JP2000292298A - 回転バランス修正装置 - Google Patents

回転バランス修正装置

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JP2000292298A
JP2000292298A JP11100143A JP10014399A JP2000292298A JP 2000292298 A JP2000292298 A JP 2000292298A JP 11100143 A JP11100143 A JP 11100143A JP 10014399 A JP10014399 A JP 10014399A JP 2000292298 A JP2000292298 A JP 2000292298A
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rotor
row
rotating shaft
pitch
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JP11100143A
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English (en)
Inventor
Yoichi Yamakawa
陽一 山川
Takashi Matsumoto
崇 松本
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Toyoda Koki KK
Original Assignee
Toyoda Koki KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 かなりの高速回転にも耐えることができ、小
型化が容易で、ほとんどメンテナンスフリーの回転バラ
ンス修正装置を提供すること。 【解決手段】 本発明の回転バランス修正装置は、回転
軸6と共に回転するバランスロータ1および極板ロータ
2と、極板ロータ2の外側に固定装備されたステータ3
とをもつ。バランスロータ1の外周面には交番に磁極が
形成されている。それゆえ、ステータ3の両励磁コイル
31,32によって極板ロータ2の軟磁性の突極22が
適正に励磁されると、バランスロータ1は回転軸6に対
して回動する。両ユニット100,200のバランスロ
ータ1を静的アンバランスを打ち消すように回動させれ
ば、回転軸6周りに静的釣り合いが取られる。回転部材
1,2はほぼ回転対称形だから高速回転に耐え小型化が
容易であり、スリップリング等の摺接部を持たないので
ほとんどメンテナンスフリーである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回転軸が回転中に
静的釣り合いを適正に調整して同回転軸にかかる遠心力
のアンバランスを低減し、振動の発生を抑制する回転バ
ランス修正装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】回転体が回転中にその静的釣り合いを適
正に調整して回転軸にかかる遠心力のアンバランスを低
減する従来の回転バランス修正装置としては、特許第2
719607号に、回転体のバランス修正装置とした技
術が開示されている。この様な装置は、研削盤の砥石等
の回転体ないしその砥石軸等の回転軸に装着されて静的
バランスを自動的に調整する装置であって、業界ではオ
ートバランサと呼ばれている。
【0003】前記特許掲載公報に開示された装置は、同
回転軸から離れた位置に接線方向に延在して回転可能に
軸支された駆動ねじと、同駆動ねじの回転によって移動
させられるウエイトと、同駆動ねじを回転駆動するモー
タとを、二組内蔵している。この装置は、回転軸ないし
回転体に対して固定されて一体に回転しており、前記二
つのモータへの駆動電流は、三つのスリップリングを介
して外部の制御装置から供給される。そして、外部の制
御装置からの駆動電流により、二つのモータが駆動ねじ
を回転駆動して二つのウエイトをそれぞれ適正な位置に
移動させ、回転軸にかかる遠心力のアンバランスを低減
して振動の発生を抑制する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
従来技術では、次の三点の不都合が生じる。第一に、高
速回転している状態では、強大な遠心加速度が発生する
ので、モータの回転子や、ウエイトを保持している駆動
ねじなどに大きな曲げモーメントがかかり、変形して動
作不良を起こす可能性がある。そればかりではなく、さ
らに高速回転させた場合には、モータや駆動ねじなどの
構成要素が塑性変形したり破断したりして遠心破壊が起
こる可能性もある。それゆえ、回転数に比較的厳しい安
全制限を設ける必要があり、高速回転する回転軸ないし
回転体には適用が難しいという不都合がある。
【0005】第二に、二組のモータ、駆動ねじおよび両
者を結合する斜歯歯車などを回転する装置内に組み込ま
なくてはならないので、いきおい同装置はある程度大型
にならざるを得ず、小型化は難しいという不都合が生じ
る。第三に、二つのモータを外部から駆動するためにス
リップリングが必要とされるので、スリップリングのメ
ンテナンスも必要となり、メンテナンス工数の低減が難
しいという不都合をも生じる。
【0006】そこで本発明は、かなりの高速回転にも耐
えることができ、小型化が容易で、ほとんどメンテナン
スフリーの回転バランス修正装置を提供することを解決
すべき課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、発明者らは以下の手段を発明した。 (第1手段)本発明の第1手段は、回転軸に対して回動
可能に支承され該回転軸と同期して回転可能であり該回
転軸から偏心した重心をもつと共に周方向に所定のピッ
チで交番に極性をもつ複数の磁極が外周面に形成された
二つのバランスロータを有し、該回転軸に固定されて該
回転軸と共に回転し該バランスロータの該外周面に内周
面を対向させて求心方向に突出した軟磁性体からなる複
数の突極をもつ極板リングと、該極板リングに近接して
固定配置され該極板リングの該突極に適正な磁気極性の
変化を与えて該バランスロータを該回転軸に対して回動
させるステータとを、各該バランスロータ毎に有するこ
とを特徴とする回転バランス修正装置である。
【0008】本手段では、二つのバランスロータが回転
軸から偏心した位置に重心をもつので、適正な大きさの
質量一次モーメント(静的アンバランス)をもってい
る。それゆえ、回転軸に生じている静的アンバランスに
対し、これを相殺するだけの静的アンバランスを合ベク
トルとして生じるように、回転軸に対する各バランスロ
ータの位相角度を定めてやれば静的アンバランスを相殺
することができる。すなわち、回転軸に対して適正な位
相角度に回動され回転軸と同期して回転する両バランス
ロータは、適正な静的アンバランスの合ベクトルを生じ
る。そして、この静的アンバランスの合ベクトルが、回
転軸に生じている静的アンバランスを相殺するので、回
転軸周りの静的釣り合いが取れるようになる。
【0009】バランスロータを回転軸に対して所望の位
相角度に回動させるには、バランスロータの外周面に所
定ピッチで極性交番に形成された複数の磁極に対し、ス
テータの生じる電磁気を極板リングを介して作用させれ
ばよい。すなわちステータは、極板リングの各突極に適
正な磁気極性を与えるとともに、同磁気極性を適正に時
間変化させることにより、バランスロータを回転軸に対
して回動させることができる。それゆえ、ステータへの
通電を制御することにより、適正な位相角度にまでバラ
ンスロータを回動させれば、前述のように回転軸周りの
静的釣り合いを取ることができる。その結果、回転軸に
かかる遠心力による加振が低減され、回転軸の位置精度
が向上すると共に、回転軸に生じる振動が低減されるの
で回転軸の軸受け等の寿命も延びる。
【0010】ここで、回転軸に対する所定の位相角度に
バランスロータを回動させた後は、回転軸の角速度が一
定で角加速度を生じない限り、ステータには必ずしも通
電していなくても、バランスロータは回転軸と同期して
回転する。なぜならば、軟磁性体からなる各突極にバラ
ンスロータの各磁極が吸着し、回転軸に固定された極板
リングに対してバランスロータが所定の位相角度で安定
する安定点が存在するからである。それゆえ、回転軸が
一定速度で回転中にはステータに通電する必要がなく、
ステータ3への励磁電流は、バランスロータの回動時と
回転軸の加減速中にのみ必要になる。
【0011】本手段の回転バランス修正装置は、前述の
ように簡素な構成をもち、回転軸と共に回転するバラン
スロータおよび極板リングをほぼ回転対称な形状で形成
することができる。そして、前述の従来技術と異なり、
モータや駆動ねじなどの遠心加速度に弱い構成要素を回
転体の内部にもたないので、かなりの高速回転での運用
に耐えることができる。また、モータやギヤ等の複雑な
構成要素をもたず、構成が簡素であるから、小型軽量化
が容易である。さらに、回転軸と同期回転するバランス
ロータおよび極板リングに通電する必要がないからスリ
ップリングは不要であり、摺接して摩耗する部分なしに
構成できるので、ほとんどメンテナンスフリーである。
【0012】したがって本手段によれば、かなりの高速
回転にも耐えることができ、小型化が容易で、ほとんど
メンテナンスフリーの回転バランス修正装置を提供する
ことができるという効果がある。 (第2手段)本発明の第2手段は、前述の第1手段にお
いて、各前記バランスロータは、同極を遠心方向に向け
前記ピッチで外周部に埋設された複数個の永久磁石をも
つことを特徴とする。
【0013】本手段では、希土類磁石のように強い磁力
を持つ永久磁石がバランスロータの外周部に埋設されて
磁極を形成しているので、磁極のもつ磁気強度が大きく
なり、より大きなトルクでバランスロータを回動させる
ことが可能になる。また、永久磁石の形状やバランスロ
ータ本体部への埋設方法に工夫をすれば、それなりに大
きな遠心加速度にも耐えるようにでき、高速回転での運
用が可能である。
【0014】したがって本手段によれば、前述の第1手
段の効果に加えて、より大きなトルクでバランスロータ
を回動させることが可能になるという効果がある。 (第3手段)本発明の第3手段は、前述の第1手段にお
いて、各前記バランスロータは、交番に着磁された強磁
性体からなる外周部をもつことを特徴とする。
【0015】本手段では、バランスロータを強度にも優
れた強磁性金属材料から一体成形することができるの
で、極めて大きな遠心加速度にも耐えることができ、よ
りいっそう高速な回転速度での運用が可能になる。した
がって本手段によれば、前述の第1手段の効果に加え
て、よりいっそう高速な回転速度での運用が可能になる
という効果がある。
【0016】(第4手段)本発明の第4手段は、前述の
第1手段において、各前記極板リングは、前記バランス
ロータの前記磁極の前記ピッチと同ピッチで周方向交互
に形成された第一列および第二列の前記突極と、該突極
と四分の一ピッチだけ周方向にずれて配設された同様の
第三列および第四列の前記突極とをもち、各前記ステー
タは、該第一列および該第二列の該突極に互いに逆の前
記磁気極性を与えるリング状の第一励磁コイルと、該第
三列および該第四列の該突極に互いに逆の前記磁気極性
を与えるリング状の第二励磁コイルとをもつことを特徴
とする。
【0017】本手段では、第一突極列(突極の第一列)
および第二突極列を第一励磁コイルによって適正な磁気
極性に励磁することにより、外周面に磁極をもつバラン
スロータに対して所望の回転方向へ回転トルクを与える
ことができる。同様に、第三突極列および第四突極列を
第二励磁コイルによって適正な磁気極性に励磁すること
により、バランスロータに対し、先ほどと同じ回転方向
へ回転トルクを与えることができる。
【0018】ここで、第一ないし第四の突極列は、互い
に四分の一ピッチずつ周方向にずれているので、第一励
磁コイルおよび第二励磁コイルの励磁方向を変化させな
ければ、バランスロータは四分の一ピッチだけ所望の方
向に回動して止まる。そこで、バランスロータが四分の
一ピッチだけ所望の方向に回動する度に、第一励磁コイ
ルおよび第二励磁コイルのうち一方の励磁方向を変える
ことにより、続けてバランスロータを所望の方向に回動
させることができる。そして、バランスロータが回転軸
に対して所望の位相角度にまで回動したら、第一励磁コ
イルおよび第二励磁コイルの励磁方向の変化を止めるこ
とにより、バランスロータの回動を所望の位相角度で停
止させることができる。バランスロータが回転軸に対し
て停止したら、第1手段の項で前述したように、極板リ
ングに対するバランスロータの安定点があるので、回転
軸が角加速度をもたない限り、第一励磁コイルおよび第
二励磁コイルに通電して励磁しなくてもよい。
【0019】以上のようにして、回転軸に対するバラン
スロータの位相角度は、バランスロータの磁極の四分の
一ピッチ刻みの精度で任意に設定することができる。そ
れゆえ、バランスロータの磁極のピッチを細かくすれ
ば、バランスロータの位相角度をより精密に設定するこ
とができる。したがって本手段によれば、前述の第1手
段の効果に加えて、ステータの第一励磁コイルおよび第
二励磁コイルへの通電方向を適正に制御するだけで、バ
ランスロータの所望の位相角度を四分の一ピッチ刻みの
精度で設定できるという効果がある。
【0020】(第5手段)本発明の第5手段は、前述の
第1手段において、各前記極板リングは、前記バランス
ロータの前記磁極の前記ピッチと同ピッチで周方向交互
に形成された前記突極の列である突極列を、周方向に三
分の一ピッチずつずらして三列もち、各前記ステータ
は、該突極列のそれぞれに適正な前記磁気極性を与えて
前記バランスロータを回動させる一対のリング状の励磁
コイルをもつことを特徴とする。
【0021】本手段では、一対の励磁コイルに適正な方
向で適正な大きさの電流を通電することにより、各突極
列の励磁を半分相殺したり逆に強めたりすることができ
る。その結果、三列の突極列のうち任意の一列を、他の
二列の突極列の倍の磁束をもって強く、かつ所望の磁気
極性で励磁することができる。そうすれば、三列の突極
列のうち任意の一列だけを他の二列よりも強く励磁して
バランスロータの磁極に磁気吸引力や磁気反発力を及ぼ
すことができるようになる。すると、前述の第4手段と
似た制御方法によって、外周面に磁極をもつバランスロ
ータに対して所望の回転方向へ回転トルクを与えること
ができる。
【0022】ここで、各列の突極列は、三分の一ピッチ
ずつずれて突極をもつので、両励磁コイルの励磁方向を
変化させなければ、バランスロータは三分の一ピッチだ
け所望の方向に回動して止まる。そこで、バランスロー
タが三分の一ピッチだけ所望の方向に回動する度に、両
励磁コイルへの通電方向および電流強度を適正に切替え
て他の列の突極列を所定の磁気極性で強く励磁すれば、
続けてバランスロータを所望の方向に回動させることが
できる。そしてバランスロータが回転軸に対して所望の
位相角度にまで回動したら、両励磁コイルへの通電の変
化を止めることにより、バランスロータの回動を所望の
位相角度で停止させることができる。バランスロータが
回転軸に対して停止したら、第1手段の項で前述したよ
うに、極板リングに対するバランスロータの安定点があ
るので、回転軸が角加速度をもたない限り、両励磁コイ
ルに通電して励磁しなくてもよい。
【0023】以上のようにして、回転軸に対するバラン
スロータの位相角度は、バランスロータの磁極の三分の
一ピッチ刻みの精度で任意に設定することができる。そ
れゆえ、バランスロータの磁極のピッチを細かくすれ
ば、バランスロータの位相角度をより精密に設定するこ
とができる。したがって本手段によれば、前述の第1手
段の効果に加えて、ステータの両励磁コイルへ通電する
電流の方向および強度を適正に制御するだけで、バラン
スロータの所望の位相角度を三分の一ピッチ刻みの精度
で設定できるという効果がある。
【0024】
【発明の実施の形態】本発明の回転バランス修正装置の
実施の形態については、当業者に実施可能な理解が得ら
れるよう、以下の実施例で明確かつ十分に説明する。 [実施例1] (実施例1の構成)本発明の実施例1としての回転バラ
ンス修正装置は、図1に示すように、回転軸6に対して
回動可能に支承され回転軸6と同期して回転可能であ
り、回転軸6から偏心した重心をもつと共に、周方向に
所定のピッチで交番に極性をもつ複数の磁極が外周面1
aに形成された二つのバランスロータ1を有する。ま
た、回転軸6に固定されて回転軸6と共に回転し、バラ
ンスロータ1の外周面1aに内周面を対向させて求心方
向に突出した複数の突極22をもつ軟磁性体からなる極
板リング21を、各バランスロータ1毎に有する。さら
に、極板リング21に近接して固定配置され、極板リン
グ21の突極22に適正な磁気極性の変化を与えてバラ
ンスロータ1を回転軸6に対して回動させるステータ3
を、各バランスロータ1毎に有する。
【0025】また、各バランスロータ1は、同極を遠心
方向に向け前記ピッチで外周部に埋設された複数個の永
久磁石14をもつ。さらに、極板リング21は、バラン
スロータ1の磁極のピッチと同ピッチで周方向交互に形
成された第一列および第二列の突極22と、突極22と
四分の一ピッチだけ周方向にずれて配設された同様の第
三列および第四列の突極22とをもつ。また、各ステー
タ3は、第一列および第二列の突極22に互いに逆の磁
気極性を与えるリング状の第一励磁コイル31と、第三
列および第四列の突極22に互いに逆の磁気極性を与え
るリング状の第二励磁コイル32とをもつ。
【0026】以下、本実施例の回転バランス修正装置の
構成について、図1および図2を参照しつつ、全体構成
から要部構成に至るまでより詳しく説明する。図1に示
すように、本実施例の回転バランス修正装置は、回転セ
ンサ81および振動センサ82と、マイクロコンピュー
タ71および励磁回路72を内蔵した制御装置7と、第
一ユニット100および第二ユニット200とからな
る。
【0027】回転センサ81は、固定された磁気ピック
アップであって、回転軸6の一箇所に取り付けられた磁
気部材が近接状態にあるときに信号を出し、回転軸6の
回転角度の原点を検知する。一方、振動センサ82は、
半導体からなる加速度センサであって、回転軸6を軸支
して回転駆動する砥石軸頭92の外周面に固定されてお
り、主に砥石91がもつ静的アンバランスすなわち質量
一次モーメントの回転による振動加速度を検知する。
【0028】制御装置7のうちマイクロコンピュータ7
1は、本実施例の回転バランス修正装置全体を制御する
制御ロジックを内蔵している。同制御ロジックの代表的
な作用については、後ほど作用の項で説明する。一方、
励磁回路72は、パワートランジスタ等からなり、マイ
クロコンピュータ71からの指令に基づいて、各ユニッ
ト100,200の吸引コイル5を励磁する電流をON
/OFFする電源回路である。
【0029】第一ユニット100および第二ユニット2
00は、互いに同一の構成をもつ回転バランス修正ユニ
ットであって、互いに隣接し、静的アンバランスを有す
る砥石91に近接して配設されている。両ユニット10
0,200は互いに同一の構成であるので、ここでは第
一ユニット100の構成について詳しく説明することに
する。
【0030】すなわち第一ユニット100は、バランス
ロータ1、極板ロータ2およびステータ3からなり、こ
れらの構成要素1,2,3は回転軸6と同軸に配設され
ている。ここで、バランスロータ1は、ほぼ回転対称な
形状をしており、回転軸6と同期して回転することがで
きる。また、極板ロータ2は、ほぼ回転対称な形状をし
ており、回転軸6と同期して回転する。一方、ステータ
3は、回転対称形状をしているが、回転軸6と共に回転
することはなく、極板ロータ2の外周面に近接して固定
配置されている。
【0031】バランスロータ1は、略中空円筒状の軟磁
性金属材料からなる本体部11と、本体部11の中央に
配設されて本体部11を回転軸に対して回動可能に軸支
する軸受け13と、本体部11の一方に偏在して埋設さ
れたバランスウェイト12と、本体部11の外周部に埋
設された複数の永久磁石14とからなる。すなわちバラ
ンスロータ1は、ボールベアリングである軸受け13を
介して回転軸6に対し回動可能に支承されており、通常
(回転バランスの調整中でないとき)は回転軸6と同期
して回転する。また、本体部11の周方向の一方に固ま
って三ヶ所に貫通孔が形成されており、各貫通孔には鉛
製のバランスウェイト12が挿置されている。それゆ
え、バランスロータ1は、回転軸6から偏心して重心を
もつので、所定の大きさの質量一次モーメント(静的ア
ンバランス)をもっている。
【0032】また、バランスロータ1の外周部には、外
周面に開口して周方向に所定のピッチで形成された嵌合
溝が形成されており、これらの嵌合溝には、複数個の永
久磁石14が、同極(N極)を遠心方向に向けて埋設さ
れている。すなわち、バランスロータ1の外周面は、周
方向に所定の間隔を空けて埋設されている永久磁石14
の外周面と、各永久磁石14の間を埋めている軟磁性の
本体部11の外周面とから形成されている。永久磁石1
4の外周面はN極であるから、永久磁石14の反対側の
磁極に通じる本体部11の外周面にはS極が形成され
る。それゆえ、バランスロータ1の外周面には、周方向
に所定のピッチで交番に極性をもつ複数の磁極が形成さ
れている。なお、永久磁石14の周方向側面と永久磁石
14が圧入される嵌合溝の側面とには、互いに嵌合する
凹凸の細かい溝が形成されており、かなり強大な遠心力
が永久磁石14にかかっても、永久磁石14は本体部1
1の嵌合溝から脱出することはない。
【0033】極板ロータ2は、軟磁性金属材料からなる
極板リング21と、極板リング21を回転軸6に対して
固定する非磁性ステンレス鋼からなるケーシング23か
らなる。ケーシング23は、回転軸6との間に中空円筒
状の内部空間を形成し、この内部空間にバランスロータ
1を収容すると共に、極板リング21を内周面の内側に
固定している。一方、極板リング21は、ケーシング2
3を介して回転軸6に固定されて回転軸6と共に回転
し、バランスロータ1の外周面1aに内周面を対向させ
て求心方向に突出した軟磁性体からなる複数の突極22
をもつ。極板リング21の内周面とバランスロータ1の
外周面1aとは、ごくわずかの間隔を空けて互いに対向
している。
【0034】極板リング21は、図2に示すように、バ
ランスロータ1の前記磁極のピッチと同ピッチで周方向
交互に形成された第一列および第二列の突極22
と、これらの突極22と四分の一ピッチだけ周方向にず
れて配設された同様の第三列および第四列の突極2
2とをもつ。すなわち、第一突極列(突極22の第一
列)ないし第四突極列は、ぞれぞれ軟磁性材料から
なるリング状部材であって、内周面には周方向に所定の
間隔を空けて多数の突極22が形成されている。突極2
2の周方向の幅と突極22がない部分(連結部)の周方
向の幅とは、互いに同一であり、回転軸6の軸芯から見
た突極22の周方向のピッチ角度は、バランスロータ1
の永久磁石14のピッチ角度に等しい。また、周方向に
互いに隣り合う突極22を連結している連結部の半径方
向の肉厚はごく薄く、同連結部を通じての磁気回路の短
絡は最小限に抑制されている。
【0035】なお、各突極列〜をもつ略リング状の
部材は、軸長方向に同軸に重ねられて外周面で互いに溶
接固定されており、一体の極板リング21を形成してい
る。第一突極列と第二突極列とは、半ピッチだけ周
方向にずれて接合されており、同様に、第三突極列と
第四突極列とは、半ピッチだけ周方向にずれて接合さ
れている。また、第一突極列および第二突極列と第
三突極列および第四突極列とは、互いに四分の一ピ
ッチだけ周方向にずれて接合されている。
【0036】ステータ3は、再び図1に示すように、極
板ロータ2の外周面に近接して内周面を対向させて固定
配置されたリング状機能部材であり、ステータ3の内周
面と極板ロータ2の外周面との間の間隙はわずかであ
る。ステータ3は、一対の第一励磁コイル31および第
二励磁コイル32と、両コイルをそれぞれ保持する二つ
の樹脂製のコイルホルダ33と、両コイルを軸長方向に
適正な間隔を隔てて収容する非磁性ステンレス鋼からな
るコイルケース34とからなる。コイルケース34の薄
い内周板は、両コイル31,32の内周面と極板ロータ
2の外周面との間を隔てて、万一両者が摺接した場合に
も両コイル31,32が断線しないように両コイル3
1,32を保護している。
【0037】ここで、第一励磁コイル31は、第一突極
列の突極22と第二突極列の突極22とに互いに逆
の磁気極性を与えるリング状の励磁コイル31である。
一方、第二励磁コイル32は、第三突極列の突極22
と第四突極列の突極22とに互いに逆の磁気極性を与
えるリング状の励磁コイルである。すなわち、再び図2
に示すように、第一励磁コイル31および第二励磁コイ
ル32に同一方向で電流を流すと、第一突極列から第
四突極列にかけてS,N,S,Nの順で磁気極性が各
突極22に生じる。その結果、作用の項で後述するよう
に、ステータ3は、極板リング21に近接して固定配置
されていながら、極板リング21の突極22に適正な磁
気極性の変化を与えてバランスロータ1を回転軸6に対
して回動させる機能をもつ。
【0038】なお、第一励磁コイル31の軸長方向の位
置は、第一突極列と第二突極列との間にあり、第二
励磁コイル32の軸長方向の位置は、第三突極列と第
四突極列との間にある。それゆえ、第一励磁コイル3
1は、主に第一突極列および第二突極列に互いに逆
の磁気極性を与えることができ、第二励磁コイル32
は、主に第三突極列および第四突極列に互いに逆の
磁気極性を与えることができる。
【0039】(実施例1の作用効果)本実施例の回転バ
ランス修正装置は、以上のように構成されているので、
以下のような作用効果を発揮する。たとえば、同じく図
2に示すように、第一励磁コイル31および第二励磁コ
イル32に同一方向で電流を流すと、第一突極列から
第四突極列にかけてS,N,S,Nの順で磁気極性が
各突極22に生じる。すなわち、第一励磁コイル31
は、第一突極列の突極22の内周端にはS極を生じさ
せ、第二突極列の突極22の内周端にはN極を生じさ
せる。一方、第二励磁コイル32は、第三突極列の突
極22の内周端にはS極を生じさせ、第四突極列の突
極22の内周端にはN極を生じさせる。
【0040】この際、極板リング21の各突極22とバ
ランスロータ1の各永久磁石14とが、図2に示した角
度位置関係にあると、極板リング21はバランスロータ
1に回転トルクを及ぼす。すなわち、図3(a)に示す
ように、第一励磁コイル31によってS極に励磁された
第一突極列の突極22は、バランスロータ1の永久磁
石14のN極と引き合い、本体部11の外周面に形成さ
れたS極と反発する。それゆえ、バランスロータ1に
は、一方へ回転する回転トルクが与えられる。逆に、図
3(b)に示すように、第一励磁コイル31によってN
極に励磁された第二突極列の突極22は、バランスロ
ータ1の永久磁石14のN極と反発し合い、本体部11
の外周面に形成されたS極と引き合う。それゆえ、バラ
ンスロータ1には、先ほどと同一方向への回転トルクが
与えられる。
【0041】一方、図3(c)に示すように、第二励磁
コイル32によってS極に励磁された第三突極列の突
極22は、バランスロータ1の永久磁石14のN極と引
き合い、本体部11の外周面に形成されたS極と反発す
る。それゆえ、バランスロータ1には、先ほどと同じ方
向へ回転するように回転トルクが与えられる。逆に、図
3(d)に示すように、第二励磁コイル32によってN
極に励磁された第二突極列の突極22は、バランスロ
ータ1の永久磁石14のN極と反発し合い、本体部11
の外周面に形成されたS極と引き合う。それゆえ、バラ
ンスロータ1には、先ほどと同じ方向への回転トルクが
与えられる。
【0042】以上のように、ステータ3の第一励磁コイ
ル31は第一突極列および第二突極列を励磁し、第
二励磁コイル32は第三突極列および第四突極列を
励磁して、バランスロータ1に一方への回転トルクを与
える。その結果、バランスロータ1は、極板リング21
すなわち回転軸6に対して、四分の一ピッチだけ回動し
て釣り合う。
【0043】そこで、図4に示すように、第一励磁コイ
ル31および第二励磁コイル32に印加する励磁電流の
正負を次々に切り替え、四つある励磁状態の組み合わせ
を順に変えていけば、バランスロータ1を一方へ回動
(正転)させ続けることができる。そして、回転軸6に
対する所望の位相角度にまでバランスロータ1が回動し
たら、両励磁コイル31,32の通電状態を一定に保っ
て、その釣り合い状態でバランスロータ1を回転軸6に
同期させることができる。
【0044】ここで、回転軸6が角加速度をもたなけれ
ば、バランスロータ1が回転軸6に対して静止した状態
で両励磁コイル31,32への通電を停止しても、バラ
ンスロータ1は回転軸6と同期して回転を続け、回転軸
6に対して回動しない。なぜならば、バランスロータ1
は、極板リング21に対して磁気吸引力が強くなる安定
点を、位相角度にして四分の一ピッチに一つずつ持って
いるからである。
【0045】逆に、図5に示すように、先ほどとは異な
る順番で第一励磁コイル31および第二励磁コイル32
に印加する励磁電流の正負を次々に切り替えれば、バラ
ンスロータ1を回転軸6に対して逆方向に回動させるこ
とができる。すなわち、四つある励磁状態の組み合わせ
を先ほどとは異なる順で順に変えていけば、バランスロ
ータ1を他方へ回動(逆転)させ続けることができる。
そして、回転軸6に対する所望の位相角度にまでバラン
スロータ1が回動したら、両励磁コイル31,32の通
電状態を一定に保って、その釣り合い状態でバランスロ
ータ1を回転軸6に同期させることができる。また、前
述のようにバランスロータ1には安定点があるので、回
転軸6が角加速度をもたなければ、両励磁コイル31,
32への通電を停止しても、バランスロータ1は回転軸
6に対して一定の位相角度を保ち続ける。
【0046】以上のようにして、回転軸6に対するバラ
ンスロータ1の位相角度は、バランスロータ1の磁極の
四分の一ピッチ刻みの精度で任意に設定することができ
る。それゆえ、バランスロータ1の磁極のピッチを細か
くすれば、回転軸6に対するバランスロータ1の位相角
度をより精密に設定することができる。したがって、本
実施例の回転バランス修正装置では、ステータ3の両励
磁コイル31,32への通電方向を適正に制御するだけ
で、バランスロータ1の所望の位相角度を四分の一ピッ
チ刻みの精度で設定できる。
【0047】以上でバランスロータ1を回転軸6に対し
て回動させ所望の位相角度に固定することができること
が明らかになった。そこで次に、図6のフローチャート
を参照しつつ、制御装置7のマイクロコンピュータ71
(図1参照)がもつ代表的な制御ロジックについて説明
する。この制御ロジックは、砥石軸頭92(図1参照)
が回転軸6および砥石91の回転駆動を始めると、必ず
行われる。
【0048】先ず、処理ステップS1では、回転軸6を
回転駆動する以前に、回転軸6は回転センサ81から出
力信号が検出される原点位置に回動され、両ユニット1
00,200のバランスロータ1が重心が偏在する方を
下にして釣り合う。そして、この状態から両バランスロ
ータ1を互いに反対方向に90°ずつ回動させた位置を
初期位置とし、両バランスロータ1が生じる静的アンバ
ランスの合成をゼロにしておく。
【0049】しかる後、処理ステップS1で回転軸6へ
の回転指令が発せられ、回転軸6が所定の回転速度に達
して安定したことが確認される。この際、前述のように
両バランスロータ1の生じる静的アンバランスはゼロで
あるから、砥石91等がもつ回転軸6周りの静的アンバ
ランスが測定しやすくなる。また、両バランスロータ1
が前述の初期位置にあることがはっきりしているから、
後に、静的釣り合いを取るために両バランスロータ1を
それぞれどれだけ回動させるべきかの演算が容易にな
る。
【0050】次に、処理ステップS2で、回転センサ8
1および振動センサ82からの出力信号が、図示しない
A/D変換器を介し、マイクロコンピュータ71によっ
て読みとられる。この際、振動センサ82からの加速度
信号は、回転軸6の回転周期に対応する周波数帯域の信
号のみを通すバンドパスフィルタリング処理が施され、
回転軸6の回転周期に同期して起こる静的アンバランス
に起因した振動成分だけになる。その結果、静的アンバ
ランスの大きさと回転軸6に対する位相角度が明らかに
なる。
【0051】そして、次の処理ステップS3で、静的釣
り合いを取るために両バランスロータ1を、回転軸6に
対してそれぞれ何度だけ回動させるべきかの演算が行わ
れる。この演算は、処理ステップS3で先ほど明らかに
なった静的アンバランスを相殺する静的アンバランス
を、両バランスロータ1の質量一次モーメントの合成で
生成するように、各バランスロータ1が取るべき位相角
度を算出する幾何演算である。その結果、各バランスロ
ータ1について、回転軸6に対して正転させるべき角度
θ(0°≦θ<360°)がそれぞれ算定される。
【0052】すると、判断ステップS4で、θが180
°未満であるか否かが判定され、θが180°未満であ
る場合にはステップS5〜S8の正転シーケンスへ制御
ロジックは進む。逆に、θが180°以上である場合に
は、ステップS14〜S18の逆転シーケンスへと制御
ロジックは進む。すなわち、θが180°未満である場
合には、次の処理ステップS5で、四分の一ピッチずつ
回動させて角度θだけの正転のために必要な両励磁コイ
ル31,32の励磁状態の切替の繰り返し回数Nが算出
され、設定される。しかる後、ステップS6〜S8のル
ープで、N回の正転パターン(図4参照)での両励磁コ
イル31,32への励磁電流の正負切替が行われ、バラ
ンスロータ1は回転軸6に対してθだけ正方向へ回動し
て、所定の位相角度に落ち着く。
【0053】逆に、θが180°以上である場合には、
制御ロジックは傍流の処理ステップS14にすすみ、回
転軸6に対してバランスロータ1を逆転させるべき角度
θが設定される。そして次の処理ステップS15で、四
分の一ピッチずつ回動させて角度θだけの逆転のために
必要な両励磁コイル31,32の励磁状態の切替の繰り
返し回数Nが算出され、設定される。しかる後、ステッ
プS16〜S18のループで、N回の逆転パターン(図
5参照)での両励磁コイル31,32への励磁電流の正
負切替が行われ、バランスロータ1は回転軸6に対して
θだけ逆方向へ回動して、所定の位相角度に落ち着く。
【0054】このようにして、両ユニット100,20
0のバランスロータ1がそれぞれ適正な位相角度にまで
回動されると、回転軸6にかかっていた静的アンバラン
スは両バランスロータ1によって相殺され、自動的に静
的釣り合いが取られる。その結果、回転軸6にかかる振
動が低減され、研削盤(図1参照)の加工精度が向上す
ると共に、砥石軸頭92の寿命も延びる。
【0055】このような回転バランス修正作用は、砥石
軸頭92の始動時に行うだけではなく、振動センサ82
からの検知信号が大きくなり静的アンバランスの大きさ
が所定の許容範囲を外れたと判定された場合にも、加工
中を避けてワーク交換時などに行われる。それゆえ、本
実施例の回転バランス修正装置は、同装置が装備された
研削盤の工作機械の加工能率を低下させることなく、回
転軸6の静的バランスを自動的に取るので、静的アンバ
ランスに起因する振動は抑制される。
【0056】以上詳述したように、本実施例の回転バラ
ンス修正装置は、回転軸6とともに回転する部材1,2
がほぼ回転対称形をしているので、強大な遠心加速度に
耐えることができ、かなりの高速回転にも耐えることが
できる。また、回転軸6に付設される両ユニット10
0,200の構成が簡素であり、モータのように複雑な
部品を含まないので、小型化が容易である。さらに、ス
リップリングのように常に摺動する部分がないので、ほ
とんど摩耗が生じることがなく、ほぼメンテナンスフリ
ーである。
【0057】したがって、本実施例の回転バランス修正
装置によれば、かなりの高速回転での使用に適用でき、
小型化が容易であるばかりでなく、ほとんどメンテナン
スフリーであるという効果がある。 (実施例1の変形態様1)本実施例の変形態様1とし
て、バランスロータ1は永久磁石14を保持せず、交番
に着磁された強磁性体からなる外周部をもつ回転バラン
ス修正装置の実施が可能である。
【0058】本変形態様では、バランスロータ1の本体
部11が、外周部に永久磁石14を保持しておらず一体
部材であるので、強大な遠心加速度にも遠心破壊するこ
とがなく、より高速回転での運用に耐えることができ
る。一方、バランスロータ1のうち少なくとも外周部は
強磁性体からなるので、外周部の保磁力は強く、外周部
には強力に着磁することができるので、前述の実施例1
に準じる強度の磁場が発生する。それゆえ、両励磁コイ
ル31,32および極板リング21からバランスロータ
1に及ぼす回動トルクや保持トルクも十分に大きなもの
が得られ、実施例1と同様の作用効果が得られる。
【0059】したがって、本変形態様によれば、前述の
実施例1の効果に加えて、より高速回転での運用に耐え
ることができるようになるという効果がある。 (実施例1の変形態様2)本実施例の変形態様2とし
て、両ユニット100,200の各極板リング21が、
突極22を四列ではなく三列に持った回転バランス修正
装置の実施も可能である。すなわち、各極板リング21
は、バランスロータ1の磁極の周方向のピッチと同ピッ
チで周方向交互に形成された突極22の列である突極列
を、周方向に三分の一ピッチずつずらして三列もつ。そ
して、両ユニット100,200の各ステータ3は、実
施例1と同様に、これらの突極列のそれぞれに適正な磁
気極性を与えてバランスロータ1を回動させる一対のリ
ング状の励磁コイル31,32をもつ。
【0060】本実施例では、一対の励磁コイルへの励磁
電流を適正に制御することにより、三列ある突極列のう
ち任意の一つを所望の極性に強く励磁することができる
ので、バランスロータ1を三分の一ピッチずつ回動させ
ることができる。たとえば、第一列の突極列だけを強く
励磁したい場合には、第一励磁コイル31に強い励磁電
流を流す。そして、第二励磁コイル32には、その半分
の励磁電流を同じ向きに流し、第一励磁コイル31によ
る励磁を半分だけ相殺させて第二列の突極列の励磁を半
減させ、第三列の突極列には第1列の突極列の半分の弱
い励磁を与えるように励磁電流を流す。こうすれば、第
一列の突極列だけを強く励磁することができるので、バ
ランスロータ1は第一列の突極列が形成する磁場内で安
定する釣り合い点にまで回動する。このようにして、第
二の突極列および第三の突極列をも順々に強く励磁して
やれば、バランスロータ1を三分の一ピッチずつ回動さ
せることができるしたがって、本変形態様によれば、よ
り簡素な構成でありながら、実施例1とほぼ同様の作用
効果を発揮することができるという効果がある。
【0061】(実施例1の変形態様3)本実施例の変形
態様3として、両ユニット100,200の各極板ロー
タ2の構成を若干手直しし、突極22が直接ケーシング
23の内周面に直接固定されており、極板リング21は
各突極22を連結する連結部を持たない構成の回転バラ
ンス修正装置の実施が可能である。なお、このような構
成では、各突極22とこれらを固定保持しているケーシ
ング23の外周部とで、極板リングが形成されているも
のと見なす。
【0062】本変形態様では、各突極22を連結する軟
磁性体からなる連結部を持たないので、互いに隣り合っ
た突極列の間で連結部を介して磁気回路が短絡すること
が防がれており、各突極22はより強力に励磁される。
その結果、各突極22が形成する磁場がより強力にな
り、バランスロータ1を回転軸6に対して回動させたり
保持する磁気トルクが大きくなる。その結果、始動時等
に回転軸6がより大きな角加速度で加速されても、バラ
ンスロータ1が回転軸6の回転に同期して追従すること
ができるようになる。
【0063】したがって本変形態様によれば、前述の実
施例1の効果に加えて、始動時等に回転軸6の角加速度
をより大きくできるという効果がある。 (実施例1の変形態様4)本実施例の変形態様4とし
て、バランスロータがリング状ではなく略扇状の形状を
した回転バランス修正装置の実施も可能である。あるい
は、バランスロータ1の外周部をそのままに残したうえ
で、中間部を肉厚部を扇状に残し、中間部の残りの部分
を肉薄に形成して質量一次モーメントを大きくした構成
の回転バランス修正装置の実施も可能である。
【0064】本変形態様では、バランスロータ1の持つ
質量一次モーメント(静的アンバランス)が極めて大き
いので、両ユニット100,200の外形が同じ大きさ
であれば、より大きな静的アンバランスを補償できるよ
うになる。逆に、補償できる静的アンバランスの大きさ
が同等で良ければ、実施例1よりも小型軽量化すること
が可能になる。
【0065】したがって本変形態様によれば、バランス
ロータの質量一次モーメントが大きくなるので、補償す
べき静的アンバランスが一定であるとすると、実施例1
よりも小型軽量化することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1としての回転バランス修正装置の全
体構成を示す斜視図
【図2】 実施例1としての回転バランス修正装置の要
部構成を示す斜視図
【図3】 実施例1の回転バランス修正装置の要部の作
用を示す組図(a)第一突極列からバランスロータに及
ぼす磁力を示す側面図 (b)第二突極列からバランスロータに及ぼす磁力を示
す側面図 (c)第三突極列からバランスロータに及ぼす磁力を示
す側面図 (d)第四突極列からバランスロータに及ぼす磁力を示
す側面図
【図4】 実施例1における正転時の両励磁コイルの電
流パターン図
【図5】 実施例1における逆転時の両励磁コイルの電
流パターン図
【図6】 実施例1における代表的な制御ロジックを示
すフローチャート
【符号の説明】
100:第一ユニット 200:第二ユニット 1:バランスロータ 1a:外周面 11:本体部(軟磁性) 12:バランスウェイト 13:軸受け(ボールベアリング) 14:永久磁石 2:極板ロータ 21:極板リング(軟磁性) 22:突極 :第一突極列 :第二突極列 :第三突極列 :第四突極列 23:ケーシング(非磁性) 3:ステータ 31:第一励磁コイル 32:第二励磁コイル 33:コイルホルダ(非磁性) 34:コイルケース
(非磁性) 6:回転軸 7:制御装置 71:マイクロコンピュータ 72:励磁回路 81:回転センサ(磁気ピックアップ) 82:振動
センサ(加速度センサ) 91:砥石 92:砥石軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G021 AB09 AM07 5H607 AA04 AA14 BB01 BB14 CC05 CC07 DD01 DD02 EE40 HH03 KK03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転軸に対して回動可能に支承され該回転
    軸と同期して回転可能であり、該回転軸から偏心した重
    心をもつと共に、周方向に所定のピッチで交番に極性を
    もつ複数の磁極が外周面に形成された二つのバランスロ
    ータを有し、 該回転軸に固定されて該回転軸と共に回転し、該バラン
    スロータの該外周面に内周面を対向させて求心方向に突
    出した軟磁性体からなる複数の突極をもつ極板リング
    と、 該極板リングに近接して固定配置され、該極板リングの
    該突極に適正な磁気極性の変化を与えて該バランスロー
    タを該回転軸に対して回動させるステータと、を各該バ
    ランスロータ毎に有することを特徴とする回転バランス
    修正装置。
  2. 【請求項2】各前記バランスロータは、同極を遠心方向
    に向け前記ピッチで外周部に埋設された複数個の永久磁
    石をもつ、 請求項1記載の回転バランス修正装置。
  3. 【請求項3】各前記バランスロータは、交番に着磁され
    た強磁性体からなる外周部をもつ、請求項1記載の回転
    バランス修正装置。
  4. 【請求項4】各前記極板リングは、前記バランスロータ
    の前記磁極の前記ピッチと同ピッチで周方向交互に形成
    された第一列および第二列の前記突極と、該突極と四分
    の一ピッチだけ周方向にずれて配設された同様の第三列
    および第四列の前記突極とをもち、 各前記ステータは、該第一列および該第二列の該突極に
    互いに逆の前記磁気極性を与えるリング状の第一励磁コ
    イルと、該第三列および該第四列の該突極に互いに逆の
    前記磁気極性を与えるリング状の第二励磁コイルとをも
    つ、 請求項1記載の回転バランス修正装置。
  5. 【請求項5】各前記極板リングは、前記バランスロータ
    の前記磁極の前記ピッチと同ピッチで周方向交互に形成
    された前記突極の列である突極列を、周方向に三分の一
    ピッチずつずらして三列もち、 各前記ステータは、該突極列のそれぞれに適正な前記磁
    気極性を与えて前記バランスロータを回動させる一対の
    リング状の励磁コイルをもつ、 請求項1記載の回転バランス修正装置。
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