JP2000328103A - Ｔｉ−Ａｌ系合金射出成形体の脱バインダー法及びそのための粉末成形体の脱脂装置 - Google Patents
Ｔｉ−Ａｌ系合金射出成形体の脱バインダー法及びそのための粉末成形体の脱脂装置Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 従来よりも優れた脱脂効果を得ることができ
るＴｉ−Ａｌ系合金射出成形体の脱バインダー法及びそ
のための粉末成形体の脱脂装置を提供しようとするも
の。 【解決手段】 このＴｉ−Ａｌ系合金射出成形体の脱バ
インダー法は、Ｔｉ−Ａｌ系合金粉末と有機バインダー
との混練物から成る射出成形体の溶剤脱脂処理された成
形体４を用い、１×１０-3 Torr 以下の減圧雰囲気で前
記有機バインダー成分のうち最高の蒸気圧を持つ成分の
雰囲気圧より小さい温度下で成形体を加熱することによ
りワックス類バインダーの除去処理を行う工程を有す
る。
るＴｉ−Ａｌ系合金射出成形体の脱バインダー法及びそ
のための粉末成形体の脱脂装置を提供しようとするも
の。 【解決手段】 このＴｉ−Ａｌ系合金射出成形体の脱バ
インダー法は、Ｔｉ−Ａｌ系合金粉末と有機バインダー
との混練物から成る射出成形体の溶剤脱脂処理された成
形体４を用い、１×１０-3 Torr 以下の減圧雰囲気で前
記有機バインダー成分のうち最高の蒸気圧を持つ成分の
雰囲気圧より小さい温度下で成形体を加熱することによ
りワックス類バインダーの除去処理を行う工程を有す
る。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】この発明は、Ｔｉ−Ａｌ系金
属間化合物等の射出成形体を焼結する前工程として行わ
れる脱脂方法及びその装置に関するものである。
属間化合物等の射出成形体を焼結する前工程として行わ
れる脱脂方法及びその装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】射出成形焼結金属は、金属粉末と多量の
有機バインダーとの混練物を金型内で射出して成形し、
成形体とし、前記成形体を脱バインダー処理後、焼結し
て焼結金属製品とする。
有機バインダーとの混練物を金型内で射出して成形し、
成形体とし、前記成形体を脱バインダー処理後、焼結し
て焼結金属製品とする。
【０００３】従来より、Ｔｉ−Ａｌ粉体またはＴｉ−Ａ
ｌ粉体に多合金粉末を混合或いはプレミックスした粉末
を使用して、射出成形法により焼結体を製造可能である
が、前記成形体を焼結する前工程として、上記バインダ
ーを除去する脱脂工程が行われる。
ｌ粉体に多合金粉末を混合或いはプレミックスした粉末
を使用して、射出成形法により焼結体を製造可能である
が、前記成形体を焼結する前工程として、上記バインダ
ーを除去する脱脂工程が行われる。
【０００４】上記脱脂工程としては成形体を所定のバイ
ンダーの軟化点以上の温度に加熱して成形体中のバイン
ダーを軟化させ濾紙等の多孔質体によって吸い取る方法
（例えば特開昭５７−１６１０３号、特開昭５７−１６
１０４号、特開昭５８−１２６９０１号）や、成形体を
所定のバインダーの分解点以上の温度に加熱して、成形
体中のバインダーを熱分解し、揮散させる方法（例えば
特開昭６２−２９７４０３号）等のような加熱脱脂法が
ある。
ンダーの軟化点以上の温度に加熱して成形体中のバイン
ダーを軟化させ濾紙等の多孔質体によって吸い取る方法
（例えば特開昭５７−１６１０３号、特開昭５７−１６
１０４号、特開昭５８−１２６９０１号）や、成形体を
所定のバインダーの分解点以上の温度に加熱して、成形
体中のバインダーを熱分解し、揮散させる方法（例えば
特開昭６２−２９７４０３号）等のような加熱脱脂法が
ある。
【０００５】また上記バインダーの少なくとも一部を溶
解する溶剤にこの成形体を浸漬して前記成形体中のバイ
ンダーを抽出する方法（例えば特開平１−１２９９０２
号）や、前記溶剤蒸気中に前記成形体を置いてバインダ
ーの軟化点以上の温度に加熱して前記成形体中のバイン
ダーを抽出する方法（例えば特開昭５２−１４５４１４
号）等の溶剤脱脂方法がある。
解する溶剤にこの成形体を浸漬して前記成形体中のバイ
ンダーを抽出する方法（例えば特開平１−１２９９０２
号）や、前記溶剤蒸気中に前記成形体を置いてバインダ
ーの軟化点以上の温度に加熱して前記成形体中のバイン
ダーを抽出する方法（例えば特開昭５２−１４５４１４
号）等の溶剤脱脂方法がある。
【０００６】さらに前記成形体を１×１０-2〜１×１０
2 Torrの真空中で加熱してバインダーを分解し、揮散し
た分解ガスを真空排気により取り去る真空脱脂法（例え
ば特開平３−１９１００２号）等がある。
2 Torrの真空中で加熱してバインダーを分解し、揮散し
た分解ガスを真空排気により取り去る真空脱脂法（例え
ば特開平３−１９１００２号）等がある。
【０００７】しかしながら、前記従来の加熱脱脂法ある
いは溶剤蒸気を用いる溶剤脱脂法においては成形体を軟
化点あるいは熱分解点以上に加熱しなければならないの
で、Ｔｉ−Ａｌ粉末のような活性金属では加熱雰囲気中
での粉末の酸化は避けられない。また溶剤浸漬による溶
剤脱脂法では成形体中のワックス類バインダー除去が可
能であっても残留バインダー（樹脂バインダー）は不可
避であると同時に、成形体の多孔質化によって浸漬時の
汚染した溶剤が多孔質内に閉じ込められる結果、ワック
ス類残渣は除去されない。
いは溶剤蒸気を用いる溶剤脱脂法においては成形体を軟
化点あるいは熱分解点以上に加熱しなければならないの
で、Ｔｉ−Ａｌ粉末のような活性金属では加熱雰囲気中
での粉末の酸化は避けられない。また溶剤浸漬による溶
剤脱脂法では成形体中のワックス類バインダー除去が可
能であっても残留バインダー（樹脂バインダー）は不可
避であると同時に、成形体の多孔質化によって浸漬時の
汚染した溶剤が多孔質内に閉じ込められる結果、ワック
ス類残渣は除去されない。
【０００８】真空下での加熱による成形体中のバインダ
ー揮散ガスを真空排気する真空脱脂法では、真空中の加
熱により成形体肉厚中より一旦は抽出された熱分解ガス
が真空脱脂室内での排気ガスの十分な拡散対流が行われ
ないため、抽出ガス成分が成形体表面及びその近傍に飛
散堆積し十分な脱脂効果が得られないという問題点を有
する。
ー揮散ガスを真空排気する真空脱脂法では、真空中の加
熱により成形体肉厚中より一旦は抽出された熱分解ガス
が真空脱脂室内での排気ガスの十分な拡散対流が行われ
ないため、抽出ガス成分が成形体表面及びその近傍に飛
散堆積し十分な脱脂効果が得られないという問題点を有
する。
【０００９】更に成形体を真空あるいは減圧下で脱脂す
る場合、その炉体構造において、処理成形体から離れた
位置に放射状あるいは対角線状に熱源ヒーターが配置さ
れるため、加熱時の炉内昇温は輻射熱の依存によるた
め、成形体と雰囲気の温度差は大きな不均一が生じる。
このため脱バインダーの脱脂率等において、バラツキや
ぬけが悪く長時間の処理を要すると言う問題点がある。
る場合、その炉体構造において、処理成形体から離れた
位置に放射状あるいは対角線状に熱源ヒーターが配置さ
れるため、加熱時の炉内昇温は輻射熱の依存によるた
め、成形体と雰囲気の温度差は大きな不均一が生じる。
このため脱バインダーの脱脂率等において、バラツキや
ぬけが悪く長時間の処理を要すると言う問題点がある。
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】そこでこの発明は、従
来よりも優れた脱脂効果を得ることができるＴｉ−Ａｌ
系合金射出成形体の脱バインダー法及びそのための粉末
成形体の脱脂装置を提供しようとするものである。
来よりも優れた脱脂効果を得ることができるＴｉ−Ａｌ
系合金射出成形体の脱バインダー法及びそのための粉末
成形体の脱脂装置を提供しようとするものである。
【００１１】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
この発明では次のような技術的手段を講じている。 この発明のＴｉ−Ａｌ系合金射出成形体の脱バイン
ダー法は、Ｔｉ−Ａｌ系合金粉末と有機バインダーとの
混練物から成る射出成形体の溶剤脱脂処理された成形体
を用い、１×１０-3 Torr 以下の減圧雰囲気で前記有機
バインダー成分のうち最高の蒸気圧を持つ成分の雰囲気
圧より小さい温度下で成形体を加熱することによりワッ
クス類バインダーの除去処理を行う工程を有することを
特徴とする。
この発明では次のような技術的手段を講じている。 この発明のＴｉ−Ａｌ系合金射出成形体の脱バイン
ダー法は、Ｔｉ−Ａｌ系合金粉末と有機バインダーとの
混練物から成る射出成形体の溶剤脱脂処理された成形体
を用い、１×１０-3 Torr 以下の減圧雰囲気で前記有機
バインダー成分のうち最高の蒸気圧を持つ成分の雰囲気
圧より小さい温度下で成形体を加熱することによりワッ
クス類バインダーの除去処理を行う工程を有することを
特徴とする。
【００１２】この方法は１×１０-3 Torr 以下の減圧雰
囲気で有機バインダーの融点と蒸気圧とを勘案したもの
であり、従来よりも優れた脱脂効果を得ることができ
る。 引き続いて１×１０-2〜１２Torrの減圧下で不活性
ガスのパーシャル圧気流中で３００℃以上且つ、前記成
形体の固相線以下の温度に保持調整し、有機バインダー
の加熱揮散と不活性ガスの対流により取り除く脱脂工程
を有するように構成することができる。
囲気で有機バインダーの融点と蒸気圧とを勘案したもの
であり、従来よりも優れた脱脂効果を得ることができ
る。 引き続いて１×１０-2〜１２Torrの減圧下で不活性
ガスのパーシャル圧気流中で３００℃以上且つ、前記成
形体の固相線以下の温度に保持調整し、有機バインダー
の加熱揮散と不活性ガスの対流により取り除く脱脂工程
を有するように構成することができる。
【００１３】このように１×１０-2〜１２Torrの減圧下
で不活性ガスのパーシャル圧気流中で脱脂するように構
成すると、より優れた脱脂効果を得ることができる。 この発明の粉末成形体の脱脂装置は、脱脂室の粉末
成形体設置部の各棚ゾーンに熱源ヒーターを配置し、脱
脂処理時の成形体実体温度と雰囲気温度の均一化を図る
ようにしたことを特徴とする。
で不活性ガスのパーシャル圧気流中で脱脂するように構
成すると、より優れた脱脂効果を得ることができる。 この発明の粉末成形体の脱脂装置は、脱脂室の粉末
成形体設置部の各棚ゾーンに熱源ヒーターを配置し、脱
脂処理時の成形体実体温度と雰囲気温度の均一化を図る
ようにしたことを特徴とする。
【００１４】このように構成すると、脱脂室の粉末成形
体設置部の各棚ゾーンに配置した熱源ヒーターからの伝
熱と輻射により均一温度分布を保ち、高率で脱脂するこ
とができる。また、上記の脱脂方法を生産規模で処理す
ることができる装置を提供することができる。
体設置部の各棚ゾーンに配置した熱源ヒーターからの伝
熱と輻射により均一温度分布を保ち、高率で脱脂するこ
とができる。また、上記の脱脂方法を生産規模で処理す
ることができる装置を提供することができる。
【００１５】
【発明の実施の形態】この実施形態の脱脂方法は、Ｔｉ
−Ａｌ粉末と有機バインダーとの混練物から成る射出成
形体を前記有機バインダー中のワックス類を溶解する溶
剤に浸漬脱脂する射出形成体の脱脂後、減圧雰囲気下で
有機バインダーの最高蒸気圧の雰囲気より小さい温度で
加熱脱脂し、更に引き続いて、減圧下の不活性ガス（Ｈ
ｅ，Ａｒ，Ｎ2 ）によるパーシャル圧気流中で、成形体
を３００℃以上かつ前記成形体の固相線以下に加熱する
ようにしている。
−Ａｌ粉末と有機バインダーとの混練物から成る射出成
形体を前記有機バインダー中のワックス類を溶解する溶
剤に浸漬脱脂する射出形成体の脱脂後、減圧雰囲気下で
有機バインダーの最高蒸気圧の雰囲気より小さい温度で
加熱脱脂し、更に引き続いて、減圧下の不活性ガス（Ｈ
ｅ，Ａｒ，Ｎ2 ）によるパーシャル圧気流中で、成形体
を３００℃以上かつ前記成形体の固相線以下に加熱する
ようにしている。
【００１６】またこの粉末成形体の脱脂装置は、脱脂室
の粉末成形体設置部の各棚ゾーンに熱源ヒーターを配
し、前記成形体の昇温がヒーターからの伝熱と輻射によ
り均一温度分布を保ち、高率にして脱脂可能としてい
る。 〔Ｔｉ−Ａｌ粉末〕金属間化合物粉末の射出成形法によ
る部品の製造方法において、粉末としてＴｉ−Ａｌ粉末
およびＴｉ−Ａｌ粉末と必要に応じて、周期律表上でＶ
ａ、ＶＩａ、ＶIIａ族に属し、Ｔｉ元素に対するγ安定
化元素であるＣｒ，Ｖ，Ｎｂ，Ｍｏ，Ｍｎ，Ｔａのこれ
ら金属粉末を一種以上を後述する割合となるように添加
した混合粉末を使用する。これらの粉末は通常８０μｍ
以下で平均粒径１２μｍのものが好ましい。 〔有機バインダー〕この発明に用いられる有機バインダ
ーはポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酸化ビ
ニル共重合体、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリメ
タクリレート等熱可塑性樹脂、カルナバワックス、パラ
フィンワックス、オレフィンワックス、木ロウ等ワック
ス類、鉱油、植物油等の油類と、ステアリン酸の滑剤が
ある。通常熱可塑性樹脂及びワックス類とステアリン酸
は併用され、脱脂工程ではワックス類、ステアリン酸の
ほぼ全量と熱可塑性樹脂の大部分が除去され、一部残留
した熱可塑性樹脂は焼結時の熱分解によって除去され
る。 〔溶剤〕この実施形態において上記有機バインダーを溶
解する溶剤が用いられ、上記したようにワックス類、ス
テアリン酸と熱可塑性樹脂を併用する場合には、熱可塑
性樹脂を溶解せず、ワックス類・ステアリン酸のみ溶解
するような溶剤を用いる。ここで用いられる溶剤として
は、ｎ−ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、アセトンやト
リクロロエチレン、１，１，１−トリクロロエタン等が
ある。
の粉末成形体設置部の各棚ゾーンに熱源ヒーターを配
し、前記成形体の昇温がヒーターからの伝熱と輻射によ
り均一温度分布を保ち、高率にして脱脂可能としてい
る。 〔Ｔｉ−Ａｌ粉末〕金属間化合物粉末の射出成形法によ
る部品の製造方法において、粉末としてＴｉ−Ａｌ粉末
およびＴｉ−Ａｌ粉末と必要に応じて、周期律表上でＶ
ａ、ＶＩａ、ＶIIａ族に属し、Ｔｉ元素に対するγ安定
化元素であるＣｒ，Ｖ，Ｎｂ，Ｍｏ，Ｍｎ，Ｔａのこれ
ら金属粉末を一種以上を後述する割合となるように添加
した混合粉末を使用する。これらの粉末は通常８０μｍ
以下で平均粒径１２μｍのものが好ましい。 〔有機バインダー〕この発明に用いられる有機バインダ
ーはポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−酸化ビ
ニル共重合体、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリメ
タクリレート等熱可塑性樹脂、カルナバワックス、パラ
フィンワックス、オレフィンワックス、木ロウ等ワック
ス類、鉱油、植物油等の油類と、ステアリン酸の滑剤が
ある。通常熱可塑性樹脂及びワックス類とステアリン酸
は併用され、脱脂工程ではワックス類、ステアリン酸の
ほぼ全量と熱可塑性樹脂の大部分が除去され、一部残留
した熱可塑性樹脂は焼結時の熱分解によって除去され
る。 〔溶剤〕この実施形態において上記有機バインダーを溶
解する溶剤が用いられ、上記したようにワックス類、ス
テアリン酸と熱可塑性樹脂を併用する場合には、熱可塑
性樹脂を溶解せず、ワックス類・ステアリン酸のみ溶解
するような溶剤を用いる。ここで用いられる溶剤として
は、ｎ−ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、アセトンやト
リクロロエチレン、１，１，１−トリクロロエタン等が
ある。
【００１７】この実施形態においては上記Ｔｉ−Ａｌ粉
末と有機バインダーとを有機バインダーの体積比率が３
０〜３８ｖｏｌ％となるように混練し、この混練物を例
えば射出成形、鋳込成形等により所望形状の成形体に成
形する。 〔脱脂〕前記成形体は上記溶剤に常温中浸漬し６５℃ま
で昇温の後、保持する。望ましくは成形体肉厚１ｍｍに
つき１時間の割合で保持し脱脂される。次いで減圧脱脂
において有機バインダー中で最高蒸気圧を有する分子量
２９のｎ−パラフィンの蒸発除去を図るため１×１０-3
Torr の減圧下にて１３０℃で加熱脱脂する。
末と有機バインダーとを有機バインダーの体積比率が３
０〜３８ｖｏｌ％となるように混練し、この混練物を例
えば射出成形、鋳込成形等により所望形状の成形体に成
形する。 〔脱脂〕前記成形体は上記溶剤に常温中浸漬し６５℃ま
で昇温の後、保持する。望ましくは成形体肉厚１ｍｍに
つき１時間の割合で保持し脱脂される。次いで減圧脱脂
において有機バインダー中で最高蒸気圧を有する分子量
２９のｎ−パラフィンの蒸発除去を図るため１×１０-3
Torr の減圧下にて１３０℃で加熱脱脂する。
【００１８】この場合、従来法（図６参照）では低温域
の減圧加熱脱脂は両横のヒーター20からの輻射加熱のみ
によるため、処理室21の中央部分の成形体22の昇温の遅
れが大きく室内温度分布の不均一を招いていた。なお23
は真空ポンプである。
の減圧加熱脱脂は両横のヒーター20からの輻射加熱のみ
によるため、処理室21の中央部分の成形体22の昇温の遅
れが大きく室内温度分布の不均一を招いていた。なお23
は真空ポンプである。
【００１９】これによる脱脂時間の遅延を避けるため、
図４に示すように、処理室３の各段の棚６底の部分に埋
め込みシースヒーター５を用い、成形体４の底面より直
接に伝熱による加熱を図る構造とした。
図４に示すように、処理室３の各段の棚６底の部分に埋
め込みシースヒーター５を用い、成形体４の底面より直
接に伝熱による加熱を図る構造とした。
【００２０】上記と同様に１×１０-2〜１２ Torr 減圧
下で不活性ガスのパーシャル気流中で３００℃以上で前
記成形体の固相線以下の温度で加熱し、バインダーの加
熱揮散においても攪拌排出が大気圧下でのファン等によ
る強制対流効果と同様な除去効率が無酸化雰囲気にて得
られる。 〔使用状態〕Ｔｉ−Ａｌ粉末成形体中のバインダーは事
前の溶剤抽出によりワックス類及びステアリン酸は速や
かに溶解するが、一部溶剤抽出によって汚染した溶剤が
多孔質化した成形体空孔に残渣として残留する。これは
例えば十分な自然乾燥を行っても除去されない。
下で不活性ガスのパーシャル気流中で３００℃以上で前
記成形体の固相線以下の温度で加熱し、バインダーの加
熱揮散においても攪拌排出が大気圧下でのファン等によ
る強制対流効果と同様な除去効率が無酸化雰囲気にて得
られる。 〔使用状態〕Ｔｉ−Ａｌ粉末成形体中のバインダーは事
前の溶剤抽出によりワックス類及びステアリン酸は速や
かに溶解するが、一部溶剤抽出によって汚染した溶剤が
多孔質化した成形体空孔に残渣として残留する。これは
例えば十分な自然乾燥を行っても除去されない。
【００２１】通常の鉄基合金の場合、次工程の大気中加
熱揮散により酸化分解して除去されるが、Ｔｉ−Ａｌ粉
末のような活性金属では大気中での加熱を行うことによ
り酸化や炭素の浸入等を生じ、焼結時の酸化物やＴｉＣ
の生成が生じる。
熱揮散により酸化分解して除去されるが、Ｔｉ−Ａｌ粉
末のような活性金属では大気中での加熱を行うことによ
り酸化や炭素の浸入等を生じ、焼結時の酸化物やＴｉＣ
の生成が生じる。
【００２２】このため、脱脂装置において溶剤抽出後の
成形体を成形体設置部に置いて、１×１０-3 Torr の減
圧下でワックス類中の最高蒸気圧を有する例えば炭素分
子量２９の熱分解温度として１３０℃で加熱することに
より、無酸化にて溶剤の残渣生成物を蒸発揮散し、ワッ
クス類は完全に成形体中より除去される。
成形体を成形体設置部に置いて、１×１０-3 Torr の減
圧下でワックス類中の最高蒸気圧を有する例えば炭素分
子量２９の熱分解温度として１３０℃で加熱することに
より、無酸化にて溶剤の残渣生成物を蒸発揮散し、ワッ
クス類は完全に成形体中より除去される。
【００２３】次いで脱脂室の粉末成形体設置部の各棚に
配置されたシースヒーター上に１×１０-2〜１２Torrの
減圧下、不活性ガスのパーシャル雰囲気中で３００℃以
上に加熱昇温することにより脱脂室の各位置での成形体
が成形体下部からの直接的な伝熱と輻射熱及びパーシャ
ルガス圧による対流がＴｉ−Ａｌ成形体の蒸発揮散にお
いて、実体温度が雰囲気より成形体優先（或いは先行）
となり、成形体固体間の均一な温度によって、無酸化状
態で円滑な脱脂が行われる。このことは上記ワックス類
の蒸発除去においても同様の効果を得ることで脱脂工程
における均一で高い脱脂率が達成できる。
配置されたシースヒーター上に１×１０-2〜１２Torrの
減圧下、不活性ガスのパーシャル雰囲気中で３００℃以
上に加熱昇温することにより脱脂室の各位置での成形体
が成形体下部からの直接的な伝熱と輻射熱及びパーシャ
ルガス圧による対流がＴｉ−Ａｌ成形体の蒸発揮散にお
いて、実体温度が雰囲気より成形体優先（或いは先行）
となり、成形体固体間の均一な温度によって、無酸化状
態で円滑な脱脂が行われる。このことは上記ワックス類
の蒸発除去においても同様の効果を得ることで脱脂工程
における均一で高い脱脂率が達成できる。
【００２４】
【実施例】次に、この発明の構成を図面を参照してより
具体的に説明する。
具体的に説明する。
【００２５】平均粒径１２μｍのＴｉ−５０at％Ａｌ粉
砕粉末の６７．１容量％とポリプロピレン：（カルナバ
ワックス＋パラフィンワックス）：ステアリン酸＝１
３．９：８３．５：２．６重量比の混合バインダー３
２．９容量％とを混練し、図１乃至図３に示すような外
径１４．４ｍｍ、内径６．８ｍｍ、長さ１７．１ｍｍの
自動車用燃料噴射ノズル１を射出成形によって製造し
た。
砕粉末の６７．１容量％とポリプロピレン：（カルナバ
ワックス＋パラフィンワックス）：ステアリン酸＝１
３．９：８３．５：２．６重量比の混合バインダー３
２．９容量％とを混練し、図１乃至図３に示すような外
径１４．４ｍｍ、内径６．８ｍｍ、長さ１７．１ｍｍの
自動車用燃料噴射ノズル１を射出成形によって製造し
た。
【００２６】次いで前記射出成形体を常温の１，１，１
−トリクロロエタン溶剤に浸漬し６０℃まで昇温後、成
形体の最大肉厚部にてその肉厚（ｍｍ）に相当する時間
として４時間の保持を行ない、ワックス類バインダーを
溶剤抽出した後、引き上げ大気中にて乾燥する。ここで
成形体はワックス類の脱脂除去により多孔質体となる
が、ポリプロピレン等の樹脂バインダーによって所望の
形状に維持される。しかし、成形体の多孔質化によって
ワックス類を含む汚染した溶剤残渣が多孔質内に閉じ込
められた結果、一部ワックス類は残渣として残留する。
−トリクロロエタン溶剤に浸漬し６０℃まで昇温後、成
形体の最大肉厚部にてその肉厚（ｍｍ）に相当する時間
として４時間の保持を行ない、ワックス類バインダーを
溶剤抽出した後、引き上げ大気中にて乾燥する。ここで
成形体はワックス類の脱脂除去により多孔質体となる
が、ポリプロピレン等の樹脂バインダーによって所望の
形状に維持される。しかし、成形体の多孔質化によって
ワックス類を含む汚染した溶剤残渣が多孔質内に閉じ込
められた結果、一部ワックス類は残渣として残留する。
【００２７】そこで図４に示す脱脂装置２を用い、前記
残留ワックス類と樹脂バインダーの脱脂を図る。脱脂室
３には、成形体４を保持するためシースヒーター５をネ
ットワーク状に組み込んだ金属製（ステンレス鋼）の棚
６が、不活性ガスのキャリアガス通路を設けて配置され
る。脱脂室３の左右には、脱脂室３を減圧する真空ポン
プ７と減圧下での成形体４から揮散する気化バインダー
を不活性ガスと共に排出するパーシャル圧制御電磁弁
８、及び同ガスの供給口を有する。また脱脂室３の上部
には成形体４、冷却時の冷却効果を図るため、水冷によ
る高温ガスとの熱交換器９を設けてある。
残留ワックス類と樹脂バインダーの脱脂を図る。脱脂室
３には、成形体４を保持するためシースヒーター５をネ
ットワーク状に組み込んだ金属製（ステンレス鋼）の棚
６が、不活性ガスのキャリアガス通路を設けて配置され
る。脱脂室３の左右には、脱脂室３を減圧する真空ポン
プ７と減圧下での成形体４から揮散する気化バインダー
を不活性ガスと共に排出するパーシャル圧制御電磁弁
８、及び同ガスの供給口を有する。また脱脂室３の上部
には成形体４、冷却時の冷却効果を図るため、水冷によ
る高温ガスとの熱交換器９を設けてある。
【００２８】前記脱脂装置２の脱脂室３に溶剤抽出後の
成形体４を配し、１×１０-3 Torrの減圧下で１３０℃
まで昇温後、３時間の保持により残留ワックス類の蒸発
による完全脱脂を行う。引き続き前記蒸発脱脂が終了
後、脱脂室３を１×１０-2から１２ Torr の範囲に減圧
制御し同時にＮ2 ガスによるパーシャル気流中で成形体
４中の樹脂バインダーとしてのポリプロピレン蒸発点以
上の加熱温度として３００℃を超え、３４０℃から４５
０℃でＴｉ−５０ at ％Ａｌ成形体４の減圧脱バインダ
ーを行った。
成形体４を配し、１×１０-3 Torrの減圧下で１３０℃
まで昇温後、３時間の保持により残留ワックス類の蒸発
による完全脱脂を行う。引き続き前記蒸発脱脂が終了
後、脱脂室３を１×１０-2から１２ Torr の範囲に減圧
制御し同時にＮ2 ガスによるパーシャル気流中で成形体
４中の樹脂バインダーとしてのポリプロピレン蒸発点以
上の加熱温度として３００℃を超え、３４０℃から４５
０℃でＴｉ−５０ at ％Ａｌ成形体４の減圧脱バインダ
ーを行った。
【００２９】図５のグラフに、各減圧下パーシャル気流
中での加熱温度と成形体４の脱脂率を示す。例えば、５
×１０-2〜１．２×１０-1 Torr の減圧下で４リットル
／ｍｉｎのＮ2 ガスパーシャル気流中でより酸化リスク
の低い３４０℃及び３６０℃／３Ｈｒ保持では夫々脱脂
率が９６％から９７％の無酸化での高い脱脂率が得られ
た。
中での加熱温度と成形体４の脱脂率を示す。例えば、５
×１０-2〜１．２×１０-1 Torr の減圧下で４リットル
／ｍｉｎのＮ2 ガスパーシャル気流中でより酸化リスク
の低い３４０℃及び３６０℃／３Ｈｒ保持では夫々脱脂
率が９６％から９７％の無酸化での高い脱脂率が得られ
た。
【００３０】
【発明の効果】この発明は上述のような構成であり、次
の効果を有する。
の効果を有する。
【００３１】従来よりも優れた脱脂効果を得ることがで
きるＴｉ−Ａｌ系合金射出成形体の脱バインダー法、及
びそのための粉末成形体の脱脂装置を提供することがで
きる。
きるＴｉ−Ａｌ系合金射出成形体の脱バインダー法、及
びそのための粉末成形体の脱脂装置を提供することがで
きる。
【図１】この発明の実施例の自動車用燃料噴射ノズルの
斜視図。
斜視図。
【図２】図１の自動車用燃料噴射ノズルの断面構造を説
明する図。
明する図。
【図３】図１の自動車用燃料噴射ノズルの底面図。
【図４】この発明の実施例の脱脂装置の構造の模式図。
【図５】５０Ｔｉ−５０Ａｌ成形体の脱媒温度・圧力と
脱媒の関係を示すグラフ。
脱媒の関係を示すグラフ。
【図６】従来の脱脂装置の構造の模式図。
３ 脱脂室 ４ 成形体 ５ ヒーター ６ 棚
フロントページの続き (72)発明者 新熊 隆 大阪府大阪市東淀川区瑞光４丁目４番28号 大阪冶金興業株式会社内 (72)発明者 寺岡 常雄 大阪府大阪市東淀川区瑞光４丁目４番28号 大阪冶金興業株式会社内 Ｆターム(参考） 4K018 AA06 AA15 BA03 BA08 CA08 CA30 DA03 DA04
Claims (3)
- 【請求項１】 Ｔｉ−Ａｌ系合金粉末と有機バインダー
との混練物から成る射出成形体の溶剤脱脂処理された成
形体を用い、１×１０-3 Torr 以下の減圧雰囲気で前記
有機バインダー成分のうち最高の蒸気圧を持つ成分の雰
囲気圧より小さい温度下で成形体を加熱することにより
ワックス類バインダーの除去処理を行う工程を有するこ
とを特徴とするＴｉ−Ａｌ系合金射出成形体の脱バイン
ダー法。 - 【請求項２】 引き続いて１×１０-2〜１２Torrの減圧
下で不活性ガスのパーシャル圧気流中で３００℃以上且
つ、前記成形体の固相線以下の温度に保持調整し、有機
バインダーの加熱揮散と不活性ガスの対流により取り除
く脱脂工程を有する請求項１記載のＴｉ−Ａｌ系合金射
出成形体の脱バインダー法。 - 【請求項３】 脱脂室の粉末成形体設置部の各棚ゾーン
に熱源ヒーターを配置し、前記請求項１又は２における
脱脂処理時の成形体実体温度と雰囲気温度の均一化を図
るようにしたことを特徴とする粉末成形体の脱脂装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP14015999A JP2000328103A (ja) | 1999-05-20 | 1999-05-20 | Ｔｉ−Ａｌ系合金射出成形体の脱バインダー法及びそのための粉末成形体の脱脂装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP14015999A JP2000328103A (ja) | 1999-05-20 | 1999-05-20 | Ｔｉ−Ａｌ系合金射出成形体の脱バインダー法及びそのための粉末成形体の脱脂装置 |
Publications (1)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2000328103A true JP2000328103A (ja) | 2000-11-28 |
Family
ID=15262252
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP14015999A Pending JP2000328103A (ja) | 1999-05-20 | 1999-05-20 | Ｔｉ−Ａｌ系合金射出成形体の脱バインダー法及びそのための粉末成形体の脱脂装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2000328103A (ja) |
Cited By (6)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP2003286503A (ja) * | 2002-03-28 | 2003-10-10 | Shizuoka Prefecture | 金属粉末射出成形用有機バインダ |
| JP2006035314A (ja) * | 2004-07-27 | 2006-02-09 | General Electric Co <Ge> | 粉末の射出成形により溶加材溶接棒を製造する方法 |
| EA009749B1 (ru) * | 2005-08-23 | 2008-04-28 | Бейкер Хьюз Инкорпорейтед | Способ изготовления облицовки кумулятивного заряда посредством литья под давлением (варианты) |
| FR2990436A1 (fr) * | 2012-05-11 | 2013-11-15 | Commissariat Energie Atomique | Composition chargee de poudre d'actinide et de polymere aromatique et/ou de pmma |
| FR2990435A1 (fr) * | 2012-05-11 | 2013-11-15 | Commissariat Energie Atomique | Composition chargee de poudre d'actinide et de poly-olefinique |
| KR101380363B1 (ko) * | 2011-08-02 | 2014-04-02 | 주식회사 제이앤에스리프레쉬 | 다공질 티타늄의 제조 방법 및 제품 |
-
1999
- 1999-05-20 JP JP14015999A patent/JP2000328103A/ja active Pending
Cited By (15)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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| FR2990436A1 (fr) * | 2012-05-11 | 2013-11-15 | Commissariat Energie Atomique | Composition chargee de poudre d'actinide et de polymere aromatique et/ou de pmma |
| WO2013167563A3 (fr) * | 2012-05-11 | 2014-04-03 | Commissariat A L'energie Atomique Et Aux Energies Alternatives | Composition chargée de poudre d'actinide et de poly-oléfinique |
| WO2013167566A3 (fr) * | 2012-05-11 | 2014-04-03 | Commissariat A L'energie Atomique Et Aux Energies Alternatives | Composition chargee de poudre d'actinide et de polymere aromatique et/ou de pmma |
| CN104428355A (zh) * | 2012-05-11 | 2015-03-18 | 原子能和能源替代品委员会 | 填充有聚烯烃和锕系元素粉末的组合物 |
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| JP2015516018A (ja) * | 2012-05-11 | 2015-06-04 | コミサリヤ・ア・レネルジ・アトミク・エ・オ・エネルジ・アルテルナテイブ | ポリオレフィンおよびアクチニド粉末を用いて充填された組成物 |
| US9394422B2 (en) | 2012-05-11 | 2016-07-19 | Commissariat A L'energie Atomique Et Aux Energies Alternatives | Composition filled with polyolefin and actinide powder |
| RU2628599C2 (ru) * | 2012-05-11 | 2017-08-21 | Коммиссариат А Л'Энержи Атомик Э О Энержи Альтернатив | Композиция, наполненная порошком актиноида и ароматическим полимером и/или полиметилметакрилатом |
| RU2632020C2 (ru) * | 2012-05-11 | 2017-10-02 | Коммиссариат А Л'Энержи Атомик Э О Энержи Альтернатив | Композиция, наполненная полиолефином и актинидным порошком |
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