JP2000327425A - 窒化アルミニウム焼結体及びその製造方法 - Google Patents

窒化アルミニウム焼結体及びその製造方法

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JP2000327425A JP2000073710A JP2000073710A JP2000327425A JP 2000327425 A JP2000327425 A JP 2000327425A JP 2000073710 A JP2000073710 A JP 2000073710A JP 2000073710 A JP2000073710 A JP 2000073710A JP 2000327425 A JP2000327425 A JP 2000327425A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱伝導率、抗折強度に優れた窒化アルミニウム
焼結体の提供。 【解決手段】バナジウム化合物をバナジウム換算で0.
02〜0.4重量%と、イットリウム化合物を酸化イッ
トリウム換算で0.6〜5重量%と、炭素を0.03〜
0.10重量%と、平均粒径5μm以下の窒化アルミニ
ウム結晶粒子とからなり、3点曲げ抗折強度が45kg
/mm2以上、熱伝導率が150W/m・Kである窒化
アルミニウム焼結体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は窒化アルミニウム焼
結体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化アルミニウム焼結体は、その理論熱
伝導率が320W/m・Kと高く、加えて機械的強度及
び電気特性についてもアルミナ並みに優れているため、
電気絶縁性及び放熱特性の要求の高いGTO(Gate Tur
n off Thyristor)やIGBT(Insulated Gate Bipola
r Transistor)といった半導体パワーモジュール用の基
板材料として広く使われるようになってきた。半導体パ
ワーモジュール用に工業的に使用されている窒化アルミ
ニウム焼結体の一般的な特性として、熱伝導率は130
〜200W/m・K、3点曲げ抗折強度(以下、単に抗
折強度という)は30〜40kg/mm2である。
【0003】かかる半導体パワーモジュールとしては、
窒化アルミニウム基板に活性金属層等を介して銅板を接
合した、銅張基板が広く使用されている。この銅張基板
において窒化アルミニウムと銅板の間に大きな熱膨張差
があり、銅張基板に電子部品を実装する際の熱処理や、
半導体パワーモジュールとして使用する際に受けるヒー
トサイクルにより、窒化アルミニウム焼結体中にクラッ
クが生じ、半導体パワーモジュールとしての信頼性を損
う恐れがあった。そのため、かかる半導体パワーモジュ
ール用の窒化アルミニウム基板としては、より抗折強度
に優れたものが要求されている。
【0004】上記特性を示す窒化アルミニウム焼結体
は、以下の方法により、量産されている。すなわち、窒
化アルミニウム原料粉末に酸化イットリウム等の焼結助
剤及び有機バインダーを配合した後、ドクターブレード
法又はプレス成形法等により成形体に成形する。次いで
この成形体を空気中又は窒素雰囲気中で加熱しバインダ
ーを除去した後、窒素雰囲気中常圧下において焼結する
ことにより焼結体が得られる。
【0005】窒化アルミニウム焼結体の熱伝導率は、窒
化アルミニウム結晶粒子中の含有酸素量に大きく依存
し、含有酸素量を低減させることにより高熱伝導率を有
した窒化アルミニウム焼結体を得ることができる。この
ため、含有酸素量の少ない窒化アルミニウム原料粉末を
使用したり、窒化アルミニウム原料粉末に炭素を配合
し、窒素雰囲気中での焼結過程で炭素と含有酸素とを反
応させて含有酸素を除去する等の方法により、200W
/m・K程度の高熱伝導率を示すものが量産されてい
る。
【0006】また、窒化アルミニウム焼結体の抗折強度
の向上を目的とする多くの試みが行われている。例え
ば、(a)焼結時における窒化アルミニウム結晶粒子の
成長を抑制するためSi成分を配合することにより、緻
密で微細な窒化アルミニウム結晶粒子の焼結体とし強度
向上を図ったもの(特開平6−329474号公報
等)、(b)窒化アルミニウム焼結体の結晶粒子内及び
粒界に酸化チタン等の微細粒子(ナノ粒子)を分散させ
ることにより高強度化を図ったもの(特開平4−132
666号公報)等が開示されている。
【0007】これらの高強度化の方法にはそれぞれ問題
があり、実用化されていない。例えば上記(a)では、
窒化アルミニウム焼結体中に存在するSi成分は熱伝導
率を低下するため、高強度と高熱伝導率とを同時に達成
することが難しい。一方、上記(b)では、ナノ粒子の
作成工程、ナノ粒子を焼結体中に均一に分散させる工程
等に手間がかかり、広く工業的に利用することが難しか
った。
【0008】
【発明が解決しようする課題】本発明は、従来の技術が
有していた上記課題を解消し、工業的にも安定して製造
できる高強度及び高熱伝導率を兼ね備え、半導体パワー
モジュールの窒化アルミニウム基板として好適な窒化ア
ルミニウム焼結体及びその製造方法を提供することを目
的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、窒化アルミニ
ウムを主体としてなり、全体量に対しイットリウム化合
物を酸化イットリウム換算で0.6〜5重量%と、バナ
ジウム化合物をバナジウム換算で0.02〜0.4重量
%と、炭素を0.03〜0.10重量%とを含み、かつ
窒化アルミニウムの結晶粒子の平均粒径が5μm以下で
あり、3点曲げ抗折強度が45kg/mm2以上、熱伝
導率が150W/m・K以上である窒化アルミニウム焼
結体、及び酸化イットリウム0.6〜5重量%と、酸化
バナジウムをバナジウム換算で0.02〜0.4重量%
と、残部窒化アルミニウム原料粉末とからなる組成物に
炭素材料及びバインダーを配合した配合物を所定形状の
成形体に成形し、次いで空気中で加熱して成形体中のバ
インダーを除去し、次いでバインダーを除去した成形体
を非酸化性雰囲気中で焼結する窒化アルミニウム焼結体
の製造方法であって、前記炭素材料の前記組成物中にお
ける含有量が、重量で窒化アルミニウム原料粉末の含有
酸素量の0.5〜0.8倍である、窒化アルミニウム焼
結体の製造方法である。
【0010】本発明の窒化アルミニウム焼結体におい
て、窒化アルミニウム結晶粒子の平均粒径が5μmを超
えると強度が低下する。焼結体中の窒化アルミニウム結
晶粒子の最大粒径は15μm未満であることが好まし
い。
【0011】本発明において、窒化アルミニウム結晶粒
子の平均粒径は、次のようにして測定される。焼結体の
破面について2000倍のSEM写真を撮影し、その写
真上に任意の直線を引く(長さ約120μm)。次い
で、この直線と各結晶の粒界との交点を求め、結晶の交
点間の長さをその結晶の粒径とし、各結晶の粒径の算術
平均を平均粒径とする。
【0012】また、結晶の最大粒径は、焼結体の破面に
ついて、1000倍のSEM写真を撮影し、その写真上
(面積約80×120μm)で最大の結晶を特定し、そ
の結晶の最大径を最大粒径とする。
【0013】イットリウム化合物は焼結助剤として作用
をし焼結体に残存する。その含有量が酸化イットリウム
換算で0.6重量%未満では多孔質になり焼結体の強度
が低下する。一方、その含有量が酸化イットリウム換算
で5重量%を超えるとイットリウム化合物が焼結体の表
面に部分的に凝集し、表面の荒さが荒くなる。かかるイ
ットリム化合物としては、酸化イットリウム、イットリ
ウムアルミニウム酸化物(Y4Al29)等がある。
【0014】バナジウム化合物は焼結時の焼結性を促進
する作用をし焼結体に残存する。バナジウム化合物とし
ては、V23、V24、V25等がある。その含有量が
バナジウム換算で0.02重量%未満では、焼結体の変
形を生じやすく、0.4重量%を超えると窒化アルミニ
ウム結晶粒子が大きくなりすぎ焼結体の強度低下を生じ
る。
【0015】また、抗折強度が45kg/mm2未満で
は、強度が不足し実用的でなく、熱伝導率が150W/
m・K未満では、放熱性の要求される用途に使用できな
い。
【0016】かかる焼結体は、窒化アルミニウム原料粉
末に酸化イットリウム、酸化バナジウム、結晶質炭素及
びバインダーをそれぞれ特定量配合し、それを焼結する
ことにより得られる。
【0017】この炭素材料は、焼結の際の窒化アルミニ
ウム結晶粒子の成長を抑制し強度を向上する作用をす
る。この炭素材料は粉末として使用するのが好ましい。
炭素材料の含有量は、重量で、使用する窒化アルミニウ
ム原料粉末の含有酸素量の0.5〜0.8倍となる範囲
にする。炭素材料の含有量が0.5倍より小さいと窒化
アルミニウム結晶粒子の成長抑制効果が不充分であり、
0.8倍より大きいと緻密な焼結体が得られず、強度が
低下する。より好ましくは、0.6〜0.74倍の範囲
である。
【0018】かかる炭素材料としては、空気中で加熱
し、成形体中のバインダーを除去するバインダー除去工
程で実質的に酸化分解されないものが使用される。具体
的には、かかる炭素材料としては、空気中での460℃
の加熱処理にて酸化分解を開始しない結晶構造を有する
炭素が好ましく、例えばグラファイト、あるいはカーボ
ンブラックのうち空気中での460℃の加熱処理にて酸
化分解を開始しない結晶構造を有するカーボンブラック
が好ましい。
【0019】前記バインダー除去工程で空気中450℃
未満、例えば380℃〜450℃未満の加熱処理温度で
酸化分解を開始する炭素を使用すると、バインダー除去
後の成形体中に炭素量のばらつきを生じ、均一な窒化ア
ルミニウム結晶粒子の成長を抑制した焼結体が得られ難
いばかりでなく、成形体中の焼結性にばらつきが生じ、
焼結時に焼結体に大きな反り、変形が発生するので好ま
しくない。また、炭素粉末の粒径が大きくなりすぎると
焼結体中に気孔として残存し、強度低下を生じる恐れが
あるので好ましくない。炭素粉末の最大粒子径は10μ
mが好ましく5μm以下がより好ましい。
【0020】酸化イットリウムは、非酸化性雰囲気中で
の焼結過程において窒化アルミニウム原料粉末の表面の
酸化層と協働して液相を形成し、窒化アルミニウム焼結
体の緻密化を促進する役割を果たす。酸化イットリウム
の含有量が0.6重量%より少ないと緻密な焼結体が得
られず、5重量%より多いと焼結体表面への液相のしみ
出しが増え強度低下を生じ、また強度のばらつきが増加
する。
【0021】酸化バナジウムは、焼結性を促進し焼結体
中の焼結性のばらつきを抑制する役割を果たす。その含
有量がバナジウム換算で0.02重量%より少ないとそ
の効果が不足し焼結時の変形を抑制できず強度のばらつ
きを生じやすく、0.4重量%より多いと、窒化アルミ
ニウム結晶粒子が成長しすぎ、強度の低下を生じる。か
かる酸化バナジウムとしては、V23、V24、V25
が挙げられる。
【0022】本発明の窒化アルミニウム焼結体において
は、必要に応じ、0.1%以下のその他の成分を含んで
もよい。
【0023】本発明で用いる窒化アルミニウム原料粉末
は、いかなる方法により調整されたものでもよいが、そ
の平均粒径は2μm以下のものが好ましい。平均粒径が
2μmを超えると、窒化アルミニウム焼結体中の窒化ア
ルミニウム結晶粒子が大きくなりすぎ強度低下を生じや
すいので好ましくない。
【0024】また、窒化アルミニウム原料粉末の含有酸
素量が多くなりすぎると、含有酸素を除去するための反
応時間が長くなり、経済性を損なう。この含有酸素量
は、2重量%以下が好ましく、1.5重量%以下がより
好ましい。
【0025】バインダーは、空気中で加熱することによ
り酸化分解し成形体から除去される。窒化アルミニウム
の酸化開始温度は約460℃であるため、バインダーと
しては、これより低い温度で加熱することにより酸化分
解するものが使用される。具体的には、ポリビニルブチ
ラール、アクリル樹脂などの樹脂に分散剤、可塑材、溶
剤を添加し混合したものが使用される。バインダーの含
有量は、成形体への成形作業が容易で、かつ、バインダ
ー除去工程にてバインダー除去が容易な範囲で適宜選択
される。
【0026】窒化アルミニウム原料粉末、酸化イットリ
ウム及び酸化バナジウムを上記割合で含有する組成物
に、炭素材料、バインダーを配合し、これを板状等の所
定形状の成形体に成形する。この成形法としてはプレス
成形やドクターブレード法等が採用される。
【0027】この成形体を空気中で加熱し、成形体中の
バインダーを除去する。この温度は上述のように460
℃より低い温度であり、さらに生産性を考慮すると40
0〜460℃の範囲が好ましい。この焼成時間として
は、成形体の肉厚、バインダー量等により変わり、肉厚
1mm程度の成形体の場合60分間程度である。
【0028】次に、バインダーを除去した成形体を非酸
化性雰囲気中で1700℃〜焼結温度まで1〜5時間か
けて昇温した後、焼結温度に1〜5時間保持して焼結す
る。この焼結温度は1900〜2000℃の範囲であ
る。非酸化性雰囲気としては、窒素ガス、ヘリウムガ
ス、アルゴンガス、真空雰囲気等が使用できる。焼結温
度は、1900℃より低いと緻密な焼結体が得られず、
2000℃より高いと窒化アルミニウム結晶粒子の成長
が進み、平均粒径5μm以下の窒化アルミニウム結晶粒
子が得られにくいのでいずれも好ましくない。
【0029】かくして、得られる窒化アルミニウム焼結
体は、窒化アルミニウム結晶粒子の平均粒径が5μm以
下の微細組織を持ち、熱伝導率が150W/m・K以
上、抗折強度が45kg/mm2以上の高熱伝導率・高
強度を有し、半導体パワーモジュールの基板として特に
優れる。
【0030】
【実施例】例1〜8 直接窒化法により製造された平均粒径1.5μmで含有
酸素量が1.2重量%の窒化アルミニウム原料粉末を用
い、平均粒径0.3μmの酸化イットリウム2.2重量
%と、三酸化バナジウムをバナジウム換算で0.07重
量%と、残部窒化アルミニウム原料粉末とからなる組成
物を得た。この組成物に平均粒径1μm(比表面積3m
2/g)の炭素材料としてグラファイト粉末を配合し
た。グラファイト粉末の含有量は表1のC/O欄に、窒
化アルミニウム原料粉末の含有酸素量に対する倍率(重
量)で示した。同表において、例1〜4は実施例、例4
〜8は比較例である。
【0031】
【表1】
【0032】次いで、このグラファイト粉末を配合した
もの100重量部に対して、分散剤2重量部、ポリビニ
ールブチラール10重量部、可塑材としてジブチルフタ
レート5重量部及びトルエン等の有機溶剤とからなるバ
インダーを配合し、スラリーを作成した。次いで、この
スラリーをドクターブレード法によりグリーンシートに
成形し、得られたグリーンシートを所定の形状に打ち抜
き、板状成形体を作成した。
【0033】一方、平均粒径0.8μmの窒化ホウ素粉
末をアセトンに懸濁させ、その懸濁液をスプレー法によ
り上記成形体の両面に塗付した。塗布量は0.5mg/
cm 2とした。次いで、窒化ホウ素製容器上に前記窒化
ホウ素粉末を塗布した成形体を10枚積み重ねた。
【0034】これを、空気中にて440℃で3時間加熱
しバインダーを除去した。次いで、これを窒化ホウ素製
容器に収容し、密閉状態として窒素雰囲気中にて170
0℃から1950℃までを3時間かけて昇温後、引き続
き1950℃で3時間保持して焼結させ、50mm角、
厚み0.635mmの焼結体を得た。
【0035】得られた焼結体を10mm幅の短冊に切り
出し、50mm×10mm×0.635mmの試験片と
した。この試験片10個について、スパン30mmの抗
折強度を測定し、その平均値を抗折強度とした。その結
果を表1の抗折強度の欄に示した(単位;kg/m
2)。
【0036】また、この焼結体について、窒化アルミニ
ウム結晶粒子の平均粒径、最大粒径を測定し、同表の平
均粒径、最大粒径の欄に示した(単位;いずれもμ
m)。
【0037】さらに、この焼結体の熱伝導率について、
レーザーフラッシュ法の2次元法にて測定し、その結果
を同表の熱伝導率の欄に示した(単位;W/m・K)。
【0038】一方、この焼結体の反りについても測定し
た。焼結体の反りについては、短冊の端辺方向に沿い、
レーザー計測機でうねりのプロファイルを読み取り、そ
の山と谷の幅を読み取り、この値が50μmより小さい
場合を○、50μm以上の場合は×とし、同表の反りの
欄に示した。
【0039】なお、これらの焼結体中のイットリウム化
合物、バナジウム化合物の含有量を測定した結果、前者
は酸化イットリウム換算で2.2重量%、後者はバナジ
ウム換算で0.07重量%であり、組成物における含有
量と同じであった。
【0040】また、焼結する上記組成物中のグラファイ
ト粉末の添加量および焼結体中に残存する炭素量を表1
に示す。
【0041】同表より明らかなように例1〜4の焼結体
については、窒化アルミニウム結晶粒子の平均粒径は
4.0μm以下であり、抗折強度が50kg/mm2
上で、熱伝導率が150W/m・K以上であり、反りは
すべて小さかった。一方、例5〜8については抗折強
度、熱伝導率とも実施例に比べ小さかった。
【0042】例9〜12 例1〜4と同一組成、同一工程にて焼成条件のみを変更
した。すなわち、1700〜1950℃の間の昇温に5
時間をかけ昇温した後、1950℃にて5時間保持し焼
結体を得た。この焼結体について例1〜4と同様の測定
を行い、その結果を表2に示す。それらの単位は、表1
に記載のものと同じである。また、これらの焼結体中の
イットリウム化合物、バナジウム化合物の含有量を測定
した結果、組成物における含有量と同じであった。ま
た、焼結する上記組成物中のグラファイト粉末の添加量
および焼結体中に残存する炭素量を表2に示す
【0043】
【表2】
【0044】同表のようにこの焼結体は抗折強度45k
g/mm2以上、熱伝導率200W/m・K以上であっ
た。
【0045】例13〜22 例1に記載する方法に従い組成物中の酸化イットリウム
及び酸化バナジウムの含有量のみを変えて焼結体を作成
し、それについて例1と同様の測定を行い、その結果を
表3に示す。同表において、例13〜18は実施例であ
り、例19〜22は比較例である。組成物中の酸化イッ
トリウムの含有量を表3のY23欄に、酸化バナジウム
のバナジウム換算した含有量を表3のV23欄にそれぞ
れ示した。なお、焼結する上記組成物中へのグラファイ
ト粉末の添加量は0.8wt%とした。抗折強度、粒
径、熱伝導率の単位は表1記載のものと同じである。な
お、グラファイトの含有量は、窒化アルミニウムの含有
酸素量に対し重量で0.7倍であった。また、焼結体の
イットリウム化合物及びバナジウム化合物の含有量は、
組成物中のものと同じであった。また、焼結体中に残存
する炭素量は0.06wt%あった。
【0046】
【表3】
【0047】例23〜27 直接窒化法により製造された平均粒径2.0μmで含有
酸素量が1.5重量%、Si不純物が5000ppm、
Fe不純物が3000ppm、その他の不純物が100
ppm以下の窒化アルミニウム原料粉末、平均粒径0.
3μm、最大粒径1μmの酸化イットリウム、酸化バナ
ジウムからなる組成物に平均粒径0.02μm、比表面
積92m2/g、酸化分解開始温度460℃のカーボン
ブラックを配合した。
【0048】次いで、この配合物100重量部に熱分解
完了温度が400℃以下のブチラール樹脂10重量部を
含有し、有機溶剤中でボールミルにより混合してスラリ
ーを得た。組成物中の酸化イットリウムの含有量が2.
2重量%、酸化バナジウムの含有量がバナジウム換算で
0.07重量%であり、カーボンブラックの含有量が、
窒化アルミニウム粉末の含有酸素量に対する倍率(重
量)で表5のC/Oの欄に示した。
【0049】次いで、得られたスラリーを、真空脱泡、
粘度調整し、ドクターブレード法にてシートに成形し
た。シートより所定寸法に打ち抜き、空気中にて440
℃で加熱した後、窒素雰囲気中で1700〜1950℃
の昇温を3時間かけて行い、引き続き1950℃で3時
間保持して焼結し、50mm角、厚み0.65mmの窒
化アルミニウム焼結体を得た。焼結体のイットリウム化
合物及びバナジウム化合物の含有量は、組成物中のもの
と同じであった。得られた焼結体のイットリウム化合物
及びバナジウム化合物の含有量は、組成物中のものと同
じであった。また、得られた焼結体について例1と同じ
項目について測定を行った結果を表4に示す。同表にお
いて例23〜25は実施例であり、26〜27は比較例
である。焼結体の抗折強度、平均粒径、最大粒径、熱伝
導率の単位は表1のものと同一である。
【0050】
【表4】
【0051】例28 例3に記載する組成及び方法に従い、炭素のみを酸化分
解開始温度が380℃で平均粒径0.08μm、比表面
積30m2/gの非晶質カーボンを使用し焼結体を作成
した。得られた焼結体について前記記載の方法により測
定したところ、抗折強度が38kg/mm2、窒化アル
ミニウム結晶粒子の平均粒径が6.1μm、熱伝導率が
151W/m・Kであった。バインダー除去後に成形体
中の炭素含有量を分析したところ、平均0.4重量%で
調合時に添加した0.8重量%に対し半減していた。ま
た、1枚の成形体中の中央部と周辺部の炭素量を分析し
たところ、最大0.1重量%のばらつきがあった。ま
た、焼結体の変形、反りが大きかった。なお、本例は比
較例である。
【0052】例29 量産設備を用いて、例3に記載の方法で焼結体100個
作成し、それより50mm×10mm×0.635mm
の短冊を100本切り出し、抗折強度を評価した。この
結果、平均の抗折強度が54kg/mm2、ワイブル係
数が14であった。なお、本例は、実施例である。
【0053】上記した様に、本発明の請求項2〜5記載
の製造方法により得られる窒化アルミニウム焼結体に残
存する炭素量は、0.03〜0.10であり、電気絶縁
特性および耐電圧特性においても何ら実用上影響のない
範囲のものである。
【0054】
【発明の効果】本発明により提供される窒化アルミニウ
ム焼結体の製造方法を用いることにより、量産性及び経
済性にも優れた高強度高熱伝導率焼結体を容易に得るこ
とが可能となり工業的価値は大である。また同製造方法
により得られる焼結体は、銅張窒化アルミニウム基板等
の信頼性向上に寄与できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 弘井 淳夫 千葉県船橋市行田1−50−1 旭テクノグ ラス株式会社内 (72)発明者 渡辺 一成 千葉県船橋市行田1−50−1 旭テクノグ ラス株式会社内 (72)発明者 植木 幹夫 千葉県船橋市行田1−50−1 旭テクノグ ラス株式会社内 (72)発明者 北村 征寛 東京都千代田区丸の内一丁目8番2号 同 和鉱業株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化アルミニウムを主体としてなり、全体
    量に対しイットリウム化合物を酸化イットリウム換算で
    0.6〜5重量%と、バナジウム化合物をバナジウム換
    算で0.02〜0.4重量%と、炭素を0.03〜0.
    10重量%とを含み、かつ窒化アルミニウムの結晶粒子
    の平均粒径が5μm以下であり、3点曲げ抗折強度が4
    5kg/mm2以上、熱伝導率が150W/m・K以上
    である窒化アルミニウム焼結体。
  2. 【請求項2】酸化イットリウム0.6〜5重量%と、酸
    化バナジウムをバナジウム換算で0.02〜0.4重量
    %と、残部窒化アルミニウム原料粉末とからなる組成物
    に炭素材料及びバインダーを配合した配合物を所定形状
    の成形体に成形し、次いで空気中で加熱して成形体中の
    バインダーを除去し、次いでバインダーを除去した成形
    体を非酸化性雰囲気中で焼結する窒化アルミニウム焼結
    体の製造方法であって、前記炭素材料の前記組成物中に
    おける含有量が、重量で窒化アルミニウム原料粉末の含
    有酸素量の0.5〜0.8倍である、窒化アルミニウム
    焼結体の製造方法。
  3. 【請求項3】炭素材料が空気中での460℃の加熱処理
    にて酸化分解を開始しない結晶構造を有する炭素である
    ことを特徴とする請求項2記載の窒化アルミニウム焼結
    体の製造方法。
  4. 【請求項4】炭素材料がグラファイトである請求項2記
    載の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
  5. 【請求項5】炭素材料が空気中での460℃の加熱処理
    にて酸化分解を開始しない結晶構造を有するカーボンブ
    ラックである請求項2記載の窒化アルミニウム焼結体の
    製造方法。
  6. 【請求項6】窒化アルミニウム原料粉末が、平均粒径2
    μm以下、含有酸素量2重量%以下である請求項2記載
    の窒化アルミニウム焼結体の製造方法。
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