JP2000309714A - 有機無機ハイブリッド体用溶液組成物、有機無機ハイブリッド体、コーティング剤およびコーティング方法 - Google Patents

有機無機ハイブリッド体用溶液組成物、有機無機ハイブリッド体、コーティング剤およびコーティング方法

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JP2000309714A
JP2000309714A JP11163788A JP16378899A JP2000309714A JP 2000309714 A JP2000309714 A JP 2000309714A JP 11163788 A JP11163788 A JP 11163788A JP 16378899 A JP16378899 A JP 16378899A JP 2000309714 A JP2000309714 A JP 2000309714A
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inorganic hybrid
coating
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polymer
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JP11163788A
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English (en)
Inventor
Junji Shiiki
潤二 椎木
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Arakawa Chemical Industries Ltd
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Arakawa Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属やプラスチックなど種々の基材に、親水
性を持ち、しかも耐水性を有するコーティング膜を形成
することができる材料を提供すること。 【解決手段】 第四級アンモニウム塩基を有するポリマ
ー(A)およびテトラアルコキシシラン類(B)を、こ
れらを可溶な溶媒(C)に溶解させてなる有機無機ハイ
ブリッド体用溶液組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は有機無機ハイブリッ
ド体用溶液組成物、有機無機ハイブリッド体、コーティ
ング剤およびコーティング方法に関する。本発明の有機
無機ハイブリッド体用溶液組成物は、硬化させることに
より、耐水性でありながら、しかも親水性を有する有機
無機ハイブリッド体を提供できる。当該本発明の組成物
は、金属やプラスチック等の親水性に乏しい基材表面の
コーティング剤等として使用できる。また、本発明のコ
ーティング剤は塗布型帯電防止剤としても有用であり、
成形体表面を帯電防止加工しうる。
【0002】
【従来の技術】一般にプラスチック成形品やアルミニウ
ム等の金属等の基材表面は親水性に乏しい。そのため、
かかる基材が、親水性を要求される用途に使用される場
合には、基材表面が親水化される。たとえば、インクジ
ェット方式のカラープリンターに用いられるOHPフィ
ルムなどの表面には、水性インクの受容層として、親水
性の被膜がコーティングされている。
【0003】前記水性インクの受容層を形成するコーテ
ィングとしては、たとえば、界面活性剤を含有するポリ
ビニルアルコールやポリビニルピロリドン、CMCなど
の水溶性ポリマーが被覆されている。しかし、当該受容
層を形成する水溶性ポリマーは、水性インクによって膨
潤、溶解して粘着性を帯びるなど耐水性の低さが問題と
なっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、金属やプラ
スチックなど種々の基材表面に、親水性を持ち、しかも
耐水性を有するコーティング膜を形成することができる
材料を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は上述の課題を
解決すべく、鋭意研究を重ねた。その結果、以下に示
す、第四級アンモニウム塩を含有するポリマーとテトラ
アルコキシシラン類を含有する溶液組成物を、アルコキ
シドゾルーゲル法の加水分解・重縮合により硬化させる
ことにより得られる、シロキサン架橋したシリカガラス
を含有する有機無機ハイブリッド体によれば、前記目的
を達成できることを見出し、本発明を完成するに到っ
た。
【0006】すなわち本発明は、第四級アンモニウム塩
基を有するポリマー(A)およびテトラアルコキシシラ
ン類(B)を、これらを可溶な溶媒(C)に溶解させて
なる有機無機ハイブリッド体用溶液組成物;前記有機無
機ハイブリッド体用溶液組成物を硬化させることにより
得られる有機無機ハイブリッド体;前記有機無機ハイブ
リッド体用溶液組成物を含有してなるコーティング剤;
基材表面に、前記コーティング剤を塗布した後、加熱乾
燥により硬化させることにより基材表面に有機無機ハイ
ブリッド体からなるコーティング膜を形成させる基材の
コーティング方法、塗布型帯電防止剤に用いられる前記
コーティング剤、前記塗布帯電防止剤を成形体に塗布も
しくは含浸、または成形体を前記塗布型帯電防止剤に浸
漬したのち、成形体表面の塗布型帯電防止剤を加熱乾燥
により硬化させて得られる、成形体表面に有機無機ハイ
ブリッド体からなる帯電防止層を設けた表面帯電防止加
工成形体、に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に用いられる第四級アンモ
ニウム塩基を有するポリマー(A)における第四級アン
モニウム塩基は、特に制限されないが、たとえば、一般
式(1):
【0008】
【化2】
【0009】(式中、Xは−(CH−(但し、n
は2〜4の整数を示す)を示し、RとRはそれぞれ
独立して炭素数1〜9のアルキル基またはヒドロキシア
ルキル基を示し、Rは水素原子または炭素数1〜9の
アルキル基もしくは炭素数1〜9のアルキル基を有して
も良いベンジル基を示し、Yはハロゲン原子、RSO
、ROSO(但し、Rは炭素数1〜20のアル
キル基または炭素数1〜20のアルキル基を有しても良
いフェニル基を示す)を示す)で表される第四級アンモ
ニウム塩基を例示できる。
【0010】かかる第四級アンモニウム塩基を有するポ
リマー(A)は、たとえば、一般式(2):
【0011】
【化3】
【0012】(式中、X、R、Rは前記と同じ)で
表される三級アミノ基を有するビニルモノマー(a1)
および必要により前記(a1)成分と共重合しうるビニ
ルモノマー(a2)を(共)重合した後、または(共)
重合とともに、前記(a1)成分に由来する三級アミノ
基を、四級化剤により四級化することによって得られ
る。また第四級アンモニウム塩基を有するポリマー
(A)は、前記(a1)成分を四級化剤により四級化し
たモノマーを、必要により前記(a1)成分、(a2)
成分と(共)重合することにより得られる。なお、
(共)重合法は各種の溶液重合法や懸濁重合法等を採用
できる。
【0013】前記三級アミノ基を有するビニルモノマー
(a1)の具体例としては、たとえば、ジメチルアミノ
エチル(メタ)アクリレート{なお、(メタ)アクリと
は、アクリまたはメタクリを意味する。以下、同様の意
味である。}、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレ
ート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、
ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチ
ルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メ
タ)アクリルアミド、ジプロピルアミノエチル(メタ)
アクリルアミド等を挙げることができる。これら(a
1)成分は1種類を単独でまたは2種類以上を併用して
使用することができる。
【0014】また、前記(a1)成分と共重合しうるビ
ニルモノマー(a2)は、得られる第四級アンモニウム
塩基を有するポリマー(A)が、後述する溶媒(C)へ
溶解し、造膜性を有し、プラスチック等との密着性に優
れ、耐久性の高いコーティング膜を形成しうること等を
考慮して、適宜に選択して使用できる。(a2)成分と
しては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、フル
オロスチレンなどの芳香族ビニル化合物;(メタ)アク
リロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;メチル(メ
タ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−
エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)ア
クリル酸エステルモノマー;(メタ)アクリルアミド、
N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メ
タ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)ア
クリルアミド等の(メタ)アクリルアミドとそのN−ア
ルキル誘導体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどの
ビニルエステル等を挙げることができる。これら(a
2)成分は1種類を単独でまたは2種類以上を併用して
使用することができる。
【0015】前記(a2)成分の使用割合が多くなる
と、本発明で得られるコーティング膜の親水性が充分で
なくなる傾向がるため、(a2)成分の使用割合は、第
四級アンモニウム塩基を有するポリマー(A)の組成中
75モル%以下とするのが好ましい。より好ましくは、
40〜60モル%である。
【0016】また、四級化剤としては各種公知の四級化
剤を使用できる。具体例としては、ジメチル硫酸、ジエ
チル硫酸、ジプロピル硫酸等のアルキル硫酸、p−トル
エンスルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸メチル等の
スルホン酸エステル、及びアルキルクロライド、アルキ
ルブロマイド、ベンジルクロライド等が挙げられる。こ
れら4級化剤は1種類を単独でまたは2種類以上を併用
して使用することができる。
【0017】第四級アンモニウム塩基を有するポリマー
(A)において、四級アンモニウム塩基を有するモノマ
ー単位は、当該ポリマー(A)の組成中25〜90モル
%程度になるように調整するのが好ましい。当該モノマ
ー単位が少ないと、溶媒(C)への溶解性が低下する傾
向があることから好適なコーティング膜を形成するに
は、当該モノマー単位を40モル%以上にするのがより
好ましい。また、当該モノマー単位が多いと、造膜性が
低下する傾向があることから、好適なコーティング膜を
形成するには、当該モノマー単位を60モル%以下にす
るのがより好ましい。
【0018】第四級アンモニウム塩基を有するポリマー
(A)の重量平均分子量は、通常、10000〜200
0000程度であるのが好ましい。重量平均分子量が小
さくなると造膜性および形成された表面皮膜の耐久性が
充分でなくなる傾向があることから、重量平均分子量は
50000以上とするのがより好ましい。また重量平均
分子量が大きくなると溶媒(C)への溶解に時間がかか
り、粘度も高くなる傾向があることから、作業性および
取り扱い性の点から重量平均分子量は1000000以
下とするのがより好ましい。なお、前記第四級アンモニ
ウム塩基を有するポリマー(A)の分子量をGPCで測
定するにあたっては、通常の分析条件では、ポリマー
(A)が、カラム充填剤に吸着するため、適当な溶離液
成分を選択し、吸着を抑えて測定する。溶離液成分とし
ては、例えば酢酸緩衝液/アセトニトリル混合液が挙げ
られる。
【0019】本発明で使用されるテトラアルコキシシラ
ン類(B)は各種のものを使用できる。例えば、一般式
(3):Si(OR(式中、Rは炭素数6以下
の直鎖または分岐鎖のアルキル基を示す。)で表される
化合物を例示できる。具体的には、テトラメトキシシラ
ン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、
テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシランな
どが挙げられる。また、テトラアルコキシシラン類
(B)としては、テトラアルコキシシランの縮合物を使
用することもできる。かかる縮合物としては、テトラメ
チルアルコキシシランの縮合物である市販のメチルシリ
ケートMS−51(商品名,多摩化学工業(株)製)や
テトラエトキシシランの縮合物である市販のエチルシリ
ケート40(商品名,多摩化学工業(株)製)などを例
示できる。これらは1種を単独で使用または2種以上を
併用することができる。
【0020】前記テトラアルコキシシラン類(B)の使
用量は、第四級アンモニウム塩基を有するポリマー
(A)100重量部に対し、5〜1900重量部程度と
するのが好ましい。テトラアルコキシシラン類(B)の
使用量が少なくなると、耐水性が不十分となることか
ら、テトラアルコキシシラン類(B)の使用量は25重
量部以上とするのがより好ましい。またテトラアルコキ
シシラン類(B)の使用量が多くなると、コーティング
膜に亀裂が生じやすくなる傾向があることから、テトラ
アルコキシシラン類(B)の使用量は400重量部以下
とするのがより好ましい。
【0021】本発明の有機無機ハイブリッド体用溶液組
成物は、前記第四級アンモニウム塩基を有するポリマー
(A)およびテトラアルコキシシラン類(B)を、これ
らを可溶な溶媒(C)に溶解することにより調製する。
なお、前記第四級アンモニウム塩基を有するポリマー
(A)は、溶液または分散液として得られた場合には、
当該合成溶媒を除去した後にポリマー(A)を溶媒
(C)に溶解する必要があるが、溶媒(C)をポリマー
(A)の合成溶媒に用いた場合には、当該合成溶媒をそ
のまま溶媒(C)として使用することもできる。かかる
溶媒(C)は、第四級アンモニウム塩基を有するポリマ
ー(A)とテトラアルコキシシラン類(B:シリカガラ
ス)を溶解するものであれば特に制限されない。本発明
の組成物をコーティング剤等として使用する場合には、
プラスチック等の基材に塗布などした後、常温もしくは
加熱して乾燥する際に、乾燥させやすい溶媒を使用する
のが好ましい。具体的には、メタノール、エタノール、
プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等
のアルコール系溶媒、エチレングリコールモノメチルエ
ーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチ
レングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブ
チルエーテル等のグリコールエーテル系溶媒、エチレン
グリコール酢酸エステル、ジエチレングリコール酢酸エ
ステル等のグリコールエステル系溶媒を挙げることがで
きる。これらの溶媒は、1種類を単独で使用すること
も、2種以上を使用して、混合溶媒として使用すること
もできる。また、基材に対する密着性改善のためN−メ
チル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルスルホキシドやなどの有機溶媒を溶媒(C)とともに
使用することもできる。
【0022】溶媒(C)の使用量は、第四級アンモニウ
ム塩基を有するポリマー(A)とテトラアルコキシシラ
ン類(B)の合計100重量部に対し10〜1000重
量部程度とするのが好ましい。溶媒(C)の使用量が少
なくなると本発明の組成物の経時安定性が悪く、ゲル化
したり沈殿を生じやすくなることから、溶媒(C)の使
用量は40重量部以上とするのがより好ましい。また溶
媒(C)の使用量が多くなると本発明の組成物の硬化時
間が長くなるなど乾燥性が悪化するため、溶媒(C)の
使用量は230重量部以下とするのがより好ましい。
【0023】本発明の有機無機ハイブリッド体用溶液組
成物は、水の存在により、当該組成物中のテトラアルコ
キシシラン類(B)が加水分解・重縮合により硬化し
て、シリカガラスを生成し、有機無機ハイブリッド体と
なる。
【0024】硬化に必要な水は、空気中の水分でもよい
が、本発明の溶液組成物中に極少量の水を存在させるこ
とができる。使用される水は、コーティング膜の性能等
を阻害せず、ゲル化等で前記溶液組成物の安定性を損な
わなければ、種々のものを使用できる。例えば、蒸留
水、イオン交換水、工業用水、軟水等が挙げられる。な
お、水は、テトラアルコキシシラン類(B)を加水分解
・重縮合せしめてシリカガラスを形成するため、通常、
本発明の溶液組成部物に添加される。水の使用量は、コ
ーティング膜の性能を阻害せず、ゲル化等で前記溶液組
成物の安定性を損なわなければ、テトラアルコキシシラ
ン類(B)に対して任意の量を使用できる。好ましくは
テトラアルコキシシラン類(B)に対して0.2〜5モ
ル%程度である。水の添加量が0.2モル%より少ない
とテトラアルコキシシラン類(B)の加水分解・重縮合
が充分に進行しない傾向があり、5モル%より多いとア
ルコキシシラン類(B)の加水分解・重縮合が進みすぎ
本発明の有機無機ハイブリッド体用溶液組成物のゲル化
を引き起こす恐れがある。
【0025】さらに、本発明の有機無機ハイブリッド体
用溶液組成物には、前記テトラアルコキシシラン類
(B)の加水分解・縮合反応を促進するために、酸ある
いはアルカリを触媒として添加することもできる。触媒
は、前記溶媒(C)に溶解し、ゲル化等によって前記溶
液組成物の安定性を損なわず、コーティング膜の性能を
阻害しないものであれば、公知の種々の化合物が使用で
きる。例えば、酸触媒としては、塩化水素アルコール溶
液、りん酸(通常94%の水溶液)、ほう酸等の無機
酸、酢酸、クエン酸、パラトルエンスルホン酸等の有機
酸、アルカリ触媒としては、アルコール性水酸化カリウ
ム、アルコール性水酸化ナトリウム、アンモニア、トリ
エチルアミン等を挙げることができる。
【0026】前記触媒の使用量は、ゲル化等によって前
記溶液組成物の安定性を損なわず、本発明であるコーテ
ィング膜の性能を阻害しないのであれば、使用する触媒
の活性により適宜決めることができるが、通常は使用す
る前記アルコキシシランに対し、モル比率で、触媒能力
の高いパラトルエンスルホン酸などで0.001〜5モ
ル%程度、触媒能力の低いほう酸、酢酸などで1〜50
モル%程度使用される。これら触媒は、目的とするコー
ティング膜の物性(親水性、耐水性など)などにより1
種を単独でまたは2種以上を混合して使用することもで
きる。触媒添加の時期は特に制限されず、前記テトラア
ルコキシシラン類(B)を溶媒(C)に溶解して前記溶
液組成物を調製する際に添加してもよく、前記溶液組成
物を塗布等する直前に添加してもよい。また、最初に活
性の低い触媒を添加し、塗布等の直前にさらに触媒を追
加してもよい。
【0027】また、本発明の溶液組成物には、本発明の
効果を損なわない範囲で、粘度調節剤、レベリング剤、
消泡剤、着色剤、安定剤、溶解性を調整するための溶剤
等、有機、無機系各種添加剤や密着性を高める成分とし
て有機溶媒やアミノシランを必要に応じて添加すること
もできる。
【0028】かかる本発明の有機無機ハイブリッド体用
溶液組成物は、たとえば、コーティング剤等として使用
され、プラスチック、金属などの基材に塗布し、加熱乾
燥により硬化させることにより基材表面に有機無機ハイ
ブリッド体からなるコーティング膜を形成する。コーテ
ィングにあたっては、基材との密着性を高めるためにプ
ライマーを事前にコーティングしておくこともできる。
かかるプライマーとしてフエノキシ樹脂(東都化成
(株)製,商品名フェノートTP−50S)のN−メチ
ルピロリドン溶液、水分散系アクリル系反応性ミクロゲ
ルなどが挙げられる。
【0029】前記溶液組成物の基材への塗布方法は、は
け塗り、スプレー、ディッピング、ロールコート、フロ
ーコートなどの公知の技術が適用できる。本発明の有機
無機ハイブリッド体用溶液組成物の硬化は、常温乾燥硬
化でも可能であるが、通常100〜120℃程度、1分
〜15分程度の条件で行うのが好適である。
【0030】
【発明の効果】本発明の有機無機ハイブリッド体用溶液
組成物によれば、親水性を持ち、かつ耐水性を有する有
機無機ハイブリッド体(たとえば、基材上にコーティン
グ膜)が得られる。すなわち、得られたコーティング膜
は親水性がよく水に良く濡れ、水中に浸漬後、取り出し
て水平にした場合には全面に水の膜が形成され、水玉を
生成しない。また、耐水性が良いため水中に30分以上
浸漬しても膨潤、剥離、溶解がみられない。また、得ら
れたコーティング膜は、基材との密着性もよく、無機質
材料に比べて柔軟性もよい。また、透明性もよい。
【0031】以上の様に本発明の有機無機ハイブリッド
体用溶液組成物によれば、親水性を持ち、かつ耐水性を
有するコーティング膜を提供できることから、本発明の
有機無機ハイブリッド体用溶液組成物は、親水性に乏し
いプラスチック成形品や金属の表面などの種々の基材表
面のコーティング剤に使用できる。
【0032】たとえば、本発明のコーティング剤をOH
P用フイルム等の水性インクのインクジエット受容層と
して使用した場合、受容層を形成するコーティング膜
は、耐水性がよいため、水性インクにより膨潤、溶解し
て粘着性を帯びることはない。また、コーティング剤中
には、界面活性剤等を含んでいないため界面活性剤等の
ブリードによる印刷性の低下の問題もない。
【0033】また、本発明のコーティング剤は、ビルな
どの建築物の美観を建築当初の外観を維持するために用
いられる耐汚染性塗料にも好適である。耐汚染性塗料
は、外壁表面の親水性を高めることによって、都市部に
おいて特に顕著な親油性の汚れ物質(排ガス、タイヤ粉
やアスフアルト粉塵など)の外壁へ吸着を抑制し、また
は吸着した汚れ物質が雨などにより容易に洗い流される
ようにするものである。本発明のコーティング剤により
得られるコーティング膜は、高い親水性を保持でき、し
かも充分な耐水性を有するため水に膨潤などせず、耐汚
染性塗料として有効に機能する。また、セラミックス微
粒子やシリカ微粒子などの親水性無機物質を用いた耐汚
染性塗料のように透明性を損なうこともない。
【0034】また、本発明のコーティング剤は、熱交換
器のアルミフインや印刷用の平版のコーティング剤にも
好適である。熱交換器のアルミフイン等のコーティング
剤には、親水性を付与するために、一般的に、アルカリ
珪酸塩(水ガラス)の皮膜(特公昭53−48177号
公報)や、水性塗料に界面活性剤と合成シリカを含有さ
せたもの(特開昭55−164264号公報)などが使
用されているが、これらの方法では、コーティング膜が
硬くなりすぎるため、最近のプレコート方式による加工
方法ではクラックが発生しやすく、また、プレス加工で
の成形工具の磨耗が著しい。また、経時的な親水性の持
続性に乏しい。本発明のコーティング剤により得られる
コーティング膜は、柔軟であり、親水性の持続性もよ
い。
【0035】また、本発明のコーティング剤はプラスチ
ックの塗布型帯電防止剤としても好適である。一般にポ
リカーボネートなどのプラスチックは静電気を帯びやす
いため、摩擦により帯電して表面に塵埃等が付着した
り、フィルム同志がブロッキングするなど取り扱う上で
障害が生じる場合が多い。従来、静電気の発生を抑制す
るためには、界面活性剤を塗布して親水性を付与する方
法や、金属やカーボンなどの導電性粉末を混入した樹脂
層を塗布する方法などが試みられているが、界面活性剤
を塗布する方法は耐水性に問題があるため長期間効果を
維持させることが難しく、導電性粉末の樹脂層のコート
では透明性を損なったり着色するなどの欠点を有する。
本発明のコーティング剤(塗布型帯電防止剤)により得
られるコーティング膜(帯電防止層)は、親水性である
ため、プラスチック成形体表面に優れた帯電防止効果を
発揮する帯電防止層を形成する。また、当該帯電防止層
は耐水性に優れているため水洗いによる溶出、膨潤は殆
どない。しかも、帯電防止層は、拭き取り等によって取
り除かれることも殆どなく耐久性にも優れている。ま
た、コーティング膜(帯電防止層)による成形体の機械
的物性(硬さ、強度など)や密着性の低下もない。な
お、成形体表面への、コーティング膜(帯電防止層)の
形成は、塗布帯電防止剤を成形体に塗布もしくは含浸、
または成形体を塗布型帯電防止剤に浸漬したのち、成形
体表面の塗布型帯電防止剤を加熱乾燥により硬化させる
ことにより行う。こうして、成形体表面に有機無機ハイ
ブリッド体からなる帯電防止層を設けた表面帯電防止加
工成形体が得られる。
【0036】その他、本発明のコーティング剤は、防曇
塗料、バックライトデイスプレーのコーテイング剤など
に使用できる。
【0037】
【実施例】以下、前記第四級アンモニウム塩基を有する
ポリマーの合成例および実施例をあげて本発明を詳細に
説明するが、本発明はかかる合成例および実施例に限定
されるものではない。
【0038】合成例1 攪拌装置、温度計、還流冷却管、滴下ラインを取り付け
た500mlの反応容器に、スチレン/N,N−ジメチ
ルアミノエチルメタクリレート共重合体(荒川化学工業
(株)製 商品名ルナペール912、スチレン/N,N
−ジメチルアミノエチルメタクリレート=60/40
(モル比)、重量平均分子量75000)80g、エチ
レングリコールモノメチルエーテル267.9gを入れ
30分以上攪拌し溶解させた。攪拌しながら、ジエチル
硫酸37.4gを1時間かけて滴下し、同時に70℃ま
で加温した後、この温度を引き続き1時間保ち反応を完
遂させ、スチレン/N,N−ジエチルアミノエチルメタ
クリレートジエチル硫酸四級化物/N,N−ジメチルア
ミノエチルメタクリレート=60/38/2(モル比)
の共重合比のポリマー(第四級アンモニウム塩基を有す
るポリマー)の溶液を得た。溶液のポリマー濃度は30
重量%である。
【0039】合成例2 攪拌装置、温度計、還流冷却管、窒素導入管、滴下ライ
ンを取り付けた500mlの反応容器に、ノルマルブチ
ルアクリレート40.7g、N,N−ジメチルアミノエ
チルメタクリレート49.9g、アゾビスイソブチロニ
トリル1.0g、エチレングリコールモノメチルエーテ
ル60.4gを入れ、窒素雰囲気下で30分以上攪拌、
溶解させた。攪拌しながら30分かけて80℃まで加
温、攪拌しながらこの温度で1時間保持し、さらに80
℃を保持しながら別途調製した均一混合溶液(ノルマル
ブチルアクリレート40.7g、N,N−ジメチルアミ
ノエチルメタクリレート49.9g、アゾビスイソブチ
ロニトリル1g、エチレングリコールモノメチルエーテ
ル60.4g)を1時間かけて滴下し、滴下終了後、こ
の温度を保ちながら引き続き5時間重合を行った。得ら
れた重合液を室温まで冷却した後、ジエチル硫酸93g
を1時間かけて滴下し、同時に70℃まで加温した後、
この温度を引き続き1時間保ち反応を完遂させ、ノルマ
ルブチルアクリレート/N,N−ジエチルアミノエチル
メタクリレートジエチル硫酸四級化物/N,N−ジメチ
ルアミノエチルメタクリレート=50/47.5/2.
5(モル比)の共重合比のポリマー(第四級アンモニウ
ム塩基を有するポリマー)の溶液を得た。溶液のポリマ
ー濃度は60重量%である。
【0040】合成例3 攪拌装置、温度計、還流冷却管、窒素導入管、滴下ライ
ンを取り付けた500mlの反応容器に、メチルメタク
リレート35g、N,N−ジメチルアミノエチルメタク
リレート55g、アゾビスイソブチロニトリル1.1
g、エチレングリコールモノメチルエーテル60.0g
を入れ、窒素雰囲気下で30分以上攪拌、溶解させた。
攪拌しながら30分かけて80℃まで加温、攪拌しなが
らこの温度で1時間保持し、さらに80℃を保持しなが
ら別途調製した均一混合溶液(メチルメタクリレート3
5g、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート5
5g、アゾビスイソブチロニトリル1.1g、エチレン
グリコールモノメチルエーテル60g)を1時間かけて
滴下し、滴下終了後、この温度を保ちながら引き続き5
時間重合を行った。得られた重合液を室温まで冷却した
後、ジエチル硫酸102.41gを1時間かけて滴下
し、同時に70℃まで加温した後、この温度を引き続き
1時間保ち反応を完遂させ、メチルメタクリレート/
N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートジエチル
硫酸四級化物/N,N−ジメチルアミノエチルメタクリ
レート=50/47.5/2.5(モル比)の共重合比
のポリマー(第四級アンモニウム塩基を有するポリマ
ー)の溶液を得た。溶液のポリマー濃度は60重量%で
ある。
【0041】実施例1 攪拌子の入った活栓付き三角フラスコ(100ml)に
合成例1で得られた第四級アンモニウム塩基を有するポ
リマーの溶液20g(固形分12g)とメタノール5g
を入れ、攪拌して混合した後、マグネチックスターラー
を用いて攪拌しながらテトラメトキシシラン9gを徐々
に加え、溶液が均一になるまで攪拌混合した。次いで、
蒸留水0.9gを加え、さらに、別途調製したp−トル
エンスルホン酸の20重量%メタノール溶液0.89g
(テトラメトキシシランに対し0.018モル%)を加
え室温で30分間、攪拌混合した後、24時間室温で静
置し、第四級アンモニウム塩基を有するポリマーとシリ
カガラスを含む溶液組成物を調製した。
【0042】実施例2〜21 実施例1において、溶液組成物の組成または組成比を表
1に示すように変えた以外は実施例1と同様にして溶液
組成物2〜21を調製した。
【0043】比較例1 実施例1において、テトラメトキシシランを使用せず、
その他の組成または組成比を表1に示すように変えた以
外は実施例1と同様にして溶液組成物を調製した。
【0044】比較例2 実施例1において、第四級アンモニウム塩基を有するポ
リマー(A)を使用せず、その他の組成または組成比を
表1に示すように変えた以外は実施例1と同様にして溶
液組成物を調製した。
【0045】
【表1】
【0046】表1中、TMOS:テトラメトキシシラ
ン、p−TsOH:パラトルエンスルホン酸20重量%
メタノール溶液を示す。
【0047】実施例または比較例で調製した溶液組成物
をポリエチレンテレフタレートフィルム((株)学習研
究社製,PPC用クリアシート)にバーコーター(N
o.18)を用いて塗布した後、120℃で20分間加
熱乾燥し、膜厚約10〜15μmのコーティング膜を形
成した。得られたコーティングフィルムについて、以下
の方法により評価した。結果を表2に示す。
【0048】(親水性)コーティングフィルムを水道水
の入ったビーカーに浸漬した後、引き上げ、水平に置い
たときの塗膜表面の水濡れ状態を以下の基準で判定し
た。 ○印:水玉の発生が認められず、全面にわたって水で濡
れている状態。 △印:水玉は少なく水で濡れない部分が認められるかそ
の割合が1/2以下。 ×印:水玉が多く発生し、濡れない部分が1/2以上。
【0049】(耐水性)コーティングフィルムを水道水
の入ったビーカーに3分間浸漬したときの、塗膜の状態
を以下の基準で目視判定した。 ○印:変化なし。 △印:膨潤する。 ×印:溶解する。
【0050】(表面固有抵抗値)得られた試料を25
℃、60%R.H.(湿度)で24時間調湿した後、電
圧500Vで印加1分後の表面固有抵抗値を測定した
(アドバンテスト社製、TR8601)。
【0051】(密着性)試料表面をクロスカット後、セ
ロハンテープを圧着剥離したときの状態を以下の基準で
評価した。 ○印:全く剥離しなかった。 △印:若干、剥離が認められた。 ×印:完全に剥離した。
【0052】(耐久性)試料表面をガーゼで摩擦して傷
の発生の有無を以下の基準で評価した。 ○印:傷発生せず。 △印:わずかに傷発生。 ×印:全体に傷が発生。
【0053】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C09D 133/14 C09D 133/14 133/26 133/26 Fターム(参考) 4J002 BC041 BC091 BC111 BG041 BG051 BG061 BG071 BG101 BG131 EX036 GH00 HA05 4J038 CC061 CC062 CC081 CC082 CC101 CC102 CF011 CF012 CF051 CF052 CG141 CG142 CG161 CG162 CG171 CG172 CH031 CH032 CH201 CH202 DL021 DL022 GA08 GA09 GA12 GA13 JA19 JA26 JA58 JA62 JC32 KA03 MA07 MA09 NA20 PA19

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第四級アンモニウム塩基を有するポリマ
    ー(A)およびテトラアルコキシシラン類(B)を、こ
    れらを可溶な溶媒(C)に溶解させてなる有機無機ハイ
    ブリッド体用溶液組成物。
  2. 【請求項2】 第四級アンモニウム塩基を有するポリマ
    ー(A)の第四級アンモニウム塩基が、一般式(1): 【化1】 (式中、Xは−(CH−(ただし、nは2〜4の
    整数を示す)を示し、R とRはそれぞれ独立して炭
    素数1〜9のアルキル基またはヒドロキシアルキル基を
    示し、Rは水素原子または炭素数1〜9のアルキル基
    もしくは炭素数1〜9のアルキル基を有しても良いベン
    ジル基を示し、Yはハロゲン原子、RSO、R
    SO(ただし、Rは炭素数1〜20のアルキル基ま
    たは炭素数1〜20のアルキル基を有しても良いフェニ
    ル基を示す)を示す)で表されるものである請求項1記
    載の有機無機ハイブリッド体用溶液組成物。
  3. 【請求項3】 第四級アンモニウム塩基を有するポリマ
    ー(A)100重量部に対し、テトラアルコキシシラン
    類(B)を5〜1900重量部含んでなる請求項1また
    は2記載の有機無機ハイブリッド体用溶液組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3記載の有機無機ハ
    イブリッド体用溶液組成物を硬化させることにより得ら
    れる有機無機ハイブリッド体。
  5. 【請求項5】 請求項1、2または3記載の有機無機ハ
    イブリッド体用溶液組成物を含有してなるコーティング
    剤。
  6. 【請求項6】 基材表面に、請求項5記載のコーティン
    グ剤を塗布した後、加熱乾燥により硬化させることによ
    り基材表面に有機無機ハイブリッド体からなるコーティ
    ング膜を形成させる基材のコーティング方法。
  7. 【請求項7】 塗布型帯電防止剤に用いられる請求項5
    記載のコーティング剤。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の塗布帯電防止剤を成形体
    に塗布もしくは含浸、または成形体を請求項7記載の塗
    布型帯電防止剤に浸漬したのち、成形体表面の塗布型帯
    電防止剤を加熱乾燥により硬化させて得られる、成形体
    表面に有機無機ハイブリッド体からなる帯電防止層を設
    けた表面帯電防止加工成形体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005028562A1 (ja) * 2003-09-17 2005-03-31 Techno Polymer Co., Ltd. 成形品成形用重合体組成物、成形品、親水性成形品及びその製造方法並びに積層品
JP2008214528A (ja) * 2007-03-06 2008-09-18 Nippon Paint Co Ltd 無機有機複合コーティング組成物
JP2016513745A (ja) * 2013-03-15 2016-05-16 ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェンHenkel AG & Co. KGaA 新規な官能化アクリル化合物を含む無機複合コーティング

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US9963786B2 (en) 2013-03-15 2018-05-08 Henkel Ag & Co. Kgaa Inorganic composite coatings comprising novel functionalized acrylics

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