JP2000322778A - 光情報記録媒体製造用色素の回収方法及び光情報記録媒体の製造方法 - Google Patents

光情報記録媒体製造用色素の回収方法及び光情報記録媒体の製造方法

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JP2000322778A
JP2000322778A JP11133156A JP13315699A JP2000322778A JP 2000322778 A JP2000322778 A JP 2000322778A JP 11133156 A JP11133156 A JP 11133156A JP 13315699 A JP13315699 A JP 13315699A JP 2000322778 A JP2000322778 A JP 2000322778A
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solvent
solution
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JP11133156A
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Toshio Ishida
寿男 石田
Atsuo Kondo
篤生 近藤
Hiroyuki Naganuma
宏幸 長沼
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Fujifilm Finechemicals Co Ltd
Original Assignee
Fujifilm Finechemicals Co Ltd
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗布余剰液から高純度、高収率で色素を回収
する方法を提供すること。 【解決手段】 レーザー光記録光情報記録媒体の製造の
ための、色素と退色防止剤とが該退色防止剤よりも該色
素に対する溶解能が高い溶剤中に溶解された色素記録層
形成用塗布液を用いてスピンコート法により色素記録層
を形成するに際して、該記録層形成過程で排出された塗
布余剰液から色素を高純度で回収する方法であって、
(1)塗布余剰液を減圧下で濃縮して退色防止剤を析出
させる工程、(2)濃縮した塗布余剰液から析出した退
色防止剤を濾別して除去する工程、(3)上記工程で得
られた濾液に今度は、上記色素に対する溶解能が上記退
色防止剤に対する溶解能よりも低い溶剤を添加混合し
て、色素溶液を調製する工程、(4)上記色素溶液を冷
却して色素を析出させる工程、そして(5)析出した色
素を濾別回収する工程を含むことを特徴とする色素の回
収方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光情報記録媒体を
製造するために、回収した塗布余剰液から色素を回収す
る方法、及び回収した色素を用いて、円盤状基板上にレ
ーザ光を用いて情報の記録が可能な色素記録層を塗布形
成する工程を含む光情報記録媒体の製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】レーザ光により一回限りの情報の記録が
可能な光情報記録媒体(ライトワンス型の光ディスク)
は、追記型CD(所謂CD−R)として知られている。
CD−R型の光ディスクの代表的な構造は、透明な円盤
状基板上に有機色素からなる記録層、金などの金属から
なる反射層、更に樹脂製の保護層をこの順に積層したも
のである。このCD−R型の光ディスクへの情報の書き
込み(記録)は、一般に近赤外域のレーザ光(通常は7
80nm付近の波長のレーザ光)を光ディスクに照射す
ることにより行われ、色素記録層の照射部分がその光を
吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的な
変化(例えば、ピットなどの生成)が生じてその光学的
特性を変えることにより行われる。一方、情報の読み取
り(再生)も通常、記録用のレーザ光と同じ波長のレー
ザ光を光ディスクに照射することにより行われ、色素記
録層の光学的特性が変化した部位(ピットなどの生成に
よる記録部分)と変化しない部位(未記録部分)との反
射率の違いを検出することにより実施される。
【0003】CD−R型の光ディスクの色素記録層の形
成は、通常、図1に示すような構成を持つスピンコート
装置10を用いて行われている。即ち、一般に色素を溶
剤に溶解させた塗布液貯蔵タンク11から送られてくる
該塗布液1を、ノズル12を用いて、回転下にある円盤
状基板2内周側の表面に滴下するスピンコート法によ
り、該塗布液1を基板外周側に流延させながら色素記録
層を塗布形成している。一方、基板2の回転によって基
板外周端部から放出された塗布余剰液3は、塗布余剰液
回収槽13に回収される。一般に、スピンコート法によ
り色素記録層を形成する場合、色素記録層に使用される
色素は、塗布液中の色素の10%程度、あるいはそれ以
下であり、残りの色素は、その殆どが、溶剤と共に余剰
塗布液として塗布余剰液回収槽13に回収される。
【0004】CD−R型の光ディスクの普及のために
は、製造コストをできる限り抑えることが重要な課題に
なる。製造コストを抑えるためには、安価な原料を使用
すること、不良品を少なくして製品の得率を向上させる
こと、そして製造に要する時間を短縮して生産性を高め
ることなどが有効な手段になる。特に、原料となる色素
が高価であることに着目して、スピンコート法の実施の
際に集めた塗布余剰液から色素を回収してCD−R型の
光ディスクの製造に使用し、光ディスクを安価に製造す
る方法が提案されている。
【0005】例えば、特開平9−27146号公報に
は、まず、塗布液調製用の溶剤よりも高い溶解性を示す
溶剤を用いて塗布余剰液を回収したのち、一旦該余剰液
から溶剤を除去して固形物(色素)を得た後、この固形
物に改めて塗布液調製用の溶剤を、適正な濃度となるよ
うに加えて塗布液を調製し、該塗布液を用いて光ディス
クを製造する方法が記載されている。しかし、この方法
では、塗布余剰液を比較的高い割合にて回収再使用する
ことが可能であるが、回収した塗布余剰液を濃度調整し
たまま光ディスクの製造に使用しているため、該塗布液
は、異物などの混入により純度が低下しており、従っ
て、エラーが発生し易く、満足した記録再生特性が得ら
れないとの問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、レーザ記録
用光情報記録媒体の色素記録層の形成には、従来からシ
アニン色素が好ましく用いられている。一方、色素を溶
解させるための溶剤としては、例えば、特開昭63−1
59090号公報に記載されているように、特にシアニ
ン色素に対して比較的高い溶解能を持ち、かつポリカー
ボネート製基板を溶解させないなどの優れた特性を有し
ている点からフッ素含有アルコールが一般的に用いられ
ている。また、塗布液中には、色素の経時劣化防止のた
めに退色防止剤を添加(通常色素に対して10重量%程
度の量で使用)することが一般に行われている。従っ
て、色素、退色防止剤、及び溶剤を含む塗布液の余剰液
から色素を高純度で回収するには、塗布余剰液から退色
防止剤を高効率で除くことが望ましい。また、この場
合、上記フッ素含有アルコールに対して退色防止剤は、
シアニン色素よりも低い溶解性を示す傾向にあることを
考慮して、色素のみを高効率で回収する方法を開発する
ことが必要であることがわかった。
【0007】従って、本発明の目的は、レーザ記録用の
光情報記録媒体の色素記録層の製造に際して排出された
色素含有塗布液の余剰液から高い純度の色素を高収率で
回収する方法を提供することである。また、本発明の目
的は、そのようにして回収した高純度の色素を色素記録
層形成用の塗布液に使用することで、高い記録再生特性
を維持しながら、製造コストの低減を可能にした光情報
記録媒体を製造する方法を提供することでもある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、従来のレー
ザ記録用の光情報記録媒体の色素記録層の製造に用いる
塗布液は、一般的に、退色防止剤よりも色素に対する溶
解性の高い溶剤を使用していることに着目し、該塗布余
剰液から高純度の色素を回収する方法について検討を重
ねた。そして、その結果、色素、及び退色防止剤に対し
てこれらに対する溶解能に差のある溶剤を用いて、色素
と退色防止剤とを分離するという操作を行うことによ
り、未使用の色素とほぼ同等な高い純度の色素を高収率
で回収できることを見出した。また、これらの方法で回
収した色素を使用することにより、高い記録再生特性を
備えた光情報記録媒体を製造できることも見出した。
【0009】本発明は、光情報記録媒体の製造のため
の、色素と退色防止剤とが該色素に対する溶解能が該退
色防止剤に対する溶解能よりも高い溶剤中に溶解されて
なる色素記録層形成用塗布液を円盤状基板上にスピンコ
ート法によって塗布することによりレーザ光の照射によ
る情報の記録が可能な色素記録層を形成する操作を終了
後、スピンコート法による塗布操作の過程で基板外周端
部から放出された色素記録層形成用塗布液の余剰液から
色素を高純度で回収する方法であって、下記の工程を含
むことを特徴とする色素の回収方法にある。 (1a)塗布余剰液を減圧下で濃縮して退色防止剤を析
出させる工程、(2a)濃縮した塗布余剰液から析出し
た退色防止剤を濾別して除去する工程、(3a)上記工
程で得られた濾液に今度は、上記の色素に対する溶解能
が上記退色防止剤に対する溶解能よりも低い溶剤を添加
混合して、色素溶液を調製する工程、(4a)上記色素
溶液を冷却して色素を析出させる工程、そして(5a)
析出した色素を濾別回収する工程。
【0010】また、本発明は、光情報記録媒体の製造の
ための、色素と退色防止剤とが該色素に対する溶解能が
該退色防止剤に対する溶解能よりも高い溶剤中に溶解さ
れてなる色素記録層形成用塗布液を円盤状基板上にスピ
ンコート法によって塗布することによりレーザ光の照射
による情報の記録が可能な色素記録層を形成する操作を
終了後、スピンコート法による塗布操作の過程で基板外
周端部から放出された色素記録層形成用塗布液の余剰液
から色素を高純度で回収する方法であって、下記の工程
を含むことを特徴とする色素の回収方法にもある。 (1b)塗布余剰液を濃縮乾固して色素と退色防止剤と
を含む固形物を得る工程、(2b)該固形物に塗布余剰
液を添加混合して色素と退色防止剤とを含む溶液を得る
工程、(3b)該溶液を減圧下で濃縮して退色防止剤を
析出させる工程、(4b)濃縮した塗布余剰液から析出
した退色防止剤を濾別して除去する工程、(5b)上記
工程で得られた濾液に今度は、上記の色素に対する溶解
能が上記退色防止剤に対する溶解能よりも低い溶剤を添
加混合して、色素溶液を調製する工程、(6b)上記色
素溶液を冷却して色素を析出させる工程、そして(7
b)析出した色素を濾別回収する工程。
【0011】更に、本発明は、上記の方法により回収し
た色素に、退色防止剤及び溶剤を加えて記録層形成用塗
布液を調製したのち、該塗布液を用いて透明な円盤状基
板上にレーザ光の照射による情報の記録が可能な色素記
録層を塗布形成する工程を含む光情報記録媒体の製造方
法にもある。
【0012】本発明の光情報記録媒体製造用色素の回収
方法は、以下の態様であることが好ましい。 (1)上記色素記録層形成用塗布液の溶剤がフッ素含有
アルコールである色素の回収方法。 (2)上記色素記録層形成用塗布液の溶剤がフッ素含有
アルコールであり、該フッ素含有アルコールが、2,
2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールである
色素の回収方法。 (3)上記の色素に対する溶解能が上記退色防止剤に対
する溶解能よりも低い溶剤が、アセトニトリルもしくは
N,N−ジメチルアセトアミドである色素の回収方法。 (4)色素溶液から析出した色素に対して、当該色素に
対する溶解能が上記退色防止剤に対する溶解能よりも低
い溶剤を使用して冷却工程を実施する再結晶操作を施し
て精製する色素の回収方法。 (5)色素溶液から析出した色素を還流下にあるメタノ
ールにより洗浄処理する色素の回収方法。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の光情報記録媒体用色素の
回収方法において対象となる色素記録層形成用塗布余剰
液は、色素と退色防止剤とが、該色素に対する溶解能が
該退色防止剤に対する溶解能よりも高い溶剤中に溶解さ
れてなるものである。このような溶剤の代表例として
は、前述したフッ素含有アルコール(特に、2,2,
3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール)を挙げる
ことができる。そして、該塗布余剰液からの高純度の色
素の高効率の回収は、後述する(1a)乃至(5a)の
工程を含む本発明の第一の回収方法、あるいは工程(1
b)乃至工程(7b)を含む本発明の第二の回収方法に
より実現することができる。以下に、本発明の色素の回
収方法を工程順に説明する。
【0014】本発明の色素の第一の回収方法には、下記
の工程が含まれる。 [工程(1a)]本工程(1a)では、色素記録層形成
用の塗布液の余剰液を減圧下で濃縮して退色防止剤を析
出させる。すなわち、例えば、色素塗布液余剰液中の色
素がシアニン系色素で、退色防止剤がテトラシアノキノ
ン系化合物で、そして溶剤がフッ素含有アルコールであ
る場合には、フッ素含有アルコールが、退色防止剤に対
するよりも色素に対して、より高い溶解能を有するた
め、該余剰液を濃縮すると、先ず退色防止剤が析出して
くる。余剰液の濃縮の程度は、色素、退色防止剤に対す
る溶剤の溶解能を考慮に入れて調整されるが、処理対象
の塗布余剰液の容量に対して、1/3〜1/10(更に
好ましくは、1/5〜1/10)の範囲の容量になるま
で濃縮することが好ましい。濃縮するときの温度は通常
35〜100℃の範囲が適当である。尚、上記工程(1
a)の前に、塗布余剰液中に含まれている不溶解物(色
素の分解物、異物など)を取り除くために濾過工程を設
けてもよい。
【0015】[工程(2a)]本工程(2a)では、上
記工程(1a)における塗布余剰液の濃縮により析出し
た退色防止剤を濾別して除去する。この操作によって、
塗布余剰液中に含まれる退色防止剤の90%程度の量ま
で除去することが可能であるが、10%程度あるいはそ
れ以上の退色防止剤が濾液中に残存することになる。従
って、濾液中には、色素に加えて、析出しなかった残り
の退色防止剤とが含まれる。また塗布液中に含まれてい
る不溶解物も濾過によって同時に取り除かれる。
【0016】[工程(3a)]上記工程(2a)で得ら
れた濾液に今度は、色素に対する溶解能が退色防止剤に
対する溶解能よりも低い溶剤を添加混合して、色素溶液
を調製する。この工程は、濾液中に溶存する退色防止剤
を除去するための工程である。上記工程(2a)で得ら
れた濾液は、退色防止剤よりも色素に対して高い溶解性
を示す溶剤(即ち、塗布液調製用の溶剤)を溶剤とする
溶液である。この濾液に対して、本工程(3a)では、
色素よりも退色防止剤に対して高い溶解性を示す溶剤が
加えられる。このような溶解性を示す好ましい溶剤の例
としては、アセトニトリル及びN,N−ジメチルアセト
アミドなどの極性溶媒を挙げることができる。特に好ま
しいものは、N,N−ジメチルアセトアミドである。こ
の工程で添加する溶剤の容量は、濾液に対して約1.0
〜1.5倍の容量であることが好ましい。溶剤の添加に
より、得られた色素溶液は、全体として退色防止剤に対
して高い溶解性を示す溶液となる。
【0017】[工程(4a)]この工程(4a)では、
工程(3a)で得られた溶液を冷却して色素を優先的に
析出させる。冷却温度は、5〜20℃(更に好ましく
は、8〜18℃)の範囲にあることが好ましい。また、
冷却時間は、30分〜2時間(更に好ましくは、45分
〜1時間30分)の範囲にあることが好ましい。
【0018】[工程(5a)]この工程(5a)では、
工程(4a)で析出した色素を濾別回収する。すなわ
ち、析出した色素を濾過し、乾燥することにより色素を
回収することができる。一方、濾液中には退色防止剤が
溶存した状態で色素から分離される。この工程で分離さ
れる退色防止剤と、先の工程(2a)で除去される退色
防止剤との合計量は、最初に塗布余剰液に含まれていた
量の98%程度までになる。回収した色素の乾燥は、4
0〜60℃(特に、45〜55℃)の温度範囲で、10
〜40時間(特に、12〜35時間)の範囲で行うこと
が好ましい。
【0019】上記の工程(1a)乃至工程(5a)を含
む本発明の色素の回収方法を行なうことにより、高純度
の色素を回収することが可能であるが、回収された色素
の純度を更に上げるためには、回収した色素に対して再
結晶操作及び洗浄処理操作をそれぞれ単独に行うか、あ
るいは再結晶操作と洗浄処理操作とを組み合わせる方法
をおこなって、色素を再精製することが好ましい。この
再結晶操作は、たとえば、上記工程(3a)乃至工程
(5a)を含む方法を繰り返し行うことにより実施する
ことができる。この時に使用する溶剤の例としては、上
記工程(3a)で挙げた溶剤と同様な極性溶媒を挙げる
ことができるが、再結晶操作では、温度に対して比較的
大きな溶解度差を示すアセトニトリルを溶剤として用い
ることが好ましい。溶剤の使用量は通常、色素の量1k
gに対して200〜1000Lの範囲である。色素に溶
剤を添加した後、温度を50〜70℃の範囲に上げて溶
解させることが好ましい。また、溶解後の冷却は、5〜
20℃の範囲の温度で行うことが好ましい。析出した色
素を濾別後、乾燥することで純度を向上した色素を得る
ことができる。
【0020】回収した色素の洗浄処理操作は、得られた
色素を還流下にあるメタノールにより行うことが好まし
い。還流時間は10〜30分の範囲が適当である。還流
後、室温(20〜25℃)まで冷却して色素を析出さ
せ、その後、濾別し、乾燥することで、純度が更に向上
した色素を得ることができる。なお、再結晶操作、及び
洗浄処理操作の処理後、回収した色素の乾燥は、工程
(5a)における場合と同様な条件で行うことが好まし
い。
【0021】次に、本発明の第二の色素回収方法、即
ち、工程(1b)乃至工程(7b)を含む方法について
説明する。本発明の第二の色素回収方法は、基本的に
は、前述した第一の方法と同様な処理を利用して行われ
るものであるが、第一の方法における工程(1a)の前
に、塗布余剰液を濃縮乾固して色素と退色防止剤とを含
む固形物を得る工程、及び該固形物に塗布余剰液を添加
混合して色素と退色防止剤とを含む溶液を得る工程とが
行なわれる。即ち、第二の色素回収方法は、塗布余剰液
を一旦濃縮乾固して固形物として保管あるいは輸送する
ような場合に特に有利に行われる方法であり、得られた
固形物に、別に回収した塗布余剰液を添加混合して、回
収対象の色素と退色防止剤とを含む溶液を調製し、これ
を色素を回収するための出発原料(塗布余剰液)として
用いる。この場合、固形物に添加する塗布余剰液の量
は、固形物量1kgに対して20〜75Lが適当であ
る。本発明の第二の色素回収方法を行うに際しても、前
述した再結晶操作や洗浄処理操作をそれぞれ単独に行う
か、あるいは再結晶操作と洗浄処理操作とを組み合わせ
る方法を利用して色素を再精製することが好ましい。
【0022】次に、上記の方法で回収した色素を用いた
本発明の光情報記録媒体の製造方法を説明する。本発明
の光情報記録媒体の製造方法は、上記の方法で回収精製
した色素に、退色防止剤及び溶剤などを加えて塗布液を
調製した後、この塗布液を透明な円盤状基板上に塗布
し、色素記録層を形成する工程を含むものである。CD
−R型の光ディスクは、一般に透明な円盤状基板上に、
色素記録層、金属反射層及び樹脂保護層をこの順に積層
することによって製造する。従って、以下において、透
明基板、色素記録層、金属反射層、及び樹脂保護層を含
む本発明の光情報記録媒体を製造する方法を順に説明す
る。
【0023】透明基板は、従来の光情報記録媒体の基板
として用いられている各種の材料から任意に選択するこ
とができる。基板材料としては、例えばガラス;ポリカ
ーボネート;ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹
脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニ
ル系樹脂;エポキシ樹脂;アモルファスポリオレフィン
およびポリエステルなどを挙げることができる。これら
の材料は所望により併用してもよい。なお、これらの材
料はフィルム状としてまたは剛性のある基板として使う
ことができる。上記材料の中では、耐湿性、寸法安定性
および価格などの点からポリカーボネートが好ましい。
【0024】色素記録層が設けられる側の基板表面に
は、平面性の改善、接着力の向上および記録層の変質防
止の目的で、下塗層が設けられてもよい。下塗層の材料
としては例えば、ポリメチルメタクリレート、アクリル
酸・メタクリル酸共重合体、スチレン・無水マレイン酸
共重合体、ポリビニルアルコール、N−メチロールアク
リルアミド、スチレン・ビニルトルエン共重合体、クロ
ルスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、ポリ塩
化ビニル、塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ
イミド、酢酸ビニル・塩化ビニル共重合体、エチレン・
酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリカーボネート等の高分子物質;およびシランカップ
リング剤などの表面改質剤を挙げることができる。
【0025】下塗層は、上記物質を適当な溶剤に溶解ま
たは分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピン
コート、ディップコート、エクストルージョンコートな
どの塗布法を利用して基板表面に塗布することにより形
成することができる。下塗層の層厚は一般に0.005
〜20μmの範囲にあり、好ましくは0.01〜10μ
mの範囲である。
【0026】基板(または下塗層)上には、トラッキン
グ用溝またはアドレス信号等の情報を表わす凹凸(プレ
グルーブ)が形成されていることが好ましい。このプレ
グルーブは、ポリカーボネートなどの樹脂材料を射出成
形あるいは押出成形する際に直接基板上に形成されるこ
とが好ましい。
【0027】また、プレグルーブの形成を、プレグルー
ブ層を設けることにより行ってもよい。プレグルーブ層
の材料としては、アクリル酸のモノエステル、ジエステ
ル、トリエステルおよびテトラエステルのうちの少なく
とも一種のモノマー(またはオリゴマー)と光重合開始
剤との混合物を用いることができる。プレグルーブ層の
形成は、例えば、まず精密に作られた母型(スタンパ)
上に上記のアクリル酸エステルおよび重合開始剤からな
る混合液を塗布し、更にこの塗布液層上に基板を載せた
のち、基板または母型を介して紫外線を照射することに
より塗布層を硬化させて基板と塗布層とを固着させる。
次いで、基板を母型から剥離することにより得ることが
できる。プレグルーブ層の層厚は一般に、0.05〜1
00μmの範囲にあり、好ましくは0.1〜50μmの
範囲である。
【0028】プレグルーブの深さは0.01〜0.3μ
mの範囲にあることが好ましく、またその半値幅は、
0.2〜0.9μmの範囲にあることが好ましい。また
プレグルーブの深さを0.15〜0.2μmの範囲とす
ることにより反射率を殆ど低下させることなく感度を向
上させることができ、特に好ましい。従って、このよう
な光ディスク(深いグルーブの基板に色素記録層および
金属反射層が形成された光ディスク)は、高い感度を有
することから、低いレーザーパワーでも記録が可能とな
り、これにより安価な半導体レーザの使用が可能とな
る、あるいは半導体レーザの使用寿命を延ばすことがで
きる等の利点を有する。
【0029】基板上には、退色防止剤と本発明の方法に
より回収精製した色素を含む色素記録層が設けられる。
色素記録層の形成に通常用いられる色素としては、例え
ば、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、イミダゾ
キノキサリン系色素、ピリリウム系・チオピリリウム系
色素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、N
i、Crなどの金属錯塩系色素、ナフトキノン系色素、
アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、メロ
シアニン系色素、オキソノール系色素、ナフトアニリン
系色素、トリフェニルメタン系色素、トリアリルメタン
系色素、アミニウム系・ジインモニウム系色素及びニト
ロソ化合物を挙げることができる。本発明の回収精製し
た色素は、例えば、特開平4−175188号公報や特
開平10−235999号公報に記載されているシアニ
ン色素であることが好ましい。これらのシアニン色素
は、上記溶剤に対して高い溶解性を示す。特に好ましく
は、特開平10−235999号公報に記載の下記一般
式(I)で示されるシアニン色素である。 [DYE+]nn- (I) (式中、DYE+は、一価のシアニン色素陽イオンを表
し、nは、2以上の整数を表し、Xn-は、n価の多価イ
オン(特に二以上のスルホネートイオンを有する化合
物)を表す。)
【0030】退色防止剤としては、例えば、特開平2−
300288号、同3−224793号、あるいは同4
−146189号等の各公報に記載されている、ニトロ
ソ化合物、金属錯体、ジインモニウム塩、アミニウム塩
などの従来からよく知られている退色防止剤を使用する
ことができる。ただし、本発明において、フッ素含有ア
ルコールに上記シアニン色素を溶解させて塗布液を調製
する場合には、下記の一般式(II)で表される前記特開
平10−235999号公報に記載の退色防止剤を用い
ることが好ましい。
【0031】
【化1】 (式中、R11、R12は、各々独立に炭化水素基を表
す。)
【0032】色素記録層の形成は、退色防止剤、及び回
収精製した色素などの色素記録層形成成分を溶剤に溶解
して塗布液を調製し、この塗布液を通常の方法で基板表
面に塗布して塗膜を形成したのち、乾燥することにより
行われる。尚、塗布液の調整に際しては、更に所望によ
り結合剤を加えることもできる。また、塗布液中には酸
化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤など各種の添加
剤を目的に応じて添加してもよい。
【0033】色素記録層形成用塗布液調製用の溶剤の例
としては、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエ
ステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチ
ルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、
1,2−ジクロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭
化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミド;シクロヘ
キサンなどの炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエ
ーテル、ジオキサンなどのエーテル;エタノール、n−
プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、ジ
アセトンアルコールなどのアルコール;エチレングリコ
ールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチ
ルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル
などのグリコールエーテル類などを挙げることができ
る。上記溶剤は、使用する色素の溶解性などを考慮して
単独または二種以上を適宜併用することができる。本発
明で用いる溶剤も、用いる色素、退色防止剤に対する溶
解能を考慮して選ばれるが、前述したフッ素含有アルコ
ールが好ましく用いられる。フッ素含有アルコールは、
下記の一般式(III)で表される化合物であることが好
ましい。 R−CH2OH (III) 上記式(III)において、Rは、CF3、又はH(CF2
・CF2nを表す。nは、1乃至3の整数を表す。これ
らの具体例としては、HCF2CF2CH2OH、HCF2
CF2CF2CF2CH2OH、及びCF3CH2OHを挙げ
ることができる。特に、フッ素含有アルコールは、2,
2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(HC
2CF2CH2OH)であることが好ましい。
【0034】結合剤の例としては、例えば、ゼラチン、
セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴムなどの
天然有機高分子物質;およびポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系
樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化
ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポ
リアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアク
リル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレ
ン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェ
ノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期
縮合物などの合成有機高分子を挙げることができる。色
素記録層の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤
の使用量は、色素100重量部に対して、上限が20重
量部、好ましくは10重量部、更に好ましくは5重量部
にとどめるべきである。
【0035】このようにして調製される色素記録層形成
用塗布液中の色素の濃度は一般に0.01〜10重量%
の範囲にあり、好ましくは0.1〜5重量%の範囲にあ
る。退色防止剤の使用量は、色素の量に対して、通常
0.1〜50重量%の範囲であり、好ましくは、0.5
〜45重量%の範囲、更に好ましくは、3〜40重量%
の範囲、特に好ましくは5〜25重量%の範囲である。
最も好ましくは、5〜15重量%の範囲である。
【0036】塗布方法としては、スプレー法、スピンコ
ート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート
法、ドクターロール法、及びスクリーン印刷法などを挙
げることができる。好ましい塗布方法は、スピンコート
法である。色素記録層は単層でも重層でもよい。色素記
録層の層厚(乾燥後の厚み)は一般に20〜500nm
の範囲にあり、好ましくは50〜300nmの範囲にあ
る。
【0037】上記色素記録層の上には、特に情報の再生
時における反射率の向上の目的で、金属反射層が設けら
れていることが好ましい。金属反射層の材料である光反
射性物質はレーザ光に対する反射率が高い物質であり、
その例としては、Mg、Se、Y、Ti、Zr、Hf、
V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Re、Fe、
Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Ir、Pt、Cu、A
g、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Si、G
e、Te、Pb、Po、Sn、Biなどの金属及び半金
属あるいはステンレス鋼を挙げることができる。これら
の物質は単独で用いてもよいし、あるいは二種以上の組
合せで、または合金として用いてもよい。これらのうち
で好ましいものは、Cr、Ni、Pt、Cu、Ag、A
u、Al及びステンレス鋼である。特に好ましくは、A
u金属、Ag金属、あるいはこれらの合金である。好ま
しいAu又はAg合金としては、それぞれPt、Cu、
及びAlからなる群より選ばれる少なくとも一種の金属
を含む合金を挙げることができる。最も好ましくは、A
g金属又はAg合金である。金属反射層は、例えば、光
反射性物質を蒸着、スパッタリングまたはイオンプレー
ティングすることにより、色素記録層の上に形成するこ
とができる。金属反射層の層厚は、一般的には10〜8
00nmの範囲にあり、好ましくは20〜500nmの
範囲、更に好ましくは50〜300nmの範囲である。
【0038】金属反射層の上には通常色素記録層などを
物理的および化学的に保護する目的で樹脂保護層が設け
られる。この樹脂保護層は、基板の色素記録層が設けら
れていない側にも耐傷性、耐湿性を高める目的で設ける
こともできる。保護層に用いられる材料の例としては、
SiO、SiO2 、MgF2 、SnO2 、Si3 4
の無機物質、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、UV硬化性
樹脂等の有機物質を挙げることができる。保護層は、例
えば、プラスチックの押出加工で得られたフィルムを接
着剤を介して金属反射層上及び/または基板上にラミネ
ートすることにより形成することができる。あるいは真
空蒸着、スパッタリング、塗布等の方法により設けられ
ていてもよい。また、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の場
合には、これらを適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し
たのち、この塗布液を塗布し、乾燥することによっても
形成することができる。UV硬化性樹脂の場合には、溶
剤を用いることなくそのままもしくは適当な溶剤に溶解
して塗布液を調製したのちこの塗布液を塗布し、UV光
を照射して硬化させることによっても形成することがで
きる。これらの塗布液中には、更に帯電防止剤、酸化防
止剤、UV吸収剤等の各種添加剤を目的に応じて添加し
てもよい。本発明では、樹脂保護層が設けられているこ
とが好ましい。樹脂保護層の層厚は一般には0.1〜1
00μmの範囲にある。
【0039】CD−R型の光ディスクを用いた光情報の
記録再生は、例えば、次のように行われる。CD−R型
の光ディスクの場合には、通常のCDフォーマットの場
合の1倍速(1.2〜1.4m/秒)で記録再生が可能
である共に、2倍速、4倍速、6倍速、もしくはそれ以
上の高速での記録再生も可能である。光ディスクを所定
の定線速度(CDフォーマットの場合は1.2〜1.4
m/秒)または所定の定角速度にて回転させながら、基
板側から半導体レーザ光などの記録用の光を照射する。
この光の照射により、記録層の照射部分がその光を吸収
して局所的に温度上昇し、ピットが生成してその光学特
性を変えることにより情報が記録される。記録光として
は500〜850nmの範囲の発振波長を有する半導体
レーザービームが用いられる。用いられるレーザービー
ムの波長は好ましくは500〜800nmの範囲であ
る。CD−R型の光ディスクにおいては、770〜79
0nmの範囲の波長が適している。上記のように記録さ
れた情報の再生は、光ディスクを所定の定線速度で回転
させながら半導体レーザ光を基板側から照射して、その
反射光を検出することにより行うことができる。
【0040】
【実施例】以下に本発明の実施例と比較例とを記載す
る。 [未使用色素を用いたCD−R型光ディスクの製造]ス
テンレススチール製の密閉容器に、下記の式(A)で示
されるインドレニン系シアニン色素135gと該色素に
対して10重量%の、下記式(B)で示される退色防止
剤、及び2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパ
ノール(溶剤)5000mLを導入し、これに超音波振
動機(1800W)を用いて1リットル当たり60Wを
掛けて溶解し、記録層形成用塗布液を調製した。
【0041】
【化2】
【0042】図1に示すスピンコート装置に、表面にス
パイラル状のプレグルーブ(トラックピッチ:1.6μ
m、プレグルーブ幅:520nm、プレグルーブの深
さ:175nm)が射出成形により形成されたポリカー
ボネート基板(直径:120mm、内径:15mm、厚
さ:1.2mm、商品名:パンライトAD5503、帝
人(株)製)を装着し、上記で得た塗布液を、基板のプ
レグルーブ側の表面に、スピンコート法により回転数を
300〜4000rpmまで変化させながら塗布、乾燥
して色素記録層(厚さ(プレグルーブ内):130n
m)を形成した。一方、スピンコート法によって基板外
周端部から放出させることにより塗布液(色素記録層の
形成に使用されなかった塗布余剰液3)を、図1に示す
ような塗布余剰液回収槽13に回収した。
【0043】次に、DCマグネトロンスパッタ装置を用
いて色素記録層上に銀をスパッタして、膜厚約150n
mの金属反射層を形成した。更に該金属反射層上に、U
V硬化性樹脂(商品名:ダイキュアクリアSD−31
8、大日本インキ化学工業(株)製)をスピンコート法
により、回転数を300〜5000rpmまで変化させ
ながら塗布した後、メタルハライドランプにて紫外線を
照射し、硬化させ、層厚約8μmの樹脂保護層を形成し
た。
【0044】以上の工程により、基板、色素記録層、金
属反射層、及び樹脂保護層がこの順で積層されてなるC
D−R型の光ディスク(以下、CD−R)を製造した。
【0045】[実施例1] (1)塗布余剰液からの色素の回収精製 CD−Rの製造において回収した塗布余剰液(色素、退
色防止剤、及び溶剤を含む塗布液)から下記の手順に従
い色素を回収精製した。塗布余剰液1530Lを減圧下
で濃縮して全量を230Lとした。これを濾過して退色
防止剤を分離し、濾液にN,N−ジメチルアセトアミド
230Lを加えて、10〜15℃に冷却して1時間晶析
させた。析出した結晶を濾別し、これにメタノール46
0Lを添加し、20分間還流を行った。20〜25℃に
冷却して1時間晶析させ、色素の結晶を濾別した。得ら
れた結晶を50℃で15〜29時間乾燥させて、色素6
2kgを得た(色素回収率:69%)。
【0046】(2)回収精製した色素を用いたCD−R
の作製 未使用色素を用いたCD−R型光ディスクの製造におい
て、上記で回収精製した色素を用いたこと以外は同様に
してCD−Rを製造した。
【0047】[実施例2] (1)塗布余剰液からの色素の回収精製 実施例1と同様にして、塗布余剰液から下記の手順に従
って色素を回収精製した。塗布余剰液を濃縮・乾燥固化
させて固形分16kgを得た。これに回収した塗布余剰
液1200Lを加え混合した。該混合物を減圧下で濃縮
して全量を230Lとした。濃縮液を濾過して退色防止
剤を分離し、濾液にN,N−ジメチルアセトアミド23
0Lを加えて、10〜15℃に冷却して1時間晶析させ
た。析出した結晶を濾別し、得られた結晶にアセトニト
リル460Lを添加して、60℃で20分間攪拌を行っ
た。次いで、20〜25℃に冷却して1時間晶析させ
た。結晶を濾別して、得られた結晶にメタノール460
Lを添加し、20分間還流を行った。還流後、溶液を2
0〜25℃に冷却して1時間晶析させ、ついで結晶を濾
別した。得られた結晶を50℃で15〜29時間乾燥さ
せて、色素66kgを得た(色素回収率:70%)。
【0048】(2)回収精製した色素を用いたCD−R
の作製 CD−R型光ディスクの製造において、上記で回収精製
した色素を用いたこと以外は実施例1と同様にしてCD
−Rを製造した。
【0049】[比較例1] (1)色素の回収 実施例1と同様にして、塗布余剰液から下記の手順に従
い色素を回収した。塗布余剰液1530Lを濾過して不
溶解物を分離した後、濾液を減圧下で濃縮し、乾燥固化
させた。得られた固形分にアセトニトリル4328Lを
加えて20℃で攪拌した。その後、温度を10〜15℃
に下げて、色素の結晶を濾別した。得られた結晶を50
℃で15〜29時間乾燥させて、色素11kgを得た
(色素回収率:11%)。
【0050】(2)回収した色素を用いたCD−Rの作
製 CD−R型光ディスクの製造において、上記で回収した
色素を用いたこと以外は実施例1と同様にして比較用の
CD−Rを製造した。
【0051】[比較例2]CD−R型光ディスクの製造に
おいて、回収した塗布余剰液(色素、退色防止剤、及び
溶剤を含む塗布液の回収液)を用いたこと以外は実施例
1と同様にして比較用のCD−Rを製造した。ただし、
塗布余剰液は、未使用色素の塗布液の濃度と同様になる
ように、別に用意した溶剤を用いて濃度調整したのち、
光ディスクの製造に用いた。
【0052】(1)回収した色素の純度の測定 実施例及び比較例で回収した色素と、未使用の色素をそ
れぞれアセトニトリルに溶解し、液体クロマトグラフィ
ー(横川ヒューレットパッカード(株)製)を用いて色
素の純度(%)を調べた。評価結果を表1に示す。
【0053】(2)光情報記録媒体としての評価(C1
エラーの測定) 実施例及び比較例の光ディスクに、OMT2000(パ
ルステック社製)を用いて波長780nmのレーザ光を
NA0.5のピックアップを用い、定線速度4.8m/
秒で、EFM信号を記録パワーを3〜10mWまで変化
させて最適記録パワーで記録した。その後、CD−CA
TS(オーディオディベロップメント社製)を用いて波
長780nmのレーザ光をNA0.45のピックアップ
を用い、定線速度1.2m/秒、0.5mWのレーザパ
ワーで記録信号を再生し、C1エラー(BLER:バー
ストエラーレート)を測定した。評価結果を表1に示
す。
【0054】
【表1】 表1 ────────────────────────────── 評 価 結 果 色素の純度 色素の回収率 記録再生特性 (%) (%) (C1エラー) ────────────────────────────── 実施例1 99.5 69 3 実施例2 99.6 70 2 ────────────────────────────── 比較例1 99.5 11 1 比較例2 −− − 105 ────────────────────────────── 未使用の 99.5 − 3 色素使用 ────────────────────────────── 注1)比較例2:回収した塗布余剰液の濃度を調整してそのまま使用
【0055】表1に記載の実施例1及び実施例2の結果
から明らかなように、本発明に従う色素の回収方法を利
用することにより、塗布余剰液から、高純度の色素を高
収率で回収することができる。また本発明の方法で回収
精製して得られた色素を使用して調製した塗布液を用い
ることにより、未使用の色素を使用して調製した塗布液
を用いた場合とほぼ同様な性能の記録再生特性を備えた
光ディスクを製造できることがわかる。一方、比較例1
において示される色素回収方法では高純度の色素の回収
は可能であるが、回収率が低い。また、比較例2のよう
に、回収した塗布余剰液の濃度を調整するのみで、その
まま使用した場合には、異物などの混入などに起因する
と考えられるが、エラーの発生が多く、良好な記録再生
特性が得られないことがわかる。
【0056】
【発明の効果】本発明に従う色素回収方法によると、光
情報記録媒体の色素記録層の製造に使用した余剰色素溶
液から、高い純度の色素を高収率で回収することができ
る。また、退色防止剤と本発明に従い回収精製した色素
とを溶剤に溶解して塗布液を調製し、これを用いて形成
した色素記録層を有する光情報記録媒体は、未使用色素
を用いた場合と同様に高い記録再生特性を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】光情報記録媒体の製造に際して色素記録層の塗
布形成に使用するスピンコート装置の構成を模式的に示
した図である。
【符号の説明】
1 塗布液 2 円盤状基板 3 塗布余剰液 10 スピンコート装置 11 塗布液貯蔵タンク 12 ノズル 13 塗布余剰液回収槽
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近藤 篤生 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富 士写真フイルム株式会社内 (72)発明者 長沼 宏幸 神奈川県平塚市東八幡5−2−3 三協化 学株式会社内 Fターム(参考) 5D121 AA01 EE22 EE24 EE28 GG28 GG30

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光情報記録媒体の製造のための、色素と
    退色防止剤とが該色素に対する溶解能が該退色防止剤に
    対する溶解能よりも高い溶剤中に溶解されてなる色素記
    録層形成用塗布液を円盤状基板上にスピンコート法によ
    って塗布することによりレーザ光の照射による情報の記
    録が可能な色素記録層を形成する操作を終了後、スピン
    コート法による塗布操作の過程で基板外周端部から放出
    された色素記録層形成用塗布液の余剰液から色素を高純
    度で回収する方法であって、下記の工程を含むことを特
    徴とする色素の回収方法: (1)塗布余剰液を減圧下で濃縮して退色防止剤を析出
    させる工程、(2)濃縮した塗布余剰液から析出した退
    色防止剤を濾別して除去する工程、(3)上記工程で得
    られた濾液に今度は、上記色素に対する溶解能が上記退
    色防止剤に対する溶解能よりも低い溶剤を添加混合し
    て、色素溶液を調製する工程、(4)上記色素溶液を冷
    却して色素を析出させる工程、そして(5)析出した色
    素を濾別回収する工程。
  2. 【請求項2】 光情報記録媒体の製造のための、色素と
    退色防止剤とが該色素に対する溶解能が該退色防止剤に
    対する溶解能よりも高い溶剤中に溶解されてなる色素記
    録層形成用塗布液を円盤状基板上にスピンコート法によ
    って塗布することによりレーザ光の照射による情報の記
    録が可能な色素記録層を形成する操作を終了後、スピン
    コート法による塗布操作の過程で基板外周端部から放出
    された色素記録層形成用塗布液の余剰液から色素を高純
    度で回収する方法であって、下記の工程を含むことを特
    徴とする色素の回収方法: (1)塗布余剰液を濃縮乾固して色素と退色防止剤とを
    含む固形物を得る工程、(2)該固形物に塗布余剰液を
    添加混合して色素と退色防止剤とを含む溶液を得る工
    程、(3)該溶液を減圧下で濃縮して退色防止剤を析出
    させる工程、(4)濃縮した塗布余剰液から析出した退
    色防止剤を濾別して除去する工程、(5)上記工程で得
    られた濾液に今度は、上記色素に対する溶解能が上記退
    色防止剤に対する溶解能よりも低い溶剤を添加混合し
    て、色素溶液を調製する工程、(6)上記色素溶液を冷
    却して色素を析出させる工程、そして(7)析出した色
    素を濾別回収する工程。
  3. 【請求項3】 上記色素記録層形成用塗布液の溶剤がフ
    ッ素含有アルコールであることを特徴とする請求項1も
    しくは2に記載の色素の回収方法。
  4. 【請求項4】 上記フッ素含有アルコールが、2,2,
    3,3−テトラフルオロ−1−プロパノールである請求
    項3に記載の色素の回収方法。
  5. 【請求項5】 上記の色素に対する溶解能が上記退色防
    止剤に対する溶解能よりも低い溶剤が、アセトニトリル
    もしくはN,N−ジメチルアセトアミドであることを特
    徴とする請求項1もしくは2に記載の色素の回収方法。
  6. 【請求項6】 色素溶液から析出した色素に対して、当
    該色素に対する溶解能が上記退色防止剤に対する溶解能
    よりも低い溶剤を使用して冷却工程を実施する再結晶操
    作を施して精製することを特徴とする請求項1もしくは
    2に記載の色素の回収方法。
  7. 【請求項7】 色素溶液から析出した色素を還流下にあ
    るメタノールにより洗浄処理する請求項1もしくは2に
    記載の色素の回収方法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7の内のいずれかの項に記
    載の方法により回収した色素に、退色防止剤及び溶剤を
    加えて記録層形成用塗布液を調製したのち、該塗布液を
    用いて透明な円盤状基板上にレーザ光の照射による情報
    の記録が可能な色素記録層を塗布形成する工程を含む光
    情報記録媒体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2003272245A (ja) * 2002-03-14 2003-09-26 Ricoh Co Ltd 光記録媒体の製造方法
JP2006263538A (ja) * 2005-03-23 2006-10-05 Fuji Photo Film Co Ltd 有機微粒子およびその分散液の製造方法、ならびにそれにより得られる有機微粒子およびその分散液

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