JP2000287692A - 糖タンパク質の有するn−結合型糖鎖の組成中、分岐数が異なる糖鎖の含有割合を制御する方法 - Google Patents

糖タンパク質の有するn−結合型糖鎖の組成中、分岐数が異なる糖鎖の含有割合を制御する方法

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JP2000287692A
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Kazuhiro Fukuda
一弘 福田
Mineko Tanigawa
峰子 谷川
Tadashi Makino
正 槇野
Mari Minowa
真理 箕輪
Makoto Takeuchi
誠 竹内
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Kirin Brewery Co Ltd
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Mitsui Chemicals Inc
Kirin Brewery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 真核細胞が細胞内外に産生する糖タンパク質
において、付加されるN−結合型糖鎖の骨格構造である
分岐構造を制御し、糖鎖の分岐組成(分岐数が異なる糖
鎖の、糖鎖全体に占める割合)の制御または改変された
糖タンパク質を製造する方法を提供すること。 【解決手段】 N−結合型糖鎖を有する糖タンパク質を
産生し得る真核細胞におけるβ−1,4−ガラクトース
転移酵素遺伝子の発現量を制御して、β−1,4−N−
アセチルグルコサミン転移酵素IV及び/またはβ−
1,6−N−アセチルグルコサミン転移酵素Vの活性に
対するβ−1,4−ガラクトース転移酵素の相対活性を
調節することによって、該真核細胞から産生される糖タ
ンパク質に付加されるN−結合型糖鎖における分岐数が
異なる糖鎖の含有割合を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は糖タンパク質のN−
結合型糖鎖の組成中における分岐数の異なる糖鎖の含有
割合を制御する技術に関する。詳しくは、N−結合型糖
鎖を持つ糖タンパク質を細胞内外に産生し得る真核細胞
でのβ−1,4−ガラクトース転移酵素(GalT)遺
伝子の発現量を制御して、該細胞内でのβ−1,4−N
−アセチルグルコサミン転移酵素IV(GnT−IV)
及び/またはβ−1,6−N−アセチルグルコサミン転
移酵素V(GnT−V)の活性に対するGalTの相対
活性を調節することによって、産生される糖タンパク質
に付加されるN−結合型糖鎖の組成中における分岐数が
異なる糖鎖の含有割合を制御する糖鎖構造の制御方法に
関する。本発明は更に該制御方法を用いた分岐数の異な
る糖鎖の含有割合が制御または改変された糖タンパク質
の製造方法、該製造方法により得られた糖タンパク質及
び該糖タンパク質を有効成分とする医薬製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】1980年代からの分子生物学の進展に
より、遺伝子工学を応用して、本来生体内に微量しか存
在しないタンパク質を、外来タンパク質として組換え体
大腸菌に大量に生産させることが可能になった。この技
術により、ヒト体内に存在する生理活性物質のいくつか
がバイオ医薬品として上市されている。しかし、大腸菌
を宿主として生産したタンパク質の中には生理活性を示
さないものがあることがわかっている。その原因のひと
つとしては、天然のタンパク質の中には糖鎖が付加され
た糖タンパク質として存在するものがあるのに対して、
大腸菌で生産されるタンパク質には糖鎖が付加されない
点が考えられている。
【0003】当初、糖鎖はタンパク質の単なる飾り程度
にしか認識されていなかったが、上記のような経緯か
ら、それまで重視されていなかった糖タンパク質の糖鎖
部分の重要性が浮上するに至った。タンパク質に付加さ
れる糖鎖の生理的役割は完全には解明されていないが、
糖鎖生物学の急速な進歩により、糖鎖の役割が徐々に解
明されつつある。このような背景から、タンパク質に付
加される糖鎖の重要性がますます注目を浴びている。
【0004】糖タンパク質の糖鎖の機能については、エ
リスロポエチンにおいて、付加される糖鎖の構造と薬効
の関係が知られている。すなわち、分岐数の多い特定の
構造の糖鎖が付加されたエリスロポエチンが高い薬効を
示すことが報告されている(Takeuchi,M.and Kobata,
A.,Glycobiology vol.1, 337−346 (1991))。
【0005】従って、タンパク質に付加される糖鎖の構
造を制御・改変し、糖鎖の機能を積極的に応用すること
ができれば、医薬品等への応用が期待でき、産業上有用
な技術になることが予想される。
【0006】遺伝子工学を利用してタンパク質を生産す
るにあたって、初期に用いられていたような大腸菌など
の原核生物を宿主とした場合は、タンパク質に糖鎖が付
加されることはない。また、酵母や昆虫細胞などの、ヒ
トと遠縁の真核生物を宿主とした場合は、タンパク質に
付加される糖鎖が動物細胞のものとは大きく異なること
が知られている。そのため、現在は、ヒト由来の血中酵
素類、サイトカイン類など、糖鎖の付加が機能発現に必
要な糖タンパク質の生産では、宿主として動物細胞が多
く利用されるに至っている。
【0007】動物細胞内でのタンパク質への糖鎖付加お
よび糖鎖の修飾は、DNAあるいはタンパク質の生合成
の場合とは異なり、鋳型によらないpost-translational
modification(翻訳後修飾)である。この翻訳後修飾
は小胞体およびゴルジ装置と呼ばれる細胞内小器官に局
在する数多くの糖鎖生合成関連酵素が介在する複雑な機
構を通して行われる。すなわち、特定の単糖と、その結
合様式に特異的な酵素(糖加水分解酵素および糖転移酵
素)の連携による複雑な生合成経路に従って、単糖が順
次切り取られたり付加されたりしながら、所定の糖鎖構
造が得られるようにに糖鎖が伸長されていく。
【0008】このような糖加水分解酵素や糖転移酵素
は、小胞体やゴルジ装置の内膜上に埋め込まれた状態で
存在し、糖鎖の生合成経路に従って、種類別に小胞体や
ゴルジ装置内膜の特定の場所に配置されている(Kornfe
ld,R. and Kornfeld,S., Ann.Rev.Biochem. 54, 631-66
4 (1985)、辻崇一, 細胞工学 15, 726-734 (1996))。
【0009】ゴルジ装置は膜で囲まれた偏平な嚢が積み
重なった層状の構造を取っており、シスゴルジ、メディ
アルゴルジ、トランスゴルジと呼ばれる区画に分かれて
いる。タンパク質分子が小胞体からシスゴルジ、メディ
アルゴルジ、トランスゴルジへと順次輸送されていく間
に、これらの細胞内小器官内膜に存在する各酵素の作用
を順番に受けることによって、付加されている糖鎖の構
造は修飾を受ける。この際、各酵素の作用の状態によっ
ては、その酵素の付加すべき単糖が付加されたりされな
かったりすることがある。このため、糖タンパク質に付
加される糖鎖は、1種のタンパク質においてもタンパク
質の分子ごとに微妙に異なるのが通常である。
【0010】このようにタンパク質分子ごとに多様性を
示す糖鎖の構造を制御することは、例えば、個々のタン
パク質分子に付加した糖鎖の型を均一化することによ
り、組み換えタンパク質としての均一性を向上させるこ
とにつながる。また、糖鎖の分岐構造を増加させること
により、血中クリアランス時間の延長が期待できる。し
たがって、糖鎖構造制御技術に産業上高い有用性がある
のは明らかである。しかしながら、糖鎖構造を自由に制
御できる技術は未だ確立されていない。
【0011】ところで、糖鎖構造を制御するために最も
基本的なことは、糖鎖の骨格となる分岐構造を制御する
ことである。中でも、とりわけ重要と考えられるのはN
−結合型複合型糖鎖の分岐構造を制御する技術である。
N−結合型複合型糖鎖においては、その分岐構造はβ−
1,4−N−アセチルグルコサミン転移酵素IV(省略
の場合はGnT−IVと表記する)及びβ−1,6−N
−アセチルグルコサミン転移酵素V(省略の場合はGn
T−Vと表記する)の作用によって形成される(図
1)。これらの酵素は糖鎖生合成の中間段階で作用し、
糖鎖の骨格となる分岐構造を決定する。これらの酵素の
ゴルジ装置内における存在部位は明確には実証されてい
ないが、GnT−IVはメディアルゴルジに局在するとい
われている(飯田静夫,糖鎖 I.糖鎖と生命(永井克
孝編)東京化学同人,p.12-14, Roth,J.and Berger,E.
G., J.Cell.Biol. vol.92, 223-229 (1982), Goldberg,
D.E. and Kornfeld,S., J.Biol.Chem. vol.258, 3159-3
165 (1983) )。なお、GnT−Vの局在に関する知見
はない。なお、これらの酵素が作用した後、トランスゴ
ルジに存在するガラクトース転移酵素(Nilsson et a
l., J. Cell Biol., Vol. 120, 5-13 (1993))、トラン
スゴルジおよびトランスゴルジネットワークに存在する
シアル酸転移酵素、などが作用して、分岐鎖の先にガラ
クトースやシアル酸などが付加され、糖鎖構造が完成に
到る。すなわち、糖鎖の構造は、生合成の中間段階で、
骨格となる分岐構造が種々のN−アセチルグルコサミン
転移酵素によって形成された後、分岐鎖末端の構造がい
くつかの糖転移酵素の作用を受けて修飾され、最終的な
糖鎖構造に至るのである。
【0012】糖鎖構造を改変する方法としては、糖タン
パクを産生させる細胞に外来糖転移酵素を付与する方法
が検討されており、その一例として、糖転移酵素遺伝子
を遺伝子工学的手法で細胞に導入し、特定酵素を過剰発
現させる方法が挙げられる。このような方法は、近年、
糖鎖生物学の分野において、各種糖転移酵素の遺伝子が
次々とクローニングされたことによって可能となった。
遺伝子がクローニングされた糖転移酵素としては、例え
ば、β−1,4-ガラクトース転移酵素(Neng-Wen Lo, J
oel H.Shaper, Jonathan Pevsner and Nancy L.Shaper,
Glycobiologyvol.8, 517-526 (1998))、GnT−V
(Shoreibah et al.,J.Biol.Chem,vol.268,15381‐1
5385 (1993);特表平6‐510914、Saito et al.,Bioche
m.Biophys.Res.Commun. vol.198,318-327 (1994);特
開平6‐197756)、GnT−IV(Minowa,M.T.,Oguri,S.,
Yoshida,A., Hara,T., Iwamatsu,A.,Ikenaga,H.,Takeuc
hi,M., J.Biol.Chem. vol.273, 11556-11562(1998))な
どを挙げることができる。
【0013】糖転移酵素遺伝子を細胞に導入して細胞内
の糖転移酵素活性を制御し、糖鎖構造を制御する方法と
しては、細胞内のβ−1,4−ガラクトース転移酵素
(省略の場合はGalTと表記する)遺伝子の発現量を
制御し、該細胞内でのβ−1,4−N−アセチルグルコ
サミン転移酵素III(GnT−III)活性に対するGal
Tの相対活性を調節することによって、バイセクト糖鎖
の割合を制御する方法が知られている(特開平10-8027
6)。しかし、ここで開示されている技術は、糖鎖の構
造をバイセクト構造に限って部分的に制御するものであ
り、糖タンパク質の糖鎖構造を自由に制御するには及ば
ない。GnT−IIIは、バイセクト構造と呼ばれる糖鎖
構造を形成する酵素であり、糖鎖の分岐構造を形成する
GnT−IVおよびGnT−Vとは全く異なる酵素であ
る。
【0014】糖転移酵素の遺伝子を細胞に導入して糖鎖
の分岐構造を制御した例としては、GnT−V遺伝子を
細胞に導入強化し、細胞が産生するタンパク質の糖鎖分
岐数を増加させる方法が、エリスロポエチンにおいて示
されている(特開平9-84582号公報)。しかしながら、
GnT−V遺伝子を導入強化する手法では、糖鎖の分岐
数を増加させることはできても、糖鎖の分岐数を所望と
する範囲内に抑制することができないため、糖鎖の分岐
構造を制御する技術としては不充分である。
【0015】このように、部分的に糖鎖構造を改変する
ことは現在可能となっているが、糖鎖構造を自由に制御
するには到っていない。
【0016】一方、糖鎖の分岐構造の形成を担う酵素で
あるGnT−IVとGnT−Vの基礎的な知見としては、
タンパク質から遊離させた糖鎖を基質とした実験におけ
るinvitroでの反応特異性が知られている(Gleeson,P.
and Schachter,H., J.Biol.Chem. vol.258, 6162-6173
(1983)、Cummings,R.D.,Trowbridgwe,I.S. and Kornfel
d,S., J.Biol.Chem. vol.257, 13421-13427 (1982))。
しかしながら、これらの酵素が実際に細胞内で作用する
場合に、in vitroで観察された現象が再現されるかどう
かは全く不明である。これは、糖転移酵素がタンパク質
に作用する場合には、糖タンパク質の立体構造が糖転移
酵素の反応性に影響を及ぼすため、タンパク質に付加さ
れる糖鎖の実際の構造が、遊離糖鎖を用いての研究で明
らかにされている糖転移酵素の性質から予測される糖鎖
構造と必ずしも一致しないからである(藤井茂,蛋白質
核酸 酵素 vol.37, 2066-2070 (1992))。
【0017】また、上記の特開平10-80276号公報にはG
alTとGnT−IIIの競合を利用したバイセクト糖鎖
の組成調節法が開示されているが、GnT−IVとGnT
−Vは、GnT−IIIとは全く異なる酵素であることか
ら、同様にGnT−IV及び/またはGnT−VとGa
lTを細胞内で競合させることができるかどうかについ
ては全く未知のことであった。それどころか、上述のよ
うにGnT−IVはメディアルゴルジに局在し、GalT
はトランスゴルジに局在すると報告されているように、
細胞内においてGnT−IVとGalTの局在箇所が異な
っていることから、両酵素の作用が細胞内で競合するこ
となどは起こり得ないと考えられた。
【0018】このように、N−結合型糖鎖の骨格として
の分岐構造の形成に大きく関与するGnT−IVとGnT
−Vの細胞内での実際の作用や、これを制御するために
必要な情報は従来技術において全く提供されていないの
が現状である。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、真核
細胞が細胞内外に産生する糖タンパク質において、付加
されるN−結合型糖鎖の骨格構造である分岐構造を制御
し、糖鎖の組成中における分岐数が異なる糖鎖の含有割
合、すなわち、糖鎖の分岐組成(分岐数が異なる糖鎖の
本数の、全糖鎖本数に占める割合)が制御または改変さ
れた糖タンパク質を製造する方法を提供することにあ
る。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく、糖転移酵素の細胞内発現の制御に関する
研究を鋭意重ねた結果、糖鎖工学研究分野の常識では考
えられなかった現象を発見した。すなわち、本発明者ら
は、真核細胞内のGnT−IV及び/またはGnT−V
の活性に対するGalTの活性の比率と、産生される糖
タンパク質に付加されるN−結合型糖鎖の分岐組成(分
岐数が異なる糖鎖の、糖鎖全体に占める割合)に相関が
あることを見い出し、これにより、N-結合型糖鎖の分
岐組成を制御するための画期的手法である本発明の開発
に成功した。
【0021】すなわち、本発明は、N−結合型糖鎖を持
つ糖タンパク質を細胞内外に産生し得る真核細胞でのG
nT−IV及び/またはGnT−Vの活性に対するGa
lTの相対活性を調節することによって、産生される糖
タンパク質に付加されるN−結合型糖鎖の組成中におけ
る分岐数が異なる糖鎖の含有割合を制御する方法を提供
するものである。
【0022】さらに、本発明は、上記方法により、N−
結合型糖鎖において分岐数が異なる糖鎖の含有割合が制
御または改変された糖タンパク質を細胞または培養液か
ら回収することによる、N−結合型糖鎖の組成中におい
て分岐数が異なる糖鎖の含有割合が制御または改変され
た糖タンパク質の製造方法を提供するものである。更
に、本発明は、上記の方法によって得られるN−結合型
糖鎖の組成中における分岐数が異なる糖鎖の含有割合が
制御または改変された糖タンパク質及びそれを有効成分
として含有する医薬製剤を提供するものである。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明における、N−結合型糖鎖
において分岐数が異なる糖鎖の含有割合を制御すると
は、具体的には、糖タンパク質に付加されるN−結合型
糖鎖における分岐数が異なる糖鎖の、糖鎖全体に対して
占める割合を制御することを言う。
【0024】本発明に係わるN−結合型糖鎖は糖タンパ
ク質を構成するタンパク質部分のアミノ酸配列中のアス
パラギン残基に結合している糖鎖であって、N−アセチ
ル−D−グルコサミン、D−マンノース、D−ガラクト
ース、L−フコースおよびシアル酸等の単糖により構成
される。本発明に係わる糖タンパク質とは、タンパク質
のアミノ酸配列中に、N−結合型糖鎖が結合する可能性
のあるアスパラギン残基を少なくとも一つ以上持ち、そ
のうち少なくとも一カ所に糖鎖が結合しているタンパク
質を示す。そのようなものの例として、インターフェロ
ン群、エリスロポエチン、免疫グロブリン(Ig)M及
びG、t−PA、インターロイキン群、トロンボポエチ
ン、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)などの糖タ
ンパク質であるホルモン等、およびそれらの改変体等を
挙げることができる。例えば糖タンパク質としてのヒト
インターフェロン−γの単量体はN−結合型糖鎖の結合
部位を2箇所有している。
【0025】本発明に用いることのできる糖タンパク質
生産細胞としては、真核生物由来のものであり、糖タン
パク質を生産することのできるものであれば特に制限は
なく、動物、植物、真核微生物の細胞等が挙げられる。
動物細胞では、付着性細胞、浮遊性細胞の何れも使用で
き、糖タンパク質を細胞内に生産蓄積する動物細胞でも
よく、糖タンパク質を細胞外に分泌生産する動物細胞で
もよい。例えば、抗体産生B細胞、組織プラスミノーゲ
ン活性化因子(t−PA)産生細胞、インタ−フェロン
−γ産生細胞、エリスロポエチン産生細胞及びhCG産
生細胞等を挙げることができる。具体的には、CHO細
胞(チャイニーズハムスター卵巣細胞)、サルVero
細胞、マウスL細胞、BHK、φ2(NIH3T3)、
マウスC127細胞、サルCOS細胞、Hela細胞、
マウスミエロ―マ、ヒトB細胞、ヒト絨毛癌細胞、抗緑
膿菌IgM抗体産生B細胞株MP−5045(本細胞株
は通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に受託
番号FERM P−14976として寄託されてい
る)、ヒトインターフェロン−γ産生CHO細胞株HI
IF−D(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクシ
ョンにATCC CRL−8200として寄託されてい
る)等が挙げられる。なお、糖タンパク質産生細胞とし
てヒト由来細胞以外の細胞を用いる場合は、チャイニー
ズハムスター卵巣細胞またはそれに由来する細胞は、ヒ
トに近い糖鎖を付加する細胞として好適である。
【0026】本発明の方法によれば、GnT−IV、G
nT−V、Gal−Tの発現を任意に調節し、細胞内の
GnT−IV及び/またはGnT−V活性対するGal
−Tの相対活性の調節により、所望の分岐数を有する糖
鎖を作成することができる。例えば、真核細胞でのGa
lTの遺伝子の発現量を増加させ、GnT−IV及び/
またはGnT−V活性に対するGalTの相対活性を増
加させることによって、真核細胞により産生される糖タ
ンパク質に付加されるN−結合型糖鎖における分岐数の
多い糖鎖の含有割合を減少させることができる。
【0027】更に、真核細胞でのGalT遺伝子の発現
量を減少させ、GnT−IV及び/またはGnT−V活
性に対するGalTの相対活性の相対活性を減少させる
ことによって、該真核細胞により産生される糖タンパク
質に付加されるN−結合型糖鎖における分岐数の多い糖
鎖の含有割合を増加させることができる。
【0028】なお、この場合の分岐数が多い糖鎖を、イ
ンターフェロン−γの場合で説明すると図9に示す3本
鎖型または4本鎖型である。すなわち、この分岐数が多
い糖鎖の含有割合の増減は、後述するGnT−IV分岐
鎖付加率及びGnT−V分岐鎖付加率で評価でき、これ
らの付加率を好ましくは10%以上増減させる場合に相
当する。
【0029】GalTは、2本鎖、3本鎖、4本鎖など
の構造の糖鎖にガラクトースを転移する糖転移酵素であ
る(図2)。GalTの細胞内活性調節には、例えば、
一般の遺伝子組み換えの手法を用いて、GalT遺伝子
の発現を制御する方法を用いることができる。GalT
遺伝子の発現増加法としては、一般の遺伝子組み換え技
術を用いてGalT遺伝子を細胞に導入してその高発現
を起こす方法や、相同組換え技術を用いて細胞固有のG
alT遺伝子の発現制御部、例えばプロモーター部位を
従来より高機能のものと入れ換える方法、などが挙げら
れる。GalTの発現抑制法としてはジ−ンタ−ゲッテ
ィング法、アンチセンス法などが挙げられる。
【0030】遺伝子組み換え技術を用いてGalT遺伝
子を細胞に導入し、それを高発現させる方法には一般的
に知られている遺伝子導入技術を適用できる。この場合
のGalT遺伝子としては、哺乳動物、例えばヒト由来
のものを用いることができる。GalT遺伝子を細胞に
導入して発現させるためのベクタ−としては、細胞で目
的遺伝子を発現することができるものならいかなるもの
でも利用でき、具体的には、動物ウイルスを利用したも
のとして、SV40、BPV(ウシパピローマウイル
ス)、アデノウイルス、レトロウイルス系が挙げられ
る。動物ウイルスは一般に、宿主細胞で働くプロモータ
ー、RNAスプライシングシグナルとポリA付加シグナ
ル、さらにプロモーターの活性を増大させるエンハンサ
ーなど遺伝子発現に必要なシグナルに加えて、自己複製
能もあるので、このような動物ウイルスを利用したベク
ターを用いることにより遺伝子を細胞内で増殖させてそ
の発現量を増加させることができる。また、ネオマイシ
ン耐性遺伝子や、ハイグロマイシン耐性遺伝子等の選択
マーカーの機能を有し、これにより形質転換細胞の選択
手段を与え、目的とする形質転換細胞の単離を容易にす
ることが好ましい。
【0031】遺伝子を発現させるための制御部位であ
る、プロモーターやエンハンサーとしては、動物細胞内
で機能するもので、目的とする効果が得られるものを使
用することができ、例えば、LTR(レトロウイルスのlon
g terminal repeat)、SV40、CMV(サイトメガ
ロウイルス)、MT(メタ口チオネイン)、アクチンな
どのプロモーターや、LTR、SV40、CMVなどの
エンハンサー配列が挙げられる。
【0032】本発明において使用し得る動物細胞用発現
ベクターとしては、具体的には、ニワトリβ−アクチン
遺伝子プロモーターの一部の塩基配列をウサギβ−グロ
ビン由来の遺伝子に置き換えることにより外来遺伝子の
高発現を可能とした構造を有するベクターであるpCX
N系の発現ベクター、その中でも特にpCXN2(Niw
a,H.,Yamamura,K. and Miyazaki,J., Gene vol.108, p.
193-200, 1991、特開平03‐168087)が挙げられるが、
その他、動物細胞用発現ベクターであれば特に限定され
ない。
【0033】作製した発現ベクタ−の細胞への導入法と
しては、最も一般的なリン酸カルシウム法のほか、エレ
クトロポレーション法、マイクロインジェクション法、
プロトプラスト融合法、リポソーム融合法、赤血球ゴー
スト融合法、等を用いることができる。
【0034】GalT遺伝子の発現抑制法としてのジー
ンターゲッティング法では、一般の遺伝子組換え手法に
従って以下の操作を行うことにより、GalT遺伝子の
破壊を行うことが出来る。すなわち、宿主である細胞の
GalT遺伝子のエキソン部分に、細胞の持つ相同組換
えの性質を利用して、GalT遺伝子の機能を破壊する
外来遺伝子を、細胞の有する正常なGalT遺伝子中に
組換えて、あるいはGalT遺伝子の全部と入れ換えて
やることにより、GalT発現機能の停止もしくは抑制
された細胞株を得ることができる。
【0035】この方法は例えば以下のようにして行うこ
とができる。まず、宿主である細胞のGalTエクソン
及びその前後のイントロンを含む部分をクローニングし
て、前後をイントロンにはさまれたGalTエクソンの
DNA断片を単離する。具体的には、市販の人染色体遺
伝子ファージライブラリーから、適当なプローブを用い
たプラークハイブリダイゼーション法を用いることによ
って、目的のGalTエクソンを含むファージクローン
を識別し、目的のGalTエクソンのDNA断片を単離
することが出来る。用いるプローブは、GalTの構造
遺伝子をコードする既知の配列の一部である合成DNA
を用いてもよいし、さらにこれをプライマーとしてPC
R法で作製した遺伝子断片を用いてもよい。
【0036】次に、こうして単離したDNA中にGal
T蛋白質の機能を破壊できる外来DNAを挿入する。こ
のエクソン中に挿入する外来DNAとしては、その挿入
DNAが結果として翻訳後にGalT蛋白質の機能を破
壊させるものなら特に限定はないが、挿入DNA部分に
停止コドンを含んだり、コドンの読みとり枠を変えたり
するものが好ましく、同時に、ネオマイシンや、ハイグ
ロマイシン等の選択マーカーの機能を有し、これにより
形質転換細胞の選択手段を与え、目的とする形質転換細
胞の単離を容易にするものが特に好ましい。また、Ga
lTエクソンの中に挿入されることによりGalT発現
機能を奪うことのできるDNA断片の更に外側の両方又
はその一方に、ウイルス由来のチミジンキナーゼの遺伝
子を連結することにより、ガンシクロビルによる選択圧
をかけることができ、スクリーニングを更に効率的に行
うことが可能になる。このようにして構築された遺伝子
断片を細胞に導入して、ネオマイシンやガンシクロビル
等により選択圧をかけることにより、成育してきた形質
転換細胞株の中から、染色体上の細胞がもともと所有し
ていたGalT遺伝子が相同組換によりGalT発現機
能を持たない外来遺伝子に置き換わり、その結果Gal
Tの発現が停止した細胞を選択できる。この相同組換え
による置換え用として用いるDNA断片を細胞に導入す
る具体的方法としては、燐酸カルシウム等による従来の
方法に加えて、リポソーム様の遺伝子導入の試薬を使う
方法、また電気的パルスを細胞に加える方法(エレクト
ロポレ−ション)、遺伝子銃を用いて物理的に導入する
方法等を用いることができる。一方、GalT遺伝子の
発現抑制法としてのアンチセンス法では、GalT遺伝
子のmRNA配列(センス鎖)に対して相補的な配列を
有する遺伝子領域(アンチセンス鎖)を細胞の内外より
供給することで、GalT遺伝子の発現を特異的に抑制
することができる。アンチセンス鎖の供給法としては、
任意の長さの逆向き配列(アンチセンス配列)をベクタ
ーに組み込み細胞内でRNAとして内在的に発現させる
「アンチセンスRNA法」、および15〜30塩基長の
合成DNAを細胞培養液中に直接添加する「アンチセン
スDNA法」等が利用できる。
【0037】GnT−IV遺伝子及びGnT−V遺伝子
については既に知られており、これらの少なくとも1種
の発現調節についても上述のGal−Tのそれに準じて
行うことができる。
【0038】細胞内のGnT−IV及び/またはGnT
−V活性に対するGalTの相対活性が目的とする値を
持つ細胞株の選抜は、細胞内におけるこれらの糖転移酵
素の活性を指標として行うことができる。糖転移酵素G
nT−IV及びGnT−Vの活性測定は、西河らの方法
(Nishikawa et al.Biochim.Biophys.Acta, vol.1035,
313‐318,(1990))を応用して行うことができる。すな
わち、2‐アミノピリジンにより還元末端を蛍光ラベル
したアガラクトシルバイアンテナ糖鎖(図3)を受容体
糖鎖とし、これをUDP−N−アセチルグルコサミン
(UDP-GlcNAc)を加えた緩衝液中にて細胞抽
出液と反応させた後、反応生成物または残存する受容体
糖鎖を高速液体クロマトグラフィーにより同定・定量す
ることにより行うことができる。
【0039】糖転移酵素GalTの活性測定は長谷らの
方法(Morita,N. et al., J.Biochem. vol.103, 332-33
5 (1988))を応用して行うことが出来る。すなわち、2
‐アミノピリジンにより還元末端を蛍光ラベルしたアガ
ラクトシルバイアンテナ糖鎖(図3)を受容体糖鎖と
し、これをUDP−ガラクトースを加えた緩衝液中にて
細胞抽出液と反応させた後、反応生成物または残存する
受容体糖鎖を高速液体クロマトグラフィーにより同定・
定量することにより行うことができる。
【0040】本発明の方法により得られた細胞又は細胞
株の培養は各種公知の方法を用いて行うことができ、細
胞株の増殖および糖タンパク質の生産を阻害しないもの
であれば特に制限はない。例えばタンクでの浮遊培養、
細胞をスチレン製のマイクロビーズ表面あるいはローラ
ーボトル内壁等に付着させた接着培養、フラスコを用い
た静置培養等を細胞株に応じて適宜選択することができ
る。培養時間は、バッチ法で培養する場合には十分に細
胞が増殖して糖タンパク質が十分に生産されるまで行え
ばよく、通常1週間〜6カ月程度である。培養に際して
培地の一部を無菌的に交換しながら連続的に培養を行な
う場合は、培養時間は1週間〜6カ月程度である。また
培養に際しては、糖タンパク質を生産する細胞株を播種
した後、適当な温度、通気状態、培地のpHを保ちなが
ら該細胞株を培養する。
【0041】本発明の方法により得られた細胞株の培養
に使用できる培地としては、基本培地に血清等の添加物
を添加したものを用いることができる。基本培地として
は市販されている細胞培養用の培地を用いることがで
き、例えばイーグル最少必須培地、RPMI-1640
培地、ハムF12培地、ダルベッコ変法イーグル培地、
CHO−S−SFMII培地(GIBCO BRL)、Opti−
MEM培地(GIBCO BRL)等を、単独あるいは適宜混合
して使用すればよい。また、細胞株の培養を、細胞数を
増加させる増殖培養と、糖タンパク質を生産させる生産
培養との二段階に区別して行い、異なる2種類の培地を
用いることもできる。この場合、増殖培地として例えば
上記基本培地に1〜30%濃度のウシ胎児血清(FC
S)を添加した栄養培地を用い、生産培地としてウシ胎
児血清(FCS)を含まない上記基本培地を使用するこ
とにより、生産された糖タンパク質の精製工程における
負荷を軽減することができる。
【0042】上述のようにして得られた培養物からの糖
タンパク質の回収は通常の方法により可能である。細胞
外に分泌生産される糖タンパク質は、適時培養液を交換
する方法により培養液から、例えばイオン交換、生物学
的親和性、吸着あるいは疎水度、親水度、分子サイズ、
限外濾過等を利用した各種公知の精製方法で分離、精製
することができる。
【0043】本発明の糖鎖分岐組成(N−結合型糖鎖に
おける、分岐数が異なる糖鎖の含有割合)が制御または
改変された糖タンパク質は医薬品として有効であり、こ
れは一般的な医療製剤の形態で用いられる。そのような
医薬品として、例えばヒトインターフェロン−γ、ヒト
エリスロポエチン、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン等を含
む製剤等が挙げられる。このような本発明の糖タンパク
質を有効成分として含有する医薬製剤は、通常使用され
る充填剤、増量剤、結合剤、保湿剤、崩壊剤、界面活性
剤、潤滑剤等の担体、希釈剤あるいは賦形剤を用いて調
製される。本発明の医薬製剤としての各種の形態が治療
目的に応じて選択でき、その代表的なものとして錠剤、
丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル
剤、注射剤(液剤、懸濁製剤)が挙げられる。本発明の
医薬製剤には更に必要に応じて着色剤、保存剤、風味
剤、甘味料や他の医薬品を含有することができる。医薬
製剤に含有させる糖タンパク質の含有量は、糖タンパク
質の種類に応じて通常用いられている量とすることがで
きる。
【0044】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、これらの実施例は本発明の範囲を何等限定す
るものではない。 [参考例1] ヒトインターフェロン−γ産生CHO細
胞HIIF−D株によって生産したヒトインターフェロ
ン−γの糖鎖構造 糖タンパク質であるヒトインターフェロン−γ(以後、
ヒトIFN−γと省略)を産生するCHO細胞HIIF
−D株(ATTCより購入、ATCC N0.CRL−82
00)を培養してヒトIFN−γを生産し、その糖鎖構
造を解析した。 (1)HIIF−D株の培養 5×105個のHIIF−D細胞を75Tフラスコ中
の、10mlの培地[10%の透析済ウシ胎児血清(dF
CS)、250nM MTX(methotrexate)を含む、CHO
−S−SFMII培地(GIBCO BRL)]に播種
し、CO2インキュベーター中、37℃、5%CO2条件下
で静置培養した。3〜4日後、confluentになったとこ
ろで継代培養した。継代ごとに培養スケールを拡大して
細胞を増殖させた。
【0045】増殖したHIIF−D細胞4×106個を175
Tフラスコ中の、35mlの上記培地に播種し、3日間培養
後、トリプシン処理により細胞を遊離させて遠心回収
し、全細胞を同培地200ml/500Tトリプルフラスコで継
代培養した。4日後、培地を除去し、PBS(−)30mlで
洗浄した後、L−グルタミンを加えた無血清CD−CH
O培地(GIBCO BRL)200mlに交換し、培地中
にヒトIFN−γを生産させた。24時間ごとに培地上清
を回収し、その都度新鮮な培地に交換した。回収した培
地はその都度遠心し、孔径0.22μmのフィルターでろ過
後、集めて−20℃にて凍結保存した。 (2)ヒトIFN−γの精製単離 上記により得たヒトIFN−γ生産培地上清から、抗ヒ
トIFN−γ抗体固定カラムを用いたアフィニティーク
ロマトグラフィーによって、ヒトIFN−γを精製し
た。抗体固定カラムは、抗ヒトIFN−γポリクローナ
ル抗体(ウサギ)(林原生物化学研究所)を担体 HiTra
p NHS-activated Sepharose HP (アマシャムファルマ
シアバイオテク社製)に固定化して作製した。具体的な
精製操作は次のとおりである。まず、培地上清を解凍
後、孔径0.22μmのフィルターでろ過し、その500mlを
カラムに通液してヒトIFN−γを吸着させた後、50m
M Tris-HCl(pH 7.5), 0.5M NaClで洗浄し、続いて洗
浄液A(日本ガイシ製)で洗浄した。その後、0.2M グ
リシン-HClバッファー(pH 2.5)を通液してヒトIFN
−γを溶離させた。カラムからの溶出液の280nmにおけ
る吸光度を測定し、タンパク質を検出した。
【0046】溶離したヒトIFN−γ画分には、1M T
ris-HCl(pH 8.0)を少量加えて中和した後、10mM Tri
s-HCl(pH 8.0)で透析後、凍結乾燥を行って精製ヒト
IFN−γ標品とした。得られたヒトIFN-γの純
度、分子量をSDS−PAGEによって確認した結果、
不純タンパク質は含まれず、ヒトIFN−γタンパク質
としては、大部分が分子量 24,000 (糖鎖が2ヶ所に付
加されたもの)のバンドとして検出された。なお、分子
量20,000(糖鎖が1ヶ所に付加されたもの)のバンドも
少量存在した他、分子量 17,000(糖鎖の付加しないも
の)のバンドがわずかに存在した。 (3)ヒトIFN−γに付加される糖鎖の構造解析 糖鎖の切り出し精製と蛍光標識 活性を保持したヒトIFN−γは2量体として存在する
ことが知られているが、1本のポリペプチド鎖上にはN
−結合型糖鎖の結合部位が2ヵ所存在する。2ヵ所に付
加された糖鎖を一括して切り出し、混合物として精製し
た。 a.糖ペプチドの分離 凍結乾燥したヒトIFN−γ0.5mgを6M Urea 200μl
に溶解して60℃で1時間加温した後、100mM Tris-HCl
(pH 8.0)、1mM CaCl2を1ml加え、ModifiedTrypsin
(Promega社製)を酵素/ヒトIFN−γ(質量/質量)=1
/50 量添加し、37℃で一晩、酵素消化を行った。その後
100℃で10分間加熱して反応を停止させ、孔径0.45μm
のフィルターでろ過した後、Sephadex G-25(アマシャ
ム ファルマシアバイオテク社製)によるゲルろ過を行
い、糖ペプチド画分を回収した。バッファーには10mM
NH4HCO3を用いた。糖ペプチドの検出にはオルシノール
硫酸法を使用した。糖ペプチド画分は凍結乾燥して次操
作に用いた。 b.糖鎖の切り出しと精製 約10〜100nmol量の糖ペプチドを100mM クエン酸−リン
酸緩衝液(pH 5.0)1mlに溶解し、アーモンド由来のグ
リコペプチダーゼA(生化学工業)0.4mU を加えて37℃
で一晩反応させた。この反応液からの糖鎖の精製はSep-
Pak C18 カートリッジ(Waters製)を用いて行った。反
応液を、Sep-Pak C18 カートリッジに供し、糖鎖を 0.1
% TFA/ 5% アセトニトリル溶液で溶出させた。これを
凍結乾燥して精製糖鎖標品とした。 c.糖鎖の蛍光標識(ピリジルアミノ化) 約10〜100nmolの糖鎖に対して 40μl の2-アミノピリ
ジン溶液(276mgの2-アミノピリジンを 100μl の酢酸
に溶かしたもの)を加え、90℃、60分間加熱した。次
に、140μl のBorane-dimethylamine complex溶液(150
mg のBorane-dimethylamine complexに酢酸60μlとH2O
38μlを加えたもの)を加えて、80℃で35分間加熱し
た。次に、10mM NH4HCO3を緩衝液としてSephadex G-15
(アマシャムファルマシアバイオテク社製)によるゲル
ろ過を行い、ピリジルアミン標識糖鎖を精製した。精製
したピリジルアミン標識糖鎖(以下PA化糖鎖と呼ぶ)
を以後の分析に使用した。 PA化糖鎖の構造解析 PA化糖鎖をArthrobacter ureafaciens由来のシアリダ
ーゼ(ナカライテスク社製)を用いて消化後、脱シアル
酸画分を陰イオン交換カラムMonoQ HR5/5
(内径5mm×長さ50mm、アマシャムファルマシアバイオテ
ク社製)を用いたHPLCで分取した。シアル酸を除去
した糖鎖(アシアロ糖鎖)は、逆相カラム(Shim-pack
CLC-ODS、内径6mm×長さ150mm、島津製作所製)およびア
ミド吸着カラム(TSKgel Amide-80、内径4.6mm×長さ250
mm、東ソー製)を用いたHPLCで分析を行った。HP
LCで分離される各糖鎖の溶出時間を、PA化グルコー
スオリゴマー(重合度:3〜22 または 3〜15、宝酒造
製)の溶出時間と比較して相対的グルコース重合度を求
め、これをグルコース単位として表し、2次元糖鎖マッ
プ(高橋禮子、糖蛋白質糖鎖研究法 生化学実験法23、
学会出版センター ,1989、及び高橋禮子、富谷
昇、吉田友昭、糖タンパク質と糖結合タンパク質化学と
生物 実験ライン20、廣川書店、1992)により構
造推定及び定量を行った。また、それぞれの糖鎖構造を
確認するため、HPLCで分離される各糖鎖を各種のグ
リコシダーゼ(ウシ腎臓由来のα−フコシダーゼ(Boeh
ringer Mannheim社製)、ナタマメ由来のβ−ガラクト
シダーゼ(生化学工業株式会社製)、β−N−アセチル
ヘキソサミニダーゼ(生化学工業株式会社製)、Escher
ichia Freundii由来エンド−β−ガラクトシダーゼ(生
化学工業株式会社製))を用いて消化し、消化前後の2
次元糖鎖マップ上における挙動を既知構造の糖鎖と比較
した。試料糖鎖の推定構造と同一構造の標準PA化糖鎖
が市販されているものについては、両者をHPLCで共
打ちすることにより、単一ピ−クになることを確認し
た。
【0047】HIIF−D株の産生するヒトIFN−γ
の糖鎖構造をHPLCによって同定・定量し、全糖鎖に
占める各糖鎖構造の含有割合(%)を求めた。その結果
を表1に示す。HIIF−D株の産生するヒトIFN−
γの糖鎖構造は、大部分が二本鎖構造であった。
【0048】表1は、HIIF−D株および参考例2、
参考例3で示すGnT−V高発現株(V26)、GnT
−IV/GnT−V両酵素高発現株(V26/IV5)のそ
れぞれが生産するヒトIFN−γに付加される糖鎖につ
いて、糖鎖構造の同定・定量を行い、各糖鎖構造の全糖
鎖に占める含有割合を求めた結果を、糖鎖の骨格構造で
分類してまとめたものである。各分類の中には、糖鎖骨
格構造の先(非還元末端側)にガラクトースあるいはN
−アセチルラクトサミンの繰り返し構造を持つもの、さ
らにその先にシアル酸が付加されたものなどが含まれ
る。なお、表中のUK1、UK2、UK3は、単糖組成
以外は不明であり、詳細な糖鎖構造は未同定であるが、
2本鎖、3本鎖、4本鎖といった通常の構造には分類で
きなかったものである。また、表中の2本鎖型〜4本鎖
型の糖鎖骨格構造は図9に示すとおりである。
【0049】
【表1】 [参考例2]GnT−V高発現ヒトIFN−γ産生CH
O株によって生産したヒトIFN−γの糖鎖構造 (1)GnT−V発現ベクターpCXH1−hGnTV
の作製 一般的なDNA操作法は文献(Sambrook,J. et.al., Mo
lecular Cloning A Laboratory Manual.Second Editio
n, Cold Spring Harbor Laboratory Press., (1989))
に従って行った。GnT−V遺伝子(ヒト由来)は配列
表の配列番号:1に示す配列を使用した。ベクタ−には
pCXN2(Niwa,H.,Yamamura,K. and Miyazaki,J., G
ene, 108, p.193-200, 1991)から作製したpCXH1
(図4)を使用した。GnT−V発現ベクタ− pCX
H1−hGnT−Vは、図5に示す方法で作製した。 (2)GnT−V高発現株の取得 HIIF−D株へのGnT−V発現ベクター;pC
XH1-hGnT−Vの導入 Opti−MEM培地(GIBCO BRL)0.4 mlに
4×106個のHIIF−D細胞を懸濁し、エレクトロポレ
ーション法を用いてGnT−V発現ベクター;pCXH
1−hGnT−Vを導入した。10分静置後、処理した
細胞を10mlの10%dFCS、250nM MTX、CHO−S
−SFMII(GIBCO BRL)培地に加えた後、適当
な希釈率でシャーレに播種し、CO2インキュベーター
中、37℃、5%CO2条件下で静置培養した。2日後、
ハイグロマイシンを200μg/mlとなるように添加し、培
養を継続した。約2週間後、出現してきたハイグロマイ
シン耐性コロニーを、クローニングリングを用いてトリ
プシン処理して遊離させ、クローン細胞として回収し、
拡大培養した。
【0050】 N−アセチルグルコサミン転移酵素IV
(GnT−IV)およびN−アセチルグルコサミン転移酵
素V(GnT−V)の活性測定 5.0×105個の細胞をサンプルチューブに遠心回収し、P
BS(−)で2回洗浄した。5μlの細胞懸濁保存液(1
% Triton X-100を含む酵素反応緩衝液)に懸濁し−80
℃にて保存した。これを、氷上で融解後、バス型超音波
破砕装置(Bioruptor UC100-D2、OLYNPUS)により、氷水
中破砕した。細胞破砕液を酵素源とし、UDP−N−ア
セチルグルコサミン(UDP−GlcNAc)を基質、
PA化アガラクトシルバイアンテナ型糖鎖を受容体糖鎖
として、目的の酵素に応じた組成の反応液中でそれぞれ
酵素反応を行い、未反応受容体糖鎖の残存率の経時的推
移から酵素活性を評価した。すなわち、5μlの細胞破砕
液の入ったサンプルチューブ中に、あらかじめ37℃に加
温した20μl量の活性測定用反応液を添加することによ
り反応を開始し、37℃条件下、酵素反応を行った。反応
液中より経時的に5μlを抜き出して50μlの反応停止液
(10mM HEPES、50mM EDTA、pH7.2)中に加え、3
分間の煮沸により反応を停止させた。この一部をShim-p
ack CLC-ODS(内径6mm×長さ150mm、島津製作所製)を
用いてHPLC分析し、経時的な受容体糖鎖の残存率を
定量した。GnT−IVとGnT−Vの両方が存在する場
合は、受容体糖鎖の残存率からは、それぞれの酵素の活
性を区別できないので、GnT−IVはMn2+要求性、G
nT−VはMn2+非要求性であることから、EDTAを
添加してMn2+をトラップした反応系でまずGnT−V
の活性だけを測定し、次にEDTA非存在下、Mn2+を
添加した反応系で(GnT−IV+GnT−V)の活性合
計を測定し、両者の差をGnT−IV活性とした。
【0051】GnT−V活性測定用反応液25μl中の組
成は、10mM HEPES(pH7.2)、80mM UDP−Glc
NAc、10mM EDTA、33mM NaCl、3mM KCl 200mM N
-acetyl-D-glucosamine、0.2% Triton X-100、2.5μM
PA化アガラクトシルバイアンテナ型糖鎖であり、(G
nT−IV+GnT−V)活性測定用反応液25μl中の組
成は、10mM HEPES(pH7.2)、80mM UDP−Glc
NAc、10mM MnCl2、33mM NaCl、3mM KCl、200mM N-a
cetyl-D-glucosamine、0.2% Triton X-100、2.5μM P
A化アガラクトシルバイアンテナ型糖鎖である。
【0052】 GnT−V高発現株のスクリ−ニング 上記でクローニングした細胞を10%dFCS、250nM
MTX、200μg/ml ハイグロマイシンを含むCHO−S
−SFMII(GIBCO BRL)培地で継代培養して15
0Tフラスコスケールまで拡大培養した後、各細胞をト
リプシン処理によって遊離させ、トリパンブルー染色に
て生細胞数を計測後、上記の方法に従い細胞内のGn
T−IVおよびGnT−Vの活性測定を行った。また、各
細胞株の培地上清中に産生されるヒトIFN−γ量をE
LISA法によって測定した。GnT−V活性の高い株
をスクリーニングした結果、細胞内のGnT−V活性が
元株HIIF−Dに比較して約150倍に増加した株(V
26株)を得た。 (3)ヒトIFN−γの生産培養 得られた細胞株(V26株)を用い、細胞を増殖させる
ための培地にハイグロマイシン200μg/mlを含むことを
除き、参考例1と同様の方法で培養を行い、培地中にヒ
トIFN−γを生産させた。 (4)ヒトIFN−γの精製単離 得られた培地上清500 mlを用い、参考例1と同様の方法
でヒトIFN−γ 0.5mgを精製単離した。得られたヒト
IFN-γの純度、分子量をSDS−PAGEによって
確認した結果、不純タンパク質は含まれず、ヒトIFN
−γタンパク質としては、大部分が分子量 24,000 (糖
鎖が2ヶ所に付加されたもの)のバンドとして検出され
た。なお、分子量20,000(糖鎖が1ヶ所に付加されたも
の)のバンドも少量存在した他、分子量 17,000(糖鎖
の付加しないもの)のバンドがわずかに存在した。 (5)ヒトIFN−γに付加される糖鎖の構造解析 得られたヒトIFN−γについて、参考例1と同様の方
法で糖鎖構造の同定・定量を行った。糖鎖構造の解析結
果を表1に示す。参考例1に示したように元株HIIF
−Dの産生するヒトIFN−γの糖鎖は2本鎖型糖鎖が
主要な構造であったのに対し、GnT−V遺伝子を導入
したV26株では、産生されるヒトIFN−γの糖鎖構
造は主として3本鎖(GnT−V分岐)型糖鎖に変換さ
れた。 [参考例3] GnT−IV、GnT−V両酵素の高発現
ヒトIFN−γ産生CHO株によって生産したヒトIF
N−γの糖鎖構造 (1)GnT−IV、GnT−V両酵素高発現株の取得 参考例2で得た細胞株(V26株)に、更にGnT−IV
発現ベクターを参考例2と同様、エレクトロポレーショ
ン法で導入した。GnT−IV遺伝子(ウシ由来)は配列
表の配列番号:2に示す配列を使用した。ベクタ−には
pCXN2(Niwa,H.,Yamamura,K. and Miyazaki,J., G
ene, 108, p.193-200, 1991)を使用した。GnT−IV
発現ベクタ−;pCXN2−bGnT−IVは図6に示す
方法で作製した。
【0053】エレクトロポレーションによって遺伝子導
入した細胞を、10分静置後、10 mlの 10%dFCS、2
50nM MTX、200μg/ml ハイグロマイシン、CHO−
S−SFMII(GIBCO BRL)培地に加えた後、適
当な希釈率でシャーレに播種し、CO2インキュベータ
ー中、37℃、5%CO2条件下で静置培養した。2日
後、ネオマイシン類縁体G418を300μg/mlとなるよ
うに添加し、培養を継続した。約2週間後、出現してき
たハイグロマイシン、G418両薬剤耐性コロニーを、
クローニングリングを用いてトリプシン処理して遊離さ
せ、クローン細胞として回収し、拡大培養した。
【0054】クローニングした細胞を10%dFCS、25
0nM MTX、200μg/ml ハイグロマイシン、G418 3
00μg/mlを含むCHO−S−SFMII(GIBCO B
RL)培地で継代培養して150Tフラスコスケールまで拡
大培養し、参考例2と同様にGnT−IV、GnT−Vの
活性測定を行った。また、各細胞株の培地上清中に産生
されるヒトIFN−γ量をELISA法によって測定し
た。GnT-IV導入前のV26株に比べてGnT−IV活
性が高い株をスクリーニングし、V26/IV5株を取得
した。V26/IV5株は、元株HIIF−Dに比べて、
GnT−IV活性が約70倍、GnT−V活性が約120
倍に増加していた。 (2)ヒトIFN−γの生産培養 得られた細胞株(V26/IV5株)を用い、細胞を増殖
させるための培地にハイグロマイシン200μg/ml、G4
18 300μg/mlを含有することを除き、参考例1と同様
の方法で培養を行い、培地中にヒトIFN−γを生産さ
せた。 (3)ヒトIFN−γの精製単離 得られた培地上清 500 ml を用い、参考例1と同様の方
法でヒトIFN−γ 0.5 mgを精製単離した。得られた
ヒトIFN-γの純度、分子量をSDS−PAGEによ
って確認した結果、不純タンパク質は含まれず、ヒトI
FN−γタンパク質としては、大部分が分子量 24,000
(糖鎖が2ヶ所に付加されたもの)のバンドとして検出
された。なお、分子量20,000(糖鎖が1ヶ所に付加され
たもの)のバンドも少量存在した他、分子量 17,000
(糖鎖の付加しないもの)のバンドがわずかに存在し
た。 (4)ヒトIFN−γに付加される糖鎖の構造解析 得られたヒトIFN−γについて、参考例1と同様の方
法で糖鎖構造の同定・定量を行った。糖鎖構造の解析結
果を表1に示す。GnT−IVとGnT−Vの両方が高発
現した結果、産生されたヒトIFN−γの糖鎖は主とし
て4本鎖型糖鎖に変換された。
【0055】[実施例1] GnT−V高発現株(V2
6株)にGalTを導入強化した細胞株によって生産し
たヒトIFN−γの糖鎖構造 (1)GalT強化株の取得 参考例2で得た細胞株(V26株)に、更にGalT発
現ベクターを参考例2と同様、エレクトロポレーション
法で導入した。GalT遺伝子(ヒト由来)は配列表の
配列番号3に示す配列を使用した。ベクタ−には pC
XN2(Niwa,H.,Yamamura,K. and Miyazaki,J., Gene,
108, p.193-200, 1991)を使用した。GalT発現ベ
クタ− pCXN2-GalTは図7に示す方法で作製し
た。
【0056】遺伝子導入した細胞を、参考例3と同様の
方法で選抜培養し、ハイグロマイシン、ネオマイシン類
縁体G418の両薬剤に耐性のクローンを分離した。ク
ローニングした細胞は、10%dFCS、250nM MTX、
200μg/ml ハイグロマイシン、G418 300μg/mlを含
むCHO−S−SFMII(GIBCO BRL)培地で継
代培養して150Tフラスコスケールまで拡大培養し、参
考例2と同様にGnT−IV、GnT−Vの活性測定を行
った。また、GalTの活性測定は、基質としてUDP
−ガラクトース(Gal)を用いることを除き、参考例
2に示したGnT−IV、GnT−Vの活性測定法と同様
に行った。GalT反応液25μl中の組成は、10mM HE
PES(pH7.2)、80mM UDP−Gal、10mM MnCl2、33
mM NaCl、3mM KCl、5.6mM γ-ガラクトノラクトン、0.2
% Triton X-100、2.5μM PA化アガラクトシルバイア
ンテナ型糖鎖である。また、各細胞株の培地上清中に産
生されるヒトIFN−γ量をELISA法によって測定
した。GalT活性が高い株をスクリーニングした結
果、GalT強化前の株(V26株)に比べて、Gal
Tを強く発現する株、V26/G1株を取得した。ま
た、これらの細胞株におけるGnT−IVおよびGnT−
V活性は、V26株とほとんど変わらなかった。 (2)ヒトIFN−γの生産培養 得られた細胞株(V26/G1株)を用い、細胞を増殖
させるための培地にハイグロマイシン(200μg/ml)、
ネオマイシン類縁体G418(300μg/ml)を含有する
ことを除き、参考例1と同様の方法で培養を行い、培地
中にヒトIFN−γを生産させた。 (3)ヒトIFN−γの精製単離 V26/G1株の培養培地上清500 mlを用い、参考例1
と同様の方法でヒトIFN−γ 0.5 mgを精製単離し
た。得られたヒトIFN-γの純度、分子量をSDS−
PAGEによって確認した結果、不純タンパク質は含ま
れず、ヒトIFN−γタンパク質としては、大部分が分
子量 24,000 (糖鎖が2ヶ所に付加されたもの)のバン
ドとして検出された。なお、分子量20,000(糖鎖が1ヶ
所に付加されたもの)のバンドも少量存在した他、分子
量 17,000(糖鎖の付加しないもの)のバンドがわずか
に存在した。 (4)ヒトIFN−γに付加される糖鎖の構造解析 V26/G1株から得られたヒトIFN−γについて、
参考例1と同様の方法で、糖鎖構造の同定・定量を行っ
た。糖鎖構造の解析結果を表2に示す。GalT強化前
のV26株のヒトIFN−γで主要な3本鎖(GnT−
V分岐)型糖鎖は、V26/G1株では減少した。一
方、2本鎖型糖鎖が増加した。表中のGnT−V分岐鎖
付加率は、複合型糖鎖全体(表2の(1)、(2)、
(3)、(4)の合計)に占めるGnT−V分岐鎖(G
lcNAcβ1−6Manα1−6Man)を持つ糖鎖
(表2の(3)、(4)の合計)の比率を示す。V26
/G1株では、GnT−V分岐鎖付加率が減少してお
り、GnT−Vによって付加される分岐鎖(GlcNA
cβ1−6Manα1−6Man)の形成が抑制されて
いた。
【0057】
【表2】 [実施例2] GnT−IV、GnT−V両酵素高発現株
(V26/IV5株)にGalTを導入強化した細胞株に
よって生産したヒトIFN−γの糖鎖構造 (1)GalT強化株の取得 参考例3で得た細胞株(V26/IV5株)に、更にGa
lT発現ベクターを参考例2と同様、エレクトロポレー
ション法で導入した。
【0058】ただし、GalT発現ベクターと同時に、
ピューロマイシン耐性遺伝子発現ベクターpPUR(C
lontech社製)も導入した(コトランスフェクシ
ョン)。
【0059】GalT遺伝子(ヒト由来)は配列表の配
列番号3に示す配列を使用した。ベクタ−にはpCXN
2(Niwa,H.,Yamamura,K. and Miyazaki,J., Gene, 10
8, p.193-200, 1991)を使用した。GalT発現ベクタ
−pCXN2-GalTは図7に示す方法で作製した。
【0060】エレクトロポレーションによって遺伝子導
入した細胞を、10分静置後、10 mlの 10%dFCS、2
50nM MTX、200μg/ml ハイグロマイシン、300μg/ml
G418(ネオマイシン類縁体)、CHO−S−SF
MII(GIBCO BRL)培地に加えた後、適当な希釈
率でシャーレに播種し、CO2インキュベーター中、37
℃、5%CO2条件下で静置培養した。2日後、ピュー
ロマイシンを5μg/mlとなるように添加し、培養を継続
した。約2週間後、出現してきたハイグロマイシン、G
418、ピューロマイシンの3薬剤に耐性のコロニー
を、クローニングリングを用いてトリプシン処理して遊
離させ、クローン細胞として回収し、拡大培養した。ク
ローニングした細胞は、10%dFCS、250nM MTX、
200μg/ml ハイグロマイシン、G418 300μg/ml、ピ
ューロマイシン 5μg/mlを含むCHO−S−SFMII
(GIBCO BRL)培地で継代培養して150Tフラス
コスケールまで拡大培養し、実施例1と同様にGnT−
IV、GnT−V、GalTの活性測定を行った。また、
各細胞株の培地上清中に産生されるヒトIFN−γ量を
ELISA法によって測定した。GalT活性の高い株
をスクリーニングした結果、GalT強化前の株(V2
6/IV5株)に比べてGalTを強く発現する株、V/IV
/G1、V/IV/G2、V/IV/G3、V/IV/G4の4株を
取得した。また、これらの細胞株におけるGnT−IVお
よびGnT−V活性は、V26/IV5株とほとんど変わ
らなかった。 (2)ヒトIFN−γの生産培養 得られた細胞株、V/IV/G1、V/IV/G2、V/IV/G
3、V/IV/G4の4株を用い、細胞を増殖させるための
培地にハイグロマイシン200μg/ml、G418 300μg/m
l、ピューロマイシン5μg/mlを含有することを除き、参
考例1と同様の方法でそれぞれ培養を行い、培地中にヒ
トIFN−γを生産させた。 (3)ヒトIFN−γの精製単離 得られた培地上清各500 ml を用い、参考例1と同様の
方法で、それぞれ培地中よりヒトIFN−γ 0.5 mgを
精製単離した。得られたヒトIFN-γの純度、分子量
をSDS−PAGEによって確認した結果、不純タンパ
ク質は含まれず、ヒトIFN−γタンパク質としては、
大部分が分子量 24,000 (糖鎖が2ヶ所に付加されたも
の)のバンドとして検出された。なお、分子量20,000
(糖鎖が1ヶ所に付加されたもの)のバンドも少量存在
した他、分子量 17,000(糖鎖の付加しないもの)のバ
ンドがわずかに存在した。 (4)ヒトIFN−γに付加される糖鎖の構造同定 各GalT強化株から得られたヒトIFN−γについ
て、参考例1と同様の方法で、それぞれ糖鎖構造の同定
・定量を行った。糖鎖構造の解析結果を表3に示す。G
alT強化前のV26/IV5株のヒトIFN−γで主要
な構造であった4本鎖型糖鎖は、これらのGalT強化
株では減少した。一方、2本鎖型糖鎖と3本鎖(GnT
−V分岐)型糖鎖が増加した。表中のGnT−IV分岐鎖
付加率は、複合型糖鎖全体(表3の(1)、(2)、
(3)、(4)の合計)に占めるGnT−IV分岐鎖(G
lcNAcβ1−4Manα1−3Man)を持つ糖鎖
(表3の(2),(4)の合計)の比率を示す。GnT
−V分岐鎖付加率は、複合型糖鎖全体(表3の(1)、
(2)、(3)、(4)の合計)に占めるGnT−V分
岐鎖(GlcNAcβ1−6Manα1−6Man)を
持つ糖鎖(表3の(3)、(4)の合計)の比率を示
す。GalT強化株では、GnT−V分岐鎖付加率およ
びGnT−IV分岐鎖付加率が減少しており、GnT−V
によって付加される分岐鎖(GlcNAcβ1−6Ma
nα1−6Man)および、GnT−IVによって付加さ
れる分岐鎖(GlcNAcβ1−4Manα1−3Ma
n)の両方において分岐形成が抑制されていた。特に、
GnT−IV分岐鎖付加率の抑制が顕著であった。V26
/IV5株および各GalT強化株における、GnT−IV
活性に対するGalT活性の相対値と、ヒトIFN−γ
の糖鎖におけるGnT−IV分岐鎖付加率の関係を図8に
示す。細胞内のGnT−IV活性に対するGalTの相対
活性が大きいほど、GnT−IVによって付加される分岐
鎖(GlcNAcβ1−4Manα1−3Man)の形
成が抑制されていた。
【0061】
【表3】
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、糖タンパク質を細胞内
外に産生する細胞において、細胞内のβ−1,4−ガラ
クトース転移酵素遺伝子の発現量を制御し、該細胞内の
N―アセチルグルコサミニン転移酵素IV及び/または
N―アセチルグルコサミン転移酵素Vの活性に対するβ
−1,4−ガラクトース転移酵素遺伝子の相対活性を調
節することによって、産生される糖タンパク質に付加さ
れるN−結合型糖鎖において、分岐数が異なる糖鎖の含
有割合を制御することが可能である。また該細胞を培養
して、目的の糖タンパク質を細胞内または細胞外に生産
させ、該細胞または培養液から目的の糖タンパク質を回
収することによって、N−結合型糖鎖において分岐数が
異なる糖鎖の含有割合が制御または改変された糖タンパ
ク質を得ることができる。
【0063】
【配列表】 配列番号:1 配列の長さ:2226 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の特徴:GnT−V遺伝子(ヒト由来) 配列: ATG GCT CTC TTC ACT CCG TGG AAG TTG TCC TCT CAG AAG CTG GGC TTT 48 Met Ala Leu Phe Thr Pro Trp Lys Leu Ser Ser Gln Lys Leu Gly Phe 5 10 15 TTC CTG GTG ACT TTT GGC TTC ATT TGG GGT ATG ATG CTT CTG CAC TTT 96 Phe Leu Val Thr Phe Gly Phe Ile Trp Gly Met Met Leu Leu His Phe 20 25 30 ACC ATC CAG CAG CGA ACT CAG CCT GAA AGC AGC TCC ATG CTG CGC GAG 144 Thr Ile Gln Gln Arg Thr Gln Pro Glu Ser Ser Ser Met Leu Arg Glu 35 40 45 CAG ATC CTG GAC CTC AGC AAA AGG TAC ATC AAG GCA CTG GCA GAA GAA 192 Gln Ile Leu Asp Leu Ser Lys Arg Tyr Ile Lys Ala Leu Ala Glu Glu 50 55 60 AAC AGG AAT GTG GTG GAT GGG CCA TAC GCT GGA GTC ATG ACA GCT TAT 240 Asn Arg Asn Val Val Asp Gly Pro Tyr Ala Gly Val Met Thr Ala Tyr 65 70 75 80 GAT CTG AAG AAA ACC CTT GCT GTG TTA TTA GAT AAC ATT TTG CAG CGC 288 Asp Leu Lys Lys Thr Leu Ala Val Leu Leu Asp Asn Ile Leu Gln Arg 85 90 95 ATT GGC AAG TTG GAG TCG AAG GTG GAC AAT CTT GTT GTC AAT GGC ACC 336 Ile Gly Lys Leu Glu Ser Lys Val Asp Asn Leu Val Val Asn Gly Thr 100 105 110 GGA ACA AAC TCA ACC AAC TCC ACT ACA GCT GTT CCC AGC TTG GTT GCA 384 Gly Thr Asn Ser Thr Asn Ser Thr Thr Ala Val Pro Ser Leu Val Ala 115 120 125 CTT GAG AAA ATT AAT GTG GCA GAT ATC ATT AAC GGA GCT CAA GAA AAA 432 Leu Glu Lys Ile Asn Val Ala Asp Ile Ile Asn Gly Ala Gln Glu Lys 130 135 140 TGT GTA TTG CCT CCT ATG GAC GGC TAC CCT CAC TGT GAG GGA AAG ATC 480 Cys Val Leu Pro Pro Met Asp Gly Tyr Pro His Cys Glu Gly Lys Ile 145 150 155 160 AAG TGG ATG AAA GAC ATG TGG CGT TCA GAT CCC TGC TAC GCA GAC TAT 528 Lys Trp Met Lys Asp Met Trp Arg Ser Asp Pro Cys Tyr Ala Asp Tyr 165 170 175 GGA GTG GAT GGA TCC ACC TGC TCT TTT TTT ATT TAC CTC AGT GAG GTT 576 Gly Val Asp Gly Ser Thr Cys Ser Phe Phe Ile Tyr Leu Ser Glu Val 180 185 190 GAA AAT TGG TGT CCT CAT TTA CCT TGG AGA GCA AAA AAT CCC TAC GAA 624 Glu Asn Trp Cys Pro His Leu Pro Trp Arg Ala Lys Asn Pro Tyr Glu 195 200 205 GAA GCT GAT CAT AAT TCA TTG GCG GAA ATT CGT ACA GAT TTT AAT ATT 672 Glu Ala Asp His Asn Ser Leu Ala Glu Ile Arg Thr Asp Phe Asn Ile 210 215 220 CTC TAC AGT ATG ATG AAA AAG CAT GAA GAA TTC CGG TGG ATG AGA CTA 720 Leu Tyr Ser Met Met Lys Lys His Glu Glu Phe Arg Trp Met Arg Leu 225 230 235 240 CGG ATC CGG CGA ATG GCT GAC GCA TGG ATC CAA GCA ATC AAG TCC CTG 768 Arg Ile Arg Arg Met Ala Asp Ala Trp Ile Gln Ala Ile Lys Ser Leu 245 250 255 GCA GAA AAG CAG AAC CTT GAA AAG AGA AAG CGG AAG AAA GTC CTC GTT 816 Ala Glu Lys Gln Asn Leu Glu Lys Arg Lys Arg Lys Lys Val Leu Val 260 265 270 CAC CTG GGA CTC CTG ACC AAG GAA TCT GGA TTT AAG ATT GCA GAG ACA 864 His Leu Gly Leu Leu Thr Lys Glu Ser Gly Phe Lys Ile Ala Glu Thr 275 280 285 GCT TTC AGT GGT GGC CCT CTT GGT GAA TTA GTT CAA TGG AGT GAT TTA 912 Ala Phe Ser Gly Gly Pro Leu Gly Glu Leu Val Gln Trp Ser Asp Leu 290 295 300 ATT ACA TCT CTG TAC TTA CTG GGC CAT GAC ATT AGG ATT TCA GCT TCA 960 Ile Thr Ser Leu Tyr Leu Leu Gly His Asp Ile Arg Ile Ser Ala Ser 305 310 315 320 CTG GCT GAG CTC AAG GAA ATC ATG AAG AAG GTT GTA GGA AAC CGA TCT 1008 Leu Ala Glu Leu Lys Glu Ile Met Lys Lys Val Val Gly Asn Arg Ser 325 330 335 GGC TGC CCA ACT GTA GGA GAC AGA ATT GTT GAG CTC ATT TAC ATT GAT 1056 Gly Cys Pro Thr Val Gly Asp Arg Ile Val Glu Leu Ile Tyr Ile Asp 340 345 350 ATT GTA GGA CTT GCT CAA TTC AAG AAA ACT CTT GGA CCA TCC TGG GTT 1104 Ile Val Gly Leu Ala Gln Phe Lys Lys Thr Leu Gly Pro Ser Trp Val 355 360 365 CAT TAC CAG TGC ATG CTC CGA GTC CTT GAT TCA TTT GGT ACT GAA CCC 1152 His Tyr Gln Cys Met Leu Arg Val Leu Asp Ser Phe Gly Thr Glu Pro 370 375 380 GAA TTT AAT CAT GCA AAT TAT GCC CAA TCG AAA GGC CAC AAG ACC CCT 1200 Glu Phe Asn His Ala Asn Tyr Ala Gln Ser Lys Gly His Lys Thr Pro 385 390 395 400 TGG GGA AAA TGG AAT CTG AAC CCT CAG CAG TTT TAT ACC ATG TTC CCT 1248 Trp Gly Lys Trp Asn Leu Asn Pro Gln Gln Phe Tyr Thr Met Phe Pro 405 410 415 CAT ACC CCA GAC AAC AGC TTT CTG GGG TTT GTG GTT GAG CAG CAC CTG 1296 His Thr Pro Asp Asn Ser Phe Leu Gly Phe Val Val Glu Gln His Leu 420 425 430 AAC TCC AGT GAT ATC CAC CAC ATT AAT GAA ATC AAA AGG CAG AAC CAG 1344 Asn Ser Ser Asp Ile His His Ile Asn Glu Ile Lys Arg Gln Asn Gln 435 440 445 TCC CTT GTG TAT GGC AAA GTG GAT AGC TTC TGG AAG AAT AAG AAG ATC 1392 Ser Leu Val Tyr Gly Lys Val Asp Ser Phe Trp Lys Asn Lys Lys Ile 450 455 460 TAC TTG GAC ATT ATT CAC ACA TAC ATG GAA GTG CAT GCA ACT GTT TAT 1440 Tyr Leu Asp Ile Ile His Thr Tyr Met Glu Val His Ala Thr Val Tyr 465 470 475 480 GGC TCC AGC ACA AAG AAT ATT CCC AGT TAC GTG AAA AAC CAT GGT ATC 1488 Gly Ser Ser Thr Lys Asn Ile Pro Ser Tyr Val Lys Asn His Gly Ile 485 490 495 CTC AGT GGA CGG GAC CTG CAG TTC CTT CTT CGA GAA ACC AAG TTG TTT 1536 Leu Ser Gly Arg Asp Leu Gln Phe Leu Leu Arg Glu Thr Lys Leu Phe 500 505 510 GTT GGA CTT GGG TTC CCT TAC GAG GGC CCA GCT CCC CTG GAA GCT ATC 1584 Val Gly Leu Gly Phe Pro Tyr Glu Gly Pro Ala Pro Leu Glu Ala Ile 515 520 525 GCA AAT GGA TGT GCT TTT CTG AAT CCC AAG TTC AAC CCA CCC AAA AGC 1632 Ala Asn Gly Cys Ala Phe Leu Asn Pro Lys Phe Asn Pro Pro Lys Ser 530 535 540 AGC AAA AAC ACA GAC TTT TTC ATT GGC AAG CCA ACT CTG AGA GAG CTG 1680 Ser Lys Asn Thr Asp Phe Phe Ile Gly Lys Pro Thr Leu Arg Glu Leu 545 550 555 560 ACA TCC CAG CAT CCT TAC GCT GAA GTT TTC ATC GGG CGG CCA CAT GTG 1728 Thr Ser Gln His Pro Tyr Ala Glu Val Phe Ile Gly Arg Pro His Val 565 570 575 TGG ACT GTT GAC CTC AAC AAT CAG GAG GAA GTA GAG GAT GCA GTG AAA 1776 Trp Thr Val Asp Leu Asn Asn Gln Glu Glu Val Glu Asp Ala Val Lys 580 585 590 GCA ATT TTA AAT CAG AAG ATT GAG CCA TAC ATG CCA TAT GAA TTT ACG 1824 Ala Ile Leu Asn Gln Lys Ile Glu Pro Tyr Met Pro Tyr Glu Phe Thr 595 600 605 TGC GAG GGG ATG CTA CAG AGA ATC AAT GCT TTC ATT GAA AAA CAG GAC 1872 Cys Glu Gly Met Leu Gln Arg Ile Asn Ala Phe Ile Glu Lys Gln Asp 610 615 620 TTC TGC CAT GGG CAA GTG ATG TGG CCA CCC CTC AGC GCC CTA CAG GTC 1920 Phe Cys His Gly Gln Val Met Trp Pro Pro Leu Ser Ala Leu Gln Val 625 630 635 640 AAG CTT GCT GAG CCC GGG CAG TCC TGC AAG CAG GTG TGC CAG GAG AGC 1968 Lys Leu Ala Glu Pro Gly Gln Ser Cys Lys Gln Val Cys Gln Glu Ser 645 650 655 CAG CTC ATC TGC GAG CCT TCT TTC TTC CAG CAC CTC AAC AAG GAC AAG 2016 Gln Leu Ile Cys Glu Pro Ser Phe Phe Gln His Leu Asn Lys Asp Lys 660 665 670 GAC ATG CTG AAG TAC AAG GTG ACC TGC CAA AGC TCA GAG CTG GCC AAG 2064 Asp Met Leu Lys Tyr Lys Val Thr Cys Gln Ser Ser Glu Leu Ala Lys 675 680 685 GAC ATC CTG GTG CCC TCC TTT GAC CCT AAG AAT AAG CAC TGT GTG TTT 2112 Asp Ile Leu Val Pro Ser Phe Asp Pro Lys Asn Lys His Cys Val Phe 690 695 700 CAA GGT GAC CTC CTG CTC TTC AGC TGT GCA GGC GCC CAC CCC AGG CAC 2160 Gln Gly Asp Leu Leu Leu Phe Ser Cys Ala Gly Ala His Pro Arg His 705 710 715 720 CAGA GG GTC TGC CCC TGC CGG GAC TTC ATC AAG GGC CAG GTG GCT CTC 2208 Gln Arg Val Cys Pro Cys Arg Asp Phe Ile Lys Gly Gln Val Ala Leu 725 730 735 TGC AAA GAC TGC CTA TAG 2226 Cys Lys Asp Cys Leu *** 740 配列番号:2 配列の長さ:1608 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の特徴:GnT−IV遺伝子(ウシ由来) 配列: ATG AGG CTC CGA AAT GGA ACT GTA GCC ACT GTT TTA GCA TTT ATC ACC 48 Met Arg Leu Arg Asn Gly Thr Val Ala Thr Val Leu Ala Phe Ile Thr 5 10 15 TCG TTC CTC ACT TTA TCT TGG TAT ACA ACA TGG CAA AAT GGG AAA GAA 96 Ser Phe Leu Thr Leu Ser Trp Tyr Thr Thr Trp Gln Asn Gly Lys Glu 20 25 30 AAA GTG ATT GCT TAT CAA CGA GAA TTT CTT GCT CTG AAA GAA CGT CTC 144 Lys Val Ile Ala Tyr Gln Arg Glu Phe Leu Ala Leu Lys Glu Arg Leu 35 40 45 CGA ATA GCT GAA CAT CGA ATC TCT CAG CGC TCT TCT GAG CTC AGT GCC 192 Arg Ile Ala Glu His Arg Ile Ser Gln Arg Ser Ser Glu Leu Ser Ala 50 55 60 ATT GTA CAG CAA TTC AAG CGT GTA GAA GCA GAA ACA AAC AGG AGT AAG 240 Ile Val Gln Gln Phe Lys Arg Val Glu Ala Glu Thr Asn Arg Ser Lys 65 70 75 80 GAT CCA GTG AAT AAA TTT TCA GAT GAT ACC CTA AAG ATA CTA AAG GAG 288 Asp Pro Val Asn Lys Phe Ser Asp Asp Thr Leu Lys Ile Leu Lys Glu 85 90 95 TTA ACA AGC AAA AAG TCT CTT CAA GTG CCA AGT ATT TAT TAT CAT TTG 336 Leu Thr Ser Lys Lys Ser Leu Gln Val Pro Ser Ile Tyr Tyr His Leu 100 105 110 CCT CAT TTA TTG CAA AAT GAA GGA AGC CTT CAA CCT GCC GTG CAG ATC 384 Pro His Leu Leu Gln Asn Glu Gly Ser Leu Gln Pro Ala Val Gln Ile 115 120 125 GGA AAT GGA CGA ACA GGA GTT TCA ATA GTA ATG GGA ATT CCT ACA GTG 432 Gly Asn Gly Arg Thr Gly Val Ser Ile Val Met Gly Ile Pro Thr Val 130 135 140 AAG AGA GAA GTT AAA TCT TAC CTC ATA GAA ACT CTT CAT TCC CTT ATT 480 Lys Arg Glu Val Lys Ser Tyr Leu Ile Glu Thr Leu His Ser Leu Ile 145 150 155 160 GAT AAT CTG TAT CCT GAA GAG AAG TTG GAC TGT GTT ATA GTA GTC TTC 528 Asp Asn Leu Tyr Pro Glu Glu Lys Leu Asp Cys Val Ile Val Val Phe 165 170 175 ATA GGA GAG ACA GAT ACT GAT TAT GTA AAT GGT GTT GTA GCC AAC CTG 576 Ile Gly Glu Thr Asp Thr Asp Tyr Val Asn Gly Val Val Ala Asn Leu 180 185 190 GAG AAA GAA TTT TCT AAA GAA ATC AGT TCT GGC TTG GTG GAA ATA ATA 624 Glu Lys Glu Phe Ser Lys Glu Ile Ser Ser Gly Leu Val Glu Ile Ile 195 200 205 TCA CCT CCT GAA AGC TAT TAT CCT GAC CTG ACG AAC TTA AAG GAG ACA 672 Ser Pro Pro Glu Ser Tyr Tyr Pro Asp Leu Thr Asn Leu Lys Glu Thr 210 215 220 TTT GGA GAT TCT AAA GAA AGA GTA AGA TGG AGA ACA AAG CAA AAC CTA 720 Phe Gly Asp Ser Lys Glu Arg Val Arg Trp Arg Thr Lys Gln Asn Leu 225 230 235 240 GAT TAT TGT TTT CTA ATG ATG TAT GCT CAG GAA AAA GGC ACA TAC TAC 768 Asp Tyr Cys Phe Leu Met Met Tyr Ala Gln Glu Lys Gly Thr Tyr Tyr 245 250 255 ATC CAG CTT GAA GAT GAT ATT ATT GTC AAA CAG AAT TAC TTT AAC ACC 816 Ile Gln Leu Glu Asp Asp Ile Ile Val Lys Gln Asn Tyr Phe Asn Thr 260 265 270 ATA AAG AAT TTT GCA CTT CAA CTT TCT TCT GAG GAA TGG ATG ATA CTT 864 Ile Lys Asn Phe Ala Leu Gln Leu Ser Ser Glu Glu Trp Met Ile Leu 275 280 285 GAG TTC TCC CAG CTG GGA TTC ATT GGT AAA ATG TTT CAA GCA CCT GAC 912 Glu Phe Ser Gln Leu Gly Phe Ile Gly Lys Met Phe Gln Ala Pro Asp 290 295 300 CTC ACT CTG ATT GTG GAA TTC ATA TTT ATG TTC TAT AAG GAG AAG CCC 960 Leu Thr Leu Ile Val Glu Phe Ile Phe Met Phe Tyr Lys Glu Lys Pro 305 310 315 320 ATC GAC TGG CTC TTG GAC CAT ATT CTG TGG GTC AAA GTC TGC AAC CCG 1008 Ile Asp Trp Leu Leu Asp His Ile Leu Trp Val Lys Val Cys Asn Pro 325 330 335 GAA AAA GAT GCA AAA CAC TGT GAT CGA CAG AAG GCA AAT CTG CGA ATT 1056 Glu Lys Asp Ala Lys His Cys Asp Arg Gln Lys Ala Asn Leu Arg Ile 340 345 350 CGT TTC AGA CCG TCC CTT TTC CAA CAC GTT GGT CTG CAT TCT TCA CTC 1104 Arg Phe Arg Pro Ser Leu Phe Gln His Val Gly Leu His Ser Ser Leu 355 360 365 ACA GGA AAA ATT CAG AAA CTC ACG GAT AAA GAT TAC ATG AAA CCA TTA 1152 Thr Gly Lys Ile Gln Lys Leu Thr Asp Lys Asp Tyr Met Lys Pro Leu 370 375 380 CTG CTC AAA ATC CAT GTA AAC CCC CCT GCA GAG GTA TCT ACT TCT TTG 1200 Leu Leu Lys Ile His Val Asn Pro Pro Ala Glu Val Ser Thr Ser Leu 385 390 395 400 AAG GTC TAC CAA GGT CAT ACA CTG GAG AAA ACT TAC ATG GGT GAG GAC 1248 Lys Val Tyr Gln Gly His Thr Leu Glu Lys Thr Tyr Met Gly Glu Asp 405 410 415 TTC TTC TGG GCT ATA ACC CCA GTA GCT GGA GAC TAC ATC CTA TTT AAA 1296 Phe Phe Trp Ala Ile Thr Pro Val Ala Gly Asp Tyr Ile Leu Phe Lys 420 425 430 TTC GAC AAG CCA GTC AAT GTG GAA AGT TAT TTG TTC CAT AGT GGC AAC 1344 Phe Asp Lys Pro Val Asn Val Glu Ser Tyr Leu Phe His Ser Gly Asn 435 440 445 CAG GAT CAT CCA GGG GAT ATT CTG CTC AAC ACA ACG GTG GAA GTT CTG 1392 Gln Asp His Pro Gly Asp Ile Leu Leu Asn Thr Thr Val Glu Val Leu 450 455 460 CCT TTG AAG AGT GAA GGT TTG GAC ATC AGC AAA GAA ACC AAA GAC AAA 1440 Pro Leu Lys Ser Glu Gly Leu Asp Ile Ser Lys Glu Thr Lys Asp Lys 465 470 475 480 CGA TTA GAA GAT GGC TAT TTC AGA ATA GGG AAA TTT GAA AAC GGT GTT 1488 Arg Leu Glu Asp Gly Tyr Phe Arg Ile Gly Lys Phe Glu Asn Gly Val 485 490 495 GCG GAA GGG ATG GTG GAT CCC AGC CTA AAC CCC ATT TCG GCC TTC CGA 1536 Ala Glu Gly Met Val Asp Pro Ser Leu Asn Pro Ile Ser Ala Phe Arg 500 505 510 CTT TCA GTT ATT CAG AAT TCT GCT GTT TGG GCC ATT CTT AAT GAG ATC 1584 Leu Ser Val Ile Gln Asn Ser Ala Val Trp Ala Ile Leu Asn Glu Ile 515 520 525 CAT ATT AAA AAA GTC ACA AAC TGA 1608 His Ile Lys Lys Val Thr Asn *** 530 535 配列番号:3 配列の長さ:1203 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の特徴:GalT遺伝子(ヒト由来) 配列: ATG AGG CTT CGG GAG CCG CTC CTG AGC GGC GCC GCG ATG CCA GGC GCG 48 Met Arg Leu Arg Glu Pro Leu Leu Ser Gly Ala Ala Met Pro Gly Ala 5 10 15 TCC CTA CAG CGG GCC TGC CGC CTG CTC GTG GCC GTC TGC GCT CTG CAC 96 Ser Leu Gln Arg Ala Cys Arg Leu Leu Val Ala Val Cys Ala Leu His 20 25 30 CTT GGC GTC ACC CTC GTT TAC TAC CTG GCT GGC CGC GAC CTG AGC CGC 144 Leu Gly Val Thr Leu Val Tyr Tyr Leu Ala Gly Arg Asp Leu Ser Arg 35 40 45 CTG CCC CAA CTG GTC GGA GTC TCC ACA CCG CTG CAG GGC GGC TCG AAC 192 Leu Pro Gln Leu Val Gly Val Ser Thr Pro Leu Gln Gly Gly Ser Asn 50 55 60 AGT GCC GCC GCC ATC GGG CAG TCC TCC GGG GAG CTC CGG ACC GGA GGG 240 Ser Ala Ala Ala Ile Gly Gln Ser Ser Gly Glu Leu Arg Thr Gly Gly 65 70 75 80 GCC CGG CCG CCG CCT CCT CTA GGC GCC TCC TCC CAG CCG CGC CCG GGT 288 Ala Arg Pro Pro Pro Pro Leu Gly Ala Ser Ser Gln Pro Arg Pro Gly 85 90 95 GGC GAC TCC AGC CCA GTC GTG GAT TCT GGC CCT GGC CCC GCT AGC AAC 336 Gly Asp Ser Ser Pro Val Val Asp Ser Gly Pro Gly Pro Ala Ser Asn 100 105 110 TTG ACC TCG GTC CCA GTG CCC CAC ACC ACC GCA CTG TCG CTG CCC GCC 384 Leu Thr Ser Val Pro Val Pro His Thr Thr Ala Leu Ser Leu Pro Ala 115 120 125 TGC CCT GAG GAG TCC CCG CTG CTT GTG GGC CCC ATG CTG ATT GAG TTT 432 Cys Pro Glu Glu Ser Pro Leu Leu Val Gly Pro Met Leu Ile Glu Phe 130 135 140 AAC ATG CCT GTG GAC CTG GAG CTC GTG GCA AAG CAG AAC CCA AAT GTG 480 Asn Met Pro Val Asp Leu Glu Leu Val Ala Lys Gln Asn Pro Asn Val 145 150 155 160 AAG ATG GGC GGC CGC TAT GCC CCC AGG GAC TGC GTC TCT CCT CAC AAA 528 Lys Met Gly Gly Arg Tyr Ala Pro Arg Asp Cys Val Ser Pro His Lys 165 170 175 GTG GCC ATC ATC ATT CCA TTC CGC AAC CGG CAG GAG CAC CTC AAG TAC 576 Val Ala Ile Ile Ile Pro Phe Arg Asn Arg Gln Glu His Leu Lys Tyr 180 185 190 TGG CTA TAT TAT TTG CAC CCA GTC CTG CAG CGC CAG CAG CTG GAC TAT 624 Trp Leu Tyr Tyr Leu His Pro Val Leu Gln Arg Gln Gln Leu Asp Tyr 195 200 205 GGC ATC TAT GGC ATC TAT GTT ATC AAC CAG GCG GGA GAC ACT ATA TTC 672 Gly Ile Tyr Gly Ile Tyr Val Ile Asn Gln Ala Gly Asp Thr Ile Phe 210 215 220 AAT CGT GCT AAG CTC CTC AAT GTT GGC TTT CAA GAA GCC TTG AAG GAC 720 Asn Arg Ala Lys Leu Leu Asn Val Gly Phe Gln Glu Ala Leu Lys Asp 225 230 235 240 TAT GAC TAC ACC TGC TTT GTG TTT AGT GAC GTG GAC CTC ATC CCA ATG 768 Tyr Asp Tyr Thr Cys Phe Val Phe Ser Asp Val Asp Leu Ile Pro Met 245 250 255 AAT GAC CAT AAT GCG TAC AGG TGT TTT TCA CAG CCA CGG CAC ATT TCC 816 Asn Asp His Asn Ala Tyr Arg Cys Phe Ser Gln Pro Arg His Ile Ser 260 265 270 GTT GCA ATG GAT AAG TTT GGA TTC AGC CTA CCT TAT GTT CAG TAT TTT 864 Val Ala Met Asp Lys Phe Gly Phe Ser Leu Pro Tyr Val Gln Tyr Phe 275 280 285 GGA GGT GTC TCT GCT CTA AGT AAA CAA CAG TTT CTA ACC ATC AAT GGA 912 Gly Gly Val Ser Ala Leu Ser Lys Gln Gln Phe Leu Thr Ile Asn Gly 290 295 300 TTT CCT AAT AAT TAT TGG GGC TGG GGA GGA GAA GAT GAT GAC ATT TTT 960 Phe Pro Asn Asn Tyr Trp Gly Trp Gly Gly Glu Asp Asp Asp Ile Phe 305 310 315 320 AAC AGA TTA GTT TTT AGA GGC ATG TCT ATA TCT CGC CCA AAT GCT GTG 1008 Asn Arg Leu Val Phe Arg Gly Met Ser Ile Ser Arg Pro Asn Ala Val 325 330 335 GTC GGG AGG TGT CGC ATG ATC CGC CAC TCA AGA GAC AAA AAA AAT GAA 1056 Val Gly Arg Cys Arg Met Ile Arg His Ser Arg Asp Lys Lys Asn Glu 340 345 350 CCC AAT CCT CAG AGG TTT GAC CGA ATT GCA CAC ACA AAG GAG ACA ATG 1104 Pro Asn Pro Gln Arg Phe Asp Arg Ile Ala His Thr Lys Glu Thr Met 355 360 365 CTC TCT GAT GGT TTG AAC TCA CTC ACC TAC CAG GTG CTG GAT GTA CAG 1152 Leu Ser Asp Gly Leu Asn Ser Leu Thr Tyr Gln Val Leu Asp Val Gln 370 375 380 AGA TAC CCA TTG TAT ACC CAA ATC ACA GTG GAC ATC GGG ACA CCG AGC 1200 Arg Tyr Pro Leu Tyr Thr Gln Ile Thr Val Asp Ile Gly Thr Pro Ser 385 390 395 400 TAG 1203 ***
【図面の簡単な説明】
【図1】N−結合型糖鎖の分岐構造形成過程において、
GnT−IV,GnT−Vが触媒する反応を示す図であ
る。
【図2】GalTの触媒する反応を示す図である。
【図3】アガラクトシルバイアンテナ糖鎖を示す図であ
る。
【図4】プラスミド pCXH1の作製方法を示す図で
ある。
【図5】GnT−V発現用プラスミド pCXH1−h
GnT−Vの作製方法を示す図である。
【図6】GnT−IV発現用プラスミド pCXN2−b
GnT−IVの作製方法を示す図である 。
【図7】GalT発現用プラスミド pCXN2−Ga
lTの作製方法を示す図である。
【図8】V26/IV5株および各GalT強化株におけ
る、GnT−IV活性に対するGalT活性の相対値と、
ヒトIFN−γの糖鎖におけるGnT−IV分岐鎖付加率
の関係を示す図である。
【図9】分岐数の異なる糖鎖の構造の代表例を示す図で
ある。
【符号の説明】
GlcNAc:N−アセチル−D−グルコサミン Man:D−マンノース Gal:D−ガラクトース Fuc:L−フコース UDP:ウリジン二リン酸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 9/10 C12N 5/00 B (C12P 21/02 C12R 1:91) (72)発明者 谷川 峰子 千葉県茂原市東郷1144番地 三井化学株式 会社内 (72)発明者 槇野 正 千葉県茂原市東郷1144番地 三井化学株式 会社内 (72)発明者 箕輪 真理 神奈川県横浜市金沢区福浦1−13−5 麒 麟麦酒株式会社基盤技術研究所内 (72)発明者 竹内 誠 神奈川県横浜市金沢区福浦1−13−5 麒 麟麦酒株式会社基盤技術研究所内 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA25 BA80 CA04 DA02 DA03 EA04 GA11 4B050 CC03 DD11 LL05 4B064 AG01 AG12 CA05 CA10 CA19 CC24 DA01 4B065 AA57X AA87X AA90X AA90Y AA93X AA93Y AB01 AC14 BA02 CA26 CA44 4C084 AA01 AA06 AA07 BA34 BA44 DA24

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 真核細胞により産生される糖タンパク質
    の有するN―結合型糖鎖の組成中の分岐数が異なる糖鎖
    の含有割合の制御方法であって、 N−結合型糖鎖を有する糖タンパク質を産生し得る真核
    細胞におけるβ−1,4−ガラクトース転移酵素遺伝子
    の発現量を制御し、β−1,4−N−アセチルグルコサ
    ミン転移酵素IV及びβ−1,6−N−アセチルグルコ
    サミン転移酵素Vの少なくとも一方の活性に対するβ−
    1,4−ガラクトース転移酵素の相対活性を調節するこ
    とによって、該真核細胞から産生される糖タンパク質に
    付加されるN−結合型糖鎖の組成中における分岐数が異
    なる糖鎖の含有割合を制御することを特徴とする制御方
    法。
  2. 【請求項2】 前記真核細胞でのβ−1,4−ガラクト
    ース転移酵素遺伝子の発現量を増加させ、β−1,4−
    N−アセチルグルコサミン転移酵素IV及びβ−1,6
    −N−アセチルグルコサミン転移酵素Vの少なくとも一
    方の活性に対するβ−1,4−ガラクトース転移酵素の
    相対活性を増加させることによって、該真核細胞により
    産生される糖タンパク質に付加されるN−結合型糖鎖の
    組成中における分岐数の多い糖鎖の含有割合を減少させ
    る請求項1に記載の制御方法。
  3. 【請求項3】 前記真核細胞でのβ−1,4−ガラクト
    ース転移酵素遺伝子の発現量を減少させ、β−1,4−
    N−アセチルグルコサミン転移酵素IV及びβ−1,6
    −N−アセチルグルコサミン転移酵素Vの少なくとも一
    方の活性に対するβ−1,4−ガラクトース転移酵素の
    相対活性を減少させることによって、該真核細胞により
    産生される糖タンパク質に付加されるN−結合型糖鎖の
    組成中における分岐数の多い糖鎖の含有割合を増加させ
    る請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記糖タンパク質がインターフェロン−
    γである請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記真核細胞がチャイニーズハムスター
    卵巣細胞株に由来するものである請求項1〜4のいずれ
    かに記載の方法。
  6. 【請求項6】 真核細胞にN−結合型糖鎖を持つ糖タン
    パク質を産生させることによる糖タンパク質の製造方法
    であって、 (a)N−結合型糖鎖を有する糖タンパク質を産生し得
    る真核細胞におけるβ−1,4−ガラクトース転移酵素
    遺伝子の発現量を制御して、β−1,4−N−アセチル
    グルコサミン転移酵素IV及びβ−1,6−N−アセチ
    ルグルコサミン転移酵素Vの少なくとも一方の活性に対
    するβ−1,4−ガラクトース転移酵素の相対活性を調
    節することによって、該真核細胞が産生する糖タンパク
    質に付加されるN−結合型糖鎖の組成中における分岐数
    が異なる糖鎖の含有割合を制御する工程と、 (b)該真核細胞を培地で培養して、N−結合型糖鎖の
    組成中における分岐数が異なる糖鎖の含有割合が制御さ
    れた糖タンパク質を該真核細胞の内部または該培地中に
    生産させる工程と、 (c)該真核細胞の内部または該培地に産生された糖タ
    ンパク質を回収する工程とを有することを特徴とする糖
    タンパク質の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記真核細胞でのβ−1,4−ガラクト
    ース転移酵素遺伝子の発現量を増加させ、β−1,4−
    N−アセチルグルコサミン転移酵素IV及びβ−1,6
    −N−アセチルグルコサミン転移酵素Vの少なくとも一
    方の活性に対するβ−1,4−ガラクトース転移酵素の
    相対活性を増加させることによって、該真核細胞により
    産生される糖タンパク質に付加されるN−結合型糖鎖の
    組成中における分岐数の多い糖鎖の含有割合を減少させ
    る請求項6に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記真核細胞でのβ−1,4−ガラクト
    ース転移酵素遺伝子の発現量を減少させ、β−1,4−
    N−アセチルグルコサミン転移酵素IV及びβ−1,6
    −N−アセチルグルコサミン転移酵素Vの少なくとも一
    方の活性に対するβ−1,4−ガラクトース転移酵素の
    相対活性を減少させることによって、該真核細胞により
    産生される糖タンパク質に付加されるN−結合型糖鎖の
    組成中における分岐数の多い糖鎖の含有割合を増加させ
    る請求項6に記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記糖タンパク質がインターフェロン−
    γである請求項6〜8のいずれかに記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記真核細胞がチャイニーズハムスタ
    ー卵巣細胞株に由来するものである請求項6〜9のいず
    れかに記載の方法。
  11. 【請求項11】 N−結合型糖鎖における分岐数の異な
    る糖鎖の含有割合が改変されている糖タンパク質。
  12. 【請求項12】 請求項6〜10のいずれかに記載の製
    造方法により得られた請求項11に記載の糖タンパク
    質。
  13. 【請求項13】 請求項11または12に記載の糖タン
    パク質を有効成分として含有することを特徴とする医薬
    製剤。
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