JP2000309807A - 摺動部材 - Google Patents
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- F16C33/06—Sliding surface mainly made of metal
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Abstract
の向上を図る。 【解決手段】 摺動部材は、裏金上に、重量比で銅30
〜70%、黒鉛5〜15%、残部がニッケルからなる焼
結合金層4を接着層3を介して被着してなる。この場
合、黒鉛全体の50%以上が75〜900μmの大きさ
の黒鉛粉末によって占められるようにする。
Description
鉛を含有した摺動部材に係り、特に強度および摺動特性
の向上を図ったものに関する。
体を潤滑油を使用することなく低摩擦で支える摺動部材
として、薄肉の鋼板により形成された裏金上に、焼結合
金層を被着形成してなるものが知られている。この摺動
部材にあって、その性能は、主に、裏金上に被着形成さ
れる焼結合金層の摩擦係数、耐摩耗性、強度などによっ
て左右される。しかしながら、従来の摺動部材では、摩
擦係数、耐摩耗性、強度ともに満足のゆくものではなか
った。そこで、本発明の目的は、強度、摩擦係数や耐摩
耗性などの摺動特性に優れた摺動部材を提供することに
ある。
上に、重量比で銅30〜70%、黒鉛5〜15%、残部
がニッケルからなる焼結合金層を被着してなり、前記黒
鉛は、その全体の50%以上が75〜900μmの大き
さの黒鉛粉末によって占められていることを特徴とする
ものである。
性の向上に寄与する。銅はニッケル成分中に拡散して摺
動特性の向上に寄与する。30%未満であると凝着を起
こすなど摺動特性が低下し、70%を越えるとマトリッ
クスの強度が低下する。
擦係数、耐摩耗性などの摺動特性の向上に寄与する。5
%未満であると摩擦係数が大きくなり、摩耗量の増加を
もたらすなど摺動特性が低下する。黒鉛の機械的強度は
非常に小さいので、15%を越えると、焼結合金層の強
度が低下する。
して焼結合金層の摺動特性の改善が試みられており、従
来では、黒鉛粉末としては、概ね50μm程度或いはそ
れ以下のものが使用されていて、その大きさについて特
に考慮されていなかった。本発明者は黒鉛の粉末の大き
さが焼結合金層の強度に影響を与えること、および、強
度のみならず、摺動特性に対しても影響を及ぼすことを
究明した。
層の強度が強くなる。これは、次のような理由によるも
のと考えられる。つまり、焼結合金層の引張試験を行う
と、マトリックス中に散在する黒鉛の粉末の間を結ぶよ
うにして亀裂が生ずる。これは、黒鉛の機械的強度は非
常に弱いため、弱い箇所を結ぶようにして亀裂が生ずる
のである。このため、黒鉛粉末相互間の間隔が長いほ
ど、金属マトリックスに亀裂が入り難く、強度的に優れ
るものとなる。そして、同じ重量%の黒鉛を含有する焼
結合金層を比較すると、大きい黒鉛粉末ばかりを使用し
たものの方が、小さい黒鉛粉末ばかりを使用したものよ
りも、黒鉛粉末の数が少なく、金属マトリックス中に散
在する黒鉛粉末相互間の間隔が大きくなるので、大きい
黒鉛粉末を用いた方が、強度が強くなるものと考えられ
る。
上が余り見られず、900μmを越えると、強度が低下
する。また、75μm〜900μmの大きさの黒鉛粉末
が黒鉛全体の50%未満では、強度の向上が期待できな
い。
金属マトリックスの耐摩耗性が向上することにより、ア
ブレッシブ摩耗が発生し難くなる。その結果、摺動面お
よび相手材の表面に強固な黒鉛被膜が形成され、摩擦係
数の低下や摩耗量の低減など、摺動特性が向上する。
80%以上であることを特徴とするものである。密度比
が80%未満では、焼結合金層の強度が低下し、摩耗量
も増加する。これは、焼結合金層の強度が低下すると、
銅マトリックスが破壊され易くなって焼結合金層の表面
が荒れるので、摩耗し易くなるからと考えられる。
で錫2〜8%、燐0.1〜1%のいずれか一方、または
双方を含んでいることを特徴とするものである。錫は強
度の向上に寄与する。2%未満であると効果がなく、8
%を越えると銅−錫、ニッケル−錫の化合物を形成し、
脆くなる。燐はニッケル−燐、銅−燐などの化合物を形
成し、強度、耐摩耗性を向上させる。0.1%未満であ
るとその効果がなく、2%を越えると脆くなる。
参照しながら説明する。図4に示すように、摺動部材1
は、例えば薄肉の鋼板により形成された裏金2上に接着
層3を介して焼結合金層4を被着してなる。上記接着層
3は、焼結合金層4を裏金2に強固に接合させるための
もので、例えばニッケルまたは銅、あるいはニッケルと
銅の合金からなる。
%、黒鉛5〜15%、錫2〜8%、燐0.1〜1%、残
部がニッケルからなる。ただし、錫2〜8%および燐
0.1〜1%のいずれか一方、或いは双方はなくとも良
い。
手順の一例を説明する。まず、薄肉鋼板からなる裏金2
上に、ニッケルまたは銅、あるいはニッケルと銅の合金
からなる接着層3を電気メッキ、溶射などによって5〜
150μmの厚さに被着する。なお、接着層3は、ニッ
ケルまたは銅、或いはニッケルと銅の合金からなる薄肉
板を裏金2上に圧接手段によって接合して得る構成であ
っても良い。
錫粉末、燐粉末を混合し、焼結合金層4形成用の混合粉
末を得る。これらの成分割合ついて具体的に述べると、
銅成分は摺動特性の向上のために30〜70%、黒鉛成
分は摺動特性の向上のために5〜15%、錫成分は強度
の向上のために2〜8%、燐成分は強度、耐摩耗性の向
上のために0.1〜1%に定め、残部は耐摩耗性および
強度の向上のためのニッケルとする。なお、成分の割合
は重量比で示した(以下に同じ)。
さの粉末が黒鉛全体の50%以上を占めるようにする。
この場合、黒鉛は球形、塊状のものであっても勿論良い
が、鱗片状、偏平状のものの方が好ましい。なお、黒鉛
粉末の大きさを表す寸法は、ほぼ円形のものでは直径、
ほぼ楕円形のものでは長径、鱗片状、偏平状のものでは
長い部分の寸法をいう。
た裏金2上に所定厚さに均一に散布し、還元雰囲気中で
800〜1000℃の温度で10〜30分間焼結し、粉
末どうしの焼結と裏金2への接合を行って焼結合金層4
を形成する。その後、ロールにより圧延して焼結合金層
4の緻密化と厚さ調整を行い、緻密化と裏金2への接合
強度を高めるために、再度、還元雰囲気中で800〜1
000℃の温度で10〜30分間焼結することとロール
による圧延とを繰り返し行う。このようにして得られた
摺動部材1の総厚は8.8mm、焼結合金層4の厚さは
1.4mmであった。
比が80%以上となるように行う。ここで、焼結合金層
4内には粉末を焼結するという製法上、空孔が存在する
が、密度比とは、焼結合金層4の構成成分の理論上の密
度を焼結合金層4の実際の密度で除した値を百分率で表
したものをいう。
明品と比較品とについて、摩擦係数および摩耗量を測定
する摺動特性試験および引張強さを測定する強度試験を
行った。その結果を図1に示す。なお、摺動特性試験の
うち、摩耗量測定試験は、焼結合金層4上で相手材を面
圧1MPaで10,000回往復させたときの厚さ変化
を摩耗量として測定したものである。
比較品に比べ、全体的に摩擦係数が小さく摩耗量も少な
く、優れた摺動特性を有する。また、本発明品は、引張
強度が強く、強度上も優れている。以下にその詳細を述
べる。
度との関係について検討する。本発明品4と比較品2と
を対比すると、本発明品4では、摩耗量10μm、摩擦
係数0.18、引張強度は118MPaであるのに対
し、比較品2では、摩耗量25μm、摩擦係数0.2
5、引張強さは52MPaであり、摺動特性および強度
ともに本発明品4の方が優れている。
金層4中のニッケル、銅、錫、燐の割合、および黒鉛中
に占める75〜900μmの大きさの黒鉛粉末の割合は
概ね一致しているが、本発明品4では焼結合金層4の黒
鉛の割合が10%であるのに対し、比較品2では黒鉛の
割合が20%と多くなっている。このことから、焼結合
金層4中の黒鉛の含有量が多過ぎると、摺動特性および
強度に悪影響を及ぼすことが理解される。
て考察して見ると、例えば本発明品1では、焼結合金層
4中に黒鉛を14%と比較的多く含むが、この本発明品
1の引張強さは92MPaであり、実用上必要とされる
強度を備えている。また、本発明品6および7では、焼
結合金層4中の黒鉛の含有量は5%と比較的少なく、そ
のために引張強さは150MPa、122MPaと強く
なっており、しかも、摺動特性においても優れたものと
なっている。比較品6では、引張強さは158MPaと
強いが、摩擦係数、摩耗量とも劣る。
合は重量比で5〜15%が強度および摺動特性の点で好
ましいと言える。
ッケル、銅、錫、燐、黒鉛の割合は概ね同じであるが、
黒鉛の大きさが異なる。すなわち、本発明品6では大き
さ75〜900μmの黒鉛粉末が黒鉛全体の75%を占
めるが、比較品3では75〜900μmの黒鉛粉末は含
まれておらず、黒鉛全体が75μm未満の粉末であり、
比較品4では黒鉛全体が900μmを越える粉末で占め
られている。
摩耗量7μm、摩擦係数0.17であるのに対し、比較
品3では摩耗量15μm、摩擦係数0.22、比較品4
では摩耗量15μm、摩擦係数0.20となっていて本
発明品6の方が優れた摺動特性を呈する。また、強度に
ついても、本発明品6が引張強さ150MPaであるの
に対し、比較品3、4では引張強さがそれぞれ71MP
a、70MPaと弱い。このことから、黒鉛中に大きさ
75〜900μmの黒鉛粉末が適当量含まれていると、
強度において強く、摺動特性にも優れていることが理解
される。
破断線はマトリックス中に散在する黒鉛の粉末の間を結
ぶように発生する。これは、黒鉛は機械的強度が非常に
弱いため、弱い箇所を結ぶようにして亀裂が生ずるから
である。ここで、黒鉛の総重量が同じであるが、1個1
個の黒鉛粉末が大きい場合と小さい場合とを比べると、
黒鉛粉末が大きい場合には、図3(a)に示すように、
焼結合金層中の黒鉛粉末の数が少なく、黒鉛粉末間の距
離は長い。逆に、黒鉛粉末が小さい場合には、図3
(b)に示すように、焼結合金層中の黒鉛粉末の数が多
く、黒鉛粉末間の距離は短くなる。このため、黒鉛の粉
末が大きいと、焼結合金層が破断するときの金属マトリ
ックスの破断線(図3に破線で示す)が長くなるので、
強度としては強くなるのである。
まれていると、摺動特性および強度ともに優れたものと
なるかということに関し、本発明品9と比較品5とが示
唆を与える。本発明品9は、75〜900μmの黒鉛粉
末を黒鉛全体の56%含んでいる。これに対し、比較品
5では、75〜900μmの黒鉛粉末を黒鉛全体の42
%しか含んでいない。この結果、他の組成はほぼ同じで
あるのに、本発明品9は比較品5に比べ、摺動特性およ
び強度ともに優れている。このことから、75〜900
μmの黒鉛粉末を黒鉛全体の50%含んでいると、摺動
特性および強度ともに優れた摺動部材を得ることができ
ると言える。
ね一致しているが、焼結合金層4の密度比において異な
る。そして、密度比90%である本発明品6の引張強さ
が150MPaであるのに対し、密度比69%である比
較品1では90MPaしかなく、密度比の高い本発明品
6の方が強度的に優れる。そして、発明者の別の試験結
果から、密度比を80%以上とすると、焼結合金層4の
強度が向上することが分かった。
によっても左右される。この密着性を計測するために、
本発明者は本発明品7に示す成分の焼結合金4を裏金2
に被着するについて、接着層3の厚さを種々変えて焼結
合金層4と裏金2との接合強度を調べる剪断試験を行っ
た。
結果から、接着層3の厚さは5μm以上あれば、剪断値
は80MPa以上となって実用上十分であることが分か
る。そして、接着層3の厚さが150μm以上になる
と、接着層3の厚さとは関係なく、剪断値はほぼ一定と
なる。このことから、接着層3の厚さは5〜150μm
とすると良いことが理解される。
結合金層の組成と摺動特性および引張強さの試験結果を
示す図
合金層である。
Claims (3)
- 【請求項1】 裏金上に、重量比で銅30〜70%、黒
鉛5〜15%、残部がニッケルからなる焼結合金層を被
着してなり、前記黒鉛は、その全体の50%以上が75
〜900μmの大きさの黒鉛粉末によって占められてい
ることを特徴とする摺動部材。 - 【請求項2】 前記焼結合金層の密度比は、80%以上
であることを特徴とする請求項1記載の摺動部材。 - 【請求項3】 焼結合金層には、重量比で錫2〜8%お
よび燐0.1〜1%のいずれか一方、または双方が含ま
れていることを特徴とする請求項1または2記載の摺動
部材。
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