経方向に大きい伸長性を有す
るものとして、緯方向には経方向よりも小さい伸長性、
あるいは殆ど伸長性を有さないものとすることができ
る。
【0054】さらに、前記経編地(A)において、編柄
や用途に応じて、幅方向の任意の個所を部分的に伸長性
や弾性力(パワー)を異ならせるようにして実施するこ
とができる。
【0055】これらのいずれの実施例の場合において
も、その縁部における波形状のスカラップ(13)の形
成については、上記した実施例の場合と同様に実施する
ことができる。すなわち、地ガイド筬により導糸される
糸が隣接する他の編地部との間を繋がないように編成す
るともに、ジャカードガイド筬(L1 )により導糸され
る糸が隣接する他の編地部(20)との間を山部(13
a)に相当する部分で繋ぎ、かつ谷部(13b)等の他
の部分では繋がないように編成しておくことにより、編
成後の熱セットの際に幅方向にテンションをかければ、
波形状のスカラップを形成することができる。また縁部
の補強構造についても上記した実施例と同様に実施でき
る。
【0056】さらにまた、上記したいずれの実施例の場
合においても、ピコット形成用の筬を追加することによ
り、波形状のスカラップ部分に外方に突出するピコット
を形成したものとすることもできる。
【0057】本発明の経編地に使用する非伸縮性糸とし
ては、絹、綿、毛等の天然繊維の糸や、ポリステルやナ
イロン等の合成繊維の糸を用いることができる。また伸
縮性糸としては、ポリウレタン繊維等のスパンデックス
糸(弾性糸)その他の伸縮性糸を使用でき、また弾性糸
の外側に他の合成繊維を巻付けたカバリング弾性糸を用
いることもできる。糸の太さは用途によって異なるが、
例えば非伸縮性の合成繊維のマルチフィラメントの場
合、15〜150デニールの糸が好適に用いられる。ま
た伸縮性糸としては、ポリウレタンのマルチフィラメン
トで15〜420デニールの糸が好適に用いられる。も
ちろんこれに限られるものではない。
【0058】このように構成される経編レース地(A)
は、表面の目が細かく緻密で高級感があって肌触り(当
触感)がよく、かつ伸縮性により身体へのフィット性に
優れており、主にガードルやブラジャーその他の伸縮性
が要求される女性用下着において、特に身体の肌に直に
接する所謂身生地として好適に使用される。図7はその
使用の1例としてガードルに使用した場合を示してお
り、縁部に山部(13a)と谷部(13b)を交互に有
するスカラップ(13)が形成されているために、1枚
もののジャカード柄の経編レース地であっても、縁部の
装飾性、デザイン性に優れ、体裁のよいものとなる。
【0059】そのため、縁部の装飾効果を出すために、
別のレース生地を縫製手段により取着する必要がなく、
使用に際しての縫製作業を不要にでき、コスト安価に提
供できる。しかも別生地を取着する必要がないため、着
用者に違和感を与えることもない。
【0060】なお、上記の実施例において、ジャカード
柄を有する伸縮性経編地とした場合を示したが、前記伸
縮性糸を導糸する筬の糸を、非伸縮性糸に換えるか、ま
たは省略して上記同様に編成して、これを上記したよう
に熱セットすることにより、縁部において山部と谷部を
有する波形状のスカラップが形成されたジャカード柄の
非伸縮性の経編地を得ることができる。
【0061】また、前記の伸縮性糸を伸縮性糸を導糸す
る筬のうちの少なくとも1枚の筬の糸を、吸湿性や吸乾
性または吸臭性等を有する糸(主に天然繊維の糸)に換
えて上記同様に編成して熱ゼットすることより、縁部に
波形状のスカラップが形成されかつ吸湿性や吸乾性また
は吸臭性等を有するジャカード柄の経編地を得ることが
できる。
【0062】
【発明の効果】上記したように本発明の経編地は、ジャ
カード柄の経編地であって、柄筬による経編レース等と
は異なり、表面の目が細く緻密で体裁がよく、各種女性
用下着等に、特に身体に直に接する身生地として好適に
使用できる。しかも縁部に山部と谷部を有する波形状の
スカラップが形成されているために、別の生地を縫製し
ていない一体ものの経編地であるにも拘らず、縁部の装
飾効果に優れ、高級感を呈し、商品価値を高めることが
できる。その上、別の生地を縫製手段により取着する必
要がないので、コスト安価に提供できるとともに、着用
者に違和感を与えることもない。
【0063】特に、請求項4〜7のように構成すること
により、前記波形状のスカラップの山部と谷部が明瞭に
現われ、美麗で体裁がよく、女性用下着としてさらに好
適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の経編地の1実施例を示す平面図であ
る。
【図2】同上の経編地を編成する各筬の基本組織とジャ
カードガイド筬の変化状態の組織説明図である。
【図3】伸縮性糸を導糸する地ガイド筬の変更例を示す
組織説明図である。
【図4】同上の経編地のジャカードガイド筬による要部
の編成状態を示すラッピング組織図である。
【図5】同上の経編地の編成後の熱セット時の一部の略
示平面図である。
【図6】同上の経編地を分離した状態の略示平面図であ
る。
【図7】同上の経編地の使用例を示す正面図である。
【符号の説明】
(A) 経編地 (10) 編地 (11) 縁部 (12) 柄 (13) スカラップ (13a) 山部 (13b) 谷部 (14) 繋ぎ用糸条部 (20) 分離用等の編地部 (L1 ) ジャカードガイド筬 (L2 )(L3 )(L4 )(Ln ) 地ガイド筬
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年5月18日(2000.5.1
8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 経編地とその製造方法
【特許請求の範囲】
請求項2請求項1に記載の経編地における伸縮性糸
を、非伸縮性糸に換えるか、または省略して編成してな
ることを特徴とする経編地
請求項3非伸縮性糸と伸縮性糸を用い、ジャカード
ガイド筬と地ガイド筬とにより編成され、前記伸縮性糸
によって経緯両方向または経方向に伸縮性が付与され、
かつ縁部に波形状のスカラップが形成された、ジャカー
ド柄を有する経編地の製造方法であって、 編地縁部において、 地ガイド筬により導糸される糸
隣接する他の編地部との間を繋がないように編成する
ともに、ジャカードガイド筬により導糸される糸、前
記隣接する他の編地部との間を波形状スカラップの山部
に相当する部分で繋いで他部分では繋がないように編成
し、編成後に、幅方向に適度のテンションを付与した状
態でセットすることにより、山部と谷部交互に形成
て波形状にすることを特徴とする経編地の製造方法
請求項4】編地縁部と隣接する他の編地部との間に、
前記谷部に相当する部分では前記編地縁部と隔離され、
かつ山部に相当する部分では前記編地縁部および隣接す
る編地部と繋がれるように編成される繋ぎ用糸条部を形
成し、ジャカードガイド筬により導糸されて該糸条部に
配される糸を、編成時のテンションを他の糸より強くし
請求項3に記載の経編地の製造方法
請求項5】少なくとも1枚のジャカードガイド筬と2
枚以上の地ガイド筬とにより編成してなり、前記ジャカ
ードガイド筬により非伸縮性糸を導糸して柄を構成する
とともに部分的に基布を構成し、また2枚以上の地ガイ
ド筬のうちの少なくとも1枚の地ガイド筬により非伸縮
性糸を導糸して基布の編目を形成するとともに、他の少
なくとも1枚の地ガイド筬により伸縮性糸を導糸して挿
入および/または編目形成することにより基布の編組織
を構成する請求項3または4に記載の経編地の製造方
請求項6】少なくとも1枚のジャカードガイド筬と少
なくとも1枚の地ガイド筬とにより編成してなり、前記
ジャカードガイド筬により伸縮性糸を導糸して柄を構成
するとともに部分的に基布を構成し、他の1枚の地ガイ
ド筬により非伸縮性糸を導糸して基布の編目を形成する
請求項3または4に記載の経編地の製造方法
請求項7】前記ジャカードガイド筬により導糸される
を、スカラップの波形状に沿って谷部に相当する部分
では粗い組織となるようにジャカード制御して編成し
該谷部に相当する部分伸縮性糸の収縮力で凹入せし
請求項3〜6のいずれか1項に記載の経編地の製造方
請求項8】前記スカラップの波形に沿う数ウエールに
おいて、ジャカードガイド筬により導糸される糸厚地
の組織となるようにジャカード制御して編成する請求項
3〜7のいずれか1項に記載の経編地の製造方法
請求項9】請求項3〜8のいずれか1項に記載の経編
の製造方法において、少なくとも1枚の筬の糸を、吸
湿性や吸乾性または吸臭性等を有する糸にして編成する
経編地の製造方法
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主としてショー
ツ、ガードル、ブラジャー等のファンデーション、スリ
ップ、キャミソール等のランジェリーその他の肌に直に
接する女性用下着やスポーツウエアに好適に使用される
ジャカード柄を有する伸縮性あるいは非伸縮性の経編地
とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】従来よ
り、非伸縮性糸および伸縮性糸の2種の糸を使用し、ジ
ャカードガイド筬を備える経編機により、基布をサテン
編、デンビ編、プレーンコード編、チュール編等を基本
とする編組織にして、ジャカードガイド筬により厚地、
薄地、穴地等の変化によるレース様の所謂ジャカード柄
を構成した伸縮性の経編地が知られている。
【0003】この伸縮性の経編地は、例えば、1枚のジ
ャカードガイド筬と、3枚の地ガイド筬とにより編成す
るもので、ジャカードガイド筬によりナイロンやポリエ
ステル繊維等の非伸縮性糸を導糸して基布をベースにし
て部分的に柄を構成し、他の1枚の地ガイド筬により前
記同様の非伸縮性糸を導糸して基布の編目を形成すると
ともに、他の2枚の地ガイド筬によりポリウレタン繊維
等のスパンデックス糸その他の伸縮性糸を導糸して挿入
編することにより基布の編組織を構成し、基布に比較的
大きな伸縮性(伸長性)を付与したものである。
【0004】かかるジャカード柄の経編地は、表面の目
が細かく緻密で肌触り(当触感)がよく、しかも伸縮性
があって身体へのフィット性に優れており、主にガード
ルやブラジャーその他の伸縮性が要求される女性用下着
において、特に身体の肌と直に接する所謂身生地として
好適に使用される。
【0005】ところで、従来のジャカード柄の経編地
は、その縁部(耳部)が通常の編地と同様に経方向(編
方向)に単なる直線状をなしているもので、縁部の装飾
性に乏しいものである。
【0006】そのため、ガードルやブラジャーその他の
女性用下着等の使用において、縁部に装飾性が要求され
る場合には、例えば山部と谷部を有する波形状のスカラ
ップを形成した別のレース生地等を、前記経編地の縁部
に縫製手段により取着して使用しており、手数のかかる
縫製作業を必要とし、コスト高になる上、前記縫製部分
が着用者に違和感を生じさせるという問題がある。
【0007】なお、柄筬を使用する経編レース地におい
て、その縁部に波形状のスカラップを形成したものはあ
るが、ジャカード柄の経編地に比して生地自体の当触感
や肌触りあるいは身体へのフィット性に劣り、肌に直に
接する身生地としての使用には適さないもので、肌に接
する部分には別の生地(裏生地)を必要とする。
【0008】本発明は、上記に鑑みて、肌に直に接する
身生地としての使用が可能なジャカード柄の経編地であ
って、しかも波形状のスカラップが形成された装飾性に
優れる経編地と、その製造方法を提供するものである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記の課題を解決する
本発明は、非伸縮性糸と伸縮性糸を用い、ジャカードガ
イド筬と地ガイド筬とにより編成され、前記伸縮性糸に
よって経緯両方向または経方向に伸縮性が付与されてな
るジャカード柄を有する経編地であって、編地縁部には
波形状のスカラップが形成されてなり、このスカラップ
は、波形の山部に相当する部分が幅方向に引っ張られて
セットされることにより、編方向に連続する同じ編目ウ
エールで山部と谷部が交互に形成されて波形状をなして
いることを特徴とする。
【0010】この経編地は、ジャカード柄を有する伸縮
性経編地特有の外観を呈し、目が細かく緻密で肌触りが
よく、身体へのフィット性も良好であり、しかも縁部に
は山部と谷部が同じ編目ウエールにあって滑らかに連続
して綺麗な波形形状をなすスカラップが形成されてい
て、縁部の装飾性にも優れており、そのため別の装飾用
のレース生地等を縫製手段等により取着せずに、そのま
ま例えば女性用下着における身生地として好適に使用で
きる。
【0011】本発明は、前記の経編地の製造方法とし
て、編地縁部において、ガイド筬により導糸される基布
を構成する糸は、隣接する他の編地部との間を繋がない
ように編成するとともに、ジャカードガイド筬により導
糸される糸は、前記隣接する他の編地部との間を波形状
スカラップの山部に相当する部分で繋いで他部分では繋
がないように編成し、編成後に、幅方向に適度のテンシ
ョンを付与した状態でセット(熱セット等)することに
より、山部と谷部を交互に形成して波形状にすることを
特徴とする。
【0012】これにより、ジャカード柄の経編地であっ
ても、特別の加工を要さず、編成後の通常のセット加工
によって、編地縁部において、同じ編目ウエールで山部
と谷部が交互に形成された形の綺麗な波形状をなすスカ
ラップを形成でき、容易にかつコスト安価に提供でき
る。
【0013】前記の製造方法において、前記編地縁部と
隣接する他の編地部との間に、前記谷部に相当する部分
では前記編地縁部と隔離され、かつ山部に相当する部分
では前記編地縁部および隣接する編地部の両者に繋がれ
るように編成される繋ぎ用糸条部を形成し、ジャカード
ガイド筬により導糸されて該糸条部に配される糸を、編
成時のテンションを他の非伸縮性糸より強くしたものと
することができる。
【0014】これにより、熱セットの際に、編地全体に
テンションを与えることにより、前記テンションを強く
した糸により繋ぎ用糸条部に連結された山部が充分に引
張られて山部と谷部が明瞭に現われ、この状態でセット
されることにより形の綺麗な波形状をなすスカラップが
形成される。
【0015】前記の経編地の製造方法において、少なく
とも1枚のジャカードガイド筬と2枚以上の地ガイド筬
とにより編成し、前記ジャカードガイド筬により非伸縮
性糸を導糸して柄を構成するとともに部分的に基布を構
成し、また2枚以上の地ガイド筬のうちの少なくとも1
枚の地ガイド筬により非伸縮性糸を導糸して基布の編目
を形成するとともに、他の少なくとも1枚の地ガイド筬
により伸縮性糸を導糸して挿入および/または編目形成
することにより基布の編組織を構成するのが、編組織の
安定性等の点から特に好適である。
【0016】また、前記の経編地の製造方法として、少
なくとも1枚のジャカードガイド筬と少なくとも1枚の
地ガイド筬とにより編成してなるもので、前記ジャカー
ドガイド筬により伸縮性糸を導糸して柄を構成するとと
もに部分的に基布を構成し、他の1枚の地ガイド筬によ
り非伸縮性糸を導糸して基布の編目を形成してなるもの
とすることもできる。この場合、編地表面のジャカード
柄を構成する糸が収縮することで、通常のジャカード柄
とは異なった風合の柄を呈することになる。
【0017】また前記の経編地の製造方法において、前
記ジャカードガイド筬により導糸される糸を、スカラッ
プの波形状に沿って谷部に相当する部分では粗い組織と
なるようにジャカード制御して編成し、該谷部に相当す
る部分が伸縮性糸の収縮力で凹入せしめてなるものとす
ることができる。この場合も、谷部の形の綺麗な波形状
をなすスカラップを形成することができる。
【0018】前記の経編地の製造方法において、前記ス
カラップの波形に沿う数ウエールにおいて、ジャカード
ガイド筬により導糸される非伸縮性糸を厚地の組織とな
るようにジャカード制御して編成するものが好適であ
る。これによりスカラップの山部と谷部に沿って厚地部
分ができ、生地端が補強されて形態安定性に優れたもの
となる。
【0019】前記において、経方向に大きい伸長性を有
するものとすることができる。また前記の経編地におい
て、部分的に伸長性や弾性力を異ならせてなるものとす
ることができる。
【0020】さらに本発明は、前記の経編地の製造方法
において、少なくとも1枚の筬の糸を、吸湿性や吸乾性
または吸臭性等を有する糸にして編成し、縁部において
山部と谷部を有する波形状のスカラップを形成したもの
とすることができる。これにより、吸湿性や吸乾性また
は吸臭性等を有するジャカード柄の経編地を得ることが
できる。
【0021】また前記の各発明における伸縮性糸を導糸
する筬の糸を非伸縮性糸に換えるか、または伸縮性糸を
省略して編成し、縁部において山部と谷部を有する波形
状のスカラップを形成したものとすることができる。こ
れによりジャカード柄を有する非伸縮性の経編地を得る
ことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態を図面に
示す実施例に基いて説明する。
【0023】図1は本発明に係る経編地の1実施例を示
す平面図であり、図2は同上の経編地を編成する最も基
本的な筬構造での各筬の基本組織とジャカードガイド筬
の変化状態の一例を示し、図3は伸縮性糸を導糸する地
ガイド筬の変更例を示している。図4は同上の経編地の
ジャカードガイド筬による編成状態(ラッピング状態)
を示す一部の組織図、図5は編成後の熱セット時の経編
地の一部の略示平面図、図6は分離した状態の略示平面
図である。
【0024】ジャカード柄を有する経編地(A)は、ジ
ャカード装置により運動が制御される少なくとも1枚の
ジャカードガイド筬と、他の1もしくは複数枚の地ガイ
ド筬とを備える経編機により編成される。なお、ジャカ
ードガイド筬は、筬の運動とは別に各ガイドが編針ピッ
チの1針分緯方向に変位できるように設けられており、
ジャカード装置の変位プログラムに従って制御されて、
所望の柄の編成が行なわれるようになっている。
【0025】そして、伸縮性の経編地(A)の場合は、
その構成糸に非伸縮性糸と伸縮性糸を用い、例えば図2
のように1枚のジャカードガイド筬(L1 )と3枚の地
ガイド筬(L2 )(L3 )(L4 )とを備える経編機に
より編成される。
【0026】すなわち、前記ジャカードガイド筬(L1
)により非伸縮性糸を導糸して厚地、薄地、穴地等の
適宜の組合せによるレース様の任意の柄(12)を構成
するとともに、部分的に基布を構成し、また、他の1枚
の地ガイド筬(L2 )により非伸縮性糸を導糸して基布
の編目を形成するとともに、他の2枚の地ガイド筬(L
3 )(L4 )により伸縮性糸を導糸して前記編目に対し
て挿入することにより基布の編組織を構成するように編
成される。こうして編成されるとにより、ジャカード柄
を有しかつ前記伸縮性糸によって経緯両方向または経方
向に伸縮性が付与されたものとなる。本発明の経編地
(A)の場合は、前記のように編成される編地(10)
の縁部(11)に、後述のように山部(13a)と谷部
(13b)を交互に有する波形状のスカラップ(13)
が形成されている。
【0027】図2は前記の経編地(A)のジャカード制
御による柄出しの原理を説明する各筬のラッピング図
で、1リピートが6コースの場合を示している。この図
2に編成の具体例を説明する。
【0028】ジャカードガイド筬(L1 )には、非伸縮
性糸が基本的にフルセットで導糸されて、各ガイドが個
々にジャカード制御されることにより、2針間に交互に
渡る基本組織に対して、任意のコース位置で同図の(L
1-a)あるいは(L1-b)の組織のように変化させられ
て、所望の柄(12)が構成されるとともに、部分的に
基布が構成される。
【0029】また、1枚の地ガイド筬(L2 )には、非
伸縮性糸が基本的にフルセットで導糸されて、例えば鎖
編により基布の編目が形成され、また他の2枚の地ガイ
ド筬(L3 )(L4 )には、ポリウレタン繊維のスパン
デックス糸等の伸縮性糸がフルセットで導糸されて、前
記鎖編のウエールに対し地ガイド筬(L3 )については
同一の編目ウエールにジグザグ状に挿入され、また地ガ
イド筬(L4 )については左右に3ウエール間にわたっ
て横振り挿入されることにより、基布の編組織が編成さ
れる。この編組織の場合は、前記地ガイド筬(L3 )に
より導糸される伸縮性糸により経方向の伸縮性が付与さ
れ、また地ガイド筬(L4 )により導糸される伸縮性糸
により主に緯方向の伸縮性が付与される。前記ジャカー
ドガイド筬(L1 )により導糸された非伸縮性糸は、前
記基布の編組織の上で所望の柄が構成されることにな
る。
【0030】このようにして所望の柄(12)が形成さ
れかつ経緯両方向に伸縮性が付与された編地(10)が
編成されるとともに、この編地(10)の縁部(11)
においては、山部(13a)と谷部(13b)を交互に
有する波形状のスカラップ(13)が形成される。
【0031】このスカラップ(13)の形成手段として
は、例えば、基布用の地ガイド筬(L2 )(L3 )(L
4 )により導糸される非伸縮性糸と伸縮性糸が、隣接す
る他の分離用等の編地部(20)との間を繋がないよう
に編成されるとともに、ジャカードガイド筬(L1 )に
より導糸される非伸縮性糸が、前記他の生地部(20)
との間を山部(13a)に相当する部分で繋ぎ、かつ谷
部(13b)等の他の部分では繋がないように編成され
る。
【0032】図4は、編地(10)の縁部(11)を波
形状のスカラップ(13)に構成するためのジャカード
ガイド筬(L1 )による編組織の1例を示している。な
お、ガイド筬(L2 )(L3 )(L4 )については、全
コースにわたって図2の基本組織で編成されるので、そ
の図示を省略している。
【0033】図4において、(W1 )〜(W7 )は経編
レース地(A)になる編地(10)の縁部最側端から並
列する編目ウエールを順に示し、また(W1')〜(W
3')は隣接する他の編地部(20)の縁部の側端から並
列する編目ウエールを順に示し、さらに(W0 )は前記
編地(10)と隣接する編地部(20)の側端のウエー
ル(W1 )(W1')間に設けた繋ぎ用糸条部(14)の
編目ウエールを示している。なお、この糸条部(14)
のウエール(W0 )を省略した組織で編成される場合も
ある。
【0034】そして、前記ジャカードガイド筬(L1 )
については、全てのウエールで非伸縮性糸を導糸して図
4の編組織のように編成するとともに、図2の3枚の地
ガイド筬のうち、同一ウエール内で経方向に延びる鎖編
の地ガイド筬(L2 )と伸縮性糸を挿入する地ガイド筬
(L3 )については全てのウエールで導糸し、また3ウ
エール間に渡って伸縮性糸を横振り挿入する地ガイド筬
(L4 )については、前記編地(10)の最側端のウエ
ール(W1 )と隣接する編地部(20)の最側端のウエ
ール(W1')およびその間の繋ぎ用糸条部(14)との
ウエール(W0)の3ウエール分を糸抜きにして導糸し
て、編地(10)と編地部(20)とを相互に繋がない
ように、つまり分離した状態で編成する。
【0035】このとき、ジャカードガイド筬(L1 )で
繋ぎ用のウエール(W0 )に導糸される非伸縮性糸につ
いては、前記編地(10)と隣接する編地部(20)と
の間で、前記谷部(13b)に相当する部分では前記編
地(10)の縁部(11)と隔離し、かつ山部(13
a)に相当する部分では、前記縁部(11)および編地
部(20)の両者を、地ガイド筬(L2 )(L3 )によ
る繋ぎ用糸条部(14)を介して繋ぐように編成する。
【0036】こうして前記ジャカードガイド筬(L1 )
が図4の編組織のようにその緯方向の移動がジャカード
制御されることにより、前記編地(10)と隣接する編
地部(20)とが、ジャカードガイド筬(L1 )の糸で
山部(13a)に相当する部分でのみ糸条部(14)を
介して(糸条部を存さない場合は直接)繋がれて、かつ
谷部(13b)等の他の部分では繋がれることなく編成
されることになる。(14a)は非伸縮性糸による繋ぎ
部を示す。
【0037】また、図4では、前記ジャカードガイド筬
(L1 )により導糸される非伸縮性糸が、スカラップ
(13)の波形状に沿って谷部(13b)に相当する部
分で穴地もしくは穴地と薄地との組合せ等による比較的
粗い組織となるようにジャカード制御されて編成されて
いる。
【0038】この編成後に、図5のように前記編地(1
0)とこれに隣接する他の編地部(20)とを幅方向に
適度のテンションかけて引張ると、前記の編地縁部(1
1)の隣接する編地部(20)と繋っている部分のみが
外方に引張られて凸状をなす山部(13a)となり、ま
た繋っていない部分では凹入した谷部(13b)とな
る。特に、前記編地(10)と隣接する編地部(20)
との間の繋ぎ用糸条部(14)のウエール(W0 )に配
される非伸縮性糸が、編成時のテンションを他の糸より
強くした糸よりなるものであると、該糸により繋ぎ用糸
条部(14)に連結された山部(13a)が充分に引張
られて、山部(13a)と谷部(13b)が明確に現わ
れる。
【0039】また図4のように谷部(13b)に相当す
る部分が前記の粗い組織となるように編成されている
と、複数ウエール間に渡る伸縮性糸の収縮力および編地
特有の収縮力で、前記谷部(13b)に相当する部分が
凹入し易くて、図5のような湾曲状に凹入した谷部(1
3b)が形成され易く、山部(13a)と谷部(13
b)がさらに明確に現われることになる。
【0040】したがって、前記のように波形の山部(1
3a)に相当する部分を隣接する編地部と繋いでおい
て、幅方向にテンションをかけて引っ張った状態で熱セ
ットすることにより、前記の山部(13a)と谷部(1
3b)が交互に有する波形状に良好に保持されることに
なる。
【0041】そこで、前記の非伸縮性糸による繋ぎ部
(14a)を、波形状に沿って例えば図5の一点鎖線の
位置でカットすることにより、編地(10)の縁部(1
1)が隣接する他の分離用等の編地部(20)および/
または糸条部(14)と切り離され(図6)、図1のよ
うな経編地(A)が得られる。
【0042】前記のように構成される経編地(A)にお
いて、前記スカラップ(13)の波形に沿う数ウエール
において、ジャカードガイド筬(L1 )により導糸され
る非伸縮性糸が厚地の組織となるようにジャカード制御
して編成しておくことができる。これにより編成後のス
カラップ(13)に沿うカットが容易であり、しかもス
カラップ(13)が形成された生地端の保形強度が増
し、身体へのフィット性の良好なものが得られる。
【0043】上記のように編成される本発明の経編地
(A)において、前記糸条部(14)のウエール(W0
)のジャカードガイド筬(L1 )の糸に換えて、繋ぎ
用の別の筬を追加して、抜き糸あるいは糸の溶解により
熱セット後に編地(10)を他の編地部(20)と分離
できるようにして実施することも可能である。
【0044】なお、本発明の経編地(A)の基本の編組
織については、上記した実施例のように地ガイド筬(L
2 )を鎖編の組織で編成する場合のほか、用途やデザイ
ンに応じて適宜変更でき、例えば、サテン編、デンビ
編、プレーンコード編、チュール編等において実施する
ことができる。これらの場合も、スカラップの形成につ
いては、上記の実施例と同様に実施できる。例えば、地
ガイド筬(L2 )(L3)(L4 )により導糸される非
伸縮性糸と伸縮性糸が隣接する他の編地部との間を繋が
ないように編成し、ジャカードガイド筬(L1 )により
導糸される非伸縮性糸が前記他の生地部(20)との間
を山部(13a)に相当する部分で繋ぎ、かつ谷部(1
3b)等の他の部分では繋がないように編成しておくこ
とにより、編成後の熱セットの際に幅方向にテンション
をかければ、波形状のスカラップを形成することができ
る。
【0045】上記の実施例においては、1枚のジャカー
ドガイド筬(L1 )と3枚の地ガイド筬お(L2 )(L
3 )(L4 )で編成する場合を示したが、これ以外の種
々の筬構造での編成が可能である。
【0046】例えば、図2の筬構造において、伸縮性糸
を導糸する地ガイト筬(L3 )(L4 )のうちの一方の
筬を使用しないか、または省略して、3枚筬で編成する
ことができる。図2における地ガイド筬(L4 )を使用
しないで編成すると、地ガイド筬(L3 )で挿入される
伸縮性糸により、経方向にのみ大きい伸縮性(伸長性)
を有し、緯方向には伸長性を殆ど有さないか、あるいは
伸長性の小さいものになる。また地ガイド筬(L3 )を
除いて、筬(L1 )(L2 )(L4 )の3枚筬で編成す
れば、経緯両方向に伸縮性を有するものとなる。
【0047】上記した4枚筬あるいは3枚筬の編成にお
いて、伸縮性糸を導糸する1枚の地ガイド筬を、例えば
図3の(a)あるいは(b)の筬(Ln )のように、横
振りしながら編目を形成する組織で編成することができ
る。この場合、伸縮性糸が編目形成されることにより、
基布の組織が安定したものになる。
【0048】また伸縮性糸を図3(a)または(b)の
地ガイド筬(Ln )の組織で編成する場合、該地ガイド
筬(Ln )とジャカードガイド筬(L1 )との2枚筬で
の編成も可能になる。
【0049】さらに、図2の筬構造において、ジャカー
ドガイド筬(L1 )に伸縮性糸を導糸して柄を構成する
とともに部分的に基布を構成し、他の少なくとも1枚の
地ガイド筬(L2 )により非伸縮性糸を導糸して基布の
編目を形成するようにして編成することができる。これ
により、経編地の表面でジャカード柄を構成する糸が収
縮することになって、通常のジャカード柄とは趣きの違
った柄を呈するものになる。
【0050】この実施例の場合、前記ジャカードガイド
筬(L1 )の伸縮性糸としては、ポリウレタン繊維等の
弾性糸の外側に他の染色可能な合成繊維を巻付けてカバ
リングした、いわゆるカバリング弾性糸を用いるのが好
ましい。これにより、ジャカード柄を構成する伸縮性糸
が編地の表面に浮き出ても、該伸縮性糸の表面にも染色
を施すことができ、染色加工上の問題が生じない。
【0051】前記のようにジャカードガイド筬に伸縮性
糸を配して編成する場合において、前記編目を編む地ガ
イド筬(L2 )以外の地ガイド筬(L3 )(L4 )につ
いては、その双方に上記同様に伸縮性糸を導糸して編成
することも、またこれら地ガイド(L3 )(L4 )の一
方または双方を除いて、ジャカードガイド筬(L1 )と
地ガイド筬(L2 )と、他の1枚の地ガイド筬(L3 )
または(L4 )との3枚筬で編成したり、またジャカー
ドガイド筬(L1 )と地ガイド筬(L2 )と2枚筬で編
成することもできる。前者の伸縮性生地としての弾性力
(パワー)が大きくなり、また後者の場合、比較的薄く
軽量な経編地が得られる。
【0052】なお、前記伸縮性経編地の伸長性や弾性力
(パワー)は、伸縮性糸の素材や種類、太さおよび横振
り挿入幅等の編組織との組合せによって、任意に設定す
ることができる。例えば、経方向に大きい伸長性を有す
るものとして、緯方向には経方向よりも小さい伸長性、
あるいは殆ど伸長性を有さないものとすることができ
る。
【0053】さらに、前記経編地(A)において、編柄
や用途に応じて、幅方向の任意の個所を部分的に伸長性
や弾性力(パワー)を異ならせるようにして実施するこ
とができる。
【0054】これらのいずれの実施例の場合において
も、その縁部における波形状のスカラップ(13)の形
成については、上記した実施例の場合と同様に実施する
ことができる。すなわち、地ガイド筬により導糸される
糸が隣接する他の編地部との間を繋がないように編成す
るともに、ジャカードガイド筬(L1 )により導糸され
る糸が隣接する他の編地部(20)との間を山部(13
a)に相当する部分で繋ぎ、かつ谷部(13b)等の他
の部分では繋がないように編成しておくことにより、編
成後の熱セットの際に幅方向にテンションをかければ、
山部(13a)に相当する部分のみが引っ張られてセッ
トされて、波形状をなすスカラップを形成することがで
きる。また縁部の補強構造についても上記した実施例と
同様に実施できる。
【0055】さらにまた、上記したいずれの実施例の場
合においても、ピコット形成用の筬を追加することによ
り、波形状のスカラップ部分に外方に突出するピコット
を形成したものとすることもできる。
【0056】本発明の経編地に使用する非伸縮性糸とし
ては、絹、綿、毛等の天然繊維の糸や、ポリステルやナ
イロン等の合成繊維の糸を用いることができる。また伸
縮性糸としては、ポリウレタン繊維等のスパンデックス
糸(弾性糸)その他の伸縮性糸を使用でき、また弾性糸
の外側に他の合成繊維を巻付けたカバリング弾性糸を用
いることもできる。糸の太さは用途によって異なるが、
例えば非伸縮性の合成繊維のマルチフィラメントの場
合、15〜150デニールの糸が好適に用いられる。ま
た伸縮性糸としては、ポリウレタンのマルチフィラメン
トで15〜420デニールの糸が好適に用いられる。も
ちろんこれに限られるものではない。
【0057】このように構成される経編レース地(A)
は、表面の目が細かく緻密で高級感があって肌触り(当
触感)がよく、かつ伸縮性により身体へのフィット性に
優れており、主にガードルやブラジャーその他の伸縮性
が要求される女性用下着において、特に身体の肌に直に
接する所謂身生地として好適に使用される。図7はその
使用の1例としてガードルに使用した場合を示してお
り、縁部に山部(13a)と谷部(13b)を交互に有
するスカラップ(13)が形成されているために、1枚
もののジャカード柄の経編レース地であっても、縁部の
装飾性、デザイン性に優れ、体裁のよいものとなる。
【0058】そのため、縁部の装飾効果を出すために、
別のレース生地を縫製手段により取着する必要がなく、
使用に際しての縫製作業を不要にでき、コスト安価に提
供できる。しかも別生地を取着する必要がないため、着
用者に違和感を与えることもない。
【0059】なお、上記の実施例において、ジャカード
柄を有する伸縮性経編地とした場合を示したが、前記伸
縮性糸を導糸する筬の糸を、非伸縮性糸に換えるか、ま
たは省略して上記同様に編成して、これを上記したよう
に熱セットすることにより、縁部において山部と谷部を
有する波形状のスカラップが形成されたジャカード柄の
非伸縮性の経編地を得ることができる。
【0060】また、上記の経編地の編成において、少な
くとも1枚の筬の糸を吸湿性や吸乾性または吸臭性等を
有する糸(主に天然繊維の糸)にして上記同様に編成し
て熱セットすることより、縁部に波形状のスカラップが
形成されかつ吸湿性や吸乾性または吸臭性等を有するジ
ャカード柄の経編地を得ることができる。
【0061】
【発明の効果】上記したように本発明の経編地によれ
ば、ジャカード柄の経編地であって、柄筬による経編レ
ース等とは異なり、表面の目が細く緻密で体裁がよく、
各種の女性用下着等に、特に身体に直に接する身生地と
して好適に使用できる。しかも縁部には同じ編目ウエー
ルで山部と谷部が交互に形成されている波形状のスカラ
ップを有するために、別の生地を縫製していない一体も
のの経編地であるにも拘らず、縁部の装飾効果に優れ、
高級感を呈し、商品価値を高めることができる。その
上、別の生地を縫製手段により取着する必要がないの
で、コスト安価に提供できるとともに、着用者に違和感
を与えることもない。
【0062】特に、本発明の経編地の製造方法によれ
ば、編地縁部の波形状のスカラップの形成が容易で、そ
の波形の山部と谷部が滑らかに連続して明瞭に現われ、
美麗で体裁のよいスカラップを構成でき、女性用下着と
して好適に使用できる経編地を容易に得ることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の経編地の1実施例を示す平面図であ
る。
【図2】同上のレース編地を編成する各筬の基本組織と
ジャカードガイド筬の変化状態の組織説明図である。
【図3】伸縮性糸を導糸する筬の変更例を示す組織説明
図である。
【図4】同上の経編地のジャカードガイド筬による要部
の編成状態を示すラッピング組織図である。
【図5】同上の経編地の編成後の熱セット時の一部の略
示平面図である。
【図6】同上の経編地を分離した状態の略示平面図であ
る。
【図7】同上の経編地の使用例を示す正面図である。
【符号の説明】 (A) 経編地 (10) 編地 (11) 縁部 (12) 柄 (13) スカラップ (13a) 山部 (13b) 谷部 (14) 繋ぎ用糸条部 (20) 分離用等の編地部 (L1 ) ジャカードガイド筬 (L2 )(L3 )(L4 )(Ln ) 地ガイド筬
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3B029 HA01 4L002 AB02 AC01 CA04 CB02 EA00 EA06 FA03 4L054 AA02 BB06 BB07 BD05 BD07 FA05 FA06 NA06 NA07

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非伸縮性糸と伸縮性糸を用い、ジャカード
    ガイド筬と地ガイド筬とにより編成され、前記伸縮性糸
    によって経緯両方向または経方向に伸縮性が付与されて
    なるジャカード柄を有する経編地であって、 編地縁部に山部と谷部を交互に有する波形状のスカラッ
    プが形成されてなることを特徴とする経編地。
  2. 【請求項2】少なくとも1枚のジャカードガイド筬と2
    枚以上の地ガイド筬とにより編成してなり、前記ジャカ
    ードガイド筬により非伸縮性糸を導糸して柄を構成する
    とともに部分的に基布を構成し、また2枚以上の地ガイ
    ド筬のうちの少なくとも1枚の地ガイド筬により非伸縮
    性糸を導糸して基布の編目を形成するとともに、他の少
    なくとも1枚の地ガイド筬により伸縮性糸を導糸して挿
    入および/または編目形成することにより基布の編組織
    を構成してなる請求項1に記載の経編地。
  3. 【請求項3】少なくとも1枚のジャカードガイド筬と少
    なくとも1枚の地ガイド筬とにより編成してなり、前記
    ジャカードガイド筬により伸縮性糸を導糸して柄を構成
    するとともに部分的に基布を構成し、他の1枚の地ガイ
    ド筬により非伸縮性糸を導糸して基布の編目を形成して
    なる請求項1に記載の経編地。
  4. 【請求項4】前記波形状のスカラップは、地ガイド筬に
    より導糸される糸が、隣接する他の編地部との間を繋が
    ないように編成されるとともに、ジャカードガイド筬に
    より導糸される糸が、前記隣接する他の編地部との間を
    山部に相当する部分で繋いで他部分では繋がないように
    編成され、適度のテンションを付与した状態でセットさ
    れることにより、山部と谷部が交互に形成されてなるこ
    とを特徴とする請求項2または3に記載の経編地。
  5. 【請求項5】編地縁部と隣接する他の編地部との間に、
    前記谷部に相当する部分では前記編地縁部と隔離され、
    かつ山部に相当する部分では前記編地縁部および隣接す
    る編地部と繋がれるように編成される繋ぎ用糸条部が形
    成され、ジャカードガイド筬により導糸されて該糸条部
    に配される糸が、他の糸より高い張力を有する糸よりな
    る請求項4に記載の経編地。
  6. 【請求項6】前記ジャカードガイド筬により導糸される
    糸が、スカラップの波形状に沿って谷部に相当する部分
    では粗い組織となるようにジャカード制御されて編成さ
    れ、該谷部に相当する部分が伸縮性糸の収縮力で凹入せ
    しめられてなる請求項2〜5のいずれか1項に記載の経
    編地。
  7. 【請求項7】前記スカラップの波形に沿う数ウエールに
    おいて、ジャカードガイド筬により導糸される糸が厚地
    の組織となるようにジャカード制御されて編成されてな
    る請求項2〜6のいずれか1項に記載の経編地。
  8. 【請求項8】経方向に大きい伸長性を有してなる請求項
    1〜7のいずれか1項に記載の経編地。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれか1項に記載の経編
    地において、部分的に伸長性や弾性力を異ならせてなる
    経編地。
  10. 【請求項10】請求項1〜9のいずれか1項に記載の経
    編地における伸縮性糸を導糸する筬のうちの少なくとも
    1枚の筬の糸を、吸湿性や吸乾性または吸臭性等を有す
    る糸に換えて編成し、縁部において山部と谷部を有する
    波形状のスカラップを形成してなることを特徴とする経
    編地。
  11. 【請求項11】請求項1〜10のいずれか1項に記載の
    経編地における伸縮性糸を導糸する筬の糸を、非伸縮性
    糸に換えるか、または省略して編成し、縁部において山
    部と谷部を有する波形状のスカラップを形成してなるこ
    とを特徴とする経編地。
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