JP2000326354A - 光学素子成形型 - Google Patents

光学素子成形型

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JP2000326354A
JP2000326354A JP13700199A JP13700199A JP2000326354A JP 2000326354 A JP2000326354 A JP 2000326354A JP 13700199 A JP13700199 A JP 13700199A JP 13700199 A JP13700199 A JP 13700199A JP 2000326354 A JP2000326354 A JP 2000326354A
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JP
Japan
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optical element
mold
die
linear expansion
expansion coefficient
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JP13700199A
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English (en)
Inventor
Atsushi Murata
淳 村田
Toshiaki Takano
利昭 高野
Shoji Nakamura
正二 中村
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】バリの発生を抑制することが可能な光学素子成
形型を提供する。 【解決手段】本発明に係る光学素子成形型3は、上型4
と下型5と胴型6とで囲まれたキャビティ3a内に収納
した光学素材1を成形するものであり、上型4及び下型
5の有する線膨張係数をα1とし、胴型6の有する線膨
張係数をα2としたとき、上型4及び下型5の有する線
膨張係数α1が胴型6の有する線膨張係数α2を超える
関係(α1>α2)にあることを特徴とする。また、上
型4及び下型5の光学素子転写面外径をL1とし、胴型
6の内径をL2とするとともに、常温から成形ピーク温
度に至る温度差をΔTとしたとき、上型4及び下型5の
有する線膨張係数α1と光学素子転写面外径L1と温度
差ΔTとの乗算値が、胴型6の有する線膨張係数α2と
内径L2と温度差ΔTとの乗算値と等しい関係(α1×
ΔT×L1=α2×ΔT×L2)にあることが好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光学素子を製造する
際に使用される光学素子成形型に係り、特には、その構
成材料と形状とに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、光学機器で使用されるレン
ズ,プリズム,ミラーなどの光学素子を製造する際に
は、ポリカーボネイトのような熱可塑性プラスチック材
料を光学素材としたうえ、例えば、特開平5−1777
25号公報で開示された製造方法、つまり、前加工によ
って略最終形状とされた光学素材をその荷重たわみ温度
以上及びガラス転移点温度未満に加熱しておき、加熱さ
れた光学素材を光学素子成形型でもって塑性変形加工す
る製造方法が採用されることになっている。
【0003】すなわち、この先願に係る製造方法は、図
8で示すような構成とされた光学素子成形型51を利用
して実施される方法であり、光学素子成形型51は、互
いに組み合わされた上型52と下型53と上側胴型54
と下側胴型55とによって囲まれたキャビティ(図示省
略)内に光学素材56を収納するものとなっている。な
お、図8中の符号57はプレスヘッド、58はプレスス
テージであり、上型52と接するプレスヘッド57には
加熱加圧機構(図示省略)が設けられる一方、下型53
と接するプレスステージ58には加熱機構(図示省略)
が設けられている。
【0004】そのため、光学素子、例えば、図9で断面
形状を示すレンズ59を製造するに際しては、射出成形
によって予め略最終形状とされた光学素材56をその荷
重たわみ温度以上及びガラス転移点温度未満に加熱され
た光学素子成形型51のキャビティ内に収納し、光学素
材56の温度が光学素子成形型51と略一致して荷重た
わみ温度以上及びガラス転移点温度未満になったとき、
プレスヘッド57を下降させながら約100kgf/c
2 の加圧力で光学素材56を押圧することによって変
形保持した後、加圧力を解除して荷重たわみ温度まで冷
却したうえで光学素子成形型51から上型52を取り外
して成形された光学素子であるところのレンズ59をキ
ャビティ内から取り出すことが行われる。なお、光学素
子がレンズ59のみに限定されず、プリズムやミラーな
どであってもよいことは以下も同様である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記従来の
光学素子成形型51は、上型52と下型53とでレンズ
59の有効面、すなわち、光学素子有効面を成形転写
し、かつ、胴型54,55の内径面によってレンズ59
の外径面を成形する構成であるため、押圧中の光学素材
56が上型52及び下型53の各々と胴型54,55と
の間に生じたクリアランス(図示省略)内に侵入し、そ
のまま成形されてしまうことがあり、このようになって
いると、図9で示すように、成形されたレンズ59の外
径面にはその厚み方向に沿ったバリ59aが残ることに
なる。そして、大きなバリ59aが残っていると、光学
機器への組み付け時におけるレンズ59の組み付け誤差
が生じたり、光学機器の性能が低下したりするため、バ
リ59aをレンズ59から除去しなければならず、バリ
除去加工に煩わしい手間を要してしまう。
【0006】また、バリ除去加工では、レンズ59を位
置決め保持する必要があるため、かえってレンズ59を
傷つけてしまうことにもなりかねず、歩留まりの低下を
招くことになっていた。さらにまた、発生したバリ59
aの一部がクリアランス内に残っていることもあり、こ
のような場合には次回の成形に備えて予め光学素子成形
型51の清掃作業を実行しておく必要があることになっ
てしまう。すなわち、従来構成の光学素子成形型51を
使用している限りは、レンズ59のような光学素子を製
造する際におけるコストダウンを図り得ないのが実情で
ある。
【0007】本発明はこれらのような不都合に鑑みて創
案されたものであり、バリの発生を抑制することが可能
な構成とされた光学素子成形型の提供を目的としてい
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
光学素子成形型は、上型と下型と胴型とで囲まれたキャ
ビティ内に収納した光学素材を成形するものであり、上
型及び下型それぞれの有する線膨張係数をα1とし、胴
型の有する線膨張係数をα2としたとき、上型及び下型
それぞれの有する線膨張係数α1が胴型の有する線膨張
係数α2を超える関係(α1>α2)にあることを特徴
としている。
【0009】本発明の請求項2に係る光学素子成形型は
請求項1に記載したものであり、上型及び下型それぞれ
の光学素子転写面外径をL1とし、胴型の内径をL2と
するとともに、常温から成形ピーク温度に至るまでの温
度差をΔTとしたとき、上型及び下型それぞれの有する
線膨張係数α1と光学素子転写面外径L1と温度差ΔT
との乗算値が、胴型の有する線膨張係数α2と内径L2
と温度差ΔTとの乗算値と等しい関係(α1×ΔT×L
1=α2×ΔT×L2)にあることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)以下、本発明の
実施の形態1を図面に基づいて説明する。
【0011】図1は本発明に係る光学素材の形状を示す
外観斜視図、図2は光学素子の形状を示す断面図であ
り、図1中の符号1は光学素材、図2中の符号2は光学
素子としてのレンズを示している。そして、光学素材1
はアクリル(荷重たわみ温度Tt=115℃,ガラス転
移点温度Tg=130℃)から作製されており、板など
から切り出されたブロックの切削加工に伴って図1で示
すような形状、つまり、両側凸面の曲率半径が2.9m
mで中心厚みが3.1mmの略球形状として前加工され
たものとなっている。また、光学素子としてのレンズ2
は、一方側レンズ面2aの曲率半径R1が2mm、他方
側レンズ面2bの曲率半径R2が3mm、中心厚みが3
mm、外径が4.7mmとされたものである。なお、こ
こでの光学素子がレンズ2のみに限られることはなく、
プリズムやミラーなどであってもよいことは従来の形態
と同様である。
【0012】さらに、図3は光学素子成形型の構造を示
す断面図、図4は光学素子成形型を構成する上型及び下
型の構造を示す断面図、図5は光学素子成形型を構成す
る胴型の構造を示す断面図であり、図6は光学素子成形
装置の構造を示す断面図、図7は光学素子成形装置の各
ステージにおける光学素子成形型の状態を示す断面図で
ある。そして、図中の符号3は光学素子成形型を示して
おり、この光学素子成形型3は、上型4及び下型5と、
これらの主要部分4a,5aが内嵌される胴型6とによ
って囲まれたキャビティ3a内に前加工済みの光学素材
1、つまり、図1で示した光学素材1を収納するものと
なっている。また、この際、上型4及び下型5は、タン
グステンカーバイト、例えば、コバルトやニッケル,チ
タン,タンタルなどを含有したタングステンカーバイト
などのような超硬材料から作製されたものである一方、
胴型6は鋳鉄を母材とする材料を用いたうえで作製され
たものであり、上型4及び下型5の有する線膨張係数は
50×10-7/℃であり、胴型6の有する線膨張係数は
30×10-7/℃であることになっている。
【0013】すなわち、この際における光学素子成形型
3では、上型4及び下型5それぞれの有する線膨張係数
をα1とし、胴型6の有する線膨張係数α2としたと
き、上型4及び下型5それぞれの線膨張係数α1が胴型
6の線膨張係数α2を超える関係(α1>α2)となる
ように設定されている。ところで、この光学素子成形型
3を構成している上型4及び下型5の主要部分4a,5
aの外面直径は4.700mm、また、胴型6の内面直
径は4.705mmと設定されているため、上型4及び
下型5の主要部分4a,5aと胴型6との間には、常温
(20℃)下で5μmのクリアランス(図示省略)が生
じることになっている。
【0014】一方、本発明に係る光学素子成形装置は、
図6及び図7で示すように、光学素材1を収納した光学
素子成形型3が載置される装入ステージ11と、成形終
了後の光学素子成形型3が載置される取出ステージ12
と、これらのステージ11,12同士間に設置された成
形室13とを備えている。なお、この際、光学素子成形
型3はロボット(図示省略)を使用したうえで装入ステ
ージ11に載置され、また、取出ステージ12に載置さ
れて型分解された光学素子成形型3からは成形済みの光
学素子であるレンズ2が取り出されることになってい
る。そして、開閉自在な入口扉13a,出口扉13bが
設けられた成形室13の内部には、予熱ステージ14,
成形ステージ15,第1冷却ステージ16,第2冷却ス
テージ17のそれぞれが装入ステージ11から取出ステ
ージ12へと向かう順序で配置されている。
【0015】さらに、予熱ステージ14,成形ステージ
15,第1冷却ステージ16,第2冷却ステージ17そ
れぞれの下側位置には、搬送アーム(図示省略)によっ
て搬送されながら載置された光学素子成形型3を所定温
度に加熱するためのヒータ18が設けられている一方、
これらのステージ14〜17の上側位置には光学素子成
形型3に収納された光学素材1を所定の加圧力でもって
押圧するためのプレスヘッド19が設けられている。そ
して、本発明における光学素子成形型3は、予熱ステー
ジ14ないし第2冷却ステージ17のそれぞれに設けら
れたヒータ18でもって表1に示す設定温度まで加熱さ
れることになっている。なお、ここでの各ヒータ18は
任意の温度設定が可能なものであり、光学素子成形型3
が載置されるのに先立って予めヒートアップされてい
る。
【0016】
【表1】
【0017】つぎに、本発明に係る光学素子成形型3を
使用した際における光学素子、つまり、レンズ2の製造
方法を手順に従って説明する。なお、この製造方法で
は、各光学素子成形型3が30秒タクトで搬送されるこ
とになっており、図7(a)〜(d)のそれぞれは予熱
ステージ14ないし第2冷却ステージ17の各々におけ
る光学素子成形型3の状態を示している。まず、光学素
子成形型3のキャビティ3a内、すなわち、上型4及び
下型5と胴型6とで囲まれたキャビティ3a内に前加工
済みのアクリルである光学素材1を収納し、光学素材1
を収納した光学素子成形型3を装入ステージ11に載置
すると、装入ステージ11に載置された光学素子成形型
3は搬送アームでもって予熱ステージ14まで搬送され
て載置されることになる。
【0018】そして、予熱ステージ14では、図7
(a)のように、光学素子成形型3をヒータ18でもっ
て予熱温度(190℃)まで加熱するとともに、光学素
子成形型3の上型4に当接したプレスヘッド19でもっ
て光学素材1を5kgf以下の小さい加圧力で押圧する
ことが実行され、所定時間が経過した後の光学素子成形
型3は成形ステージ15へと搬送される。引き続き、成
形ステージ15では、図7(b)で示すように、光学素
子成形型3の上型4に当接したプレスヘッド19でもっ
て光学素材1を押圧することが実行されるが、ここで
は、光学素材1であるアクリルがそのガラス転移点温度
Tg=130℃を超える成形ピーク温度(220℃)ま
で加熱されており、光学素材1が短時間のうちに変形可
能な成形ピーク温度にまで到達するため、プレスヘッド
19の加圧力は50kgf〜100kgf程度とされ
る。
【0019】ところで、この際には、成形ステージ15
に載置された光学素子成形型3の上型4及び下型5と胴
型6とのそれぞれもヒータ18で加熱されているので、
常温(20℃)からの温度差ΔTが200℃である成形
ピーク温度(220℃)にまで温度上昇することになっ
ており、その結果として上型4及び下型5の主要部分4
a,5aはその外面直径が4.705mmとなるまで膨
張し、また、胴型6はその内面直径が4.708mmと
なるまで膨張する。したがって、常温下における上型4
及び下型5の主要部分4a,5aと胴型6とのクリアラ
ンスは5μmであったにも拘わらず、成形ピーク温度下
でのクリアランスは3μmであるに過ぎないこととな
り、クリアランスが減少しているために光学素材1がク
リアランス内へと侵入し難くなる結果、従来の形態のよ
うな大きなバリが発生することは起こり得ないこととな
る。
【0020】さらに、この成形ステージ15で所定時間
が経過した光学素子成形型3は、図7(c)で示すよう
に、第1冷却ステージ16へと搬送されて載置されたう
え、光学素材1であるアクリルのガラス転移点温度Tg
=130℃よりも低い第1冷却温度(120℃)下で加
圧された後、引き続いて第2冷却ステージ17へと搬送
して載置されることになり、この第2冷却ステージ17
では、図7(d)のように、アクリルの荷重たわみ温度
Tt=115℃よりも低い第2冷却温度(80℃)下で
加圧されることになる。そして、以上説明したような一
連の成形が終了した光学素子成形型3は、搬送されたう
えで取出ステージ12に載置されることとなり、取出ス
テージ12で型分解された光学素子成形型3からは成形
済みとなった光学素子としてのレンズ2が取り出され
る。
【0021】そこで、本発明の発明者らが調査してみた
ところ、成形されたレンズ2の外径面にはその厚み方向
に沿ったバリ(図示省略)が残っているものの、残って
いるバリは従来の形態におけるバリ59aよりも著しく
小さいものであるに過ぎず、実際上の使用については何
らの不都合を生じないことが確認されている。なお、加
圧変形温度,加熱時間や保持時間,加圧変形温度から荷
重たわみ温度までの冷却時間などが本実際の形態で示し
た条件通りである必然性はないのであり、必要に応じて
任意に変更されることは勿論である。また、必ずしも4
つのステージ、すなわち、予熱ステージ14,成形ステ
ージ15,第1冷却ステージ16,第2冷却ステージ1
7を設けておく必然性があるわけではなく、各ステージ
において複数の処理、つまり、予熱や成形,冷却などを
順次実行する構成を採用することも可能である。
【0022】(実施の形態2)以下、本発明に係る実施
の形態2を図面に基づいて説明する。ところで、実施の
形態2に係る光学素材及び光学素子の形状や光学素子成
形型及び光学素子成形装置の構造などは実施の形態1と
基本的に異ならないから、ここでは図示を省略したう
え、実施の形態1と同様の図1ないし図7を参照しなが
ら実施の形態2を説明することとする。
【0023】まず、実施の形態2における光学素材1
は、ポリオレフィン(荷重たわみ温度Tt=123℃,
ガラス転移点温度Tg=140℃)からなり、図1のよ
うな形状、つまり、両側凸面の曲率半径が1.8mmで
中心厚みが3mmの略球形状として前加工されたもので
あり、光学素子であるレンズ2は、図2で示すように、
一方側レンズ面2aの曲率半径R1が2mm、他方側レ
ンズ面2bの曲率半径R2が7mm、中心厚みが1.6
mm、外径が4.5mmとされたものとなっている。な
お、ここでの光学素材1及びレンズ2がポリオレフィン
を用いて作製されたものには限定されず、ポリカーボネ
イトやアクリルなどのような他の熱可塑性プラスチック
材料を用いて作製されたものであってもよく、また、光
学素子がプリズムやミラーなどであってもよいことは勿
論である。
【0024】そして、実施の形態2に係る光学素子成形
型3は、図3で示すように、上型4及び下型5と、これ
らの主要部分が内嵌される胴型6とを備えており、上型
4及び下型5の主要部分4a,5aと胴型6とで囲まれ
たキャビティ3a内には、前加工された光学素材1、つ
まり、図1で示した光学素材1を収納するものとなって
いる。すなわち、ここでは、上型4及び下型5がコバル
ト含有タングステンカーバイトなどのような超硬材料を
用いて作製されたものである一方、胴型6が鋳鉄を母材
とする材料によって作製されたものとなっており、上型
4及び下型5それぞれの有する線膨張係数は50×10
-7/℃であり、胴型6の有する線膨張係数は10×10
-7/℃である。
【0025】また、この際、上型4及び下型5それぞれ
の主要部分4a,5aの外面と胴型6の内面との間に
は、常温(20℃)である限り4μmのクリアランス
(図示省略)が生じることになっており、光学素子成形
型3を構成する上型4,下型5,胴型6の全てがレンズ
2の成形ピーク温度(220℃)にまで至った際におけ
るクリアランスは0となるよう調整されている。すなわ
ち、本発明においては、上型4及び下型5それぞれの光
学素子転写面外径、つまり、レンズ3の転写面外径をL
1とし、胴型6の内径をL2とするとともに、常温から
成形ピーク温度に至るまでの温度差をΔTとしたとき、
上型4及び下型5それぞれの有する線膨張係数α1とレ
ンズ転写面外径L1と温度差ΔTとの乗算値が、胴型6
の有する線膨張係数α2と内径L2と温度差ΔTとの乗
算値と等しい関係(α1×ΔT×L1=α2×ΔT×L
2)を満足するように調整しておくことが予め行われて
いる。
【0026】一方、光学素子成形装置は、図6及び図7
で示すように、装入ステージ11及び取出ステージ12
と、これらのステージ11,12同士間に設置された成
形室13とを備えて構成されたものであり、開閉自在な
入口扉13a,出口扉13bが設けられた成形室13の
内部には、予熱ステージ14,成形ステージ15,第1
冷却ステージ16,第2冷却ステージ17のそれぞれが
装入ステージ11から取出ステージ12へと向かう順序
で配置されている。そして、これらステージ14〜17
それぞれの下側位置には、搬送アーム(図示省略)によ
って搬送されたうえで載置された光学素子成形型3を所
定温度に加熱するヒータ18が設けられるとともに、各
々の上側位置には光学素子成形型3内の光学素材1を所
定の加圧力でもって押圧するプレスヘッド19が設けら
れており、予熱ステージ14ないし第2冷却ステージ1
7のそれぞれに載置された光学素子成形型3は、表2に
示す設定温度まで加熱されることになっている。
【0027】
【表2】
【0028】つぎに、本発明に係る光学素子成形型3を
使用した際における光学素子、つまり、レンズ2の製造
方法を手順に従って説明する。なお、この製造方法で
は、各光学素子成形型3が30秒タクトで搬送されるこ
とになっており、図7(a)〜(d)のそれぞれは予熱
ステージ14ないし第2冷却ステージ17の各々におけ
る光学素子成形型3の状態を示している。まず、光学素
子成形型3のキャビティ3a内、すなわち、上型4及び
下型5と胴型6とで囲まれたキャビティ3a内に前加工
済みのポリオレフィンである光学素材1を収納し、光学
素材1を収納した光学素子成形型3を装入ステージ11
に載置すると、装入ステージ11に載置された光学素子
成形型3は搬送アームでもって予熱ステージ14まで搬
送されて載置されることになる。
【0029】そして、予熱ステージ14では、図7
(a)のように、光学素子成形型3をヒータ18でもっ
て予熱温度(200℃)まで加熱するとともに、光学素
子成形型3の上型4に当接したプレスヘッド19でもっ
て光学素材1であるポリオレフィンを5kgf以下の加
圧力でもって押圧することが実行され、所定時間が経過
した光学素子成形型3は成形ステージ15へと搬送され
る。引き続き、成形ステージ15においては、図7
(b)で示すように、光学素子成形型3の上型4に当接
したプレスヘッド19でもって光学素材1を押圧するこ
とが実行されるが、ここでは、ポリオレフィンがそのガ
ラス転移点温度Tg=140℃を超える成形ピーク温度
(220℃)まで加熱されており、光学素材1が短時間
のうちに変形可能な成形ピーク温度にまで到達するた
め、プレスヘッド19の加圧力は50kgf〜100k
gf程度とされている。
【0030】さらに、この際、成形ステージ15に載置
された光学素子成形型3の上型4及び下型5と胴型6と
はヒータ18で加熱されているので、常温(20℃)か
らの温度差ΔTが200℃である成形ピーク温度(22
0℃)にまで温度上昇する結果、上型4及び下型5の主
要部分4a,5aはその外面直径が4.505mmとな
るまで膨張し、また、胴型6はその内面直径が4.50
5mmとなるまで膨張する。すなわち、常温下における
上型4及び下型5の主要部分4a,5aと胴型6との間
には4μmのクリアランスが存在していたにも拘わら
ず、成形ピーク温度下でのクリアランスは0となってお
り、クリアランスが存在していないため、光学素材1が
クリアランス内へと侵入することはなくなり、成形され
たレンズ2の外径面にはその厚み方向に沿ったバリが発
生しないことになる。
【0031】その後、所定時間が経過した光学素子成形
型3は、図7(c)で示すように、第1冷却ステージ1
6へと搬送されて載置されたうえ、光学素材1であるポ
リオレフィンのガラス転移点温度Tg=140℃よりも
低い第1冷却温度(135℃)で加圧された後、引き続
いて第2冷却ステージ17へと搬送して載置されること
になり、この第2冷却ステージ17にあっては、図7
(d)のように、ポリオレフィンの荷重たわみ温度Tt
=123℃よりも低い第2冷却温度(80℃)下で加圧
することが実行される。そして、以上説明した一連の成
形が終了した光学素子成形型3は、搬送されたうえで取
出ステージ12に載置されることとなり、取出ステージ
12で型分解された光学素子成形型3からは成形済みと
なった光学素子としてのレンズ2が取り出される。な
お、本発明の発明者らが調査してみたところ、レンズ2
の外径面にはバリが発生していないことが確認されてい
る。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る光学
素子成形型は、上型及び下型それぞれの有する線膨張係
数をα1とし、胴型の有する線膨張係数α2としたと
き、上型及び下型それぞれの有する線膨張係数α1が胴
型の有する線膨張係数α2を超える関係(α1>α2)
となっているので、成形ピーク温度下における上型及び
下型と胴型とのクリアランスが著しく減少し、光学素材
がクリアランス内へと侵入し難くなる結果、従来の形態
のような大きなバリが発生することは起こらない。
【0033】また、上型及び下型それぞれの有する線膨
張係数をα1とし、胴型の有する線膨張係数α2としな
がら、さらに、上型及び下型それぞれの光学素子転写面
外径をL1とし、胴型の内径をL2とするとともに、常
温から成形ピーク温度に至るまでの温度差をΔTとした
とき、上型及び下型それぞれの有する線膨張係数α1と
光学素子転写面外径L1と温度差ΔTとの乗算値が、胴
型の有する線膨張係数α2と内径L2と温度差ΔTとの
乗算値と等しい関係(α1×ΔT×L1=α2×ΔT×
L2)にあることとしておけば、成形ピーク温度下での
クリアランスが0となり、光学素材がクリアランス内へ
と侵入し得ないため、バリが発生しないことになる。
【0034】したがって、本発明によれば、バリ除去加
工を実行する必要がなくなり、バリ除去加工時に光学素
子が傷つくことも起こらないので、歩留まりの向上を図
ることが可能になる。さらにまた、光学素子成形型の清
掃作業などのようなメンテナンスの手間を削減し得るこ
ととなるため、その結果として光学素子を製造する際の
コストダウンを容易に図ることができるという効果も確
保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光学素材の形状を示す外観斜視図
である。
【図2】本発明に係る光学素子の形状を示す断面図であ
る。
【図3】本発明に係る光学素子成形型の構造を示す断面
図である。
【図4】光学素子成形型を構成する上型及び下型の構造
を示す断面図である。
【図5】光学素子成形型を構成する胴型の構造を示す断
面図である。
【図6】本発明に係る光学素子成形装置の構造を示す断
面図である。
【図7】本発明に係る光学素子成形装置の各ステージに
おける光学素子成形型の状態を示す断面図である。
【図8】従来の形態に係る光学素子成形型の構造を示す
断面図である。
【図9】従来の形態に係る光学素子の形状を示す断面図
である。
【符号の説明】
1 光学素材 3 光学素子成形型 3a キャビティ 4 上型 5 下型 6 胴型 α1 上型及び下型の有する線膨張係数 α2 胴型の有する線膨張係数 L1 上型及び下型の光学素子転写面外径 L2 胴型の内径 ΔT 常温から成形ピーク温度に至る温度差
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 正二 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4F202 AA03 AA21 AA28 AH74 AH76 AH78 AJ02 AM33 CA09 CB01 CK09 CK43 CK90 CL02 CL42 CM12 CN01

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上型と下型と胴型とで囲まれたキャビテ
    ィ内に収納した光学素材を成形する光学素子成形型であ
    って、 上型及び下型それぞれの有する線膨張係数をα1とし、
    胴型の有する線膨張係数をα2としたとき、上型及び下
    型それぞれの有する線膨張係数α1が胴型の有する線膨
    張係数α2を超える関係(α1>α2)にあることを特
    徴とする光学素子成形型。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載した光学素子成形型であ
    って、 上型及び下型それぞれの光学素子転写面外径をL1と
    し、胴型の内径をL2とするとともに、常温から成形ピ
    ーク温度に至るまでの温度差をΔTとしたとき、上型及
    び下型それぞれの有する線膨張係数α1と光学素子転写
    面外径L1と温度差ΔTとの乗算値が、胴型の有する線
    膨張係数α2と内径L2と温度差ΔTとの乗算値と等し
    い関係(α1×ΔT×L1=α2×ΔT×L2)にある
    ことを特徴とする光学素子成形型。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009248542A (ja) * 2008-04-10 2009-10-29 Ricoh Opt Ind Co Ltd 射出成形金型・鏡面駒および射出成形方法。
JP2014057021A (ja) * 2012-09-14 2014-03-27 Murata Mfg Co Ltd プレス用金型および積層セラミック電子部品の製造方法
CN112444201A (zh) * 2020-11-13 2021-03-05 广州艾目易科技有限公司 一种抑制温度影响的精准光学定位系统
CN112630920A (zh) * 2020-12-07 2021-04-09 河北汉光重工有限责任公司 一种宽温自适应光学窗口

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