JP2000304903A - 反射防止膜付き光学素子 - Google Patents

反射防止膜付き光学素子

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JP2000304903A
JP2000304903A JP11116527A JP11652799A JP2000304903A JP 2000304903 A JP2000304903 A JP 2000304903A JP 11116527 A JP11116527 A JP 11116527A JP 11652799 A JP11652799 A JP 11652799A JP 2000304903 A JP2000304903 A JP 2000304903A
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antireflection film
optical element
adhesion
film according
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JP11116527A
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English (en)
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Kazuhiro Yamada
和広 山田
Yukio Kubota
幸雄 久保田
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Pentax Corp
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Asahi Kogaku Kogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】樹脂製基材上に優れた密着力で反射防止膜が形
成された光学素子を提供する。 【解決手段】樹脂製基材2と、樹脂基材2の表面に形成
された反射防止膜4とを有する反射防止膜付き光学素子
1において、樹脂製基材2と反射防止膜4との間に気相
成膜法により形成された密着力強化層3を介在させるこ
とを特徴とする。密着力強化層3は、水素および炭素の
うち少なくとも一方を5%未満含有することが好まし
い。また、密着力強化層3は、プラズマCVD法により
形成されることが好ましく、成膜原料として有機金属化
合物を用いて形成されることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、樹脂製基材と反射
防止膜とを備える反射防止膜付き光学素子に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】プラスチックは、ガラスに比べて軽量で
加工性や耐衝撃性に優れ、また染色し易い等の種々の利
点を備え、ガラスに代わる光学素子の材料として注目さ
れている。例えば、プラスチックレンズをメガネ用レン
ズやカメラ用レンズなどの光学素子として使用する場
合、ガラスレンズと同様、反射光を抑制する必要があ
る。そのため、通常、光学素子として用いられているプ
ラスチックレンズの表面に、入射光の表面反射を抑制す
るために金属酸化物や誘電体からなる薄膜が積層されて
なる反射防止膜を設けることが行われてきた。
【0003】ところが、このような反射防止膜はプラス
チックレンズ等の基材となる樹脂製基材との密着性に乏
しく、剥離し易いという問題があった。とくに、反射防
止膜を構成する薄膜の数が多くなる程、各薄膜の膜内応
力が相互に作用し剥離し易くなるという問題があった。
したがって、MgF2薄膜等からなる単層膜で構成され
た反射防止膜を設ける方法も提案されているが、それで
も樹脂製基材との十分な密着力を得ることはできず、密
着性および耐久性に優れ、かつ広域な波長領域において
高い反射防止効果を備えた反射防止膜つき光学素子を得
ることはできなかった。
【0004】そこで、上記の問題を解消するために、ま
ず樹脂製基材表面にゾルゲル法や浸漬法等でアクリル系
シリカを含有するハードコート層を形成し、その上に真
空蒸着法等により反射防止膜を設ける方法が種々提案さ
れている。しかし、基材が複雑形状である場合、浸漬法
等の方法では形成されたハードコート層の均一性、密着
性が不十分となる傾向があり、デザインや基材の種類、
使用環境等の条件が変化しても光学的性能が低下せず、
常に高性能である反射防止膜つき光学素子を得ることは
困難であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、樹脂
製基材上に優れた密着力で反射防止膜が形成された光学
素子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(16)の本発明により達成される。
【0007】(1) 樹脂製基材と、該樹脂基材表面に
形成された反射防止膜とを有する反射防止膜付き光学素
子において、前記樹脂製基材と前記反射防止膜との間に
気相成膜法により形成された密着力強化層を介在させる
ことを特徴とする反射防止膜付き光学素子。
【0008】(2) 前記密着力強化層は水素および炭
素のうち少なくとも一方を含有する上記(1)に記載の
反射防止膜付き光学素子。
【0009】(3) 前記密着力強化層における前記水
素および前記炭素のうち少なくとも一方の含有量は5%
未満である上記(2)に記載の反射防止膜付き光学素
子。
【0010】(4) 前記気相成膜法はプラズマCVD
法である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の反
射防止膜付き光学素子。
【0011】(5) 前記密着力強化層は金属有機化合
物を成膜原料として用いて形成される上記(1)ないし
(4)のいずれかに記載の反射防止膜付き光学素子。
【0012】(6) 前記金属有機化合物は金属アルコ
キシドである上記(5)に記載の反射防止膜付き光学素
子。
【0013】(7) 前記密着力強化層は金属酸化物を
主成分とする上記(1)ないし(6)のいずれかに記載
の反射防止膜付き光学素子。
【0014】(8) 前記密着力強化層はSiO2を主
成分とする上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の
反射防止膜付き光学素子。
【0015】(9) 前記密着力強化層の膜厚は1〜1
000nmである上記(1)ないし(8)のいずれかに記
載の反射防止膜付き光学素子。
【0016】(10) 前記密着力強化層は屈折率が
1.45〜1.50である上記(1)ないし(9)のい
ずれかに記載の反射防止膜付き光学素子。
【0017】(11) 前記密着力強化層は可視光領域
における吸収が1%以下である上記(1)ないし(1
0)のいずれかに記載の反射防止膜付き光学素子。
【0018】(12) 前記樹脂製基材はアクリル系樹
脂からなる基材である上記(1)ないし(11)のいず
れかに記載の反射防止膜付き光学素子。
【0019】(13) 前記反射防止膜はPVD法によ
り形成される上記(1)ないし(12)のいずれかに記
載の反射防止膜付き光学素子。
【0020】(14) 前記反射防止膜は真空蒸着法に
より形成される上記(1)ないし(13)のいずれかに
記載の反射防止膜付き光学素子。
【0021】(15) 前記反射防止膜の前記密着力強
化層に最も近い層がSiO2からなる層である上記
(1)ないし(14)のいずれかに記載の反射防止膜付
き光学素子。
【0022】(16) 前記反射防止膜は前記密着力強
化層に最も近い層を第1層目として膜厚24〜44nmの
SiO2からなる層と、第2層目として膜厚5〜15nm
のTiO2からなる層と、第3層目として膜厚29〜4
9nmのSiO2からなる層と、第4層目として膜厚10
3〜123nmのTiO2からなる層と、第5層目として
膜厚75〜95nmのSiO2からなる層とから構成され
る上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の反射防
止膜付き光学素子。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の反射防止膜付き光
学素子を添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に
説明する。なお、説明中「膜厚」とは、物理的膜厚を意
味するものとする。図1は、本発明の反射防止膜付き光
学素子の実施形態を示す断面図である。この図に示すよ
うに、本発明の反射防止膜付き光学素子1は、樹脂製基
材2と、該樹脂基材2の表面に形成された反射防止膜4
とを有するものであって、樹脂製基材2と反射防止膜4
との間に気相成膜法により形成された密着力強化層3を
介在させることを特徴とする。これにより、樹脂製基材
2と反射防止膜4との密着力が飛躍的に向上する。
【0024】密着力強化層3は気相成膜法により形成さ
れる。これにより、浸漬法(ディッピング)による場合
とは異なり、基材が複雑形状であっても均一で密着性に
優れた密着力強化層を形成することができる。さらに、
気相成膜法によれば、浸漬法に比べ被膜の硬化に長時間
を要することがなく、また、次の反射防止膜4の形成工
程に連続的に移行することが可能であり、製造効率の向
上を図ることができる。
【0025】気相成膜法としては、物理的気相成長法
(PVD法)および化学的気相成長法(CVD法)が挙
げられる。PVD法としては、例えば電子ビーム加熱
法、抵抗加熱法、フラッシュ蒸着法等の各種真空蒸着
法、プラズマ蒸着法、2極スパッタ法、直流スパッタ
法、直流マグネトロンスパッタ法、高周波スパッタ法、
マグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法、バ
イアススパッタ法等の各種スパッタ法、電界蒸着法、高
周波イオンプレーティング法、反応性イオンプレーティ
ング法等の各種イオンプレーティング法等が挙げられ
る。
【0026】CVD法としては、常圧CVD法、LP−
CVD法(減圧条件下で行うCVD法)、プラズマCV
D法、熱CVD法、光CVD法(光を反応促進に用いる
CVD法)等が挙げられるが、なかでもプラズマCVD
法が好ましい。プラズマCVD法によれば密着力強化層
の形成を迅速に行うことができ、大面積においても均一
な薄膜を堆積することができる。
【0027】図2に、密着力強化層3の形成に用いられ
る成膜装置の一例として、プラズマCVD装置の概略構
成を示す。図に示されるプラズマCVD装置100は、
密閉された反応室11を有し、反応室11には上部電極
12および下部電極13が互いに略平行に配置されてい
る。上部電極12は接地し、下部電極13は整合回路2
3を介して高周波電源24に接続されている。
【0028】密着力強化層3が形成される樹脂製基材2
は、下部電極13の上に載置される。また、下部電極1
3の下には絶縁層14を介して接地台15が配置されて
いる。該接地台15の周囲には、接地第3電極16が上
部電極12に向かって突出し、上端部が内側に張り出し
て下部電極13の周囲を覆うように設けられている。
【0029】上部電極12を吊り下げる吊り下げ棒17
にはガス通路が設けられており、上部電極12の下面に
形成された孔から原料ガスが反応室11内に供給され
る。また、接地台15を支えるステム19にはガス排出
口20が設けられており、ポンプ21によるガスの排気
によって、反応室11内の圧力を調整することができる
よう構成されている。
【0030】このようなプラズマCVD装置100を用
いれば、下部電極13を電気的に浮遊状態として上下電
極間にプラズマが生成されるため、下部電極側が負とな
るセルフバイアスが生じ、下部電極(カソード)近傍に
イオンシースが生成される。このイオンシースによりプ
ラズマ中で生成されたSiO2等のイオンが加速され、
下部電極上に載置された樹脂製基材2の表面に例えばS
iO2等を主成分とする密着力強化層を高速で堆積させ
ることができる。
【0031】この堆積速度は、セルフバイアス電圧を増
大させることにより上昇させることができ、例えば50
0nm/min程度の堆積速度を得ることができる。なお、セ
ルフバイアス電圧は下部電極13への投入電力量により
制御可能である。また、接地第3電極16が樹脂製基材
2よりも高い位置で周囲を囲むように設けられているた
め、下部電極13の上部に生成されるイオンシースの外
側への膨出が抑制され該イオンシースを閉じ込めること
ができるため、余分な箇所への堆積を回避することがで
きる。したがって、中央部と周辺部との堆積速度の差が
解消され、膜厚および密着力がより均一で優れた薄膜を
形成することができる。
【0032】本発明の密着力強化層3は、水素および炭
素のうち少なくとも一方を含有することが好ましく、そ
の含有量は5%未満であることが好ましい。水素および
炭素の含有量が5%を超えると膜質が低下し、光学機能
や膜の耐久性が損なわれるおそれがある。したがって、
含有量を5%未満とすることにより、光学機能が損なわ
れることなく樹脂製基材2と反射防止膜4との密着性を
格段に向上させることができる。なお、密着力強化層3
に含有される水素および炭素は、例えばH2O、−O
H、C等の状態で存在していると考えられる。
【0033】水素や炭素を含有する密着力強化層3は、
例えばプラズマCVD法等の気相成膜法において、有機
金属化合物を成膜原料として使用することにより形成さ
れることが好ましい。成膜原料として使用される有機金
属化合物としては、例えば金属がSiである場合、テト
ラメチルシラン(Si(CH34)、ジメチルシラン
(Si(CH322)、テトラエチルシラン(Si
(C254)等の有機金属化合物、テトラメトキシシ
ラン(Si(OCH34)、テトラエトキシシラン(S
i(OC254)等の金属アルコキシド等が挙げられ
る。上記有機金属化合物のうち、発火や爆発などの危険
性が少なく、さらに腐食性、有害ガス発生等の危険回避
の点から金属アルコキシドが好適に使用される。
【0034】本発明の密着力強化層3は、金属酸化物を
主成分とするものであることが好ましい。このような薄
膜は、化学的に安定でかつそれ自体透過率に優れてお
り、光学素子の光学的性能を損なうおそれがない。密着
力強化層3の主成分となる金属酸化物としては特に限定
されないが、例えば、SiO、SiO2、TiO2、Zr
2、HfO2、Ta25、Y23、In23、Cr
23、Al23等が挙げられるが、なかでもSiO2
好ましい。SiO2は、化学的に安定で、さらにそれ自
体光吸収を生じることが殆どなく、光学素子の透過性を
損なうことがない。したがって、光学素子の光学性能を
損なうことなく樹脂製基材2と反射防止膜4との密着性
の向上に寄与する。
【0035】密着力強化層3は、屈折率が1.45〜
1.50であるものが好ましい。屈折率が1.45未満
あるいは1.50を超える場合、樹脂製基材2や反射防
止膜4を構成する薄膜の屈折率との差が大きくなりす
ぎ、これらと密着力強化層との界面において干渉縞がみ
られる場合がある。このため、密着力強化層と樹脂製基
材等との間に、厚さ方向に屈折率が変化するグラジエン
ト層を設け両者間の屈折率の急激な変化を緩和すること
も考えられるが、工程数が増え、作業も煩雑であり製造
コストが増大するおそれがある。したがって、密着力強
化層3の屈折率を上記の範囲とすることにより、工程数
を増加させることなく干渉縞のない光学素子を容易に得
ることができる。
【0036】また、密着力強化層3は可視光領域(40
0〜750nm)における吸収が小さいものが好ましく、
かかる吸収は1%以下であることがより好ましい。可視
光領域における吸収が1%を超えると可視光の透過率が
低下し、光学素子としての性能を十分に発揮し得ないも
のとなるおそれがある。
【0037】このような密着力強化層3の膜厚について
は特に限定されないが、1〜1000nmとすることが好
ましく、30〜70nmがより好ましい。膜厚が1nm未満
の場合、反射防止膜4と樹脂基材2との密着力向上に寄
与し得ない場合があり、一方、1000nmを超えると、
密着力強化層3自体が吸収を生じたり、透明性が損なわ
れる等の問題が発生するおそれがある。
【0038】密着力強化層3に積層される反射防止膜4
は、高い反射防止性能を得るために、図1に示すように
複数の層から構成された多層膜とすることができる。図
示の実施形態の反射防止膜付き光学素子1では、密着力
強化層3に最も近い層を第1層目6として膜厚24〜4
4nmのSiO2からなる層と、第2層目7として膜厚5
〜15nmのTiO2からなる層と、第3層目8として膜
厚29〜49nmのSiO2からなる層と、第4層目9と
して膜厚103〜123nmのTiO2からなる層と、第
5層目10として膜厚75〜95nmのSiO2からなる
層とから構成されている。
【0039】反射防止膜4をこのような層構成とするこ
とにより、とくに優れた反射防止効果を発揮し得る。さ
らに、第1層目6としてSiO2からなる層を設けるこ
とにより、例えばSiO2を主成分とする密着力強化層
3に対する親和性、密着性が向上し、反射防止膜付き光
学素子1全体としての耐久性、耐候性を向上させること
ができる。
【0040】反射防止膜4を構成する薄膜の形成は、い
かなる方法によるものであってもよいが、例えばPVD
法によることが好ましく、なかでも真空蒸着法によるこ
とがより好ましい。真空蒸着法によれば、多層薄膜を精
度よく形成することができる。さらに、電子ビーム蒸着
法やイオンアシスト蒸着法によれば、各層間の密着力の
向上を図ることができる。また、各層の膜厚や屈折率を
優れた再現性をもって制御可能であるため、良好な反射
防止性能を発揮し得る反射防止膜付き光学素子を得るこ
とができる。
【0041】本発明の反射防止膜付き光学素子1におい
て、樹脂製基材2としては、透明度が高く、硬質であっ
て光学用途に好適に使用され得るものであれば特に限定
されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロ
ピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリ
エーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂など
が挙げられるが、なかでもアクリル系樹脂が好ましい。
アクリル系樹脂はとくに透明性、耐光性に優れ、また屈
折率の温度変化が小さくメガネ用レンズ、カメラ用レン
ズ等の光学部材の素材として広く好適に用いられてい
る。さらに、熱変形温度が高く、薄膜形成の際の高温条
件等にも良好に耐えることができる。
【0042】以上、本発明の反射防止膜付き光学素子を
図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれら
に限定されるものではなく、例えば、必要に応じて反射
防止膜の上にさらにフッ素系化合物等からなる撥水性の
薄膜を形成したものであってもよい。
【0043】
【実施例】次に、本発明の具体的実施例について説明す
る。 1.反射防止膜付き光学素子の作製 (実施例)まず、図2に示すプラズマCVD装置100
を用いて、アクリル系樹脂製基材2(PMMA製ファイ
ンダーレンズ)表面に、SiO2を主成分とする密着力
強化層(膜厚50nm)を形成した。成膜原料としてTE
OS(テトラエトキシシラン)を用い、雰囲気ガス(T
EOS/O2=1/20(体積比))を反応室11に導
入しながら、下部電極13に高周波電力(500W)を
投入し、圧力39.9Paの条件下で密着力強化層を形成
した。次に、密着力強化層3の上に通常の真空蒸着法に
より、表1に示す層構成の反射防止膜4を設け、図1に
示すような反射防止膜付き光学素子1を作製した。
【0044】
【表1】表 1
【0045】2.反射防止膜付き光学素子の評価 実施例で作製された反射防止膜付き光学素子において、
反射防止膜の密着性、密着強度、耐候性および反射特性
について評価した。
【0046】密着性 JIS D−0202に準じ、反射防止膜付き光学素子
の膜面に1mm間隔のクロスカットで100個のマス目を
設け粘着テープによる剥離試験を行い、樹脂製基材上に
残存する反射防止膜の膜片の数を測定した。評価方法
は、残存膜片が100個である場合を「○」、99〜9
0個である場合を「△」、90個未満以下である場合を
「×」とした。評価結果を表2に示す。
【0047】
【表2】表 2
【0048】密着強度 反射防止膜の膜面に接触面積がφ3mmの治具をエポキシ
系接着剤で貼り付けた後、かかる治具を引っ張り、反射
防止膜が剥がれたときの荷重を測定した。なお、表中の
値は、測定値を単位面積あたりの荷重に換算した値であ
る。結果を表2に示す。
【0049】耐候性 反射防止膜付き光学素子を60℃、相対湿度90%RH
の耐久条件下に48時間放置した後、反射防止膜の浮
き、剥がれ等の異常の有無を目視により観察した。評価
方法は、上記耐久条件に投入後、反射防止膜の浮き、剥
がれ等の異常が認められなかった場合を○、何らかの異
常が認められた場合を×とした。さらに、耐久条件投入
後の反射防止膜付き光学素子について上記と同様にし
て密着性の評価を行った。これらの評価結果を表2に示
す。
【0050】3.密着力強化層の元素分析 実施例で形成された密着力強化層に含まれる元素をFT
−IR(Fourier transform infrared spectroscopy)
およびSIMS(secondary ion mass spectroscopy)に
より分析した。分析結果を表3に示す。
【0051】
【表3】表 3
【0052】この結果から、密着力強化層には微量のH
およびCが含まれており、それらの含有量は合計で5%
未満であることがわかった。
【0053】4.反射特性評価 実施例で得られた反射防止膜付き光学素子の反射光の分
光特性について評価を行った。実施例の反射防止膜付き
光学素子の25℃における分光反射率曲線を図3に示
す。なお、分光反射率の測定は入射角5°で行った。さ
らに、実施例と同条件で、密着力強化層のみが形成され
たアクリル樹脂製基材について、同様にして分光反射率
測定を行なったところ、可視光領域において密着力強化
層による吸収が1%以下であることがわかった。これら
の結果から、反射防止膜付き光学素子は可視光領域にお
いて反射率が0.5%以下であり、良好な反射防止性能
を備えることがわかった。また、密着力強化層は可視光
をほとんど吸収せず、反射防止性能をまったく阻害しな
いことがわかった。
【0054】以上のことから、実施例の反射防止膜付き
光学素子の反射防止膜は、密着性に優れたものであるこ
とがわかった。さらに、高温、高湿の環境下でも優れた
密着性を維持し、耐候性にも優れていることがわかっ
た。また、密着力強化層の介在による反射防止性能の低
下も全くみられず、優れた光学特性を備えるものであっ
た。
【0055】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の反射防止膜
付き光学素子は、反射防止膜の密着性、耐候性に優れ、
さらに良好な反射防止性能を発揮する。また、樹脂製基
材の屈折率と密着力強化層の屈折率との差異を小さくす
ることができるため、かかる屈折率の差に起因する干渉
縞の発生を防止することができる。したがって、本発明
の反射防止膜付き光学素子は、ファインダー用レンズ等
のカメラ用レンズ、眼鏡用レンズをはじめ各種光学素子
として好適に用いることができ、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射防止膜付き光学素子の実施形態を
示す断面図である。
【図2】密着力強化層の形成に用いられるプラズマCV
D装置の一例を示す概略構成図である。
【図3】図1に示す反射防止膜付き光学素子の分光反射
率曲線を示す図である。
【符号の説明】
1 反射防止膜付き光学素子 2 プラスチック基材 3 密着力強化層 4 反射防止膜 6 第1層(SiO2膜) 7 第2層(TiO2膜) 8 第3層(SiO2膜) 9 第4層(SiO2膜) 10 第5層(TiO2膜) 100 プラズマCVD装置 11 反応室 12 上部電極 13 下部電極 14 絶縁層 15 接地台 16 接地第3電極 17 吊り下げ棒 19 ステム 20 ガス排出口 21 ポンプ 23 整合回路 24 高周波電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 16/40 C23C 16/40 Fターム(参考) 2K009 AA08 BB11 BB14 CC02 CC03 DD03 DD04 4F100 AA17B AA20B AA20C AA20E AA21D AA21E AH06 AK01A AK25A AT00A BA05 BA07 BA08 BA08E BA10A BA10C BA10E EH66B EH66C EH66D EH66E EJ58 EJ64 GB90 JL11 JL11B JN01B JN06 JN06C JN18B YY00B YY00C YY00D YY00E 4K029 AA11 BA46 BA48 BB02 BC08 BD00 CA01 EA01 FA07 4K030 AA06 AA09 AA11 AA14 BA24 BA27 BA42 BA44 CA07 FA01 FA03 HA03 JA01 LA01 LA24

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂製基材と、該樹脂基材表面に形成さ
    れた反射防止膜とを有する反射防止膜付き光学素子にお
    いて、 前記樹脂製基材と前記反射防止膜との間に気相成膜法に
    より形成された密着力強化層を介在させることを特徴と
    する反射防止膜付き光学素子。
  2. 【請求項2】 前記密着力強化層は水素および炭素のう
    ち少なくとも一方を含有する請求項1に記載の反射防止
    膜付き光学素子。
  3. 【請求項3】 前記密着力強化層における前記水素およ
    び前記炭素のうち少なくとも一方の含有量は5%未満で
    ある請求項2に記載の反射防止膜付き光学素子。
  4. 【請求項4】 前記気相成膜法はプラズマCVD法であ
    る請求項1ないし3のいずれかに記載の反射防止膜付き
    光学素子。
  5. 【請求項5】 前記密着力強化層は金属有機化合物を成
    膜原料として用いて形成される請求項1ないし4のいず
    れかに記載の反射防止膜付き光学素子。
  6. 【請求項6】 前記金属有機化合物は金属アルコキシド
    である請求項5に記載の反射防止膜付き光学素子。
  7. 【請求項7】 前記密着力強化層は金属酸化物を主成分
    とする請求項1ないし6のいずれかに記載の反射防止膜
    付き光学素子。
  8. 【請求項8】 前記密着力強化層はSiO2を主成分と
    する請求項1ないし7のいずれかに記載の反射防止膜付
    き光学素子。
  9. 【請求項9】 前記密着力強化層の膜厚は1〜1000
    nmである請求項1ないし8のいずれかに記載の反射防止
    膜付き光学素子。
  10. 【請求項10】 前記密着力強化層は屈折率が1.45
    〜1.50である請求項1ないし9のいずれかに記載の
    反射防止膜付き光学素子。
  11. 【請求項11】 前記密着力強化層は可視光領域におけ
    る吸収が1%以下である請求項1ないし10のいずれか
    に記載の反射防止膜付き光学素子。
  12. 【請求項12】 前記樹脂製基材はアクリル系樹脂から
    なる基材である請求項1ないし11のいずれかに記載の
    反射防止膜付き光学素子。
  13. 【請求項13】 前記反射防止膜はPVD法により形成
    される請求項1ないし12のいずれかに記載の反射防止
    膜付き光学素子。
  14. 【請求項14】 前記反射防止膜は真空蒸着法により形
    成される請求項1ないし13のいずれかに記載の反射防
    止膜付き光学素子。
  15. 【請求項15】 前記反射防止膜の前記密着力強化層に
    最も近い層がSiO 2からなる層である請求項1ないし
    14のいずれかに記載の反射防止膜付き光学素子。
  16. 【請求項16】 前記反射防止膜は前記密着力強化層に
    最も近い層を第1層目として膜厚24〜44nmのSiO
    2からなる層と、 第2層目として膜厚5〜15nmのTiO2からなる層
    と、 第3層目として膜厚29〜49nmのSiO2からなる層
    と、 第4層目として膜厚103〜123nmのTiO2からな
    る層と、 第5層目として膜厚75〜95nmのSiO2からなる層
    とから構成される請求項1ないし15のいずれかに記載
    の反射防止膜付き光学素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005508728A (ja) * 2001-03-29 2005-04-07 カール − ツァイス − シュティフツング コーティングされたプラスチック物体の製造方法

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