JP2000304045A - 直動案内軸受装置 - Google Patents

直動案内軸受装置

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JP2000304045A
JP2000304045A JP11123016A JP12301699A JP2000304045A JP 2000304045 A JP2000304045 A JP 2000304045A JP 11123016 A JP11123016 A JP 11123016A JP 12301699 A JP12301699 A JP 12301699A JP 2000304045 A JP2000304045 A JP 2000304045A
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Shiroshi Yabe
四郎司 矢部
Soichiro Kato
総一郎 加藤
Nobumitsu Takahashi
伸充 高橋
Ryoichi Sato
亮一 佐藤
Yoshinori Mizumura
美典 水村
Hiroki Yamaguchi
宏樹 山口
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】直線軌道から循環路の曲線軌道に乗り移る際の
ボールの遊び代を規制することで、ボールが案内部材や
レールに衝突する回数を低減して、低騒音化・高作動性
を図る。 【解決手段】例えば直線軌道から曲線軌道に乗り移る部
分に相当する曲線軌道内側案内部材2を外側に膨らませ
て、乗り移りから位相βの循環路入口におけるボール3
の遊び代Dβを、乗り移りから位相α後の無負荷状態と
なる循環路内でのボール3の遊び代Dαより小さくし、
これにより当該循環路出入口でのボールの遊びを小さく
して、ボールが各案内部材やレールに衝突する回数を低
減する。なお、曲線軌道の中心軸線を直線軌道の中心軸
線とずらす設定としたり、直線軌道内側案内部材から曲
線軌道外側案内部材との間に中間内側案内部材を介装し
て乗り移り部分でボールを案内したりすることでも、循
環路出入口でのボールの遊び代を小さくできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ボールの転がりを
利用した直動案内軸受装置に関し、特に産業機械等に用
いられる低騒音の直動案内軸受装置として好適なもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の直動案内軸受装置として
は、例えば図8に示すように、軸方向に延設された案内
レール101と、その上に移動可能に跨架されたスライ
ダ102とを備えたものがある。案内レール101の両
側面には、夫々、軸方向に転動体転動溝103が形成さ
れ、スライダ102のスライダ本体102Aには、その
両袖部104の内側面に、夫々、転動体転動溝103に
対向する転動体転動溝(図示せず)が形成されている。
【0003】そして、これらの向き合った両転動体転動
溝の間には転動体としての多数の鋼球(ボール)Kが転
動自在に装填され、そのボールKの転動を介してスライ
ダ102が案内レール101上を軸方向に沿って移動で
きるようになっている。この移動につれて、案内レール
101とスライダ102との間に介在するボールKは転
動してスライダ102のスライダ本体102Aの端部に
移動するが、スライダ102を軸方向に継続して移動さ
せていくためには、これらのボールKを無限に循環させ
る必要がある。
【0004】そこで、スライダ本体102Aの袖部10
4内に更に軸方向に貫通する転動体通路としての直線状
の貫通孔(図示せず)を形成すると共に、スライダ本体
102Aの前後両端にエンドキャップ105を設けて、
これに上記両転動体転動溝と転動体通路としての貫通孔
とを連通する半円弧状に湾曲した転動体循環路(図示せ
ず)を形成することにより、転動体無限循環軌道を構成
している。従って、直動案内のために前記転動体転動溝
からなる直線軌道(負荷を受ける)を移動したボールは
前記転動体循環路からなる曲線軌道に入り、この曲線軌
道から出て別の直線軌道(負荷を受けない)を移動する
ようになっている。そして、この曲線軌道部分(負荷を
受けない)と負荷を受けない方の直線軌道部分とを循環
路とも呼んでいる。
【0005】このような直動案内軸受装置のうち、作動
性の向上を目的としたものとしては、例えば実開昭59
−103928号公報(以下、従来例1と記す)や、特
公昭63−8330号公報(以下、従来例2と記す)に
記載されるものがある。このうち、従来例1は、前記循
環路の中で曲線軌道の外側ボール接触面を構成するエン
ドキャップと呼ばれる外側案内部材のうち、ボールが最
初に接触する先端部を、負荷を受けて直線軌道を移動す
るボールに接触する位置に設定して、ボールがそこに当
接するときの衝撃力を低減することで作動性を向上させ
ようとするものである。また、前記従来例2は、前記循
環路の入口に保持器を備えてボールを掬い上げ、前記直
線軌道からボールが循環路,即ち曲線軌道に入るときの
衝撃力を低下することで作動性を向上させようとするも
のである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上、これらの従来例
は、作動性の向上を図るため、ボールが整然と並ばずに
互い違いに並んでいる、所謂千鳥状態になること防ぐこ
と、或いは円滑なボールの公転を達成するためになされ
たものであり、低騒音化を狙ったものではない。ところ
で、本発明においては、前記循環路を有する直動案内軸
受装置の騒音の主原因は、当該循環路内でボールが循環
路を構成する各種の案内部材に衝突すること、特にボー
ル公転軌道が不安定となる直線軌道から曲線軌道へのボ
ールの入口部又は曲線軌道からのボールの出口部におけ
るボールの遊び代量に、騒音との相関関係があることに
着目したものである。
【0007】即ち、騒音の主原因である衝突に関して、
騒音を低減するには、衝突力を低減すること、衝突回数
を低減することの二つが考えられるが、下記する理由に
より衝突力を低減することがデメリットもあるため、よ
り容易である衝突回数を低減することによって、本発明
は低騒音化と併せて高作動性をも図るものである。ここ
で、衝突力を大幅に低減するために最も効果があること
は衝突するボールの質量を小さくすることであるが、ボ
ール径のサイズダウンは直動案内軸受装置の負荷容量等
の低下を、セラミックボールなどの低比重のボールの使
用はコストアップを引き起こす等のデメリットがあり、
掬い上げ形状の変更だけではボールの持つ衝突エネルギ
ーは何ら変化していないため、低騒音化には大きな効果
が望めない。
【0008】上記に鑑みて、従来例をみてみると、従来
例1及び従来例2は掬い上げ部での衝突力を若干は低減
することはできるが、衝突回数を低減することはでき
ず、低騒音化に大きな効果が得られない。例えば図9
は、直線軌道内を移動するボールBを曲線軌道外側案内
部材Aの先端部で掬い上げて曲線軌道,即ち循環路内に
導入するようにしたものであり、曲線軌道内側案内部材
Cのボール接触面をやや曲線軌道内側に、曲線軌道外側
案内部材Aのボール接触面をやや曲線軌道外側に設定す
ることで、ボールBに遊び代を与えたものであるが、例
えば直線軌道から曲線軌道に位相αだけ移動したとき、
無負荷状態になっているボールBの遊び代Dαよりも、
外側案内部材による拘束がなくなるために、直線軌道か
ら位相βだけ移動した曲線軌道入口近傍での無負荷状態
になっているボールBの遊び代Dβの方が遊び代が大き
く、当初に設定した設計上のボールの遊び代Dα以上の
遊び代Dβを、ボールの公転軌道上の極大値として持つ
こととなる。つまり、この曲線軌道入口近傍の極大状態
の遊び代Dβで遊んだ,即ち本来の位置から大きく外れ
たボールBが、続く無負荷状態の小さな遊び代Dα、若
しくは負荷側の遊び代のない状態に向かって拘束される
ときに、当初の設計上の狙いよりも大きく、周囲の案内
部材A,Cや案内レールに衝突することになり、そのと
き騒音が発生することになる。
【0009】また、従来例1では、本構成を達成するた
めに直線軌道を構成する案内部材、即ちレールのボール
転動溝を極端に浅くする必要があるために負荷容量が低
下することや、実際に製作するのが各部品精度及び加工
精度より著しく困難であるという問題もある。また、従
来例2では、各部材の精度や加工誤差により、当初に狙
った掬い上げが達成できず、作動性に悪影響が生じると
いう問題もある。
【0010】本発明は、これらの諸問題に鑑みて開発さ
れたものであり、ボールと案内部材又は案内レールとの
衝突回数を低減することにより、容易に騒音を低減する
ことができる直動案内軸受装置を提供することを目的と
するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに、本発明のうち請求項1に係る直動案内軸受装置
は、案内用のボールが案内部材によって規制された曲線
軌道に沿って移動する部分を有し、ボールは、直線軌道
から曲線軌道に入り、且つ曲線軌道から直線軌道に出て
ゆくようになっている直動案内軸受装置において、前記
曲線軌道へのボールの入口又は曲線軌道からのボールの
出口の少なくとも何れか一方でのボールの遊び代を、無
負荷状態となる循環路内でのボールの遊び代より小さく
したことを特徴とするものである。
【0012】また、本発明のうち請求項2に係る直動案
内軸受装置は、案内用のボールが案内部材によって規制
された曲線軌道に沿って移動する部分を有し、ボール
は、直線軌道から曲線軌道に入り、且つ曲線軌道から直
線軌道に出てゆくようになっている直動案内軸受装置に
おいて、前記曲線軌道へのボールの入口又は曲線軌道か
らのボールの出口の少なくとも何れか一方でのボールの
遊び代を、ボール直径の0.5〜11%としたことを特
徴とするものである。
【0013】また、本発明のうち請求項3に係る直動案
内軸受装置は、案内用のボールが案内部材によって規制
された曲線軌道に沿って移動する部分を有し、ボール
は、直線軌道から曲線軌道に入り、且つ曲線軌道から直
線軌道に出てゆくようになっている直動案内軸受装置に
おいて、前記曲線軌道へのボールの入口又は曲線軌道か
らのボールの出口の少なくとも何れか一方でのボールの
遊び代を、ボール直径の1.5〜10%としたことを特
徴とするものである。
【0014】なお、遊び代とは、ボールの本来の移動方
向に対する直交方向への許容移動量を示す。また、無負
荷状態となる循環路内でのボールの遊び代とは、例え
ば、曲線軌道では、内側案内部材と外側案内部材との両
者で、ボールの公転軌道の進行方向に対する直交方向へ
の移動が規制されている部分におけるボールの遊び代
を、或いは、戻り通路となる直線軌道部分におけるボー
ルの遊び代を示す。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
等を参照して説明する。図1は、本発明の直動案内軸受
装置の第1実施形態を示すものである。この図は、レー
ルと呼ばれる直線軌道内側案内部材5と、ベアリングと
呼ばれる直線軌道外側案内部材6とで構成されるボール
(鋼球)3の直線軌道部分と、エンドキャップと呼ばれ
る曲線軌道外側案内部材1と、リターンガイドと呼ばれ
る曲線軌道内側案内部材2とで構成されるボール3の曲
線軌道部分との接続部分の説明図であり、直線軌道を移
動したボール3は曲線軌道に入り、ここで180°方向
転換され、当該曲線軌道から出て再び異なる直線軌道を
移動するように構成されている。従って、ここでは、こ
の曲線軌道部分が循環路の一部を構成している。なお、
本実施形態の前記直線軌道外側案内部材6と曲線軌道内
側案内部材2とは別体に形成されている。また、曲線軌
道外側案内部材1の直線軌道側端部を先鋭にし、その先
端部を、直線軌道内側案内部材5の内側に差し込み、直
線軌道を移動するボール3をガイドして曲線軌道内に掬
い上げるようになっている。また、曲線軌道外側案内部
材1のボール接触面は単純な半円弧である。
【0016】この実施形態では、ボール3が前記直線軌
道から曲線軌道に乗り移ってから(図1の点δを過ぎて
から)、位相γになる間を除いて、従来と同様に曲線軌
道内側案内部材2のボール接触面を曲線軌道のやや内側
に、曲線軌道外側案内部材1のボール接触面を曲線軌道
のやや外側に設定し、ボール本来の移動方向に対して直
交方向に従来と同じ遊び代Dαを設けている。そして、
前述のように、従来は直線軌道から曲線軌道への移行と
同時に曲線軌道内側案内部材2のボール接触面を曲線軌
道のやや内側に設定していたのに対し、本実施形態で
は、直線軌道から曲線軌道への乗り移り点δから位相γ
までの間,即ち実質的に曲線軌道外側案内部材1によっ
てボール3の掬い上げが開始されるまでの間、曲線軌道
内側案内部材2のボール接触面を従来よりもより外側に
設定している。これにより、従来では遊び代が極大値
(Dα以上)となった、この位相βにおける曲線軌道入
口のボールの遊び代Dβは、無負荷状態となる循環路内
でのボール3の遊び代Dαより小さくなっている。ここ
で、曲線軌道出入口とは、曲線軌道内側案内部材2の中
心と曲線軌道外側案内部材1のボールの掬い上げが開始
される点とを結んだ直線から、直線軌道外側案内部材6
の端面と曲線軌道外側案内部材1の接触面までの角度範
囲、即ち位相γの角度範囲のうち、特に曲線軌道外側案
内部材1によってボール3が掬い上げられる部分を言
う。このように曲線軌道出入口でのボール3の遊び代D
βを小さくしておくと、この部分での遊び,即ちボール
本来の位置からのずれが小さくなり、その前後でボール
3が曲線軌道外側案内部材1や同内側案内部材2や直線
軌道内側案内部材5に衝突する回数が少なくなり、これ
により衝突に伴う騒音を低減できるのである。また、部
品点数を増加することもなく、コストの増加を抑制防止
しながら、容易に騒音を低減することが可能となる。ま
た、特に、各部の遊び代は、曲線軌道外側案内部材1と
曲線軌道内側案内部材2との相対的な位置関係だけで決
まるので、以下の第2実施形態のように例えば直線軌道
外側案内部材6と曲線軌道外側案内部材1との高精度な
位置合わせは必要でなくなり、組立作業の容易化やコス
ト低廉化を図ることが可能となる。なお、前記曲線軌道
内側案内部材2のボール接触面を従来よりも外側に膨ら
ませる形状については、図1の形状に限定されるもので
はなく、例えば、楕円形状やR形状、或いはそれらの複
合形状等、要は曲線軌道出入口部におけるボール3の遊
び代Dβを従来より小さくできるように、曲線軌道内側
案内部材2のボール接触面が従来よりも外側に膨らんで
いればよい。
【0017】以上を別の視点で見たものが図5,図6で
ある。前述した従来例では、直線軌道部の負荷側となる
A区間においては、図5,図6のように遊び代がなく、
前記位相γとなるまでの曲線軌道部のB区間においては
遊び代が極大となり、位相γ以降のC区間においては一
定の遊び代Dαとなり安定したボールの公転軌道とな
る。これに対して、本実施形態では、曲線軌道の出入口
での遊び代を抑えたため、従来例のように極大値を持つ
ことがなく、遊び代がほぼ一様に変化していくため、低
騒音となる。
【0018】次に、本発明の直動案内軸受装置の第2実
施形態について図2を用いて説明する。本実施形態で
は、曲線軌道の中心軸を直線軌道の中心軸より内側にず
らしている。これにより、直線軌道から曲線軌道への乗
り移り点δから位相γとなるまでの間、ボール中心の任
意の位相βにおける曲線軌道出入口でのボールの遊び代
Dβを、前記位相γ以降の曲線軌道での位相αにおける
循環路内の無負荷状態でのボールの遊び代Dαより小さ
くすることができる。そして、このようにすることで、
前記第1実施形態と同様に、曲線軌道出入口でのボール
3の遊び代Dβを従来より小さくすることにより、ボー
ル3が曲線軌道外側案内部材1や同内側案内部材2や直
線軌道内側案内部材5に衝突する回数が少なくなり、衝
突に伴う騒音を低減できるのである。また、部品点数を
増加することもなく、それらの構成部材の加工法もさほ
ど複雑なものでも高精度なものでもないので、コストの
増加を抑制防止しながら、容易に騒音を低減することが
可能となる。また、本実施形態では、前記第1実施形態
よりもボールの掬い上げタング部(前記曲線軌道外側案
内部材1の直線軌道側端部)をより一層直線軌道に近い
位置となすことができ、第1実施形態よりも早期にボー
ルを循環路内に導くことができ、案内部材、即ちレール
5とボール3との衝突を少なくすることができ、第1実
施形態よりもより一層低騒音の効果が得られる。
【0019】次に、本発明の直動案内軸受装置の第3実
施形態について図3を用いて説明する。この実施形態で
は、前記直線軌道内側案内部材5と曲線軌道外側案内部
材1との間の隙間に、薄板板金、ワイヤ等で構成される
中間内側案内部材4を配設し、この中間内側案内部材4
でボール3を掬い上げるようにして曲線軌道外側案内部
材1に導く。即ち、ボール3は直線軌道内側案内部材5
から曲線軌道外側案内部材1に直接乗り移るのではな
く、一旦、中間内側案内部材4に掬い上げられてから
(位相γの位置)曲線軌道外側案内部材1に乗り移る。
従って、この中間内側案内部材4によってボール3の遊
びが拘束されるため、前記直線軌道から曲線軌道への乗
り移り点δから位相γとなるまでの間の位相βにおける
(特にボール3が中間内側案内部材4によって掬い上げ
られる部分)曲線軌道出入口のボールの遊び代Dβを従
来より小さくすることができ、位相γ以降の曲線軌道で
の位相αにおける循環路内の無負荷状態でのボールの遊
び代Dαより小さくすることができる。そして、このよ
うにすることで、前記第1実施形態と同様に、曲線軌道
出入口でのボールの遊び代Dβが従来より小さくなり、
ボール3が曲線軌道外側案内部材1や同内側案内部材2
や直線軌道内側案内部材5に衝突する回数が少なくな
り、衝突に伴う騒音を低減できるのである。また、構成
部材の加工法もさほど複雑なものでも高精度なものでも
ないので、コストの増加を抑制防止しながら、容易に騒
音を低減することが可能となる。また、特に中間内側案
内部材4は、遊び代の調整機能だけでなく、ボールを保
持して脱落を防止する機能も有する。
【0020】以上の3つの実施形態では、ボールを掬い
上げるエンドキャップのタングの形状はタング先端がレ
ールのボール転動溝に入り込む凸型掬い上げ形状となっ
ているが、その掬い上げ形状に限定されるものではな
く、例えばレールのボール転動溝を浅溝として図7のよ
うなエンドキャップでボールを掬い上げる凹型掬い上げ
形状(所謂舟底掬い上げエンドキャップ)としてもよ
い。
【0021】次に、前記各実施形態において曲線軌道出
入口,即ち循環路出入口のボールの遊び代を種々に変更
したときの騒音レベルの違いについて説明する。図4
は、前記循環路出入口近傍の遊び代(図ではクリアラン
ス量)の最大値(或いは極大値)をボール直径(図では
鋼球径)に対する比で表し、それを種々に変更したとき
の騒音レベルを示したものである。一方、標準品の騒音
レベルは約67dBであることから、循環路出入口近傍
の遊び代は、ボール直径に対して約0.5%から約11
%の範囲で騒音低減効果が見られ、特に約1.5%から
約10%の範囲で騒音低減効果が大きい。また、特に遊
び代が極端に小さくなると逆に騒音レベルが大きくなっ
ているが、これは所謂玉詰まりを誘発したために作動性
が低下したのが原因であり、慣例的に用いられる「循環
路内ではある程度の遊びが必要」という評価と一致した
結果となる。
【0022】
【発明の効果】上記の説明から明らかなように、本発明
の直動案内軸受装置によれば、曲線軌道へのボールの入
口又は曲線軌道からのボールの出口の少なくとも何れか
一方でのボールの遊び代を、無負荷状態となる循環路内
でのボールの遊び代より小さくしたため、曲線軌道の出
入口でのボールの遊びが小さくなり、ボールがスムーズ
に安定した軌道をもって循環路内に導かれるため、ボー
ルが周囲の案内部材やレールに衝突する回数が低減し、
騒音が低減されると共に高作動性となる。また、曲線軌
道のボールの出入口の遊び代を小さくするために、新た
な部材を必要とせず、また複雑な加工や高精度な加工を
必要としないので、コストの増加を抑制し、容易に発明
を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の直動案内軸受装置の第1実施形態を示
す曲線軌道出入口部分の断面図である。
【図2】本発明の直動案内軸受装置の第2実施形態を示
す曲線軌道出入口部分の断面図である。
【図3】本発明の直動案内軸受装置の第3実施形態を示
す曲線軌道出入口部分の断面図である。
【図4】曲線軌道出入口部分のボール直径(鋼球径)に
対する遊び代の大きさを評価するための騒音レベルの説
明図である。
【図5】ボール位置とボール直径に対する遊び代の大き
さの説明図である。
【図6】図5のボール位置とボール直径(鋼球径)に対
する遊び代の大きさとの関係を示すグラフである。
【図7】本発明の直動案内軸受装置のその他の実施形態
を示すエンドキャップの斜視図である。
【図8】直動案内軸受装置の全体図である。
【図9】従来の直動案内軸受装置の一例を示す曲線軌道
出入口部分の断面図である。
【符号の説明】
1は曲線軌道外側案内部材 2は曲線軌道内側案内部材 3はボール 4は中間内側案内部材 5は直線軌道内側案内部材 6は直線軌道外側案内部材 Dαは無負荷状態となる循環路内でのボールの遊び代 Dβは曲線軌道出入口でのボールの遊び代
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 伸充 群馬県前橋市鳥羽町78番地 日本精工株式 会社内 (72)発明者 佐藤 亮一 群馬県前橋市鳥羽町78番地 日本精工株式 会社内 (72)発明者 水村 美典 群馬県前橋市鳥羽町78番地 日本精工株式 会社内 (72)発明者 山口 宏樹 群馬県前橋市鳥羽町78番地 日本精工株式 会社内 Fターム(参考) 3J104 AA03 AA23 AA36 AA64 AA69 AA74 AA76 BA32 DA02 EA04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 案内用のボールが案内部材によって規制
    された曲線軌道に沿って移動する部分を有し、ボール
    は、直線軌道から曲線軌道に入り、且つ曲線軌道から直
    線軌道に出てゆくようになっている直動案内軸受装置に
    おいて、前記曲線軌道へのボールの入口又は曲線軌道か
    らのボールの出口の少なくとも何れか一方でのボールの
    遊び代を、無負荷状態となる循環路内でのボールの遊び
    代より小さくしたことを特徴とする直動案内軸受装置。
  2. 【請求項2】 案内用のボールが案内部材によって規制
    された曲線軌道に沿って移動する部分を有し、ボール
    は、直線軌道から曲線軌道に入り、且つ曲線軌道から直
    線軌道に出てゆくようになっている直動案内軸受装置に
    おいて、前記曲線軌道へのボールの入口又は曲線軌道か
    らのボールの出口の少なくとも何れか一方でのボールの
    遊び代を、ボール直径の0.5〜11%としたことを特
    徴とする直動案内軸受装置。
  3. 【請求項3】 案内用のボールが案内部材によって規制
    された曲線軌道に沿って移動する部分を有し、ボール
    は、直線軌道から曲線軌道に入り、且つ曲線軌道から直
    線軌道に出てゆくようになっている直動案内軸受装置に
    おいて、前記曲線軌道へのボールの入口又は曲線軌道か
    らのボールの出口の少なくとも何れか一方でのボールの
    遊び代を、ボール直径の1.5〜10%としたことを特
    徴とする直動案内軸受装置。
JP11123016A 1999-01-22 1999-04-28 直動案内軸受装置 Pending JP2000304045A (ja)

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