JP2000299951A - 回転電気機械の円筒形回転子 - Google Patents

回転電気機械の円筒形回転子

Info

Publication number
JP2000299951A
JP2000299951A JP11104803A JP10480399A JP2000299951A JP 2000299951 A JP2000299951 A JP 2000299951A JP 11104803 A JP11104803 A JP 11104803A JP 10480399 A JP10480399 A JP 10480399A JP 2000299951 A JP2000299951 A JP 2000299951A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
refrigerant gas
rotor
winding
saddle
conductor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11104803A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3736192B2 (ja
Inventor
Tsutomu Yamamoto
勉 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fuji Electric Co Ltd
Original Assignee
Fuji Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Electric Co Ltd filed Critical Fuji Electric Co Ltd
Priority to JP10480399A priority Critical patent/JP3736192B2/ja
Publication of JP2000299951A publication Critical patent/JP2000299951A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3736192B2 publication Critical patent/JP3736192B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Iron Core Of Rotating Electric Machines (AREA)
  • Windings For Motors And Generators (AREA)
  • Motor Or Generator Cooling System (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】回転子巻線の導電体が持つ直線状部の温度上昇
の低減を図った回転電気機械の円筒形回転子を提供す
る。 【解決手段】円筒形回転子1は、従来例に対し、各極毎
の回転子巻線に用いられる全ての鞍形コイル21におい
て、回転子鉄心部82Aの長さ方向の端面82aの最も
近くに形成される冷媒ガスダクト53が、冷媒ガス流9
9Cの流入側の開口を内周部通流路55Xに臨ませて形
成するようにした回転子巻線2を用いる。そうしてこの
発明になる鞍形コイル21を従来例と対比すると、端面
82aの最も近くに形成される冷媒ガスダクト53は、
楔下絶縁層59に面して形成されている鞍形コイル21
の巻回層が持つ貫通孔51aの中心位置と端面82aと
の間の距離Lが、従来例の場合よりも短縮されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、タービン発電機
などの回転電気機械の円筒形回転子に係わり、回転子巻
線の導電体が持つ直線状部の温度上昇の低減に好適なそ
の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】円筒形回転子を持つ回転電気機械は各種
の用途に用いられているが、大容量のものとしてはター
ビン発電機が著名である。以下に、タービン発電機に代
表させて、従来例の回転電気機械の円筒形回転子の説明
を行うことにするが、まずは、一般例の円筒形回転子を
持つ回転電気機械の構成の概要について図6を用いて説
明する。ここで図6は、一般例の回転電気機械の主要部
を模式化して示す縦断面図である。図6において、X−
Xは回転軸部の中心軸線であり、Z−Zは回転子鉄心部
の軸長方向に関する中心線である。
【0003】図6において、9は、円筒形回転子8,固
定子7,冷媒ガス99の通流路を持つケーシング6,軸
流ファン69,69と、図示しない冷却装置とを備えた
円筒形回転子を有する一般例の2極の回転電気機械であ
る。円筒形回転子8の外周面と固定子7の内周面と間に
は空隙部91が介在されている。円筒形回転子8は、回
転軸部81,回転軸部81と一体に構成されて回転軸部
81と同心の円柱状の外形を持つ回転子鉄心部82,2
極機に対応した1対の回転子巻線5および保持体83と
を備え、図示しない軸受部を介して回転自在に支持され
ている。
【0004】回転電気機械9では、両回転子巻線5は断
面が平角形状の導電体(平角銅線)を巻回して形成され
た鞍形コイルの複数個を用いて構成されている。それぞ
れの鞍形コイルは、回転子鉄心部82の外周の円周方向
に沿わせて形成されている図示しない複数の巻線溝に、
互いに同心状となる配置関係で装填されている。回転子
巻線5の各鞍形コイルが巻線溝に収納されている部位に
は、回転軸部81の軸長方向に分布して多数の通気孔8
8が形成されている。回転子巻線5の巻線溝内に収納さ
れないことで回転子鉄心部82の両端面から突き出され
て配置される部位である端部89,89は、円筒状をし
た保持体83によってその外周側が保持され、円筒形回
転子8が回転することで発生される強大な遠心力に対し
て保持されている。
【0005】両軸流ファン69は円筒形回転子8,固定
子7を冷却する冷媒ガス(例えば、空気や水素ガス)9
9を回転電気機械9内に循環させるために設けられ、こ
の事例の場合には、図示のように回転子巻線5の両端部
89の回転軸部81の軸長方向に関する外側の位置のそ
れぞれに配設されている。固定子7は、多数の薄板材製
の鉄心板を積層して形成されて回転軸部81と同心の円
形の内径を持つ固定子鉄心71と、固定子鉄心71に形
成されている図示しない複数の巻線溝に装填された固定
子巻線72とを備える。固定子鉄心71の鉄心板の積層
方向の要所には、冷媒ガス99を通流させるための通風
ダクト73の複数個が形成されている。
【0006】回転電気機械9では、ケーシング6は固定
子鉄心71の外周面に外接させて合計4枚の仕切板が固
定子鉄心71の鉄心板の積層方向に間隔を隔てて配設さ
れ、端部側の仕切板と内側の仕切板とを接続するように
して複数の円筒状の連絡ダクトが配設されている。この
4枚の仕切板により区切られることで、固定子鉄心71
の外周側の空間には鉄心板の積層方向に関する中央部に
中央給気ダクト61が、鉄心板の積層方向の中央部を除
く両端部のそれぞれには排気ダクト62,62が形成さ
れている。またケーシング6の両端部には、それぞれの
軸流ファン69に対応させて吸気ダクト63,63が備
えられている。冷却装置は、円筒形回転子8,固定子7
を冷却することで高温となった冷媒ガス99から熱を除
去する図示しない冷却器を備えている。
【0007】一般例の回転電気機械9は上述のごとくに
構成されているので、それぞれの軸流ファン69で加圧
されたそれぞれの冷媒ガス99の流れは、まず保持体8
3が配置されている付近で大きく3つに分岐される。す
なわち、それぞれの保持体83の外周部を経て両端部か
ら空隙部91に直接流入する冷媒ガス流99Aと、固定
子巻線72の両端部のそれぞれを冷却した後に連絡ダク
トを経て中央給気ダクト61に流入する冷媒ガス流99
Bと、それぞれの回転軸部81の外周面と保持体83と
の間の空間のそれぞれから円筒形回転子8に流入する冷
媒ガス流99Cとである。
【0008】これ等の冷媒ガス流の内の冷媒ガス流99
Cは、回転子巻線5の端部89を強制対流により冷却し
つつ回転子鉄心部82の端部に到り、冷媒ガス流99C
の内の多くの部分はこの端部から巻線溝部に流入し、回
転子巻線5および回転子鉄心部82を強制対流により冷
却した後、通気孔88から空隙部91に順次流入する。
このようにして、空隙部91で合流されたそれぞれの冷
媒ガス99は、排気ダクト62,62に連通している通
風ダクト73中を通流し、固定子鉄心71および固定子
巻線72を冷却しつつ排気ダクト62,62に到る。排
気ダクト62,62に到達した冷媒ガス99は、円筒形
回転子8,固定子7を冷却したので比較的に高温になっ
ているが、この高温の冷媒ガス99は図示しない排気風
胴(前記冷却装置が備える)を経て冷却器に流入して除
熱される。冷却器で除熱されて再び低温に戻った冷媒ガ
ス99は、図示しない吸気風胴(前記冷却装置が備え
る)を経て軸流ファン69に流入される。
【0009】すなわち一般例の回転電気機械9は、冷却
器を介して冷媒ガス99を循環させることで比較的に安
定な運転状態を得ることができているが、この種の回転
電気機械に採用されている円筒形回転子8では、回転子
巻線5の最高温度が端部89に発生し易いので、端部8
9の温度低減に関する検討が種々行われてきている。次
に、このような検討の結果得られた従来例の回転電気機
械の円筒形回転子を図7,図8を用いて説明する。なお
以降の説明では、図6に示した一般例の回転電気機械9
と同一部分には同じ符号を付しその説明を省略する。こ
こで、図7は図6のQ部に対応した部位における従来例
の円筒形回転子の斜視図であり、図8は図6のR部に対
応した部位の図7におけるA−A断面図である。なお、
図7は保持体およびその周辺部を取り除いて回転子巻線
の外周部が露出された状態として図示している。
【0010】図7,図8において、8Aは、回転軸部8
1,回転子鉄心部82A,1対の回転子巻線5A,それ
ぞれ複数のスペーサ54および54A,隔壁体55,仕
切壁体56,外周部絶縁体57,複数の回転子用楔58
および楔下絶縁層59,保持体83とを備えた2極の円
筒形回転子である。円筒形回転子8Aでは、回転子巻線
5Aには、それぞれの磁極毎に断面が平角形状の導電体
(平角銅線)51を用いて複数層巻回された6個の鞍形
コイル52が用いられ、回転子鉄心部82Aに形成され
た異なる巻線溝84に互いに同心状となる配置関係で装
填されている。この鞍形コイル52を構成するそれぞれ
の巻回層は、長さ方向の中央部分で巻線溝84内に装填
される1対の直線状部51Aと、直線状部51Aの長さ
方向の端部の間を接続して配置される1対の円弧状部5
1Bとを組み合わせて形成されている。そうして、回転
子巻線5Aでは、直線状部51Aと円弧状部51Bとは
長尺の平角銅線51を直角状に曲げ加工することで一体
に形成されている。
【0011】直線状部51Aはその長さ方向の中央部分
で巻線溝84に装填され、円弧状部51Bは回転子巻線
5Aの端部89の主要部分を構成している。直線状部5
1Aの長さ方向の中央部分は巻線溝84内に収納される
が、この部位には回転軸部81の軸長方向に沿って多数
の貫通孔51aが形成されており、回転子巻線5Aでは
鞍形コイル52を構成する全ての巻回層が持つ貫通孔5
1aの形成位置は、溝底部通流路84aに近い巻回層ほ
ど冷媒ガス流99Cの流入側に順次ずらすようにしてい
る(図8参照)。すなわち、回転子巻線5Aでは、鞍形
コイル52の巻回層を構成するそれぞれの直線状部51
Aが持つ貫通孔51aにより、冷媒ガス流99Cを鞍形
コイル52の各巻回層を貫通して通流させる冷媒ガスダ
クト53が形成されている。そうしてこの冷媒ガスダク
ト53は、直線状部51Aの中央部分に長さ方向に分布
して複数個が形成されると共に、全ての冷媒ガスダクト
53は、冷媒ガス流99Cが溝底部通流路84aに流入
してくる側に傾斜させて形成されている。なお、巻線溝
84に収納されるそれぞれの鞍形コイル52の外周部に
は、巻線溝84との電気絶縁を確保するための図示しな
い溝絶縁層が形成されている。
【0012】端部89における鞍形コイル52の相互間
にはスペーサ54が、最外位置の鞍形コイル52の外側
面と最内位置の鞍形コイル52の内側面とにはスペーサ
54Aがそれぞれ配置されて、円筒形回転子8Aの加減
速時に発生する加速度などに対応して端部89に働く強
大な応力に対処している。スペーサ54は、電気絶縁材
からなる板状の基板部と、基板部の両側面のそれぞれに
一定の厚さを持たせて形成された電気絶縁材製の複数の
突起部とで構成されている。この突起部は端部89にお
ける鞍形コイル52の側面に沿わせて冷媒ガス99を通
流させる通流路を確保するために設けられている。スペ
ーサ54Aのスペーサ54に対する相異点は、複数の突
起部が基板部の一方の側面のみに備えられていることで
ある。
【0013】スペーサ54,54Aによって端部89に
おける鞍形コイル52を構成する導電体51の側面に
は、冷媒ガス流99Cが通流される通流路が突起部によ
ってジグザグ状とされて形成されることになる。この通
流路を後記する貫通孔55aと関連付けて視察すると、
貫通孔55aから鞍形コイル52の直線状部51Aに沿
って冷媒ガス流99Cが通流する通流路と、貫通孔55
aから鞍形コイル52の円弧状部51Bに沿って冷媒ガ
ス流99Cが通流する通流路として把握することができ
る。
【0014】円筒形回転子8Aでは、それぞれの端部8
9に配置される隔壁体55は、複数の部材を用いて全体
として円筒を構成するようにして電気絶縁材を用いて作
製されており、端部89における鞍形コイル52の内周
側に回転軸部81の外周面との間に空間を隔てて配置さ
れている。隔壁体55には冷媒ガス通流路として、鞍形
コイル52の直線状部51Aと円弧状部51Bとの結合
部位のそれぞれの近傍に、各鞍形コイル52の両側面に
連通する貫通孔55aが、また後記する排気路56Xに
対向する部位に貫通孔55bが、それぞれ形成されてい
る。仕切壁体56は1対が1組になって合計2組が用い
られており、排気路56Xを形成すべき部位を仕切るよ
うにして隔壁体55の内周面に当接されて配置されてい
る。
【0015】両側を仕切壁体56,56で仕切られるこ
とで隔壁体55の内周側に形成される4個の空間の内、
磁極の中間部の直下に位置している2個の空間が、冷媒
ガス流99Cが流入される内周部通流路55Xであり、
また、磁極の中心位置の直下に位置している2個の空間
が排気路56Xである。この排気路56Xは軸流ファン
(例えば、軸流ファン69)側の端部は閉塞され、反軸
流ファン側の端部は後記する排気溝86に連通されてい
る。なお、内周部通流路55Xは軸流ファン側の端部は
開口され、反軸流ファン側の端部は後記する溝底部通流
路84aに連通されている。外周部絶縁体57は電気絶
縁材を用いて円筒状に形成され、端部89における鞍形
コイル52の外周側と保持体83の内周側との間に配置
されている。
【0016】回転子用楔58は、巻線溝84に装填され
た部分の回転子巻線5Aが円筒形回転子8Aが回転する
ことで発生される強大な遠心力によって巻線溝84から
飛び出さないようにするなどのために、それぞれの巻線
溝84の最外周部の付近に装着されている。回転子用楔
58には回転軸部81の軸長方向に沿って多数の貫通孔
58aが形成されており、それぞれの貫通孔58aは楔
下絶縁層59に面して形成されている巻回層が持つ貫通
孔51aに対向させて配設されている。この貫通孔58
aは、中心軸線が回転子鉄心部82Aの円周面に対して
垂直になるようにすることで、その形成が容易になるよ
うに考慮されている。楔下絶縁層59は鞍形コイル52
を回転子用楔58に対して電気絶縁する役目を担ってい
る。楔下絶縁層59にも回転軸部81の軸長方向に沿っ
て多数の貫通孔59aが形成されており、それぞれの貫
通孔59aは楔下絶縁層59に面して形成されている巻
回層が持つ貫通孔51aに対向させるようにして形成さ
れている。
【0017】したがって、冷媒ガスダクト53と貫通孔
58a,59aは冷媒ガス流99Cに関して互いに連通
し合うと共に、溝底部通流路84aに連通されている。
溝底部通流路84aは、各巻線溝84の底部に回転軸部
81の軸長方向に沿って形成されており、溝底部通流路
84aの両端部はそれぞれ内周部通流路55Xに連通し
ている。なお、前述通気孔88は円筒形回転子8Aで
は、冷媒ガスダクト53および貫通孔58a,59aに
よって構成されていることになる。ここで鞍形コイル5
2の直線状部51Aが持つ貫通孔51aによる冷媒ガス
ダクト53,回転子用楔58が持つ貫通孔58aおよび
楔下絶縁層59が持つ貫通孔59aの位置関係をより詳
しく説明する。
【0018】貫通孔59aは楔下絶縁層59に面して形
成されている巻回層が持つ貫通孔51aに対向させると
共に、貫通孔59a内の冷媒ガス流99Cの通流方向が
冷媒ガスダクト53内(したがって貫通孔51a内)の
冷媒ガス流99Cの傾斜した通流方向にほぼ合致するよ
うに形成されている。また、貫通孔58aは楔下絶縁層
59に面して形成されている巻回層が持つ貫通孔51a
に対向させると共に、貫通孔58aの中心位置は貫通孔
59aの中心位置にほぼ合致させて形成されている。
【0019】回転子鉄心部82Aは、一般例の前記回転
子鉄心部82に対して、1対の回転子巻線5A,5Aが
持つ鞍形コイル52に対応した個数と位置とに従う複数
の巻線溝84と、同一のハーフ磁極に属すると共に互い
に隣接する巻線溝84の相互間の部位である複数の歯部
85と、複数の排気溝86とが図示の如くに形成されて
いる。各巻線溝84の底部には前記したように溝底部通
流路84aが形成されている。また、最外,最内位置の
鞍形コイル52が装填される巻線溝84の反歯部85側
を形成する回転子鉄心部82Aの部位,および各歯部8
5のそれぞれの軸長方向の両端部には、排気路85aが
形成されている。
【0020】従来例の円筒形回転子8Aは上述のごとく
に構成されているので、回転子巻線5Aの端部89で
は、スペーサ54,54Aが持つ突起部により冷媒ガス
流99Cの通流路がジグザグ状に形成されることによ
り、冷媒ガス流99Cが鞍形コイル52の側面と十分に
接触できることになり、この部位の鞍形コイル52を効
果的に冷却することができている。また、回転子巻線5
Aが巻線溝84に収納される部分では、鞍形コイル52
の直線状部51Aに形成される冷媒ガスダクト53が冷
媒ガス流99Cの溝底部通流路84aへの流入側に傾斜
されて形成されており、冷媒ガス流99Cに対する曲が
り抵抗の影響が低減されて冷媒ガス流99Cの流量が増
大されるので、この部位の鞍形コイル52も効果的に冷
却することができている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】前述した従来技術によ
る回転電気機械の円筒形回転子8Aでは、回転子巻線5
Aの鞍形コイル52に対する冷却性能の向上をある程度
は達成することが出来ているが、後記する図2に点線で
示すように、多くの場合に回転子巻線5Aの最高温度は
回転子鉄心部82Aの端面82a付近や端部89に発生
している。また、回転子鉄心部82Aに収納されている
部位の導電体51の温度もまだ十分には低下されていな
い。
【0022】一般に電気機械の寿命は巻線の電気絶縁の
ために採用されている電気絶縁材の耐熱寿命特性によっ
て決められるので、回転子巻線5Aの一部の部位の温度
が相対的に高いことは、一部の部位の温度が使用されて
いる電気絶縁材の許容温度を越えないように回転子巻線
5Aの電流密度を設定しなければならないことを意味す
る。このことは、結果として円筒形回転子8Aの、した
がって回転電気機械の体格の大形化を招いたり、また
は、回転電気機械の定格出力の低減を余儀なくされる。
ところで、回転子巻線5Aの最高温度が回転子鉄心部8
2Aの端面82a付近において発生している主な理由
と、回転子鉄心部82Aに収納されている部位の導電体
51の温度が十分には低下されていない主な理由は次記
のとおりである。
【0023】円筒形回転子8Aでは回転子鉄心部82
Aの端面82a付近に位置する回転子巻線5Aが持つ直
線状部51Aに、図8にS部として示すように冷媒ガス
ダクト53から遠く離れている部分が存在する。このS
部にある回転子巻線5Aは冷媒ガスダクト53による十
分な冷却を期待できないため、その冷却は排気路85a
を通流する冷媒ガス流99Cにより主に行われている。
しかしながら、排気路85aを通流する冷媒ガス流99
Cによる回転子巻線5Aの冷却は溝絶縁層を介して行わ
れるので、溝絶縁層が持つ熱抵抗の影響を受けてこの部
位の回転子巻線5Aの冷却効果は相対的に低下してい
る。また、 溝底部通流路84a内を通流する冷媒ガス流99Cの
流量は、冷媒ガス流99Cが冷媒ガスダクト53に順次
分岐されるために、冷媒ガス流99Cの流入部である溝
底部通流路84aの端部で最多であり、回転子鉄心部8
2Aの軸長方向の中心位置(図6の中心線Z−Zの位
置)付近で最少である。したがって溝底部通流路84a
内を通流する冷媒ガス流99Cの流速は、溝底部通流路
84aの端部で最大であり、回転子鉄心部82Aの軸長
方向の中心位置付近で最小になる。ところで、冷媒ガス
ダクト53内を通流する冷媒ガス流99Cに対して溝底
部通流路84aから冷媒ガスダクト53に流れ込む部位
で発生する流体抵抗は、流れ込む部位の冷媒ガス流99
Cの流速が高速であるほど大きくなる。
【0024】このために、冷媒ガスダクト53内を通流
する冷媒ガス流99Cの流量は、図9(従来例の円筒形
回転子の回転子巻線が持つ冷媒ガスダクト中の冷媒ガス
流速の分布状態の測定例を示すグラフ)に示すように、
回転子鉄心部82Aの端面82a付近にある冷媒ガスダ
クト53ほど少なくなる。すなわち、端面82a付近に
位置する回転子巻線5Aは、冷媒ガスダクト53内を通
流する冷媒ガス流99Cの流量の点からも、その冷却効
果が相対的に低いのである。なお、図9では、横軸に回
転子鉄心部の軸長方向に沿う位置の回転子鉄心部中心位
置(図6の中心線Z−Zの位置)からの距離を採り、縦
軸に冷媒ガスダクト中の冷媒ガス流速の相対値を採って
いる。
【0025】さらに、冷媒ガスダクト53中を通流す
る冷媒ガス流99Cの通流状態を発明者らが検討したと
ころ、図10(従来例の円筒形回転子の回転子巻線が持
つ冷媒ガスダクト中の冷媒ガス流の通流状況を説明する
説明図)にW部として示す部位に問題点が見出された。
すなわち、回転子鉄心部82Aの外周面に平行する断面
に関する冷媒ガスダクト53内(図10にV部として示
す)の冷媒ガス流99Cの流速分布は、溝底部通流路8
4a内を通流する冷媒ガス流99Cが持つ回転子鉄心部
82Aの軸長に沿う方向の速度成分の影響を受ける。
【0026】この結果、V部での冷媒ガス流99Cの流
速は、回転子鉄心部82Aの軸長方向の中心位置(図6
の中心線Z−Zの位置)側で相対的に高速流(図10に
太い実線で示す)となり、回転子鉄心部82Aの端面8
2a側で相対的に低速流(図10に点線で示す)とな
る。冷媒ガス流99Cによる導電体(平角銅線)51の
冷却効果を高めるには相対的に高速な冷媒ガス流99C
の高速流を極力利用することが好ましいが、回転子用楔
58に形成される貫通孔58aの冷媒ガスダクト53に
対する位置関係などがこれを阻害している。すなわち貫
通孔58aは、その中心位置を楔下絶縁層59が持つ貫
通孔59aの中心位置にほぼ合致させて形成されている
ので、高速流が貫通孔58aに流入する際に通流方向が
急変される(図10のW部を参照)。
【0027】このために高速流に対する流体抵抗が増大
することで高速流の流速が低減され、結果として冷媒ガ
ス流99Cによる導電体の冷却効果が抑制を受けてい
る。また、それぞれの貫通孔58aは中心軸線が回転子
鉄心部82Aの円周面に対して垂直になるように形成さ
れているので、冷媒ガスダクト53から貫通孔58aに
流入する冷媒ガス流99Cは、全体としてその通流方向
を変更しなければならないので、その曲がり抵抗により
冷媒ガス流99Cの流速が低減され、この原因によって
も冷媒ガス流99Cによる導電体の冷却効果が抑制を受
けている。
【0028】この発明は、前述の従来技術の問題点に鑑
みなされ、その目的は、回転子巻線の導電体が持つ直線
状部の温度上昇の低減を図った回転電気機械の円筒形回
転子を提供することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】この発明では前述の目的
は、 1)複数の巻線溝を持つ円柱状の回転子鉄心部と、導電
体を複数層巻回して形成されてそれぞれが異なる巻線溝
に装填されると共に冷媒ガスによって冷却される複数の
鞍形コイルを有する回転子巻線とを備えた回転電気機械
の円筒形回転子において、冷媒ガスは鞍形コイルの両端
部分の内周側のそれぞれに形成された内周部通流路を経
て巻線溝の底部に回転子鉄心部の長さ方向に沿わせて形
成された溝底部通流路の両端部からそれぞれの巻線溝に
流入し、鞍形コイルは巻線溝に収納される部位に前記導
電体に設けられた貫通孔を用いて全体として斜めに形成
され冷媒ガスを導電体の各層を貫通して通流させる複数
の冷媒ガスダクトを有し、回転子鉄心部の長さ方向の端
面付近に配設される前記冷媒ガスダクトは冷媒ガス流入
側の開口を前記内周部通流路に臨ませて形成すること、
または、 2)複数の巻線溝を持つ円柱状の回転子鉄心部と、導電
体を複数層巻回して形成されてそれぞれが異なる巻線溝
に装填されて最外周部を回転子用楔で保持されると共に
冷媒ガスによって冷却される複数の鞍形コイルを有する
回転子巻線とを備えた回転電気機械の円筒形回転子にお
いて、冷媒ガスは鞍形コイルの両端部分の内周側のそれ
ぞれに形成された内周部通流路を経て巻線溝の底部に回
転子鉄心部の長さ方向に沿わせて形成された溝底部通流
路の両端部からそれぞれの巻線溝に流入し、鞍形コイル
は巻線溝に収納される部位に前記導電体に設けられた貫
通孔を用いて全体として斜めに形成されて冷媒ガスを導
電体の各層を貫通して通流させる複数の冷媒ガスダクト
を有し、回転子用楔はそれぞれの冷媒ガスダクトと対向
する部位に冷媒ガス通流用の貫通孔を有すると共に、こ
の貫通孔はその中心位置を冷媒ガスダクトの回転子用楔
側の開口の中心位置よりも回転子鉄心部の軸長方向の中
心側にずらして形成すること、さらにまたは、 3)複数の巻線溝を持つ円柱状の回転子鉄心部と、導電
体を複数層巻回して形成されてそれぞれが異なる巻線溝
に装填されて最外周部を回転子用楔で保持されると共に
冷媒ガスによって冷却される複数の鞍形コイルを有する
回転子巻線とを備えた回転電気機械の円筒形回転子にお
いて、冷媒ガスは鞍形コイルの両端部分の内周側のそれ
ぞれに形成された内周部通流路を経て巻線溝の底部に回
転子鉄心部の長さ方向に沿わせて形成された溝底部通流
路の両端部からそれぞれの巻線溝に流入し、鞍形コイル
は巻線溝に収納される部位に前記導電体に設けられた貫
通孔を用いて全体として斜めに形成され冷媒ガスを導電
体の各層を貫通して通流させる複数の冷媒ガスダクトを
有し、回転子用楔はそれぞれの冷媒ガスダクトと対向す
る部位に冷媒ガス通流用の貫通孔を有すると共に、この
貫通孔は対向し合う前記冷媒ガスダクトが持つ傾斜方向
と同方向の傾斜を持たせて形成することにより達成され
る。
【0030】
【発明の実施の形態】以下この発明の実施の形態を図面
を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明において
は、図7,図8に示した従来例の回転電気機械の円筒形
回転子と同一部分には同じ符号を付し、その説明を省略
する。また以後の説明に用いる図中には、図7,図8で
付した符号については、極力代表的な符号のみを記すよ
うにしている。図1はこの発明の実施の形態の一例によ
る回転電気機械の円筒形回転子を図8と同様部位に関し
て示す要部の断面図であり、図2はこの発明の実施の形
態の一例の場合の導電体の温度上昇値を従来例の場合と
比較して示すグラフである。
【0031】図1において、1は、図7,図8に示した
従来例による円筒形回転子8Aに対し、回転子巻線5A
に替えて回転子巻線2を用いるようにした円筒形回転子
である。回転子巻線2では各極毎の回転子巻線に用いら
れる全ての鞍形コイル21において、回転子鉄心部82
Aの長さ方向の端面82aの最も近くに形成される冷媒
ガスダクト53が、冷媒ガス流99Cの流入側の開口を
内周部通流路55Xに臨ませて形成するようにしている
ことが従来例による回転子巻線5Aと異なっている。
【0032】すなわち、この発明による鞍形コイル21
を従来例による鞍形コイル52と対比すると、鞍形コイ
ル21では、端面82aの最も近くに形成される冷媒ガ
スダクト53は、楔下絶縁層59に面して形成されてい
る鞍形コイル21の巻回層が持つ貫通孔51aの中心位
置と端面82aとの間の距離Lが、従来例の場合よりも
短縮されている。距離Lを従来例の場合よりも短縮する
ことで、鞍形コイル21では、端面82aの最も近くに
形成される冷媒ガスダクト53の冷媒ガス流99Cの流
入側の開口を、内周部通流路55Xに面して配設するよ
うにしている。このことによって、回転子巻線2では従
来例の円筒形回転子8Aで問題となっていた冷媒ガスダ
クト53から遠く離れている部分(図8のS部)の面積
が大幅に縮小される。
【0033】しかも、この発明の場合の端面82aの最
も近くに形成される冷媒ガスダクト53では、冷媒ガス
流99Cの流入側の開口が内周部通流路55Xに面して
形成されているので、この冷媒ガスダクト53を通流す
る冷媒ガス流99Cの流速は格段に増大される。その理
由は、端面82a付近の内周部通流路55Xを通流する
冷媒ガス流99Cのほぼ全ては溝底部通流路84aに流
れ込むが、回転子鉄心部82Aが持つ構造から冷媒ガス
流99Cに対する通流面積に関して、内周部通流路55
Xが持つ通流面積は全ての溝底部通流路84aが持つ通
流面積の総和よりも広いことにある。回転子巻線2の場
合の端面82aの最も近くに形成される冷媒ガスダクト
53では、この冷媒ガスダクト53に流入する部位の冷
媒ガス流99Cは、内周部通流路55Xを通流する冷媒
ガス流99Cなので、溝底部通流路84aの端部を通流
している冷媒ガス流99Cよりも流速が遅い。
【0034】冷媒ガス流99Cが冷媒ガスダクト53に
流れ込む部位で発生する流体抵抗は、流れ込む部位の冷
媒ガス流99Cの流速が低速であるほど小さくなるの
で、この発明による場合の端面82aの最も近くに形成
される冷媒ガスダクト53では、この冷媒ガスダクト5
3内を通流する冷媒ガス流99Cの流量は、従来例の場
合よりも増大される。したがってこの冷媒ガスダクト5
3では、通流する冷媒ガス流99Cの流速は従来例と対
比して増大される。この結果回転子巻線2では、端面8
2aの最も近くに形成される冷媒ガスダクト53と端面
82aとに挟まれた部分(図8のS部に相当)の面積が
大幅に低減されると共に、この部分にある導電体(平角
銅線)51に対する冷媒ガス流99Cの冷却効果が増大
され、その温度上昇が低下する。
【0035】発明者らがこの発明による円筒形回転子1
が持つ回転子巻線2の導電体(平角銅線51)の温度上
昇値を、従来例の円筒形回転子8Aが持つ回転子巻線5
Aの導電体の温度上昇値と比較して求めた試験結果例を
図2に示す。図2では横軸に導電体長に沿う回転子巻線
(鞍形コイル)位置の回転子鉄心部中心位置(図6の中
心線Z−Zの位置)からの距離を採り、縦軸に回転子巻
線(鞍形コイル)の導電体の温度上昇値を採っている。
また図2では回転子巻線2の導電体の温度上昇値を実線
で、従来例の回転子巻線5Aの導電体の温度上昇値を点
線で示している。図2を視察することにより、回転子鉄
心部82Aの端面82aの付近におけるこの発明による
円筒形回転子1が持つ導電体51の直線状部51Aの温
度上昇値が、従来例の円筒形回転子8Aの場合よりも低
減されていることが確認できる。
【0036】続いて、図3を用いてこの発明の実施の形
態の異なる例による回転電気機械の円筒形回転子を説明
する。ここで図3はこの発明の実施の形態の異なる例に
よる回転電気機械の円筒形回転子を図8と同様部位に関
して示す要部の断面図である。図3において、1Aは、
図7,図8に示した従来例による円筒形回転子8Aに対
して、回転子用楔58に替えて回転子用楔3を用いるよ
うにした円筒形回転子である。回転子用楔3を従来例の
回転子用楔58と対比すると、回転子用楔3では、形成
されるそれぞれの貫通孔58aの中心位置を、楔下絶縁
層59に面して形成されている巻回層が持つ貫通孔51
aの中心位置よりも回転子鉄心部82Aの軸長方向の中
心(図6の中心線Z−Zの位置)側にずらして形成され
ていることのみが異なる。
【0037】すなわち、回転子用楔3に形成されるそれ
ぞれの貫通孔58aの中心位置は、それぞれに対向し合
う冷媒ガスダクト53の回転子用楔3側の開口の中心位
置よりも回転子鉄心部82Aの軸長方向の中心側にずら
されている。そうして円筒形回転子1Aの場合では、回
転子用楔3が持つ貫通孔58aの回転子鉄心部82Aの
軸長方向の中心側の端面位置は、楔下絶縁層59が持つ
貫通孔59aの回転子鉄心部82Aの軸長方向の中心側
の端面位置とほぼ合致させて形成されている。
【0038】図3に示すこの発明の実施の形態の異なる
例による円筒形回転子1Aでは前述の構成としたので、
冷媒ガスダクト53を通流する冷媒ガス流99Cの内の
図10に太い実線で示した高速流は、貫通孔58aにス
ムーズに流入できるようになり、従来例の場合に発生し
ていた通流方向の急変(図10のW部を参照)の問題が
解消される。このことにより、高速流に対する流体抵抗
が低減されることで、導電体51の直線状部51Aの巻
線溝84内に装填される部位に対する冷媒ガス流99C
による冷却効果が従来例と対比して増大され、この部位
の導電体51の直線状部51Aの温度上昇を低減でき
る。
【0039】次に、図4を用いてこの発明の実施の形態
の異なる例による回転電気機械の円筒形回転子を説明す
る。ここで図4はこの発明の実施の形態の異なる例によ
る回転電気機械の円筒形回転子を図8と同様部位に関し
て示す要部の断面図である。図4において、1Bは、図
7,図8に示した従来例による円筒形回転子8Aに対し
て、貫通孔58aが形成されている回転子用楔58に替
えて、貫通孔3aを形成するようにした回転子用楔3A
を用いるようにした円筒形回転子である。
【0040】回転子用楔3Aに形成される貫通孔3aを
従来例による貫通孔58aと対比すると、貫通孔58a
がその中心軸線を回転子鉄心部82Aの円周面に対して
垂直になるようにして形成されているのに対して、貫通
孔3aは、冷媒ガスダクト53が持つ冷媒ガス流99C
用通流路の傾斜方向と同方向で、しかもほぼ同等の傾斜
角度を持つように形成されている。なお、貫通孔3aの
楔下絶縁層59に接する側の中心位置は、貫通孔58a
の場合と同様に楔下絶縁層59が持つ貫通孔59aの中
心位置にほぼ合致させている。
【0041】図4に示すこの発明の実施の形態の異なる
例による円筒形回転子1Bでは前述の構成としたので、
冷媒ガスダクト53から貫通孔3aに流入する冷媒ガス
流99Cの全体の流れは、冷媒ガスダクト53内を通流
する場合の通流方向をほぼ維持したままで貫通孔3a内
を通流できる。したがって円筒形回転子1Bでは、従来
例の場合に発生していた冷媒ガスダクト53から貫通孔
58aに流入する冷媒ガス流99Cが全体として通流方
向の変更を受けることによる曲がり抵抗の問題が解消さ
れる。このことにより、この部位の冷媒ガス流99Cに
対する流体抵抗が低減されることで、導電体51の直線
状部51Aの巻線溝84内に装填される部位に対する冷
媒ガス流99Cによる冷却効果が従来例と対比して増大
され、この部位の導電体51の直線状部51Aの温度上
昇を低減できる。
【0042】最後に、図5を用いてこの発明の実施の形
態のさらに異なる例による回転電気機械の円筒形回転子
を説明する。なお、以下の説明においては、図1〜図4
に示したこの発明による回転電気機械の円筒形回転子と
同一部分には同じ符号を付し、その説明を省略する。こ
こで図5はこの発明の実施の形態のさらに異なる例によ
る回転電気機械の円筒形回転子を図8と同様部位に関し
て示す要部の断面図である。図5において、4は、図
7,図8に示した従来例による円筒形回転子8Aに対し
て、回転子巻線5Aおよび回転子用楔58に替えて、そ
れぞれ回転子巻線2および回転子用楔41を用いるよう
にした円筒形回転子である。
【0043】回転子用楔41を図4に示したこの発明に
よる円筒形回転子1Bが持つ回転子用楔3Aと対比する
と、回転子用楔41では、形成されるそれぞれの貫通孔
3aの楔下絶縁層59に接する側の中心位置を、楔下絶
縁層59に面して形成されている巻回層が持つ貫通孔5
1aの中心位置よりも回転子鉄心部82Aの軸長方向の
中心側にずらして形成されていることのみが異なる。そ
うして円筒形回転子4の場合では、回転子用楔41が持
つ貫通孔3aの楔下絶縁層59に接する側で回転子鉄心
部82Aの軸長方向の中心側の端面位置は、楔下絶縁層
59が持つ貫通孔59aの回転子鉄心部82Aの軸長方
向の中心側の端面位置とほぼ合致させて形成されてい
る。
【0044】図5に示すこの発明の実施の形態のさらに
異なる例による円筒形回転子4では前述の構成としたの
で、円筒形回転子4が持つ作用・効果は、図1〜図4を
用いて説明したこの発明による円筒形回転子1,円筒形
回転子1Aおよび円筒形回転子1Bがそれぞれに持つ作
用・効果を総合して持つことになる。このため円筒形回
転子4が持つ作用・効果の説明は重複を避けて省略する
が、円筒形回転子4の場合には、回転子鉄心部82Aの
端面82a付近および巻線溝84に収納される部位の導
電体51の直線状部51Aの温度上昇を従来例に対して
同時に低減することができる。
【0045】
【発明の効果】この発明による回転電気機械の円筒形回
転子では、前記課題を解決するための手段の項で述べた
構成とすることで、次記する効果が得られる。 前記課題を解決するための手段の項の第(1)項によ
る構成とすることで、図2に例示したように、回転子巻
線の回転子鉄心部の端面付近の導電体の直線状部の温度
上昇値を低減することが可能になり、またこのことによ
って、円筒形回転子の許容電流を増加することがができ
て許容出力の増大が可能になる。また、 前記課題を解決するための手段の項の第(2)項によ
る構成とすることで、回転子巻線の巻線溝に収納される
部位の導電体に対する冷媒ガス流の冷却効果が増大され
ることで、この部位の導電体の直線状部の温度上昇値の
低減が可能になる。さらにまた、 前記課題を解決するための手段の項の第(3)項によ
る構成とすることで、この場合にも回転子巻線の巻線溝
に収納される部位の導電体の直線状部に対する冷媒ガス
流の冷却効果が増大されることで、この部位の導電体の
直線状部の温度上昇値の低減が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態の一例による回転電気機
械の円筒形回転子を図8と同様部位に関して示す要部の
断面図
【図2】この発明の実施の形態の一例の場合の導電体の
温度上昇値を従来例の場合と比較して示す図
【図3】この発明の実施の形態の異なる例による回転電
気機械の円筒形回転子を図8と同様部位に関して示す要
部の断面図
【図4】この発明の実施の形態の異なる例による回転電
気機械の円筒形回転子を図8と同様部位に関して示す要
部の断面図
【図5】この発明の実施の形態のさらに異なる例による
回転電気機械の円筒形回転子を図8と同様部位に関して
示す要部の断面図
【図6】一般例の回転電気機械の主要部を模式化して示
す縦断面図
【図7】図6のQ部に対応した部位における従来例の円
筒形回転子の斜視図
【図8】図6のR部に対応した部位の図7におけるA−
A断面図
【図9】従来例の円筒形回転子の回転子巻線が持つ冷媒
ガスダクト中の冷媒ガス流速の分布状態の測定例を示す
グラフ
【図10】従来例の円筒形回転子の回転子巻線が持つ冷
媒ガスダクト中の冷媒ガス流の通流状況を説明する説明
【符号の説明】
1 円筒形回転子 2 回転子巻線 21 鞍形コイル 51a 貫通孔 53 冷媒ガスダクト 55X 内周部通流路 59 楔下絶縁層59 82A 回転子鉄心部 82a 端面 99C 冷媒ガス流
フロントページの続き Fターム(参考) 5H002 AA10 AB01 AD05 AD06 AE06 5H603 AA11 BB02 BB05 BB12 CA02 CA04 CB03 CB17 CB18 CC03 CC17 CD22 CD33 CE05 CE13 EE12 EE25 5H609 BB01 BB19 BB24 PP02 PP05 PP06 PP07 PP08 PP09 PP10 QQ03 QQ10 QQ16 QQ18 RR02 RR21 RR36

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の巻線溝を持つ円柱状の回転子鉄心部
    と、導電体を複数層巻回して形成されてそれぞれが異な
    る巻線溝に装填されると共に冷媒ガスによって冷却され
    る複数の鞍形コイルを有する回転子巻線とを備えた回転
    電気機械の円筒形回転子において、 冷媒ガスは鞍形コイルの両端部分の内周側のそれぞれに
    形成された内周部通流路を経て巻線溝の底部に回転子鉄
    心部の長さ方向に沿わせて形成された溝底部通流路の両
    端部からそれぞれの巻線溝に流入し、鞍形コイルは巻線
    溝に収納される部位に前記導電体に設けられた貫通孔を
    用いて全体として斜めに形成され冷媒ガスを導電体の各
    層を貫通して通流させる複数の冷媒ガスダクトを有し、
    回転子鉄心部の長さ方向の端面付近に配設される前記冷
    媒ガスダクトは冷媒ガス流入側の開口を前記内周部通流
    路に臨ませて形成することを特徴とする回転電気機械の
    円筒形回転子。
  2. 【請求項2】複数の巻線溝を持つ円柱状の回転子鉄心部
    と、導電体を複数層巻回して形成されてそれぞれが異な
    る巻線溝に装填されて最外周部を回転子用楔で保持され
    ると共に冷媒ガスによって冷却される複数の鞍形コイル
    を有する回転子巻線とを備えた回転電気機械の円筒形回
    転子において、 冷媒ガスは鞍形コイルの両端部分の内周側のそれぞれに
    形成された内周部通流路を経て巻線溝の底部に回転子鉄
    心部の長さ方向に沿わせて形成された溝底部通流路の両
    端部からそれぞれの巻線溝に流入し、鞍形コイルは巻線
    溝に収納される部位に前記導電体に設けられた貫通孔を
    用いて全体として斜めに形成されて冷媒ガスを導電体の
    各層を貫通して通流させる複数の冷媒ガスダクトを有
    し、回転子用楔はそれぞれの冷媒ガスダクトと対向する
    部位に冷媒ガス通流用の貫通孔を有すると共に、この貫
    通孔はその中心位置を冷媒ガスダクトの回転子用楔側の
    開口の中心位置よりも回転子鉄心部の軸長方向の中心側
    にずらして形成することを特徴とする回転電気機械の円
    筒形回転子。
  3. 【請求項3】複数の巻線溝を持つ円柱状の回転子鉄心部
    と、導電体を複数層巻回して形成されてそれぞれが異な
    る巻線溝に装填されて最外周部を回転子用楔で保持され
    ると共に冷媒ガスによって冷却される複数の鞍形コイル
    を有する回転子巻線とを備えた回転電気機械の円筒形回
    転子において、 冷媒ガスは鞍形コイルの両端部分の内周側のそれぞれに
    形成された内周部通流路を経て巻線溝の底部に回転子鉄
    心部の長さ方向に沿わせて形成された溝底部通流路の両
    端部からそれぞれの巻線溝に流入し、鞍形コイルは巻線
    溝に収納される部位に前記導電体に設けられた貫通孔を
    用いて全体として斜めに形成されて冷媒ガスを導電体の
    各層を貫通して通流させる複数の冷媒ガスダクトを有
    し、回転子用楔はそれぞれの冷媒ガスダクトと対向する
    部位に冷媒ガス通流用の貫通孔を有すると共に、この貫
    通孔は対向し合う前記冷媒ガスダクトが持つ傾斜方向と
    同方向の傾斜を持たせて形成することを特徴とする回転
    電気機械の円筒形回転子。
JP10480399A 1999-04-13 1999-04-13 回転電気機械の円筒形回転子 Expired - Lifetime JP3736192B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10480399A JP3736192B2 (ja) 1999-04-13 1999-04-13 回転電気機械の円筒形回転子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10480399A JP3736192B2 (ja) 1999-04-13 1999-04-13 回転電気機械の円筒形回転子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000299951A true JP2000299951A (ja) 2000-10-24
JP3736192B2 JP3736192B2 (ja) 2006-01-18

Family

ID=14390602

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10480399A Expired - Lifetime JP3736192B2 (ja) 1999-04-13 1999-04-13 回転電気機械の円筒形回転子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3736192B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002071578A1 (en) * 2001-03-07 2002-09-12 Hitachi, Ltd. Dynamo-electric machine
WO2007094018A1 (en) * 2006-02-17 2007-08-23 Ansaldo Energia S.P.A. Ventilated rotor of a high-power turbogenerator for the production of electricity
US7294943B2 (en) 2001-03-07 2007-11-13 Hitachi, Ltd. Electric rotating machine
WO2011014994A1 (zh) * 2009-08-05 2011-02-10 Zhe Huinan 一种永磁同步电动机
JP2018191386A (ja) * 2017-04-28 2018-11-29 株式会社東芝 回転電機の回転子
US11901774B2 (en) 2020-03-17 2024-02-13 Kabushiki Kaisha Toshiba Rotor with coil airflow paths

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002071578A1 (en) * 2001-03-07 2002-09-12 Hitachi, Ltd. Dynamo-electric machine
WO2002071577A1 (fr) * 2001-03-07 2002-09-12 Hitachi, Ltd. Machine electrique rotative
US7071586B2 (en) 2001-03-07 2006-07-04 Hitachi, Ltd. Dynamo-electric machine
US7294943B2 (en) 2001-03-07 2007-11-13 Hitachi, Ltd. Electric rotating machine
WO2007094018A1 (en) * 2006-02-17 2007-08-23 Ansaldo Energia S.P.A. Ventilated rotor of a high-power turbogenerator for the production of electricity
US8040002B2 (en) 2006-02-17 2011-10-18 Ansaldo Energia S.P.A. Ventilated rotor of high-power turbogenerator for production of electricity
WO2011014994A1 (zh) * 2009-08-05 2011-02-10 Zhe Huinan 一种永磁同步电动机
JP2018191386A (ja) * 2017-04-28 2018-11-29 株式会社東芝 回転電機の回転子
US11901774B2 (en) 2020-03-17 2024-02-13 Kabushiki Kaisha Toshiba Rotor with coil airflow paths

Also Published As

Publication number Publication date
JP3736192B2 (ja) 2006-01-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5016843B2 (ja) 回転電機の回転子
JP3833262B2 (ja) 電機の回転子巻線
JP2001086679A (ja) 回転電機
JP3721361B2 (ja) 発電機コイル端の冷却の向上
JPS6329501B2 (ja)
JP2010104225A (ja) 電動機械ロータの伝熱強化
JP4797559B2 (ja) 回転電機の回転子
JP6337356B2 (ja) 冷却流路を有するロータアセンブリ
JP3736192B2 (ja) 回転電気機械の円筒形回転子
JP3707250B2 (ja) 回転電気機械の円筒形回転子
JPH07213000A (ja) 回転電機の回転子巻線頭部冷却構造
JP3791146B2 (ja) 回転電気機械の円筒形回転子
US6870299B1 (en) Thermal management of rotor endwinding coils
JP3735545B2 (ja) 回転電機
JP2000350395A (ja) 回転電気機械の円筒形回転子
JP2000316245A (ja) 回転電気機械の円筒形回転子
JP5239449B2 (ja) 回転電機の円筒形回転子
JP2000078781A (ja) 電気機械の固定子鉄心
JP3590849B2 (ja) 回転電機回転子
JP3656381B2 (ja) 回転電気機械の円筒形回転子
JP2000308293A (ja) 回転電機
CN114421679B (zh) 一种凸极同步电机磁极绕组的冷却结构
JP2001231193A (ja) 回転電機
JP3605038B2 (ja) タービン発電機
JPH1094220A (ja) 回転電機における固定子巻線の冷却装置

Legal Events

Date Code Title Description
A625 Written request for application examination (by other person)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A625

Effective date: 20040216

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050629

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050705

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20051004

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20051017

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091104

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091104

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101104

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111104

Year of fee payment: 6

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111104

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111104

Year of fee payment: 6

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111104

Year of fee payment: 6

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121104

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131104

Year of fee payment: 8

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term