JP2000297148A - ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

ポリカーボネートの製造方法

Info

Publication number
JP2000297148A
JP2000297148A JP11106307A JP10630799A JP2000297148A JP 2000297148 A JP2000297148 A JP 2000297148A JP 11106307 A JP11106307 A JP 11106307A JP 10630799 A JP10630799 A JP 10630799A JP 2000297148 A JP2000297148 A JP 2000297148A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oligocarbonate
reaction
compound
polycarbonate
catalyst
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11106307A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4081519B2 (ja
Inventor
Goyaru Minakushi
ゴヤル ミナクシ
Hirotoshi Ishii
宏寿 石井
Mitsuru Ueda
充 上田
Kazuhiko Takeuchi
和彦 竹内
Michihiko Asai
道彦 浅井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Chemical Innovation Institute
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology AIST
Original Assignee
Agency of Industrial Science and Technology
Japan Chemical Innovation Institute
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Agency of Industrial Science and Technology, Japan Chemical Innovation Institute filed Critical Agency of Industrial Science and Technology
Priority to JP10630799A priority Critical patent/JP4081519B2/ja
Publication of JP2000297148A publication Critical patent/JP2000297148A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4081519B2 publication Critical patent/JP4081519B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリカーボネートを、芳香族二価ヒドロ
キシ化合物から効率良く製造する方法を提供すること。 【解決手段】 (a)パラジウム化合物と(b)金属レ
ドックス触媒と(c)ハロゲン化オニウム化合物とから
なる触媒系に(d)有機レドックス触媒及び(e)脱水
剤を添加した触媒系の存在下で、芳香族二価ヒドロキシ
化合物(但し、ハイドロキノンを除く)と、一酸化炭素
及び酸素を、酸化的カルボニル化反応させてオリゴカー
ボネートを製造し、該オリゴカーボネートをエステル交
換反応により高分子量化するポリカーボネートの製造方
法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリカーボネート
の製造方法に関し、詳しくは電気・電子分野、自動車分
野、光学部品分野及び構造材料分野等における樹脂材料
等として有用なポリカーボネートを、芳香族二価ヒドロ
キシ化合物から効率良く製造する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネートの製造法としては、一
般に、ビスフェノールAなどの芳香族二価ヒドロキシ化
合物とホスゲンとを直接反応させる方法(界面法)、あ
るいはビスフェノールA等の芳香族二価ヒドロキシ化合
物とジフェニルカーボネート等の炭酸ジエステルとをエ
ステル交換反応させる方法(エステル交換法)などが知
られている。しかし、界面法は、有毒なホスゲンを用い
なければならないこと、副生する塩化水素や塩化ナトリ
ウムなどの含塩素化合物によって製造装置が腐蝕するこ
となどの問題がある。また、従来のエステル交換法で
は、複雑な工程で原料の炭酸ジエステルを製造しなけれ
ばならず、原料製造工程や副生物のリサイクル工程等を
含めた製造工程全体としては、経済的とはいえないなど
の問題があった。このような背景から、より簡便なポリ
カーボネートの製造が求められている。このようなポリ
カーボネートの一般的な製造方法としては、例えば、塩
基及びセレン化合物の存在下に、芳香族二価ヒドロキシ
化合物と一酸化炭素とを反応させるポリカーボネートの
製造法(特開昭55−92731号公報)が提案されて
いるが、セレンは猛毒である上、この反応は量論反応で
あるため大量のセレンが必要となるなどの問題がある。
また、パラジウム/レドックス剤/ハロゲン化オニウム
触媒系(例えば特開昭53−68744号公報など)を
用いる酸化的カルボニル化反応により、芳香族二価ヒド
ロキシ化合物と一酸化炭素からポリカーボネートを製造
した場合、反応速度が不十分であること等が原因とな
り、重合度の低いポリカーボネートしか得られないとい
う問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来のエステル交換反応等によるポリカーボネート製造
法が有する問題点を解消し、高品質のポリカーボネート
を、簡便な方法で効率良く製造する方法を提供すること
を目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の状況
に鑑み、従来技術の問題点を解消し、かつ芳香族二価ヒ
ドロキシ化合物から、高品質のポリカーボネートを簡便
な方法で効率良く製造する方法を開発すべく鋭意研究を
重ねた。その結果、(a)パラジウム化合物と(b)金
属レドックス触媒と(c)ハロゲン化オニウム化合物と
からなる触媒系に(d)有機レドックス触媒及び(e)
脱水剤を添加した触媒系の存在下で、芳香族二価ヒドロ
キシ化合物(但し、ハイドロキノンを除く)と、一酸化
炭素及び酸素を、酸化的カルボニル化反応させてオリゴ
カーボネートを製造し、該オリゴカーボネートをエステ
ル交換反応により高分子量化することにより、上記本発
明の目的を達成できることを見出した。本発明はかかる
知見に基いて完成したものである。
【0005】すなわち、本発明は、(a)パラジウム化
合物と(b)金属レドックス触媒と(c)ハロゲン化オ
ニウム化合物とからなる触媒系に(d)有機レドックス
触媒及び(e)脱水剤を添加した触媒系の存在下で、芳
香族二価ヒドロキシ化合物(但し、ハイドロキノンを除
く)と、一酸化炭素及び酸素を、酸化的カルボニル化反
応させてオリゴカーボネートを製造し、該オリゴカーボ
ネートをエステル交換反応により高分子量化することを
特徴とするポリカーボネートの製造方法を提供するもの
である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法において、芳香
族二価ヒドロキシ化合物としては、従来公知の種々のも
のが使用でき、所望の芳香族炭酸エステル化合物の種類
により適宜選定することができ、例えば一般式(I) HO−Ar−OH ・・・(I) [式中、Arはアリーレン基を示す。]で表される芳香
族二価ヒドロキシ化合物(二価フェノール)が挙げられ
る。具体的には、カテコール、レゾルシンあるいはこれ
らの置換誘導体であるフェノール類が例示される。ま
た、芳香族二価ヒドロキシ化合物としては一般式(II)
【0007】
【化1】
【0008】[式中、Rは、それぞれ水素原子、ハロゲ
ン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素)、アル
コキシル基、エステル基、カルボキシル基、ヒドロキシ
基、炭素数1〜8のアルキル基、あるいは全炭素数6〜
20の環上に水素原子又はアルキル基を有する芳香族基
であり、o−位、m−位のいずれに結合していてもよ
い。このRが複数の場合、それらは同一であってもよい
し、異なっていてもよく、a及びbは、それぞれ1〜4
の整数である。そしてXは単結合、炭素数1〜8のアル
キレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、炭素数5〜
15のシクロアルキレン基、炭素数5〜15のシクロア
ルキリデン基又は−S−、−SO−、−SO 2 −、−O
−、−CO−結合もしくは一般式(III)
【0009】
【化2】
【0010】で表される結合を示す。]で表される炭素
数12〜37の芳香族二価ヒドロキシ化合物(二価フェ
ノール)が挙げらる。
【0011】ここで、上記一般式(II) で表される二価
フェノールとしては、様々なものがあるが、特に2,2
ービス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェ
ノールA]が好ましい。ビスフェノールA以外の二価フ
ェノールとしては、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)メタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン;4,4’−ジヒドロキシジフェニル;ビス
(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン;ビス(4
−ヒドロキシフェニル)スルフィド;ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)スルホン;ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホキシド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
ーテル;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等のビ
スフェノールA以外のビス(4−ヒドロキシフェニル)
化合物又はビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン;ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン等のハロゲン化ビスフェノー
ル類等が挙げられる。これらのフェノール類が置換基と
してアルキル基を有する場合には、該アルキル基として
は、炭素数1〜6のアルキル基、特に炭素数1〜4のア
ルキル基が好ましい。
【0012】上記芳香族二価ヒドロキシ化合物と反応さ
せる一酸化炭素は、単体であってもよいが、不活性ガス
で希釈されていても、水素との混合ガスであってもよ
い。また、上記芳香族ヒドロキシ化合物又は脂肪族ヒド
ロキシ化合物と反応させる酸素は、純酸素であってもよ
いが、一般には不活性ガスで希釈されたもの、例えば空
気等の酸素含有ガスであってもよい。
【0013】本発において、酸化的カルボニル化反応に
よるオリゴカーボネートの製造には、芳香族二価ヒドロ
キシ化合物に加えて、芳香族一価ヒドロキシ化合物を反
応系に共存させ、原料として用いてもよい。芳香族一価
ヒドロキシ化合物としては、従来公知の種々のものが使
用でき、具体例としては、フェノール、p−クレゾー
ル、m−クレゾール、o−クレゾール、p−エチルフェ
ノール、m−エチルフェノール、o−エチルフェノー
ル、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−
オクチルフェノール等のアルキルフェノール類、p−フ
ェニルフェノール、m−フェニルフェノール、o−フェ
ニルフェノール等のフェニルフェノール類、p−クミル
フェノール、m−クミルフェノール、o−クミルフェノ
ール等のクミルフェノール類、p−メトキシフェノー
ル、m−メトキシフェノール、o−メトキシフェノー
ル、p−エトキシフェノール、m−エトキシフェノー
ル、o−エトキシフェノール等のアルコキシフェノール
類、1−ナフトール、2−ナフトール等のナフトール類
などが挙げられる。
【0014】一方、本発明において、酸化的カルボニル
化反応によるオリゴカーボネート製造の際に用いられる
触媒は、前述したように(a)成分、(b)成分、
(c)成分、(c)成分、(d)成分及び(e)成分か
ら構成されている。ここで(a)成分としては、パラジ
ウム原子を含有する化合物であればいかなる化合物であ
ってもよい。このようなパラジウム化合物として具体的
には、塩化パラジウム、臭化パラジウム等の無機パラジ
ウム塩、酢酸パラジウム、プロピオン酸パラジウム等の
有機パラジウム塩、活性炭担持パラジウム、シリカ担持
パラジウム等のパラジウム担持触媒、窒素原子、リン原
子、ヒ素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含
有する有機化合物を配位子として有する有機パラジウム
錯体、アンモニア、一酸化炭素等の無機化合物を配位子
として有する無機パラジウム錯体などが挙げられる。
【0015】本発明において、上記(a)成分のパラジ
ウム化合物は、それぞれ一種で用いてもよく、二種以上
を組み合わせて用いてもよい。また、これらのパラジウ
ム化合物の前駆体となり得る化合物をそれぞれ単独で用
い、物理的に混合した形のものであってもよい。また、
これら触媒の(a)成分には、反応に支障のない限り、
適宜アルキルホスフィンあるいは芳香族ホスフィン、亜
リン酸エステル、リン酸エステル等の配位子やアセトニ
トリル等のニトリル配位子を組み合わせてもよい。
【0016】本発明において、酸化的カルボニル化反応
によるオリゴカーボネートの製造には、(b)成分とし
て金属レドックス触媒を用いる。この金属レドックス触
媒としては、ランタノイド化合物、周期律表第V族遷移
金属(新周期律表では第5族)化合物、第VI族遷移金
属(新周期律表では第6族)化合物、第VII族遷移金
属(新周期律表では第7族)化合物、鉄化合物、コバル
ト化合物、ニッケル化合物及び銅化合物よりなる群から
選ばれる少なくとも一種を用いるが、これらは、有機錯
体、無機錯体、有機塩及び無機塩のいずれの形であって
もよい。具体的にはセリウム化合物、バナジウム化合
物、クロム化合物、マンガン化合物、鉄化合物、コバル
ト化合物、銅化合物等が挙げられる。好ましい金属レド
ックス触媒は、用いる(a)成分の種類により異なり一
概に規定することはできないが、一般に、セリウム化合
物、マンガン化合物及び銅化合物等が好ましい。
【0017】本発明において、酸化的カルボニル化反応
によるオリゴカーボネートの製造には、(c)成分とし
てハロゲン化オニウム化合物を用いる。ハロゲン化オニ
ウム化合物の例としては次の式(IV)で表される化合物
が挙げられる。 R1 2 3 4 AB ・・・(IV)
【0018】(式中、Aは窒素原子又はリン原子、Bは
フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子を示す。
1 〜R4 は、それぞれ炭素数1〜8のアルキル基又は
炭素数6〜12のアリール基であり、具体的には、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、
ヘキシル基、オクチル基、シクロヘキシル基、フェニル
基、トリル基、キシリル基、ナフチル基などが挙げられ
る。R1 〜R4 は各々同一でも、異なっていてもよい。
また、R1 及びR2 、R3 及びR4 はそれぞれ一緒にな
って−(CH2 n −で表される2価の基であって、n
が2〜7の整数であるものを形成してもよい。) さらに、上記ハロゲン化オニウム化合物としては上記式
(IV) で表される化合物以外のビス(トリフェニルホス
ホラニリデン)アンモニウムハライド類も使用できる。
その具体例としてはテトラ−n−ブチルアンモニウムブ
ロミド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、ビス
(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウムブロミ
ド、ビス(トリフェニルホスホラニリデン)アンモニウ
ムヒドロキシド、ビス(トリフェニルホスホラニリデ
ン)アンモニウムフェノキシド等が挙げられる。
【0019】本発明において、酸化的カルボニル化反応
によるオリゴカーボネートの製造には、(d)成分とし
て有機レドックス触媒を用いる。有機レドックス触媒と
しては、ハイドロキノン、2,3−ジシアノ−1,4−
ハイドロキノン、2,3,5,6−テトラシアノ−1,
4−ハイドロキノン、1,4−ベンゾキノン、α−ナフ
トキノン、アントラキノン、1,2−ジヒドロキシアン
トラキノン、1,4−ジヒドロキシアントラキノン、
1,5−ジヒドロキシアントラキノン、1,8−ジヒド
ロキシアントラキノン、2,6−ジヒドロキシアントラ
キノン、キンヒドロン等のキノン類などの化合物が挙げ
られる。
【0020】本発明において、酸化的カルボニル化反応
によるオリゴカーボネートの製造には、(e)成分とし
て脱水剤を用いる。脱水剤としては、モレキュラーシー
ブ3A、モレキュラーシーブ4A、モレキュラーシーブ
5A、塩化カルシウム、酸化カルシウム、五酸化二リ
ン、水素化ナトリウム、無水水酸化ナトリウム等の無機
脱水剤、アセトアルデヒドジメチルアセタール、アセト
アルデヒドジフェニルアセタール、アセトンジメチルア
セタール、アセトンジフェニルアセタール等の有機脱水
剤などが挙げられる。
【0021】本発明において、酸化的カルボニル化反応
によるオリゴカーボネートの製造に用いる触媒の使用量
については特に制限はなく、通常の触媒量でよいが、例
えば、(a)成分については、その使用量は原料である
芳香族二価ヒドロキシ化合物1モルに対して、パラジウ
ムとして1×10-8〜1.0モル、好ましくは1×10 -6
〜0.2モルである。上記使用量が1×10-8未満では、
反応速度が遅く実用的でない場合がある。一方、1.0モ
ルを超えても、それに相当する効果が認められず経済的
に不利である。また、(b)成分の使用量は、(a)成
分のパラジウム1モルに対して通常0.1〜100モル、
好ましくは0.5〜50モルである。上記使用量が0.1モ
ル未満では、反応速度が遅い場合があり実用的でなく、
100モルを超えると生成したオリゴカーボネートの
(b)成分による酸化分解反応が進行し経済的に不利で
ある。(c)成分の使用量は、原料である芳香族二価ヒ
ドロキシ化合物1モルに対して通常1×10-4〜2.0モ
ル、好ましくは1×10-3〜0.1モルである。上記使用
量が1×10-4モル未満では、反応速度が遅い場合があ
り実用的でなく、2.0モルを超えると(c)成分による
生成したオリゴカーボネートの反応が進行し経済的に不
利である。(d)成分の使用量は、(a)成分のパラジ
ウム1モルに対して通常0.1〜200モル、好ましくは
1〜100モルである。上記使用量が0.1モル未満で
は、反応速度が遅い場合があり実用的でなく、200モ
ルを超えると(d)成分による生成したオリゴカーボネ
ートの反応が進行し経済的に不利である。(e)成分の
使用量については、酸化的カルボニル化反応によるオリ
ゴカーボネートの製造に使用する(e)成分、芳香族二
価ヒドロキシ化合物、触媒及び溶媒の種類や、反応系の
含水量、反応方式により、脱水能力や除去する必要のあ
る水分量が異なるため、一概に規定できないが、通常、
(e)成分の使用量は原料である芳香族二価ヒドロキシ
化合物1モルに対して、1×10-2〜20モルの水を除
去することが可能な量とする。
【0022】本発明において、オリゴカーボネートの製
造の際の酸化的カルボニル化反応は、無溶媒下でも溶媒
中でも進行する。一般に無溶媒下で反応させる方が経済
的に有利ではあるが、ポリカーボネートの製造プロセス
上ので必要な場合は、溶媒中で行なってもよい。ここ
で、使用できる溶媒としては、例えば脂肪族炭化水素、
環状脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化
水素、エーテル類、エステル類、含窒素溶媒、含硫黄溶
媒等が挙げられ、用いる触媒の種類、組み合わせによ
り、適宜選択することができる。
【0023】酸化的カルボニル化反応によるオリゴカー
ボネートの製造においては、反応温度は特に制限はない
が、通常は50〜200℃で、好ましくは70〜150
℃の範囲である。上記範囲より高温では、分解反応等の
副反応が多くなり、また上記範囲より低温では、反応速
度が低下して実用的でない。また、反応圧力は、一酸化
炭素や酸素等のガス状の原料を用いるため、加圧状態に
設定することが一般的であり、一酸化炭素分圧は1×1
-2〜20MPa、好ましくは1×10-2〜10MPa
の範囲内で、酸素分圧は1×10-2〜10MPa、好ま
しくは1×10 -2〜5MPaの範囲内であればよい。特
に、酸素分圧は、反応系内のガス組成が爆発範囲を外れ
るように調節することが望ましく、上記反応圧力があま
り低圧では反応速度が低下し、また高圧過ぎると反応装
置が大型となり、建設費用が高く、経済的に不利であ
る。不活性ガスや水素等を用いる際には、その分圧は特
に規定されないが、適宜実用的な圧力範囲で用いればよ
い。
【0024】上記オリゴカーボネート製造の際の反応方
式は、回分、半連続、連続のいずれでも可能である。こ
こで反応系の状態は、液相状態の場合と、液相と気相の
混合状態の場合と、液相と気相と固相の混合状態の場合
のいずれかである。また、触媒の反応系における状態
は、均一系であっても不均一であってもよく、触媒を適
宜選択することにより選ぶことができる。触媒は、必要
に応じて適当な担体に担持した状態で用いてもよい。上
記原料成分及び触媒は、必要に応じて希釈してもよく、
希釈剤としては、液相では飽和炭化水素等の不活性溶媒
が用いられ、気相では窒素、アルゴン、エタン、プロパ
ン等の不活性ガスが用いられる。
【0025】本発明におけるオリゴカーボネートの製造
は、芳香族二価ヒドロキシ化合物と、一酸化炭素及び酸
素を原料として、又はこれらの原料に加えて芳香族一価
ヒドロキシ化合物を反応系に共存させ、これらを上記特
定の触媒の存在下に酸化的カルボニル化反応させること
によりなされるものである。この反応で得られるオリゴ
カーボネートとしては、上記一般式(I)の芳香族二価
ヒドロキシ化合物を原料として用いた場合、又は芳香族
二価ヒドロキシ化合物に加えて、芳香族一価ヒドロキシ
化合物を反応系に共存させ原料として用いた場合、一般
式(V)
【0026】
【化3】
【0027】[式中、Arは上記一般式(I)の場合と
同じである。mは生成物の分子量により異なり、1以上
の整数である。なお、分子の末端構造は特に規定されな
い。]で表されるオリゴカーボネートが挙げられる。ま
た、上記一般式(II)の芳香族二価ヒドロキシ化合物を
原料として用いた場合、一般式(VI)
【0028】
【化4】
【0029】[式中、R、a、b及びXは上記一般式
(II)の場合と同じである。mは生成物の分子量により
異なり、1以上の整数である。なお、分子の末端構造は
特に規定されない。]で表されるオリゴカーボネートが
挙げられる。
【0030】本発明において、ポリカーボネート製造の
際の反応は、例えば上記一般式(V)または(VI)で表
される、酸化的カルボニル化反応により得られるオリゴ
カーボネートを単独で原料として用いるか、上記オリゴ
カーボネートと上記オリゴカーボネートをアリールクロ
ロフォーメートにより末端炭酸エステル化したオリゴカ
ーボネートとの混合物を原料として用いるか、上記オリ
ゴカーボネートと炭酸ジアリールとの混合物を原料とし
て用いるか、あるいはこれらの原料に所望のコモノマー
や芳香族一価ヒドロキシ化合物を加えた混合物を原料と
して用いるエステル交換反応により進行する。
【0031】上記末端アリール炭酸エステル化したオリ
ゴカーボネートを得るために用いるアリールクロロフォ
ーメートとしては、従来公知の種々のものを用いること
ができる。このアリールクロロフォーメートの具体例と
しては、フェニルクロロフォーメート、p−トルイルク
ロロフォーメート、o−トルイルクロロフォーメート、
m−トルイルクロロフォーメート等が挙げられる。その
地のアリールハロゲン化フォーメート類としては、アリ
ールブロモフォーメート、アリールヨードフォーメート
も用いることができるが、一般にアリールクロロフォー
メートの方が経済的である。
【0032】上記末端アリール炭酸エステル化したオリ
ゴカーボネートとしては、一般式(VII)又は一般式(VI
II)
【0033】
【化5】
【0034】[式中、Ar、R及びmは上記一般式
(V)及び上記一般式(VI)の場合と同様である。cは
a及びbと同様であり、末端アリール炭酸エステル化に
用いるアリールクロロフォーメートにより規定され
る。]
【0035】
【化6】
【0036】[式中、Ar、x、R、a、b及びmは上
記一般式(VI)の場合と同様である。cはa及びbと同
様であり、末端アリール炭酸エステル化に用いるアリー
ルクロロフォーメートにより規定される。]で表される
末端アリール炭酸エステル化したオリゴカーボネートが
挙げられる。
【0037】本発明において、エステル交換反応による
ポリカーボネートの製造に、オリゴカーボネートととも
に用いる炭酸ジアリールとしては、従来公知のものを用
いることができる。炭酸ジアリールの具体例としては、
炭酸ジフェニル、炭酸ジ−p−トリル、炭酸ジ−o−ト
リル、炭酸ジ−m−トリル、炭酸ジ(2,3−ジメチル
フェニル)、炭酸ジ(2,4−ジメチルフェニル)、炭
酸ジ(2,5−ジメチルフェニル)、炭酸ジ(2,6−
ジメチルフェニル)、炭酸ジ(3,4−ジメチルフェニ
ル)、炭酸ジ(3,5−ジメチルフェニル)、炭酸ジ
(p−クミルフェニル)等が挙げられる。
【0038】本発明におけるポリカーボネート製造の際
には、目的とするポリカーボネートの物性、製造工程等
の必要に応じてコモノマーを必要量添加してもよい。こ
れらのコモノマーの具体例としては、上記酸化的カルボ
ニル化反応において原料として、芳香族二価ヒドロキシ
化合物に反応系に共存させる芳香族一価ヒドロキシ化合
物と同様の芳香族一価ヒドロキシ化合物又はエチレング
リコール、プロピレングリコール等の脂肪族ジオール
類、テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、デカン
二酸、ドデカン二酸等のジカルボン酸類、テレフタル酸
ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル、セバシン酸ジフ
ェニル、デカン二酸ジフェニル、ドデカン二酸ジフェニ
ル等のジカルボン酸ジフェニル類、シロキサン化合物、
分岐剤、酸化防止剤等が挙げられる。
【0039】本発明におけるポリカーボネートの製造に
は、触媒として塩基触媒を用いることが好ましい。これ
ら塩基触媒の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、水素化リチウム、水素化
ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基触媒、テ
トラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルア
ンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミ
ド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の有機ア
ンモニウム塩、テトラブチルホスホニウムクロリド、テ
トラブチルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホス
ホニウムテトラフェニルボレート、シクロヘキシルトリ
フェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等の有機
ホスホニウム塩などが挙げられる。上記触媒の使用量に
ついては特に制限はなく、通常の触媒量でよいが、原料
である芳香族二価ヒドロキシ化合物1モルに対して、通
常は1×10-10 〜1.0モルである。上記使用量が1×
10-10 未満では、エステル交換反応速度が遅く実用的
でない場合がある。一方、1.0モルを超えても、それに
相当する効果が得られない上に、ポリカーボネートの分
解反応等が進行するため経済的ではない。
【0040】本発明において、エステル交換反応による
ポリカーボネート製造の際の反応方式とは、いかなる反
応方式であってもよく、原料の混合物が、溶液状態、固
相状態、溶融状態又はこれらの中間的状態であってもよ
い。
【0041】原料の混合物が溶液状態の場合は、ジフェ
ニルエーテル等の反応に不活性な溶媒を用いて原料等が
溶解した状態にあればよい。反応温度は、溶液状態でエ
ステル交換反応が進行し、目的のポリカーボネートが得
られる温度であれば、いかなる反応温度でもよいが、一
般的には200〜300℃の範囲が採用される。反応温
度が200℃未満ではエステル交換反応速度が極めて遅
くなり実用的でなく、300℃を超えるとポリカーボネ
ートの熱分解反応等が進行するため経済的ではない。ま
た、溶液状態では、エステル交換反応は減圧状態で行っ
ても、不活性ガス気流下で行ってもよい。不活性ガスと
しては原料や触媒等に対して反応性のある酸素等のガス
を含まないガスを用いるのが好ましく、その具体例とし
ては、窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、一酸化
炭素等のガスが挙げられる。
【0042】固相状態の場合は、エステル交換反応を阻
害しない範囲において、原料等は結晶状態又は一部アモ
ルファス状態でもよく、それらを粉末状態又は粉末を圧
縮して一つの固形物とした状態であってもよい。反応温
度としては、エステル交換反応が進行し、目的のポリカ
ーボネートが得られる温度であればいかなる反応温度で
あってもよいが、一般的には200〜300℃の範囲内
で、エステル交換反応に用いるオリゴカーボネートの融
点を考慮し、固相状態が保持できる温度が採用される。
好ましい温度範囲は、用いるオリゴカーボネートの分子
量等により異なるため一概に規定することは難しいが、
一般的には200〜260℃の範囲である。反応温度が
200℃未満ではエステル交換反応が極めて遅くなり実
用的でなく、260℃を超えるとオリゴカーボネート又
は得られるポリカーボネートの溶融が起こり、固相状態
が保持できないことが懸念される。さらに、固相状態の
反応では、不活性ガス気流下、貧溶媒ガス気流下や膨潤
溶媒ガス気流下等で行ってもよい。不活性ガスとしては
原料や触媒等に対して反応性のある酸素等のガスを含ま
ないガスを用いるのが好ましく、その具体例としては、
窒素、アルゴン、ヘリウム、二酸化炭素、一酸化炭素等
のガスが挙げられる。貧溶媒ガスとしては、エステル交
換反応に用いるオリゴカーボネートが溶解し難い貧溶媒
であればいかなる貧溶媒でも用いることができるが、直
鎖状又は分岐状の炭素数4〜18の飽和炭化水素化合物
や不飽和炭化水素化合物が好ましく、その具体例として
は、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられる。膨潤溶媒ガス
としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭素数6
〜20の芳香族炭化水素やテトラヒドロフラン、ジオキ
サン等のエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン等のケトン類が挙げられる。
【0043】溶融状態の場合は、適当な前処理を行った
原料等が、エステル交換反応の際に、加熱により溶融し
た状態になっていればよい。反応温度としては、溶融状
態でエステル交換反応が進行し、目的のポリカーボネー
トが得られる温度であればいかなる反応温度であっても
よいが、一般的には200〜300℃の範囲内で、エス
テル交換反応に用いるオリゴカーボネートの融点を考慮
し溶融状態が保持できる温度が採用される。好ましい温
度範囲は、用いるオリゴカーボネートの分子量等により
異なるため一概に規定することは難しいが、一般的には
260〜300℃の範囲である。反応温度が260℃未
満ではオリゴカーボネート又は得られるポリカーボネー
トの溶融状態が保持できないことが懸念される。300
℃を超えるとポリカーボネートの熱分解反応等が進行す
るため経済的ではない。さらに、溶融状態では、エステ
ル交換反応は減圧状態で行っても、不活性ガス気流下で
行ってもよい。不活性ガスとしては原料や触媒等に対し
て反応性のある酸素等のガスを含まないガスを用いるの
が好ましく、その具体例としては、窒素、アルゴン、ヘ
リウム、二酸化炭素、一酸化炭素等のガスが挙げられ
る。
【0044】
【実施例】以下に、本発明を実施例及び比較例により、
更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によっ
て何ら限定されるものではない。また、以下の例で使用
した触媒、試薬は、市販の製品又は文献記載の方法に従
い調製したものである。
【0045】実施例1 内容積30ミリリットルのオートクレーブに、ビスフェ
ノールA(BPA)0.95g(4.2ミリモル)、臭化パ
ラジウム3.33mg(12.5マイクロモル)、酢酸セリ
ウム一水和物23.8mg(75マイクロモル)、ハイド
ロキノン41.3mg(375マイクロモル)、ビス(ト
リフェニルホスホラニリデン)アンモニウムブロミド2
31.9mg(375マイクロモル)、モレキュラーシー
ブ3A(1g)及び塩化メチレン5ミリリットルを封入
した。一酸化炭素で加圧及び脱圧することにより、この
オートクレーブ内を一酸化炭素置換した。その後、25
℃換算で6.0MPaとなるように一酸化炭素を加圧し、
さらに、全体の圧力が6.3MPaとなるように空気を加
圧した。
【0046】これを100℃に加熱し、酸化的カルボニ
ル化反応を24時間行った。冷却し、脱圧した後、塩化
メチレン20ミリリットルを添加し、ろ過することによ
り、モレキュラーシーブ3Aなどの不溶分を除去した。
ここで得られた塩化メチレン溶液を5ミリリットルまで
減圧濃縮し、この濃縮液をメタノール300ミリリット
ルに投入し、末端ヒドロキシオリゴカーボネート0.91
g(収率85%)を得た。この末端ヒドロキシオリゴカ
ーボネートのポリスチレン換算数平均分子量は280
0、ポリスチレン換算重量平均分子量は3500であっ
た。さらに、同一の末端ヒドロキシオリゴマーカーボネ
ートをトリエチルアミン存在下、フェニルクロロフォー
メートとの反応で得た末端アリール炭酸エステル化した
オリゴカーボネート0.40g、末端ヒドロキシオリゴカ
ーボネート0.40g、シクロヘキシルトリフェニルホス
ホニウムテトラフェニルボレート0.010mg(0.01
5マイクロモル)をクロロホルム溶液とした後、濃縮乾
固し、110℃で12時間真空乾燥させてプレポリマー
粉体を得た。この粉体から0.1gを取り出しアルミナパ
ン上で、流通ガスとして窒素を10ミリリットル/分の
速度で流し、室温から240℃まで10℃/分で昇温し
た後、重合反応を2時間行って、ポリカーネートを得
た。結果を第1表に示す。
【0047】実施例2 実施例1において、重合を4時間とした以外は実施例1
と同様に行った。結果を第1表に示す。 実施例3 実施例1において、重合の際に用いる流通ガスとして、
窒素の代わりにヘプタンを用いた以外は実施例1と同様
に行った。結果を第1表に示す。 実施例4 実施例1において、重合の際に用いる流通ガスとして、
窒素の代わりにパラキシレンを用いた以外は実施例1と
同様に行った。結果を第1表に示す。
【0048】実施例5 内容積30ミリリットルのオートクレーブに、ビスフェ
ノールA(BPA)0.95g(4.2ミリモル)、臭化パ
ラジウム3.33mg(12.5マイクロモル)、酢酸セリ
ウム一水和物23.8mg(75マイクロモル)、ハイド
ロキノン41.3mg(375マイクロモル)、ビス(ト
リフェニルホスホラニリデン)アンモニウムブロミド2
31.9mg(375マイクロモル)、モレキュラーシー
ブ3A(1g)及び塩化メチレン5ミリリットルを封入
した。一酸化炭素で加圧及び脱圧することにより、この
オートクレーブ内を一酸化炭素置換した。その後、25
℃換算で6.0MPaとなるように一酸化炭素を加圧し、
さらに、全体の圧力が6.3MPaとなるように空気を加
圧した。
【0049】これを100℃に加熱し、酸化的カルボニ
ル化反応を24時間行った。冷却し、脱圧した後、塩化
メチレン20ミリリットルを添加し、ろ過することによ
り、モレキュラーシーブ3Aなどの不溶分を除去した。
ここで得られた塩化メチレン溶液を5ミリリットルまで
減圧濃縮し、この濃縮液をメタノール300ミリリット
ルに投入し、末端ヒドロキシオリゴカーボネート0.92
g(収率86%)を得た。この末端ヒドロキシオリゴカ
ーボネートのポリスチレン換算数平均分子量は270
0、ポリスチレン換算重量平均分子量は3400であっ
た。さらに、同一の末端ヒドロキシオリゴマーカーボネ
ートをトリエチルアミン存在下、フェニルクロロフォー
メートとの反応で得た末端アリール炭酸エステル化した
オリゴカーボネート0.40g、末端ヒドロキシオリゴカ
ーボネート0.40g、テトラフェニルホスホニウムテト
ラフェニルボレート0.010mg(0.015マイクロモ
ル)をクロロホルム溶液とした後、濃縮乾固し、110
℃で12時間真空乾燥させてプレポリマー粉体を得た。
この粉体から0.7gを取り出し、攪拌設備及び副生スル
フェノール等を蒸留除去する設備を備えた内容積10ミ
リリットルのセパラブルフラスコに入れ、減圧と窒素に
よる復圧を5回繰り返し窒素置換を行った。次いで、室
温から270℃まで昇温した後、重合反応を2時間行っ
て、ポリカーボネートを得た。結果を第1表に示す。
【0050】実施例6 内容積30ミリリットルのオートクレーブに、ビスフェ
ノールA(BPA)0.95g(4.2ミリモル)、臭化パ
ラジウム3.33mg(12.5マイクロモル)、酢酸セリ
ウム一水和物23.8mg(75マイクロモル)、ハイド
ロキノン41.3mg(375マイクロモル)、ビス(ト
リフェニルホスホラニリデン)アンモニウムブロミド2
31.9mg(375マイクロモル)、モレキュラーシー
ブ3A(1g)及び塩化メチレン5ミリリットルを封入
した。一酸化炭素で加圧及び脱圧することにより、この
オートクレーブ内を一酸化炭素置換した。その後、25
℃換算で6.0MPaとなるように一酸化炭素を加圧し、
さらに、全体の圧力が6.3MPaとなるように空気を加
圧した。
【0051】これを100℃に加熱し、酸化的カルボニ
ル化反応を24時間行った。冷却し、脱圧した後、塩化
メチレン20ミリリットルを添加し、ろ過することによ
り、モレキュラーシーブ3Aなどの不溶分を除去した。
ここで得られた塩化メチレン溶液を5ミリリットルまで
減圧濃縮し、この濃縮液をメタノール300ミリリット
ルに投入し、末端ヒドロキシオリゴカーボネート0.90
g(収率84%)を得た。この末端ヒドロキシオリゴカ
ーボネートのポリスチレン換算数平均分子量は290
0、ポリスチレン換算重量平均分子量は3600であっ
た。さらに、同一の末端ヒドロキシオリゴマーカーボネ
ートをトリエチルアミン存在下、フェニルクロロフォー
メートとの反応で得た末端アリール炭酸エステル化した
オリゴカーボネート0.40g、末端ヒドロキシオリゴカ
ーボネート0.40g、テトラフェニルホスホニウムテト
ラフェニルボレート0.010mg(0.015マイクロモ
ル)をクロロホルム溶液とした後、濃縮乾固し、110
℃で12時間真空乾燥させてプレポリマー粉体を得た。
この粉体から0.7gを取り出し、直径4cmのステンレ
ス鋼製シャーレ上に置き、塩化メチレン2ミリリットル
を添加し、溶解した。その後、塩化メチレンを蒸発さ
せ、膜圧0.01mmの薄膜を調製し、120℃で一晩真
空乾燥した。次に、ホットプレートを備えた減圧仕様の
オーブン中で270℃、0.5Torrで4時間溶融重合
して、ポリカーボネートを得た。結果を第1表に示す。
【0052】実施例7 実施例1において、末端ヒドロキシオリゴカーボネート
合成の際に用いる金属レドックス触媒として、酢酸セリ
ウム一水和物の代わりに酢酸銅(II)13.6mg(75
マイクロモル)を用いた以外は実施例1と同様に行っ
た。結果を第1表に示す。 実施例8 実施例1において、末端ヒドロキシオリゴカーボネート
合成の際に用いるパラジウム化合物として、臭化パラジ
ウムの代わりに塩化パラジウム2.21mg(12.5マイ
クロモル)を用いた以外は実施例1と同様に行った。結
果を第1表に示す。 実施例9 実施例1において、重合の際に、末端アリール炭酸エス
テル化したオリゴカーボネート0.40gと末端ヒドロキ
シオリゴカーボネート0.40gを用いる代わりに末端ヒ
ドロキシオリゴカーボネートのみを0.80g用いた以外
は実施例1と同様に行った。結果を第1表に示す。 実施例10 実施例9において、重合の際に、炭酸ジフェニルを0.0
6gを添加した以外は実施例9と同様に行った。結果第
1表に示す。 実施例11 実施例9において、酸化的カルボニル化反応の際に、フ
ェノール38mgを添加した以外は実施例9と同様に行
った。結果を第1表に示す。
【0053】比較例1 内容積30ミリリットルのオートクレーブに、ビスフェ
ノールA(BPA)0.95g(4.2ミリモル)、臭化パ
ラジウム3.33mg(12.5マイクロモル)、酢酸セリ
ウム一水和物23.8mg(75マイクロモル)、ハイド
ロキノン41.3mg(375マイクロモル)、ビス(ト
リフェニルホスホラニリデン)アンモニウムブロミド2
31.9mg(375マイクロモル)、モレキュラーシー
ブ3A(1g)及び塩化メチレン5ミリリットルを封入
した。一酸化炭素で加圧及び脱圧することにより、この
オートクレーブ内を一酸化炭素置換した。その後、25
℃換算で6.0MPaとなるように一酸化炭素を加圧し、
さらに、全体の圧力が6.3MPaとなるように空気を加
圧した。
【0054】これを100℃に加熱し、24時間反応さ
せた。冷却し、脱圧した後、塩化メチレン20ミリリッ
トルを添加し、ろ過することにより、モレキュラーシー
ブ3Aなどの不溶分を除去した。ここで得られた塩化メ
チレン溶液を5ミリリットルまで減圧濃縮し、この濃縮
液をメタノール300ミリリットルに投入し、末端ヒド
ロキシオリゴカーボネート0.92g(収率86%)を得
た。この末端ヒドロキシオリゴカーボネートのポリスチ
レ換算数平均分子量は2700、ポリスチレン換算重量
平均分子量は3400であり、実用的には不十分なもの
であった。結果を第1表に示す。 比較例2 実施例1において、末端ヒドロキシオリゴカーボネート
合成の際に用いる有機レドックス触媒であるハイドロキ
ノンと脱水剤であるモレキュラーシーブ3Aを用いなか
った以外は実施例1と同様に行った。結果を第1表に示
す。
【0055】
【表1】
【0056】 HOAOH:末端ヒドロキシオリゴカーボネート ArOBOAr:末端アリール炭酸エステル化したオリ
ゴカーボネート DPC:炭酸ジフェニル MS3A:モレキュラーシーブ3A Mn:数平均分子量 Mw:重量平均分子量
【0057】
【発明の効果】以上の如く、本発明の製造方法によれ
ば、電気・電子分野、自動車分野、光学部品分野及び構
造材料分野等における樹脂材料等として有用なポリカー
ボネートを、芳香族二価ヒドロキシ化合物から効率良く
製造できる方法として利用価値が高い。
フロントページの続き (72)発明者 ミナクシ ゴヤル 茨城県つくば市東一丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所 精密重合集中共 同研究体内 (72)発明者 石井 宏寿 茨城県つくば市東一丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所 精密重合集中共 同研究体内 (72)発明者 上田 充 茨城県つくば市東一丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 竹内 和彦 茨城県つくば市東一丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 (72)発明者 浅井 道彦 茨城県つくば市東一丁目1番 工業技術院 物質工学工業技術研究所内 Fターム(参考) 4J029 AA09 AB04 AC01 BB10A BB12A BB13A BE05A BF14A BG08X BH02 DB07 DB11 DB13 FA07 FA12 HC08 HC09 JA061 JA241 JB111 JB171 JB191 JC091 JF031 JF271 JF311 JF351 JF411 JF421 JF451 JF511 JF541 JF561 KC04 KE02 KE15

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)パラジウム化合物と(b)金属レ
    ドックス触媒と(c)ハロゲン化オニウム化合物とから
    なる触媒系に(d)有機レドックス触媒及び(e)脱水
    剤を添加した触媒系の存在下で、芳香族二価ヒドロキシ
    化合物(但し、ハイドロキノンを除く)と、一酸化炭素
    及び酸素を、酸化的カルボニル化反応させてオリゴカー
    ボネートを製造し、該オリゴカーボネートをエステル交
    換反応により高分子量化することを特徴とするポリカー
    ボネートの製造方法。
  2. 【請求項2】 (a)パラジウム化合物と(b)金属レ
    ドックス触媒と(c)ハロゲン化オニウム化合物とから
    なる触媒系に(d)有機レドックス触媒及び(e)脱水
    剤を添加した触媒系の存在下で、芳香族二価ヒドロキシ
    化合物(但し、ハイドロキノンを除く)と、一酸化炭素
    及び酸素を、酸化的カルボニル化反応させてオリゴカー
    ボネートを製造し、該オリゴカーボネートと、該オリゴ
    カーボネートをアリールクロロフォーメートにより末端
    アリール炭酸エステル化したオリゴカーボネートとの混
    合物をエステル交換反応させることを特徴とするポリカ
    ーボネートの製造方法。
  3. 【請求項3】 (a)パラジウム化合物と(b)金属レ
    ドックス触媒と(c)ハロゲン化オニウム化合物とから
    なる触媒系に(d)有機レドックス触媒及び(e)脱水
    剤を添加した触媒系の存在下で、芳香族二価ヒドロキシ
    化合物(但し、ハイドロキノンを除く)と、一酸化炭素
    及び酸素を、酸化的カルボニル化反応させてオリゴカー
    ボネートを製造し、該オリゴカーボネートと、炭酸ジア
    リールとの混合物とをエステル交換反応させることを特
    徴とするポリカーボネートの製造方法。
  4. 【請求項4】 酸化的カルボニル化反応が、芳香族一価
    ヒドロキシ化合物の共存下に行われるものである請求項
    1〜3のいずれかに記載のポリカーボネートの製造方
    法。
JP10630799A 1999-04-14 1999-04-14 ポリカーボネートの製造方法 Expired - Lifetime JP4081519B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10630799A JP4081519B2 (ja) 1999-04-14 1999-04-14 ポリカーボネートの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10630799A JP4081519B2 (ja) 1999-04-14 1999-04-14 ポリカーボネートの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000297148A true JP2000297148A (ja) 2000-10-24
JP4081519B2 JP4081519B2 (ja) 2008-04-30

Family

ID=14430350

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP10630799A Expired - Lifetime JP4081519B2 (ja) 1999-04-14 1999-04-14 ポリカーボネートの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4081519B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003087030A1 (fr) * 2002-04-15 2003-10-23 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Procede de production d'ester carbonique et de polycarbonate
WO2004106406A1 (ja) * 2003-05-29 2004-12-09 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology ポリカーボネート製造用触媒及びポリカーボネートの製造方法
JP2005154673A (ja) * 2003-11-28 2005-06-16 National Institute Of Advanced Industrial & Technology ポリカーボネート製造用触媒及びポリカーボネートの製造方法
CN100445317C (zh) * 2003-05-29 2008-12-24 独立行政法人产业技术综合研究所 用于聚碳酸酯生产的催化剂及生产聚碳酸酯的方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4888330B2 (ja) * 2007-10-22 2012-02-29 トヨタ自動車株式会社 直接噴射式の内燃機関

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003087030A1 (fr) * 2002-04-15 2003-10-23 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Procede de production d'ester carbonique et de polycarbonate
US7598411B2 (en) 2002-04-15 2009-10-06 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Processes for producing carbonic ester and producing polycarbonate
US8022241B2 (en) 2002-04-15 2011-09-20 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology Processes for producing carbonic ester and producing polycarbonate
WO2004106406A1 (ja) * 2003-05-29 2004-12-09 National Institute Of Advanced Industrial Science And Technology ポリカーボネート製造用触媒及びポリカーボネートの製造方法
CN100445317C (zh) * 2003-05-29 2008-12-24 独立行政法人产业技术综合研究所 用于聚碳酸酯生产的催化剂及生产聚碳酸酯的方法
JP2005154673A (ja) * 2003-11-28 2005-06-16 National Institute Of Advanced Industrial & Technology ポリカーボネート製造用触媒及びポリカーボネートの製造方法
JP4559725B2 (ja) * 2003-11-28 2010-10-13 独立行政法人産業技術総合研究所 ポリカーボネート製造用触媒及びポリカーボネートの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4081519B2 (ja) 2008-04-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4772241B2 (ja) ポリカーボネートの製造方法
JPH10176047A (ja) 固相重合によるポリカーボネートの製造方法
JPH059282A (ja) ポリカーボネートの製造方法
JP4081519B2 (ja) ポリカーボネートの製造方法
JPH11240945A (ja) ポリカーボネート界面重合プロセス並びに生成物
JP2004505103A (ja) ジカルボン酸のジアリールエステルの合成方法
JP3603921B2 (ja) コポリカーボネート重合体およびその製造方法
JP2000186137A (ja) ポリカーボネート及び光学材料
JPH09241373A (ja) ジアリールカーボネート類の製造方法およびそれから得られるポリカーボネート類
JPS60186529A (ja) ポリエステル−カ−ボネ−トの重合方法
JP3218134B2 (ja) ポリカーボネートの製造法
US7629431B2 (en) Polycarbonate prepolymer for solid phase polymerization and process for producing polycarbonate
JP3188062B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートおよびその製造方法
JPH06122758A (ja) 芳香族ポリエステルカーボネートの製造方法
JP2698667B2 (ja) 芳香族ポリエステルの製法
JP3399200B2 (ja) 熱可塑性ポリカーボネートの製造法
US6433126B1 (en) Preparation of copolycarbonates via solid state polymerization
JP2006504782A (ja) 1,1−ビス(4′−ヒドロキシ−3′−メチルフェニル)シクロヘキサンの精製方法及びそれからポリカーボネートを製造する方法
JP4154462B2 (ja) ポリカーボネートの製造方法
JP4326876B2 (ja) ポリカーボネート製造用触媒及びポリカーボネートの製造方法
JP4326838B2 (ja) ポリカーボネート製造用触媒及びポリカーボネートの製造方法
JP2003514043A (ja) ポリエステルカーボネートの製造方法
US7390868B2 (en) Catalyst for polycarbonate production and process for producing polycarbonate
JP3955943B2 (ja) 芳香族炭酸エステル又は芳香族ポリカーボネートの製造方法
JPH05271401A (ja) ポリカーボネートの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051205

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20051205

RD07 Notification of extinguishment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7427

Effective date: 20051205

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20051205

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060202

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070912

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070925

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080108

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

EXPY Cancellation because of completion of term