JP2000312022A - 受光素子及びその駆動方法 - Google Patents
受光素子及びその駆動方法Info
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Abstract
光源の短波長化(青紫色:波長λ=400nm前後)に対
応した受光感度を備え、かつ、光メモリ用受光素子に適
した高速かつ低電圧動作が可能な受光素子及びその駆動
方法を提供する。 【解決手段】 少なくとも電圧を印加しながら受光する
ことにより絶縁体金属転移を示す光電変換層と一対の電
極とを具備し、前記光電変換層における受光領域と、前
記一対の電極により電圧が印加される領域とが、一対の
電極間を結ぶ最短経路において、ほぼ一致するように配
置されてなることを特徴とする。
Description
動方法に関し、特に光ピックアップに好適に用いられる
ものに関する。
ーザ(波長λ=400nm前後)、あるいはSHG(第2次高調
波発生)素子を用いた青紫色レーザの開発の実用化に目
処がつき、光源の短波長化による光メモリの高密度化が
期待されている。
化した記録マークから信号を再生する際には次のような
問題があることが、例えば、日経エレクトロニクス199
8.1.26(no.708)pp.127-129に記述されている。
ことによる)信号量の減少に加え、光メモリ用光ピック
アップに用いられていた受光素子であるSiのpinフォト
ダイオードの感度が低下するために信号再生が難しくな
る。この原因としては(1)光源が短波長化することによ
るフォトン数の減少、(2)量子効率の低下(受光素子の
材料であるSiの光吸収係数は波長が短くなると増大し表
面近くで吸収される確率が高くなるが、表面近くには多
くの表面準位があるため発生したキャリヤが再結合し消
失しやすくなる結果)、等が挙げられている。
ては、青紫色の波長に対応した反射防止膜の改善やpin
型構造のi層の厚さを調節することで対応するとしてい
るが、増幅機能がないpinフォトダイオードでは自ずと
受光感度に限界がある。このような背景の下、光メモリ
の高密度化には記録再生速度及び消費電力の観点から要
求される(1)高速動作(<10nsec)、(2)低動作電
圧(<5V)の条件に加えて信号量の減少、光源の短波
長化(青紫色:波長λ=400nm前後)に対応した受光感
度を確保することが可能な増幅機能を有する受光素子及
び光ピックアップが必要となってきている。
シェフォトダイオードがよく知られている。例えば、特
開平9-265652号公報には、青紫色の短波長光源に対する
受光素子の感度低下に対応するものとして増幅機能のあ
るアバランシェフォトダイオードを用いた光ピックアッ
プが記載されている。しかしながら、アバランシェフォ
トダイオードは動作電圧が通常100V以上必要であるた
め光メモリ用受光素子として使用することは難しい。
ンシェフォトダイオードのような受光素子ではないが
「マンガン酸化物に光照射する際に生じる絶縁体金属転
移を用いる光スイッチング素子」が特開平10-261291号公
報に記載されている。該公報によれば、単結晶のPr0.7C
a0.3MnO3上に50μmの間隔で金電極を形成し、この電極
間に数Vの直流バイアス電圧をかけながらYAG(イッ
トリウム−アルミニウム−ガーネット)レーザー光を照
射すると絶縁体金属転移を起こし電気抵抗が大きく変化
するというものである。上記Pr0.7Ca0.3MnO3における光
照射による絶縁体金属転移については文献Physical Rev
iew Letters Vol.78, No.22, (1997),pp.4257-4260や、
Journal of the Physical Society of Japan Vol.66, N
o.11, (1997),pp.3570-3576にも詳しく記載されてい
る。
来の光スイッチング素子を光メモリ用受光素子として用
いるには、(1)絶縁体金属転移を起こした時の緩和時間
が数100nsec〜数μsecと長いため、応答速度の点で
問題があり、また、(2) 記録ビットからの微弱な反射光
(数μW)により上記の絶縁体金属転移を引き起こすに
は少なくとも数十V以上のバイアス電圧が必要であり、
動作電圧の点においても問題である。さらに、(3)完全
に金属状態に転移した後は、光照射を止めても金属状態
が保持されるため、記録ビットの有無を検知することさ
え難しい。
れたものであり、光照射による金属絶縁体転移を増幅機
能として利用することにより、光メモリの高密度化にお
ける信号量の減少、光源の短波長化(青紫色:波長λ=
400nm前後)に対応した受光感度を備え、かつ、光メ
モリ用受光素子に適した高速かつ低電圧動作が可能な受
光素子及びその駆動方法と光ピックアップを提供するこ
とを目的とする。
換層の光照射領域と電圧印加領域が重なる領域(ここで
は複合励起領域と呼ぶ)において、絶縁体金属転移が発
生することから光電変換層における複合励起領域と電極
間の配置関係に着目し、上記絶縁体金属転移が高速かつ
低電圧にて実現可能であることを見出した。
なくとも電圧を印加しながら受光することにより絶縁体
金属転移を示す光電変換層と一対の電極とを具備し、前
記光電変換層における受光領域と、前記一対の電極によ
り電圧が印加される領域とが、一対の電極間を結ぶ最短
経路において、ほぼ一致する(ほぼ重なる)ように配置
されてなることを特徴とする。
記受光素子において、電極が受光する光に対して透明で
あることを特徴とし、さらに、請求項3記載のものは、
基板上に下部電極、光電変換層、及び受光する光に対し
て透明な上部電極が順次形成されてなることを特徴とす
る。
は、電圧を印加しながら受光することにより絶縁体金属
転移を示す光電変換層と一対の電極を備えた受光素子
を、受光時に完全には絶縁体金属転移させずに動作させ
ることを特徴とする。
において、検出可能な最小光量の閾値を該受光素子に印
加する直流電圧値により制御することを特徴とする。
方法は、電圧を印加しながら受光することにより絶縁体
金属転移を示す光電変換層と一対の電極を備えた受光素
子を、直流パルス電圧を印加し受光時に完全に絶縁体金
属転移させながら動作させることを特徴とする。
て、印加する直流パルス電圧のパルス幅が、受光する光
の最短パルス幅の1/10以下であることを特徴とし、
さらに、印加する直流パルス電圧の最小値を、受光時に
完全に絶縁体金属転移した際の抵抗値を維持しうる最小
電圧値より小さくすることを特徴とする。
とを組み合わせ、さらに、光源及び集光光学系を備える
ことにより、高速、低電圧動作の光ピックアップを構成
することが可能となる。
動方法とこれらにより構成される光ピックアップの実施
形態について、 (a)原理と構造(光電変換層と電極の配置) 従来素子構造(比較例) 実施形態1(側面電極) 実施形態2(透明電極) 実施形態3(薄膜構造) (b)駆動方法 不完全な絶縁体金属転移を利用 完全な絶縁体金属転移を利用−1電圧パルス幅を選択
する駆動 完全な絶縁体金属転移を利用−2電圧パルス値を選択
する駆動 (c)光ピックアップによる光ディスクからの信号検出 の順序にて説明を以下に行う。 (a)原理と構造(光電変換層と電極の配置) <比較例>(従来素子構造) まず、従来素子構造について説明する。◆従来の素子構
造の概略断面図を図1(a)に示す。ここに示すように
光電変換層1上に間隔L'をあけて電極2が形成されてい
る。この電極2は入射光3を反射、あるいは吸収する不
透明な電極である。
入射光3を照射した際に、光電変換層1が絶縁体金属転
移を起こし、電極間における抵抗値変化が得られる様子
を図1(b)を用いて説明する。図1(b)は従来素子
構造での動作原理を説明するために図1(a)中、楕円
にて指定したA'部分を拡大し詳細に示した図である。
入射光3は電極2を透過できないため電極2直下の光電
変換層1には光照射領域4はなく、光電変換層1におけ
る光照射領域4は電極間方向においては電極間L'の内側
に制限される。
した際の様子を電気力線5により示すが、光電変換層1
の光照射領域4と電気力線5にて示す電圧印加領域が重
なる領域(複合励起領域)において、絶縁体金属転移が
発生するという動作原理に着目すると、電極間において
転移を起こす複合励起領域と電極2とは僅かに電極端に
て重なるに過ぎず、むしろ電極間には、電極直下の転移
を起こしていない光電変換層1領域を大きく挟む構造と
なる。
ては、電極間方向において光照射領域4と電気力線5に
て示す電圧印加領域が重ならない領域を含むために、転
移を起こし複合励起領域に発生したキャリヤ(図示せ
ず)が電極2に到達する効率が著しく低くなり、その結
果、緩和時間が長くなる。これは、電極間距離L'によら
ず、絶縁体金属転移の動作原理と素子構造に起因する本
質的な問題である。さらに、印加した電圧が有効に利用
されないために転移を起こすに必要な印加電圧を大きく
せざるを得ない。
光素子を実施形態1として説明する。実施形態1の概略
断面図を図2(a)に示す。ここに示すように光電変換
層1上の電極2の配置は、図2(a)に示すように光電
変換層1と電極2の面位置が入射光3に対してほぼ同一
平面上にあり、光電変換層1が電極2により側面から挟
み込まれるように配置する。このような構造は、例え
ば、光電変換層1において幅L''で指定された領域の両
側を電極2の厚みにほぼ等しくなるような深さに加工
し、その加工部に電極2を形成することで作製される。
この電極2は入射光3に対して不透明な電極である。す
なわち電極2を形成した直下の光電変換層1には光は照
射されない。
ら入射光3を照射した際に、光電変換層1が絶縁体金属
転移を起こし電極間における抵抗値変化が得られる様子
を図2(b)を用いて説明する。図2(b)は図2
(a)中、楕円にて指定したA''部分を拡大し詳細に示
した図である。入射光3は電極2を透過できないため、
電極2直下の光電変換層1には光照射領域4はなく、光
電変換層1における光照射領域4は電極間方向において
は電極間L''の内側に制限される。
した際の様子を電気力線5により示すが、本実施形態1
においては光電変換層1の光照射領域4が電気力線5に
て示す電圧印加領域と、電極間方向において殆ど全て重
なる(一致する)。すなわち、複合励起領域において絶
縁体金属転移が発生するという動作原理に着目すると、
転移を起こす複合励起領域は電極間においてほぼ一様に
形成される構造となる。
こしていない光電変換層1領域を含まないので、転移を
起こし複合励起領域に発生したキャリヤ(図示せず)が
効率よく電極2に到達する。その結果、電極間距離を適
切に選ぶことにより、従来素子構造において問題であっ
た緩和時間を、1nsec以下へと著しく短縮することが可
能となった。
は光電変換層1の加工深さを光が到達できない程度の深
さにすることで殆ど無視できる程度にまで小さくできる
ため問題とはならない。さらに、印加した電圧を有効に
利用できるため転移を起こすに必要な印加電圧を5V以
下に低減することも可能となった。
実施形態2として説明する。実施形態2の概略断面図を
図3(a)に示す。ここに示すように光電変換層1上に
間隔L'''をあけて透明電極6が形成されている。入射光
3はこの透明電極6を透過するため、透明電極6直下の
光電変換層1にも光は照射される。
ら入射光3を照射した際に、光電変換層1が絶縁体金属
転移を起こし電極間における抵抗値変化が得られる様子
を図3(b)を用いて説明する。図3(b)は図3
(a)中、楕円にて指定したA'' '部分を拡大し詳細に
示した図である。入射光3は透明電極6を透過するた
め、光電変換層1における光照射領域4は電極間方向に
おいては電極間隔L'''によっては制限されない。
印加した際の様子を電気力線5により示すが、本実施形
態2においては光照射領域4が電極直下にも形成される
ために、光電変換層1の光照射領域4と電気力線5にて
示す電圧印加領域が電極間方向において殆ど重なること
が可能になる。すなわち、転移を起こす複合励起領域は
電極間においてほぼ一様に形成される構造となる。
工することなくより簡便に、光電変換層1の光照射領域
4と電気力線5にて示す電圧印加領域が電極間方向にお
いて殆ど重なる素子構造が得られる。その結果、実施形
態1で得られたのと同様に、電極間距離を適切に選ぶこ
とにより緩和時間を著しく短縮(1nsec以下程度)する
ことが可能であった。また、印加した電圧を有効に利用
できるため転移を起こすに必要な印加電圧を5V以下に
低減することも同様に可能となった。
を実施形態3として説明する。実施形態3の概略断面図
を図4(a)に示す。ここに示すように、基板7上に下
部電極8、光電変換層1、透明電極6が順次形成されて
いる。
極6直下の光電変換層1に十分に光は照射されるよう光
電変換層1の厚さを選べばよく、光電変換層1は薄膜と
することが好ましい。
けながら入射光3を照射した際に、光電変換層1が絶縁
体金属転移を起こし電極間における抵抗値変化が得られ
る様子を図4(b)を用いて説明する。図4(b)は図
4(a)中、楕円にて指定したA部分を拡大し詳細に示
した図である。入射光3は透明電極6を透過するため、
光電変換層1における光照射領域4は電極間方向におい
ては、殊に光電変換層1を薄膜とした場合には、一様に
存在すると考えられる。
層1に電圧を印加した際の様子を電気力線5により示す
が、本実施形態3においては光照射領域4が電極直下に
形成されるために、光電変換層1の光照射領域4と電気
力線5にて示す電圧印加領域が電極間方向において殆ど
重なることが可能になる。すなわち、転移を起こす複合
励起領域は電極間においてほぼ一様に形成される構造と
なる。
工することなく、かつ、電極間距離Lは光電変換層1の
膜厚により決まるが膜厚の制御は容易であるためさらに
簡便に作製できるばかりでなく、受光面積と電極間距離
Lを独立に設計できるという利点もある。実施形態1、
2で得られたのと同様に電極間距離を適切に選ぶことに
より従来素子構造において問題であった緩和時間を1ns
ec以下に著しく短縮することが可能である。また、印加
した電圧を有効に利用できるため転移を起こすに必要な
印加電圧を5V以下に低減することも同様に可能とな
る。 (b)駆動方法 続いて本発明の受光素子を駆動する方法について説明す
る。◆ <実施形態4>実施形態4として、不完全な絶縁体金属
転移を利用する方法について説明する。図5に本受光素
子を駆動するための回路構成を簡略に示す。受光素子1
0には直流定電圧源11により電圧を印加し、負荷抵抗
RL12を通して出力を取り出す構成としている。
抵抗RL12を介して得られる出力信号の関係を図6を
用いて説明する。図6は横軸に入射光量を、縦軸に出力
信号をとり、印加電圧としてVb、Va(Vb>Va)、各電圧
値を印加した時のグラフを示している。
フを説明する。光照射によっても転移が起こらず出力変
化が得られない(非増幅領域13と呼ぶ)、すなわち検
出可能な最小光量以下での様子をグラフ中点線で示し
た。入射光量が絶縁体金属転移が始まる閾値以上になる
と入射光量変化に応じた抵抗変化が起こりその結果出力
値の変化が得られる(増幅領域14と呼ぶ)様子を実線
で示している。さらに入射光量が増加しある光量以上で
は完全に転移が完了するために出力値が飽和する(飽和
領域15と呼ぶ)様子をグラフ中の太線で示した。
フの変化を説明する。非増幅領域13、増幅領域14、
飽和領域15は電圧Vaを印加したときと同様に得られる
が、印加電圧によるグラフの違いを比べてみると、印加
電圧値が大きくなることにより、検出可能な最小光量の
閾値、及び出力が飽和する最大光量値が共に低下するこ
と、さらに閾値以下の光量時の出力であるVbg(暗電流
に相当する)は、増加する、ことがわかる。
にはビットの“0”、“1”に相当する光量変化“)
が、その最小値をPmin、最大値をPmaxとして規定された
場合を取り上げ、印加電圧Vb、Vaの違いにより出力変化
がどのように影響を受けるかについて説明する。
の出力を白ぬきの丸で示し、光量変化Pmax−Pminに対し
て得られる出力変化をΔV(a)と表わした。図6に示した
ように光量Pminは閾値よりも少ないために光量がPminか
ら閾値光量まで変化する間の出力変化が得られないため
にΔV(a)は小さくなる。
axでの出力を黒丸で示し、光量変化Pmax−Pminに対して
得られる出力変化をΔV(b)と表わした。図6に示したよ
うに光量Pminがほぼ閾値と同程度になるように印加電圧
が設定されている場合に相当するが、Pmin以上の光量変
化(増加)に対して出力変化が得られるためにΔV(b)は
ΔV(a)に比べ大きく得られることがわかる。
印加電圧値により検出可能な最小光量の閾値を制御する
ことにより、光量変化に対する出力変化が最適に得られ
ることがわかる。
られる出力信号波形について説明する。
上記の入射光量に対する出力特性を示す受光素子に印加
した電圧値を示している。ここで、光量Pmaxの受光によ
る出力変化が得られない電圧値をVLと示し、光量Pmaxの
受光により出力が飽和する電圧値をVuと示している。V
b、Vaはこの範囲内に選ばれている。
ながら光量変化がPminからPmaxで表わされる光パルス
(図中では矩形パルスとして表わしているがこれに限る
わけではない)を受光したときに得られる出力変化を図
7(b)に示した。図7(b)は、横軸に時間を、縦軸に入射
光量変化あるいは出力信号をとったものである。光パル
スの光量変化に対応し増幅された出力変化が得られてい
ることがわかる。また、上記のように閾値を適当な値に
制御した電圧Vbでの出力変化は、電圧Vaでの出力変化と
比べて大きくとれることがわかる。
り、増幅機能があり高速かつ低電圧動作が可能な受光素
子が得られ、また、光量変化に対して増幅された出力値
を印加する直流電圧値により光量検出閾値を制御するこ
とで最も大きくとることが可能となる。
完全な絶縁体金属転移を利用する第1の方法である電圧
パルス幅を選択する駆動方法について説明する。◆図8
に本受光素子を駆動するための回路構成を簡略に示す。
受光素子10には直流パルス電圧源16により電圧を印
加し、負荷抵抗RL12を通して出力を取り出す構成と
している。
性を示すために、まず、直流定電圧による駆動例を説明
する。
素子に印加する電圧値を示している。電圧値VL、Vuは図
7(a)で用いたものと同様である。直流定電圧値として
は、光量Pmaxの受光により完全な絶縁体金属転移が起こ
り、出力が飽和する電圧値よりも大きな直流定電圧Vp
(>Vu>VL)を印加する。
て得られる出力信号の関係を図10を用いて説明する。
図10は横軸に入射光量を、縦軸に出力信号をとり、印
加電圧としてVpを印加した時のグラフを示している。
転移が起こらず出力変化が得られない非増幅領域13を
グラフ中には点線で示した。入射光量が絶縁体金属転移
が始まる値(閾値Pth)以上になると入射光量変化に応
じた抵抗変化が起こる増幅領域14をグラフ中には実線
で完全に転移が完了する飽和領域15をグラフ中の太線
で示した。
0で説明しているグラフとの違いは、図10ではVpの値
がVb、Vaよりも大きな電圧値であることから、光量がPt
hを越えて飽和するまでの変化が急激に起きている、す
なわち閾値Pthが存在することである。光量Pmin、Pmax
での出力を黒丸で示し、光量変化Pmax−Pminに対して得
られる出力変化をΔVをVoと表わした。
信号波形について説明する。 図11(a)は従来素子構
造で得られる出力信号の時間変化を、(b) は本発明の実
施形態(1,2,3いずれでもよい)での出力信号の時
間変化を、それぞれ横軸に時間を、縦軸に入射光量変
化、直流定電圧Vp、及び出力信号をとり、表わしてい
る。光量変化がPminからPmaxで表わされる光パルスを受
光したときに出力信号が得られるのだが、従来素子にお
いては、素子構造において説明したように緩和時間が長
く光量変化に信号変化が追従できていない。一方、本発
明の素子構造を有する受光素子においては、光量変化に
十分速く追従していることがわかる。これはとりもなお
さず本発明の素子構造が有効であることを示している。
ったあとも出力値がVoのまま持続しているのは、上述の
ように完全に転移が完了しているためである。これが受
光素子においてどのような問題になるかを図12(a)を
用いながら説明する。
定電圧Vp、及び出力信号Voをとり、光量変化がPminから
Pmaxで表わされる光パルスを連続して受光したときに得
られる出力信号の様子を示したものである。ここに示す
ように最初の光パルスにより完全に転移が完了している
ために続いて入射した光パルスに対して出力変化が得ら
れないことがわかる。すなわち、直流定電圧印加により
完全に転移させながら駆動した場合、連続した光量変化
を検出することができず、受光素子として利用できない
ことが明らかとなった。
する。◆図12(b)は、縦軸に入射光量変化、直流パル
ス電圧(パルス高さ)Vp、及び出力信号Voをとり、光量
変化がPminからPmaxで表わされ、パルス幅がT(ビット
間隔に対応する)、2T、3Tと変化する一連の光パル
スを受光したときに得られる出力信号の様子を示したも
のである。直流パルス電圧の周期をT/2より短くすれ
ばナイキストの定理を満たすために連続した光パルスを
受光することが原理的には可能である。ここでは、入射
光信号と直流パルス電圧を同期させ、直流パルス電圧を
T/2としたときの出力変化を示している。光パルス幅
に対応した出力信号が得られることがわかる。
がT/4だけずれた場合を図12(c)を用いて説明す
る。同様に縦軸に入射光量変化、直流パルス電圧(パル
ス高さ)Vp、及び出力信号Voをとり、光量変化がPminか
らPmaxで表わされ、パルス幅がT(ビット間隔に対応す
る)、2T、3Tと変化する一連の光パルスを受光した
ときに得られる出力信号の様子を示したものである。2
T幅の光信号に対する出力信号の様子をみると、図12
(b)では、2つの出力パルスが得られるのに対して図1
2(c)では3つの出力パルスが得られている。これは入
射光信号の時間的なずれ(ジッター)に対して誤りを発
生させるもとになる。
る駆動方法により解決されることを続いて説明する。◆
図13(a)は、直流パルス電圧のパルス幅を受光する光
の最短パルス幅Tを10分割したときに得られる出力信号
の様子を時間軸方向に拡大して示したものである。上記
と同様に縦軸に入射光量変化、直流パルス電圧(パルス
高さ)Vp、及び出力信号Voをとっている。尚、直流パル
ス電圧の周期と光信号の周期は同期させていない。
択し、パルス幅がT、2T、3Tと変化する一連の光パ
ルスを受光したときに得られる出力信号の様子を図13
(b)に示す。図12(c)に示した出力信号と比較して、出
力信号の一群が、T、2T、3Tに対応して得られ、一
連の光信号を正しく検出することが可能であることが示
される。尚、電圧パルス幅を狭くするほど光信号に対す
る出力信号の時間的ずれ(ジッター成分)は小さくなる
が、T/10以下とすれば、ジッターへの影響は10%
以下となることから特に光メモリ用の受光素子としては
問題がない。
り、増幅機能があり高速かつ低電圧動作が可能な受光素
子が得られる。また、完全に転移させることで動作速度
が速くなることに加えて、光量に対して閾値をもたせた
動作であることからディジタル的な出力変化を得ること
が可能となる。
て、完全な絶縁体金属転移を利用する第2の方法である
電圧パルス値を選択する駆動方法について説明する。
ルス値をVpと振ることで受光時間中にも出力が低下す
るために電圧パルス幅を選択する方法を説明したが、こ
こでは、受光時間中に飽和領域の出力と増幅領域の出力
を切り替えながら得ることにより、電圧パルス幅はT/
2以下であればパルス幅がT、2T、3Tと変化する一
連の光パルスを検出できる駆動方法を説明する。
を介して得られる出力信号の関係を示しており、横軸に
入射光量を、縦軸に出力信号をとり、印加電圧としてV
p、VpLを印加した時のグラフを示している。
axの受光により完全な絶縁体金属転移が起こり、出力が
飽和する電圧値よりも大きな値であり、VpLは一旦転移
した状態(の抵抗値)を維持しうる最小の印加電圧値よ
りも小さい値である。すなわちPmaxの光量を受光した際
にVpの電圧を印加した場合には完全に転移が完了し飽和
領域15の出力が得られるが、VpLの電圧を印加した場
合には転移が維持されず、光量に応じた出力が得られる
増幅領域14に切り替わることになる。
れるパルス高さで駆動しながら受光した時の出力変化を
説明する。Pmaxで示される光量に対して印加電圧がVpか
ら VpLに変化すると出力値は飽和値から低下する。この
値をΔVmaxと表わす。
圧が同様に変化すると出力値変動は暗電流の変動分とし
て測定される。これをΔVminと表わす。したがって、光
量変化Pmax−Pminに対して得られる出力変化をΔVとす
ると、出力信号VoはΔVに+ΔVmax、+ΔVminが出力値
の変動として足し合わされることになるが、その変動分
は十分小さく、また上記のように直流パルス駆動におい
ては、ディジタル的な出力が得られることが特長である
ことから十分に“0”、“1”の判別が可能な出力が得
られる様子を以下に説明する。
流パルス電圧、及び出力信号Voをとり、光量変化がPmin
からPmaxで表わされ、パルス幅がT(ビット間隔に対応
する)、2T、3Tと変化する一連の光パルスを受光し
たときに得られる出力信号の様子を示したものである。
また、直流パルス電圧はVpから VpLの間で規定される。
図14(b)は、入射光信号と直流パルス電圧を同期さ
せ、直流パルス電圧をT/2としたときの出力変化を示
し、図14(c)は、入射光信号と直流パルス電圧の周期
がT/4だけずれた場合を示している(パルス高さVpの
駆動ではうまく検出できなかった場合と同様の条件であ
る)。
より駆動するためPmaxの光量を受光した際に完全に転移
しても電圧値がVpLと変化した際に可逆的な状態に変化
し、なおかつVpLでの出力値はそれほど低下しないため
印加電圧の周期により出力信号Voは多少上下するもの
の、明確に一連の光信号を検出できることがわかる。
信号と直流パルス電圧の周期がずれている場合にも同様
にして明確に一連の光信号を検出できることがわかる。
り、増幅機能があり高速かつ低電圧動作が可能な受光素
子が得られ、また、完全に転移させることで動作速度が
速くなることに加えて、T/2以下のパルス周期であれ
ばパルス周期によるジッターへの影響なく、ディジタル
的な出力変化を得ることが可能になる。さらに、パルス
周波数を光信号の最短周期に比べて高くなく、パルス高
さも小さくてよいことから駆動による消費電力も抑えら
れる。
上記受光素子(実施形態3:薄膜構造)を用いた光ピッ
クアップによる光ディスクからの信号検出例について説
明する。
SrTiO3基板上に下部電極をスパッタにより形成した後、
引き続き、光電変換層としてPr0.7Ca0.3MnO3薄膜をゾル
ゲル法により形成した。形成方法は以下の通りである。
スピンコーティングによりPr 0.7Ca0.3MnO3溶液を塗布し
た後、乾燥、仮焼成(有機成分の除去)を膜厚が200nm
程度になるまで繰り返した後、結晶化アニールを900
℃で行う。この後、透明上部電極としてITOをスパッ
タにより形成した。さらに受光素子を4分割した後に保
護膜、反射防止膜を形成した。
成について、図15を用いて説明する。図15は光ディ
スク22からの信号検出時の光ピックアップの概略構成
図である。半導体レーザ17から出射された光25は、
コリメートレンズ18を通り平行光に整形され、ビーム
スプリッター19及びλ/4板20を通過後、対物レン
ズ21により集光され、光ディスク22上に導かれる。
光ディスク22で反射した光25はビームスプリッタ1
9で90℃進路を曲げられ検出レンズ23を通り4分割
受光素子24に導かれる。
ザを用いて光ディスク22の記録ビットの検出を試みた
ところ、従来、光ピックアップに用いられているSiのPI
Nフォトダイオードで得られたC/N(Carrier-to-Nois
e-ratio)は40dBであった。本発明の光ピックアップ
では、3V−5Vの直流パルス電圧駆動により、5MHzの
データレートにおいて、60dBと高いC/Nが得られ
た。これは、本受光素子が、青紫色のレーザ光を用いた
場合でも、増幅機能があることから十分に小さなビット
からの微弱な光信号を検出することが可能であることを
示している。
子及びその駆動方法と光ピックアップを用いることによ
り、青紫色光源による記録ビットからの微弱な反射光
(数μW)の検出を達成できるため、光メモリの高密度
化における信号量の減少、光源の短波長化に対応した高
速かつ低電圧動作が可能な光ピックアップが実現され、
高密度光メモリが実現される。
動作原理を別にすることから波長依存性が小さく、78
0nm、650nm、635nmなどの半導体レーザに対して
も同様に高い受光感度を示す。よって、多波長の光源に
対応させることが可能である。
に転移を起こしていない光電変換層領域を含まずに光電
変換を行えるため光メモリの高密度化における信号量の
減少、光源の短波長化に対応した増幅機能のある高速か
つ低電圧動作が可能な受光素子が実現される。
層を加工することなくより簡便に、増幅機能のある高速
かつ低電圧動作が可能な受光素子が実現される。◆本願
請求項3記載の発明により、電極間距離を膜厚により容
易に設計可能な、増幅機能のある高速かつ低電圧動作が
可能な受光素子が実現される。◆本願請求項4記載の発
明により、受光量に対応した出力変化が得られる増幅機
能のある高速かつ低電圧動作が可能な受光素子が実現さ
れる。
り、光量検出閾値を制御することで光量変化に対する出
力値変化を最も大きくとることが可能となる。◆本願請
求項6記載の発明により、動作速度が速くなり、かつ、
光量変化に対してディジタル的な出力変化を得ることが
可能となる。
直流パルス電圧の同期をとることなく、ジッターへの影
響は10%以下に抑制し、光量変化に対してディジタル
的な出力変化を得ることが可能となる。
ス電圧の周期によるジッターへの影響なく、光量変化に
対してディジタル的な出力変化を得ることが可能とな
る。
を用いることにより、光メモリの高密度化における信号
量の減少、光源の短波長化(青紫色:波長λ=400nm
前後)に対応した光ピックアップが実現され、高密度光
メモリを得ることが可能となる。
従来素子構造のA'部拡大断面図である。
り、(b)は本発明の実施形態1のA' '部拡大断面図であ
る。
り、(b)は本発明の実施形態2のA' ''部拡大断面図であ
る。
り、(b)は本発明の実施形態3のA部拡大断面図である。
構成図である。
入射光量と出力信号の関係図である。
を示す図であり、(b)は本発明の電圧Va、Vb印加時の受
光素子の入射光信号に対する出力信号の時間変化を示す
図である。
である。
ある。
射光量と出力信号の関係図である。
を示す図であり、(b)は本発明の素子構造での出力信号
の時間変化を示す図である。
に対する出力信号の時間変化を示す図であり、(b)は光
パルスの最短周期と同期した直流パルス電圧駆動によ
る、周期の異なる光パルスに対する出力信号の時間変化
を示す図であり、(c)は光パルスの最短周期とT/4周期ず
れた直流パルス電圧駆動による、周期の異なる光パルス
に対する出力信号の時間変化を示す図である。
周期をもつ直流パルス電圧駆動による、光パルスに対す
る出力信号の時間変化を示す図であり、(b)は光パルス
の最短周期に対してT/10周期をもつ直流パルス電圧
駆動による、周期の異なる光パルスに対する出力信号の
時間変化を示す図である。
入射光量と出力信号の関係を示す図であり、(b)は電圧V
p、VpLによりパルス高さが規定され光パルスの最短周期
と同期した直流パルス電圧駆動による、周期の異なる光
パルスに対する出力信号の時間変化を示す図であり、
(c)は電圧Vp、VpLによりパルス高さが規定され光パルス
の最短周期と同期した直流パルス電圧駆動による、光パ
ルスの最短周期とT/4周期ずれた光パルスに対する出
力信号の時間変化を示す図である。
概略構成図である。
Claims (8)
- 【請求項1】 少なくとも電圧を印加しながら受光する
ことにより絶縁体金属転移を示す光電変換層と一対の電
極とを具備し、前記光電変換層における受光領域と、前
記一対の電極により電圧が印加される領域とが、一対の
電極間を結ぶ最短経路において、ほぼ一致するように配
置されてなることを特徴とする受光素子。 - 【請求項2】 請求項1に記載の受光素子において、一
対の電極が受光する光に対して透明であることを特徴と
する受光素子。 - 【請求項3】 請求項1に記載の受光素子において、基
板上に下部電極、光電変換層、受光する光に対して透明
な上部電極が順次形成されてなることを特徴とする受光
素子。 - 【請求項4】 電圧を印加しながら受光することにより
絶縁体金属転移を示す光電変換層と一対の電極を備えた
受光素子を、受光時に完全には絶縁体金属転移させずに
動作させることを特徴とする受光素子の駆動方法。 - 【請求項5】 請求項4記載の受光素子の駆動方法にお
いて、検出可能な最小光量の閾値を、該受光素子に印加
する直流電圧値により制御することを特徴とする受光素
子の駆動方法。 - 【請求項6】 電圧を印加しながら受光することにより
絶縁体金属転移を示す光電変換層と一対の電極を備えた
受光素子を、直流パルス電圧を印加し受光時に完全に絶
縁体金属転移させながら動作させることを特徴とする受
光素子の駆動方法。 - 【請求項7】 請求項6記載の受光素子の駆動方法にお
いて、印加する直流パルス電圧のパルス幅が、受光する
光の最短パルス幅の1/10以下であることを特徴とす
る受光素子の駆動方法。 - 【請求項8】 請求項6記載の受光素子の駆動方法にお
いて、印加する直流パルス電圧の最小値を、受光時に完
全に絶縁体金属転移した際の抵抗値を維持しうる最小電
圧値より小さくすることを特徴とする受光素子の駆動方
法。
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