JP2000313751A - 透明性に優れる高強度高分子量ポリオレフィンフィルムおよびその製造方法 - Google Patents
透明性に優れる高強度高分子量ポリオレフィンフィルムおよびその製造方法Info
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Abstract
直交方向の物性バランスに優れる高強度高分子量ポリオ
レフィンフィルムを提供する。また、その様なフィルム
を生産性良く製造可能な高分子量ポリオレフィンフィル
ムの製造方法を提供する。 【解決手段】 高分子量ポリオレフィンフィルムは、
(1)極限粘度が4dl/g以上;(2)厚さが200
μm以下;(3)ヘイズ(H[%])が厚さ(t[μ
m])とH≦10+(t/3)の関係を満たす;(4)機
械軸方向及びその直交方向の引張強度が50MPa以上
という特徴を有する。また、上記高分子量ポリオレフィ
ンフィルムの製造方法は、極限粘度が4dl/g以上の
高分子量ポリオレフィンよりなり、溶剤や可塑剤を実質
的に使用しないで得られた処理前フィルムを、0.1M
Pa以上の圧力と、処理前フィルムの融点−30℃から
高配向融点+5℃までの温度において圧縮加熱処理する
ことからなる。
Description
強度高分子量ポリオレフィンフィルムとその製造方法に
関する。より詳しくは、ヘイズ値が低く優れた透明性を
有するとともに、高引張強度の高分子量ポリオレフィン
フィルム、およびその製造方法に関する。
オレフィンに比べ、耐衝撃性、耐磨耗性、耐薬品性、引
張強度等に優れており、エンジニアリングプラスチック
としてその用途が拡がりつつある。しかしながら高分子
量ポリオレフィンは汎用のポリオレフィンに比較して溶
融粘度が極めて高く流動性が悪いため、従来のTダイ成
形、インフレーションフィルム成形等の押出成形や射出
成形によって成形することは非常に難しく、そのほとん
どは圧縮成形によって成形されており、一部ロッド等が
極く低速で押出成形されている状況にあった。
高分子量ポリオレフィンを使用したフィルムについて鋭
意検討された結果、以下の知見が得られている。特公平
6−55433号公報において、極限粘度[η]が5d
l/g以上の超高分子量ポリエチレンからなり、縦方向
の破断点抗張力が800kg/cm2以上、横方向の破
断点抗張力が700kg/cm2以上、厚さが10〜1
000μmであることを特徴とするインフレーションフ
ィルムが開示されている。
て、極限粘度[η]が5dl/g以上の超高分子量ポリ
エチレンからなり、厚さが0.5〜500μm、破断点
抗張力が700kg/cm2以上である超高分子量ポリ
エチレン二軸延伸フィルムが開示されている。さらに、
特公平4−16330号公報において、高分子量ポリオ
レフィンに多量の可塑剤を混合して押出成形し、二軸延
伸フィルムを製造する方法が開示されている。
フィルム、或いは成形方法で得られた高分子量ポリオレ
フィンフィルムは、優れた機械的性質を有するものの、
汎用ポリオレフィンのフィルムに比し透明性に劣るとい
う欠点があった。また、多量の可塑剤を用いる方法で
は、用途によっては得られたポリオレフィンフィルムか
ら可塑剤を抽出する必要があり、工程がさらに複雑にな
るばかりか、可塑剤が存在した部分には空隙が形成さ
れ、透明性を悪化させる原因となっていた。
高強度な透明フィルムに関しては、以下の文献に記載が
ある。すなわち特開昭60−255415号公報には、
粘度平均分子量が40万以上のポリエチレンからなり、
いずれの方向にも25kg/mm2以上の引張強度を示
すポリエチレン樹脂フィルムが開示されており、実施例
において透明フィルムであることが記載されている。
は、高分子量直鎖状ポリエチレンを基本とし、重量平均
分子量が少なくとも40万、引張強度が少なくとも1G
Pa、厚さが最大25μm、不透明度が最大15%のも
のが記載されている。さらには特開昭60−22812
2号公報に、重量平均分子量が5×105以上のポリエ
チレンからなり厚さが3μm以下、引張弾性率が200
0kg/cm2以上、破断強度が500kg/cm2以
上、ヘイズが10%以下であるポリエチレン極薄フィル
ムが記載されている。
と、比較的透明性に優れたフィルムを得ることが可能で
あるが、透明性を得るために高倍率の二軸延伸を必要と
するためフィルムが薄くなり、厚いフィルムを得ること
ができないという欠点を有する。また、溶剤や可塑剤を
多量に使用して延伸処理前のシートやフィルムを成形し
なければならず、そして用いた溶剤や可塑剤を延伸後に
抽出する必要があり、工程が複雑になるばかりか、溶剤
や可塑剤が存在した部分には空隙が形成され透明性を悪
化させる原因となっていた。これらの空隙をプレスして
加圧状態でつぶす試みもなされているが、非常に薄いフ
ィルムにもかかわらず、良好な透明性を得るに至ってい
ない。これはフィルムに存在する空隙を圧縮して完全に
なくすことが困難なためと推測される。
極限粘度が5.0dl/g以上の超高分子量ポリエチレ
ンシートを、融点以上、融点+15℃未満の温度でロー
ル圧延しながら張力をかけて引取ることを特徴とする超
高分子量ポリエチレンフィルムの製造方法が開示されて
いる。この方法は比較的透明なフィルムを、溶剤や可塑
剤を使用することなく得ることができる点で優れている
が、圧延を行うためにフィルムの機械軸方向(MD)と
機械軸方向に直交方向(TD)のフイルム物性のバラン
スが悪くなる、圧延前のシートの幅が比較的狭いため広
幅のフィルムを作製することが難しいなどの改良すべき
点を有していた。
てはいないが、汎用ポリエチレンを原料として使用し、
電子線等により架橋処理を行うことにより、透明性と高
強度を達成する方法が特公平2−47334号公報等で
提案されている。しかしながら、この方法では、優れた
透明性を得るために架橋処理を不活性ガス中で行う必要
が有ることに加えて特殊な装置を必要とし、容易には作
製することができないという問題点を有していた。
得られなかった良好な透明性を有し、かつ高強度で機械
軸方向(MD)とその直交方向(TD)の物性バランス
に優れる高分子量ポリオレフィンフィルムを提供するこ
とにある。さらに、そのようなフィルムを生産性良く製
造可能な上記高分子量ポリオレフィンフィルムの製造方
法を提供することにある。
題点を解決するために鋭意検討した結果、特定の高分子
量ポリオレフィン処理前フィルムを、特定条件下で圧縮
加熱処理すれば、透明性に優れる高強度な高分子量ポリ
オレフィンフィルムを、生産性良く得られるという知見
を見出し本発明を完成するに至った。
フィンフィルムは、以下の特徴を有する。 (1)極限粘度[η]が4dl/g以上; (2)厚さが200μm以下; (3)ヘイズ(H[%])が厚さ(t[μm])と下式
の関係を満たす; H≦10+(t/3) (4)機械軸方向(MD)およびその直交方向(TD)の引
張強度が50MPa以上。
4dl/g以上の高分子量ポリオレフィンよりなり、か
つ溶剤や可塑剤を実質的に使用することなく得られた高
分子量ポリオレフィン処理前フィルムを0.1MPa以
上の圧力と、高分子量ポリオレフィン処理前フィルムの
融点−30℃から該高分子量ポリオレフィンの高配向融
点+5℃までの温度において圧縮加熱処理する、下記の
物性を有する高分子量ポリオレフィンフィルムの製造方
法が提供される。 (1)極限粘度[η]が4dl/g以上; (2)厚さが200μm以下; (3)ヘイズ(H[%])が厚さ(t[μm])と下式
の関係を満たす; H≦10+(t/3) (4)機械軸方向(MD)およびその直交方向(TD)の引
張強度が50MPa以上。
前フィルムが、溶剤や可塑剤を実質的に用いることなく
得られる一軸延伸フィルム、二軸延伸フィルムまたはイ
ンフレーションフィルムであることが好ましい。
が、高分子量ポリエチレンであることが望ましい。
る高強度高分子量ポリオレフィンフィルムに関し、成形
原料、処理前フィルム、圧縮加熱処理、得られた透明性
に優れる高強度フィルムの特徴について詳述する。
レン、プロピレンおよび炭素数4ないし8のα−オレフ
ィンを、例えばチーグラー系触媒を用いたスラリー重合
などにより、単独もしくは二つ以上を組み合わせて重合
して得られる。好ましい共重合体は、エチレンと少量の
プロピレン、もしくは炭素数4ないし8のα−オレフィ
ン単独ないし二つ以上の組み合わせによる共重合体であ
る。エチレン共重合体の場合、共単量体の含有量は5モ
ル%以下が好ましい。これらの中で特に好ましいもの
は、エチレンの単独重合体である。
度[η]は、フィルム成形に支障をきたさない限り特に
限定されないが、極限粘度[η]で4dl/g以上が好
ましく、さらに好ましくは4ないし25dl/gであ
る。特に高強度な透明フィルムを得る目的では、極限粘
度[η]で5ないし20dl/gが好ましく、特に7な
いし20dl/gが好ましい。極限粘度[η]がこの範
囲であれば、溶融成形性が良好であり、広幅のフィルム
やシートを連続的に作製すること容易であるため好まし
い。
成形やTダイ成形等の押出成形、押出成形後の一軸延伸
や二軸延伸等の公知の方法を用いることができる。本発
明では、これらの高分子量ポリオレフィン処理前フィル
ムの成形において溶剤や可塑剤を実質的に使用しないこ
とが好ましい。
フィルム成形時に成形原料としての高分子量ポリオレフ
ィンが多量の溶剤や可塑剤を含まないことを意味する。
したがって、耐熱安定剤、耐候安定剤、滑剤、核剤、ア
ンチブロッキング剤、スリップ剤、顔料、染料、充填剤
等の通常ポリオレフィンに添加して使用される各種添加
剤は、本発明の目的を損なわない範囲で配合されていて
もよいが、その上限は総量で好ましくは10重量%以
下、より好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは3
重量%以下である。また、フィルム成形時や成形後に溶
剤や可塑剤に接触させないことが、使用できるフィルム
用途が限定されない点で、より好ましい。
しては、一軸延伸フィルム(機械軸方向(MD)またはそ
の直交方向(TD)への延伸)、二軸延伸フィルム(MD
およびTDへの延伸)またはインフレーションフィルム
を使用するのが好ましい。
出後の高分子量ポリオレフィンのフィルムには、目視で
は観察されないポリオレフィン原料粉末の融着界面が残
存し、光の散乱を起こしてフィルムの透明性を悪化させ
る可能性があるが、フィルムを延伸することによってこ
の界面の影響を取り除くことができ、良好な透明性が得
られるためである。
して上記のなかでは、圧縮加熱処理後のフィルムの引張
強度や伸び等の物性バランス(MDとTD)の観点か
ら、二軸延伸フィルム、インフレーションフィルムが好
ましく、特にインフレーションフィルムが好ましい。高
分子量ポリオレフィン処理前フィルムの成形について、
インフレーションフィルムの成形方法を例にとり以下に
具体的に説明する。
度[η]が5dl/g未満のものは、通常のインフレー
ションフィルム成形法によって成形することができる。
通常のインフレーションフィルムの成形法について詳し
くは、「プラスチックの押出成形とその応用」(澤田慶
司著、誠文堂新光社発行(1966年))の第4編第2章に述
べられたポリエチレンやポリプロピレンで行われるよう
な一般的な方法が挙げられる。
延伸した方が望ましい。インフレーションフィルム成形
法でも、ドラフト比と膨比は、特に限定されないが、高
ドラフト比、高膨比である方が好ましい。
度[η]が5dl/g以上、25dl/g以下のもので
は、例えば以下のようなインフレーションフィルム成形
法によって処理前フィルムを成形することができる。
ュー押出機で溶融し、次いでマンドレルがスクリューの
回転に伴って、または独立して回転するL/D(L:マ
ンドレルとアウターダイで構成されるチューブダイの長
さ、D:マンドレルとアウターダイのクリアランスすな
わちダイリップの厚さ)が5以上のチューブダイから押
し出した後、溶融状態のチューブ状フィルムの内部に気
体を吹き込んで、膨比1.1ないし20に膨張させ、冷
却してフィルムとするインフレーションフィルム成形法
によって得られる。
あり、より好ましくは8以上である。また、好ましい膨
比は、5以上であり、より好ましくは8以上である。イ
ンフレーションフィルム成形装置に関する態様は、本出
願人により出願された特公平6−55433号公報に詳
述されている。また、特開平9−183156号公報に
記載されたような方法で成形することもできる。
極限粘度[η]は、4dl/g以上であり、好ましくは
5dl/g以上、より好ましくは6dl/g以上、さら
に好ましくは7dl/g以上であり、その上限値は、成
形原料の極限粘度[η]によって決まり、通常25dl
/g以下、好ましくは20dl/g以下である。極限粘
度[η]が4dl/g未満では、融点以上の温度で溶融
流動性が大きくなりすぎ圧縮加熱処理が困難となるので
好ましくない。また、高分子量ポリオレフィン原料が有
する優れた物性が得られなくなるため好ましくない。
数平均分子量の比(Mw/Mn)は、特には限定されな
いが、表面の平滑性等を向上し、透明性を改良し、さら
に優れた引張強度を得るためには、概ね2〜15、好ま
しくは3〜10の範囲が好ましい。Mw/Mnがこの範
囲であれば、低分子量成分が強度低下の原因となる虞も
少なく、透明性にも優れている。
査型熱量計(DSC)により結晶融解熱から求められる)
は、好ましくは40%以上、より好ましくは50%以
上、さらに好ましくは60%以上、特に好ましくは60
ないし70%である。
には、高分子量ポリオレフィン処理前フィルムが高配向
融点を有するものであることが好ましい。高配向融点を
有するポリオレフィンフィルム内には、分子鎖が伸張さ
れた状態のポリオレフィン配向結晶が存在し、それが明
確な網目状のマトリックス構造を形成していると考えら
れる。このことにより、前記ポリオレフィン原料粉末の
融着界面等の影響を受けにくくなると推定される。加え
て、圧縮加熱処理後においても、この網目状マトリック
ス構造が融解しない状態で残存することにより、網目状
マトリックスを形成する配向結晶間の微細な領域にしか
結晶成長は起こらないと考えられ、高透明性を達成する
ことが可能となる。
ASTM D3417に準拠して、固定端にて示差走査
型熱量計(DSC)により昇温速度10℃/minで融
点測定したとき、ピークが二つ以上に分離して現れると
きの、高温側のピーク(三つ以上のピークが現れる場合
は最も高い温度のピーク)をいう。一方低温側で最も低
い温度のピークを単に融点とした。
れば、従来の高分子量ポリオレフィンフィルムの成形方
法に比べて比較的厚いものまで成形でき特に制限はない
が、本発明の高分子量ポリオレフィン処理前フィルムの
厚さは、通常200μm以下、好ましくは180μm未
満である。また、前フィルム厚さの下限値は1μm以
上、通常3μm以上、好ましくは5μm以上である。さ
らに好ましいフィルム厚さは、5μmないし150μ
m、特に好ましくは5μmないし100μmである。フ
ィルムの厚さが200μm以下の範囲であれば、網目状
のマトリックス構造が形成され易く、圧縮加熱処理によ
って優れた透明性を得ることができる。
述べるような圧縮加熱処理することにより得られる。圧
縮加熱処理は、プレス成形機や一対のロール等の、既知
の圧縮装置を用いて行われる。圧縮加熱処理は、処理後
のフィルムのヘイズ値が、後述する範囲内に収まるよう
な温度、圧力、処理時間の、選ばれた条件のもとで行わ
れる。
もよるが、通常、高分子量ポリオレフィン処理前フィル
ムの融点−30℃から高分子量ポリオレフィン処理前フ
ィルムの高配向融点+5℃までの温度である。より好ま
しい温度範囲としては、該高分子量ポリオレフィン処理
前フィルムの融点−20℃から高配向融点+5℃までの
温度範囲、さらに好ましくは、該高分子量ポリオレフィ
ン処理前フィルムの融点−20℃から高配向融点までの
温度範囲である。
と透明性を十分に改良できず、一方、温度が上記の範囲
を超えて高くなりすぎると網目状マトリックスの消失に
より、若干青みをおびてきてヘイズが悪化するおそれが
ある。
が高配向フィルムであれば、通常、融点を越えて加熱す
ると、熱収縮が起こり圧縮加熱処理の操作がしにくくな
る。本発明においては、例えば、高分子量ポリオレフィ
ンフィルムを圧力下で加熱するので、融点以上であって
も熱収縮を起こさせることなく圧縮加熱処理を行うこと
が可能となる。圧縮加熱処理前後での熱収縮の許容限度
は、通常、30%未満、好ましくは20%未満、より好
ましくは10%未満、さらに好ましくは5%未満であ
る。
査型熱量計(DSC)による融点測定により求められ
る。高分子量ポリエチレンの場合、融点は、概ね125
℃ないし160℃の範囲にあり、高配向融点を有する場
合には、融点は通常135℃ないし160℃の範囲に観
察される。
やロールがフィルムに接触して加える圧力であり、0.
1MPa以上が好ましい。上限値は特に限定されない
が、高圧を得るための装置が煩雑になるため、おおむね
30MPa以下であり、20MPa程度までであれば十
分な効果が得られる。上記の範囲を超えて圧力が低くな
りすぎると、フィルムの透明性にむらが生じる可能性が
あるので好ましくない。高分子量ポリオレフィンの融点
未満の温度で加熱を行う場合は、圧力は通常10MPa
以上であることが好ましい。
好ましくは5分以下、より好ましくは1分以下の時間
で、圧力と温度に応じて適宜調節される。圧縮加熱処理
の雰囲気は、不活性ガス中でも良いし、空気中でも良い
が、通常は空気中で行われる。
たり、高配向させて高強度化したりすることを目的とす
るものではなく、圧延処理とは本質的に異なる。フィル
ム厚さは圧縮加熱処理前後で大きくは変化せず、仮に薄
くなったとしても、その差は処理前フィルムの厚さの2
0%未満、好ましくは10%未満、通常は5%未満であ
り、膜厚が圧縮加熱処理前後で大きく変化しないことが
望ましい。
度高分子量ポリオレフィンフィルムは、以下の物性を有
する。
ことが好ましく、より好ましくは5dl/g以上、さら
に好ましくは6dl/g以上、特に7dl/g以上であ
ることが好ましい。極限粘度[η]の上限値は高分子量
ポリオレフィン処理前フィルムの極限粘度[η]によっ
て決まり、通常25dl/g以下、好ましくは20dl
/g以下である。
とが好ましく、より好ましくは180μm未満、下限値
は1μm以上、通常は3μm以上、好ましくは5μm以
上である。特に好ましくは5μmないし150μm、最
も好ましくは5μmないし100μmである。また、優
れた透明性を特に必要とする場合は、5μm未満が好ま
しい。
200μm以下において、ヘイズ(H[%])が、H≦
10+(t/3)の関係を、好ましくはH≦5+(t/3)
の関係を、より好ましくはH≦2.5+(t/3)の関係
を、さらに好ましくはH≦(t/3)の関係を満たす。
MPa以上、好ましくはMDおよびTDについて50M
Pa以上かつ少なくともその一方向で70MPa以上、
より好ましくはMDおよびTDについて70MPa以
上、さらに好ましくはMDおよびTDについて70MP
a以上かつ少なくともその一方向で100MPa以上、
特に好ましくはMDおよびTDについて100MPa以
上である。また、引張強度の上限値は、通常は、処理前
フィルムの引張強度値であるが、概ねMDおよびTDに
ついて2GPa未満、通常1GPa未満である。
比(MD/TD)は、特に限定されないが、通常0.2
5ないし4、好ましくは0.33ないし3、より好まし
くは0.5ないし2の範囲内にあることが望ましい。
0MPaないし2GPaの範囲内にあり、好ましくは4
00MPaないし2GPaである。好適なフィルムのM
D引張弾性率とTD引張弾性率の比(MD/TD)は、
0.25ないし4、好ましくは0.33ないし3、より
好ましくは0.5ないし2の範囲内にある。
50ないし1500%の範囲内にある。好適なフィルム
のMD引張伸びとTD引張伸びの比(MD/TD)は、
0.25ないし4、好ましくは0.33ないし3、より
好ましくは0.5ないし2の範囲内にある。
形成する高分子量ポリオレフィンの結晶化度は、特に限
定されることなく、通常10%ないし80%の範囲内に
あり、好ましくは50%ないし80%である。
の製造方法によれば、従来の方法に比べて広い厚み範囲
で透明性に優れる高強度高分子量ポリオレフィンフィル
ムが得られるだけでなく、高分子量であることによりも
たらされる耐衝撃性、耐摩耗性、自己潤滑性、耐薬品
性、高引張強度等の物性を兼ね備えたフィルムを得るこ
とが可能となる。また、広幅の上記フィルムを生産性良
く得られる製造方法が提供される。
高分子量ポリオレフィンフィルムは、これらの特性をい
かし、スライディングテープ、スラストワッシャー、す
べりシート、ガイド、スキー,スノーボード等の裏張
り、ホッパーおよびシュート等のライニング材、ドクタ
ーナイフ、カセットテープ用ライナー、カセットテープ
用スリットシート、ロール,パイプ,鋼管等の被覆用フィ
ルム、食品包装用フィルムや耐低温保存用袋等の包装用
フィルム、血液保存バック等の医療用滅菌・殺菌材料、
電気絶縁材料、コンデンサーフィルム、農業用ハウス,
マルチフィルム等の農業用フィルム、エレクトレットフ
ィルム、ハウスラップ等の建築用資材、包装用テープ、
回路基板用フィルム、スピーカー振動板、航空便用封筒
等に好適に使用することができる。
方法により測定されたものである。極限粘度 [η] ASTM D4020に基づいて、デカリン溶媒にて1
35℃で測定した。Mw/Mn 重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)
は、高温GPC装置(Waters社製:型式150
C)を使用して測定し、得られたMw、Mnから分子量
分布(Mw/Mn)を求めた。厚さ JIS Z1702に従い、デジシックネステスター
(東洋精機(株)製、検出能力1μm)を用い、圧子5m
mφ、荷重125g、測定圧637Kg/cm2で測定
した。
C−H III DPK)を用いて、JIS K6714に
準じて測定した。引張強度、引張弾性率、引張伸び オリエンテック社製引張試験機テンシロン(型式RTM
100型)を使用し、室温(23℃)で測定した。測定
方法はJIS K6781に準拠した。
SC)により測定した。測定は固定端で、昇温速度10
℃/minで行い、ピーク値を融点とした。また、ピー
クが二つ以上に分離する場合は、低温側で最も低い温度
のピークを融点とし、高温側の最も高温のピークを高配
向融点とした。結晶化度 結晶化度の測定は、示差走査熱量計(DSC)により、
ASTM D3417に示された条件で融点測定した際
に、同時に測定される融解熱量を用いて、理論融解熱量
の値(ポリエチレンの場合286.186J/g を使用)に対す
る比率(%)として計算で求めた。
明するが、本発明はその趣旨を越えない限りこれらの実
施例に何ら制約されるものではない。
フィルムの作製を、図1に示すインフレーションフィル
ム製造装置を使用して行った。
は以下の通りである。 押出機の第1スクリュー外径 50mmφ スクリューの有効長さ 1100mm フライトピッチ 30mm一定 スクリュー圧縮比 1.8 スクリューダイ有効長さ 1490mm(L/D=28) ダイ出口アウターダイ内径 66mmφ ダイ出口マンドレル外径 58mmφ スクリューダイの第2スクリュー外径 70mmφ 第2スクリュー有効長さ 238mm フライトピッチ 25mm一定 第2スクリュー圧縮比 1.0 安定棒の外径 39mmφ 安定棒の長さ 600mm 気体流路の内径 8mmφ
約135℃である高分子量ポリエチレンの粉末樹脂を用
い、図1に示す装置において押出機、ジョイント部
(J)、ダイ基部(D1)及びダイ先端部(D2)の設
定温度をそれぞれ200℃、180℃、170℃、16
2℃として成形した。第2スクリュー内部、マンドレル
及び安定棒シャフトの内部に延在する気体流路から圧搾
空気を吹き込んで、パリソンをアウターダイ内径(66
mmφ)の約7.0倍(膨比)に膨らませ、約39.4
倍のドラフト比で引き取って、高分子量ポリエチレン処
理前フィルムNo.1を作製した。
フィルムの作製を、実験例1と同様なインフレーション
フィルム製造装置を使用して行った。
は以下の通りである。 押出機の第1スクリュー外径 50mmφ スクリューの有効長さ 1100mm フライトピッチ 30mm一定 スクリュー圧縮比 1.8 スクリューダイ有効長さ 1490mm(L/D=28) ダイ出口アウターダイ内径 53mmφ ダイ出口マンドレル外径 45mmφ スクリューダイの第2スクリュー外径 70mmφ 第2スクリュー有効長さ 238mm フライトピッチ 25mm一定 第2スクリュー圧縮比 1.0 安定棒の外径 39mmφ 安定棒の長さ 600mm 気体流路の内径 8mmφ
4.0dl/g、融点:約136℃である高分子量ポリ
エチレンの粉末樹脂を使用し、図1に示す装置において
押出機、ジョイント部(J)、ダイ基部(D1)及びダ
イ先端部(D2)の設定温度をそれぞれ360℃、25
0℃、200℃、170℃として、膨比約8.5倍、ド
ラフト比約20.3倍で高分子量ポリエチレン処理前フ
ィルムNo.2を作製した。
フィルム製造装置を使用し、極限粘度[η]:5.0d
l/g、融点:約135℃である高分子量ポリエチレン
の粉末樹脂を使用し、図1に示す装置において押出機、
ジョイント部(J)、ダイ基部(D1)及びダイ先端部
(D2)の設定温度をそれぞれ190℃、170℃、1
60℃、155℃として、膨比約9.0倍、ドラフト比
約72.0倍で厚さ約6μmの高分子量ポリエチレンイ
ンフレーションフィルムを作成した。このインフレーシ
ョンフィルムをバッチ式二軸延伸機(東洋精機(株)製)
でTDの方向に二倍、固定幅で一軸延伸(延伸温度:1
34℃、延伸速度:0.5m/min)し、高分子量ポ
リエチレン処理前フィルムNo.3を作製した。表1、2
に上記各実験例のフィルム物性を示す。
〜3で作製した高分子量ポリエチレン処理前フィルムを
使用して、圧縮加熱処理を行った。圧縮加熱処理は、東
洋精機(株)製 MINI TEST PRESS-10を使用し、表3に記
載した各条件により以下の方法で行った。処理前フィル
ムの両面に、離型フィルムとして東レ(株)製ルミラーTM
T60(25μm)を重ね、それを一対のステンレス板間に
挟み、まず115℃にて表3記載の各圧力で圧縮した。
その後所定の圧縮処理温度まで昇温(昇温速度:約6〜
7℃/min)して各加圧時間保持し、圧縮状態のまま
室温(23℃)で徐冷した。115℃まで降温後、フィ
ルムをとりだしてフィルム物性を測定した。結果を表3
に示す。
ヘイズが高く透明性は改善されていない。比較例2で
は、処理温度が高配向融点を上回ったため、ヘイズが高
めとなった。比較例3では、処理温度が高配向融点を大
きく上回ったため、ヘイズ、引張強度ともに悪化した。
透明性に優れ、しかも高い引張強度を有するとともに、
機械物性が機械軸方向(MD)とその直交方向(TD)
でバランスのとれた高強度高分子量ポリオレフィンフィ
ルムを提供することができる。また、本発明の製造方法
によれば、上記の高分子量ポリオレフィンフィルムが、
生産性良く得られる。
フィルムを製造するための成形装置の一例を示す正面断
面図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 以下の特徴を有する高分子量ポリオレフ
ィンフィルム; (1)極限粘度[η]が4dl/g以上; (2)厚さが200μm以下; (3)ヘイズ(H[%])が厚さ(t[μm])と下式
の関係を満たす; H≦10+(t/3) (4)機械軸方向(MD)およびその直交方向(TD)の引
張強度が50MPa以上。 - 【請求項2】 前記高分子量ポリオレフィンが、高分子
量ポリエチレンである請求項1に記載の高分子量ポリオ
レフィンフィルム。 - 【請求項3】 極限粘度[η]が4dl/g以上の高分
子量ポリオレフィンよりなり、かつ溶剤や可塑剤を実質
的に使用することなく得られた処理前フィルムを、0.
1MPa以上の圧力と、該処理前フィルムの融点−30
℃から高配向融点+5℃までの温度において圧縮加熱処
理する、下記の物性を有する高分子量ポリオレフィンフ
ィルムの製造方法; (1)極限粘度[η]が4dl/g以上; (2)厚さが200μm以下; (3)ヘイズ(H[%])が厚さ(t[μm])と下式
の関係を満たす; H≦10+(t/3) (4)機械軸方向(MD)およびその直交方向(TD)の引
張強度が50MPa以上。 - 【請求項4】 前記処理前フィルムが、一軸延伸フィル
ム、二軸延伸フィルムまたはインフレーションフィルム
である請求項3に記載の高分子量ポリオレフィンフィル
ムの製造方法。 - 【請求項5】 前記高分子量ポリオレフィンが、高分子
量ポリエチレンである請求項3または4に記載の高分子
量ポリオレフィンフィルムの製造方法。
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