JP2000294058A - 高電圧機器用絶縁物 - Google Patents

高電圧機器用絶縁物

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JP2000294058A
JP2000294058A JP11096041A JP9604199A JP2000294058A JP 2000294058 A JP2000294058 A JP 2000294058A JP 11096041 A JP11096041 A JP 11096041A JP 9604199 A JP9604199 A JP 9604199A JP 2000294058 A JP2000294058 A JP 2000294058A
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voltage
resistance
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coating film
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Kenichi Nojima
健一 野嶋
Toshiaki Inohara
俊明 猪原
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Toshiba Corp
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高電圧機器に使用され機械的強度および耐直流
電圧性能の優れ、かつコンパクトな高電圧機器用絶縁物
を提供すること。 【解決手段】ガラス繊維またはプラスチック繊維をエポ
キシ樹脂等で含浸注形することによって構成された絶縁
物に固定用の金具を取り付けた高電圧機器用絶縁物にお
いて、金具と絶縁物との接合部周辺に絶縁物よりも体積
抵抗率の低い塗装剤を塗布した塗装膜を設け、金具から
離れた絶縁物の周面には塗装剤を塗布しない構造として
いる。よって、絶縁物の金具周辺の抵抗値を金具から離
れた部分の抵抗値よりも相対的に小さくできるので、抵
抗分圧で決まる金具周辺の絶縁物の直流電圧分担が低減
され、この部分の直流電界を低減できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高電圧機器に使用
される機械的強度および耐電圧性能の優れた高電圧機器
用絶縁物に係り、特に、ガラス繊維またはプラスチック
繊維をエポキシ樹脂等で含浸注形した絶縁物を対象とし
た耐直流電圧特性を改善した高電圧機器用絶縁物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、高電圧が印加される高電圧機器
の金属導体は、絶縁物によって支持されて接地面と絶縁
されている。絶縁物には、印加される電圧と絶縁物の形
状、材質および絶縁物周辺の電極配置とから決まる電界
が印加される。電界の大きさは電位分布によって決定さ
れるので、高電圧機器の絶縁信頼性を確保するためには
絶縁物への印加電界を絶縁物が絶縁破壊を生じる電界以
下に抑える必要がある。しかし、高電圧機器への印加電
圧の種類は直流電圧と交流電圧とに大別され、この印加
電圧の種類により絶縁物の絶縁破壊の原因も異なる。
【0003】図6は高電圧機器用絶縁物の交流電圧に対
する電位分布の概念図を示したものである。図では、高
電圧側金具(導体)2と接地側金具(導体)3の間に絶
縁物1が取り付けられており、等電位線4は電位分布か
ら決定され、図示のように表される。
【0004】図7(A)及び(B)は、図6の絶縁物中
の点6における交流電圧に対する電位を与える静電容量
及びその等価回路を示したものである。すなわち、絶縁
物中の任意の点6の電位は、絶縁物材質の特性の内、特
に誘電率の影響を大きく受け、印加電圧7に対して静電
容量(C1,C2,C3,C4)5の分布から決定され
る。ここで、C1は高電圧側金具2と絶縁物1中の点6
との間の静電容量(絶縁物中を介さない部分)、C2は
高電圧側金具2と絶縁物1中の点6との間の静電容量
(絶縁物中を介する部分)、C3は接地側金具3と絶縁
物1中の点6との間の静電容量(絶縁物中を介さない部
分)、C4は接地側金具3と絶縁物1中の点6との間の
静電容量(絶縁物中を介する部分)である。
【0005】図8(A)及び(B)は、図6の絶縁物中
の点6における直流電圧に対する電界分布を与える抵抗
及びその等価回路を示したものであり、電界分布は絶縁
物材質の特性の内、特に抵抗率の影響を大きく受ける。
すなわち、図に示すように、電界分布は絶縁物1の抵抗
(R1,R2)8の分布に対応して決まる。ここで、R
1は高電圧側金具2と絶縁物1中の点6との間の抵抗、
R2は接地側金具3と絶縁物1中の点6との間の抵抗で
ある。この場合の等電位線は、交流電圧に対する電位分
布とは違って、図9に示すように高電圧側金具2および
接地側金具3と絶縁物1との接続部9に向かって入り込
む傾向がある。これは、絶縁物と導体との接続部周辺の
電界が強くなることを示している。このように、一般
に、同じ絶縁物で同じ電極配置であっても、直流電圧に
対する電位分布と交流電圧に対する電位分布とは異なっ
ている。
【0006】近年、絶縁性ガスを充填した密閉容器内
に、絶縁物を用いて支持した導体を配置した構造のガス
絶縁高電圧機器が多く用いられる様になってきている。
このようなガス絶縁高電圧機器は、交流電圧送電系統だ
けでなく直流電圧送電系統にも適用されている。
【0007】直流系統に用いられる高電圧機器は勿論、
交流系統に用いられる高電圧機器においても、開閉装置
開放操作後の残留直流電圧が印加されることがある。例
えば図10に示すように、開放状態の遮断器10に隣接
する断路器11を開放する場合、遮断器10と断路器1
1との間の回路12には、図11に示す残留直流電圧1
3が発生する。特にガス絶縁高電圧機器においては、絶
縁性ガスの優秀な絶縁性能に起因して残留直流電圧の減
衰が小さく、交流電圧機器においても直流耐電圧特性が
重要になっている。
【0008】高電圧機器の電界分布は、交流電圧に対す
る電界分布においてだけでなく直流電圧に対する電界分
布においても、絶縁物と導体との接続部において、局所
的に電界が増大し易いことが知られており、これを防ぐ
ことが、高電圧機器の絶縁信頼性確保の上で重要なポイ
ントとなっている。この局所的な電界の増大を防ぐため
に、交流電圧に対しては、一般にシールド電極が用いら
れる。すなわち、図12(A)及び(B)の絶縁物中の
点6における交流電圧に対する電位を与える静電容量及
びその等価回路に示すように、絶縁物1と金具2との接
続部周辺の絶縁物に対する静電容量(C1,C2,C
3,C4)のうち高電圧側金具2と絶縁物1中の点6と
の間の静電容量(絶縁物中を介さない部分)C1が大き
いので、シールド電極を取り付けて、このシールド電極
と金具2とを接続しておく。これによって、静電容量分
圧で決まる導体と接続部周辺の絶縁物との間の電位差を
小さくすることができる。
【0009】また、直流電圧に対しては、図13(A)
及び(B)の絶縁物中の電界分布は絶縁物1の抵抗(R
1,R2,R3)8の分布に対応して決まるので、高電
圧側金具2または接地側金具3との接続部9周辺の絶縁
物1-1の断面積を他の部分の絶縁物1-2の断面積よりも
大きくするという対応を採ることが多い。一般に、体積
抵抗率が一様な物体の抵抗は、断面積を大きくすること
によって小さくなるので、接続部周辺の絶縁物1-1の抵
抗を他の部分の絶縁物1-2の抵抗よりも小さくすること
によって、抵抗分圧によって決まる高電圧側金具2また
は接地側金具3と絶縁物との接続部9周辺の間の電位差
14を小さくすることができる。この結果、等電位線4
は図14に示すように、高電圧側金具2および接地側金
具3と絶縁物1との接続部から離れることになり、接続
部9周辺の電界強度を低減することができる。
【0010】ガス絶縁高電圧開閉装置においては、開閉
のための動力を高電圧導体部へ伝達する絶縁物に、機械
的な強度を補強するためにガラス繊維やプラスチック繊
維を含浸したエポキシ含浸注形絶縁物が用いられてい
る。これらに対しても、上記と同様の接続部の電界低減
方法が施されることが多い。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来の電界低減方法には次の様な問題があった。ガス絶
縁高電圧機器の地下変電所等への適用の広まりに伴って
そのコンパクト化の要請はますます高まっており、寸法
が小さく耐電圧性能のすぐれた絶縁物の必要性が増して
いる。これに対して、絶縁物の断面積を増やして導体と
絶縁物との接続部の直流電界をコントロールする方法で
は絶縁物形状が大きくなってしまい、この要請に応えら
れなかった。
【0012】また、絶縁物の断面積を変化させるのでは
なく、エポキシ注形絶縁物の体積抵抗率を変化させる方
法も検討されているが、現状では上記要請に応える経済
的な技術が確立されるには至っていない。一方、図15
(A)及び(B)の断面図およびその等価回路に示すよ
うに、ガラス繊維やプラスチック繊維を含浸したエポキ
シ注形絶縁物の抵抗は、エポキシ樹脂16自体の抵抗R
1と、含浸された繊維とエポキシ樹脂との界面17の抵
抗R2と、繊維15自体の抵抗R3と、エポキシの外表
面18の抵抗R4の並列回路として表わされる。
【0013】一般に、エポキシ樹脂16自体の抵抗R1
やエポキシ樹脂の外表面の抵抗R4に比べて、繊維とエ
ポキシ樹脂との界面の抵抗R2および繊維自体の抵抗R
3は低く、絶縁物全体の抵抗を低下させる効果を持って
いる。このため、繊維とエポキシ樹脂との界面もしくは
ガラス繊維自体の抵抗がエポキシ注形絶縁物全体の抵抗
に大きく影響を与える。しかし、この様な界面の抵抗を
正確にコントロールすることは難しい。つまりエポキシ
注形品の体積抵抗率のコントロールおよび直流電位分布
のコントロールは極めて難しいものと言える。
【0014】以上述べたように、従来技術では、コンパ
クトで機械的強度が高く且つ耐直流電圧性能の優れた絶
縁物を提供することが難しかった。本発明(請求項1乃
至請求項5対応)は上記状況に鑑みてなされたもので、
その目的は高電圧機器に使用され、機械的強度および耐
直流電圧性能が優れかつコンパクトな高電圧機器用絶縁
物を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】高電圧機器の導体金具と
絶縁物との接続部周辺の直流電界を低減するためには、
接続部周辺の直流抵抗を他の部分よりも相対的に小さく
して、抵抗分圧で決まる接続部周辺の電位分担を小さく
して、絶縁物と導体金具との接続部に生じ易い局所的な
電界増大を抑制することが重要である。逆に接続部から
離れた部分の直流抵抗を相対的に高くしても同様の効果
を得ることができる。
【0016】本発明は上記の点を考慮したものであっ
て、本発明の請求項1は、ガラス繊維またはプラスチッ
ク繊維をエポキシ樹脂等で含浸注形することによって構
成された絶縁物に固定用の金具を取り付けた高電圧機器
用絶縁物において、前記金具と前記絶縁物との接合部周
辺に前記絶縁物よりも体積抵抗率の低い塗装剤を塗布し
た塗装膜を設け、前記金具から離れた前記絶縁物の周面
には前記塗装剤を塗布しない構造としたことを特徴とす
る。
【0017】請求項1によると、絶縁物の金具周辺の抵
抗値を金具から離れた部分の抵抗値よりも相対的に小さ
くすることができるので、抵抗分圧で決まる金具周辺の
絶縁物の直流電圧分担が低減され、この部分の直流電界
を低減することができる。
【0018】本発明の請求項2は、請求項1記載の高電
圧機器用絶縁物において、前記塗装剤の体積抵抗率と前
記塗装膜の膜厚とから算出される抵抗値が、前記絶縁物
の体積抵抗率と断面積とから算出される抵抗値よりも1
桁以上小さくなる様に前記塗装剤の抵抗率を小さくした
ことを特徴とする。
【0019】請求項2によると、絶縁物の直流電圧分担
は抵抗分布によって決定され、絶縁物の長さ当たりの抵
抗値は媒質の体積抵抗率と断面積とから決定される。し
たがって、絶縁物表面に塗布した塗装剤によって絶縁物
全体の直流電位分布を効果的に制御するためには、塗装
剤の単位長当たりの抵抗値を絶縁物の単位長当たりの抵
抗値よりも1桁以上小さくしておく必要がある。塗装膜
の体積抵抗率をコントロールしてこれを達成することに
よって、金具周辺の直流電圧分担を低減してこの部分の
直流電界を低減することができる。
【0020】本発明の請求項3は、請求項1記載の高電
圧機器用絶縁物において、前記塗装剤の体積抵抗率と前
記塗装膜の膜厚とから算出される抵抗値が、前記絶縁物
の体積抵抗率と断面積とから算出される抵抗値よりも1
桁以上小さくなる様に前記塗装膜の膜厚を厚くしたこと
を特徴とする。
【0021】請求項3によると、絶縁物の単位長当たり
の抵抗値は媒質の抵抗率と断面積とから決定される。絶
縁物表面に塗布した塗装剤によって絶縁物全体の直流電
位分布を効果的に制御するためには、塗装剤の抵抗値を
絶縁物の抵抗値よりも1桁以上小さくしておく必要があ
る。塗装剤の膜厚を厚くすることによって塗装剤の抵抗
値を絶縁物の抵抗値よりも1桁以上小さくする様にコン
トロールしてこれを達成することによって、金具周辺の
直流電圧分担を低減してこの部分の直流電界を低減する
ことができる。
【0022】本発明の請求項4は、請求項1記載の高電
圧機器用絶縁物において、前記金具に近い部分の前記塗
装膜の膜厚を、前記金具から離れた部分の前記塗装膜の
膜厚よりも厚くしたことを特徴とする。
【0023】請求項4によると、絶縁物の単位長当たり
の抵抗値は媒質の体積抵抗率と断面積とから決定され
る。絶縁物表面に塗布した塗装剤によって絶縁物全体の
直流電位分布を効果的に制御するためには、金具に近い
部分の塗装剤の抵抗値を金具から遠い部分に比べてより
小さくしておくことが効果的である。これによって金具
周辺の直流電圧分担を低減してこの部分の直流電界を低
減することができる。
【0024】本発明の請求項5は、請求項1記載の高電
圧機器用絶縁物において、前記金具に前記塗装剤との接
合面積を大きくするための溝を設けたことを特徴とす
る。請求項5によると、低抵抗塗装剤と金具との間の接
合面積を大きくすることによって、塗装膜と金具との間
の接触抵抗を小さくすることができるので、塗装による
金具周辺の直流電位分の低減効果をより確実にすること
ができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図を
参照して説明する。図1は本発明の第1実施例(請求項
1対応)の高電圧機器用絶縁物の構成図であり、同図
(A)は高電圧機器用絶縁物の断面図、同図(B)はそ
の等価回路図である。
【0026】図に示すように、本実施例の高電圧機器用
絶縁物1の両側は、接合部9を介して高電圧側金具2と
接地側金具3に接している。また、絶縁物1と高電圧側
金具2または接地側金具3との接合部周辺9-1には、塗
装剤が塗布され塗装膜19が設けられている。さらに、
両側の高電圧側金具2および接地側金具3から離れた絶
縁物の部分16には塗装膜19は設けられていない。
【0027】次に、本実施例の作用について説明する。
高電圧側金具2と接地側金具3との間の抵抗は、絶縁物
自体の抵抗R1と塗装剤が塗布された塗装膜19の抵抗
R2との並列回路として表わされるので、塗装膜19の
抵抗R2により金具周辺の絶縁物全体の抵抗を低下させ
る効果を持っている。このため、絶縁物1と導体金具
2,3との接合部周辺の分担電圧は小さくなる。この結
果、局所的に電界が増大し易い導体と絶縁物との接合部
周辺の電界を低減することができ、絶縁物の耐直流電圧
性能を向上させることができる。
【0028】本実施例によれば、絶縁物を太くすること
なしに、局所的に電界が増大しやすい導体と絶縁物との
接続部の電界を低減することができ、絶縁物の耐直流電
圧性能を向上させることができる。
【0029】図2は本発明の第2実施例(請求項2対
応)の高電圧機器用絶縁物の構成図であり、同図(A)
は高電圧機器用絶縁物の断面図、同図(B)は同図
(A)のX−X断面図である。
【0030】図に示すように、本実施例の高電圧機器用
絶縁物1は高電圧側金具2と接地側金具3との間に取り
付けられる。絶縁物1と高電圧側金具2または接地側金
具3との接合部周辺9-1には、塗装剤が塗布された塗装
膜19が設けられている。絶縁物の高電圧側金具2およ
び接地側金具3から離れた部分16には、この塗装剤を
塗布していない。さらに、塗装剤の体積抵抗率ρ2と膜
厚とから算出される単位長当たりの抵抗値が、絶縁物の
体積抵抗率ρ1と断面積とから算出される単位長当たり
の抵抗値よりも1桁以上小さくなる様、すなわち ρ1/ρ2>R2 /((d+R)2 −R2 )x0.1 となるように塗装剤の抵抗率を小さくしてある。
【0031】次に、本実施例の作用について説明する。
高電圧側金具2と接地側金具3との間の抵抗は、絶縁物
1の抵抗および塗装膜19の抵抗との並列回路として先
に示した図1と同様に表わされる。塗装膜19の抵抗
は、金具周辺の抵抗を低下させる効果を持っている。絶
縁物の抵抗R1に比べて、塗装膜19の抵抗R2を1桁
以上低くすると、この効果は一層大きくなる。
【0032】本実施例においては、塗装剤の体積抵抗率
を低くすることによってこれを実現している。この結
果、局所的に電界が増大しやすい導体と絶縁物との接続
部の電界を低減でき、絶縁物の耐直流電圧性能を向上さ
せることができる。
【0033】本実施例によれば、絶縁物を太くすること
なしに、局所的に電界が増大しやすい導体と絶縁物との
接続部の電界を低減することができ、絶縁物の耐直流電
圧性能を向上させることができる。
【0034】図3は本発明の第3実施例(請求項3対
応)の高電圧機器用絶縁物の構成図であり、同図(A)
は高電圧機器用絶縁物の断面図、同図(B)は同図
(A)のX−X断面図である。
【0035】図に示すように、本実施例の高電圧機器用
絶縁物1は高電圧側金具2と接地側金具3との間に取り
付けられる。絶縁物1と高電圧側金具2および接地側金
具3との接合部周辺9-1には、塗装剤が塗布された塗装
膜19が設けられている。絶縁物の高電圧側金具2およ
び接地側金具3から離れた部分16には、この塗装膜を
設けていない。さらに、塗装剤の体積抵抗率ρ2と塗装
膜とから算出される単位長当たりの抵抗値が絶縁物の体
積抵抗率ρ1と断面積とから算出される単位長当たりの
抵抗値よりも1桁以上小さくなる様に、すなわち ((d+R)2 −R2 )/R2 >ρ2/ρ1x0.1 となるように塗装膜の膜厚を厚くしてある。
【0036】次に、本実施例の作用について説明する。
高電圧側金具2と接地側金具3との間の抵抗は、絶縁物
1の抵抗および塗装膜19の抵抗との並列回路として先
に示した図1と同様に表わされる。塗装膜19の抵抗
は、金具周辺の抵抗を低下させる効果を持っている。絶
縁物の抵抗R1に比べて塗装膜の抵抗R2を1桁以上低
くすると、この効果は一層大きくなる。
【0037】本実施例においては、塗装膜の膜厚を厚く
することによってこれを実現している。この結果、局所
的に電界が増大しやすい導体と絶縁物との接続部の電界
を低減でき、絶縁物の耐直流電圧性能を向上することが
できる。
【0038】本実施例によれば、絶縁物を太くすること
なしに、局所的に電界が増大しやすい導体と絶縁物との
接続部の電界を低減することができ、絶縁物の耐直流電
圧性能を向上させることができる。
【0039】図4は本発明の第4実施例(請求項4対
応)の高電圧機器用絶縁物の断面図である。図に示すよ
うに、本実施例の高電圧機器用絶縁物1は高電圧側金具
2と接地側金具3との間に取り付けられる。絶縁物1と
高電圧側金具2または接地側金具3との接合部周辺9-1
には、塗装剤が塗布され塗装膜19を形成している。絶
縁物の高電圧側金具2および接地側金具3から離れた部
分16には塗装膜は設けていない。塗装剤の体積抵抗率
と塗装膜の膜厚とから算出される単位長当たりの抵抗値
が、絶縁物の体積抵抗率と断面積とから算出される単位
長当たりの抵抗値よりも1桁以上小さくなる様に塗装剤
の体積抵抗率や塗装膜の膜厚を調整してある。さらに、
金具に近い部分の塗装膜の膜厚を金具から離れた部分の
塗装膜の膜厚よりも厚くしてある。
【0040】次に、本実施例の作用について説明する。
高電圧側金具と接地側金具との間の抵抗は、絶縁物の抵
抗および塗布された塗装剤の抵抗との並列回路として先
に示した図1と同様に表わされる。塗装膜の抵抗は、金
具周辺の抵抗を低下させる効果を持っている。このと
き、塗装膜の金具に近い部分の膜厚を金具から離れた部
分の膜厚よりも厚くしておくと、金具周辺の抵抗値は他
の部分の抵抗値に比べて一層低下する。この結果、局所
的に電界が増大しやすい導体と絶縁物との接続部の電界
を低減でき、絶縁物の耐直流電圧性能を向上させること
ができる。
【0041】本実施例によれば、機械的強度を保ちなが
ら、絶縁物を太くすることなしに、局所的に電界が増大
しやすい導体と絶縁物との接続部の電界を低減できるコ
ンパクトな高電圧機器用絶縁物を、経済的な方法で提供
することができる。
【0042】図5は本発明の第5実施例(請求項5対
応)の高電圧機器用絶縁物の構成図であり、同図(A)
は高電圧機器用絶縁物の断面図、同図(B)はその等価
回路図である。
【0043】図に示すように、本実施例の高電圧機器用
絶縁物1は、高電圧側金具2と接地側金具3との間に取
り付けられる。絶縁物1と高電圧側金具2または接地側
金具3との接合部周辺9-1には、塗装剤が塗布された塗
装膜19が設けられている。このとき、絶縁物の高電圧
側金具2および接地側金具3から離れた部分16には、
塗装膜は設けられていない。さらに、高電圧側金具2お
よび接地側金具3には、溝20が設けられており、塗装
剤はこの溝の中にまで塗布されている。
【0044】次に、本実施例の作用について説明する。
接触抵抗まで考慮した場合、高電圧側金具から絶縁物を
介して接地側金具にいたる回路の抵抗は、金具と絶縁物
との接触抵抗RC、絶縁物の抵抗R1および塗布された
塗装膜の抵抗R2との並列回路として図の様に表わされ
る。塗装膜の抵抗R2は、金具周辺の抵抗を低下させる
効果を持っている。金具と絶縁物との接触抵抗を小さく
すると、この効果は一層大きくなる。
【0045】本実施例においては、塗装膜と金具との接
触面積を大きくすることによってこれを実現している。
この結果、局所的に電界が増大しやすい導体と絶縁物と
の接続部の電界を低減でき、絶縁物の耐直流電圧性能を
向上することができる。
【0046】本実施例によれば、機械的強度を保ちなが
ら、絶縁物を太くすることなしに、局所的に電界が増大
しやすい導体と絶縁物との接続部の電界を低減できるコ
ンパクトで、かつ経済的な高電圧機器用絶縁物を提供す
ることができる。
【0047】
【発明の効果】以上説明したように、本発明(請求項1
乃至請求項5対応)によれば、機械的な強度を保ちなが
ら、直流電圧印加に対して局所的に電界の増大しやすい
絶縁物と導体金具との接続部の直流電界を絶縁物を太く
しないで効果的に低減することが可能になるため、耐直
流電圧性能の優れたコンパクトな高電圧機器用絶縁物を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の高電圧機器用絶縁物の構
成図であり、同図(A)は高電圧機器用絶縁物の断面
図、同図(B)はその等価回路図。
【図2】本発明の第2実施例の高電圧機器用絶縁物の構
成図であり、同図(A)は高電圧機器用絶縁物の断面
図、同図(B)は同図(A)のX−X断面図。
【図3】本発明の第3実施例の高電圧機器用絶縁物の構
成図であり、同図(A)は高電圧機器用絶縁物の断面
図、同図(B)は同図(A)のX−X断面図。
【図4】本発明の第4実施例の高電圧機器用絶縁物の断
面図。
【図5】本発明の第5実施例の高電圧機器用絶縁物の構
成図であり、同図(A)は高電圧機器用絶縁物の断面
図、同図(B)はその等価回路図。
【図6】従来の高電圧機器用絶縁物の交流電圧に対する
電位分布の概念図。
【図7】同図(A)及び(B)は、図6の絶縁物中の任
意点における交流電圧に対する電位を与える静電容量を
示す図及びその等価回路図。
【図8】同図(A)及び(B)は、図6の絶縁物中の任
意点における直流電圧に対する電界分布を与える抵抗を
示す図及びその等価回路図。
【図9】図8の従来の絶縁物中の等電位線を示す図。
【図10】従来の回線で断路器開放時の回路図。
【図11】図10の断路器開放時の残留直流電圧を示す
波形図。
【図12】同図(A)及び(B)は、図9の絶縁物中の
任意点における交流電位分布の改善を示す図及びその等
価回路図。
【図13】同図(A)及び(B)は、図9の絶縁物にお
ける直流電位分布の改善を示す図及びその等価回路図。
【図14】従来の高電圧機器用絶縁物の直流電位分布の
改善の効果を説明するための図。
【図15】高電圧機器用絶縁物の抵抗構成要素の断面図
とその等価回路図。
【符号の説明】
1…絶縁物、2…高電圧側導体、3…接地側導体、4…
等電位線、5…静電容量、6…絶縁物中の点、7…印加
電圧、8…絶縁物の抵抗、9…接合部、9-1…接合部周
辺、10…遮断器、11…断路器、12…断路器と遮断
器との間の回路、13…残留直流電圧、14…電位差、
15…繊維、16…エポキシ樹脂、17…エポキシ樹脂
と繊維との界面、18…エポキシ外表面、19…塗装
膜、20…溝。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス繊維またはプラスチック繊維をエ
    ポキシ樹脂等で含浸注形することによって構成された絶
    縁物に固定用の金具を取り付けた高電圧機器用絶縁物に
    おいて、前記金具と前記絶縁物との接合部周辺に前記絶
    縁物よりも体積抵抗率の低い塗装剤を塗布した塗装膜を
    設け、前記金具から離れた前記絶縁物の周面には前記塗
    装剤を塗布しない構造としたことを特徴とする高電圧機
    器用絶縁物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の高電圧機器用絶縁物にお
    いて、前記塗装剤の体積抵抗率と前記塗装膜の膜厚とか
    ら算出される抵抗値が、前記絶縁物の体積抵抗率と断面
    積とから算出される抵抗値よりも1桁以上小さくなる様
    に前記塗装剤の抵抗率を小さくしたことを特徴とする高
    電圧機器用絶縁物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の高電圧機器用絶縁物にお
    いて、前記塗装剤の体積抵抗率と前記塗装膜の膜厚とか
    ら算出される抵抗値が、前記絶縁物の体積抵抗率と断面
    積とから算出される抵抗値よりも1桁以上小さくなる様
    に前記塗装膜の膜厚を厚くしたことを特徴とする高電圧
    機器用絶縁物。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の高電圧機器用絶縁物にお
    いて、前記金具に近い部分の前記塗装膜の膜厚を、前記
    金具から離れた部分の前記塗装膜の膜厚よりも厚くした
    ことを特徴とする高電圧機器用絶縁物。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の高電圧機器用絶縁物にお
    いて、前記金具に前記塗装剤との接合面積を大きくする
    ための溝を設けたことを特徴とする高電圧機器用絶縁
    物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016143474A (ja) * 2015-01-30 2016-08-08 三菱電機株式会社 電気装置および開閉装置

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