JP2000288722A - 浸漬ノズルおよび連続鋳造方法 - Google Patents

浸漬ノズルおよび連続鋳造方法

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JP2000288722A
JP2000288722A JP11095986A JP9598699A JP2000288722A JP 2000288722 A JP2000288722 A JP 2000288722A JP 11095986 A JP11095986 A JP 11095986A JP 9598699 A JP9598699 A JP 9598699A JP 2000288722 A JP2000288722 A JP 2000288722A
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molten steel
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cross
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JP11095986A
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Tadashi Hirashiro
正 平城
Yoshihisa Shirai
善久 白井
Hideo Mizukami
英夫 水上
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ノズル詰まりが起こらず、低い設備費と安い操
業コストで、鋳型内の溶鋼の湯面レベルを安定させ、表
面品質の良好な鋳片を得ることが可能な浸漬ノズルおよ
びその浸漬ノズルを用いる鋼の連続鋳造方法の提供。 【解決手段】注入された溶鋼流10が内壁面に接触する
溶鋼入口部4−2と、その溶鋼入口部の横断面積より大
きい横断面積を持つ本体部とからなり、溶鋼入口部の横
断面積は長さ方向に一定であり、かつ、溶鋼入口部の横
断面積(Sa)に対する本体内部の横断面積(Sb)の
比Sb/Saが2〜6である鋼の連続鋳造用の浸漬ノズ
ル4。この浸漬ノズル4を用い、ノズル内部の空間部1
4に不活性ガスを導入し、空間部の内圧を1〜1.2気
圧とする連続鋳造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼の連続鋳造用の
浸漬ノズルおよびその浸漬ノズルを用いる鋼の連続鋳造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造では、タンディッシュ内の溶鋼
は浸漬ノズル(以下、単にノズルと記す場合がある)を
介して鋳型内に注入される。効率的な生産性の確保のた
めには、同一のタンディッシュまたは同一のノズルを用
いて、長時間にわたって連々鋳を行うことが必要であ
る。しかし、溶鋼中にはAlの酸化物などが存在し、鋳
造時間が長くなるにしたがって、これらの酸化物がノズ
ルの内壁に付着し、ついにはノズルが閉塞し、鋳造の継
続が困難になる場合がある。
【0003】また、鋳片に残存する非金属介在物を少な
くする目的などから、通常、2つの吐出孔の出口がそれ
ぞれ鋳型の両短辺側を向いたノズルが用いられるが、鋳
型内の溶鋼の湯面が大きく盛り上がったり、溶鋼の湯面
レベルが不安定になったりする場合がある。吐出流が、
鋳型の短辺側の凝固殻に衝突した後、上下に分岐し、分
岐した上昇流が、鋳型内の溶鋼の湯面に達するときに、
溶鋼の湯面が大きく盛り上がったりする。また、ノズル
の閉塞状況などにより、吐出流の流速や方向が短時間に
変化するとき、溶鋼の湯面レベルが不安定になったりす
る。鋳型内の溶鋼の湯面が大きく盛り上がったり、溶鋼
の湯面レベルが不安定になったりすると、鋳型内の溶鋼
の湯面上に添加した未溶融のパウダや溶融したパウダ
が、溶鋼中に巻き込まれて凝固殻に捕捉される場合があ
る。凝固殻に捕捉されたパウダは、鋳片表層部のパウダ
性欠陥の原因となる。
【0004】上述するノズルの閉塞に対して、従来か
ら、タンディッシュの上ノズル耐火物近傍からノズルの
下部の吐出孔までの間で、溶鋼中に3〜5Nリットル/
溶鋼t程度の多量の不活性ガスを注入することなどの対
策が採られてきた。しかし、溶鋼中に吹き込まれた不活
性ガスは、鋳型内の溶鋼中を気泡として浮遊するため、
これらの気泡が鋳型内の凝固殻に捕捉されやすい。凝固
殻に捕捉された気泡は、鋳片表層部の気泡性欠陥の原因
となる。鋳片表層部の気泡性欠陥は、鋳片を手入れして
も残存しやすく、圧延後の鋼帯などのへげ疵と呼称され
る線状欠陥の原因となる。
【0005】また、上述する鋳型内の溶鋼の湯面が大き
く盛り上がったり、溶鋼の湯面レベルが不安定になった
りすることに対して、吐出流の流速を外部からの力で強
制的に弱めたり、または、ノズル内の溶鋼レベルを調整
して、吐出流の流速や方向が短時間に変化する、いわゆ
る、吐出流が偏流することを防止する対策などが採られ
てきた。
【0006】CAMP ISIJ Vol.1(198
8)、P.159では、鋳型の長辺の外部に電磁コイル
を配置し、吐出流の流速を遅くする方法が提案されてい
る。しかし、この方法では、電磁コイルを搭載するため
鋳型の重量が増大し、鋳型振動装置への負荷が過大とな
る。したがって、大型の鋳型振動装置が必要になった
り、電磁コイルの冷却、絶縁等に多大な労力と費用がか
かる。
【0007】特開平9−225604号公報では、ノズ
ルの内部に不活性ガスを導入するための孔および排気す
るための孔をノズルの側壁部に備え、導入する不活性ガ
スの圧力および量を調整することにより、ノズル内の溶
鋼のレベルを鋳型内の溶鋼のレベルより高くしたり、低
くしたりして、吐出流が偏流することを防止する方法が
提案されている。
【0008】しかし、この方法では、吐出流の流速や方
向が短時間に変化することは抑制できるが、吐出流の流
速を遅くすることは困難である。したがって、鋳型内の
溶鋼の湯面が大きく盛り上がり、鋳型内の溶鋼の湯面上
に添加したパウダや溶融したパウダが、溶鋼中に巻き込
まれて凝固殻に捕捉され、鋳片表層部にパウダ性欠陥が
発生する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、従来
のノズルの閉塞防止対策や鋳型内の溶鋼の湯面の盛り上
がり防止対策や湯面レベルの安定化対策には、次にまと
めて示すような問題点がある。 ノズル内の溶鋼中に3〜5Nリットル/溶鋼t程度の
多量の不活性ガスを吹き込む方法は、不活性ガスの気泡
が鋳型内の凝固殻に捕捉され、鋳片表層部に気泡性欠陥
が発生しやすい。 鋳型に電磁コイルを配置して吐出流を制動する方法
は、鋳型振動装置への負荷が過大となり、電磁コイルの
冷却、絶縁等に多大な労力と費用がかかる。 ノズルに導入する不活性ガスの圧力などを調整して、
吐出流の偏流を防止する従来の方法では、吐出流の流速
を遅くすることは困難である。したがって、鋳型内の溶
鋼の湯面が不安定となり、溶鋼の湯面にあるパウダが溶
鋼中に巻き込まれ、凝固殻にこのパウダが捕捉されやす
い。
【0010】本発明は、ノズルの詰まりが起こらず、安
定した連続鋳造作業が可能で、かつ、低い設備費と安い
操業コストで、鋳型内の溶鋼の湯面の盛り上がりや湯面
レベルの不安定さを防止することにより、表面品質の良
好な鋳片を得ることが可能な浸漬ノズルおよびその浸漬
ノズルを用いる鋼の連続鋳造方法を提供することを目的
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)に示す浸漬ノズルおよび(2)に示すその浸漬ノ
ズルを用いた鋼の連続鋳造方法にある。
【0012】(1)注入された溶鋼流が内壁面に接触す
る溶鋼入口部と、その溶鋼入口部の横断面積より大きい
横断面積を持つ本体部とからなり、溶鋼入口部の横断面
積は長さ方向に一定であり、かつ、溶鋼入口部の横断面
積Saに対する本体内部の横断面積Sbの比Sb/Sa
が2〜6である鋼の連続鋳造用の浸漬ノズル。
【0013】(2)上記(1)に記載の浸漬ノズルを用
いる鋼の連続鋳造方法であって、浸漬ノズル本体内部の
溶鋼表面上に空間部を形成させ、その空間部に不活性ガ
スを導入し、空間部の内圧を1〜1.2気圧とする鋼の
連続鋳造方法。
【0014】図1は、本発明のノズルの例を説明するた
めの図である。図1(a)は平面図である。図1(b)
は、図1(a)におけるA1−A2線の断面図である。
ノズル4の本体内部の横断面積Sbは、内寸の厚みDi
に内寸の横幅Wiを掛けた大きさである。図1に示す本
発明のノズルの例では、本体内部の横断面積Sbが長さ
方向に一定である。また、タンディッシュの上ノズルを
経てノズル4に入る溶鋼入口部4−2の横断面積Sa
は、直径がDdの円形の面積である。L1は、ノズル本
体底部4−1と吐出孔5の本体内部側の下端との間の距
離である。L2、Woは、それぞれノズル4の外形の高
さ、外形の横幅の寸法で、Doは、外形の厚み、また、
L3、L4は、それぞれ吐出孔の縦、横の寸法を示す。
【0015】図2は、本発明のノズルを用いる本発明の
連続鋳造方法を説明するための図である。タンディッシ
ュ1内の溶鋼9は、タンディッシュの上ノズル2、スラ
イディングプレート3およびノズル4を経て鋳型6内に
注入される。このとき、タンディッシュ1からの溶鋼流
10は、ノズル本体部の内壁に接触することなく、ノズ
ル本体部の空間部14を落下する。
【0016】本発明者らは、前述したような従来の浸漬
ノズルの閉塞防止対策、鋳型内の溶鋼の湯面の盛り上が
り防止対策および湯面レベルの安定化対策における問題
点を、次に示すようにして解決した。 (a)ノズルの閉塞については、本発明のノズルの形状
を、本体内部の横断面積Sbが溶鋼入口部の横断面積S
aの2〜6倍とすることにより解決した。この形状のノ
ズルでは、タンディッシュからノズル内に注入された溶
鋼の注入流は、ノズルの本体部の内壁と接触せずにノズ
ル内を落下する。ノズル内に貯まった溶鋼は、本体内部
と接しているが、溶鋼の温度が高いので、ノズル本体内
壁に溶鋼中の酸化物が付着することはない。したがっ
て、溶鋼中のAlの酸化物などがノズルの本体内壁に付
着することを防止でき、ノズルの閉塞を防止できる。ま
た、ノズル閉塞防止のために、溶鋼中に多量の不活性ガ
スを吹き込むことはないので、不活性ガスの気泡が鋳型
内の凝固殻に捕捉されることもない。
【0017】(b)鋳型内の溶鋼の湯面の盛り上がりや
湯面レベルの不安定さについては、本発明のノズルの形
状を上述した(a)とすること、浸漬ノズル本体内部の
溶鋼表面上に空間部を形成させ、その空間部に不活性ガ
スを導入し、空間部の内圧を1〜1.2気圧とすること
などで解決した。以下に詳細を説明する。
【0018】鋳型内の溶鋼の湯面の盛り上がりや湯面レ
ベルの不安定さは、上述したように、吐出流の流速が速
いこと、また、吐出流の流速や方向が短時間に変化する
ことなどによって発生する。
【0019】まず、吐出流の流速について説明する。吐
出流の流速は、吐出孔の位置の溶鋼に作用する圧力の大
きさに比例するが、本発明のノズルを用いた場合の圧力
は、従来のノズルを用いた場合よりも小さい。なぜなら
ば、本発明のノズルは、上述した(a)に記載するよう
に本体内部の横断面積が大きなノズルであり、ノズル内
に溶鋼が注入された場合に、ノズル内部に空間ができ
る。この空間部に不活性ガスを導入して、空間部の内圧
を1〜1.2気圧とするので、本発明のノズルの場合の
吐出孔の位置の溶鋼に作用する圧力の大きさは、ほぼ1
〜1.2気圧となる。
【0020】一方、従来のノズルを用いた場合に、吐出
孔の位置の溶鋼に作用する圧力は、タンディッシュ内の
溶鋼の湯面レベルと吐出孔の位置の高さの差に相当する
圧力であり、1.2気圧よりも大きい。したがって、本
発明のノズルを用いた場合に、吐出孔の位置の溶鋼に作
用する圧力は、従来のノズルを用いた場合の圧力よりも
小さくなるので、本発明のノズルを用いた場合の吐出流
の流速は、従来のノズルを用いた場合の流速に比べて遅
くなる。このように、本発明のノズルを用いた場合、鋳
型内の溶鋼の湯面の盛り上がりを防止できる。
【0021】次に、吐出流の流速や方向の短い周期での
変化について説明する。吐出流の流速や方向が短い周期
で変化するのは、ノズルが閉塞気味になったり、ノズル
内の溶鋼の湯面レベルが短時間で変化することなどによ
る。本発明のノズルのようなノズル内部の横断面積の大
きなノズルを用いる場合には、上述したようにノズルの
閉塞もなく、また、ノズル内の溶鋼の湯面レベルが安定
する。したがって、吐出流の流速や方向が短時間に変化
することを防止できる。
【0022】本発明のノズルでは、鋳型に電磁コイルを
配置することもないので、低い設備費と安い操業コスト
で、鋳型内の溶鋼の湯面の盛り上がりや湯面レベルの不
安定さを防止でき、表面品質の良好な鋳片を得ることが
できる。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明の浸漬ノズルでは、ノズル
の本体内部の横断面積Sbを、溶鋼入口部の横断面積S
aの2〜6倍とする。2〜6倍とすることにより、タン
ディッシュからノズル内に注入される溶鋼の注入流がノ
ズル本体の内壁に接触しなくなる。また、ノズル内に貯
まった溶鋼はノズル本体の内壁と接するが、溶鋼の温度
が高いので溶鋼中の酸化物が内壁に付着しない。したが
って、溶鋼中のAlの酸化物などがノズル本体の内壁に
付着することはない。2倍未満では、タンディッシュか
らの溶鋼流がノズル本体の内壁と接触する場合があり、
閉塞防止効果が少なくなる。望ましくは、3倍以上であ
る。また、6倍を超えると、鋳型内面の横断面積に対し
て、ノズル本体の横断面積の占める割合いが大きくな
り、また、鋳型内の溶鋼の温度が低下しやすくなる。そ
のため、ノズルが鋳型内の凝固殻に付着しやすくなっ
て、連続鋳造作業が困難になる。したがって、ノズル本
体内部の横断面積は、溶鋼入口部の横断面積の2〜6倍
とする。望ましくは、3〜6倍である。
【0024】本発明の浸漬ノズルでは、図1(b)に示
す溶鋼入口部4−2の高さL5を、ノズルの外形の高さ
L2の50%以下とするのが望ましい。50%を超える
と、ノズルの閉塞防止効果が少なくなる。
【0025】本発明の浸漬ノズルでは、一般的なスラブ
用連続鋳造機に用いられている通常の浸漬ノズルの長さ
が約700〜1000m程度であることから、ほぼ同じ
長さになることを前提にすれば、ノズル本体底部4−1
と吐出孔5の本体内部側の下端との間の距離L1(図1
(b)中のL1)を40〜80mmとするのがよい。ノ
ズルの底部で反転した溶鋼が、タンデイッシュからノズ
ル内に落下してくる溶鋼と衝突することにより、遅い速
度で吐出孔から流れ出るため、従来のノズルに比べて、
本発明のノズルの吐出流の流速は小さくなる。したがっ
て、鋳型内の溶鋼の湯面レベルが安定し、鋳型内に添加
されたパウダなどを溶鋼中に巻き込むことがなくなる。
そのため、表面品質の良好な鋳片を得ることができる。
【0026】40mm未満の距離では、吐出流の流速を
遅くする効果が小さく、また、80mmを超える場合に
は、鋳造開始時にノズルの底部に貯まる溶鋼量が多くな
り、ノズルの先端がちぎれるなどの操業事故が起こりや
すくなる。
【0027】本発明のノズルでは、ガス排気孔13を、
ノズルの本体部の鋳型内の溶鋼に浸からない部分の上部
の側壁部に備えるのがよい。後述するように、本発明の
方法では、浸漬ノズル本体内部の溶鋼表面上に空間部を
形成させ、その空間部に不活性ガスを導入し、空間部の
内圧を1〜1.2気圧とするからである。すなわち、空
間部に導入された不活性ガスを大気中に排気するためで
ある。また、図1では、不活性ガスの導入口12を、ノ
ズルの本体部の上部の側壁部に備えた例を示すが、不活
性ガスの導入口12は、タンディッシュ1の上ノズル2
に備えてもよいし、スライディングプレート3に備えて
も構わない。
【0028】図1に示す本発明のノズルの例では、ノズ
ルの外形および内部の空間部のそれぞれの横断面形状が
矩形の例を示したが、楕円でもよいし、とくにそれらの
形状は限定しない。また、図1に示す例では、本体内部
の横断面積Sbが長さ方向に一定の例を示したが、長さ
方向に一定でなく、たとえば、下方の方が、横断面積S
bが大きくなる形状でもよい。この場合、長さ方向の任
意の位置の横断面積Sbも、前述のSb/Saが2〜6
の条件を満たさなければならない。
【0029】本発明の連続鋳造方法では、ノズル本体内
部の空間部に不活性ガスを導入し、空間部の内圧を1〜
1.2気圧とする。
【0030】不活性ガスの圧力を1気圧以上とすること
により、ノズル内の溶鋼の湯面レベルが変動した場合な
どに、ガス排気孔から空気がノズル内に侵入することを
防止できる。ノズル内に大気が吸い込まれた場合には、
ノズル内の溶鋼が酸化され、鋼の清浄性が悪くなる。
【0031】ノズル本体内部の空間部に不活性ガスを導
入するとき、空間部の内圧が1気圧未満では、ノズル内
の溶鋼の湯面レベルが変動した場合に、ガス排気孔から
空気がノズル内に侵入する。1.2気圧を超えると、ノ
ズル内部の溶鋼の湯面レベルが下がりすぎて、吐出量が
少なくなったり、鋳型内の溶鋼がノズル本体内部に入っ
たりして、鋳造作業が不安定になる場合がある。したが
って、空間部の内圧を1〜1.2気圧とする。
【0032】不活性ガス量は0.3〜0.5Nリットル
/分、または、0.05〜0.1Nリットル/溶鋼t程
度の少量でよい。
【0033】図1では、不活性ガスの導入口12を、ノ
ズルの本体部の上部の側壁部に備えた例を示すが、不活
性ガスの導入口12を、タンディッシュ1の上ノズル
2、またはスライディングプレート3に備えた場合に
は、ノズル内の溶鋼中に不活性ガスが残存するが、導入
する不活性ガスの量が少ないので、鋳型内の溶鋼中にま
で残存する不活性ガスの気泡は少ない。したがって、不
活性ガスの気泡は鋳型内の凝固殻11に捕捉されにく
い。
【0034】図2に示す例では、本発明のノズル4をス
ライディングプレート3に固定する方法の例を示した
が、スライディングプレート3を用いない場合には、ノ
ズル4をタンディッシュの底部の鉄皮に固定してもよ
い。タンディッシュの底部の鉄皮に固定する場合には、
タンディッシュ内の溶鋼に上方から耐火物製のストッパ
ーを浸漬して、タンディッシュからノズルに注入する溶
鋼量を調整すればよい。
【0035】
【実施例】垂直部長さが3mの垂直曲げ型連続鋳造機を
用いて、断面形状が厚み270mm、幅1500mmの
スラブを、1.50m/分の速度で鋳造した。用いた鋼
は、炭素含有率が0.04〜0.06重量%の低炭素鋼
で、表1にその化学組成を示す。試験に用いた本発明の
ノズルおよび従来のノズルの仕様を表2に示す。本発明
および従来のノズルともに、材質がアルミナグラファイ
トのノズルを用いた。本発明例の試験には、外形および
本体内部の横断面形状が矩形のノズルを用い、比較例の
試験には、従来の丸形状および一部の寸法が本発明で規
定する条件を外れた矩形のノズルを用いた。ノズルの先
端と溶鋼メニスカス部との間の距離、すなわち、ノズル
の浸漬深さは、それぞれ280mmで一定の深さとし
た。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】本発明例の試験では、ノズルの側壁部から
Arガスを導入し、ノズル本体内部の空間部の内圧を
1.0気圧に調整した。比較例の試験では、Arガスを
導入しないか、または、導入する場合は、スライデイン
グプレートから溶鋼中に導入した。いずれも、貫通孔
(直径0.3mmの孔、合計10個の孔)を用いて、A
rガスを導入した。
【0039】試験に用いた鋳型の長辺外側には、電磁力
による溶鋼流の制動が可能な電磁ブレーキ装置を配置
し、鋳型内の溶鋼メニスカス部の溶鋼表面の湯面レベル
の乱れが激しくて鋳造作業が困難な場合には、この電磁
ブレーキ装置を作動させて、ノズルからの吐出流の流速
を遅くし、溶鋼表面の湯面レベルの乱れを抑えた。
【0040】鋳造中にノズルの詰まり状況を観察した。
詰まりが発生した場合には、鋳造速度を一定に維持する
ために、スライディングプレートの開度が大きくなるよ
う、開度が自動制御されるので、その開度の変化を観察
することにより、ノズルの詰まり発生状況を判断した。
詰まりが激しくて、連々鋳が困難な場合には、そのヒー
トで鋳造を中止したが、ノズルの詰まりが発生しない場
合には、可能なヒートまで連々鋳を継続した。
【0041】鋳造速度が一定となった状態で鋳造された
鋳片の位置から、鋳造方向に長さ8mの鋳片のサンプル
を採取し、鋳片表面の気泡性欠陥、パウダの巻き込みな
どによるノロカミ疵の発生状況を調査した。
【0042】鋳片表面の気泡性欠陥の調査方法は、次の
とおりである。得られた鋳片の両長辺側の表層を、それ
ぞれ深さ約3mm溶削し、その溶削後のそれぞれの鋳片
の表面に存在する直径1mm以上の気泡性欠陥(ピンホ
ール)の発生個数を、目視で調査した。気泡性欠陥の個
数の最も少なかった試験の発生個数を指数1.0とし
て、その他の試験結果を指数で評価した。
【0043】ノロカミ疵の発生状況は、上記の気泡性欠
陥の調査を行う前、すなわち、鋳片表層を溶削する前
に、鋳片表面のノロカミ疵の発生個数を目視で調査し
た。ノロカミ疵の発生個数の最も少なかった試験の発生
個数を指数1.0として、その他の試験結果を指数で評
価した。表3および表4に、試験条件と試験結果を示
す。
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】本発明例の試験No.1〜No.5では、
表2に寸法を示すように、内寸で横幅200〜400m
m、厚み90mmの横断面形状が矩形である本発明のノ
ズルを用いた。ノズル内部の空間部には、Arガスを
0.3〜0.5Nリットル/分、すなわち、0.05〜
0.1Nリットル/溶鋼tの流量で導入した。ノズルの
詰まりは全く発生せず、連々鋳は12〜14ヒートが可
能であった。連々鋳の最後のヒートでは、ノズルの耐火
物に溶損が発生したため、そのヒートで連々鋳を中止し
た。この溶損は、通常起こる程度の溶損である。鋳型内
の溶鋼の湯面レベルは安定しており、電磁ブレーキを作
用させる必要がなかった。
【0047】得られた鋳片の表面には、気泡性欠陥はわ
ずかしかなく、発生指数は1.0〜1.3であった。ま
た、ノロカミ疵もわずかしか認められず、発生指数は
1.0〜2.0であり、表面品質の良好な鋳片が得られ
た。
【0048】本発明例の試験の内で、吐出孔の大きさ、
吐出孔の下端と底部との距離および横幅の寸法のいずれ
かの寸法を大きくした試験No.3〜No.5では、鋳
片表面の品質が試験No.1およびNo.2より良好で
あった。本発明のノズルを用いる場合には、吐出孔の断
面積を大きくすると、さらに良好な表面品質の鋳片を得
ることができる。吐出流が、さらに遅くなるためであ
る。後述するように、従来のノズルでは、吐出孔の断面
積を大きくしても、吐出流の流速を遅くする効果は少な
い。
【0049】比較例の試験No.6では、表2に寸法を
示すような従来の横断面が丸形状のノズルを用い、ま
た、ノズル内の溶鋼には、Arガスを導入せずに鋳造し
た。1ヒート目からノズルが詰まり、2ヒートで連々鋳
を中止した。また、電磁ブレーキ装置を作動させなかっ
たため、鋳型内の溶鋼の湯面が激しく波立った。得られ
た鋳片の気泡性欠陥は発生指数1.1で少なかったが、
ノロカミ疵の発生指数は8.0で多くのノロカミ疵が発
生した。溶鋼の湯面が波立ったために、溶融パウダなど
を巻き込んだためである。
【0050】比較例の試験No.7では、試験No.6
の試験条件に電磁ブレーキ装置を作動させる条件を加え
て試験した。電磁ブレーキ装置を作動させたため、鋳型
内の溶鋼の湯面レベルは安定し、鋳片のノロカミ疵の発
生指数も2.0でほぼ良好となった。しかし、1ヒート
目からノズルが激しく詰まり、2ヒートで連々鋳を中止
した。
【0051】比較例の試験No.8〜No.9では、試
験No.7の試験条件に、ノズル内の溶鋼にArガスを
5〜20Nリットル/分、すなわち、1〜4Nリットル
/溶鋼tの流量で導入する条件を加えて試験した。Ar
ガスの導入により、ノズルの詰まりは3〜4ヒート目に
なってから発生するようになり、連々鋳は6〜10ヒー
トまで可能になった。それぞれ最後のヒートでは、ノズ
ルが詰まったため、鋳造を中止した。
【0052】得られた鋳片の表面には、ノロカミ疵は少
なかったが、気泡性欠陥の発生指数が6.5〜8.5
で、多くの気泡性欠陥が発生した。導入したArガスの
流量が多いためである。もっとも、Arガス流量が多い
のは、これだけのArガス量を導入しないと、連々鋳可
能なヒート数を増やせないからである。
【0053】比較例の試験No.10では、吐出孔の大
きさを大きくし、その他の条件は試験No.9と同じと
したが、ノズルの詰まり状況は改善されなかった。さら
に、得られた鋳片のノロカミ疵の発生指数は6.0で、
試験No.9より悪かった。吐出孔を大きくしたこと
で、かえって、吐出流の流速や方向が乱れ、鋳型内の溶
鋼の湯面がやや波立った。そのために、ノロカミ疵が増
加した。
【0054】比較例の試験No.11では、表2に寸法
を示すように、内寸で横幅300mm、厚み90mmの
横断面形状が矩形のノズルを用いた。ただし、吐出孔の
下端と底部との距離を100mmとして、本発明のノズ
ルで規定する条件を外した横断面形状が矩形のノズルで
ある。鋳造開始時にノズルの底部に貯まった溶鋼の重量
が重すぎ、ノズルの先端が破損して、鋳造を中止した。
【0055】比較例の試験No.12では、表2に寸法
を示すように、内寸で横幅600mm、厚み90mmの
横断面形状が矩形のノズルを用いた。ノズル内部の空間
部の横断面積が、ノズルの溶鋼入口部の横断面積の8.
4倍であり、本発明のノズルで規定する条件を外れる横
断面形状が矩形のノズルである。鋳造開始後、ノズルが
鋳型内の凝固殻に付着し、ノズルが折損した。そのた
め、鋳造を中止した。
【0056】
【発明の効果】本発明のノズルおよびそのノズルを用い
る連続鋳造方法の適用により、ノズルの閉塞が起こらず
連々鋳ができるヒート数を増加することができ、安定し
た連続鋳造作業が可能で、また、鋳型内の溶鋼の湯面が
盛り上がることもなく、湯面レベルが安定し、表面品質
の良好な鋳片を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の浸漬ノズルの例を説明するための図で
ある。
【図2】本発明のノズルを用いる本発明の連続鋳造方法
を説明するための図である。
【符号の説明】
1:タンディッシュ 2:上ノズル 3:スライディングプレート 4:浸漬ノズ
ル 4−1:浸漬ノズル内部の底部 4−2:溶鋼
入口部 5:吐出孔 6:鋳型 7:鋳型内の
溶鋼の湯面レベル 8:浸漬ノズル内の溶融の湯面レベル 9:溶鋼 10:溶鋼流 11:凝固殻 12:不活性ガスの導入口 13:ガス排
気孔 14:空間部 Sa:溶鋼入口部の横断面積 Sb:浸漬ノズルの本体内部の横断面積 Do:外形の厚み Di:内寸の
厚み Wo:外形の横幅 Wi:内寸の
横幅 Dd:溶鋼入口部の直径 L1:吐出孔の本体内部側の下端と浸漬ノズル本体底部
との間の距離 L2:外形の高さ L3:吐出孔
の縦寸法 L4:吐出孔の横寸法 L5:溶鋼入
口部の高さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水上 英夫 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内 Fターム(参考) 4E004 FB04 4E014 DB03 FA00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】注入された溶鋼流が内壁面に接触する溶鋼
    入口部と、その溶鋼入口部の横断面積より大きい横断面
    積を持つ本体部とからなり、溶鋼入口部の横断面積は長
    さ方向に一定であり、かつ、溶鋼入口部の横断面積(S
    a)に対する本体内部の横断面積(Sb)の比Sb/S
    aが2〜6であることを特徴とする鋼の連続鋳造用の浸
    漬ノズル。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の浸漬ノズルを用いる鋼の
    連続鋳造方法であって、浸漬ノズル本体内部の溶鋼表面
    上に空間部を形成させ、その空間部に不活性ガスを導入
    し、空間部の内圧を1〜1.2気圧とすることを特徴と
    する鋼の連続鋳造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011240395A (ja) * 2010-05-21 2011-12-01 Nippon Steel Corp 連続鋳造装置および連続鋳造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011240395A (ja) * 2010-05-21 2011-12-01 Nippon Steel Corp 連続鋳造装置および連続鋳造方法

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