JP2000283167A - 軸受け - Google Patents

軸受け

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JP2000283167A
JP2000283167A JP8488299A JP8488299A JP2000283167A JP 2000283167 A JP2000283167 A JP 2000283167A JP 8488299 A JP8488299 A JP 8488299A JP 8488299 A JP8488299 A JP 8488299A JP 2000283167 A JP2000283167 A JP 2000283167A
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carbon
bearing
composite material
sic
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English (en)
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Shigeru Hanzawa
茂 半澤
Kenji Nakano
健治 中野
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NGK Insulators Ltd
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NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 潤滑材を使用する必要が無く、かつ、高温、
高圧下といった悪作業環境下でも、短時間で摩耗したり
することもなく、また、悪使用環境によっても影響を実
質的に受けずに、要求性能を長時間保持することができ
る軸受けの提供。 【解決手段】 SiまたはCuを、特定の構成を有する
炭素繊維に含浸させることにより得られる、液体中の動
摩擦係数をピン・オン・ディスク法で測定するとき、最
大値が0.15以下で、変動幅が±0.075以下であ
る炭素繊維強化炭素複合材料から軸受けを製造すること
により上記課題を達成。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、異常環境下の液
体中で使用される、例えば、水温200℃前後の条件下
で使用される高圧ノンシールポンプや、金属溶湯内軸受
け等の様な、各種機器の軸受けに関する。
【0002】
【従来の技術】 油田等で使用されるキャンドモーター
ポンプの軸受け材としては、現在、炭素製のものや、炭
化珪素製の部材等が使用されている。しかし、使用中
に、軸受け材が高温の水分などの影響で膨潤してきて、
その摺動性が低下し、場合によっては、破損するため
に、いずれも、その寿命は約1月程度と短い。そのため
に、頻繁に交換しなければならず、交換作業も、悪環境
下で行うために、多大の経費と人員を割かなければなら
という問題があった。また、水中や油中以外でも、鋼板
のメッキ用のアルミ溶湯や亜鉛溶湯等の金属溶湯内での
軸受けも、貧酸素条件下とはいえ、高温下に曝されるた
めに、長期間の使用に耐え得る材料が未だ存在していな
いのが現状である。一方、深海の資源の有効利用の観点
からも、高圧下の作業環境で作業可能な各種機器の開発
も早急に求められているにもかかわらず、このような環
境下で使用可能な、摺動性が高く、耐摩耗性も高い部
材、特に、長寿命の軸受けが存在しなかったために、そ
の開発が遅れているのが現状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】 使用環境が液体中の
場合には、潤滑材を使用できず、軸受け用の部材として
使用可能な材料は自ずと制限される。従って、本発明の
目的は、液中では使用不可能な潤滑材を使用する必要も
無く、また、高温および/または高圧下といった悪作業
環境下でも、短時間で摩耗したりすることもなく、ま
た、上記のような悪使用環境においても実質的に影響を
受けず、要求性能を長時間保持することができる軸受け
を提供する目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の様
な現状に鑑みて種々検討した結果、液体中で使用可能な
各種機器用の軸受けとして、SiまたはCuを、特定の
構成を有する炭素繊維に含浸させることにより得られ
る、液体中の動摩擦係数をピン・オン・ディスク法で測
定するとき、最大値が0.15以下で、変動幅が±0.
075以下であるSiまたはCuを含浸させた複合材料
から製造することにより、上記の目的を達成することを
見いだして、本発明を完成させたものである。
【0005】
【発明の実施の形態】 本発明に係る軸受けは、Siま
たはCuを含浸させた複合材料から構成される。本発明
に係る軸受けを製造するに際しては、例えば、所望の形
状に成形したC/Cコンポジットあるいはその焼成体
を、以下に詳述する方法により、SiまたはCuを含浸
させることにより容易に製造できる。なお、Siまたは
Cuを含浸させた複合材料としては、炭素と、珪素と、
炭化珪素とから構成され、少なくとも炭素繊維の束と炭
素繊維以外の炭素成分とを含有するヤーンが層方向に配
向しつつ三次元的に組み合わされ、互いに分離しないよ
うに一体化されているヤーン集合体と、このヤーン集合
体中で隣り合う前記ヤーンの間に充填されているSi−
SiC系材料からなるマトリックスと有するSi−Si
C系複合材料、炭素繊維と炭素繊維以外の炭素成分とか
ら構成され、その一部分には炭化珪素が存在していても
よい骨格部と、骨格部の周囲に形成された、少なくとも
50%はβ型である炭化珪素からなるマトリックスとか
らなる構造を有するSiC−C/Cコンポジット複合材
料であって、二山型の平均気孔径の分布を有するSiC
系複合材料と、Cuを含浸させた複合材料が挙げられ
る。
【0006】 ところで、本発明に係る軸受けは、その
基本材質がC/Cコンポジットを形成している炭素繊維
から構成されている為に、潤滑性に富む。厳しい高温条
件下、例えば700℃を超える環境温度で使用しても、
非酸素雰囲気下であれば金属製部品と組み合わせて使用
しても特に問題を引き起こすことなく使用できる。ま
た、Siを含浸させたものは、少なくともその表面の一
部に、Si−C結合が形成されているので、C/Cコン
ポジットのみからなるものと比較して、摩擦による摩耗
に対して十分な耐性を示す。また、C/Cコンポジット
の炭素からなる表面も含浸金属で被覆されるので、酸素
濃度が比較的低い酸化雰囲気では、酸化による部材の減
量を充分に抑制することができ、特に、Siを含浸させ
たものは、一部にSiCが形成されているので、より好
適に使用できる。従って、使用環境に応じて、Si含浸
させた複合材料、または、Cuを含浸させた複合材料を
使い分けして、使用環境に応じた軸受けを製造すること
ができる。
【0007】 本発明に係る軸受けの基本素材として重
要なC/Cコンポジットについて先ず説明することとす
る。本明細書において、C/Cコンポジットとは、炭素
繊維の束のマトリックスとして作用する粉末状のバイン
ダーであって、焼成後には炭素繊維の束に対して遊離炭
素となるピッチ、コークス類を包含させ、さらに必要に
応じてフェノール樹脂粉末等を含有させることによっ
て、炭素繊維束を調製し、この炭素繊維束の周囲に、熱
可塑性樹脂等のプラスチックからなる柔軟な被膜を形成
し、柔軟性中間材としてのプレフォームドヤーンを得
る。このプレフォームドヤーンを、特開平2−8063
9号公報に記載されている方法によりシート状または織
布状にし、必要量を積層した後、ホットプレスで成形し
得られた成形体、または、この成形体を焼成して得られ
る焼成体をいう。
【0008】 基本素材として使用するC/Cコンポジ
ットとしては、直径が10μm前後の炭素繊維を、通
常、数百本〜数万本束ねて繊維束(ヤーン)を形成し、
この繊維束を熱可塑性樹脂で被覆して調製した柔軟性糸
状中間材を得、これを特開平2−80639号公報に記
載されている方法によりシート状にし、このシート状と
したものを二次元または三次元方向に配列して一方向シ
ート(UDシート)や各種クロスとしたり、また上記シ
ートやクロスを積層したりすることにより、所定形状の
予備成形体(繊維プリフォーム)を形成し、該予備成形
体の繊維束の外周に形成されている有機物からなる熱可
塑性樹脂等の被膜を焼成し、上記の同皮膜を炭化除去し
たものを使用すればよい。本発明に於いて使用するC/
Cコンポジットは、上記のヤーン中の炭素繊維以外の炭
素成分は、好ましくは炭素粉末であり、特に好ましくは
黒鉛化した炭素粉末である。なお、本明細書に於いて、
参考のために特開平2−80639号公報の記載を引用
する。
【0009】 本発明に係る軸受けの材料として使用可
能なSiを含浸させた複合材料の一つである、Si−S
iC系複合材料とは、55重量%〜75重量%の炭素
と、1重量%〜10重量%の珪素と、10重量%〜50
重量%の炭化珪素とから構成され、少なくとも炭素繊維
の束と炭素繊維以外の炭素成分とを含有するヤーンが層
方向に配向しつつ三次元的に組み合わされ、互いに分離
しないように一体化されているヤーン集合体と、このヤ
ーン集合体中で隣り合う前記ヤーンの間に充填されてい
るSi−SiC系材料からなるマトリックスとを備え、
液体中の動摩擦係数が、ピン・オン・ディスク法で測定
するとき、最大値が0.15以下で、変動幅が±0.0
75以下である複合材料をいう。この材料は、平成10
年9月4日付出願の特願平10−267462号に開示
された方法により製造することができる。従って、参考
のために特願平10−267462号の記載を引用す
る。
【0010】 なお、ここで、Si−SiC系材料と
は、未反応の状態で残存する珪素からなる珪素相からほ
ぼ純粋な炭化珪素に至るまでの、いくつかの相異なる相
を含む、典型的には珪素相と炭化珪素相からなるが、炭
化珪素相には、珪素の含有量が傾斜的に変化しているS
iC共存相を含みうるものをいう。従って、Si−Si
C系材料とは、このようにSi−SiC系列において、
炭素の濃度として、0mol%から50mol%までの
範囲以内で含まれてる材料の総称である。本発明に係る
Si−SiC系複合材料においては、マトリックス部が
Si−SiC系材料により形成されていることとなる。
【0011】 また、このSi−SiC系複合材料は、
好ましくは、ヤーンの表面から離れるのに従って珪素の
含有比率が上昇する傾斜組成を有するマトリックスを有
している。また、このSi−SiC系複合材料において
は、好ましくは、炭素繊維からなるヤーン集合体は、複
数のヤーン配列体から構成されており、各ヤーン配列体
はそれぞれ特定本数の炭素繊維を束ねて構成したヤーン
をほぼ平行に二次元的に配列することによって形成され
ており、各ヤーン配列体が積層されることによってヤー
ン集合体が構成されている。これによって、Si−Si
C系複合材料は、複数層のヤーン配列体を特定方向に積
層した積層構造を有することになる。
【0012】 図1は、ヤーン集合体の概念を説明する
ための概略斜視図であり、図2(a)は、Si−SiC
系複合材料を図1のIIa−IIa線で切断した場合の
断面図であり、図2(b)は、同材料を図1のIIb−
IIb線で切断した場合の断面図である。Si−SiC
系複合材料7の骨格は、ヤーン集合体6によって構成さ
れている。ヤーン集合体6は、ヤーン配列体1A、1
B、1C、1D、1E、1Fを上下方向に積層してな
る。各ヤーン配列体においては、各ヤーン3が二次元的
に配列されており、各ヤーンの長手方向がほぼ平行であ
る。上下方向に隣り合う各ヤーン配列体における各ヤー
ンの長手方向は、直交している。即ち、各ヤーン配列体
1A、1C、1Eの各ヤーン2Aの長手方向は、互いに
平行であり、かつ各ヤーン配列体1B、1D、1Fの各
ヤーン2Bの長手方向に対して直交している。各ヤーン
は、炭素繊維と、炭素繊維以外の炭素成分とからなる繊
維束3からなる。ヤーン配列体が積層されることによっ
て、三次元格子形状のヤーン集合体6が構成される。各
ヤーンは、後述するような加圧成形工程の間に押しつぶ
され、略楕円形になっている。
【0013】 各ヤーン配列体1A、1C、1Eにおい
ては、隣り合う各ヤーンの間隙には、マトリックス8A
が充填されており、各マトリックス8Aはヤーン2Aの
表面に沿ってそれと平行に延びている。各ヤーン配列体
1B、1D、1Fにおいては、隣り合う各ヤーンの間隙
には、マトリックス8Bが充填されており、各マトリッ
クス8Bは、ヤーン2Bの表面に沿ってそれと平行に延
びている。本例では、マトリックス8A、8Bは、それ
ぞれ、各ヤーンの表面を被覆する炭化珪素相4A、4B
と、炭化珪素相4A、4Bよりも炭素の含有割合が少な
いSi−SiC系材料相5A、5Bからなっている。炭
化珪素相中にも珪素を一部含有していてよい。また、本
例では、上下方向に隣接するヤーン2Aと2Bとの間に
も、炭化珪素相4A、4Bが生成している。各マトリッ
クス8Aと8Bとは、それぞれヤーンの表面に沿って細
長く、好ましくは直線状に延びており、各マトリックス
8Aと8Bとは互いに直交している。そして、ヤーン配
列体1A、1C、1Eにおけるマトリックス8Aと、こ
れに直交するヤーン配列体1B、1D、1Fにおけるマ
トリックス8Bとは、それぞれヤーン2Aと2Bとの間
隙部分で連続している。この結果、マトリックス8A、
8Bは、全体として、三次元格子を形成している。
【0014】 本発明に係る軸受けの材料として使用可
能なSiを含浸させた複合材料のもう一つの材料であ
る、SiC系複合材料とは、炭化珪素と炭素繊維と炭素
繊維以外の炭素成分とから構成され、骨格部と骨格部の
周囲に形成されマトリックスとからなる構造を有するS
iC−C/Cコンポジット複合材料であって、炭化珪素
の少なくとも50%はβ型で、骨格部は、炭素繊維と炭
素繊維以外の炭素成分により形成されており、その骨格
部の一部分には炭化珪素が存在していてもよく、マトリ
ックスは、炭化珪素により形成され、前記マトリックス
と前記骨格部とは一体的に形成されており、かつ、前記
複合材料は、二山型の平均気孔径の分布を有し、液体中
の動摩擦係数が、ピン・オン・ディスク法で測定すると
き、最大値が0.15以下で、変動幅が±0.075以
下である複合材料をいう。
【0015】 従って、このSiC系複合材料は、骨格
部として、各炭素繊維が炭素繊維束から構成されている
C/Cコンポジットを用いており、そのため、その一部
にSiCが形成されていても、各炭素繊維としては炭素
繊維としての構造が、破壊されることなく保持されてい
るために、全ての炭素繊維が炭化珪素化してしまうこと
がなく、それゆえ、炭素繊維が短繊維化することがない
ので、原料であるC/Cコンポジットの有する機械的強
度がほぼ保持されるか、炭化珪素化により増大するとい
う大きな特徴を有している。しかも、ヤーン集合体中で
隣り合うヤーンの間に、SiC系材料からなるマトリッ
クスが形成された複合構造を有している。この点で、上
記のSiC−C系複合材料とは異なる。なお、この材料
は、平成11年2月9日付出願の特願平11−3197
9号に開示された方法により製造することができる。従
って、参考のために特願平11−31979号の記載を
引用する。
【0016】 なお、本発明において、SiC系材料と
は、炭素との結合度を異にする炭化珪素を含有する材料
をいい、このSiC系材料は以下のようにして製造され
るものをいう。本発明では、C/Cコンポジットに対し
て、金属珪素を含浸させるが、その際、金属珪素はコン
ポジット内の炭素繊維を構成する炭素原子および/また
は炭素繊維の表面に残存している遊離炭素原子と反応
し、一部が炭化されるために、C/Cコンポジットの最
表面や炭素繊維からなるヤーンとヤーンとの間には、一
部炭化された珪素が生成し、かくして上記のヤーンとヤ
ーンとの間には炭化珪素からなるマトリックスが形成さ
れる。
【0017】 このマトリックスにおいては、極微量の
珪素と炭素とが結合したが炭化珪素質の相から、純粋な
炭化珪素結晶相に至るまで、いくつかの相異なる相を含
みうる。しかし、このマトリックスには、X線による検
出限界(0.3重量%)以下の金属珪素しか含まれな
い。つまり、このマトリックスは、典型的には炭化珪素
相からなるが、炭化珪素相には、珪素の含有量が傾斜的
に変化しているSiC質相を含みうる。従って、SiC
系材料とは、このようなSiC系列において、炭素の濃
度として、少なくとも0.01mol%以上から50m
ol%までの範囲以内で含まれてる材料の総称である。
なお、炭素濃度が、0.01mol%未満に制御するに
は、C/Cコンポジット中の遊離炭素の量とに関係で、
添加する金属珪素の量の厳密な計量が要求されること
と、後述する最終工程での温度管理が複雑になるので実
質的でない。従って、理論的には、炭素濃度を0.00
1mol%程度まで制御することは可能である。
【0018】 このSi系複合材料について、図面を使
用してさらに説明することとする。このSiC系複合材
料の骨格部も、基本的には図1に示したものと同じであ
る。本発明に係るSiC系複合材料を、図1においての
IIa−IIa線で切断した場合の断面図は、図3
(a)、同じく図1においてのIIb−IIb線で切断
した場合の断面図は、図3(b)として示す。SiC系
複合材料17の骨格は、SiC−C系複合材料7の骨格
と同様に、ヤーン集合体16によって構成されている。
ヤーン集合体16は、ヤーン配列体11A、11B、1
1C、11D、11E、11Fを上下方向に積層してな
る。各ヤーン配列体においては、各ヤーン13が二次元
的に配列されており、各ヤーンの長手方向がほぼ平行で
ある。上下方向に隣り合う各ヤーン配列体における各ヤ
ーンの長手方向は、直交している。すなわち、各ヤーン
配列体11A、11C、11Eの各ヤーン12Aの長手
方向は、互いに平行であり、かつ各ヤーン配列体11
B、11D、11Fの各ヤーン12Bの長手方向に対し
て直交している。各ヤーンは、炭素繊維と、炭素繊維以
外の炭素成分とからなる繊維束13からなる。ヤーン配
列体が積層されることによって、三次元格子形状のヤー
ン集合体16が構成される。各ヤーンは、後述するよう
な加圧成形工程の間に押しつぶされ、やや楕円形になっ
ている。
【0019】 各ヤーン配列体11A、11C、11E
においては、隣り合う各ヤーンの間隙には、マトリック
ス18Aが充填されており、各マトリックス18Aはヤ
ーン12Aの表面に沿ってそれと平行に延びている。各
ヤーン配列体11B、11D、11Fにおいては、隣り
合う各ヤーンの間隙には、マトリックス18Bが充填さ
れており、各マトリックス18Bは、ヤーン12Bの表
面に沿ってそれと平行に延びている。図3(a)および
図3(b)に示したように、マトリックス18A、18
Bは、それぞれ、各ヤーンの表面を被覆する炭化珪素相
14からなっている。炭化珪素相の一部は、小突起部1
9として表面に突出するか、あるいは、複合部材の内部
においては、炭素繊維層に突出していてもよい。この様
な小突起部の内部には、中央値が約100μmの孔径を
有する気孔(空隙:15)が形成されている。なお、こ
の小突起部19は、殆どが原料のC/Cコンポジットの
炭素繊維以外の炭素成分からなるマトリックスの跡に沿
って形成されるので、ヤーンとヤーンとの間隔および/
またはヤーン配列体とヤーン配列体との間隔を適宜選択
することにより、単位面積当たりの小突起部19の密度
を調整することが可能である。隣接するヤーン12Aと
12Bとの間にも、炭化珪素相14が形成されていても
よい。
【0020】 各マトリックス18Aと18Bとは、そ
れぞれヤーンの表面に沿って細長く、好ましくは直線状
に延びており、各マトリックス18Aと18Bとは互い
に直交している。そして、ヤーン配列体11A、11
C、11Eにおけるマトリックス18Aと、これに直交
するヤーン配列体11B、11D、11Fにおけるマト
リックス18Bとは、それぞれヤーン12Aと12Bと
の間隙部分で連続している。この結果、マトリックス1
8A、18Bは、全体として、三次元格子を形成してい
る。
【0021】 本発明に係る軸受けの材料として使用可
能なCuを含浸させた複合材料とは、炭素繊維と炭素繊
維以外の炭素成分とから構成された骨格部と、同骨格部
の周囲にCuを含浸させて形成したCuからなるマトリ
ックスとからなる複合材料であって、炭素が35重量%
〜85重量%を占め、残部が、最大1重量%迄の銅と炭
素繊維との濡れ性改良材としてのBe、Al、Si、M
g、TiおよびNiと、不可避的不純物であるCa、A
g、Cd、Zn、Au、Pd、Ga、Pt、Cr、G
e、Rh、Sb、Ir、Co、As、Zr、Fe、S
n、Ni、P、Pb等を含んでいてもよい、Cuまたは
銅合金であり、前記マトリックスと前記骨格部とは一体
的に形成されており、かつ、液体中の動摩擦係数が、ピ
ン・オン・ディスク法で測定するとき、最大値が0.1
5以下で、変動幅が±0.075以下である複合材料を
いう。
【0022】 従って、このCuを含浸させた複合材料
は、骨格部として、各炭素繊維が炭素繊維束から構成さ
れているC/Cコンポジットを用いており、炭素繊維と
しての構造が、破壊されることなく保持されているため
に、原料であるC/Cコンポジットの有する機械的強度
がほぼ保持されているという特徴を有している。しか
も、ヤーン集合体中で隣り合うヤーンの間に、Cuから
なるマトリックスが形成された複合構造を有している。
なお、この材料は、平成10年9月18日付出願の特願
平10−265131号明細書に開示された方法により
製造することができる。従って、参考のために特願平1
0−265131号の記載を引用する。
【0023】 上記の3種類の複合材料は、いずれも、
摺動性が良好であり、耐摩耗性も高く、高温および/ま
たは高圧下等という悪環境条件下に曝される作業現場に
おいても物性の変化が長期間に亘って実質的になく、一
年を超える長期間このような条件下に曝されても、連続
使用が可能であり、従って、交換作業の頻度を著しく低
減させることができる。また、高い耐摩耗性を有するこ
とから、装着されている作業機器の内部などを摩擦によ
り発生する粉塵などで汚染することが実質的にないとい
う優れた部材であるということができる。
【0024】 次に、図4に示したような形状を有する
軸受けを製造し、これをキャンドモーターポンプに装着
させて、軸受けの寿命を試験した結果を以下に示す。ま
た、液体中動摩擦係数を以下の方法により、軸受けの材
料の一部を試験試料として用いて試験した。
【0025】(ピン・オン・ディスク動摩擦係数測定
法)図5に示す共和技研製の試験板を用いた試験装置を
水中にセットし、この装置を使用して、下記の製造例1
で得られた試料から調製した試験試料の液体中の動摩擦
係数を測定した。 ピ ン 形 状 : 直径4mm×長さ20mm 回 転 数 : 1000rpm 荷 重 : 15kgf/cm2 摺 動 時 間 : 10分 摺動回転半径 : 8mm 摺 動 距 離 : 503m
【0026】(軸受けの製造例1)炭素繊維を一方向に
引き揃えたものにフェノール樹脂を含浸させ、直径10
μmの炭素長繊維を約1万本束ね、繊維束(ヤーン)を
得、このヤーンを簾状にしたヤーン配列体(プリプレグ
シート)を作り、これを図1のように配列し、プリプレ
グシート積層体を得た。かくして得たプリプレグシート
積層体を直径が25mmの円柱状の型に巻き付け、この
上から炭素系接着剤を塗布し、ヤーン同士を固着した。
固着後、型から固着体を離型させ、離型させた円筒状の
プリプレグシート積層体をオーブン中に入れ、含浸させ
たフェノール樹脂を180℃、常圧で硬化させた後、窒
素雰囲気中で2000℃で焼成した。次いで得られた炭
素繊維強化炭素複合材料に純度99.9%、平均粒径1
mmのSi粉末を添加し、このものを炉内温度1300
℃、炉内圧1hPaの焼成炉内に入れ、炉内に毎分アル
ゴンガスを20NLの割合で流しながら、4時間保持し
た。次いで、炉内圧はそのままとし、炉内温度を160
0℃に昇温させて、Siを含浸させた。かくして、S
i、Si−C、炭素繊維からなるSi−SiC系複合材
料を得た。得られた焼成体を切断、外周加工して、長さ
が40mm、孔の内径が23mm、外周径が55mmの
軸受けを製造した。
【0027】 なお、かくして得られた材料の一部か
ら、直径4mm×長さ20mmのピンを試験試料として
切り出し、これを用いて、液体中の動摩擦係数を測定し
た。その結果は、同一の材料を、大気中で測定したとき
の動摩擦係数の測定結果と共に、図6として示す。20
0mm以上もの距離を移動した後でも、動摩擦係数の変
動は殆ど認められず、また、最大値も、0.12以下で
あり、その平均は0.08で、何れの変動も±0.07
5の範囲内であった。
【0028】(軸受けの製造例2)Cu粉末を含浸させ
るに際して、製造例1と同様にプリプレグシート積層体
を用い調製した円筒状のプリプレグシート積層体をオー
ブン中に入れ、同積層体に含浸させたフェノール樹脂を
180℃、常圧で硬化させた後、窒素雰囲気中で200
0℃で焼成させて得た焼成体を用い、この焼成体とCu
粉末を相互に接触させずに同一炉内で加熱し、Cu粉末
が溶融した時点で、両者を接触させると共に、同時に高
圧力を掛けて溶融した銅を焼成体に含浸させ、直ちに冷
却して製造した以外は上記製造例1と同様にして軸受け
を製造した。
【0029】(実装試験)製造例1で製造した軸受け
を、高圧型キャンドモーターポンプ(日揮装社製多段
式)に装着し、水温200℃に保った試験槽内で、約1
ヶ月間作動させた後分解し、検査したが、全く軸受けに
は異常は認められなかった。
【0030】
【発明の効果】本発明に係る軸受けの場合には、高温、
および/または高圧条件下においての耐摩耗性、摺動性
において著しく優れており、液体中という悪環境条件下
でも、その動摩擦係数の変動の幅が低いことから、この
ような悪条件下でも長時間使用可能である。勿論、耐摩
耗性に優れていることから、摩擦による摩耗が少ないの
で、摩耗により生じる粉塵の発生が実質的になく、結果
として低汚染性となり、また、C/Cコンポジットを母
材としていることから、軽量であり、エネルギーの損失
が少なく、省エネルギーの要請にも沿う。さらに、母材
がC/Cコンポジットであるため、靭性に富み、優れた
耐衝撃性、高硬度性を有する。従って、高温、高圧下で
使用されることとなる各種作業機器用の軸受けとして、
極めて有望であることは明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の軸受けに使用する複合材料の基本構
造をなすヤーン集合体の構造を模式的に示す斜視図であ
る。
【図2】 (a)は、Si−SiC系複合材料を図1の
IIa−IIa線で切断した場合の断面図であり、
(b)は、同材料を図1のIIb−IIb線で切断した
場合の断面図である。
【図3】 (a)は、SiC系複合材料を図1のIIa
−IIa線で切断した場合の断面図であり、(b)は、
同材料を図1のIIb−IIb線で切断した場合の断面
図である。
【図4】 本発明に係る軸受けの構造を示す斜視図であ
る。
【図5】 ピン・オン・ディスク回転摩擦係数測定に使
用する装置の模式図である。
【図6】 ピン・オン・ディスク回転摩擦係数の測定結
果を示すチャートである。
【符号の説明】
1A、1B、1C、1D、1Eおよび1F…ヤーン配列
体、2A…ヤーン、2B…ヤーン、3…繊維束(ヤー
ン)、4A…炭化珪素相、4B…炭化珪素相、4C…炭
化珪素相、5A…Si−SiC系材料相、5B…Si−
SiC系材料相、5C…Si−SiC系材料相、6…ヤ
ーン集合体、7…繊維複合材料、8A…マトリックス、
8B…マトリックス、11A、11B、11C、11
D、11Eおよび11F…ヤーン配列体、12A…ヤー
ン、12B…ヤーン、13…繊維束(ヤーン)、14…
炭化珪素相、15…空隙、16…ヤーン集合体、17…
繊維複合材料、18A…マトリックス、18B…マトリ
ックス、19…小突起部、21…試験板、22…試験ピ
ン。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体中の動摩擦係数が、ピン・オン・デ
    ィスク法で測定するとき、最大値が0.15以下で、変
    動幅が±0.075以下であることを特徴とする、Si
    またはCuを含浸させた複合材料からなる、液体中で使
    用可能な機器の軸受け。
  2. 【請求項2】 上記複合材料がSiを含浸させた複合材
    料であることを特徴とする請求項1に記載の軸受け。
  3. 【請求項3】 上記Siを含浸させた複合材料がSi−
    SiC系複合材料であることを特徴とする請求項2に記
    載の軸受け。
  4. 【請求項4】 上記Siを含浸させた複合材料がSiC
    系複合材料であることを特徴とする請求項2に記載の軸
    受け。
  5. 【請求項5】 上記複合材料がCuを含浸させた複合材
    料であることを特徴とする請求項1に記載の軸受け。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2013533920A (ja) * 2010-06-10 2013-08-29 フェデラル−モーグル ヴィースバーデン ゲーエムベーハー 無鉛滑り軸受

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