JP2000292530A - レーダ装置 - Google Patents

レーダ装置

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JP2000292530A
JP2000292530A JP11103245A JP10324599A JP2000292530A JP 2000292530 A JP2000292530 A JP 2000292530A JP 11103245 A JP11103245 A JP 11103245A JP 10324599 A JP10324599 A JP 10324599A JP 2000292530 A JP2000292530 A JP 2000292530A
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obstacle
mode
transmission
modulation
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JP11103245A
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English (en)
Inventor
Eiichi Kato
栄一 加藤
Koichi Machida
耕一 町田
Hiroyuki Ishizaka
宏幸 石坂
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Hino Motors Ltd
Original Assignee
Hino Motors Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】自動車用レーダ装置として利用される二つの周
波数変調方式(FMCW方式および二周波CW方式)の
短所を互いに補足して利用する。 【構成】この二つの周波数変調方式をプログラム制御回
路により切換えて利用する。特に、レーダ装置との相対
速度がほとんど零になったときに、相互補正を行い表示
が消滅することがないようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、先行路上に存在す
る障害物までの路上距離および速度を識別するための自
動車用レーダ装置として開発されたものであるが、自動
車用以外にも広く利用することができる。本発明は、一
つの周波数変調方式によるレーダ装置に、二つの異なる
レーダ動作モードを切換えて実行する制御回路を実装
し、利用場面に応じて二つのレーダ動作モードを切換え
て利用する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】先行路上に存在する先行車両などの障害
物までの距離および速度を識別するための自動車用レー
ダ装置として、周波数変調方式によるレーダ装置が広く
知られている。その最も有名な方式であるFMCW方式
(Frequency Modulation Continuous Wave) は、連続的
に送信する送信信号を三角波または鋸歯状波で周波数変
調し、受信される反射波周波数と送信周波数との差分周
波数に相当するビート信号を検出して、目標までの距離
および目標との相対速度を検出するものである。すなわ
ち、目標までの距離が大きいときには、送信から受信ま
での時間が長いからその間に変調周波数が変化してい
て、ビート信号の周波数が高くなり、目標までの距離が
小さいときには、送信から受信までの時間が短いから、
ビート信号の周波数が低くなる。したがってビート信号
の周波数を観測することにより、目標までの距離がわか
り、ビート信号周波数の変動を観測することにより、目
標との相対速度がわかる。
【0003】さらに実用的なFMCW方式の原理を説明
すると、送信アンテナから図7(a)に実線で示すよう
に、時間の経過に対してほぼ直線的に周波数が周期的に
変化する周波数変調信号を送信する。この例では、中心
周波数f0 、周波数偏位ΔFの周波数変調信号を変調周
期が1/fmとなるようにして(変調周波数fm)送信
する。図7の横軸は時間軸であり、縦軸は周波数を示
す。この送信波が目標物に反射して、送信アンテナとほ
とんど等しい位置に配置された受信アンテナに到来する
と、その受信信号は時間T=2R/cだけ時間が遅れ
て、破線で示すような周波数変調波となる。ここで、R
は送信または受信アンテナから目標物までの距離、cは
光速を表す。したがって、受信信号と送信信号を混合し
て検波すると、その周波数差がビート信号として検出さ
れる。このビート信号はレーダ装置と目標物との相対速
度が零であるとき、図7(b)のようになる。この図7
(b)の横軸は同図(a)と同一の時間軸であり、縦軸
はビート周波数を表す。
【0004】レーダ装置と目標物との間に相対速度Vが
あると、送信信号と受信信号との関係は図8(a)のよ
うになり、ビート周波数は図8(b)のようになる。す
なわち、受信されるビート周波数の平均値からレーダ装
置と目標物との距離がわかり、ビート周波数の変動幅か
ら相対速度Vを知ることができる。
【0005】周波数変調方式による別の方式として、二
周波CW方式と呼ばれるものがある。この方式は、Δf
離れた二つの周波数を交互に送信し、あるいは送信信号
に変調周波数Δfの周波数変調を施して送信し、受信さ
れる反射波と送信波との周波数差を検出するものであ
る。目標までの距離は到来する反射波との時間差により
検出され、目標との相対速度はドップラ周波数により検
出する。
【0006】すなわち、周波数変調を行う二周波CW方
式は、図9(a)に実線で示すような周波数変調された
信号を送信する。これが目標物に反射して受信されると
図9(a)の破線で示すように時間Tだけ遅れる。一
方、この送信信号と受信信号との差周波数すなわちビー
ト周波数は、図9(b)のようになる。このビート周波
数が大きく変動する時間幅Tはレーダ装置と目標物との
間の距離Rに比例し、 T=2R/c となる。cは光速である。図9(b)に示す時間Trに
現れるビート周波数fdは、ドップラ効果に基づく周波
数である。
【0007】送信する二つの送信波の位相差をΔφとす
れば、レーダ装置と目標物との間の距離Rは、 R=C・Δφ/4π・Δf により求めることができる。
【0008】また、送信周波数をf0 、ドップラ周波数
をfdとすれば、目標物との相対速度Vは、 V=C・fd/2・f0 により求めることができる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記FMCW方式で
は、図7(a)に示す送信信号の三角波で表される周波
数の変化が時間の変化に対して直線的でないと、同図
(b)に表されるビート周波数frは平坦にならない。
これは図8に示す相対速度についても同様である。発振
周波数の変化を時間に対して直線的にするには、発振器
を構成するバラクタダイオードへの印加電圧変化をダイ
オードの特性に合わせて補償することが必要であり、複
雑な回路を必要とすることになり、高価になるとともに
回路規模が大型化する。
【0010】一方上記二周波CW方式では、二つの周波
数のみを使用するので周波数変化の直線性とは無関係で
ある。また変調周波数はΔfだけ周波数の異なる二周波
数を切換えればよいのであるから、その変調制御回路の
構成は簡単である。しかしこの方式は本質的にドップラ
レーダであるから、相対速度が零に近くなるとビート周
波数を検出することが不可能になる。すなわち、図9で
レーダ装置と目標物との相対速度が零になると、ビート
周波数としてΔfは検出されるが、周波数および位相情
報を得るための時間Trにわたりビート周波数fbは検
出されないことになるので、相対速度が零のときにはレ
ーダ装置と目標物との距離が検知不能となることにな
る。
【0011】本発明はこのような背景に行われたもので
あって、回路構成が簡単であり、しかも相対速度が零に
近くなったときにも検知することができるレーダ装置を
提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、送信波の周波
数を二つの異なる変調方式を交互に選択して送信し、そ
れぞれの方式の利点を活用して相対速度が零近傍になる
領域を含めて高い精度で車間距離を計測できるように構
成したことを特徴とする。
【0013】すなわち、本発明の第一の特徴は、送信周
波数を変調する手段と、その送信周波数に対応して受信
反射波の周波数または位相を識別する手段とを含むレー
ダ装置において、その送信周波数を変調する手段は、二
つの周波数を交互に送信する第一のモード(二周波C
W)と、時間の経過とともに周波数を掃引する第二のモ
ード(FMCW)とを切換える制御手段を含むことを特
徴とする。
【0014】この制御手段はプログラム制御回路による
ことが望ましい。
【0015】この制御手段は、前記第一のモード(二周
波CW)でm回の周波数切換を行い、ついで前記第二の
モード(FMCW)でn回の周波数掃引を行う手段を含
む構成とすることができる。
【0016】このmおよびnを可変に設定することがで
きる。この制御手段は、障害物の識別能力に応じて前記
mとnの比率を変更するように構成することができる。
【0017】この制御手段は、障害物の識別能力に応じ
て前記第二のモードの変調周波数幅、変調信号の繰り返
し周波数、および変調周波数の上限および下限の変化の
組み合わせを変更するように構成することができる。
【0018】このmとnの比率を手動で可変に設定する
構成とすることができる。
【0019】二周波CW方式による第一のモードを設定
したときは、時間の経過とともに二つの周波数を交互に
切り換え、障害物との相対速度をドップラ周波数により
演算し、障害物との距離を二つの周波数の位相差により
演算する。
【0020】FMCW方式による第二のモードを設定し
たときは、時間の経過に対してほぼ直線的に周波数が周
波数変調信号を周期的に送信し、この送信波の反射波を
受信し送信波の一部と混合して検波する。この検波した
受信波の周波数差をビート信号として検出し、そのビー
ト周波数の平均値から障害物との距離を演算するととも
に、ビート周波数の変動幅から障害物との相対速度を演
算する。
【0021】この第一のモードおよび第二のモードの切
換え設定はプログラム制御回路が行う。すなわち、第一
のモードを設定し二周波CW方式により二つの周波数の
送信をm回切換えた後に、第二のモードを設定しFMC
W方式によりn回の周波数掃引を行う。この切換え動作
はレーダ装置の動作中の時間にわたり繰り返して自動的
かつ継続的に行う。
【0022】二つの周波数を切換える切換え回数mおよ
び周波数を掃引する掃引回数nは可変に設定できるよう
に構成すると、そのときの走行状況における障害物の識
別能力に応じて、周波数切換え回数mと周波数掃引回数
nの比率を変更することができる。すなわち、相対速度
が零近傍の場合には二周波CW方式での識別能力が小さ
くなるので、周波数切換え回数mを小さくして周波数掃
引回数nを大きくする。また、相対速度が零近傍以外の
ときにはFMCW方式での識別能力が小さくなるので、
周波数切換え回数mを大きくして周波数掃引回数を小さ
くする。
【0023】さらに、そのときの走行状況における障害
物の識別能力に応じて、第二のモード設定時のFMCW
方式による送信の変調周波数幅、変調信号の繰り返し周
波数、変調周波数の高低の変化の組合せを変更すること
ができる。このような制御を行うことにより、目標まで
の距離および目標との相対速度の検出精度を高くするこ
とができるとともに、目標との相対速度が零になった状
態が長くつづくような場合にも、目標を見失うようなこ
とをなくすることができる。
【0024】相対速度が零になっている目標について
は、自車両との衝突や交差には直接関係がないので、そ
の目標までの距離の検出に多少の誤差が発生していても
それは実用上は許容することができる。また、相対速度
が零になった目標に対しては、FMCW方式により目標
が確認されているときには、その二周波CW方式により
検出が可能であった直前の距離検出値をひきつづき表示
させる構成とすることができる。このようにして、FM
CW方式の周波数の直線性を向上させるために高価な回
路を採用しなくとも、また相対速度が零に等しくなった
ときにも目標を見失うことがなくなり、実用的に十分に
対応することができる。
【0025】第一のモードおよび第二のモードにおける
送信回数mおよびnの選択設定を運転者の操作によって
も行える構成にしておけば利用上便利である。これによ
り、運転者が相対速度によるレーダの検知能力の不足を
感じたときには、mn値を変更することによって、二つ
のモードの特性値の重み付けを変える操作を行うことが
できる。
【0026】本発明の第二の特徴は、このようなレーダ
装置による障害物の検出を自動的に行うものである。特
にレーダ装置との相対速度が零である障害物についてそ
の真偽を自動的に判定するものである。
【0027】すなわち本発明は、送信周波数を変調する
手段と、その送信周波数に対応して受信反射波の周波数
または位相を識別する手段とを含み、その送信周波数を
変調する手段には、二つの周波数のいずれかを切換えて
送信する第一のモード(二周波CW)と、時間の経過と
ともに周波数を掃引する第二のモード(FMCW)とを
切換えて利用する手段を含むレーダ装置において、前記
第一のモード(二周波CW)および前記第二のモデル
(FMCW)でそれぞれ障害物の識別情報を取込む第一
の処理手段と、このレーダ装置に対する相対速度がほと
んど零である障害物が検出される場合には、前記第二の
モードでの障害物の情報を前記第一のモードでの障害物
の情報と照合しその距離値を修正する第二の処理手段と
を備えたことを特徴とする。
【0028】さらに本発明の装置は、前記第二の手段に
より修正された相対速度がほとんど零である障害物の情
報を時系列的に蓄積する第三の処理手段と、新たに検出
された相対速度がほとんど零である障害物をこの第三の
処理手段に蓄積された情報と照合する第四の処理手段と
を含む構成とすることができる。
【0029】さらにこの装置は、検出された相対速度が
ほとんど零である障害物について、あらかじめ設けられ
た判定マップ情報にしたがって表示の要否を判定する第
五の処理手段を設けることができる。
【0030】すなわちこの装置では、第一のモードで二
周波CW方式により二つの周波数の送信波をm回放射し
その反射波から障害物の情報を取込む。次いで、第二の
モードでFMCW方式により時間の経過とともに掃引さ
れた周波数の送信波をn回放射しその反射波から障害物
の情報を取込む。この取込んだ障害物の情報から相対速
度が零でない障害物については、第一のモードでの検出
出力を有効にして注目する障害物のデータとして出力す
る。また、相対速度がほとんど零となる障害物がある場
合には、第一のモードでの二周波CW方式では検出する
ことができないので、第二のモードでのFMCW方式に
より障害物を検出し注目する障害物のデータを出力す
る。
【0031】この第一のモードおよび第二のモードによ
る障害物の情報は時系列的に蓄積し、蓄積された障害物
情報と順次対比して障害物であるか否かの判定を行う構
成とすることができる。この注目障害物の判定では、前
方の一定以上の距離にある障害物や所定の角度より外側
にある障害物は障害物データとして必要ないものである
ので出力データから除去する。これは、あらかじめ備え
られた注目障害物判定マップに基づいて行われる。
【0032】本発明の装置は、前述したように、二つの
周波数変調方式を交互に利用するものであるが、送受信
装置のハードウエアは一系統でよい。すなわち変調周波
数の制御はソフトウエアにより実行するので、二周波数
CW方式による従来装置からそのハードウエアを変更す
ることなくソフトウエアを変更することにより本発明を
実施することができる。
【発明の実施の形態】
【実施例】(第一実施例)図1は本発明第一実施例の要
部の構成を示すブロック図である。図2は本発明第一実
施例の送信周波数の変化を示す動作タイミング図であ
る。
【0033】本発明第一実施例は、送信周波数を制御す
る送信周波数制御手段1と、この送信周波数制御手段1
が送信する送信周波数に対応して受信反射波の周波数を
識別する受信周波数識別手段2とが備えられる。
【0034】送信周波数制御手段1は、プログラム制御
回路11と、このプログラム制御回路11の制御にした
がって変調制御を行う変調制御手段12と、この変調制
御手段12の制御にしたがって送信波を発生する発振器
13と、この発振器13からの送信波に方向性を与える
方向性結合器14と、発振器13からの送信波を先行車
両3に向けて送信する送信アンテナ15とにより構成さ
れる。
【0035】プログラム制御手段11には、その送信周
波数として二つの周波数を用いる第一のモード(二周波
CW)を設定する手段と、その送信周波数として時間の
経過とともに掃引した周波数を用いる第二のモード(F
MCW)を設定する手段と、第一のモード(二周波C
W)でm回の周波数切換を行い、ついで第二のモード
(FMCW)でn回の周波数掃引を行う手段と、障害物
の識別能力に応じて前記mとnの比率を変更する手段
と、障害物の識別能力に応じて第二のモードの変調周波
数幅、変調信号の繰り返し周波数、変調周波数の高低の
変化の組み合わせを変更する手段と、前記mとnとの比
率を手動で可変に設定する手段とが含まれる。このmま
たはnは可変に設定することができる。
【0036】受信周波数識別手段2は、先行車両3など
の障害物からの反射波を受信する受信アンテナ21と、
この受信アンテナ21が受信した反射波と方向性結合器
14からの送信波の一部とを混合する混合器23と、こ
の混合器23の出力を増幅する増幅器24と、この増幅
器24からの受信波の周波数および位相の識別を行いプ
ログラム制御回路11に送出する受信信号識別手段25
とにより構成される。
【0037】次に、このように構成された本発明第一実
施例の動作について説明する。図3は本発明第一実施例
におけるプログラム制御回路による送信周波数制御動作
の流れを示すフローチャートである。
【0038】プログラム制御回路11は、操作入力によ
るマニュアル情報を受けると、このマニュアル情報にか
かわるマニュアル設定データを読出し、第一のモード
(二周波CW)での周波数切換え回数mおよび第二のモ
ード(FMCW)での周波数掃引回数nの重み付けを行
い、操作入力情報に基づく切換え回数mおよび掃引回数
nを設定する。
【0039】この切換え回数mおよび掃引回数nが設定
されると、まず第一のモードを設定して変調制御手段1
2に第一のモード設定信号を送出する。変調制御手段1
2はこの設定信号にしたがって発振器13を制御し送信
アンテナ15から時間の経過とともに二つの周波数を交
互に切換える二周波CW方式による送信を行う。
【0040】送信波は自車両前方の障害物に当たって反
射波となって戻される。この反射波は受信アンテナ21
により受信され、混合器23で方向性結合器14からの
送信波の一部と混合される。混合された受信波は増幅器
24で増幅され受信信号識別手段25に送出される。受
信信号識別手段25は受信波の周波数および位相の識別
を行いその識別情報をプログラム制御回路11および障
害物判定手段4に送出する。
【0041】障害物判定手段4はこの識別情報とプログ
ラム制御回路11からの制御情報に基づき目標となる障
害物の有無を判定する。目標となる障害物がある場合に
はその相対速度、車間距離およびその状態での危険度を
含む障害物データを演算して蓄積する。
【0042】この二周波CW方式により検出される車間
距離Rは、光速をC、二つの送信波の位相差をΔφ、二
つの送信波の周波数差をΔfとすると、 R=C・Δφ/4π・Δf により演算される。
【0043】また、相対速度Vは、ドップラ周波数をf
d、送信周波数をf0 とすると、 V=C・fd/2・f0 により演算される。
【0044】プログラム制御回路11は、第一のモード
での二周波CW方式による周波数切換え回数がm回に達
したときに第二のモードを設定する。この第二のモード
での送信はFMCW方式により行う。すなわち、プログ
ラム制御回路11は、変調制御手段12に第二のモード
設定信号を送出し、変調制御手段12はこの設定信号に
したがって発振器13を制御して送信アンテナ15から
時間の経過とともに送信周波数をあらかじめ定めた最大
周波数と最小周波数との間を掃引しながら送信する。
【0045】この第二のモードによる送信の場合も、自
車両前方に障害物がある場合には送信波が反射波となっ
て戻される。この反射波は受信アンテナ21により受信
され、混合器22で方向性結合器14からの送信波の一
部と混合される。混合された受信波は増幅器24で増幅
され受信信号識別手段25に送出される。受信信号識別
手段25は受信波の周波数および位相の識別を行いその
識別情報をプログラム制御回路11および障害物判定手
段4に送出する。
【0046】障害物判定手段4はこの識別情報とプログ
ラム制御回路11からの制御情報に基づき障害物の有無
を判定する。障害物がある場合には相対速度、車間距離
およびその状態での危険度を含む障害物データを演算し
て蓄積する。
【0047】このFMCW方式により求められる車間距
離Rは、光速をC、FM変調の周波数が増加する区間の
ビート周波数をfb1、FM変調の周波数が減少する区
間のビート周波数をfb2、最大周波数偏移幅をΔF、
繰返し周波数をfmとすると、 R=C(fb1+fb2)/8・ΔF・fm により演算される。
【0048】また、相対速度Vは、送信周波数をf0 と
すると、 V=C(fb2−fb1)/4・f0 により演算される。
【0049】プログラム制御回路11は、この第二のモ
ードでのFMCW方式により蓄積した障害物データを取
込み、障害物の有無の判定を行い、障害物がある場合に
は車間距離および相対速度から注目すべき障害物がある
か否かを判定する。注目すべき障害物があれば変調特性
設定値を見直して、車間距離警報装置、車間クルーズ装
置などの制御装置へ注目障害物データを送出する。
【0050】ここで、プログラム制御回路11による障
害物データの判定動作について説明する。図4は本発明
実施例におけるプログラム制御回路による障害物判定動
作の流れを示すフローチャートである。
【0051】プログラム制御回路11は、第一のモード
で二周波CW方式により得られた障害物蓄積データと、
第二のモードでFMCW方式により得られた障害物蓄積
データとを読出し、相対速度が零を示す障害物があるか
否かを判定する。
【0052】相対速度が零を示す障害物がない場合に
は、第一のモードでの二周波CW方式によるデータを用
いて、蓄積された過去の障害物データとの対比を行い障
害物の有無を判定する。また、相対速度が零近傍の障害
物がある場合には、第二のモードでのFMCW方式によ
るデータを用いて、蓄積された過去の障害物データとの
対比を行い障害物の有無の判定を行う。
【0053】この障害物の有無の判定では、あらかじめ
備えられた注目障害物判定マップを参照して、障害物と
の距離、自車の速度、障害物となる先行車両の速度、横
方向の位置などから現在の相対速度および車間距離によ
って示される危険の程度を判定する。この判定により得
られた注目障害物データは車間距離警報装置、車間クル
ーズ装置などの制御装置に出力する。
【0054】プログラム制御回路11は、この注目障害
物の判定後に変調特性マップを参照して車間距離、自車
両の速度、障害物となる先行車両との相対速度、横方向
の位置などから二周波CW方式およびFMCW方式の変
調特性設定値の見直しを行い、変更の必要があるか否か
を判定する。変更の必要がある場合は、周波数切替え回
数mおよび周波数掃引回数nの値、変調周波数の幅およ
び変調繰り返し周波数の変更を行う。
【0055】この変調特性設定値の見直しは障害物の識
別能力に応じて自動的に行う。すなわち、相対速度が零
近傍のときには第一のモードでの二周波CW方式による
障害物の識別能力は低下する。このような状態のときに
は二周波CW方式の周波数切替回数mを小さくして第二
のモードでのFMCW方式の周波数掃引回数nを大きく
する。相対速度が零近傍以外のときにはFMCW方式に
よる障害物の識別能力は低下するので、二周波CW方式
の周波数切替え回数mを大きくしてFMCW方式の周波
数掃引回数nを小さくする。
【0056】さらに、第二のモードでのFMCW方式に
よる周波数掃引を行っているときに相対速度が変化する
と障害物識別能力が変化するので、このような状態のと
きには第二のモードでの変調周波数幅、変調信号の繰り
返し周波数、変調周波数の高低の変化の組み合わせを変
更する。
【0057】FMCW方式による送受信波は、三角波の
直線性精度が相対速度精度および車間距離精度に影響を
与えるが、この方式は相対速度が零近傍での障害物の有
無の検知、すなわち三角波変調によるビート周波数の有
無の測定のみに利用されるので、三角波の直線性が悪く
てもその影響はない。
【0058】また、FMCW方式の変調幅は二周波CW
方式の変調幅と同じ(約800kHz)であれば十分に
機能をはたすことができるので、一つの発振器から両方
式による送信波を発生させることができる。
【0059】プログラム制御回路11は、二周波CW方
式の周波数切替え回数mおよびFMCW方式の周波数掃
引回数nが操作入力により設定されたときには、その設
定値にしたがって周波数切替えおよび周波数掃引を行
う。
【0060】本第一実施例では図1に示すように送信ア
ンテナ15および受信アンテナ21の二つのアンテナを
備えた例について説明したが、サーキュレータを使用す
るなどの方策により、送信アンテナ15および受信アン
テナ21を共用した一つのアンテナで構成することがで
きる。
【0061】(第二実施例)本発明第二実施例は、図1
に示す第一実施例同様に構成され、図5に示すように、
二周波CW方式による第一のモードで二つの周波数の切
換えをm回行い、続いて、FMCW方式による第二のモ
ードで時間の経過とともにあらかじめ定められた周波数
までの上昇方向の周波数掃引をn回行う。これを連続し
て繰り返す。本第二実施例の場合も障害物の判定および
変調特性設定値の見直しは第一実施例同様に行われる。
【0062】図5にはFMCW方式による周波数掃引を
上昇方向に行うことが示されているが、高い周波数から
低い周波数への下降方向に掃引することもでき、この場
合も同様の効果を得ることができる。
【0063】(第三実施例)本発明第三実施例は、図1
に示す第一実施例同様に構成され、図6に示すように、
二周波CW方式による第一のモードで二つの周波数の切
替えをm回行い、続いて、FMCW方式による第二のモ
ードで時間の経過とともにあらかじめ定められた最大周
波数まで上昇方向に掃引し、この最大周波数に達したと
きにあらかじめ定められた最小周波数まで下降方向に掃
引するサイクルをn回行う。これを連続して繰り返す。
本第三実施例の場合も変調周波数幅および繰り返し周波
数を障害物の識別能力に応じて変更することが可能であ
り、障害物の判定および変調特性設定値の見直しも第一
実施例同様に行われる。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、安
価な構成で高い精度の検知性能が得られる二周波CW方
式と、相対速度が零のときにも障害物を検知することが
できるFMCW方式とを組合せることにより、それぞれ
の方式のもつ利点を生かしたレーダ装置を簡単な回路構
成で実現することができる。これにより、通常の走行状
態においては、他車から送信される電波に影響されない
高精度の車間距離検知を行うことができ、また、相対速
度が零近傍になったときにも障害物を確実に検知するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の要部の構成を示すブロック図。
【図2】本第一実施例の送信周波数の変化を示す動作タ
イミング図。
【図3】本発明第一実施例におけるプログラム制御回路
による送信周波数制御動作の流れを示すフローチャー
ト。
【図4】本発明第一実施例におけるプログラム制御回路
による障害物判定動作の流れを示すフローチャート。
【図5】本発明第二実施例の送信周波数の変化を示す動
作タイミング図。
【図6】本発明第三実施例の送信周波数の変化を示す動
作タイミング図。
【図7】(a)はFMCW方式による相対速度が零のと
きの送・受信波の波形を示す図、(b)はそのビート信
号の波形を示す図。
【図8】(a)はFMCW方式による相対速度があると
きの送・受信波の波形を示す図、(b)はそのビート信
号の波形を示す図。
【図9】(a)は二周波CW方式による送・受信波の波
形を示す図、(b)はそのビート信号の波形を示す図。
【符号の説明】
1 送信周波数制御手段 2 受信周波数識別手段 3 先行車両(障害物) 11 プログラム制御回路 12 変調制御手段 13 発振器 14 方向性結合器 15 送信アンテナ 21 受信アンテナ 23 混合器 24 増幅器 25 受信信号識別手段
フロントページの続き (72)発明者 石坂 宏幸 東京都日野市日野台3丁目1番地1 日野 自動車工業株式会社内 Fターム(参考) 5J070 AB17 AC04 AC06 AD02 AE01 AF03 AK22

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 送信周波数を変調する手段と、その送信
    周波数に対応して受信反射波の周波数または位相を識別
    する手段とを含むレーダ装置において、 前記送信周波数を変調する手段は、二つの周波数を交互
    に送信する第一のモード(二周波CW)と、時間の経過
    とともに周波数を掃引する第二のモード(FMCW)と
    を切換える制御手段を含むことを特徴とするレーダ装
    置。
  2. 【請求項2】 前記制御手段は、プログラム制御回路を
    含む請求項1記載のレーダ装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段は、前記第一のモード(二
    周波CW)でm回の周波数切換を行い、ついで前記第二
    のモード(FMCW)でn回の周波数掃引を行う手段を
    含む請求項2記載のレーダ装置。
  4. 【請求項4】 mおよびnが可変に設定される請求項3
    記載のレーダ装置。
  5. 【請求項5】 前記制御手段は、障害物の識別能力に応
    じて前記mとnの比率を変更する手段を含む請求項4記
    載のレーダ装置。
  6. 【請求項6】 前記制御手段は、障害物の識別能力に応
    じて前記第二のモードの変調周波数幅、変調信号の繰り
    返し周波数、および変調周波数の上限および下限の変化
    の組み合わせを変更する手段を含む請求項5記載のレー
    ダ装置。
  7. 【請求項7】 mとnの比率を手動で可変に設定する手
    段を含む請求項4記載のレーダ装置。
  8. 【請求項8】 送信周波数を変調する手段と、その送信
    周波数に対応して受信反射波の周波数または位相を識別
    する手段とを含み、その送信周波数を変調する手段に
    は、二つの周波数のいずれかを切換えて送信する第一の
    モード(二周波CW)と、時間の経過とともに周波数を
    掃引する第二のモード(FMCW)とを切換えて利用す
    る手段を含むレーダ装置において、 前記第一のモード(二周波CW)および前記第二のモデ
    ル(FMCW)でそれぞれ障害物の識別情報を取込む第
    一の処理手段と、 このレーダ装置に対する相対速度がほとんど零である障
    害物が検出される場合には、前記第二のモードでの障害
    物の情報を前記第一のモードでの障害物の情報と照合し
    その距離値を修正する第二の処理手段とを備えたことを
    特徴とするレーダ装置。
  9. 【請求項9】 前記第二の手段により修正された相対速
    度がほとんど零である障害物の情報を時系列的に蓄積す
    る第三の処理手段と、 新たに検出された相対速度がほとんど零である障害物を
    この第三の処理手段に蓄積された情報と照合する第四の
    処理手段とを含む請求項8記載のレーダ装置。
  10. 【請求項10】検出された相対速度がほとんど零である
    障害物について、あらかじめ設けられた判定マップ情報
    にしたがって表示の要否を判定する第五の処理手段を含
    む請求項8または9記載のレーダ装置。
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