JP2000287699A - 細菌数測定方法およびその装置 - Google Patents

細菌数測定方法およびその装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 培養などの特別な前処理を行うことなく、少
ない細菌数であっても短時間で細菌数を正確に測定す
る。 【解決手段】 検体が添加された液体培地中の溶存酸素
濃度を酸素電極3aにより検出するとともに、溶存酸素
濃度がほぼ0になるまでの所要時間を計時部3bにより
計時し、この所要時間および検量線に基づいて細菌数出
力部3eにより細菌数を出力する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は細菌数測定方法お
よびその装置に関し、さらに詳細にいえば、液体培地に
検体を添加し、検体に含まれる細菌の代謝活動によって
消費/生産される物質によって検体に含まれる細菌数を
測定する方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、食品の衛生管理などを達成す
るために、食品などの検体に含まれる細菌の数を測定す
ることが要求されている。そして、この要求を満足する
ために、(1)検体を段階的に希釈してそれぞれを寒天
培地に一定量塗布し、24時間程度培養し、発生したコ
ロニーの数を計数することにより、検体に含まれる細菌
数を算出する方法、(2)検体に直接培地を接触させて
24時間程度培養し、発生したコロニーの数を計数する
ことにより、検体に含まれる細菌数を算出する方法、
(3)液体培地中に発色剤を入れておき、細菌の酵素に
よる発色を見て細菌数を算出する方法、(4)検体中の
細菌数濃度を濃くする操作を行った後、細菌の呼吸活性
を測定し、細菌数を求める方法(特開昭56−1408
98号公報参照)、(5)検体を容器内に密閉し、酸素
電極を用いて溶存酸素の減少量を測定することにより、
検体中の細菌数を測定する方法(特開昭63−1515
0号公報参照)、(6)ホタルの発光原理であるルシフ
ェリン・ルシフェラーゼ反応を利用してATPを特異的
に測定するATP−バイオルミネッセンス法(ATP
法)が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記(1)の方法を採
用した場合には、希釈系列を作製しなければならないの
で作業が煩雑になり、しかも、かなり長時間の培養を行
わなければならないので、全体としての所要時間が著し
く長くなってしまう。
【0004】前記(2)の方法を採用した場合には、希
釈系列を作製することに伴う不都合の発生を防止するこ
とができるが、かなり長時間の培養を行わなければなら
ないので、全体としての所要時間が著しく長くなってし
まう。
【0005】前記(3)の方法を採用した場合にも、十
分な発色を見るためにはかなり長時間がかかるので、全
体としての所要時間が著しく長くなってしまう。
【0006】前記(4)の方法を採用した場合には、細
菌数濃度を濃くする操作を行わなければならないので作
業が煩雑になり、しかも、この操作を行うためにかなり
長時間が必要であるから、全体としての所要時間が著し
く長くなってしまう。
【0007】前記(5)の方法を採用した場合には、溶
存酸素の減少量を測定するのであるから、減少量を測定
するための測定期間により測定結果が大きく影響を受
け、測定結果が大きくばらついてしまう。
【0008】前記(6)の方法を採用した場合には、ま
な板などの細菌数の測定には特には不都合が発生しない
のであるが、食品中の細菌数の測定を行う場合には、細
菌中のみならず、食品中にもATPが含まれているので
あるから、到底細菌数を正確に測定することができな
い。
【0009】
【発明の目的】この発明は上記の問題点に鑑みてなされ
たものであり、培養などの特別な前処理を行うことな
く、少ない細菌数であっても短時間で細菌数を正確に測
定することができる細菌数測定方法およびその装置を提
供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1の細菌数測定方
法は、液体培地に検体を添加し、検体に含まれる細菌の
代謝活動によって消費/生産される物質の濃度が所定濃
度に達するまでの所要時間を計測し、計測された所要時
間に基づいて検体中に含まれる細菌数を算出する方法で
ある。
【0011】請求項2の細菌数測定方法は、液体培地に
検体を添加し、検体に含まれる細菌の代謝活動によって
消費/生産される物質の濃度が所定濃度に達するまでの
所要時間を計測し、計測された所要時間および液体培地
の種類に基づいて検体中に含まれる細菌数を算出する方
法である。
【0012】請求項3の細菌数測定方法は、液体培地に
検体を添加し、検体に含まれる細菌の代謝活動によって
消費/生産される物質の濃度の変化率が所定値以上にな
るまでの所要時間を計測し、計測された所要時間および
液体培地の種類に基づいて検体中に含まれる細菌数を算
出する方法である。
【0013】請求項4の細菌数測定方法は、細菌の代謝
活動によって消費/生産される物質として溶存酸素を採
用する方法である。
【0014】請求項5の細菌数測定方法は、溶存酸素濃
度が所定濃度に達したこと、または溶存酸素濃度の変化
率が所定値以上になったことを酸素電極を用いて検出す
る方法である。
【0015】請求項6の細菌数測定装置は、液体培地と
検体とを収容する収容部と、検体に含まれる細菌の代謝
活動によって消費/生産される物質の濃度が所定濃度に
達するまでの所要時間を計測する時間計測手段と、計測
された所要時間に基づいて検体中に含まれる細菌数を算
出する細菌数算出手段とを含むものである。
【0016】請求項7の細菌数測定装置は、液体培地と
検体とを収容する収容部と、検体に含まれる細菌の代謝
活動によって消費/生産される物質の濃度が所定濃度に
達するまでの所要時間を計測する時間計測手段と、計測
された所要時間および液体培地の種類に基づいて検体中
に含まれる細菌数を算出する細菌数算出手段とを含むも
のである。
【0017】請求項8の細菌数測定装置は、液体培地と
検体とを収容する収容部と、検体に含まれる細菌の代謝
活動によって消費/生産される物質の濃度の変化率が所
定値以上になるまでの所要時間を計測する時間計測手段
と、計測された所要時間および液体培地の種類に基づい
て検体中に含まれる細菌数を算出する細菌数算出手段と
を含むものである。
【0018】請求項9の細菌数測定装置は、細菌の代謝
活動によって消費/生産される物質として溶存酸素を採
用するものである。
【0019】請求項10の細菌数測定装置は、溶存酸素
濃度が所定濃度に達したこと、または溶存酸素濃度の変
化率が所定値以上になったことを検出するための酸素電
極をさらに含むものである。
【0020】
【作用】請求項1の細菌数測定方法であれば、液体培地
に検体を添加し、検体に含まれる細菌の代謝活動によっ
て消費/生産される物質の濃度が所定濃度に達するまで
の所要時間を計測し、計測された所要時間に基づいて検
体中に含まれる細菌数を算出するのであるから、培養な
どの前処理を行うことなく短時間で細菌数の測定を行う
ことができ、しかも、正確な細菌数を得ることができ
る。
【0021】請求項2の細菌数測定方法であれば、液体
培地に検体を添加し、検体に含まれる細菌の代謝活動に
よって消費/生産される物質の濃度が所定濃度に達する
までの所要時間を計測し、計測された所要時間および液
体培地の種類に基づいて検体中に含まれる細菌数を算出
するのであるから、培養などの前処理を行うことなく短
時間で細菌数の測定を行うことができ、しかも、より正
確な細菌数を得ることができる。
【0022】請求項3の細菌数測定方法であれば、液体
培地に検体を添加し、検体に含まれる細菌の代謝活動に
よって消費/生産される物質の濃度の変化率が所定値以
上になるまでの所要時間を計測し、計測された所要時間
および液体培地の種類に基づいて検体中に含まれる細菌
数を算出するのであるから、培養などの前処理を行うこ
となく短時間で細菌数の測定を行うことができ、しか
も、より正確な細菌数を得ることができる。
【0023】請求項4の細菌数測定方法であれば、細菌
の代謝活動によって消費/生産される物質として溶存酸
素を採用するのであるから、培養などの前処理を行うこ
となく、しかも特別の試薬などの添加を行うことなく、
短時間で生菌数の測定を行うことができ、しかも、正確
な生菌数を得ることができる。
【0024】請求項5の細菌数測定方法であれば、溶存
酸素濃度が所定濃度に達したこと、または溶存酸素濃度
の変化率が所定値以上になったことを酸素電極を用いて
検出するのであるから、請求項4の作用に加え、単なる
比較処理などを行うだけでよいから、処理を簡単化でき
る。
【0025】請求項6の細菌数測定装置であれば、液体
培地と検体とを収容部に収容し、検体に含まれる細菌の
代謝活動によって消費/生産される物質の濃度が所定濃
度に達するまでの所要時間を時間計測手段により計測
し、細菌数算出手段によって、計測された所要時間に基
づいて検体中に含まれる細菌数を算出することができ
る。
【0026】したがって、培養などの前処理を行うこと
なく短時間で細菌数の測定を行うことができ、しかも、
正確な細菌数を得ることができる。
【0027】請求項7の細菌数測定装置であれば、液体
培地と検体とを収容部に収容し、検体に含まれる細菌の
代謝活動によって消費/生産される物質の濃度が所定濃
度に達するまでの所要時間を時間計測手段によって計測
し、細菌数算出手段によって、計測された所要時間およ
び液体培地の種類に基づいて検体中に含まれる細菌数を
算出することができる。
【0028】したがって、培養などの前処理を行うこと
なく短時間で細菌数の測定を行うことができ、しかも、
より正確な細菌数を得ることができる。
【0029】請求項8の細菌数測定装置であれば、液体
培地と検体とを収容部に収容し、検体に含まれる細菌の
代謝活動によって消費/生産される物質の濃度の変化率
が所定値以上になるまでの所要時間を時間計測手段によ
って計測し、細菌数算出手段によって、計測された所要
時間および液体培地の種類に基づいて検体中に含まれる
細菌数を算出することができる。
【0030】したがって、培養などの前処理を行うこと
なく短時間で細菌数の測定を行うことができ、しかも、
より正確な細菌数を得ることができる。
【0031】請求項9の細菌数測定装置であれば、細菌
の代謝活動によって消費/生産される物質として溶存酸
素を採用するのであるから、培養などの前処理を行うこ
となく、しかも特別な試薬などの添加を行うことなく、
短時間で生菌数の測定を行うことができ、しかも、正確
な生菌数を得ることができる。
【0032】請求項10の細菌数測定装置であれば、溶
存酸素濃度が所定濃度に達したこと、または溶存酸素濃
度の変化率が所定値以上になったことを検出する酸素電
極をさらに含むのであるから、請求項9の作用に加え、
単なる比較処理などを行うだけでよいから、処理を簡単
化できる。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、この
発明の細菌数測定方法およびその装置の実施の態様を詳
細に説明する。
【0034】図1はこの発明の細菌数測定装置の一実施
態様を概略的に示す斜視図である。
【0035】この細菌数測定装置は、測定装置本体1
と、測定セル2とを有している。
【0036】前記測定セル2は、開閉可能な蓋2aを有
するとともに、液体培地および被検食品など(例えば、
ミキサーなどですりつぶした状態の被検食品など)が収
容されるセル本体2bと、セル本体2bの内部に設けた
酸素電極(図示せず)と、セル本体2bの下部外面に導
出された電極端子2cとを有している。この酸素電極
は、例えば、セル本体2bの内面に設けた基板(セル本
体2bと兼用されていてもよい)の表面に、作用極、参
照極、対向極を設けるとともに、各極と対応する電極端
子2cとを接続する引き出し配線を設けてなる。そし
て、各極および引き出し配線は、測定対象溶液と直接反
応しない材質、例えば銀を用いて、スクリーン印刷など
を行って形成されることにより、酸素透過膜の省略を可
能としているとともに、各極の一部および引き出し配線
のほぼ全範囲を覆うレジスト層を形成している。
【0037】前記測定装置本体1は、測定セル2を装着
可能な少なくとも1つの凹所1aを有しているととも
に、各凹所1aに対応させて測定結果表示部1bを有し
ている。そして、測定セル2からの出力信号を入力とし
て所定の処理(例えば、溶存酸素濃度が所定濃度に低下
するまでの所要時間を計測する処理、およびこの所要時
間から細菌数を算出する処理、または、溶存酸素濃度の
変化率が所定値以上になるまでの所要時間を計測する処
理、およびこの所要時間から細菌数を算出する処理)を
行い、測定結果を得て測定結果表示部1bに供給する信
号処理部(図示せず)を有している。
【0038】図2はこの発明の細菌数測定装置の一実施
態様の電気的構成を示すブロック図である。
【0039】この細菌数測定装置は、液体培地中の溶存
酸素濃度を検出する酸素電極3aと、酸素電極3aから
の出力信号の供給が開始されたことに応答して所要時間
の計時を開始するとともに、後述する検出部3cからの
検出信号に応答して計時動作を停止する計時部3bと、
酸素電極3aからの出力信号が所定の閾値に達したこと
(溶存酸素濃度が所定の濃度に低下したこと)を検出す
る検出部3cと、所要時間と細菌数との関係を示す検量
線を保持する検量線保持部3dと、検出部3cからの検
出信号に応答して、計時部3bにより計時された所要時
間と検量線保持部3dに保持されている検量線とから細
菌数を得て出力し、測定結果表示部1bに供給する細菌
数出力部3eとを有している。ただし、検量線保持部3
dとして培地の種類に対応する検量線を保持するものを
採用し、図示しない培地指定部により指定された培地に
対応する検量線を選択して、所要時間と選択された検量
線とから細菌数を得て出力するものを採用してもよい。
【0040】図3および図4はこの発明の細菌数測定方
法の一実施態様を説明するフローチャートである。ただ
し、図3は検量線を作成するための処理を説明するフロ
ーチャート、図4は作成された検量線を用いて細菌数の
測定を行う処理を説明するフローチャートである。
【0041】先ず、図3のフローチャートを説明する。
【0042】ステップSP1において、液体培地(例え
ば、MH−b)の秤量・加熱溶解を行い、ステップSP
2において、液体培地の滅菌を行い、ステップSP3に
おいて、各液体培地を所定量(例えば、セル本体2bの
容積が2cm3である場合に、1950μl)だけセル
本体2bに収容する。
【0043】また、ステップSP4において、大腸菌を
培地(例えば、MH−b)に懸濁させて、O.D.(光
の透過度)にて108CFU(コロニーフォーミングユ
ニット)/mlに調製し、ステップSP5において、滅
菌蒸留水で希釈して107、106、105、104CFU
/mlなどの菌液を作製し、ステップSP6において、
各菌液を50μlづつセル本体2b内の液体培地に接種
する。
【0044】なお、ステップSP1からステップSP3
の処理とステップSP4からステップSP6の処理は互
いに並列に行われる。
【0045】その後、ステップSP7において、測定セ
ル2を測定装置本体1の凹所1aに装着して溶存酸素濃
度の測定および経過時間の計測を開始し、ステップSP
8において、測定セル2の内部温度を所定温度(例え
ば、35℃)に保持して溶存酸素濃度の測定および経過
時間の計測を継続し、ステップSP9において、溶存酸
素濃度が所定濃度以下になるまで待ち、ステップSP1
0において、溶存酸素濃度が所定濃度以下になるまでの
所要時間を計測し、ステップSP11において、各菌液
ごとの所要時間から、所要時間と細菌数との関係を示す
検量線を作成し、そのまま一連の処理を終了する。
【0046】さらに説明する。
【0047】何れの細菌濃度(細菌数)の菌液を採用し
た場合であっても、当初の溶存酸素濃度は互いに等し
い。しかし、細菌数が106、105、104、103CF
U/mlの菌液を液体培地に添加して、時間の経過に伴
う溶存酸素濃度の変化を観測すれば、図5に示すよう
に、溶存酸素濃度がほぼ0になるまでの所要時間が互い
に異なることになることが分かる。具体的には、細菌数
が106CFU/mlの場合における所要時間が約4時
間であり、細菌数が103CFU/mlの場合における
所要時間が約10時間である。そして、酸素消費時間−
細菌数(対数で表した細菌数)で検量線を表すと、図6
に示すと、ほぼ直線的な関係があることが分かる。
【0048】ただし、溶存酸素濃度がほぼ0になるまで
の所要時間に代えて、溶存酸素濃度が0よりも大きい所
定濃度に達するまでの所要時間を採用することも可能で
ある。
【0049】次いで、図4のフローチャートを説明す
る。
【0050】ステップSP1において、検体10gと液
体培地10gとを準備し、ステップSP2において、ホ
モジナイザーなどを用いて検体と液体培地とを粉砕・混
合し、所定時間(例えば、5分間)そのままの状態を保
持し、ステップSP3において、混合液を所定量(例え
ば、2ml)だけ測定セル2に分注し、ステップSP4
において、測定セル2を測定装置本体1の凹所1aに装
着して溶存酸素濃度の測定および経過時間の計測を開始
し、ステップSP5において、測定セル2の内部温度を
所定温度(例えば、35℃)に保持して溶存酸素濃度の
測定および経過時間の計測を継続し、ステップSP6に
おいて、溶存酸素濃度が所定濃度以下になるまで待ち、
ステップSP7において、溶存酸素濃度が所定濃度以下
になるまでの所要時間を計測し、ステップSP8におい
て、計測された所要時間と検量線とから検体中の細菌数
を算出し、そのまま一連の処理を終了する。
【0051】この測定方法を採用すれば、例えば、食品
中の細菌数を107〜102CFU/mlの範囲で測定す
ることが可能である。ここで、107CFU/mlは可
食限界の細菌数であり、105CFU/mlは食中毒を
考慮した細菌数であり、102CFU/mlは伝染病を
考慮した細菌数である。そして、可食限界に関しては、
汚染指標としての一般細菌数、耐熱性菌、大腸菌群、大
腸菌、腸球菌が対象とされるのに対し、食中毒、伝染病
に関しては、病原微生物としてのサルモネラ、黄色ブド
ウ球菌、腸炎ビブリオ、セレウス菌、ウエルシュ菌、カ
ンピロバクター、エルシニア、病原大腸菌、NAGビブ
リオ、豚丹毒菌、経口伝染病菌、真菌、ボツリヌス菌が
対象とされる。また、培地を選択することにより細菌の
選択性を持たせることができるので、菌数の測定が要求
される細菌のみを対象とする測定を達成することができ
る。
【0052】図3、図4のフローチャートにおいては、
細菌として大腸菌を採用し、培地としてMH−bを採用
しているが、他の細菌を採用するとともに、他の液体培
地を採用することが可能である。例えば、食肉製品、冷
凍食品などに含まれるE.coli.の数を測定する場
合には液体培地としてEMB培地を採用し、ミネラルウ
ォーター類に含まれる腸球菌の数を測定する場合には液
体培地としてブドウ糖寒天培地、ブドウ糖ブイヨンを採
用し、ミネラルウォーター類に含まれる緑腸菌の数を測
定する場合には液体培地としてセトリマイド寒天培地を
採用する。その他、食品の種類によっては、標準寒天培
地、BCP加プレートカウント寒天培地、チオグリコー
ル酸塩培地などが採用可能である。
【0053】次いで、大腸菌の菌数の測定の具体例を説
明する。
【0054】先ず、寒天培地にて1夜培養した大腸菌
を、MH−bに懸濁し、O.D.[660nm]にて
0.1に合わせ、108CFU/mlの菌液を作製す
る。そして、滅菌蒸留水で希釈し、2×107、2×1
6、2×105、2×104、2×103CFU/mlの
菌液を作製する。また、ペプトン[20.0g/l]、
乳糖[5.0g/l]、NaCl[5.0g/l]、ラ
ウリル硫酸ナトリウム[0.1g/l]、K2HPO
4[1.5g/l]、KH2PO4[1.5g/l]、M
UG[0.1g/l]の組成を有するペプトン硫酸MU
Gブイヨン培地1950mlに対して各菌液を50ml
分注し、大腸菌濃度を107、106、105、104、1
3、0CFU/mlに設定し、時間の経過に伴って変
化する酸素電極からの出力信号を測定したところ、図7
に示す測定結果が得られた。なお、図7中において、1
7、106、105、104、103、0CFU/mlを
それぞれ1e7、1e6、1e5、1e4、1e3、C
で示し、1回目の測定結果をで、2回目の測定結果を
で示している。
【0055】これらの測定結果から分かるように、大腸
菌の濃度が高いほど酸素電極からの出力信号が0になる
までの所要時間が短く、大腸菌の濃度が低いほど酸素電
極からの出力信号が0になるまでの所要時間が長い。
【0056】また、肉エキス[3.0g/l]、ペプト
ン[10.0g/l]、乳糖[5.0g/l]、BTB
[0.024g/l]の組成を有する乳糖ブイヨン培地
(LC)、牛胆汁末[20.0g/l]、乳糖[10.
0g/l]、ペプトン[10.0g/l]、ブリリアン
トグリーン[0.0133g/l]の組成を有するBG
LB培地、ペプトン[20.0g/l]、乳糖[5.0
g/l]、胆汁酸塩[1.5g/l]、K2HPO
4[4.0g/l]、KH2PO4[1.5g/l]の組
成を有するEC培地を用いて同様な測定を行った。
【0057】そして、それぞれの測定結果を用いて、酸
素電極出力が0になるまでの所要時間と菌数との関係
(検量線)を求めたところ、図8に示す関係が得られ
た。ただし、これらの検量線の傾きの違いは初期菌濃度
のばらつきが原因と思われる。
【0058】この関係から分かるように、培地の種類に
よって酸素電極出力が0になるまでの所要時間と菌数と
の関係が異なるので、所要時間のみならず、培地の種類
をも考慮することにより、細菌数の測定精度を一層高め
ることができる。
【0059】図2から図4の実施態様においては、食品
中の細菌数を溶存酸素濃度が所定濃度に減少するまでの
所要時間に基づいて測定する場合について説明している
が、図2の計時部3bに代えて、溶存酸素濃度の変化率
が所定値以上になるまでの所要時間を計測するものを採
用し、図3のフローチャートのステップSP9の処理、
図4のフローチャートのステップSP6の処理に代え
て、溶存酸素濃度の変化率が所定値以上になったか否か
を判定する処理を採用することが可能である。
【0060】そして、この場合には、溶存酸素濃度の変
化率が所定値以上になるまでの所要時間に基づいて、上
記実施態様と同様に食品中の細菌数を高精度に測定する
ことができる。
【0061】なお、以上においては、食品中の細菌数
を、溶存酸素濃度が所定濃度に減少するまでの所要時
間、または溶存酸素濃度の変化率が所定値以上になるま
での所要時間に基づいて測定する場合について説明した
が、細菌の代謝活動によって消費/生産する物質とし
て、酸、糖類を採用することが可能である。そして、前
者の場合には、pH計を採用し、後者の場合には、発光
色素が付加された糖類を採用するとともに、分光光度計
を採用して発光の測定を行えばよい。もちろん、食品以
外の対象物に含まれる細菌数の測定に適用することもで
きる。
【0062】
【発明の効果】請求項1の発明は、培養などの前処理を
行うことなく短時間で細菌数の測定を行うことができ、
しかも、正確な細菌数を得ることができるという特有の
効果を奏する。
【0063】請求項2の発明は、培養などの前処理を行
うことなく短時間で細菌数の測定を行うことができ、し
かも、より正確な細菌数を得ることができるという特有
の効果を奏する。
【0064】請求項3の発明は、培養などの前処理を行
うことなく短時間で細菌数の測定を行うことができ、し
かも、より正確な細菌数を得ることができるという特有
の効果を奏する。
【0065】請求項4の発明は、培養などの前処理を行
うことなく、しかも特別な試薬の添加などを行うことな
く、短時間で生菌数の測定を行うことができ、しかも、
正確な生菌数を得ることができるという特有の効果を奏
する。
【0066】請求項5の発明は、請求項4の効果に加
え、単なる比較処理などを行うだけでよいから、処理を
簡単化できるという特有の効果を奏する。
【0067】請求項6の発明は、培養などの前処理を行
うことなく短時間で細菌数の測定を行うことができ、し
かも、正確な細菌数を得ることができるという特有の効
果を奏する。
【0068】請求項7の発明は、培養などの前処理を行
うことなく短時間で細菌数の測定を行うことができ、し
かも、より正確な細菌数を得ることができるという特有
の効果を奏する。
【0069】請求項8の発明は、培養などの前処理を行
うことなく短時間で細菌数の測定を行うことができ、し
かも、より正確な細菌数を得ることができるという特有
の効果を奏する。
【0070】請求項9の発明は、培養などの前処理を行
うことなく、しかも特別な試薬の添加などを行うことな
く、短時間で生菌数の測定を行うことができ、しかも、
正確な生菌数を得ることができるという特有の効果を奏
する。
【0071】請求項10の発明は、請求項9の効果に加
え、単なる比較処理などを行うだけでよいから、処理を
簡単化できるという特有の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の細菌数測定装置の一実施態様を概略
的に示す斜視図である。
【図2】この発明の細菌数測定装置の一実施態様の電気
的構成を示すブロック図である。
【図3】検量線を作成するための処理を説明するフロー
チャートである。
【図4】作成された検量線を用いて細菌数の測定を行う
処理を説明するフローチャートである。
【図5】細菌数が106、105、104、103CFU/
mlの菌液を液体培地に添加して、時間の経過に伴う溶
存酸素濃度の変化を観測した結果を示す図である。
【図6】酸素消費時間−細菌数(対数で表した細菌数)
で表した検量線を示す図である。
【図7】ペプトン硫酸MUGブイヨン培地1950ml
に対して各菌液を50ml分注し、大腸菌濃度を1
7、106、105、104、103、0CFU/mlに
設定し、時間の経過に伴って変化する酸素電極からの出
力信号を測定した結果を示す図である。
【図8】乳糖ブイヨン培地(LC)、BGLB培地、E
C培地、ペプトン硫酸MUGブイヨン培地を用いた場合
の検量線を示す図である。
【符号の説明】
2 測定セル 3a 酸素電極 3b 計時部 3c 検出部 3e 細菌数出力部
フロントページの続き (72)発明者 新井 潤一郎 茨城県つくば市御幸が丘3番地 ダイキン 工業株式会社内 Fターム(参考) 4B063 QA01 QQ06 QQ16 QQ68 QQ70 QQ89 QR69 QR90 QS24 QS36 QS39 QX04

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体培地に検体を添加し、検体に含まれ
    る細菌の代謝活動によって消費/生産される物質の濃度
    が所定濃度に達するまでの所要時間を計測し、計測され
    た所要時間に基づいて検体中に含まれる細菌数を算出す
    ることを特徴とする細菌数測定方法。
  2. 【請求項2】 液体培地に検体を添加し、検体に含まれ
    る細菌の代謝活動によって消費/生産される物質の濃度
    が所定濃度に達するまでの所要時間を計測し、計測され
    た所要時間および液体培地の種類に基づいて検体中に含
    まれる細菌数を算出することを特徴とする細菌数測定方
    法。
  3. 【請求項3】 液体培地に検体を添加し、検体に含まれ
    る細菌の代謝活動によって消費/生産される物質の濃度
    の変化率が所定値以上になるまでの所要時間を計測し、
    計測された所要時間および液体培地の種類に基づいて検
    体中に含まれる細菌数を算出することを特徴とする細菌
    数測定方法。
  4. 【請求項4】 細菌の代謝活動によって消費/生産され
    る物質は溶存酸素である請求項1から請求項3の何れか
    に記載の細菌数測定方法。
  5. 【請求項5】 溶存酸素濃度が所定濃度に達したこと、
    または溶存酸素濃度の変化率が所定値以上になったこと
    を酸素電極(3a)を用いて検出する請求項4に記載の
    細菌数測定方法。
  6. 【請求項6】 液体培地と検体とを収容する収容部
    (2)と、検体に含まれる細菌の代謝活動によって消費
    /生産される物質の濃度が所定濃度に達するまでの所要
    時間を計測する時間計測手段(3b)(3c)と、計測
    された所要時間に基づいて検体中に含まれる細菌数を算
    出する細菌数算出手段(3e)とを含むことを特徴とす
    る細菌数測定装置。
  7. 【請求項7】 液体培地と検体とを収容する収容部
    (2)と、検体に含まれる細菌の代謝活動によって消費
    /生産される物質の濃度が所定濃度に達するまでの所要
    時間を計測する時間計測手段(3b)(3c)と、計測
    された所要時間および液体培地の種類に基づいて検体中
    に含まれる細菌数を算出する細菌数算出手段(3e)と
    を含むことを特徴とする細菌数測定装置。
  8. 【請求項8】 液体培地と検体とを収容する収容部
    (2)と、検体に含まれる細菌の代謝活動によって消費
    /生産される物質の濃度の変化率が所定値以上になるま
    での所要時間を計測する時間計測手段(3b)(3c)
    と、計測された所要時間および液体培地の種類に基づい
    て検体中に含まれる細菌数を算出する細菌数算出手段
    (3e)とを含むことを特徴とする細菌数測定装置。
  9. 【請求項9】 細菌の代謝活動によって消費/生産され
    る物質は溶存酸素である請求項6から請求項8の何れか
    に記載の細菌数測定装置。
  10. 【請求項10】 溶存酸素濃度が所定濃度に達したこ
    と、または溶存酸素濃度の変化率が所定値以上になった
    ことを検出するための酸素電極(3a)をさらに含む請
    求項9に記載の細菌数測定装置。
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