JP2891757B2 - 浸漬ノズル - Google Patents

浸漬ノズル

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JP2891757B2 JP2209312A JP20931290A JP2891757B2 JP 2891757 B2 JP2891757 B2 JP 2891757B2 JP 2209312 A JP2209312 A JP 2209312A JP 20931290 A JP20931290 A JP 20931290A JP 2891757 B2 JP2891757 B2 JP 2891757B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、鋼の連続鋳造に使用される浸漬ノズルに関
するものである。
(従来の技術) 鋼の連続鋳造において、例えばタンディッシュから連
続鋳造機のモールド内へ溶鋼を注入する浸漬ノズルは、
溶鋼の酸化防止やモールド内の流動の制御等重要な役割
を有している。
一方、こうして連続鋳造機にて鋳造された例えば低炭
素鋼鋳片は、熱間圧延、あるいは熱間圧延後、冷間圧延
を施した後焼鈍工程を経て薄鋼板として製品とされる。
この熱間圧延後の鋼板あるいは、焼鈍後の冷延鋼板の板
表面に、しばしば、幅1〜4mm、長さ数mmに隆起した、
あるいはこれら数mmの隆起が点状に連続して300mmにわ
たって連なった、いわゆるふくれ状の欠陥(以下ふくれ
欠陥と称す)が生じることがある。
これらの欠陥は、自動車用鋼板の如き加工が施される
薄鋼板において、とりわけその加工性を高めるため鋼板
中の炭素濃度を極力低下させた、鋼中の炭素含有量が0.
005wt%以下の極低炭素鋼の場合に、さらに製品中の固
溶炭素や窒素を析出物として固定させるために、TiやNb
といった炭素や窒素との親和力が強い第三元素を添加さ
せた鋼種に多く発生しがちであり、製品の歩留まりの大
幅な低下を招く大きな原因に数えられている。この極低
炭素鋼板は、溶鋼二次精錬技術の発展、中でもRHやDH等
の真空脱ガス技術の等しい技術開発の結果、清浄性の高
い極低炭素鋼として連続鋳造が可能となったことから、
上記のように連続鋳造の鋳片として、後工程に遅られ
る。これら鋳片は、熱間圧延さらには冷間圧延、焼鈍工
程を経て製品とされるが、この最終工程で検出されるふ
くれ欠陥は、多段におよぶ溶製、加工工程の手順を踏ん
でおり、その歩留まり低下は、製鋼工程のみならず、製
品製造コストに大きく影響をもたらすわけである。
このふくれ欠陥の主な原因は、連続鋳造の際に、モー
ルドに溶鋼を供給する浸漬ノズルから吹き込まれるArガ
スが、鋳片内部に捕捉されるためと言われている。
すなわち、第1図に示すように、一般に低炭素鋼の連
続鋳造の際には、タンディッシュ1からモールド2へ溶
鋼を供給するために、タンディッシュ1に設置した、上
ノズル3、スライディングプレート4、下ノズル5なら
びにモールド内浸漬ノズル6等から構成される、いわゆ
る浸漬ノズルが広く用いられる。この浸漬ノズルは、そ
のノズル内部の溶鋼と接触する内周面、中でも接触する
溶鋼の流速が特に速い、スライディングプレート部4、
あるいは逆Y字型の下向き2孔の形式が広く一般的に取
られている溶鋼流出部7(以下吐出口と称す)等の部分
に、溶鋼との接触の時間が長くなるにつれて、鋼中に存
在する酸化アルミニウム(以下アルミナと称す)が集積
し、ノズル閉塞の問題を有する。そこで、介在物の集積
を制御するために、浸漬ノズルの内周面11を介して溶鋼
鋼注入流に対して多量のガスの放出が行える構造となっ
ており、現在Arガスが広く吹き込まれ連続鋳造の安定な
操業に不可欠となっている。
この吹き込まれるArガスは、その大部分はモールド2
に供給される溶鋼中で混入し、モールド内あるいは連続
鋳造機内で、周辺溶鋼の流速の低下に伴って、溶鋼とガ
スの比重差に基づく浮力によってその大部分が浮上し、
モールド上層に設置されたパウダー層8内に吸収、ある
いはパウダー層8を通過して機外へ放出され、またこの
浮上の間に周辺に存在する介在物を伴うため、鋳造され
た鋳片の清浄化にも大きく寄与する。
ところが、一部の浮上中のガスは鋳片の凝固殻9に捕
捉され、鋳片内に気泡10として残留することが認められ
ており、この傾向は特に湾曲型連続鋳造機で顕著であ
る。
この気泡10は、その径が大きいものほど、熱間圧延を
経たのちも鋳中に気泡10のまま残りやすく、とくに気泡
内に微細なアルミナ系等の介在物を捕捉している場合に
は、圧着が妨げられることになり、鋼板の表面にふくれ
状の欠陥となる。
また、その後の冷間圧延に際して、Arといった鋼板へ
の溶解度も小さく、拡散による系外への放出がほとんど
無い気泡10の場合には、このような未圧着な気泡10の内
圧が増加し、その後の焼鈍工程において、鋼材の軟質化
とともに、薄板の表面を局部的に隆起させるに至る。さ
らに、未圧着気泡内面に存在するアルミナ系等の介在物
が存在する場合には、この固い介在物と柔らかい鋼材の
両者の境界にボイドと称する空隙が形成されやすい。こ
の場合には、称鈍工程で酸化抑制のために雰囲気ガス中
に成分として使用されるHNX等の還元ガスから、水素成
分が鋼板中を拡散して侵入しやすく、このふくれ欠陥を
助長する因子となる。
以上のように、低炭素薄鋼板の表面にしばしば発生す
るふくれ欠陥が、その主たる原因としてArガス気泡10に
由来することから、欠陥発生の抑制のために浸漬ノズル
からのArガスの吹き込み流量を低下させると、本来の目
的であるノズル閉塞防止の効果を充分に発揮することが
できなくなるという問題がある。
そこで、浸漬ノズルの閉塞防止を確実に享受しつつ、
ふくれ欠陥の発生を抑制するために、溶鋼トン当たり4N
l以下に制限したArと残余N2との混合ガスを用い、鋳片
の内部に捕捉されるガス気泡に基づく1mmφ以上のピン
ホール数をトン当たり10個以内に低減させる方法(特開
昭62−38747号公報)、等に報告されている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、浸漬ノズルからN2ガスを吹き込んだ場
合には、例えば特に鋳造速度が遅くなり溶鋼とN2ガスの
接触時間が長くなると、鋳片の一部分ではあるが、この
N2ガスが溶鋼中に少なからず吸収され、すでに存在する
以上に溶鋼中の窒素濃度が増加する。この窒素成分は、
鋳片の凝固段階あるいは冷却段階において種々の窒化物
として鋼材中に析出してくるため、薄鋼板の加工性、成
形性に支障をきたす恐れがあり、極力低いほうが好まし
いと言われている。実際に現状の窒素濃度の鋼材におい
ても、材料の加工性を確保するために、上述したTiとい
った第三元素成分を鋼成分として添加し、製品段階でこ
の窒素成分をも窒化物として固定させておく方法がとら
れている。ここで、窒素濃度が現状以上に増加した場合
に、鋼板長手方向で材質上の不均一が生じうること、こ
のばらつきを考慮して均一な材質を確保するためには、
これら添加合金の量が増加し、精錬上でのコスト増加は
まぬがれない。
以上のような問題点を鑑み、本発明は、これら問題点
を解決し、ノズル閉塞の防止に必要なガス吹き込み量は
充分に確保し、かつ大幅な精錬コストの上昇もなく、ま
た連続鋳造の操業状態の変動にも常に安定な効果を享受
することができ、しかもふくれ欠陥を伴わない、低炭素
鋼薄板鋼板用の鋳片を供給する連続鋳造を可能とする浸
漬ノズルを提供することを目的とするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明は、Tiを含有する極低炭素アルミキルド鋼の連
続鋳造用アルミナ−黒鉛質製浸漬ノズルにおいて、ノズ
ル内周面の構成成分を、シリカの含有量を5重量%以
下、かつ炭化珪素の含有量を5〜15重量%としたことを
特徴とする浸漬ノズルに関するものである。
(作用) 発明者等は、ノズル閉塞を防止するための浸漬ノズル
からArガス吹き込みは従来どおり積極的に実施し、かつ
浸漬ノズルからモールド内へ供給される溶鋼中に吹き込
まれたガスが混入しても、ふくれ状欠陥につながらない
熱延、例延薄鋼板用鋳片の連続鋳造に適した浸漬ノズル
に関して研究開発を続けてきた。
これらのふくれ状欠陥の発生状態について詳細な解
析、調査を重ねた結果、第2図に鋳造速度や鋳造幅等の
鋳造条件を揃えて鋳造を行ったTiを含有しない低炭素ア
ルミキルド鋼とTiを含有する極低炭素アルミキルド鋼
の、薄鋼板の鋼板表面のふくれ状欠陥の観察結果を、任
意の鋳造時間単位に対し、次に示すふくれ発生指数で示
したが、両鋼種ともに連続鋳造時間の経過に伴いふくれ
状欠陥の発生頻度が増加すること、さらにこの傾向は、
Tiを含有しない低炭素アルミキルド鋼よりも、Tiを含有
する極低炭素アルミキルド鋼に顕著である地検を得た。
ここでふくれ発生指数とは、 によって規定している。
このふくれ発生供給の違いの原因を明らかとするた
め、同一の鋳造条件で鋳造を行ったTiを含有しない低炭
素アルミキルド鋼と、Tiを含有する低極炭素アルミキル
ド鋼の浸漬ノズルを回収し、ノズル内部の溶鋼と接触す
る部分の耐火物を切り出し、その気孔率を調査した結
果、Tiを含有しない低炭素アルミキルド鋼よりも、Tiを
含有する極低炭素アルミキルド鋼の方がその気孔率が増
加しており、さらに、これらの耐火物を水中に浸漬し、
溶鋼非接触面からArガスを通気させたところ、溶鋼接触
面から発生するArガス気泡の大きさがTiを含有しない低
炭素アルミキルド鋼よりも、Tiを含有する極低炭素アル
ミキルド鋼の方が大きいという知見を得た。
この鋳造後の耐火物の溶鋼接触面の気孔率が増加する
原因をさらに究明するため、ノズル内周面11の耐火物組
成と同一の棒状耐火物を作製し、ルツボ内で少量溶解し
たTiを含有しない低炭素アルミキルド鋼ならびにTiを含
有する極低炭素アルミキルド鋼にそれぞれ浸漬、これら
耐火物と溶鋼との反応を調査した。その結果、Tiを含有
しない低炭素アルミキルド鋼ならびにTiを含有する極低
炭素アルミキルド鋼のそれぞれとも、溶鋼中の成分であ
るアルミニウムならびにチタンと、耐火物中のシリカが
以下に示すような、酸化還元反応を起こしていることが
発明した。
4Al+3SiO2→2Al2O3+3Si (1) Ti+SiO2→TiO2+Si (2) すなわち、低炭素アルミキルド鋼、中でもTiを含有す
る極低炭素アルミキルド鋼は、脱酸成分であるアルミニ
ウムに加え、浸漬ノズル内周面のシリカと反応するTiを
さらに含有するため、Tiを含有しない低炭素アルミキル
ド鋼以上に、ノズル内周面のシリカが消失しやすい鋼で
あると言える。すなわち、連続鋳造の鋳造時間の経過に
つれて、溶鋼と接触する浸漬ノズル内周面中のシリカが
溶鋼成分のアルミ、Tiによって還元され、ノズル内周面
の表面から消失することにより、浸漬ノズル内周面の気
孔率が増加し、その結果浸漬ノズルを介して溶鋼中に吹
き込まれるArガスの気泡径が増大することによって、こ
れらのガスの一部が鋳片上面に捕捉され、ふくれ状欠陥
につながるものと考えられる。
そこでこの考えに基づき、実際に、従来広く用いられ
ているアルミナ、炭素(グラファイト)、シリカ他から
構成から、いわゆるアルミナ−黒鉛質浸漬ノズルのノズ
ル内周面の構成成分であるシリカを3重量%程度まで減
少させた浸漬ノズルを用いて、ノズル閉塞を完全に防止
できる流量のArガスは流したまま、ふくれ状欠陥が顕著
なTiを含有する極低炭素アルミキルド鋼を鋳造し、その
鋳片の内部に残留する気泡の挙動を時系列適に調査した
ところ、連続鋳造の後半でもその大きさ、数ともに増加
することがないことを確認した。
さらに、こうして鋳造したこれらの鋳片を、常法に従
って従来と同様の温度、圧下条件で熱間圧延あるいは熱
間圧延後、冷間圧延ならびに焼鈍処理を行い、薄鋼板と
して製造し、その鋼板表面を入念に調査したが、ふくれ
欠陥は全く発生していないという結果を得た。
一方、これらの鋳造は、鋳造中の操業条件も極めて安
定であり、ノズル閉塞等の徴候は一切認められず、また
鋳造を終了した浸漬ノズルを解体し、従来吹き込みガス
量を減少した際に著しく介在物が付着するノズル内周面
の主にアルミナ系介在物の付着状況を調査した結果、介
在物の付着はほとんど認められず、健全な状態を示して
いた。また鋳造後の浸漬ノズル内周面の気孔率を調査し
たところ、鋳造前の気孔率からの変化もほとんど観察さ
れないことをも確認した。
ここで、本発明の要件である浸漬ノズルの内周面のシ
リカの含有量としえは、鋳造時間との兼ね合いにもよる
が、平均的な鋳造時間である360分程度以上の連続鋳造
に対してその効果を安定に享受するためには5重量%以
下に抑えることが望ましい。
第3図には、Tiを含有する極低炭素アルミキルド鋼の
連続鋳造時間(分)に対して、ノズル内周面のSiO2含有
量を種々変化させて400分以上の鋳造を行い、該鋳片を
熱間圧延後、冷間圧延ならびに焼鈍処理を行い薄鋼板で
鋼板表面を検査したふくれ状欠陥の観察結果を、任意の
鋳造時間単位に対して先に定義したふくれ欠陥発生指数
で示した。本図に示されるように鋳造時間が長い場合で
も、ノズル耐火物中のSiO2の含合量は低いほうがふくれ
状欠陥の発生抑制には好ましく、安定な鋳片を得るには
SiO2の含有量は5重量%以下が必要であることがわか
る。
このシリカは、低熱膨張性の機能を有するため、これ
を含有することでノズルの耐スポーリング性が向上する
ことからこれまで用いられているが、一方このシリカの
含有量を低下させた浸漬ノズルに関しては、これまでに
も、ノズル内周壁面にMgO:1〜15重量%以下、C:20重量
%以下、SiO2:1重量%以下、残部が不可避不純物とZrO2
からなる母材を配置したもの(特開昭63−203258号公
報)や、ノズルの溶鋼浸漬部および/又はノズル内周孔
にシリカを含有しないか、あるいはノズル本体より少な
くしたもの(特公昭1−40790号公報)等が報告されて
いる。しかし、前者については、比重の大きいジルコニ
アを使用するため、ノズルの重量が増加しハンドリング
を劣るし、後者についてはシリカを減少させたため低下
する耐スポーリング性を補うために黒鉛を25重量%以上
添加しているが、この炭素は耐職制の観点ならびに極低
炭素鋼のように溶鋼中の炭素が低い鋼に対しては、鋼中
の炭素のピックアップの原因となることから好ましくな
い。
そこで本発明では、このシリカの含有量を低減させた
場合に浸漬ノズルの耐スポーリング性を確保する観点か
ら、シリカに比べて溶鋼中の成分と反応しにくい炭化珪
素を含有させている。この炭化珪素の含有量は、シリカ
の減少量に見合う分量を添加することから、5重量%以
上必要であり、一方、連鋳パウダー等に対する耐溶損性
からは15重量%以下とすることが必要である。
また、ノズルの残構成成分としては、アルミナはノズ
ルに耐食性を付与する機能をもち好ましい割合としては
35重量%以上80重量%未満で、35重量%未満では耐食性
が不十分で、また80重量%を越えると耐スポーリング性
が低下する傾向にある。
黒鉛は、ノズルの耐スポーリング性を向上させる重要
な機能を有し、その好ましい割合としては10重量%以上
25重量%未満で、10重量%未満ではスポーリング性に劣
り、25重量%以上では耐食性の悪化をもたらし、同時に
前述のように極低炭素鋼の使用には好ましくない。ノズ
ルの成分組成は以上を必須とするが、この他にノズル材
質への添加物とし既に知られている材料を、本発明効果
を損なわない範囲で含有させても良い。その材料として
は、カーボンブラック、窒化硼素、各種金属鋼、ジルコ
ニア、ファイバー類、サイアロンなどが挙げられる。
これら成分構成からなる耐火物を用いて、ノズル内周
面を構成する際に、ノズル本体に関しても同一材料を使
用することが一般的には好ましいが、溶鋼と接触しない
部分に関しては、従来のシリカを含有する組成の材料を
用いることも可能であり、また両者の中間的な材質を介
在させることも可能である。
ここで、耐火物材料の肉厚は一般に規定できるもので
はないが、内周面の厚みについては、ノズル肉厚の1/2
以下にすることが望ましい。すなわち、1/2以上では耐
スポール性が低下するし、逆に薄くすると効果が充分に
発揮されず好ましくは3mm以上が良い。
また、これらのノズルを用いて連続鋳造を行う。にあ
たり、ノズル内から吹き込むArのガス量は、このArガス
そのものがふくれ状欠陥の一つの原因につながるため、
極力その量を低下させた方が好ましいことは言うまでも
ないが、ノズル閉塞の観点からは、いかなる溶鋼流量に
対しても、1Nl/min以上のガスを吹き込むことが好まし
いといえる。
この点に関しては、今後積極的な溶鋼の清浄化を図
り、溶鋼中の介在物量を減少させる等の付加技術によ
り、一層の吹き込む流量低減を行うことも充分に可能と
考られる。
(実施例) 以下に本発明ノズルについて、とりわけふくれ状欠陥
の発生が顕著であるTiを含有する極低炭素アルミキルド
鋼の鋳造に用いた実施例ならびに比較例で説明する。
実施例1 C:0.002wt%,Si:0.01wt%,Mn:0.10wt%,Al:0.030wt
%,Ti:0.080wt%,P:0.01wt%,S:0.005wt%,N:0.003wt%
の組成からなるTiを含有する極低炭素アルミキルド鋼
を、厚み250mm、幅1500mmの鋳片に、鋳造速度1.5m/min
(4ton/min)にて連続鋳造する際に、タンディッシュか
らモールドに溶鋼を供給する浸漬ノズルとして、ノズル
を内周面11にSiO2を含有せず、炭化珪素を15重量%、炭
素を23重量%、アルミナを62重量%含有したものを用い
て鋳造を400分行ったところ、この鋳片を常法に従っ
て、熱間圧延を行った際の板圧4.0mmの鋼板表面のふく
れ欠陥の発生は、鋳片全数に対して、先に示したふくれ
発生指数で0であった。
実施例2 C:0.002wt%,Si:0.01wt%,Mn:0.09wt%,Al:0.028wt
%,Ti:0.020wt%,P:0.01wt%,S:0.005wt%,N:0.003wt%
の組成からなるTiを含有する極低炭素アルミキルド鋼
を、厚み250mm、幅1500mmの鋼片に、鋳造速度1.5m/min
(4ton/min)に連続鋳造する際に、タンディッシュから
モールドに溶鋼を供給する浸漬ノズルとして、ノズル内
周面11にSiO2を2重量%、炭化珪素を10重量%、炭素を
20重量%、アルミナを68重量%含有したものを用いて鋳
造を420分行ったところ、この鋳片を常法に従って、熱
間圧延ならびに冷間圧延の得たのち、焼鈍処理を実施し
た際の板厚1.0mmの鋼板表面のふくれ欠陥の発生は、鋳
片全数に対して、先に示したふくれ発生指数表示で0で
あった。
実施例3 C:0.002wt%,Si:0.01wt%,Mn:0.12wt%,Al:0.032wt
%,Ti:0.050wt%,P:0.01wt%,S:0.005wt%,N:0.003wt%
の組成からなるTiを含有する極低端アルミキルド鋼を、
厚み250mm、幅1500mmの鋳片に、鋳造速度1.5m/min(4to
n/min)にて連続鋳造する際に、タンディッシュからモ
ールドに溶鋼を供給する浸漬ノズルとして、ノズル内周
面11にSiO2を2重量%、炭化珪素を8重量%、炭素を20
重量%、アルミナを70重量%含有したものを用いて鋳造
を450分行ったところ、この鋳片を常法に従って、熱間
圧延ならびに冷間圧延を経たのち、焼鈍処理を実施した
際の板圧0.9mmの鋼板表面のふくれ欠陥の発生は、鋳片
全数に対してふくれ発生指数表示で0であった。
実施例4 C:0.002wt%,Si:0.01wt%,Mn:0.10wt%,Al:0.031wt
%,Ti:0.080wt%,P:0.01wt%,S:0.005wt%,N:0.003wt%
の組成からなるTiを含有する極低炭素アルミキルド鋼
を、厚み250mm、幅150mmの鋳片に、鋳造速度1.5m/min
(4ton/min)にて連続鋳造する際に、タンディッシュか
らモールドに溶鋼を供給する浸漬ノズルとして、ノズル
内周面11にSiO2を5重量%、炭化珪素を10重量%、炭素
を15重量%、アルミナを70重量%含有したものを用いて
鋳造を400分行ったところ、この鋳片を常法に従って、
熱間圧延ならびに冷間圧延を経たのち、焼鈍処理を実施
した際の板厚1.2mmの鋼板表面のふくれ欠陥の発生は鋳
片前数に対して、ふくれ発生指数表示で0であった。
比較例1 C:0.002wt%,Si:0.001wt%,Mn:0.11wt%,Al:0.030wt
%,Ti:0.020wt%,P:0.01wt%,S:0.005wt%,N:0.003wt%
の組成からなるTiを含有する極低炭素アルミキルド鋼
を、厚み250mm、幅1500mmの鋼片に、鋳造速度1.5m/min
(4ton/min)にて連続鋳造する際に、タンディッシュか
らモールドに溶鋼を供給する浸漬ノズルとしてノズル内
周面11にSiO2を20重量%、炭化珪素を2重量%、炭素を
20重量%、アルミナを58重量%含有する従来のものを用
いて鋳造を400分行ったところ、この鋳片を常法に従っ
て、熱間圧延ならびに冷間圧延を経たのち、焼鈍処理を
実施した際の板厚1.0mmの鋼板表面のふくれ欠陥の発生
は、鋳片全数に対して、ふく発生指数表示で0.08であっ
た。
比較例2 C:0.002wt%,Si:0.01wt%,Mn:0.10wt%,Al:0.030wt
%,Ti:0.080wt%,P:0.01wt%,S:0.005wt%,N:0.003wt%
の組成からなるTiを含有する極低炭素アルミキルド鋼
を、厚み250mm、幅1500mmの鋳片に、鋳造速度1.5m/min
(4ton/min)にて連続鋳造する際に、タンディッシュか
らモールドに溶鋼を供給する浸漬ノズルとして、ノズル
内周面11にSiO2を8重量%、炭化珪素を3重量%、炭素
を25重量%、アルミナを64重量%含有するものを用いて
鋳造を450分行ったところ、この鋳片を常法に従って、
熱間圧延ならびに冷間圧延を経たのち、焼鈍処理を実施
した際の板厚0.9mmの鋼板表面のふくれ欠陥の発生は、
鋳片全数に対してふくれ発生指数表示で0.04であった。
比較例3 C:0.002wt%,Si:0.01wt%,Mn:0.10wt%,Al:0.031wt
%,Ti:0.080wt%,P:0.01wt%,S:0.005wt%,N:0.003wt%
の組成からなるTiを含有する極低炭素アルミキルド鋼
を、厚み250mm、幅1500mmの鋳片に、鋳造速度1.5m/min
(4ton/min)にて連続鋳造する際に、タンディッシュか
らモールドに溶鋼を供給する浸漬ノズルとして、ノズル
内周面11にSiO2を4重量%、炭化珪素を4重量%、炭素
を22重量%、アルミナを70重量%含有するものを用いて
鋳造を行ったところ、鋳造所期に熱衝撃によってノズル
が破損し、安定に鋳造を進めることができなかった。
比較例4 C:0.002wt%,Si:0.01wt%,Mn:0.10wt%,Al:0.031wt
%,Ti:0.080wt%,P:0.01wt%,S:0.005wt%,N:0.003wt%
の組成からなるTiを含有する極低炭素アルミキルド鋼
を、厚み250mm、幅1500mmの鋳片に、鋳造速度1.5m/min
(4ton/min)にて連続鋳造する際に、タンディッシュか
らモールドに溶鋼を供給する浸漬ノズルとして、ノズル
内周面11にSiO2を含有せず、炭化珪素を18重量%、炭素
を22重量%、アルミナを60重量%含有したものを用いて
鋳造を行ったところ、連鋳パウダーに接触する部分のノ
ズル溶損が激しいために、鋳造時間300分にて鋳造を中
断に至った。ただし、この鋳片を常法に従って、熱間圧
延ならびに冷間圧延を経たのち、焼鈍処理を実施した際
の板厚1.2mmの鋼板表面のふくれ欠陥の発生は鋳片全数
に対して、ふくれ発生指数表示で0であった。
比較例5 C:0.003wt%,Si:0.022wt%,Mn:0.11wt%,Al:0.033wt
%,Ti:0.080wt%,P:0.01wt%,S:0.005wt%,N:0.003wt%
の組成からなるTiを含有する極低炭素アルミキルド鋼
を、厚み250mm、幅1500mm鋳片に、鋳造速度1.5m/min(4
ton/min)にて連続鋳造する際に、タンディッシュから
モールドに溶鋼を供給する浸漬ノズルとして、ノズル内
周面11にSiO2を含有せず、炭化珪素を12重量%、炭素を
35重量%、アルミナを53重量%含有したものを用いて鋳
造を420分行ったところ、この鋳片を常法に従って、熱
間圧延ならびに冷間圧延を経たのち、焼鈍処理を実施し
た際の板厚0.9mmの鋼板表面のふくれ欠陥の発生は、鋳
片全数に対して、ふくれ発生指数表示で0であったが、
鋳片の炭素は特に鋳造初期に0.006wt%まで増加してい
た。
(発明の効果) 以上のように、本発明によれば、タンディッシュから
連続鋳造のモールド内へ溶鋼を注入する浸漬ノズルの溶
鋼接触面の構成成分であるシリカならびに炭化珪素の含
有量に配慮を加えることによって、低炭素アルミキルド
鋼に代表される薄鋼板に向けられる鋳片の連続鋳造にお
いて、浸漬ノズル内の介在物集積によるノズル閉塞の防
止機能を低下させることなく、吹き込まれるガスの気泡
径が鋳造時間の経過とともに増大する現象を低減するこ
とにより、この気泡が原因となる、薄鋼板の圧延時、焼
鈍時におけるふくれ欠陥の発生を的確に回避することが
でき、歩留の向上等大きな効果が享受できる。
【図面の簡単な説明】
第1図はタンディッシュからモールドに至る溶鋼の注入
挙動、ならびに浸漬ノズルを介して溶鋼中に吹き込まれ
たガスの挙動を示す説明図、第2図は、Tiを含有しない
低炭素アルミキルド鋼と、Tiを含有する極低炭素アルミ
キルド鋼の、鋳造時間に対する薄鋼板のふくれ発生状況
をふくれ発生指数で示した説明図、また第3図は、Tiを
含有する極低炭素アルミキルド鋼に対して、浸漬ノズル
内周面のシリカの含有量を変化させた場合の、鋳造時間
に対する薄鋼板のふくれ発生状況をふく発生指数で示し
た説明図である。 1……タンディッシュ 2……モールド 3……上ノズル 4……スライディングプレート 5……下ノズル 6……モールド内浸漬ノズル、 7……溶鋼流出部(吐出口) 8……モールド内パウダー層 9……凝固殻 10……気泡 11……内周面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 和田 耕治 愛知県東海市東海町5―3 新日本製鐵 株式会社名古屋製鐵所内 (56)参考文献 特開 昭50−127833(JP,A) 特開 昭49−119827(JP,A) 特開 昭63−248767(JP,A) 特公 平1−40790(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B22D 11/00 - 11/22 B22D 41/54 C04B 35/00 - 35/22

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Tiを含有する極低炭素アルミキルド鋼の連
    続鋳造用アルミナ−黒鉛質製浸漬ノズルにおいて、ノズ
    ル内周面の構成成分を、シリカの含有量を5重量%以
    下、かつ炭化珪素の含有量を5〜15重量%としたことを
    特徴とする浸漬ノズル。
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