JP2001029095A - N−アセチルラクトサミン繰り返し構造の含有割合を減少させる方法 - Google Patents

N−アセチルラクトサミン繰り返し構造の含有割合を減少させる方法

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JP2001029095A
JP2001029095A JP11210039A JP21003999A JP2001029095A JP 2001029095 A JP2001029095 A JP 2001029095A JP 11210039 A JP11210039 A JP 11210039A JP 21003999 A JP21003999 A JP 21003999A JP 2001029095 A JP2001029095 A JP 2001029095A
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sugar chain
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Reiko Abe
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Tomoko Yokomatsu
知子 横松
Kazuhiro Fukuda
一弘 福田
Naoko Kono
直子 河野
Mineko Tanigawa
峰子 谷川
Tadashi Makino
正 槇野
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 糖タンパク質または糖脂質を産生し得る細胞
において、該タンパク質または脂質に付加される糖鎖に
おけるN−アセチルラクトサミン繰り返し構造の生成お
よび伸長を抑制する方法と、真核細胞かを用いて、糖鎖
におけるN−アセチルラクトサミン繰り返し構造含有割
合が減少し、糖鎖側鎖の均一性がより向上した糖タンパ
ク質または糖脂質を製造する方法を提供する。 【解決手段】 糖鎖を有する糖タンパク質または糖脂質
を産生し得る細胞のシアル酸転移酵素の遺伝子の発現量
を増加させ、該細胞内でのβ−1,3−N−アセチルグ
ルコサミン転移酵素活性に対するシアル酸転移酵素の相
対活性を上昇させることによって、該細胞から産生され
るタンパク質または脂質に付加される糖鎖におけるN−
アセチルラクトサミン繰り返し構造の生成および伸長を
抑制し、糖タンパク質または糖脂質の有する糖鎖におけ
るN−アセチルラクトサミン繰り返し構造含有割合を減
少させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、糖タンパク質また
は糖脂質の有する糖鎖におけるN−アセチルラクトサミ
ン繰り返し構造の含有割合を減少させる技術に関する。
詳しくは、糖タンパク質または糖脂質を産生し得る細胞
において、シアル酸転移酵素遺伝子の発現量を制御し、
シアル酸転移酵素(SiaT)の遺伝子の発現量を増加
させ、β−1,3−N−アセチルグルコサミン転移酵素
(iGnT)活性に対するSiaTの相対活性を上昇さ
せることによって、産生されるタンパク質または脂質に
付加される糖鎖におけるN−アセチルラクトサミン繰り
返し構造の含有割合が減少した糖タンパク質または糖脂
質を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】1980年代からの分子生物学の進展に
より、遺伝子工学を応用して、本来生体内に微量しか存
在しないタンパク質を、組み換え体大腸菌を用いて大量
に得ることが可能になった。この技術により、ヒト体内
に存在する生理活性物質のいくつかがバイオ医薬品とし
て上市されている。しかし、大腸菌を宿主として生産し
たタンパク質の中には生理活性を示さないものがあるこ
とがわかっている。このような不都合の原因は、タンパ
ク質に付加される糖鎖部分にある。タンパク質に付加さ
れる糖鎖の生理的役割は完全には解明されていないが、
糖鎖生物学の急速な進歩により糖鎖の役割が徐々に解明
されつつあり、タンパク質または脂質に付加される糖鎖
の重要性がますます注目を浴びている。
【0003】糖タンパク質の有する糖鎖の機能について
は、エリスロポエチンにおいて、付加される糖鎖の構造
と薬効の関係が知られている。すなわち、分岐度の高い
特定の構造の糖鎖が付加されたエリスロポエチンが高い
薬効を示す(Takeuchi,M.andKobata,A.,Glycobiology vo
l.1,337-346(1991))。タンパク質または脂質に付加され
る糖鎖の構造を制御、改変し、糖鎖の機能を積極的に応
用することができれば、医薬品等への応用が期待でき、
産業上有用な技術になることが予想される。
【0004】遺伝子工学を利用してタンパク質または脂
質を生産するにあたって、初期に用いられていたような
大腸菌などの原核生物を宿主とした場合は、糖鎖が付加
されることはない。また、酵母や昆虫細胞等のヒトと遠
縁の真核生物を宿主とした場合は、付加される糖鎖が哺
乳動物等の動物細胞のものとは大きく異なることが知ら
れている。そのため、現在は、ヒト由来の血中酵素類、
サイトカイン類などの糖鎖の付加が機能発現に必要な糖
タンパク質の生産では、宿主としては哺乳動物の細胞が
多く利用されている。また、大量かつ安価に糖タンパク
質を生産する方法としては遺伝子組み換え植物やトラン
スジェニック動物を利用する方法も知られている。
【0005】真核細胞内でのタンパク質および脂質への
糖鎖の付加や修飾は、DNAあるいはタンパク質の生合
成の場合とは異なり、鋳型によらないpost−tra
nslational modification(翻
訳後修飾)である。糖鎖の生合成には、小胞体およびゴ
ルジ装置と呼ばれる細胞内小器官に局在する数多くの糖
鎖生合成関連酵素(特定の単糖とその結合様式に特異的
な糖加水分解酵素および糖転移酵素)が介在し、複雑な
生合成経路に従って単糖が順次切り取られたり付加され
たりしながら、糖鎖が伸長する。そのため、1種のタン
パク質または脂質においても1分子ごとに微妙に異なっ
た構造を有する糖鎖が付加しているのが通常である。
【0006】糖鎖側鎖に形成されるN−アセチルラクト
サミン繰り返し構造は、糖タンパク質または脂質糖鎖に
おいて最も多様性を生じさせる構造の1つである。N−
アセチルラクトサミン繰り返し構造とは、N−アセチル
グルコサミンとガラクトースからなるN−アセチルラク
トサミンが繰り返し付加された構造である。この側鎖構
造の生成の第1段階は、糖鎖末端のガラクトース残基の
C3位にβ−1,3−N−アセチルグルコサミン転移酵
素i(iGnT)が作用しN−アセチルグルコサミンを
付加することである。次いでβ−1,4−ガラクトース
転移酵素(β−1,4−GalT)が作用してガラクト
ースを付加し、これが繰り返されることで伸長する。こ
の繰り返しに制限はない(図1)。また、N−アセチル
ラクトサミン繰り返し構造の末端には、通常、シアル酸
転移酵素(SiaT)の作用によってシアル酸が付加さ
れている。SiaTのうち、CMP−sialic a
cid:Galβ1−4(3)GlcNAc−Rα−
2,3−Sialyltransferase(α−
2,3−(N)−SiaT)はN−アセチルグルコサミ
ンにβ−1,3−結合またはβ−1,4−結合したガラ
クトース残基のC3位にシアル酸を付加する糖転移酵素
であり、CMP−sialic acid:Galβ1
−4GlcNAc−Rα−2,6−Sialyltra
Nsferase(α−2,6−(N)−SiaT)は
N−アセチルグルコサミンにβ−1,4−結合したガラ
クトース残基のC6位にシアル酸を付加する糖転移酵素
である(図2)。
【0007】N−アセチルラクトサミン繰り返し構造
は、例えば、糖タンパク質糖鎖におけるN−結合型糖鎖
ではβ−1,6−N−アセチルグルコサミン転移酵素V
(GnT−V)、O−結合型糖鎖ではβ−1,6−N−
アセチルグルコサミン転移酵素I(IGnT)の発現量
が増加した細胞が産生する糖タンパク質において、生成
および伸長が促進されることが知られている(Yousefi,
S.,Higgins,E.,Daoling,Z.,Pollex-Kruger,A.,Hindsgau
l,O.,Dennis,J.W. J.Biol.Chem.266,1772-1782(199
1))。従って、後述の参考例で示すように、動物細胞を
用いて糖タンパク質を産生させる際に、GnT−V遺伝
子を細胞に導入することによって産生される糖タンパク
質におけるN−結合型糖鎖の分岐構造を改変しようとす
る場合には、糖鎖側鎖にN−アセチルラクトサミン繰り
返し構造含有割合が増加し、組み換え糖タンパク質とし
ての均一性が低下することになる。従って、N−アセチ
ルラクトサミン繰り返し構造を制御することによって個
々のタンパク質または脂質分子に付加した糖鎖の型を均
一化することは、組み換えタンパク質または脂質として
の均一性、すなわち、品質を向上させることにつなが
り、産業上高い有用性がある。
【0008】糖鎖構造を制御するための方法としては、
糖転移酵素遺伝子を遺伝子工学的手法で細胞に導入し、
細胞内の糖転移酵素活性を変化させる方法が挙げられ
る。このような方法は、近年、糖鎖生物学の分野におい
て、各種糖転移酵素の遺伝子が次々とクローニングされ
たことによって可能となった。遺伝子がクローニングさ
れた糖転移酵素としては、例えば、GnT−V(特開平
6-197756)、α−2,3−(N)−SiaT(Kono,M.,
Ohyama,Y.,Lee,Y.-C.,Hamamoto,T.,Kojima,N.,Tsuji,
S.,Glycobiology Vol.7、469-479(1997))、α−2,6
−(N)−SiaT(Weinstein,J.,Lee,E.U., McEnte
e,K.,Lai,P.H. and Paulson,J.C.,J.Biol.Chem.263,177
35-17743(1987))、iGnT(Sasaki,K.,Miura,.K.K.,
Ujita,M.,Angata,K.,Nakagawa,S.,Sekine,S.,Nisi,T.an
d Fukuda,M.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.94,14294-1429
9(1997))等を挙げることができる。しかし、このよう
な遺伝子工学的手法によってもN−アセチルラクトサミ
ン繰り返し構造の制御を自由にできる技術は未だ確立さ
れていない。
【0009】N−アセチルラクトサミン繰り返し構造
は、糖鎖生合成の後期過程で形成されることから、N−
アセチルラクトサミン繰り返し構造の制御を行うために
は、糖鎖生合成の後期過程を制御することが重要であ
る。糖鎖生合成後期にはシアル酸の付加も行われ、上述
のように、N−アセチルラクトサミン繰り返し構造の末
端には、通常、シアル酸が付加されている。シアル酸の
付加と、N−アセチルラクトサミン繰り返し構造の関係
についての知見として、シアル酸付加能を欠損している
Lec2 CHO細胞では、欠損していない元細胞株に
比べてN−アセチルラクトサミン生成に関与するiGn
Tとβ−1,4−GalTの活性はほとんど変化がない
にもかかわらず、N−アセチルラクトサミン繰り返し構
造がより伸長した糖タンパク質が得られることが示され
ている(Hummel,M.,Hedrich,H,C.andHasilik,A.,Eur.J.
Biochem.245,428-433(1997))。これは、本願で示す細
胞内におけるSiaT活性を上昇させ、シアル酸付加能
を上昇させた場合の逆の現象に当たるが、一方では、同
様な実験において、シアル酸の付加とN−アセチルラク
トサミン繰り返しとの間には関係がなかったという報告
(Smith,D.F., Larsen,R.D., Mattox,S., Lowe,J.B. an
d Cummings,R.D., J.Biol.Chem.265,6225-6234(1990))
もあることから、N−アセチルラクトサミンの伸長には
他の要因の影響もあることが考えられた。また、本願と
同様にシアル酸付加能を上昇させた場合に起る現象につ
いての知見はない。従って、シアル酸の付加と、N−ア
セチルラクトサミン繰り返し構造の関係についての明確
な知見はなく、シアル酸の付加を制御することでN−ア
セチルラクトサミン繰り返し構造制御できるかどうかは
全く未知のことであった。
【0010】また、タンパク質から遊離させた糖鎖を基
質としたin vitroでの実験から、α−2,3
−(N)−SiaTとiGnTの両酵素は共に、N−結
合型糖鎖におけるGalβ1−4GlcNAc−β1−
6Man1−6分岐鎖のガラクトース残基に反応性が高
いことが知られており(Joziasse,D.H.,Schiphorst,W.E.
C.M.,Van den Eijinden,D.H.,Van Kuik,J.A.,Van Halbe
ek,H.and Vliegenthart,J.F.G.,J.Biol.Chem.262,2025-
2033(1987),Nemansky,M.,Schiphorst,W.E.C.M.,and van
den Eijinden,D.H.,FBES Letter 363,280-284 (199
5))、両酵素をin vitroで作用させると競合が
起る可能性が考えられた。しかし、ここに示されている
のは、あくまでも遊離糖鎖を用いたin vitroで
の知見であり、実際に生体内でタンパク質や脂質に付加
している糖鎖に対して、両酵素がどのように作用してい
るかは全く未知のことであった。 それどころか、シア
ル酸を付加するSiaTと、N−アセチルラクトサミン
繰り返し構造の生成及び伸長を支配するiGnTは、細
胞内の局在場所が異なると考えられることから、シアル
酸の付加とN−アセチルラクトサミン繰り返し構造の形
成が競合することなどはあり得ないと考えられた。
【0011】則ち、糖鎖の伸長は、タンパク質または脂
質分子が小胞体からゴルジ装置(膜で囲まれた偏平な嚢
が積み重なった4区画に区分される層状の構造を取って
いる)のシスゴルジ、メディアルゴルジ、トランスゴル
ジ、トランスコルジネットワークへと順次輸送されてい
く間に、小胞体やゴルジ装置の内膜上に埋め込まれた状
態で局在する数多くの糖鎖生合成関連酵素が介在する複
雑な生合成経路に従って行われる。酵素の局在につい
て、β−1,4−GalTとSiaT(特にα−2,3
−(N)−SiaTとα−2,6−(N)−SiaT)
は、トランスゴルジからトランスゴルジネットワークに
かけて存在することが知られているが、両酵素の分布に
は勾配があり、β−1,4−GalTは、主にトランス
ゴルジに、SiaTは主にトランスゴルジネットワーク
により多く分布していることが報告されている(Chege,
N.W.and Pfeffer,S.R.J.Cell Biol.111,893-899(1990)、
Berger,E.G.,Grimm,K.,Bachi,T.,Bosshart,H.,Kleene,
R.and Watzele,M.,J.Cell.Biol.67、835-851(1993))。
N−アセチルラクトサミン繰り返し構造の生成および伸
長は、iGnTとβ−1,4−GalTの2酵素が交互
に作用して行われることから、iGnTはβ−1,4−
GalTに近接して存在していると考えられ、β−1,
4−GalTが主にトランスゴルジに存在することか
ら、iGnTも主としてトランスゴルジに存在すると考
えられた。すなわち、N−アセチルラクトサミン繰り返
し構造の生成および伸長は、主としてトランスゴルジに
おいて行われると考えられた。一方、SiaTは主にゴ
ルジ装置内でより後方のトランスゴルジネットワークに
存在していることから、シアル酸付加は、N−アセチル
ラクトサミン繰り返し構造が伸長した後に行われると考
えられた。従って、これまでの知見からは、シアル酸の
付加とN−アセチルラクトサミン繰り返し構造の形成が
競合することなどは考えられないことであった。
【0012】このように、これまでの知見からは、Si
aTとiGnTの作用が細胞内で競合し、シアル酸付加
によってN−アセチルラクトサミン繰り返し構造の生成
および伸長が阻害されることは考え難く、細胞内のSi
aT活性(例えばα−2,3−(N)−SiaTまたは
α−2,6−(N)−SiaT活性)を増加させること
によってN−アセチルラクトサミン繰り返し構造の生成
および伸長の抑制が起るとは予想もできないことであっ
た。以上のように、N−アセチルラクトサミン繰り返し
構造の制御に関する技術や情報は、従来の技術において
は全く知られていなかった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、糖タ
ンパク質または糖脂質を産生し得る細胞において、該細
胞から産生されるタンパク質または脂質に付加される糖
鎖におけるN−アセチルラクトサミン繰り返し構造の生
成および伸長を抑制する方法を提示し、さらには、真核
細胞または該細胞から分化した組織または個体を用い
て、糖鎖におけるN−アセチルラクトサミン繰り返し構
造含有割合が減少(繰り返し構造を含有しないあるいは
繰り返し構造が短縮した糖鎖の、糖鎖全体に対して占め
る割合が増加)し、糖鎖側鎖の均一性がより向上した糖
タンパク質または糖脂質を製造する方法を提供すること
である。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく糖転移酵素の細胞内発現の制御に関して鋭
意研究を重ねた結果、細胞内でのN−アセチルラクトサ
ミン繰り返し構造の生成および伸長を支配するiGnT
活性に対するSiaTの相対活性を上昇させることによ
り、産生されるタンパク質または脂質に付加される糖鎖
におけるN−アセチルラクトサミン繰り返し構造が短縮
すること、さらには繰り返し構造を含有しない糖鎖の全
糖鎖に対する割合が増加することを見出した。これによ
り、糖鎖におけるN−アセチルラクトサミン繰り返し構
造の生成および伸長を抑制する画期的手法として本発明
の開発に成功した。
【0015】すなわち、本発明は以下のとおりである。 [1] 細胞により産生される糖タンパク質または糖脂
質の有する糖鎖におけるN−アセチルラクトサミン繰り
返し構造の含有割合を減少させる方法であって、糖タン
パク質または糖脂質を産生し得る細胞中のシアル酸転移
酵素遺伝子の発現量を増加させ、該細胞内におけるβ−
1,3−N−アセチルグルコサミン転移酵素の活性に対
するシアル酸転移酵素の相対活性を上昇させることによ
って、該細胞から産生されるタンパク質または脂質に付
加される糖鎖におけるN−アセチルラクトサミン繰り返
し構造の含有割合を減少させる方法。 [2] 真核細胞または該細胞から分化した組織または
個体を用いて、糖タンパク質または糖脂質を製造する方
法であって、以下の(a)〜(c)の工程より成ること
を特徴とする糖鎖におけるN−アセチルラクトサミン繰
り返し構造の含有割合が減少した糖タンパク質または糖
脂質の製造方法。 (a) 真核細胞または該細胞から分化した組織または
個体により産生される糖タンパク質または糖脂質の有す
る糖鎖におけるN−アセチルラクトサミン繰り返し構造
の含有割合を減少させる工程であって、糖タンパク質ま
たは糖脂質を産生し得る細胞中のシアル酸転移酵素遺伝
子の発現量を増加させ、該細胞内におけるβ−1,3−
N−アセチルグルコサミン転移酵素の活性に対するシア
ル酸転移酵素の相対活性を上昇させることによって、該
細胞から産生されるタンパク質または脂質に付加される
糖鎖におけるN−アセチルラクトサミン繰り返し構造の
含有割合を減少させる工程、(b)該真核細胞又は組織
を培地で培養して、糖タンパク質または糖脂質を該細胞
中または該培地中に産生させるか、或いは、糖タンパク
質または糖脂質を該個体の体内または分泌物中に産生さ
せる工程、(c)該真核細胞または組織の内部または該
培地中に産生された糖タンパク質または糖脂質を回収す
るか、或いは、該個体の体内または分泌物中に産生され
た糖タンパク質または糖脂質を回収する工程。
【0016】さらには、上記方法によって得られる、糖
鎖におけるN−アセチルラクトサミン繰り返し構造の含
有割合が減少し糖鎖側鎖の均一性がより向上した糖タン
パク質または糖脂質を有効成分として含有する医薬製剤
を提供するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明において、糖タンパク質ま
たは糖脂質の有する糖鎖におけるN−アセチルラクトサ
ミン繰り返し構造含有割合を減少させるとは、具体的に
は、タンパク質または脂質に付加される糖鎖において、
N−アセチルラクトサミン繰り返し構造を含有しないあ
るいは繰り返し構造が短縮した糖鎖の、糖鎖全体に対し
て占める割合を増加させることである。
【0018】本発明に係わる糖鎖は、糖タンパク質を構
成するタンパク質部分のアミノ酸配列中のアスパラギン
残基またはセリン残基またはスレオニン残基に結合して
いる糖鎖、または、糖脂質を構成するセラミド、ジグリ
セリド、ドリコールなどの脂質に結合している糖鎖であ
って、主に、N−アセチル−D−グルコサミン、N−ア
セチル−D−ガラクトサミン、D−マンノース、D−ガ
ラクトース、D−グルコース、L−フコースおよびシア
ル酸等の単糖により構成される。
【0019】本発明に係わる糖タンパク質とは、タンパ
ク質のアミノ酸配列中に、N−結合型糖鎖またはO−結
合型糖鎖が結合する可能性のあるアスパラギン残基また
はセリン残基またはスレオニン残基を少なくとも一つ以
上持ち、そのうち少なくとも一カ所に糖鎖が結合してい
るタンパク質を示す。そのようなもの例として、インタ
ーフェロン群、エリスロポエチン、免疫グロブリン(I
g)M及びG、組織プラスミノーゲン活性化因子(t−
PA)、顆粒球コロニー刺激因子、インターロイキン
群、トロンボポエチン等、およびそれらの改変体等を挙
げることができる。例えば糖タンパク質ヒトインターフ
ェロン−γの単量体は、N−結合型糖鎖の結合部位を2
箇所有している。本発明に用いることのできる糖タンパ
ク質または糖脂質を産生し得る細胞としては、糖タンパ
ク質または糖脂質を産生することのできるものであれば
特に制限はなく、動物、植物、真核微生物の細胞等が挙
げられる。
【0020】本発明によれば、糖タンパク質または糖脂
質を産生し得る細胞内のSiaT遺伝子の発現量を増加
させ、該細胞内でのiGnT活性に対するSiaTの相
対活性を上昇させることで、糖鎖に付加しているN−ア
セチルラクトサミン繰り返し構造の生成および伸長を抑
制することができる。糖タンパク質または糖脂質を産生
し得る細胞内のSiaT相対活性を上昇させるには、例
えば、一般の遺伝子組み換えの手法を用いて、SiaT
遺伝子の発現量を増加する方法が挙げられる。具体的に
は、一般の遺伝子組み換え技術を用いてSiaT遺伝子
を細胞に導入して高発現させる方法や、相同組み換え技
術を用いて遺伝子の発現制御部、例えばプロモーター部
位を従来より高機能のものと入れ換える方法、また、細
胞培養培地中へプロモータ活性を上昇させる物質を添加
する方法などもある。
【0021】一般の遺伝子組み換え技術を用いてSia
T遺伝子を細胞に導入して高発現させる方法としては、
公知の遺伝子導入技術を適用できる。SiaT遺伝子
は、用いる細胞内でSiaT活性を上昇させることがで
きるものならば特に制限はなく、哺乳動物、例えばヒ
ト、マウス、ラット由来のα−2,3−(N)−Sia
Tまたはα−2,6−(N)−SiaT等を用いること
ができる。
【0022】SiaT遺伝子を細胞に導入して発現させ
るためのベクターとしては、細胞で目的遺伝子を発現す
ることができるものならいかなる物でも利用できるが、
具体的には、動物ウィルスを利用したものとして、SV
40、BPV(ウシパピローマウィルス)、アデノウィ
ルス、レトロウィルス系が挙げられる。動物ウイルスは
一般に、宿主細胞で働くプロモーター、RNAスプライ
シングシグナルとポリA付加シグナル、さらにプロモー
ターの活性を増大させるエンハンサー等、遺伝子発現に
必要なシグナルに加えて自己複製能を有するため、この
ような動物ウイルスを利用したベクターを用いることに
より遺伝子が細胞内で増殖し、遺伝子発現量を増加させ
ることができる。また、ネオマイシン耐性遺伝子や、ハ
イグロマイシン耐性遺伝子等の選択マーカーの機能を有
し、これにより形質転換細胞の選択手段を与え、目的と
する形質転換細胞の単離を容易にするものが好ましい。
【0023】遺伝子を発現させるための制御部位であ
る、プロモーターやエンハンサーとしては、動物細胞内
で機能するもので目的とする効果が得られるものを使用
することができ、例えば、LTR(レトロウイルスのl
ong terminal repeat)、SV4
0、CMV(サイトメガロウイルス)、MT(メタ口チ
オネイン)、アクチンなどのプロモーターや、LTR、
SV40、CMVなどのエンハンサー配列が挙げられ
る。
【0024】本発明において使用し得る動物細胞用発現
ベクターとしては、具体的にはニワトリβ−アクチン遺
伝子プロモーターの一部の塩基配列をウサギβ−グロビ
ン由来の遺伝子に置き換えることにより外来遺伝子の高
発現を可能にするベクターであるpCXN2系の発現ベ
クター、その中でも特にpCXN2(Niwa,H.,Yamamura,
K. and Miyazaki,J., Gene vol.108, p.193-200, 1991、
特開平03‐168087)が挙げられるが、その他、特に限定
されない。
【0025】作製した発現ベクタ−の、細胞への導入法
としては、最も一般的なリン酸カルシウム法のほか、エ
レクトロポレーション法、マイクロインジェクション
法、プロトプラスト融合法、リポソーム融合法、赤血球
ゴースト融合法等が用いられる。 細胞内のiGnT活
性に対するSiaTの相対活性が上昇した細胞株の選択
には、細胞内に発現しているこれら糖転移酵素活性を指
標として行うことができる。 細胞内のSiaT活性測
定は、既知の方法に従って行うことができる(辻崇一、
細胞工学別冊、グライコバイオロジー実験プロトコール
P104−113)。あるいは、β−1,4−GalT
活性測定法(Morita,N.etal.,J.Biochem. 103,332-335(1
988))を応用して行うことも可能である。例えば、α−
2,3−(N)−SiaTまたはα−2,6−(N)−
SiaT活性測定においては、2−アミノピリジンによ
り還元末端を蛍光ラベルしたジガラクトシルバイアンテ
ナ糖鎖(図3)を受容体糖鎖としCMP−シアル酸(C
MP−NeuAc)を加えた緩衝液中にて細胞抽出液と
反応させた後、反応生成物または残存する受容体糖鎖を
高速液体クロマトグラフィーにより同定・定量すること
により行うことができる。
【0026】本発明によれば、上述の方法により細胞内
のSiaT遺伝子の発現量を増加させ、iGnTの細胞
内活性に対するSiaTの細胞内活性を相対的に上昇さ
せて得られた糖タンパク質または糖脂質を産生し得る細
胞または該細胞から分化した組織または個体を用いて、
付加される糖鎖におけるN−アセチルラクトサミン繰り
返し構造の含有割合が減少した目的の糖タンパク質また
は糖脂質を製造することができる。
【0027】本発明に用いることのできる糖タンパク質
または糖脂質を産生し得る細胞または組織は、糖タンパ
ク質または糖脂質を産生することのできるものであれば
特に制限はない。例えば動物細胞においては、付着性細
胞、浮遊性細胞の何れも使用でき、糖タンパク質または
糖脂質を細胞内に産生蓄積する動物細胞でもよく、細胞
外に分泌産生する動物細胞でもよい。細胞種(由来)と
しては、CHO細胞(チャイニーズハムスター卵巣細
胞)、サルVero細胞、マウスL細胞、BHK、φ2
(NIH3T3)、マウスC127細胞、サルCOS細
胞、Hela細胞、マウスミエロ―マ、ヒトB細胞等が
挙げられる。例えば糖タンパク質産生細胞では、抗体産
生B細胞、組織プラスミノーゲン活性化因子(t−P
A)産生細胞、インタ−フェロン−γ産生細胞、エリス
ロポエチン産生細胞等があり、具体的には、ヒトインタ
ーフェロン−γ産生CHO細胞株HIIF−D(アメリ
カン・タイプ・カルチャー・コレクションにATCC
CRL−8200として寄託されている)等が挙げられ
る。なお、糖タンパク質または糖脂質産生細胞としてヒ
ト由来細胞以外の細胞を用いる場合は、CHO細胞また
はそれに由来する細胞は、ヒト型に近い糖鎖を付加する
細胞として適している。
【0028】本発明の方法により得られた細胞または該
細胞より分化した組織の培養は各種公知の方法を用いて
行うことができ、細胞増殖および糖タンパク質または糖
脂質の産生を阻害しないものであれば特に制限はない。
例えばタンクでの浮遊培養、細胞をスチレン製のマイク
ロビーズ表面あるいはローラーボトル内壁等に付着させ
た接着培養、フラスコを用いた静置培養等を細胞株に応
じて適宜選択することができる。培養時間は、バッチ法
で培養する場合には十分に細胞が増殖して糖タンパク質
または糖脂質が十分に産生されるまで行えばよく、通常
1週間〜6カ月程度である。培養に際して培地の一部を
無菌的に交換しながら連続的に培養を行なう場合は、培
養時間は1週間〜6カ月程度である。また培養に際して
は、糖タンパク質または糖脂質を産生する細胞株を播種
した後、適当な温度、通気状態、培地のpHを保ちなが
ら該細胞株を培養する。
【0029】本発明の方法により得られた細胞または該
細胞より分化した組織の培養に使用できる培地として
は、基本培地に血清等の添加物を添加したものを用いる
ことができる。基本培地としては市販されている細胞培
養用の培地を用いることができ、例えばイーグル最小必
須培地、RPMI−1640培地、ハムF12培地、ダ
ルベッコ変法イーグル培地、CHO−S−SFMII培
地(GIBCO BRL)、Opti−MEM培地(G
IBCO BRL)等を、単独あるいは適宜混合して使
用すればよい。また、細胞株の培養を、細胞数を増加さ
せる増殖培養と、糖タンパク質または糖脂質を産生させ
る生産培養との二段階に区別して行い、異なる2種類の
培地を用いることもできる。この場合、増殖培地として
例えば上記基本培地に1〜30%濃度のウシ胎児血清
(FCS)を添加した栄養培地を用い、生産培地として
ウシ胎児血清(FCS)を含まない上記基本培地を使用
することにより、産生された糖タンパク質または糖脂質
の精製工程における負荷を軽減することができる。
【0030】本発明に用いることのできる糖タンパク質
または糖脂質を産生し得る個体は、糖タンパク質または
糖脂質を産生することのできるものであれば動物でも植
物でも特に制限はない。動物としては、ニワトリ、マウ
ス、ウサギ、ヤギ、ウシなどが挙げられる。例えば抗原
免疫法により作製する抗体産生動物や、個体内全体また
は組織特異的に目的の糖タンパク質または糖脂質を産生
するように遺伝子を導入した成熟卵母細胞(受精卵)を
発生させ、個体まで成長させることにより作製するトラ
ンスジェニック動物(特開平9-294586)等があり、公知
の方法で作製することが可能である。これらの動物は、
個体内全体あるいは乳汁、卵黄などに目的の糖タンパク
質または糖脂質を産生分泌する。
【0031】例えば組織特異的に目的の糖タンパク質ま
たは糖脂質を産生させるトランスジェニック動物の場
合、目的の糖タンパク質または糖脂質を産生させる組織
(例えば乳腺)と同一組織にSiaT遺伝子を高発現さ
せるように、上述のような公知の遺伝子組み換え技術を
用いて作製した遺伝子を受精卵に導入し、トランスジェ
ニック動物を作製することによって、目的の糖タンパク
質または糖脂質を産生する細胞(例えば乳腺組織細胞)
内のSiaTの細胞内相対活性を上昇させることがで
き、付加される糖鎖におけるN−アセチルラクトサミン
繰り返し構造の含有割合が減少した目的の糖タンパク質
または糖脂質を(乳腺組織細胞から乳汁中へ分泌)産生
することができる。
【0032】本発明の方法により得られた個体の培養ま
たは飼育は各種公知の方法を用いて行うことができ、個
体の生育および糖タンパク質または糖脂質の産生を阻害
しない条件であれば特に制限はない。
【0033】上述のようにして得られた培地や分泌物か
らの糖タンパク質または糖脂質の回収、精製は通常の方
法により可能である。例えば培養細胞外に分泌産生され
る糖タンパク質または糖脂質は適時培地を交換する方法
により回収し、また、例えばトランスジェニック動物の
乳腺組織より乳汁中に分泌産生される糖タンパク質また
は糖脂質は搾乳により回収し、例えばイオン交換、生物
学的親和性、吸着あるいは疎水度、親水度、分子サイ
ズ、限外濾過等を利用した各種公知の精製方法で分離、
精製することができる。
【0034】得られた糖タンパク質または糖脂質の有す
る糖鎖構造解析は通常の方法により可能である。すなわ
ち、N−グリカナーゼ、グリコペプチダーゼ、エンドグ
リコセラミダーゼなどを用いる酵素的手法、またはヒド
ラジン分解などを用いる化学的手法等により、タンパク
質または脂質から糖鎖を切り出し、イオン交換、生物学
的親和性、吸着あるいは疎水度、親水度、分子サイズな
どを利用した公知の精製方法で分離、精製する。得られ
た糖鎖を各種公知の分析に供し、糖鎖構造解析を行うこ
とができる。検出感度向上のために糖鎖を標識すること
も可能である。標識法としては、2−アミノピリジン
(PA)、1,2−ジアミノ−4,5−メチレンジオキ
ジベンゼン(DMB)などの蛍光化合物で蛍光標識する
方法や、3Hや13Cなどの放射性化合物で標識する方
法などがある。
【0035】例えば、糖タンパク質が有するN−結合型
糖鎖は、上記のように精製された糖鎖を公知の方法に従
いPA化標識し(Hase,S.et al.,J Biochem.,95 197-203
(1984)、逆相クロマトグラフィーおよび順相クロマトグ
ラフィーを用いたHPLC分析を行い、2次元糖鎖マッ
プ(高橋禮子、糖蛋白質糖鎖研究法 生化学実験法2
3、学会出版センター,1989、及び高橋禮子、富谷
昇、吉田友昭、糖タンパク質と糖結合タンパク質 化学
と生物 実験ライン20、廣川書店、1992)により構造推
定及び定量を行うことができる。
【0036】本発明の、糖鎖におけるN−アセチルラク
トサミン繰り返し構造の含有割合が減少し糖鎖側鎖の均
一性がより向上した糖タンパク質または糖脂質は、医薬
品として有効であり、これは一般的な医療製剤の形態で
用いられる。そのような医薬品として、例えばヒトイン
ターフェロン−γ、ヒトエリスロポエチンを含む製剤等
が挙げられる。このような本発明の糖タンパク質を有効
成分として含有する医薬製剤は、通常使用される充填
剤、増量剤、結合剤、保湿剤、崩壊剤、界面活性剤、潤
滑剤等の担体、希釈剤あるいは賦形剤を用いて調製され
る。本発明の医薬製剤としての各種の形態が治療目的に
応じて選択でき、その代表的なものとして錠剤、丸剤、
散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、注射
剤(液剤、懸濁製剤)が挙げられる。本発明の医薬製剤
には更に必要に応じて着色剤、保存剤、風味剤、甘味料
や他の医薬品を含有することができる。
【0037】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、これらの実施例は本発明の範囲を何等限定す
るものではない。
【0038】[参考例1] ヒトインターフェロン−γ産生CHO細胞HIIF−D
株によって生産したヒトインターフェロン−γの糖鎖構
造 糖タンパク質であるヒトインターフェロン−γ(以後、
ヒトIFN−γと省略)を産生するCHO細胞HIIF
−D株(ATCCより購入、ATCC No.CRL−
8200)を培養してヒトIFN−γを生産し、その糖
鎖構造を解析した。 (1)HIIF−D株の培養 5×105個のHIIF−D細胞を75Tフラスコ中、
10mlの培地(10%の透析済ウシ胎児血清(dFB
S)、250nM MTX(methotrexat
e)を含む、CHO−S−SFM−II培地(GIBC
O BRL))に播種し、CO2インキュベーター中、
37℃、5%CO2条件下で静置培養した。3〜4日
後、confluentになったところで継代培養し
た。継代ごとに培養スケールを拡大して細胞を増殖させ
た。増殖したHIIF−D細胞4×106個を175T
フラスコ中、35mlの上記培地に播種し、3日間培養
後、トリプシン処理により細胞を遊離させて遠心回収
し、全細胞を同培地200ml/500Tトリプルフラ
スコで継代培養した。4日後、培地を除去し、PBS
(−)30mlで洗浄した後、L−グルタミンを加えた
無血清CD−CHO培地(GIBCO BRL)200
mlに交換し、培地中にヒトIFN−γを産生させた。
24時間ごとに培地上清を回収し、その都度新鮮な培地
に交換した。回収した培地はその都度遠心し、孔径0.
22μmのフィルターでろ過後、集めて−20℃にて凍
結保存した。
【0039】(2)ヒトIFN−γの精製単離 上記により得たヒトIFN−γ生産培地上清から、抗ヒ
トIFN−γ抗体固定カラムを用いたアフィニティーク
ロマトグラフィーによって、ヒトIFN−γを精製し
た。抗体固定カラムは、抗ヒトIFN−γポリクローナ
ル抗体(ウサギ)(林原生物化学研究所)を担体 Hi
Trap NHS−activatedSepharo
se HP(アマシャムファルマシアバイオテク社製)
に固定化して作製した。具体的な精製操作は次の通りで
ある。培地上清を解凍後、孔径0.22μmのフィルタ
ーでろ過し、その500mlをカラムに通液してヒトI
FN−γを吸着させた後、50mM Tris−HCl
(pH7.5), 0.5MNaClで洗浄し、続いて
洗浄液A(日本ガイシ製)で洗浄した。その後、0.2
M グリシン−HClバッファー(pH2.5)を通液
してヒトIFN−γを溶離させた。カラムからの溶出液
の280nmにおける吸光度を測定し、タンパク質を検
出した。溶離したヒトIFN−γ画分には、1M Tr
is−HCl(pH8.0)を少量加えて中和した後、
10mM Tris−HCl(pH8.0)で透析後、
凍結乾燥を行って精製ヒトIFN−γ標品とした。得ら
れたヒトIFN−γの純度、分子量をSDS−PAGE
によって確認した結果、不純タンパク質は含まれず、ヒ
トIFN−γタンパク質としては、大部分が分子量2
4,000(糖鎖が2ヶ所に付加されたもの)のバンド
として検出された。なお、分子量20,000(糖鎖が
1ヶ所に付加されたもの)のバンドも少量存在した他、
分子量17,000(糖鎖の付加しないもの)のバンド
がわずかに存在した。
【0040】(3)ヒトIFN−γに付加される糖鎖の
構造解析 糖鎖の切り出し精製と蛍光標識 活性を保持したヒトIFN−γは2量体として存在する
ことが知られているが、1本のポリペプチド鎖上にはN
−結合型糖鎖の結合部位が2ヵ所存在する。2ヵ所に付
加された糖鎖を一括して切り出し、混合物として精製し
た。 a.糖ペプチドの分離 凍結乾燥したヒトIFN−γ 0.5mgを6M Ur
ea 200μlに溶解して60℃で1時間加温した
後、100mM Tris−HCl(pH8.0)、1
mM CaCl2を1ml加え、Modified T
rypsin(Promega社製)を酵素/ヒトIF
N−γ(質量/質量)=1/50量添加し、37℃で一
晩、酵素消化を行った。その後100℃で10分間加熱
して反応を停止させ、孔径0.45μmのフィルターで
ろ過した後、Sephadex G−25(アマシャム
ファルマシアバイオテク社製)によるゲルろ過を行
い、糖ペプチド画分を回収した。バッファーには10m
M NH4HCO3を用いた。糖ペプチドの検出にはオル
シノール硫酸法を使用した。糖ペプチド画分は凍結乾燥
して次操作に用いた。
【0041】b.糖鎖の切り出しと精製 約10〜100nmol量の糖ペプチドを 100mM
クエン酸−リン酸緩衝液(pH5.0)1mlに溶解
し、アーモンド由来のグリコペプチダーゼA(生化学工
業)0.4mUを加えて37℃で一晩反応させた。この
反応液からの糖鎖の精製はSep−Pak C18カー
トリッジ(Waters製)を用いて行った。反応液
を、Sep−Pak C18カートリッジに供し、糖鎖
を0.1%TFA/5%アセトニトリル溶液で溶出させ
た。これを凍結乾燥して精製糖鎖標品とした。
【0042】c.糖鎖の蛍光標識(ピリジルアミノ化) 約10〜100nmolの糖鎖に対して40μlの2−
アミノピリジン溶液(276mgの2−アミノピリジン
を100μlの酢酸に溶かしたもの)を加え、90℃、
60分間加熱した。次に、140μlのBorane−
dimethylamine complex溶液(1
50mgのBorane−dimethylamine
complexに酢酸60μlとH2O38μlを加
えたもの)を加えて、80℃で35分間加熱した。次
に、10mM NH4HCO3を緩衝液としてSepha
dex G−15(アマシャムファルマシアバイオテク
社製)によるゲルろ過を行い、ピリジルアミン標識糖鎖
を精製した。精製したピリジルアミン標識糖鎖(以下P
A化糖鎖と呼ぶ)を以後の分析に使用した。
【0043】PA化糖鎖の構造解析 PA化糖鎖をArthrobacter ureafa
ciens由来のシアリダーゼ(ナカライテスク社製)
を用いて消化後、脱シアル酸画分を陰イオン交換カラム
Mono Q HR5/5(内径5mm×長さ50m
m、アマシャムファルマシアバイオテク社製)を用いた
HPLCで分取した。シアル酸を除去した糖鎖(アシア
ロ糖鎖)は、逆相カラム(Shim−pack CLC
−ODS、内径6mm×長さ150mm、島津製作所
製)およびアミド吸着カラム(TSKgel Amid
e−80、内径4.6mm×長さ250mm、東ソー
製)を用いたHPLCで分析を行った。HPLCで分離
される各糖鎖の溶出時間を、PA化グルコースオリゴマ
ー(重合度:3〜22または3〜15、宝酒造製)の溶
出時間と比較して相対的グルコース重合度を求め、これ
をグルコース単位として表し、2次元糖鎖マップ(高橋
禮子、糖蛋白質糖鎖研究法 生化学実験法23、学会出
版センター,1989、及び高橋禮子、富谷昇、吉田友
昭、糖タンパク質と糖結合タンパク質 化学と生物 実
験ライン20、廣川書店、1992)により構造推定及
び定量を行った。また、それぞれの糖鎖構造を確認する
ため、HPLCで分離される各糖鎖を各種のグリコシダ
ーゼ(ウシ腎臓由来のα−フコシダーゼ(Boehri
nger Mannheim社製)、ナタマメ由来のβ
−ガラクトシダーゼ(生化学工業株式会社製)、β−N
−アセチルヘキソサミニダーゼ(生化学工業株式会社
製)、Escherichia Freundii由来
エンド−β−ガラクトシダーゼ(生化学工業株式会社
製)を用いて消化し、消化前後の2次元糖鎖マップ上に
おける挙動を既知構造の糖鎖と比較した。試料糖鎖の推
定構造と同一構造の標準PA化糖鎖が市販されているも
のについては、両者をHPLCで共打ちすることによ
り、単一ピ−クになることを確認した。HIIF−D株
の産生するヒトIFN−γの糖鎖構造をHPLCによっ
て同定・定量した結果を表1に示す。HIIF−D株の
産生するヒトIFN−γの糖鎖構造は、大部分が二本鎖
構造であった。表1は、参考例2で示すGnT−V高発
現株(V26株)が産生するヒトIFN−γに付加され
る糖鎖について、糖鎖構造の同定・定量を行った結果と
併せて、糖鎖の骨格構造で分類してまとめたものであ
る。各分類の中には、糖鎖骨格構造の先(非還元末端
側)にガラクトースあるいはN−アセチルラクトサミン
の繰り返し構造を持つもの、さらにその先にシアル酸が
付加されたものなどが含まれる。なお、表中のUK1、
UK2、UK3は、単糖組成以外は不明であり、詳細な
糖鎖構造は未同定であるが、表中上段のような通常の糖
鎖型には分類できなかったものである。骨格糖鎖構造の
詳細については図5に示した。
【0044】
【表1】
【0045】[参考例2] GnT−V高発現ヒトIFN−γ産生CHO株によって
生産したヒトIFN−γの糖鎖構造 (1)GnT−V発現ベクターpCXH1−hGnT−
Vの作製 一般的なDNA操作法は文献(Sambrook,J. et.al., Mol
ecular Cloning A Laboratory Manual.Second Edition,
Cold Spring Harbor Laboratory Press.,(1989))に従
って行った。GnT−V遺伝子(ヒト由来)は配列表の
配列番号1に示す配列を使用した。ベクタ−にはpCX
N2(Niwa,H.,Yamamura,K.and Miyazaki,J.,Gene,108,
p.193-200,(1991))から作製したpCXH1(図6)を
使用した。GnT−V発現ベクタ−pCXH1−hGn
T−Vは、図7に示す方法で作製した。
【0046】(2)GnT−V高発現株の取得 HIIF−D株へのGnT−V発現ベクター;pCX
H1−hGnT−Vの導入 Opti−MEM培地(GIBCO BRL)0.4m
lに4×106個のIFN−γ産生CHO株HIIF−
D細胞を懸濁し、エレクトロポレーション法を用いて上
記GnT−V発現ベクター;pCXH1−hGnT−V
を導入した。10分静置後、処理した細胞を10mlの
10% dFCS、250nM MTX、CHO−S−
SFMII(GIBCO BRL)培地に加えた後、適当
な希釈率でシャーレに播種し、CO2インキュベーター
中、37℃、5%CO2条件下で静置培養した。2日
後、ハイグロマイシンを200μg/mlとなるように
添加し、培養を継続した。約2週間後、出現してきたハ
イグロマイシン耐性コロニーを、クローニングリングを
用いてトリプシン処理して遊離させ、クローン細胞とし
て回収し、拡大培養した。
【0047】N−アセチルグルコサミン転移酵素V
(GnT−V)の活性測定 5×105個の細胞をサンプルチューブに遠心回収し、
PBS(−)で2回洗浄した。5μlの細胞懸濁保存液
(1%Triton X−100を含む10mM HE
PES(pH7.2)緩衝液)に懸濁し−80℃にて保
存した。これを、氷上で融解後、バス型超音波破砕装置
(Bioruptor UC100−D2、OLYNP
US)により、氷水中破砕した。細胞破砕液を酵素源と
し、UDP−N−アセチルグルコサミン(UDP−Gl
cNAc)を基質、PA化アガラクトシルバイアンテナ
型糖鎖(図4)を受容体糖鎖とした反応液中で酵素反応
を行い、未反応受容体糖鎖の残存率の経時的推移から酵
素活性を評価した。すなわち、5μlの細胞破砕液の入
ったサンプルチューブ中に、あらかじめ37℃に加温し
た20μl量の活性測定用反応液を添加することにより
反応を開始し、37℃条件下、酵素反応を行った。反応
液中より経時的に5μlを抜き出して50μlの反応停
止液(10mM HEPES、50mM EDTA(p
H7.2))中に加え、3分間の煮沸により反応を停止
させた。この一部をShim−pack CLC−OD
S(内径6mm×長さ150mm、島津製作所製)を用
いてHPLC分析し、経時的な受容体糖鎖の残存率を定
量した。GnT−VはMn2+非要求性であり、他のN−
アセチルグルコサミン転移酵素(GnT)はMn2+要求
性であることから、EDTAを添加しMnCl非存在
下で反応を行うことにより、GnT−Vの活性だけを他
のGnT活性とは区別して測定することができる。Gn
T−V活性測定用反応液25μl中の組成は、10mM
HEPES(pH7.2)、80mM UDP−Gl
cNAc、10mM EDTA、33mMNaCl、3
mM KCl、200mM N−acetyl−D−g
lucosamine、0.2% Triton X−
100、2.5μM PA化アガラクトシルバイアンテ
ナ型糖鎖である。
【0048】GnT−V高発現株のスクリ−ニング 上記でクローニングした細胞を10% dFBCS、
250nM MTX、200μg/mlハイグロマイシ
ンを含むCHO−S−SFMII(GIBCOBRL)
培地で継代培養して150Tフラスコスケールまで拡大
培養した後、各細胞をトリプシン処理によって遊離さ
せ、トリパンブルー染色にて生細胞数を計測後、上記
の方法に従い細胞内のGnT−Vの活性測定を行った。
また各細胞株の培地上清中に産生されるヒトIFN−γ
量をELISA法によって測定した。GnT−V活性の
高い株をスクリーニングした結果、細胞内のGnT−V
活性が元株HIIF−Dに比較して約30倍に増加した
株(V26株)を得た。
【0049】(3)ヒトIFN−γの生産培養 得られた細胞株(V26株)を用い、細胞を増殖させる
ための培地にハイグロマイシン200μg/mlを含む
ことを除き、参考例1と同様の方法で培養を行い、培地
中にヒトIFN−γを生産させた。
【0050】(4)ヒトIFN−γの精製単離 得られた培地上清500mlを用い、参考例1と同様の
方法でヒトIFN−γ0.5mgを精製単離した。得ら
れたヒトIFN−γの純度、分子量をSDS−PAGE
によって確認した結果、不純タンパク質は含まれず、ヒ
トIFN−γタンパク質としては、大部分が分子量2
4,000(糖鎖が2ヶ所に付加されたもの)のバンド
として検出された。なお、分子量20,000(糖鎖が
1ヶ所に付加されたもの)のバンドも少量存在した他、
分子量17,000(糖鎖の付加しないもの)のバンド
がわずかに存在した。
【0051】(5)ヒトIFN−γに付加される糖鎖の
構造解析 得られたヒトIFN−γPA化糖鎖について、参考例1
と同様の方法で糖鎖構造の同定・定量を行った。糖鎖の
骨格構造で分類した解析結果を表1に示す。参考例1に
示したように元株HIIF−Dの産生するヒトIFN−
γの糖鎖は2本鎖型糖鎖が主要な構造であったのに対
し、GnT−V遺伝子を導入したV26株では、産生さ
れるヒトIFN−γの糖鎖構造は主として3本鎖(Gn
T−V分岐)型糖鎖に変換された。また、図8に示した
のは、V26株が産生するヒトIFN−γから得たPA
化アシアロ糖鎖と、これをEscherichia F
reundii由来エンド−β−ガラクトシダーゼによ
り消化した糖鎖について、逆相カラム(Shim−pa
ck CLC−ODS、内径6mm×長さ150mm、
島津製作所製)によりHPLC分析を行ったクロマトグ
ラムである。エンド−β−ガラクトシダーゼは非還元末
端にないガラクトースを認識し切断する酵素であり、シ
アリダーゼにより脱シアル化したPA化アシアロ糖鎖に
おいてガラクトースより非還元末端側に付加しているの
は、N−アセチルラクトサミン繰り返し構造であると推
定される。これにより、エンド−β−ガラクトシダーゼ
消化により消失したピークは、N−アセチルラクトサミ
ン繰り返し構造が側鎖に付加している糖鎖(N−アセチ
ルラクトサミン繰り返し構造含有糖鎖)であると同定し
た。上記HPLC分析結果よりN−アセチルラクトサミ
ン繰り返し構造の含有糖鎖の定量を行った解析結果を表
2に示す。V26株が産生するヒトIFN−γ糖鎖にお
いては、N−アセチルラクトサミン繰り返し構造含有糖
鎖が22.6%存在しており、GnT−V遺伝子導入前
の元株HIIF−D株が産生するIFN−γ糖鎖よりも
増加していた。なお、表2は、V26株と実施例1およ
び2に示すα−2,3−(N)−SiaT、α−2,6
−(N)−SiaT高発現細胞株のそれぞれが産生する
IFN−γに付加される糖鎖について、同様に解析を行
った結果をまとめて示したものである。
【0052】
【表2】
【0053】[実施例1] GnT−V高発現株(V26)にα−2,3−(N)−
SiaT遺伝子を導入し発現を強化した細胞株によって
産生したヒトIFN−γの糖鎖構造 (1)GnT−V発現ベクターpCXH1−hGnT−
Vの作製 α−2,3−(N)−SiaT遺伝子(マウス由来)は
配列表の配列番号2に示す配列を使用した。ベクタ−に
は pCXN2(Niwa,H.,Yamamura,K.and Miyazaki,J.,
Gene,108,p.193-200,(1991))から図9に示す方法で作製
したpCXN2Zbを使用した。発現ベクターpCXN
2Zb−mα−2,3−SiaTは図10に示す方法で
作製した。
【0054】(2)SiaT強化株の取得 V26株へのSiaT発現ベクター;pCXN2Zb
−mα2,3SiaTの導入 参考例2で得た細胞株(V26株)に更に上記SiaT
発現ベクターを参考例2と同様、エレクトロポレーショ
ン法で導入した。10分静置後、処理した細胞を10m
lの10% dFBS、250nM MTX、CHO−
S−SFMII(GIBCO BRL)培地に加えた後、
適当な希釈率でシャーレに播種し、CO2インキュベー
ター中、37℃、5%CO2条件下で静置培養した。2
日後、ハイグロマイシンを200μg/ml、ネオマイ
シン類縁体G418を300μg/mlとなるように添
加し、培養を継続した。約2週間後、出現してきたハイ
グロマイシンとG418の2薬剤に耐性であるコロニー
を、クローニングリングを用いてトリプシン処理して遊
離させ、クローン細胞として回収し、拡大培養した。
【0055】 α−2,3−シアル酸転移酵素(α−
2,3−(N)−SiaT)の活性測定 活性測定は、基質としてCMP−シアル酸(CMP−N
euAc)を用い、受容体糖鎖としてPA化ジガラクト
シルバイアンテナ型糖鎖を用いることを除き、参考例2
のGnT−V活性測定と同様な方法で行った。SiaT
活性測定用反応液25μl中の組成は、10mM HE
PES(pH7.2)、80mM CMP−NeuA
c、10mM MnCl2、33mM NaCl、3m
M KCl、20μM 2,3−Dehydro−2−
deoxy−N−Acetylneuraminic
Acid、5.6mMγ−Galactonolact
one、0.2% Triton X−100、2.5
μM PA化ジガラクトシルバイアンテナ型糖鎖であ
る。
【0056】 α−2,3−(N)−SiaT高発現
株のスクリ−ニング 上記でクローニングした細胞を10% dFBS、2
50nM MTX、200μg/mlハイグロマイシ
ン、300μg/mlG418を含むCHO−S−SF
MII(GIBCO BRL)培地で継代培養して185
Tフラスコスケールまで拡大培養した後、各細胞をトリ
プシン処理によって遊離させ、トリパンブルー染色にて
生細胞数を計測後、上記の方法に従い細胞内のSia
Tの活性測定を行った。また、各細胞株の培地上清中に
産生されるヒトIFN−γ量をELISA法によって測
定した。SiaT活性の高い株をスクリーニングした結
果、細胞内のα−2,3−(N)−SiaT活性がSi
aT導入前の元株V26に比較して大きく上昇している
細胞株V26/S3株を得た。この細胞株におけるGn
T−V活性、β−1,4−GalT活性、iGnT活性
は元株V26とほぼ同様であった。
【0057】(3)ヒトIFN−γの生産培養 得られた細胞株V26/S3を用い、細胞を増殖させる
ための培地にハイグロマイシン200μg/ml、G4
18 300μg/mlを含むことを除き、参考例1と
同様の方法で培養を行い、培地中にヒトIFN−γを産
生させた。
【0058】(4)ヒトIFN−γの精製単離 得られた培地上清500mlを用い、参考例1と同様の
方法でヒトIFN−γ0.5mgを精製単離した。得ら
れたヒトIFN−γの純度、分子量をSDS−PAGE
によって確認した結果、不純タンパク質は含まれず、ヒ
トIFN−γタンパク質としては、大部分が分子量2
4,000(糖鎖が2ヶ所に付加されたもの)のバンド
として検出された。なお、分子量20,000(糖鎖が
1ヶ所に付加されたもの)のバンドも少量存在した他、
分子量17,000(糖鎖の付加しないもの)のバンド
がわずかに存在した。
【0059】(5)ヒトIFN−γに付加される糖鎖の
構造解析 得られたヒトIFN−γについて、参考例1と同様の方
法でPA化糖鎖を得た。 シアル酸付加数 得られたヒトIFN−γPA化糖鎖について、脱シアル
化処理前のPA化糖鎖を陰イオン交換カラムMono
Q HR 5/5によりHPLC分析したシアル酸付加
数の結果を図12に示す。元株V26株と比較し、α−
2,3−(N)−SiaT遺伝子を導入し高発現させた
V26/S3株では、産生されるヒトIFN−γの糖鎖
末端へのシアル酸付加数が大きく増加し、細胞内におい
てα−2,3−(N)−SiaT作用によるガラクトー
ス残基へのシアル酸付加が促進されたことが示された。
図中、平均シアル酸付加数は、糖鎖1本につきシアル酸
がついている個数を示している。
【0060】糖鎖骨格構造 得られたヒトIFN−γPA化糖鎖について、参考例1
と同様の方法で糖鎖構造の同定・定量を行った糖鎖骨格
構造の解析結果を表3に示す。元株V26株と比較し、
α−2,3−(N)−SiaT遺伝子を導入し高発現さ
せたV26/S3株では、産生されるヒトIFN−γの
糖鎖骨格構造に大きな変化はなかった。
【0061】
【表3】
【0062】N−アセチルラクトサミン繰り返し構造 参考例2と同様に、α−2,3−(N)−SiaT遺伝
子を導入し高発現させたV26/S3株が産生するヒト
IFN−γから得たPA化アシアロ糖鎖を、Esche
richia Freundii由来エンド−β−ガラ
クトシダーゼにより消化し、N−アセチルラクトサミン
繰り返し構造が糖鎖側鎖に付加している糖鎖(N−アセ
チルラクトサミン繰り返し構造含有糖鎖)の同定を行っ
た。PA化アシアロ糖鎖について、逆相カラム(Shi
m−pack CLC−ODS、内径6mm×長さ15
0mm、島津製作所製)によりHPLC分析を行ったク
ロマトグラムを、V26株が産生するヒトIFN−γか
ら得たPA化アシアロ糖鎖のクロマトグラムとあわせて
図13に示した。N−アセチルラクトサミン繰り返し構
造含有糖鎖は、V26と比較して大きく減少した。ま
た、HPLCクロマトグラム上、N−アセチルラクトサ
ミン繰り返し構造がより長く伸長した糖鎖(溶出時間が
遅い繰り返し構造糖鎖)が特に大きく減少しており、こ
のことは、N−アセチルラクトサミン繰り返し構造が短
縮したことを示している。このHPLC分析結果より、
N−アセチルラクトサミン繰り返し構造含有糖鎖の定量
を行った結果を、V26株が産生するヒトIFN−γの
糖鎖定量結果と併せて表2に示す。参考例2で示したよ
うに、V26株が産生するヒトIFN−γ糖鎖において
N−アセチルラクトサミン繰り返し構造含有糖鎖が2
2.6%存在していたのに対し、V26/S3株では
6.3%と減少していた。
【0063】[実施例2] GnT−V高発現株(V26)にα−2,6−(N)−
SiaT遺伝子を導入し発現を強化した細胞株によって
生産したヒトIFN−γの糖鎖構造 (1)GnT−V発現ベクターpCXH1−hGnT−
Vの作製 α−2,6−(N)−SiaT遺伝子(ラット由来)は
配列表の配列番号3に示す配列を使用した。ベクタ−に
は 実施例1で示したpCXN2Zbを使用した。発現
ベクターpCXN2Zb−rα2,6SiaTは図11
に示す方法で作製した。
【0064】(2)SiaT強化株の取得 V26株へのSiaT発現ベクター;pCXN2Zb
−rα2,6SiaTの導入 参考例2で得た細胞株(V26株)に更に上記SiaT
発現ベクターを参考例2と同様、エレクトロポレーショ
ン法で導入した。実施例1と同様にして、ハイグロマイ
シンとG418の2薬剤に耐性であるクローン細胞を回
収し、拡大培養した。 α−2,6−シアル酸転移酵素(α−2,6−
(N)−SiaT)の活性測定 活性測定は、実施例1のα−2,3−シアル酸転移酵素
(α−2,6−(N)−SiaT)活性測定と同様な方
法で行った。 α−2,6−(N)−SiaT高発現株のスクリ−
ニング 実施例1α−2,3−(N)−SiaT高発現株のスク
リ−ニングと同様な方法でSiaT活性の高い株をスク
リーニングした結果、V26株には発現していないα−
2,6−(N)−SiaT活性が細胞内に高発現してい
る細胞株V26/S6株を得た。この細胞株におけるG
nT−V活性、β−1,4−GalT活性、iGnT活
性は元株V26とほぼ同様であった。
【0065】(3)ヒトIFN−γの生産培養 得られた細胞株V26/S6を用い、実施例1と同様の
方法で培養を行い、培地中にヒトIFN−γを産生させ
た。
【0066】(4)ヒトIFN−γの精製単離 得られた培地上清500mlを用い、参考例1と同様の
方法でヒトIFN−γ0.5mgを精製単離した。得ら
れたヒトIFN−γの純度、分子量をSDS−PAGE
によって確認した結果、不純タンパク質は含まれず、ヒ
トIFN−γタンパク質としては、大部分が分子量2
4,000(糖鎖が2ヶ所に付加されたもの)のバンド
として検出された。なお、分子量20,000(糖鎖が
1ヶ所に付加されたもの)のバンドも少量存在した他、
分子量17,000(糖鎖の付加しないもの)のバンド
がわずかに存在した。
【0067】(5)ヒトIFN−γに付加される糖鎖の
構造解析 得られたヒトIFN−γについて、参考例1と同様の方
法でPA化糖鎖を得た。糖鎖構造解析は実施例1と同様
な方法で行った。 シアル酸付加数 陰イオン交換カラムMono Q HR 5/5により
HPLC分析したシアル酸付加数の結果を図12に示
す。元株V26株と比較し、α−2,6−(N)−Si
aT遺伝子を導入し高発現させたV26/S6株では、
産生されるヒトIFN−γの糖鎖末端へのシアル酸付加
数が大きく増加し、細胞内においてα−2,6−(N)
−SiaT作用によるガラクトース残基へのシアル酸付
加が促進されたことが示された。
【0068】糖鎖骨格構造 糖鎖骨格構造の解析結果を表3に示す。元株V26株と
比較し、α−2,6−(N)−SiaT遺伝子を導入し
高発現させたV26/S6株では、産生されるヒトIF
N−γの糖鎖骨格構造に大きな変化はなかった。
【0069】N−アセチルラクトサミン繰り返し構造 PA化アシアロ糖鎖について、逆相カラム(Shim−
pack CLC−ODS、内径6mm×長さ150m
m、島津製作所製)によりHPLC分析を行ったクロマ
トグラムを図13に示した。N−アセチルラクトサミン
繰り返し構造が側鎖に付加している糖鎖は、V26株と
比較して大きく減少した。また、HPLCクロマトグラ
ム上、N−アセチルラクトサミン繰り返し構造がより長
く伸長した糖鎖(溶出時間が遅い繰り返し構造糖鎖)が
特に大きく減少しており、このことは、N−アセチルラ
クトサミン繰り返し構造が短縮したことを示している。
このHPLC分析結果より、N−アセチルラクトサミン
繰り返し構造含有糖鎖の定量を行った結果を表2に示
す。参考例2で示したようにV26株が産生するヒトI
FN−γにおいて、N−アセチルラクトサミン繰り返し
構造含有糖鎖22.6%存在していたのに対し、V26
/S6株では10.5%と減少していた。
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、糖タンパク質または糖
脂質を細胞内外に産生する細胞において、細胞内でのシ
アル酸転移酵素遺伝子の発現量を制御し、該細胞内での
シアル酸転移酵素の遺伝子の発現量を増加させ、β−
1,3−N−アセチルラクトサミン転移酵素活性に対す
るシアル酸転移酵素の相対活性を上昇させることによっ
て、産生されるタンパク質または脂質に付加される糖鎖
におけるN−アセチルラクトサミン繰り返し構造の生成
および伸長を抑制し、N−アセチルラクトサミン繰り返
し構造含有割合を減少させることが可能である。
【0071】また、該細胞を培養して、該細胞または培
養液から目的の糖タンパク質または糖脂質を回収するこ
とにより、糖鎖におけるN−アセチルラクトサミン繰り
返し構造の生成および伸長が抑制され、N−アセチルラ
クトサミン繰り返し構造の含有割合が減少し糖鎖側鎖の
均一性がより向上した糖タンパク質または糖脂質を製造
することが可能である。
【0072】
【配列表】 配列番号:1 配列の長さ:2226 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の特徴:GnT−V遺伝子(ヒト由来) 配列: ATG GCT CTC TTC ACT CCG TGG AAG TTG TCC TCT CAG AAG CTG GGC TTT 48 Met Ala Leu Phe Thr Pro Trp Lys Leu Ser Ser Gln Lys Leu Gly Phe 5 10 15 TTC CTG GTG ACT TTT GGC TTC ATT TGG GGT ATG ATG CTT CTG CAC TTT 96 Phe Leu Val Thr Phe Gly Phe Ile Trp Gly Met Met Leu Leu His Phe 20 25 30 ACC ATC CAG CAG CGA ACT CAG CCT GAA AGC AGC TCC ATG CTG CGC GAG 144 Thr Ile Gln Gln Arg Thr Gln Pro Glu Ser Ser Ser Met Leu Arg Glu 35 40 45 CAG ATC CTG GAC CTC AGC AAA AGG TAC ATC AAG GCA CTG GCA GAA GAA 192 Gln Ile Leu Asp Leu Ser Lys Arg Tyr Ile Lys Ala Leu Ala Glu Glu 50 55 60 AAC AGG AAT GTG GTG GAT GGG CCA TAC GCT GGA GTC ATG ACA GCT TAT 240 Asn Arg Asn Val Val Asp Gly Pro Tyr Ala Gly Val Met Thr Ala Tyr 65 70 75 80 GAT CTG AAG AAA ACC CTT GCT GTG TTA TTA GAT AAC ATT TTG CAG CGC 288 Asp Leu Lys Lys Thr Leu Ala Val Leu Leu Asp Asn Ile Leu Gln Arg 85 90 95 ATT GGC AAG TTG GAG TCG AAG GTG GAC AAT CTT GTT GTC AAT GGC ACC 336 Ile Gly Lys Leu Glu Ser Lys Val Asp Asn Leu Val Val Asn Gly Thr 100 105 110 GGA ACA AAC TCA ACC AAC TCC ACT ACA GCT GTT CCC AGC TTG GTT GCA 384 Gly Thr Asn Ser Thr Asn Ser Thr Thr Ala Val Pro Ser Leu Val Ala 115 120 125 CTT GAG AAA ATT AAT GTG GCA GAT ATC ATT AAC GGA GCT CAA GAA AAA 432 Leu Glu Lys Ile Asn Val Ala Asp Ile Ile Asn Gly Ala Gln Glu Lys 130 135 140 TGT GTA TTG CCT CCT ATG GAC GGC TAC CCT CAC TGT GAG GGA AAG ATC 480 Cys Val Leu Pro Pro Met Asp Gly Tyr Pro His Cys Glu Gly Lys Ile 145 150 155 160 AAG TGG ATG AAA GAC ATG TGG CGT TCA GAT CCC TGC TAC GCA GAC TAT 528 Lys Trp Met Lys Asp Met Trp Arg Ser Asp Pro Cys Tyr Ala Asp Tyr 165 170 175 GGA GTG GAT GGA TCC ACC TGC TCT TTT TTT ATT TAC CTC AGT GAG GTT 576 Gly Val Asp Gly Ser Thr Cys Ser Phe Phe Ile Tyr Leu Ser Glu Val 180 185 190 GAA AAT TGG TGT CCT CAT TTA CCT TGG AGA GCA AAA AAT CCC TAC GAA 624 Glu Asn Trp Cys Pro His Leu Pro Trp Arg Ala Lys Asn Pro Tyr Glu 195 200 205 GAA GCT GAT CAT AAT TCA TTG GCG GAA ATT CGT ACA GAT TTT AAT ATT 672 Glu Ala Asp His Asn Ser Leu Ala Glu Ile Arg Thr Asp Phe Asn Ile 210 215 220 CTC TAC AGT ATG ATG AAA AAG CAT GAA GAA TTC CGG TGG ATG AGA CTA 720 Leu Tyr Ser Met Met Lys Lys His Glu Glu Phe Arg Trp Met Arg Leu 225 230 235 240 CGG ATC CGG CGA ATG GCT GAC GCA TGG ATC CAA GCA ATC AAG TCC CTG 768 Arg Ile Arg Arg Met Ala Asp Ala Trp Ile Gln Ala Ile Lys Ser Leu 245 250 255 GCA GAA AAG CAG AAC CTT GAA AAG AGA AAG CGG AAG AAA GTC CTC GTT 816 Ala Glu Lys Gln Asn Leu Glu Lys Arg Lys Arg Lys Lys Val Leu Val 260 265 270 CAC CTG GGA CTC CTG ACC AAG GAA TCT GGA TTT AAG ATT GCA GAG ACA 864 His Leu Gly Leu Leu Thr Lys Glu Ser Gly Phe Lys Ile Ala Glu Thr 275 280 285 GCT TTC AGT GGT GGC CCT CTT GGT GAA TTA GTT CAA TGG AGT GAT TTA 912 Ala Phe Ser Gly Gly Pro Leu Gly Glu Leu Val Gln Trp Ser Asp Leu 290 295 300 ATT ACA TCT CTG TAC TTA CTG GGC CAT GAC ATT AGG ATT TCA GCT TCA 960 Ile Thr Ser Leu Tyr Leu Leu Gly His Asp Ile Arg Ile Ser Ala Ser 305 310 315 320 CTG GCT GAG CTC AAG GAA ATC ATG AAG AAG GTT GTA GGA AAC CGA TCT 1008 Leu Ala Glu Leu Lys Glu Ile Met Lys Lys Val Val Gly Asn Arg Ser 325 330 335 GGC TGC CCA ACT GTA GGA GAC AGA ATT GTT GAG CTC ATT TAC ATT GAT 1056 Gly Cys Pro Thr Val Gly Asp Arg Ile Val Glu Leu Ile Tyr Ile Asp 340 345 350 ATT GTA GGA CTT GCT CAA TTC AAG AAA ACT CTT GGA CCA TCC TGG GTT 1104 Ile Val Gly Leu Ala Gln Phe Lys Lys Thr Leu Gly Pro Ser Trp Val 355 360 365 CAT TAC CAG TGC ATG CTC CGA GTC CTT GAT TCA TTT GGT ACT GAA CCC 1152 His Tyr Gln Cys Met Leu Arg Val Leu Asp Ser Phe Gly Thr Glu Pro 370 375 380 GAA TTT AAT CAT GCA AAT TAT GCC CAA TCG AAA GGC CAC AAG ACC CCT 1200 Glu Phe Asn His Ala Asn Tyr Ala Gln Ser Lys Gly His Lys Thr Pro 385 390 395 400 TGG GGA AAA TGG AAT CTG AAC CCT CAG CAG TTT TAT ACC ATG TTC CCT 1248 Trp Gly Lys Trp Asn Leu Asn Pro Gln Gln Phe Tyr Thr Met Phe Pro 405 410 415 CAT ACC CCA GAC AAC AGC TTT CTG GGG TTT GTG GTT GAG CAG CAC CTG 1296 His Thr Pro Asp Asn Ser Phe Leu Gly Phe Val Val Glu Gln His Leu 420 425 430 AAC TCC AGT GAT ATC CAC CAC ATT AAT GAA ATC AAA AGG CAG AAC CAG 1344 Asn Ser Ser Asp Ile His His Ile Asn Glu Ile Lys Arg Gln Asn Gln 435 440 445 TCC CTT GTG TAT GGC AAA GTG GAT AGC TTC TGG AAG AAT AAG AAG ATC 1392 Ser Leu Val Tyr Gly Lys Val Asp Ser Phe Trp Lys Asn Lys Lys Ile 450 455 460 TAC TTG GAC ATT ATT CAC ACA TAC ATG GAA GTG CAT GCA ACT GTT TAT 1440 Tyr Leu Asp Ile Ile His Thr Tyr Met Glu Val His Ala Thr Val Tyr 465 470 475 480 GGC TCC AGC ACA AAG AAT ATT CCC AGT TAC GTG AAA AAC CAT GGT ATC 1488 Gly Ser Ser Thr Lys Asn Ile Pro Ser Tyr Val Lys Asn His Gly Ile 485 490 495 CTC AGT GGA CGG GAC CTG CAG TTC CTT CTT CGA GAA ACC AAG TTG TTT 1536 Leu Ser Gly Arg Asp Leu Gln Phe Leu Leu Arg Glu Thr Lys Leu Phe 500 505 510 GTT GGA CTT GGG TTC CCT TAC GAG GGC CCA GCT CCC CTG GAA GCT ATC 1584 Val Gly Leu Gly Phe Pro Tyr Glu Gly Pro Ala Pro Leu Glu Ala Ile 515 520 525 GCA AAT GGA TGT GCT TTT CTG AAT CCC AAG TTC AAC CCA CCC AAA AGC 1632 Ala Asn Gly Cys Ala Phe Leu Asn Pro Lys Phe Asn Pro Pro Lys Ser 530 535 540 AGC AAA AAC ACA GAC TTT TTC ATT GGC AAG CCA ACT CTG AGA GAG CTG 1680 Ser Lys Asn Thr Asp Phe Phe Ile Gly Lys Pro Thr Leu Arg Glu Leu 545 550 555 560 ACA TCC CAG CAT CCT TAC GCT GAA GTT TTC ATC GGG CGG CCA CAT GTG 1728 Thr Ser Gln His Pro Tyr Ala Glu Val Phe Ile Gly Arg Pro His Val 565 570 575 TGG ACT GTT GAC CTC AAC AAT CAG GAG GAA GTA GAG GAT GCA GTG AAA 1776 Trp Thr Val Asp Leu Asn Asn Gln Glu Glu Val Glu Asp Ala Val Lys 580 585 590 GCA ATT TTA AAT CAG AAG ATT GAG CCA TAC ATG CCA TAT GAA TTT ACG 1824 Ala Ile Leu Asn Gln Lys Ile Glu Pro Tyr Met Pro Tyr Glu Phe Thr 595 600 605 TGC GAG GGG ATG CTA CAG AGA ATC AAT GCT TTC ATT GAA AAA CAG GAC 1872 Cys Glu Gly Met Leu Gln Arg Ile Asn Ala Phe Ile Glu Lys Gln Asp 610 615 620 TTC TGC CAT GGG CAA GTG ATG TGG CCA CCC CTC AGC GCC CTA CAG GTC 1920 Phe Cys His Gly Gln Val Met Trp Pro Pro Leu Ser Ala Leu Gln Val 625 630 635 640 AAG CTT GCT GAG CCC GGG CAG TCC TGC AAG CAG GTG TGC CAG GAG AGC 1968 Lys Leu Ala Glu Pro Gly Gln Ser Cys Lys Gln Val Cys Gln Glu Ser 645 650 655 CAG CTC ATC TGC GAG CCT TCT TTC TTC CAG CAC CTC AAC AAG GAC AAG 2016 Gln Leu Ile Cys Glu Pro Ser Phe Phe Gln His Leu Asn Lys Asp Lys 660 665 670 GAC ATG CTG AAG TAC AAG GTG ACC TGC CAA AGC TCA GAG CTG GCC AAG 2064 Asp Met Leu Lys Tyr Lys Val Thr Cys Gln Ser Ser Glu Leu Ala Lys 675 680 685 GAC ATC CTG GTG CCC TCC TTT GAC CCT AAG AAT AAG CAC TGT GTG TTT 2112 Asp Ile Leu Val Pro Ser Phe Asp Pro Lys Asn Lys His Cys Val Phe 690 695 700 CAA GGT GAC CTC CTG CTC TTC AGC TGT GCA GGC GCC CAC CCC AGG CAC 2160 Gln Gly Asp Leu Leu Leu Phe Ser Cys Ala Gly Ala His Pro Arg His 705 710 715 720 CAGA GG GTC TGC CCC TGC CGG GAC TTC ATC AAG GGC CAG GTG GCT CTC 2208 Gln Arg Val Cys Pro Cys Arg Asp Phe Ile Lys Gly Gln Val Ala Leu 725 730 735 TGC AAA GAC TGC CTA TAG 2226 Cys Lys Asp Cys Leu ***
【0073】 配列番号:2 配列の長さ:1002 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の特徴:α-2,3-(N)-SiaT遺伝子(マウス由来) 配列: ATG ACC AGC AAA TCT CAC TGG AAG CTC CTG GCC CTG GCT CTG GTC CTT 48 Met Thr Ser Lys Ser His Trp Lys Leu Leu Ala Leu Ala Leu Val Leu 5 10 15 GTT GTT GTC ATG GTG TGG TAT TCC ATC TCC CGA GAA GAT AGG TAC ATT 96 Val Val Val Met Val Trp Tyr Ser Ile Ser Arg Glu Asp Arg Tyr Ile 20 25 30 GAG TTC TTT TAT TTT CCC ATC TCA GAG AAG AAA GAG CCA TGC TTC CAG 144 Glu Phe Phe Tyr Phe Pro Ile Ser Glu Lys Lys Glu Pro Cys Phe Gln 35 40 45 GGT GAG GCA GAG AGA CAG GCC TCT AAG ATT TTT GGC AAC CGT TCT AGG 192 Gly Glu Ala Glu Arg Gln Ala Ser Lys Ile Phe Gly Asn Arg Ser Arg 50 55 60 GAC CAG CCC ATC TTT CTG CAG CTT AAG GAT TAT TTC TGG GTA AAG ACG 240 Asp Gln Pro Ile Phe Leu Gln Leu Lys Asp Tyr Phe Trp Val Lys Thr 35 70 75 80 CCA TCC ACC TAT GAG CTG CCC TTT GGG ACT AAA GGA AGT GAA GAC CTT 288 Pro Ser Thr Tyr Glu Leu Pro Phe Gly Thr Lys Gly Ser Glu Asp Leu 85 90 95 CTT CTC CGG GTG CTG GCC ATC ACT AGC TAT TCT ATA CCT GAG AGC ATA 336 Leu Leu Arg Val Leu Ala Ile Thr Ser Tyr Ser Ile Pro Glu Ser Ile 100 105 110 AAG AGC CTG GAG TGT CGT CGC TGT GTT GTG GTG GGA AAT GGG CAC CGG 384 Lys Ser Leu Glu Cys Arg Arg Cys Val Val Val Gly Asn Gly His Arg 115 120 125 TTG CGG AAC AGC TCG CTG GGC GGT GTC ATC AAC AAG TAC GAC GTG GTC 432 Leu Arg Asn Ser Ser Leu Gly Gly Val Ile Asn Lys Tyr Asp Val Val 130 135 140 ATC AGA TTG AAC AAT GCT CCT GTG GCT GGC TAC GAG GGA GAT GTG GGC 480 Ile Arg Leu Asn Asn Ala Pro Val Ala Gly Tyr Glu Gly Asp Val Gly 145 150 155 160 TCC AAG ACC ACC ATA CGT CTC TTC TAT CCT GAG TCG GCC CAC TTT GAC 528 Ser Lys Thr Thr Ile Arg Leu Phe Tyr Pro Glu Ser Ala His Phe Asp 165 170 175 CCT AAA ATA GAA AAC AAC CCA GAC ACG CTC TTG GTC CTG GTA GCT TTC 576 Pro Lys Ile Glu Asn Asn Pro Asp Thr Leu Leu Val Leu Val Ala Phe 180 185 190 AAG GCG ATG GAC TTC CAC TGG ATT GAG ACC ATC TTG AGT GAT AAG AAG 624 Lys Ala Met Asp Phe His Trp Ile Glu Thr Ile Leu Ser Asp Lys Lys 195 200 205 CGG GTG CGA AAA GGC TTC TGG AAA CAG CCT CCC CTC ATC TGG GAT GTC 672 Arg Val Arg Lys Gly Phe Trp Lys Gln Pro Pro Leu Ile Trp Asp Val 210 215 220 AAC CCC AAA CAG GTC CGG ATT CTA AAC CCC TTC TTT ATG GAG ATT GCA 720 Asn Pro Lys Gln Val Arg Ile Leu Asn Pro Phe Phe Met Glu Ile Ala 225 230 235 240 GCA GAC AAG CTC CTG AGC CTG CCC ATA CAA CAG CCT CGA AAG ATC AAG 768 Ala Asp Lys Leu Leu Ser Leu Pro Ile Gln Gln Pro Arg Lys Ile Lys 245 250 255 CAG AAG CCA ACC ACG GGT CTG CTA GCC ATC ACC TTG GCT CTA CAC CTC 816 Gln Lys Pro Thr Thr Gly Leu Leu Ala Ile Thr Leu Ala Leu His Leu 260 265 270 TGC GAC TTA GTG CAC ATT GCT GGC TTT GGC TAT CCA GAT GCC TCC AAC 864 Cys Asp Leu Val His Ile Ala Gly Phe Gly Tyr Pro Asp Ala Ser Asn 275 280 285 AAG AAG CAG ACC ATC CAC TAC TAT GAA CAG ATC ACA CTT AAG TCT ATG 912 Lys Lys Gln Thr Ile His Tyr Tyr Glu Gln Ile Thr Leu Lys Ser Met 290 295 300 GCG GGA TCA GGC CAT AAT GTC TCC CAA GAG GCT ATC GCC ATC AAG CGG 960 Ala Gly Ser Gly His Asn Val Ser Gln Glu Ala Ile Ala Ile Lys Arg 305 310 315 320 ATG CTA GAG ATG GGA GCT GTC AAG AAC CTC ACA TAC TTC TGA 1002 Met Leu Glu Met Gly Ala Val Lys Asn Leu Thr Tyr Phe *** 325 330
【0074】 配列番号:3 配列の長さ:1212 配列の型:核酸 トポロジー:直鎖状 配列の特徴:α−2,6−(N)−SiaT遺伝子(ラット由来) 配列: ATG ATT CAT ACC AAC TTG AAG AAA AAG TTC AGC CTC TTC ATC CTG GTC 48 Met Ile His Thr Asn Leu Lys Lys Lys Phe Ser Leu Phe Ile Leu Val 5 10 15 TTT CTC CTG TTC GCA GTC ATC TGT GTT TGG AAG AAA GGG AGC GAC TAT 96 Phe Leu Leu Phe Ala Val Ile Cys Val Trp Lys Lys Gly Ser Asp Tyr 20 25 30 GAG GCC CTT ACA CTG CAA GCC AAG GAA TTC CAG ATG CCC AAG AGC CAG 144 Glu Ala Leu Thr Leu Gln Ala Lys Glu Phe Gln Met Pro Lys Ser Gln 35 40 45 GAG AAA GTG GCC ATG GGG TCT GCT TCC CAG GTT GTG TTC TCA AAC AGC 192 Glu Lys Val Ala Met Gly Ser Ala Ser Gln Val Val Phe Ser Asn Ser 50 55 60 AAG CAA GAC CCT AAG GAA GAC ATT CCA ATC CTC AGT TAC CAC AGG GTC 240 Lys Gln Asp Pro Lys Glu Asp Ile Pro Ile Leu Ser Tyr His Arg Val 35 70 75 80 ACA GCC AAG GTC AAA CCA CAG CCT TCC TTC CAG GTG TGG GAC AAG GAC 288 Thr Ala Lys Val Lys Pro Gln Pro Ser Phe Gln Val Trp Asp Lys Asp 85 90 95 TCC ACA TAC TCA AAA CTT AAC CCC AGG CTG CTG AAG ATC TGG AGA AAC 336 Ser Thr Tyr Ser Lys Leu Asn Pro Arg Leu Leu Lys Ile Trp Arg Asn 100 105 110 TAT CTG AAC ATG AAC AAA TAT AAA GTA TCC TAC AAG GGA CCG GGG CCA 384 Tyr Leu Asn Met Asn Lys Tyr Lys Val Ser Tyr Lys Gly Pro Gly Pro 115 120 125 GGA GTC AAG TTC AGC GTA GAA GCA CTG CGT TGC CAC CTT CGA GAC CAT 432 Gly Val Lys Phe Ser Val Glu Ala Leu Arg Cys His Leu Arg Asp His 130 135 140 GTG AAC GTG TCT ATG ATA GAG GCC ACA GAT TTT CCC TTC AAC ACC ACT 480 Val Asn Val Ser Met Ile Glu Ala Thr Asp Phe Pro Phe Asn Thr Thr 145 150 155 160 GAG TGG GAG GGT TAC CTG CCC AAG GAG AAC TTT AGA ACC AAG GTT GGG 528 Glu Trp Glu Gly Tyr Leu Pro Lys Glu Asn Phe Arg Thr Lys Val Gly 165 170 175 CCT TGG CAA AGG TGT GCC GTC GTC TCT TCT GCA GGA TCT CTG AAA AAC 576 Pro Trp Gln Arg Cys Ala Val Val Ser Ser Ala Gly Ser Leu Lys Asn 180 185 190 TCC CAG CTT GGT CGA GAG ATT GAT AAT CAT GAT GCA GTT CTG AGG TTT 624 Ser Gln Leu Gly Arg Glu Ile Asp Asn His Asp Ala Val Leu Arg Phe 195 200 205 AAT GGG GCC CCT ACC GAC AAC TTC CAA CAG GAT GTG GGC TCA AAA ACT 672 Asn Gly Ala Pro Thr Asp Asn Phe Gln Gln Asp Val Gly Ser Lys Thr 210 215 220 ACC ATT CGC CTA ATG AAC TCT CAG TTA GTC ACC ACA GAA AAG CGC TTC 720 Thr Ile Arg Leu Met Asn Ser Gln Leu Val Thr Thr Glu Lys Arg Phe 225 230 235 240 CTC AAG GAC AGT TTG TAC ACC GAA GGA ATC CTA ATT GTA TGG GAC CCA 768 Leu Lys Asp Ser Leu Tyr Thr Glu Gly Ile Leu Ile Val Trp Asp Pro 245 250 255 TCC GTG TAT CAT GCA GAT ATC CCA AAG TGG TAT CAG AAA CCA GAC TAC 816 Ser Val Tyr His Ala Asp Ile Pro Lys Trp Tyr Gln Lys Pro Asp Tyr 260 265 270 AAT TTC TTC GAA ACC TAT AAG AGT TAC CGA AGG CTG AAC CCC AGC CAG 864 Asn Phe Phe Glu Thr Tyr Lys Ser Tyr Arg Arg Leu Asn Pro Ser Gln 275 280 285 CCA TTT TAT ATC CTC AAG CCC CAG ATG CCA TGG GAA CTG TGG GAC ATC 912 Pro Phe Tyr Ile Leu Lys Pro Gln Met Pro Trp Glu Leu Trp Asp Ile 290 295 300 ATT CAG GAA ATC TCT GCA GAT CTG ATT CAG CCA AAT CCC CCA TCC TCC 960 Ile Gln Glu Ile Ser Ala Asp Leu Ile Gln Pro Asn Pro Pro Ser Ser 305 310 315 320 GGC ATG CTG GGT ATC ATC ATC ATG ATG ACG CTG TGT GAC CAG GTA GAT 1008 Gly Met Leu Gly Ile Ile Ile Met Met Thr Leu Cys Asp Gln Val Asp 325 330 335 ATT TAC GAG TTC CTC CCA TCC AAG CGC AAG ACG GAC GTG TGC TAT TAT 1056 Ile Tyr Glu Phe Leu Pro Ser Lys Arg Lys Thr Asp Val Cys Tyr Tyr 340 345 350 CAC CAA AAG TTC TTT GAC AGC GCT TGC ACG ATG GGT GCC TAC CAC CCG 1104 His Gln Lys Phe Phe Asp Ser Ala Cys Thr Met Gly Ala Tyr His Pro 355 360 365 CTC CTC TTC GAG AAG AAT ATG GTG AAG CAT CTC AAT GAG GGA ACA GAT 1152 Leu Leu Phe Glu Lys Asn Met Val Lys His Leu Asn Glu Gly Thr Asp 370 375 380 GAA GAC ATT TAT TTG TTT GGG AAA GCC ACC CTT TCT GGC TTC CGG AAC 1200 Glu Asp Ile Tyr Leu Phe Gly Lys Ala Thr Leu Ser Gly Phe Arg Asn 385 390 395 400 ATT CGT TGT TGA 1212 Ile Arg Cys ***
【図面の簡単な説明】
【図1】 糖鎖の側鎖形成におけるN−アセチルラクト
サミン繰り返し構造の生成過程での、ガラクトース転移
酵素(β−1,4−GalT)とN−アセチルグルコサ
ミン転移酵素i(iGnT)が触媒する転移反応を示す
図である。
【図2】 糖鎖の側鎖形成において、シアル酸転移酵素
(α−2,3−(N)−SiaTおよびα−2,6−
(N)−SiaT)が触媒する転移反応を示す図であ
る。
【図3】 α−2,3−(N)−SiaTおよびα−
2,6−(N)−SiaT転移反応の受容体糖鎖である
ジガラクトシルバイアンテナ型糖鎖を示す図である。
【図4】 GnT−V転移反応の受容体糖鎖であるアガ
ラクトシルバイアンテナ型糖鎖を示す図である。
【図5】 作製した細胞株が産生するIFN−γの構成
糖鎖の骨格構造を示す図である。
【図6】 ベクターpCXH1の作製方法を示す図であ
る。
【図7】 GnT−V発現ベクターpCXH1−hGn
T−Vの作製方法を示す図である。
【図8】 V26株産生IFN−γ糖鎖の逆相HPLC
クロマトグラムである。a.エンド−β−ガラクトシダ
ーゼ消化前のPA化糖鎖を分析したクロマトグラムであ
る。b.エンド−β−ガラクトシダーゼ消化後のPA化
糖鎖を分析したクロマトグラムである。矢印(↓)は、
N−アセチルラクトサミン繰り返し構造が側鎖に付加し
ている糖鎖の溶出位置を示すものである。
【図9】 ベクターpCXN2Zbの作製方法を示す図
である。
【図10】 α−2,3−(N)−SiaT発現ベクタ
ーpCXN2Zb−mα−2,3−SiaTの作製方法
を示す図である。
【図11】 α−2,6−(N)−SiaT発現ベクタ
ーpCXN2Zb−rα−2,6−SiaTの作製方法
を示す図である。
【図12】 GnT−V高発現細胞株であるV26株に
SiaT遺伝子(α−2,3−(N)−SiaTおよび
α−2,6−(N)−SiaT)を導入し高発現させた
V26/S3およびV26/S6株産生IFN−γ糖鎖
のシアル酸付加数を示すグラフである。図中、細かいド
ットはシアル酸不可数が0を、左斜線はシアル酸不可数
が1を、粗いドットはシアル酸不可数が2を、縦縞はシ
アル酸不可数が3を、右斜線はシアル酸不可数が4をそ
れぞれ示す。
【図13】 GnT−V高発現細胞株であるV26株に
SiaT遺伝子(α−2,3−(N)−SiaTおよび
α−2,6−(N)−SiaT)を導入し高発現させた
V26/S3およびV26/S6株産生IFN−γ糖鎖
の逆相HPLCクロマトグラムである。矢印(↓)は、
N−アセチルラクトサミン繰り返し構造が側鎖に付加し
ている糖鎖の溶出位置を示すものである。
【符号の説明】
GlcNAc:N−アセチル−D−グルコサミン Man:D−マンノース Gal:D−ガラクトース Glc:D−グルコース Fuc:L−フコース CMP:シトシン一リン酸 UDP:ウリジン二リン酸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C12P 21/02 C12R 1:91) (72)発明者 河野 直子 千葉県茂原市東郷1900番地の1 三井製薬 工業株式会社内 (72)発明者 谷川 峰子 千葉県茂原市東郷1144番地 三井化学株式 会社内 (72)発明者 槇野 正 千葉県茂原市東郷1144番地 三井化学株式 会社内 Fターム(参考) 4B024 AA01 BA10 BA25 CA04 DA02 EA04 GA14 HA01 HA06 4B064 AG12 BA13 BA14 CA10 CA19 CC24 CE12 DA01 4C084 AA03 AA06 AA07 BA34 CA56 DA24 NA14 ZB092 4H045 AA10 AA20 BA10 BA53 CA40 DA18 EA20 FA74 GA26 HA05

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 細胞により産生される糖タンパク質また
    は糖脂質の有する糖鎖におけるN−アセチルラクトサミ
    ン繰り返し構造の含有割合を減少させる方法であって、
    糖タンパク質または糖脂質を産生し得る細胞中のシアル
    酸転移酵素遺伝子の発現量を増加させ、該細胞内におけ
    るβ−1,3−N−アセチルグルコサミン転移酵素の活
    性に対するシアル酸転移酵素の相対活性を上昇させるこ
    とによって、該細胞から産生されるタンパク質または脂
    質に付加される糖鎖におけるN−アセチルラクトサミン
    繰り返し構造の含有割合を減少させる方法。
  2. 【請求項2】 シアル酸転移酵素が、N−アセチルラク
    トサミン繰り返し構造の起点となるガラクトースにシア
    ル酸を付加し得るシアル酸転移酵素であることを特徴と
    する請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 N−アセチルラクトサミン繰り返し構造
    の起点となるガラクトースにシアル酸を付加し得るシア
    ル酸転移酵素が、α−2,3−シアル酸転移酵素、CM
    P−sialic acid:Galβ1−4(3)G
    lcNAc−Rα−2,3−Sialyltransf
    eraseであることを特徴とする請求項2に記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 N−アセチルラクトサミン繰り返し構造
    の起点となるガラクトースにシアル酸を付加し得るシア
    ル酸転移酵素が、α−2,6−シアル酸転移酵素、CM
    P−sialic acid:Galβ1−4GlcN
    Ac−Rα−2,6−Sialyltransfera
    seであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 産生される糖タンパク質が、N−結合型
    糖鎖を有する糖タンパク質であることを特徴とする請求
    項1〜4の何れか一項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 N−結合型糖鎖を有する糖タンパク質
    が、インターフェロン−γであることを特徴とする請求
    項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 糖タンパク質または糖脂質を産生する細
    胞が、動物細胞であることを特徴とする請求項1〜6の
    何れか一項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 糖タンパク質または糖脂質を産生する動
    物細胞が、CHO(チャイニーズハムスター卵巣細胞)
    株またはこれに由来するものであることを特徴とする請
    求項7に記載の方法。
  9. 【請求項9】 真核細胞または該細胞から分化した組織
    または個体を用いて、糖タンパク質または糖脂質を製造
    する方法であって、以下の(a)〜(c)の工程より成
    ることを特徴とする糖鎖におけるN−アセチルラクトサ
    ミン繰り返し構造の含有割合が減少した糖タンパク質ま
    たは糖脂質の製造方法。 (a)真核細胞または該細胞から分化した組織または個
    体により産生される糖タンパク質または糖脂質の有する
    糖鎖におけるN−アセチルラクトサミン繰り返し構造の
    含有割合を減少させる工程であって、糖タンパク質また
    は糖脂質を産生し得る細胞中のシアル酸転移酵素遺伝子
    の発現量を増加させ、該細胞内におけるβ−1,3−N
    −アセチルグルコサミン転移酵素の活性に対するシアル
    酸転移酵素の相対活性を上昇させることによって、該細
    胞から産生されるタンパク質または脂質に付加される糖
    鎖におけるN−アセチルラクトサミン繰り返し構造の含
    有割合を減少させる工程、(b)該真核細胞又は組織を
    培地で培養して、糖タンパク質または糖脂質を該細胞中
    または該培地中に産生させるか、或いは、糖タンパク質
    または糖脂質を該個体の体内または分泌物中に産生させ
    る工程、(c)該真核細胞または組織の内部または該培
    地中に産生された糖タンパク質または糖脂質を回収する
    か、或いは、該個体の体内または分泌物中に産生された
    糖タンパク質または糖脂質を回収する工程。
  10. 【請求項10】 シアル酸転移酵素が、N−アセチルラ
    クトサミン繰り返し構造の起点となるガラクトースにシ
    アル酸を付加し得るシアル酸転移酵素であることを特徴
    とする請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 N−アセチルラクトサミン繰り返し構
    造の起点となるガラクトースにシアル酸を付加し得るシ
    アル酸転移酵素が、α−2,3−シアル酸転移酵素、C
    MP−sialic acid:Galβ1−4(3)
    GlcNAc−Rα−2,3−Sialyltrans
    feraseであることを特徴とする請求項10に記載
    の方法。
  12. 【請求項12】 N−アセチルラクトサミン繰り返し構
    造の起点となるガラクトースにシアル酸を付加し得るシ
    アル酸転移酵素が、α−2,6−シアル酸転移酵素、C
    MP−sialic acid:Galβ1−4Glc
    NAc−Rα−2,6−Sialyltransfer
    aseであることを特徴とする請求項10に記載の方
    法。
  13. 【請求項13】 産生される糖タンパク質が、N−結合
    型糖鎖を有する糖タンパク質であることを特徴とする請
    求項9〜12の何れか一項に記載の方法。
  14. 【請求項14】 産生される糖タンパク質が、インター
    フェロン−γであることを特徴とする請求項13に記載
    の方法。
  15. 【請求項15】 糖タンパク質または糖脂質を産生する
    細胞が、動物細胞であることを特徴とする請求項9〜1
    5の何れか一項に記載の方法。
  16. 【請求項16】 糖タンパク質または糖脂質を産生する
    動物細胞が、CHO(チャイニーズハムスター卵巣細
    胞)株またはこれに由来するものであることを特徴とす
    る請求項16に記載の方法。
  17. 【請求項17】 請求項9〜16の何れか一項に記載の
    方法により得ることのできる、糖鎖におけるNアセチル
    ラクトサミン繰り返し構造の含有割合が減少した糖タン
    パク質または糖脂質を有効成分として含有する医薬製
    剤。
  18. 【請求項18】 請求項9に記載の、糖鎖におけるN−
    アセチルラクトサミン繰り返し構造の含有割合が減少し
    たインターフェロン−γを有効成分として含有する医薬
    製剤。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007536345A (ja) * 2004-05-04 2007-12-13 ノボ ノルディスク ヘルス ケア アクチェンゲゼルシャフト O結合型糖鎖形成のポリペプチドおよび該ペプチドの製造方法
JP2013076629A (ja) * 2011-09-30 2013-04-25 Sumitomo Bakelite Co Ltd α2,6−シアロ糖鎖とα2,3−シアロ糖鎖とを識別する方法

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