JP2000289003A - 木質複合板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面平滑性を向上させるために基材合板１０
と化粧単板３０との間に繊維板２０を介在させた木質複
合板において、繊維板の吸湿などによる膨張、収縮の影
響が表面化粧単板に現れるのを確実に阻止する。 【解決手段】 基材合板１０の表面単板１１と化粧単板
３０との間に繊維板２０を貼り付け積層するに際して、
前記合板１０の表面単板（甲板）１１の繊維方向と化粧
単板３０の繊維方向とを直交させるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は木質複合板に関し、
特に、木質基材としての合板の上に、繊維板と化粧単板
とをこの順で接着積層した木質複合板に関する。

【０００２】

【従来の技術】木質基材としての合板の表面に突板、化
粧紙などの化粧表面層を積層した木質複合板は知られて
おり、建物の内装や家具などの表面材料や化粧材料とし
て広く用いられている。しかし、合板の表面単板（甲
板）は表面平滑性が不足しており、そのままで突板など
の化粧単板を貼着すると、化粧単板の表面が合板甲板の
表面荒さの影響を受け、微細な凹凸や割れ（クラック）
が生じたり、合板甲板の表面荒さが露顕したりして、化
粧板としての商品価値が低下する問題がある。そのため
に、通常、基材合板の表面にはなんらかの平滑化処理が
施される。

【０００３】平滑化処理は種々の方法で行われるが、そ
の一つに、合板甲板（表面単板）の表面に薄手の中密度
繊維板（ＭＤＦ）や高密度繊維板（ＨＤＦ）を貼り付け
積層することが行われる。これらの繊維板は、木材チッ
プを解繊して得られる木質繊維を接着剤により圧締成形
したものであり、表面が平滑であることから、その上に
突板のような化粧単板を貼り付け積層することにより、
表面平滑な木質複合板を得ることができる（例えば、特
開平８−２０７００９号公報など参照）。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、中密度繊維板
や高密度繊維板のような繊維板は、合板のような木質材
と比較して、水分、熱による膨張、収縮が大きい（寸法
変化率が大きい）ことから、その寸法変化が突板などの
化粧単板に影響を及ぼし、時間の経過と共に、化粧単板
に微細な凹凸やクラックを生じさせる恐れがある。従来
の合板表面に繊維板を積層した木質複合板の場合、基材
である合板の表面単板（甲板）の繊維方向と化粧単板で
ある突板の繊維方向とを同じ方向として貼り付け積層し
ているために、甲板と突板との間に積層する繊維板の膨
張、収縮の影響が、突板側に露顕してしまい、商品価値
の低下を招いていた。

【０００５】すなわち、単板の場合、吸湿などによる膨
張、収縮率は、繊維方向と繊維方向に直交する方向で異
なっており、繊維方向に比較して、繊維方向に直交する
方向の膨張、収縮は大きい。一方、繊維板の寸法変化は
方向性を持たない。そのために、合板甲板と突板とを繊
維方向を同じにして貼り付け積層している従来のこの種
の木質複合板では、大きな膨張、収縮率を持つ繊維板の
方向性のない寸法変化における、合板甲板と突板の繊維
方向に向いた挙動に対しては合板甲板と突板とが抑制力
として作用するが、繊維方向に直交する方向の挙動に対
しては、合板甲板と突板は抑制力としては作用しない。
それにより、合板甲板と突板の繊維方向に直交する方向
の繊維板の膨張、収縮の影響が突板側に露顕する結果と
なっていた。

【０００６】本発明の目的は、合板の表面単板（甲板）
の上に繊維板が積層され、該繊維板の上に突板のような
化粧単板が積層されて構成される木質複合板の持つ上記
の不都合を解消することにあり、より具体的には、表面
平滑性を向上させるために積層する繊維板の吸湿などに
よる膨張、収縮の挙動を極力抑制して、化粧単板の表面
に微細な凹凸やクラックなどが発生するのを確実に阻止
することのできる木質複合板を提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明による木質複合板は、基材である合板の表面単
板（甲板）の上に繊維板が積層され、該繊維板の上に、
前記合板の表面単板の繊維方向と繊維方向を直交させる
ようにして化粧単板が積層されていることを特徴とす
る。

【０００８】本発明の木質複合板では、繊維板の表面と
裏面に貼り付け積層される単板（合板の表面単板（甲
板）と化粧単板（突板））の繊維方向が直交している。
そのために、寸法変化率の小さい表面単板（甲板）及び
化粧単板（突板）の繊維方向の挙動が、繊維板の方向性
を持たない大きな寸法変化に対して、直交する２方向に
おいて、抑制力として作用することとなり、繊維板の膨
張、収縮の影響が突板側に露顕するのは阻止される。

【０００９】本発明において、基材としての合板は、建
物の内装材や家具の表面材として用いられる木質ボード
などにおいて基材として用いられている合板であってよ
く、３プライ合板、５プライ合板など任意である。繊維
板は、木材チップを解繊して得られる木質繊維を接着剤
により圧締成形して得られる従来知られた繊維板であっ
てよく、比重が０．４〜０．８程度である中密度繊維板
（ＭＤＦ）、比重が０．８〜１．２程度である高密度繊
維板（ＨＤＦ）などであってよい。繊維板の厚みは、
０．５〜３．０ｍｍ程度であってよく、その程度の厚み
でもって、基材合板の表面荒さを十分補うことができ
る。３ｍｍ程度の厚みのものであっても、通常の厚み
（０．２〜１．０ｍｍ程度）の化粧単板を貼り付けたと
きに、繊維板の膨張、収縮の挙動は確実に抑制される。

【００１０】基材合板の表面単板（甲板）の厚みは通常
１ｍｍ程度とされるが、突板のような化粧単板の厚みは
０．２〜１．０ｍｍ程度であってよい。実験では、０．
２ｍｍのように薄い化粧単板であっても、下層の繊維板
の膨張、収縮の挙動を抑制でき、クラックなどが発生す
ることはなかった。また、合板の表面単板と化粧単板と
を同じ程度の厚みとする場合には、木質複合板の反りや
狂いが一層抑制される効果がもたらされる。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示した好ま
しい実施の形態に基づいて説明する。図１は、本発明に
よる木質複合板１の一例であり、５プライ合板１０の上
に繊維板２０が貼り付け積層され、その上に、化粧単板
として突板３０が貼り付け積層されている。接着剤は尿
素・酢酸ビニル系のものを使用している。

【００１２】この例で、合板１０は厚さ９ｍｍであり、
合板甲板（表面単板）１１として厚さ１ｍｍの単板が繊
維方向をＹ方向として貼り付けられている。繊維板２０
は中密度繊維板であり、厚みは３ｍｍである。突板３０
は、厚さ０．５ｍｍのミズナラの単板であり、その繊維
方向を前記甲板１１の繊維方向Ｙと直交するＸ方向とし
て繊維板２０の表面に貼り付けられている。

【００１３】上記の木質複合板１を８０℃で２時間乾燥
後、−２０℃で２時間冷却、のサイクルを２サイクル繰
り返すという環境においた後、突板３０の表面状態を目
視により観察したところ、ほとんど表面クラックやしわ
が見られなかった。比較品として、突板３０の繊維方向
を甲板１１の繊維方向と同じとしたものを製造して、同
じ試験を行ったところ、突板３０の表面には多数の表面
クラックが発生していた。それにより、本発明品の有効
性が確認される。

【００１４】

【発明の効果】本発明によれば、表面平滑性を向上させ
るために基材合板と化粧単板との間に繊維板を介在させ
た木質複合板において、繊維板の吸湿などによる膨張、
収縮の影響が表面化粧板に表れるのを確実に阻止するこ
とが可能であり、商品価値の高い木質複合板を得ること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による木質複合板の一例を説明する図。

【符号の説明】

１…木質複合板、１０…合板、１１…合板甲板（表面単
板）、２０…繊維板、３０…突板（化粧単板）

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 合板の表面単板の上に繊維板が積層さ
   れ、該繊維板の上に、前記合板の表面単板の繊維方向と
   繊維方向を直交させるようにして化粧単板が積層されて
   いることを特徴とする木質複合板。