JP2000311812A - 隈取りコイル型誘導電動機のボビン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 隈取りコイル型誘導電動機の廃却時の廃材の
リサイクル利用率を改善する。 【解決手段】 予め電線１１を巻き付け、Ｉ形鉄心３に
挿入して構成する隈取りコイル型誘導電動機のボビンに
おいて，電線１１の巻付け方向に対して直交する方向に
巻軸１０部または少なくとも一方の巻枠１９部と巻軸１
０部とを分割可能に構成した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、電線を巻き付けた
隈取りコイル型誘導電動機のボビンに関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来の隈取りコイル型誘導電動機のボビ
ンを図１０〜図１２を参照して説明する。図１０に示す
ように、固定子鉄心１は電線１１を巻き付けたボビン６
を挿入するため、切断部４，５にてＵ形鉄心２とＩ形鉄
心３に分割されている。

【０００３】ボビン６は図１１に示すように、合成樹脂
で断面がコ字形となるように一体に成形されていて電線
１１を巻くための枠を形成し、電線１１を巻き付けてい
る。そして、図１２に示すように、電線１１の巻き始め
部７と巻き終わり部８は、ボビン６と一体的に成形され
た端子挿入部９に挿入された端子１８に溶着または半田
付けによって機械的かつ電気的に固定されている。ボビ
ン６は電線１１を巻き付けた後、Ｉ形鉄心３に圧入さ
れ、該Ｉ形鉄心３は切断部４,５が合うようにＵ形鉄心
２に圧入される。これにより図１０に示すように、ボビ
ン６はＵ形鉄心２の内側部１２が抜け止めとなって固定
される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】従来の隈取りコイル型
誘導電動機のボビンは以上のように構成されており、製
品寿命となった折りに、ボビン６に巻かれた電線１１を
巻き解す作業が生じるが、その電線１１を巻き解す作業
が大変面倒であり、そのまま廃却されるケースが多かっ
た。一方では、地球環境の改善、資源の有効活用のた
め、製品の解体・分別を容易にし、資源のリサイクル利
用率を高めることが要望されている。

【０００５】本発明は上記のような問題点を解決するた
めになされたもので、ボビンと電線の分離を容易にし、
資源のリサイクル利用率を改善することを目的としてい
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明に係る隈取りコイ
ル型誘導電動機のボビンは、電線の巻き付け方向に対し
て直交する方向に巻軸部または少なくとも一方の巻枠部
と巻軸部を分割可能に構成したものである。

【０００７】また、前記分割部に勾配をつけ、勾配のつ
いた分割部を圧入嵌合して一体化したものである。

【０００８】さらに、前記分割部の一方に突起を設け、
分割部の他方に前記の突起が嵌合する凹部を設けたもの
である。

【０００９】

【発明の実施の形態】実施の形態１．以下、本発明の実
施の形態１を図１〜図３を参照して説明する。図１は本
発明による隈取りコイル式誘導電動機の構成図で、固定
子鉄心１，Ｕ形鉄心２，およびＩ形鉄心３の構造は、図
６の従来技術と同構造であるので、ここでの説明は省略
する。

【００１０】ボビン６は、電線１１を巻くための巻軸１
０と、電線１１の解れを防止するために巻軸１０の両端
に設けられた巻枠１９と、電線１１の端末を処理するた
めの端子１８と、この端子１８を圧入する端子挿入部９
とから構成されている。

【００１１】この実施の形態１では、電線１１の巻き付
け方向に対して直交する方向に巻軸１０部を２分割でき
るように構成したもので、ボビン６はボビン片６ａとボ
ビン片６ｂとに２分割されており、図２はその２分割さ
れた両ボビン片６ａ，６ｂの組立時の断面図を示し、図
３は両ボビン片６ａ，６ｂの分離時の断面図を示す。前
記両ボビン片６ａ，６ｂの分割部１６，１７には勾配１
５が付けられており、この勾配１５部分を互いに圧入嵌
合することによって一体化され、１個のボビン６として
組み立てられる。

【００１２】このボビン６に所定の回数だけ電線１１を
巻き付けた後、ボビン６の貫通穴２０にＩ形鉄心３を挿
入し、ボビン６を挿入したＩ形鉄心３をＵ形鉄心２に圧
入する。このとき、Ｕ形鉄心２とＩ形鉄心３の嵌合部の
形状が合うように圧入する。

【００１３】このように、長ボビン片６ａ，６ｂの分割
部１５に勾配１６，１７を付けることによって、圧入嵌
合により一体化されたボビン６を構成できるとともに、
巻線後の絶縁距離(沿面距離)も容易に確保できる。一
方、製品寿命となった折りの廃却時には、まず、ボビン
６を挿入しているＩ形鉄心３をＵ形鉄心２から分離し、
次に、ボビン６をＩ形鉄心３から分離し、あとは、ボビ
ン６をボビン６ａとボビン６ｂに分離すれば、巻軸１０
部が分割部１６，１７を境にして左右に分割されるか
ら、電線１１を巻き解くことなく、電線１１が容易に取
り外すことができ、これによって金属・非鉄金属・樹脂
への分別が容易となり、廃材のリサイクル利用が容易と
なる。

【００１４】実施の形態２．図４，図５は本発明の実施
の形態２を示すボビンの組立時の断面図と分離時の断面
図である。この実施の形態２では、２分割された両ボビ
ン片６ａ，６ｂの一方の分割部１６に突起１３を設け、
他方のボビン片６ｂの分割部１７に前記突起１３が嵌ま
り込む凹部１４を設けている。このような構成にするこ
とによって、実施の形態１で得られる効果のほかに両ボ
ビン片６ａ，６ｂの抜け止めと位置決めを確実に行うこ
とができる。

【００１５】実施の形態３．図６，図７は本発明の実施
の形態３を示すボビン６の組立時の断面図と分割部の拡
大図である。この実施の形態３は、巻軸１０の中央部分
で左右に２分割した例で、一方の分割部１６に凸部２２
を設け、他方の分割部１７に前記凸部２２が嵌合する凹
部２３を設けている。このように構成した場合は、前記
実施の形態１及び２に示す構造のものに比べ、両ボビン
片６ａ，６ｂを巻軸１０部の中央部分から２分割できる
ので、電線１１の抜き取りが極めて容易となる。

【００１６】実施の形態４．図８，図９は本明の実施の
形態４を示すボビン６の組立時の断面図と分割部の拡大
図である。この実施の形態４は、巻軸１０の両端に設け
られた巻枠１９の一方の巻枠１９を巻軸１０から分離で
きるようにした例で、分離する側の巻枠１９には巻軸１
０が圧入嵌合する角孔２４（凹部でもよい）を形成して
いる。このように構成した場合は、片側の巻枠１９だけ
を分離できるため、ボビン６を分離する時に、誤って電
線１１が巻軸１０から外れて落下させてしまうというよ
うな不具合を解消でき、分離時に前もって電線１１を手
で押さえるなどの作業が不要となる。

【００１７】

【発明の効果】以上のように、本発明によれば、２分割
構造としたことで、廃却時にボビンを分割すれば、電線
を巻き解くことなく、ボビンから電線が容易に取り外す
ことができ、これによって金属・非鉄金属・樹脂への分
別が容易となり、廃材のリサイクル利用が容易となる。

【００１８】また、分割部に勾配をつけ、その分割部を
嵌合して圧入構造としたので、分割部の絶縁距離も確保
できる。

【００１９】さらに、２分割構造としたボビンの分割部
の一方に突起を付け，他方の分割部に前記突起が嵌合す
る凹部を設けたので、圧入嵌合時に、ボビンの抜け止め
と位置決めが行える。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の実施の形態１を示す隈取りコイル型
誘導電動機の構成図である。

【図２】 本発明の実施の形態１を示すボビンの組立時
の断面図である。

【図３】 本発明の実施の形態１を示すボビンの分割時
の断面図である。

【図４】 本発明の実施の形態２を示すボビンの組立時
の断面図である。

【図５】 本発明の実施の形態２を示すボビンの分割時
の断面図である。

【図６】 本発明の実施の形態３を示すボビンの組立時
の断面図である。

【図７】 本発明の実施の形態３を示すボビンの分割部
分の拡大図である。

【図８】 本発明の実施の形態４を示すボビンの組立時
の断面図である。

【図９】 本発明の実施の形態４を示すボビンの分割部
分の拡大図である。

【図１０】 従来の隈取りコイル型誘導電動機の構成図
である。

【図１１】 従来の隈取りコイル型誘導電動機のボビン
の断面図である。

【図１２】 従来の隈取りコイル型誘導電動機のボビン
の側面図である。

【符号の説明】

６ ボビン、６ａ ボビン片、６ｂ ボビン片、１０
巻軸、１１ 電線、１３ 突起、１４ 凹部、１５ 勾
配、１６ 分割部、１７ 分割部、１９ 巻枠、２２
突起、２３ 凹部、２４ 角孔。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電線を巻き付けた隈取りコイル型誘導電
   動機のボビンにおいて、電線の巻き付け方向に対して直
   交する方向に巻軸部または少なくとも一方の巻枠部と巻
   軸部を分割可能に構成したことを特徴とする隈取りコイ
   ル型誘導電動機のボビン。
2. 【請求項２】 前記分割部に勾配をつけ、その分割部を
   圧入嵌合して一体化したことを特徴とする請求項１記載
   の隈取りコイル型誘導電動機のボビン。
3. 【請求項３】 前記分割部の一方に突起を設け、他方の
   分割部に前記の突起が嵌合する凹部を設けたことを特徴
   とする請求項２記載の隈取りコイル型誘導電動機のボビ
   ン。