JP2000327617A - オキシスチレン誘導体の蒸留方法 - Google Patents

オキシスチレン誘導体の蒸留方法

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】ポリマー生成がほとんどなく、高い回収率でオ
キシスチレン誘導体を得る経済性に優れた蒸留方法を提
供する。 【解決の手段】一般式1のオキシスチレン誘導体の蒸留
において、重合禁止剤としてニトロソ化合物及び/又は
ニトロ化合物を添加するオキシスチレン誘導体の蒸留方
法。 (Rは、アルキル基、アリール基、アリールアルキル
基、アルコキシアルキル基、アルキルカルボニル基、ア
ルコキシカルボニル基又はアルキルシリル基を表わ
す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医農薬、機能性高
分子等の原料として有用なオキシスチレン誘導体の蒸留
方法に関するものである。例えば、パラ−第3級−ブト
キシスチレン(以下、p−第3級−ブトキシスチレンを
「PTBS」と略記する)、パラ−アセトキシスチレン
(以下、p−アセトキシスチレンを「PACS」と略記
する)は、超LSI用途等に使用されるレジスト原料と
して極めて有用であることが知られており(特開昭59
−199705号公報、特開平3−277608号公
報、特開平6−266112号公報)、また、メタ−第
3級−ブトキシスチレン(以下、m−第3級−ブトキシ
スチレンを「MTBS」と略記する)は、機能性高分
子、医農薬等の中間原料として有用であることが知られ
ている(特開平2−160739号公報)。
【0002】
【従来の技術】PTBSやPACS、MTBSのごとき
オキシスチレン誘導体は、一般に光や熱などによって重
合することが知られている。例えば、PTBSやMTB
Sのごとき第3級−ブトキシスチレンは、ハロスチレン
をマグネシウムと反応させグリニヤール試剤とした後、
過安息香酸−第3級ブチルエステルを作用させて得る方
法(特開昭59−199705号公報),第3級−ブト
キシハロベンゼンをマグネシウムと反応させグリニヤー
ル試剤とした後、塩化ビニル、臭化ビニル等のビニルハ
ライドを作用させて得る方法(特公平4−71896号
公報、特開平2−160739号公報)等により得られ
る。また、PACSのごときアセトキシスチレンは、ア
セトキシベンズアルデヒドをジブロモメタンと作用させ
て得る方法(特開平8−157410号公報)等により
得られる。
【0003】これらオキシスチレン誘導体の製造法につ
いては、いずれの場合においても、製品を分離回収する
ために、通常、蒸留操作が行われる。しかしながら、こ
れらオキシスチレン誘導体は、前記したように光や熱に
より重合してポリマー状物質を形成するため、製品収率
が著しく低下するという問題がある。更に、蒸留釜内及
び蒸留塔内において高粘性のポリマー状物質が生成する
ため種々のトラブルを引き起こす。従って、このような
蒸留工程での重合トラブルを回避するために、これま
で、重合禁止剤の存在下に蒸留操作を行う方法がとられ
ている。例えば、PTBS,MTBSのごとき第三級−
ブトキシスチレンにおいては、p−第三級−ブチルカテ
コールの存在下に蒸留を行う方法(特公平4−7189
6号公報、特開平2−160739号公報)、また、P
ACSのごときアセトキシスチレンにおいては2−第三
級−ブチルハイドロキノンの存在下に蒸留を行う方法
(特開平8−157410号公報)が開示されている。
【0004】しかしながら、これらの重合禁止剤は、蒸
留工程における加熱条件下では、十分なポリマー形成の
抑制効果を示さず、製品収率が低下するという問題に加
え、高粘性ポリマー状物質の生成により蒸留塔及び配管
が閉塞する等のトラブルを引き起こし、オキシスチレン
誘導体の蒸留方法として満足できるものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の課題
に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来の方法
では満足できなかったオキシスチレン誘導体の蒸留方法
を提供することにある。すなわち、従来の問題点を解決
し、ポリマー生成がほとんどなく、高い回収率でPTB
SやPACS、MTBSのごときオキシスチレン誘導体
を得る経済性に優れた蒸留方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来の問
題点を解決すべく鋭意検討した結果、PTBSやPAC
S、MTBSのごときオキシスチレン誘導体の蒸留工程
において、重合禁止剤として、ニトロソ化合物及び/又
はニトロ化合物を添加することにより、実質的にポリマ
ー状物質が生成することなく、PTBSやPACS、M
TBSのごときオキシスチレン誘導体を高い回収率で蒸
留可能となることを見出し、本発明を完成させるに至っ
た。
【0007】すなわち、本発明は、オキシスチレン誘導
体の蒸留において、重合禁止剤として、ニトロソ化合物
及び/又はニトロ化合物を添加することを特徴とするオ
キシスチレン誘導体の蒸留方法である。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】本発明において使用される上記一般式
(1)で表わされるオキシスチレン誘導体とは、ヒドロ
キシスチレンの水酸基の水素がアルキル基、アリール
基、アリールアルキル基、アルコキシアルキル基、アル
キルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルキル
シリル基に置換されたものをいい、例えば、p−メトキ
シスチレン、m−メトキシスチレン、p−エトキシスチ
レン、m−エトキシスチレン、p−n−プロポキシスチ
レン、m−n−プロポキシスチレン、p−i−プロポキ
シスチレン、m−i−プロポキシスチレン、p−n−ブ
トキシスチレン、m−n−ブトキシスチレン、p−i−
ブトキシスチレン、m−i−ブトキシスチレン、p−第
三級−ブトキシスチレン(PTBS)、m−第三級−ブ
トキシスチレン(MTBS)、p−n−ペンチルオキシ
スチレン、m−n−ペンチルオキシスチレン、p−i−
ペンチルオキシスチレン、m−i−ペンチルオキシスチ
レン、p−第三級−アミルオキシスチレン、p−第三級
−アミルオキシスチレン、p−シクロプロピルメチルオ
キシスチレン、m−シクロプロピルメチルオキシスチレ
ン、p−シクロヘキシルオキシスチレン、m−シクロヘ
キシルオキシスチレン等のアルコキシスチレン類、p−
フェニルオキシスチレン、m−フェニルオキシスチレ
ン、p−(4−メチルフェニル)オキシスチレン、m−
(4−メチルフェニル)オキシスチレン、p−(2−メ
チルフェニル)オキシスチレン、m−(2−メチルフェ
ニル)オキシスチレン、p−(4−メトキシフェニル)
オキシスチレン、m−(4−メトキシフェニル)オキシ
スチレン、p−(2−メトキシフェニル)オキシスチレ
ン、m−(2−メトキシフェニル)オキシスチレン、p
−(4−エトキシフェニル)オキシスチレン、m−(4
−エトキシフェニル)オキシスチレン、p−(2−エト
キシフェニル)オキシスチレン、m−(2−エトキシフ
ェニル)オキシスチレン、p−(4−第三級−ブトキシ
フェニル)オキシスチレン、m−(4−第三級−ブトキ
シフェニル)オキシスチレン、p−(2−第三級−ブト
キシフェニル)オキシスチレン、m−(2−第三級−ブ
トキシフェニル)オキシスチレン等のアリールオキシス
チレン類、p−ベンジルオキシスチレン、m−ベンジル
オキシスチレン、p−(4−メチルフェニル)メトキシ
スチレン、m−(4−メチルフェニル)メトキシスチレ
ン、等のアリールアルキルオキシスチレン類、p−メト
キシメトキシスチレン、m−メトキシメトキシスチレ
ン、p−(2−テトラヒドロピラニル)オキシスチレ
ン、m−(2−テトラヒドロピラニル)オキシスチレン
等のアルコキシアルキルオキシスチレン類、p−アセト
キシスチレン(PACS)、m−アセトキシスチレン、
p−アセトキシスチレン、p−第三級−ブチルカルボニ
ルオキシスチレン、m−第三級−ブチルカルボニルオキ
シスチレン等のアルキルカルボニルオキシスチレン類、
p−メトキシカルボニルオキシスチレン、m−メトキシ
カルボニルオキシスチレン、p−ベンジロキシカルボニ
ルオキシスチレン、m−ベンジロキシカルボニルオキシ
スチレン、p−第三級−ブトキシカルボニルオキシスチ
レン、m−第三級−ブトキシカルボニルオキシスチレン
等のアルコキシカルボニルオキシスチレン類、p−トリ
メチルシリルオキシスチレン、m−トリメチルシリルオ
キシスチレン、p−第三級−ブチルジメチルシリルオキ
シスチレン、m−第三級−ブチルジメチルシリルオキシ
スチレン等のアルキルシリルオキシスチレン類等が挙げ
られる。
【0010】本発明の方法において、重合禁止剤として
用いられるニトロソ化合物及び/又はニトロ化合物と
は、構造式中にニトロソ基及び/又はニトロ基を含有す
るものを言う。ニトロソ化合物としては例えば、ニトロ
ソベンゼン、ニトロソトルエン、p−ニトロソフェノー
ル、ニトロソレゾルシノール、1−ニトロソ−2−ナフ
トール、2−ニトロソ−1−ナフトール等のニトロソ芳
香族炭化水素、N−ニトロソジフェニルアミン、N−ニ
トロソ−N−メチルアニリン、N−ニトロソ−N−フェ
ニルアニリン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミ
ン、N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミン塩(金属
塩、アンモニウム塩等)等のN−ニトロソ類が挙げられ
る。また、ニトロ化合物としては例えば、o−ジニトロ
ベンゼン、m−ジニトロベンゼン、p−ジニトロベンゼ
ン、2,4−ジニトロクロロベンゼン、1,5−ジニト
ロナフタレン、2,4−ジニトロ−1−ナフトール、
2,4−ジニトロフェノール、2,5−ジニトロフェノ
ール、2,4−ジニトロ−6−第二級−ブチル−フェノ
ール、4,6−ジニトロ−o−クレゾール、1,3,5
−トリニトロベンゼン等のニトロ芳香族化合物が挙げら
れる。
【0011】これらのうち、重合禁止能力及び入手の容
易さを考慮すると、N−ニトロソフェニルヒドロキシル
アミンアンモニウム塩、N−ニトロソフェニルヒドロキ
シルアミンアルミニウム塩、2,4−ジニトロフェノー
ルの使用が好ましい。
【0012】本発明の方法におけるニトロソ化合物及び
/又はニトロ化合物の添加量は、オキシスチレン誘導体
に対し、1〜100000ppm、好ましくは、100
〜10000ppmの範囲が選ばれる。添加量が、1p
pm未満では重合禁止効果が十分に発揮されない。ま
た、100000ppmを越えると添加量の割には効果
の向上が見られず、むしろ経済的に不利となる。
【0013】本発明の方法において、重合禁止剤を含む
オキシスチレン誘導体の蒸留温度は、特に制限はない
が、通常、20〜200℃の範囲であり、好ましくは、
50〜150℃である。蒸留温度がこの範囲内であれ
ば、重合防止効果が十分に発揮される。また、本蒸留
は、通常、減圧下で実施され、圧力としては0.1〜2
00mmHgの範囲が選ばれる。更に、本蒸留において
は、気流同伴を伴わない無気条件又は、窒素あるいは空
気等の気流同伴を行う有気条件下のいずれで蒸留を実施
しても良い。
【0014】本発明の方法においては、重合防止効果を
更に向上させるために、所望に応じ、他の重合禁止剤、
例えばp−第三級−ブチルカテコール、ハイドロキノ
ン、p−メトキシフェノール等を共存させることができ
る。
【0015】
【実施例】以下に、本発明の方法を実施例により具体的
に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定される
ものではない。
【0016】実施例1 100mlフラスコに、PTBS 10gと重合禁止剤
としてN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアンモ
ニウム塩0.01gを添加した。次にこのフラスコに還
流コンデンサーを取り付けて、120℃、5mmHgの
条件で16時間連続して還流を行った。なお、この際、
液中にキャピラリーを通じて空気を導入した。
【0017】還流終了後、フラスコ内のPTBSをサン
プリングし、液体クロマトグラフィー(カラム:GPC
−2000)で分析し、その組成からポリマーの収率を
求め、その結果を表1に示した。
【0018】
【表1】
【0019】実施例2〜10 実施例1で使用したN−ニトロソフェニルヒドロキシル
アミンアンモニウム塩に代えて、表1に示した重合禁止
剤を所定量用いた以外は、実施例1に準じて還流を行
い、それらの結果を表1にまとめて示した。
【0020】実施例11 実施例1で使用したPTBSに代えてMTBS 10g
を用いた以外は、実施例1に準じて還流を行った。還流
終了後、フラスコ内のMTBSをサンプリングし、液体
クロマトグラフィー(カラム:GPC−2000)で分
析し、その組成からポリマーの収率を求め、その結果を
表1に示した。
【0021】比較例1〜4 実施例1で使用したN−ニトロソフェニルヒドロキシル
アミンアンモニウム塩に代えて、表1に示した重合禁止
剤を所定量用いた以外は、実施例1に準じて還流を行
い、それらの結果を表1にまとめて示した。
【0022】比較例5 実施例1で使用したPTBSに代えてMTBS 10g
を用い、重合禁止剤としてp−第三級−ブチルカテコー
ル 0.01gを用いた以外は、実施例1に準じて還流
を行った。還流終了後、フラスコ内のMTBSをサンプ
リングし、液体クロマトグラフィー(カラム:GPC−
2000)で分析し、その組成からポリマーの収率を求
め、その結果を表1に示した。
【0023】実施例12 100mlフラスコに、PACS 10gと重合禁止剤
としてN−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミ
ニウム塩0.05gを添加した。次にこのフラスコに還
流コンデンサーを取り付けて、120℃、4mmHgの
条件で16時間連続して還流を行った。なお、この際、
液中にキャピラリーを通じて空気を導入した。
【0024】還流終了後、フラスコ内のPACSをサン
プリングし、液体クロマトグラフィー(カラム:GPC
−2000)で分析し、その組成からポリマーの収率を
求め、その結果を表2に示した。
【0025】
【表2】
【0026】実施例13〜18 実施例12で使用したN−ニトロソフェニルヒドロキシ
ルアミンアルミニウム塩に代えて、表2に示した重合禁
止剤を所定量用いた以外は、実施例12に準じて還流を
行い、その結果を表2にまとめて示した。
【0027】比較例6〜10 実施例12で使用したN−ニトロソフェニルヒドロキシ
ルアミンアルミニウム塩に代えて、表2に示した重合禁
止剤を所定量用いた以外は、実施例12に準じて還流を
行い、それらの結果を表2にまとめて示した。
【0028】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の方法によれば、従来の問題点を解決して、オキシスチ
レン誘導体をポリマー状物質がほとんど生成することな
く、高い回収率で蒸留することが可能となる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 67/62 C07C 67/62 69/157 69/157

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(1)(式中、Rは、アルキル
    基、アリール基、アリールアルキル基、アルコキシアル
    キル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル
    基又はアルキルシリル基を表わす。)で表されるオキシ
    スチレン誘導体の蒸留において、重合禁止剤としてニト
    ロソ化合物及び/又はニトロ化合物を添加することを特
    徴とするオキシスチレン誘導体の蒸留方法。 【化1】
  2. 【請求項2】オキシスチレン誘導体が、下記一般式
    (2)で表される第三級−ブトキシスチレンであること
    を特徴とする請求項1に記載の蒸留方法。 【化2】
  3. 【請求項3】オキシスチレン誘導体が、下記一般式
    (3)で表されるアセトキシスチレンであることを特徴
    とする請求項1に記載の蒸留方法。 【化3】
  4. 【請求項4】ニトロソ化合物が、N−ニトロソフェニル
    ヒドロキシルアミン及び/又はその塩であることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかに記載の蒸留方法。
  5. 【請求項5】ニトロ化合物が、ジニトロフェノールであ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の蒸
    留方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006335715A (ja) * 2005-06-03 2006-12-14 Tosoh Corp 高品質ビニル安息香酸−第3級ブチルエステル及びその製造方法
JP2007070255A (ja) * 2005-09-05 2007-03-22 Mitsubishi Gas Chem Co Inc 高純度アダマンチル(メタ)アクリレート類の製造方法

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