JP2000297313A - フェロマンガン製造時の副成スラグの再利用方法 - Google Patents

フェロマンガン製造時の副成スラグの再利用方法

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Masanobu Nakamura
正信 中村
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Kobe Steel Ltd
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  • Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 フェロマンガン製造時に副成するスラグにつ
いて、再利用されずに埋立処理などの廃棄処理されるス
ラグを減らすこと。 【解決手段】 電気炉または転炉にマンガン鉱石などの
マンガン酸化物、固体炭素物質および造滓材を装入し溶
融還元精錬によるフェロマンガンを製造する際に副成す
るスラグを再利用する方法であって、転炉で溶銑を鋼に
精錬する際に、前記副成スラグを精錬用副原料およびマ
ンガン源として用いること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、再利用されずに埋
立処理などの廃棄処理されるスラグ量の低減を図るべ
く、溶融還元精錬によるフェロマンガンを製造する際に
副成するスラグを、溶銑の転炉精錬における副原料およ
びマンガン源として用いるようにした、フェロマンガン
製造時の副成スラグの再利用方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】フェ
ロマンガンは、電気炉あるいは転炉において、マンガン
鉱石などのマンガン酸化物を石炭,コークス等の固体炭
素物質(熱源および還元材として機能するもの)、およ
び造滓材とともに加熱,溶融,還元して製造される。こ
の溶融還元精錬によるフェロマンガンの製造時に副成す
るスラグ(以下、フェロマンガン製造副成スラグとい
う)は、質量%で、T.Mn:10〜50%、Si
2 :10〜50%、CaO:10〜40%、MgO:
1〜10%、Al2 3 :5〜15%、という化学組成
を有している。そして、該スラグについては、従来、そ
の多くが埋立処理などの廃棄処理されており、一部につ
いて例えば次のように再利用・再使用されている。
【0003】レンガの着色剤として再利用されている
ものの、需要が少なく再利用される量は極めて少ない。
フェロマンガン製造時にマンガン源として再使用す
る。すなわち、スラグ中に残留しているマンガン成分を
できる限り利用すべく、フェロマンガンを製造する際
に、還元剤としても機能する固体炭素物質、あるいはS
i,Al,Ca等の還元力の強い元素を多く含む合金鉄
とともに、再使用すべく溶融させたフェロマンガン製造
副成スラグを添加することが行われている。また、ス
ラグ中に含まれているCaO,MgO成分を活用するた
め、高炉に装入する焼結鉱をつくるための焼結原料に混
ぜて再利用されている。
【0004】しかし前記の従来技術では、再使用され
るフェロマンガン製造副成スラグは、マンガン源として
活用されているものの、CaO,Al2 3 ,MgOな
どの他の成分については活用されていない。また、併用
される還元剤が酸化することによりスラグ発生量自体は
再使用の前後でほとんど変化せず、埋立処理などの廃棄
処理されるスラグ量の低減につながっていない。
【0005】また、前記の従来技術では、フェロマン
ガン製造副成スラグのCaOおよびMgO成分は活用さ
れているものの、該スラグはAl2 3 の濃度が10%
程度と高いことから、これを希釈するために焼結原料に
あらたに余分に低Al2 3濃度の原料を配合する必要
があり、このため高炉スラグ発生量が増えてしまうとい
う不具合がある。なお、焼結原料のAl2 3 の濃度が
低いことが求められる理由は、高炉スラグ中のAl2
3 濃度が高いと該スラグの粘性が高く、これによって高
炉内通気性や排滓性が悪くなって高炉操業に悪影響をも
たらすので、これを回避するためである。
【0006】さらに、この前記の従来技術では、フェ
ロマンガン製造副成スラグのマンガン酸化物の濃度が高
いことから、還元性雰囲気である高炉内で該マンガン酸
化物がMnに還元される際に吸熱反応が生じ、熱効率の
低下を招く。このように、焼結原料として不必要なAl
2 3 などの成分を高濃度に含有していることから、フ
ェロマンガン製造時の副成スラグをコストアップを伴っ
て焼結原料として再利用していることになる。
【0007】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであって、溶融還元精錬によるフェロマンガンの
製造時に副成するスラグを、溶銑の転炉精錬における副
原料およびマンガン源として用いることにより有効に再
利用することができるようにした、フェロマンガン製造
時の副成スラグの再利用方法を提供することを目的とす
るものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、請求項1の発明は、電気炉または転炉にマンガン
鉱石などのマンガン酸化物、固体炭素物質および造滓材
を装入し溶融還元精錬によるフェロマンガンを製造する
際に副成するスラグを再利用する方法であって、転炉で
溶銑を鋼に精錬する際に、前記副成スラグを精錬用副原
料およびマンガン源として用いることを特徴する、フェ
ロマンガン製造時の副成スラグの再利用方法である。
【0009】請求項2の発明は、前記請求項1記載のフ
ェロマンガン製造時の副成スラグの再利用方法におい
て、前記転炉で溶銑を鋼に精錬する際に前記副成スラグ
を吹練開始前もしくは吹練途中に溶湯上に添加するこ
と、又は溶銑装入前に前記転炉に入れ置きすることを特
徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】このような特徴を有する本発明に
ついて説明する。フェロマンガン製造副成スラグは、マ
ンガン成分を10〜50%程度と多く含有し、転炉精錬
におけるマンガンの供給源となり得、従来に比べて、転
炉内に添加するマンガン鉱石の使用量を減らしたり、転
炉出鋼時に取鍋内へ添加するフェロマンガン,シリコマ
ンガン,金属マンガンなどのマンガン添加目的の合金鉄
の使用量を減らしたりすることができる。また、フェロ
マンガン製造副成スラグは、SiO2 を10〜50%程
度と多く含有し、転炉精錬におけるSiO2 の供給源と
なり得、従来に比べて、転炉スラグの塩基度調整の目的
で添加するろう石,珪石,蛇紋岩などのSiO2源とな
る精錬用副原料(造滓材)の使用量を減らすことができ
る。
【0011】また、フェロマンガン製造副成スラグは、
CaOを10〜40%程度と多く含有し、転炉精錬にお
けるCaOの供給源となり得、従来に比べて、転炉スラ
グの塩基度調整の目的で添加する焼石灰,石灰石,軽焼
ドロマイト,生ドロマイトなどのCaO源となる精錬用
副原料の使用量を減らすことができる。さらに、フェロ
マンガン製造副成スラグは、MgOを1〜10%程度含
有し、転炉精錬におけるMgOの供給源となり得、従来
に比べて、転炉内耐火物の溶出抑制の目的で添加する軽
焼ドロマイト,生ドロマイト,蛇紋岩などのMgO源と
なる精錬用副原料の使用量を減らすことができる。
【0012】フェロマンガン製造副成スラグは、融点が
1300℃程度と例えば珪石単独の場合に比べて相当に
低く、一度溶融されたプリメルト品であるため、転炉に
添加されると短時間で容易に溶融する。また、Al2
3 成分は転炉スラグの融点を下げる働きをする。さら
に、マンガン酸化物成分および含有金属マンガン分が酸
化されて生成するMnOによっても転炉スラグの融点が
下がる。このため、フェロマンガン製造副成スラグは、
転炉内へ添加された焼石灰などの造滓材の滓化を促進さ
せる効果がある。その結果、滓化促進の目的で使用する
蛍石の使用量を従来に比べて減らすことができる。これ
はまた、環境保全上問題のあるフッ素を多く含む蛍石の
使用量を減らす点からも有用である。
【0013】このように、フェロマンガン製造副成スラ
グは、転炉で溶銑を精錬する際に精錬用副原料およびマ
ンガン源として有効に再利用することができる。この結
果、再利用されずに埋立処理などの廃棄処理されるフェ
ロマンガン製造副成スラグを従来に比べて大幅に減らす
ことができ、環境保全に寄与できる。また、転炉精錬で
の副原料の溶融に必要な熱エネルギーが従来に比べて少
なくすむ。
【0014】本発明の実施にあたり、製鋼用転炉として
は還元性能に優れた上底吹き型転炉が望ましい。さて、
溶銑はそのまま転炉で精錬する場合と、溶銑段階で脱珪
・脱リン処理を行ってから転炉で精錬する場合がある。
本発明の方法は、後者の脱珪・脱リン処理が行われた予
備処理銑の精錬に適用する方がより効果が大きい。すな
わち、予備処理銑はSi濃度が低くこれに起因して転炉
での精錬時に発生するSiO2 が低いので、転炉で脱リ
ン目的で投入される焼石灰などの造滓材が滓化しにくい
ため、塩基度調整目的でろう石などのSiO2 源を多く
必要とするとともに、滓化促進の目的で蛍石を多く必要
とする。これに対して本発明の方法では、先に述べたよ
うにSiO2 を多く含有するとともに滓化促進効果を持
つフェロマンガン製造副成スラグを用いるようにしてい
るので、SiO2 源や蛍石の使用量の低減効果がより発
揮される。また、発生する転炉スラグ量が未処理溶銑に
比べて少ない予備処理銑に適用する方が、マンガンの歩
留りの点においても効果的である。また、熱エネルギー
については、製鉄所内の合金鉄工場でのフェロマンガン
製造副成スラグを熱間状態で転炉に装入するようにすれ
ば、熱エネルギーがより有効に活用できる。
【0015】本発明では、転炉で溶銑を精錬するに際
し、フェロマンガン製造副成スラグを吹練開始前もしく
は吹練途中に溶湯上に添加しても、又は溶銑装入前に転
炉に入れ置きしても差し支えない。
【0016】
【実施例】転炉容量240トンの上底吹き型転炉におい
て、普通鋼を溶製すべく該転炉に主原料として溶銑とス
クラップを装入し、表1に示すように精錬用副原料とと
もにフェロマンガン製造副成スラグを投入して吹練を行
った。精錬終了後の出鋼時とその後の溶鋼処理段階とに
おいて成分調整のために取鍋内溶鋼にフェロマンガンを
添加した。
【0017】本実施例1〜5で使用したフェロマンガン
製造副成スラグの化学成分は、質量%で、SiO2 :2
5%、CaO:23%、MgO:3%、Al2 3 :1
1%、T.Mn:23%、である。実施例1〜5および
比較例1における溶銑は脱珪・脱リン処理がなされた予
備処理銑であり、その化学成分は、質量%で、Si:
0.3%、P:0.030%、Mn:0.30%、であ
る。また、実施例1〜5では、フェロマンガン製造副成
スラグは吹練途中に溶湯上に添加した。製品について
は、質量%で、Pの上限値:0.015%、Cの目標
値:0.30〜0.60%、Mnの目標値:0.50%
である。
【0018】フェロマンガン製造副成スラグは、マンガ
ン源としての役割を担うとともに、SiO2 源、CaO
源及びMgO源としての役割を担い、さらに滓化促進の
効果を持っており、フェロマンガン製造副成スラグを用
いた実施例1〜5では、該副成スラグを使用しない比較
例1に比べて、ろう石(SiO2 源)、焼石灰(CaO
源)、軽焼ドロマイト(MgO源)および滓化促進用の
蛍石の使用量を減らして吹練を行った。そして、出鋼時
および溶鋼処理段階で取鍋内溶鋼にフェロマンガンを添
加し、製品規定値に合わせて成分調整を行った。結果を
表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】表1に示すように、実施例1〜5による
と、比較例1と同様に、吹止時のP濃度が規格上限値
0.015%以下を満足する脱リンを行うことができ
た。また、吹止時のMn濃度は該副成スラグを使用する
ことで比較例1に比べ高くなり、成分調整のために精錬
終了後取鍋溶鋼に添加したフェロマンガンの使用量を比
較例1よりも減らすことができた。
【0021】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の方法による
と、溶融還元精錬によるフェロマンガンの製造時に副成
するスラグを、製鋼用転炉で溶銑を精錬する際に精錬用
副原料およびマンガン源として有効に再利用することが
でき、これにより精錬用副原料コストを下げることがで
きるとともに、フェロマンガン製造時に副成するスラグ
について、再利用されずに埋立処理などの廃棄処理され
るスラグ量を従来に比べて大幅に減らすことができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気炉または転炉にマンガン鉱石などの
    マンガン酸化物、固体炭素物質および造滓材を装入し溶
    融還元精錬によるフェロマンガンを製造する際に副成す
    るスラグを再利用する方法であって、転炉で溶銑を鋼に
    精錬する際に前記副成スラグを精錬用副原料およびマン
    ガン源として用いることを特徴とする、フェロマンガン
    製造時の副成スラグの再利用方法。
  2. 【請求項2】 前記転炉で溶銑を鋼に精錬する際に前記
    副成スラグを吹練開始前もしくは吹練途中に溶湯上に添
    加すること、又は溶銑装入前に前記転炉に入れ置きする
    ことを特徴とする請求項1記載のフェロマンガン製造時
    の副成スラグの再利用方法。
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