JP2000283060A - ギアロータ、ギアロータセットおよびその製造方法 - Google Patents

ギアロータ、ギアロータセットおよびその製造方法

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JP2000283060A
JP2000283060A JP11091362A JP9136299A JP2000283060A JP 2000283060 A JP2000283060 A JP 2000283060A JP 11091362 A JP11091362 A JP 11091362A JP 9136299 A JP9136299 A JP 9136299A JP 2000283060 A JP2000283060 A JP 2000283060A
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mold
rotor
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tooth
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Katsuyoshi Kondo
勝義 近藤
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04CROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; ROTARY-PISTON, OR OSCILLATING-PISTON, POSITIVE-DISPLACEMENT PUMPS
    • F04C2230/00Manufacture
    • F04C2230/20Manufacture essentially without removing material
    • F04C2230/22Manufacture essentially without removing material by sintering

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた経済性のもとで創製することのできる
アルミニウム粉末合金製のギアロータセットとその製造
方法とを提供する。 【解決手段】 圧粉成形されたアルミニウム粉末からな
るギアロータ成形体を焼結することにより、ギアロータ
焼結体を形成する焼結工程と、このギアロータ焼結体を
ギアロータの形状を有する金型に挿入し加圧固化してギ
アロータを焼成する温間圧縮工程と、そのギアロータを
金型から取出す離型工程とを備えている。温間圧縮工程
では、金型の内壁面に所定のカルボン酸を含む水溶液を
塗布した後に、ギアロータ焼結体をその金型に挿入す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はギアロータ、ギアロ
ータセットおよびその製造方法に関し、特に、エンジン
潤滑用、オートマチックトランスミッション(AT)用
または燃料供給用などのオイルポンプに用いられる内接
ギアタイプのアルミニウム粉末合金からなるギアロー
タ、ギアロータセットおよびその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
よりエンジンやATに用いられているオイルポンプのオ
イルポンプケースには鋳鉄が適用され、また、ギアロー
タセットには鉄系焼結体が適用されている。近年、軽量
化の観点から、アルミニウム合金の適用が検討されてい
る。その際に、オイルポンプの心臓部でもある鉄系ギア
ロータセットについてもアルミニウムの適用が要求され
ている。
【0003】オイルポンプ内には、150℃を超える潤
滑油が循環するため、オイルポンプ全体の温度が上昇す
る。その結果、ポンプケースとギアロータセットとの材
料の違いによる熱膨張率の差が大きい場合には、両者の
クリアランスが増加し、オイルポンプの容積効率が低下
する問題が生じる。したがって、ポンプケースにアルミ
ニウム合金を適用する場合には、熱膨張率を同じにする
といった観点から、ギアロータセットについてもアルミ
ニウム合金を適用する必要がある。
【0004】これまで、歯型形状部がトロコイド曲線、
インボリュート曲線、ハイポサイクロイド曲線のいずれ
かを基調としたインナーロータおよびアウターロータか
らなる内接ギアタイプのギアロータセットについて、ア
ルミニウム合金の適用を図るために、いくつかの焼結ア
ルミニウム合金およびその製造方法が提案されている。
【0005】たとえば、代表的なものとして第1の従来
技術(特開昭60−128983号公報)、第2の従来
技術(特開平2−169881号公報)、第3の従来技
術(特開平4−99204号公報)、第4の従来の技術
(特開平6−17993号公報)および第5の従来技術
(特開平11−2189号公報)などがある。
【0006】しかしながら、上述した第1〜第5の従来
技術により創製したアルミニウム合金製のギアロータセ
ットにおいては、それぞれ次のような課題がある。
【0007】まず第1の従来技術においては、ギアロー
タセットの全体、すなわちインナーロータおよびアウタ
ーロータの両者を、焼結アルミニウム合金で創製する方
法を提案している。なお、ここで示す焼結アルミニウム
合金とは、所定の組成を有するアルミニウム合金粉末を
型押・成形した後に加熱・焼結を施したもの、あるい
は、必要に応じてその焼結アルミニウム合金にサイジン
グやコイニングなどの再圧縮を施したものを意味してお
り、後述する熱間鍛造法や熱間押出法といった高温にお
ける塑性変形加工により相対密度をできる限り100%
に近づけたアルミニウム粉末合金とは区別される。
【0008】このような焼結アルミニウム合金からギア
ロータセットを創製した場合には、エンジン潤滑用のオ
イルポンプのように、低トルクが作用するオイルポンプ
への適用が可能である。一方、AT用のオイルポンプの
場合では、特に、インナーロータは駆動軸(シャフト)
により回転する。その際に、シャフトと接触するインナ
ーロータの内径部分には、シャフトからの高い応力が作
用し、摩耗損傷が生じる。このため、インナーロータに
は、摩耗損傷を低減するため高強度および高硬度が要求
される。したがって、比較的低い強度の焼結アルミニウ
ム合金では、高いトルクが作用するオイルポンプ用ギア
ロータセットへの適用が困難となる。
【0009】また、インナーロータおよびアルミニウム
合金からなるポンプケースと高速で摺動するアウターロ
ータでは、ポンプケースと摺動する外周面と、インナー
ロータと摺動する歯型の歯先部とにおいて、相手材との
焼付き摩耗現象が生じやすい。このため、アウターロー
タには、優れた耐焼付き性が要求される。
【0010】一方、熱間鍛造法や熱間押出法等により創
製されたアルミニウム粉末合金は、高い強度を有してい
る。このため、機械的強度の観点から、上述したAT用
オイルポンプのギアロータセットに、そのようなアルミ
ニウム粉末合金を適用することが十分可能である。
【0011】たとえば、第2〜第4の従来技術では、図
5〜図7にそれぞれ示すように、熱間鍛造法、熱間押出
法または直接温間粉末成形法によりギアロータセットを
製造する製造方法が公開されている。しかしながら、熱
間鍛造法や熱間押出法等によってギアロータセットを創
製する場合には、インナーロータおよびアウターロータ
を、十分に高い寸法精度をもって創製することは非常に
困難である。
【0012】このため、インナーロータおよびアウター
ロータの歯型形状部のすべては、切削・研削・エンドミ
ル・放電加工および研磨等の機械加工によって創製せざ
るを得ない。その結果、インナーロータおよびアウター
ロータの製造コストが上昇し、経済性の面において問題
が生じた。
【0013】そこで、本発明者らは、これらの課題を鑑
みて、第5の従来の技術を提案した。この方法では、図
8に示すように、優れた耐焼付き性が要求されるアウタ
ーロータに対しては、適切な空孔率を有する焼結アルミ
ニウム合金を適用する。空孔を有する焼結アルミニウム
合金では、その空孔に油を嵌入させることにより、耐焼
付き性が改善される。
【0014】一方、高い硬度・剛性が要求されるインナ
ーロータには、熱間鍛造法や熱間押出法等により創製し
た高い強度を有するアルミニウム粉末合金を素材として
適用した。そして、そのインナーロータの歯型部分のみ
に機械加工を施して高い寸法精度に仕上げた。これによ
り、本発明者らは、焼付き現象や凝着摩耗といった問題
が生じることなく、アルミニウム粉末合金からなる内接
タイプのギアロータセットを創製できることを見い出
し、従来より軽量のアルミニウム合金製オイルポンプを
実現することができた。
【0015】しかしながら、上述した第5の従来技術で
は、インナーロータの歯型部分を形成するために依然と
して機械加工が必要とされる。このため、経済性の観点
から、さらなる製造コストの低減に対しては、このイン
ナーロータの歯型部分の機械加工も省略することが重要
な課題である。
【0016】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであり、1つの目的は、優れた経済性のもと
で創製することのできるアルミニウム粉末合金製のギア
ロータおよびギアロータセットを提供することであり、
他の目的は、そのようなギアロータの製造方法を提供す
ることである。
【0017】
【課題を解決するための手段】発明の構成と作用 本発明者らは、種々の実験および検討を行なった結果、
アウターロータおよびインナーロータの双方の歯型部分
において、機械加工を施すことなしに高い寸法精度と良
好な表面の粗さとが得られ、しかも、熱間鍛造法や熱間
押出法によって得られるものと同等の高い硬度と耐摩耗
性が得られる、アルミニウム粉末合金製のギアロータセ
ットを優れた経済性のもとで製造できる製造方法を発明
した。本発明の構成は以下のとおりである。
【0018】本発明の1つの局面におけるギアロータ
は、温間圧縮により、周部に歯型形状部を有する所定形
状に成型された焼結アルミニウム合金からなるギアロー
タある。その歯型形状部の表面では、温間圧縮後の表面
がそのまま残っている。
【0019】その歯型形状部の周方向における表面の粗
さは、日本工業規格(JIS B0601)による十点
平均粗さの値で8μm以下であることが好ましい。
【0020】また、焼結アルミニウム合金の空孔率は2
容積%以下であることが好ましい。さらに、焼結アルミ
ニウム合金のマイクロビッカース硬度の値は180mH
v以上270mHv以下であることが好ましい。
【0021】本発明の他の局面におけるギアロータセッ
トは、温間圧縮により所定形状に成型された焼結アルミ
ニウム合金からなるギアロータセットである。このギア
ロータセットは、歯型形状部を内周部に有するアウター
ロータと、そのアウターロータ内に配置され、歯型形状
部を外周部に有するインナーロータとを備えている。ア
ウターロータの歯型形状部およびインナーロータの歯型
形状部の表面では、温間圧縮後の表面がそのまま残って
いる。
【0022】本発明のさらに他の局面におけるギアロー
タの製造方法は、周部に歯型形状部形状を有するギアロ
ータの製造方法であって、焼結工程と温間圧縮工程と離
型工程とを備えている。焼結工程では、アルミニウム合
金粉末を焼結することにより、ギアロータ焼結体を形成
する。温間圧縮工程では、ギアロータ焼結体を、ギアロ
ータの形状を有する金型に挿入し、加圧固化してギアロ
ータを成型する。離型工程では、ギアロータを金型から
取外す。そして温間圧縮工程では、金型の内壁面に、カ
ルボン酸を主成分として含み、黒鉛、ボロンナイトライ
ドおよび硫化モリブデンからなる郡から選ばれる少なく
ともいずれか1つの潤滑成分を有する水溶液を塗布した
後に、ギアロータ焼結体を金型に挿入する。
【0023】ギアロータ焼結体を金型に挿入する直前の
ギアロータ焼結体の温度は480℃以上580℃以下で
あることが好ましい。
【0024】さらに、ギアロータ焼結体を金型に挿入す
る直前のギアロータ焼結体の温度は520℃以上560
℃以下であることが好ましい。
【0025】温間圧縮工程における金型の温度は100
℃以上300℃以下であることが好ましい。
【0026】さらに、温間圧縮工程における金型の温度
は150℃以上250℃以下であることが好ましい。
【0027】水溶液では、水溶液の全体に対して、黒鉛
は0.5体積%以上3.0体積%以下であり、ボロンナ
イトライドは0.5体積%以上5.0体積%以下であ
り、硫化モリブデンは、0.5体積%以上2.0体積%
以下であることが好ましい。
【0028】また、焼結工程における加熱温度は520
℃以上560℃以下であることが好ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る製造方法およ
びその製造方法によって得られたギアロータセットに関
する特徴について詳細に説明する。本発明に係るギアロ
ータの製造方法の工程の一例を図1に示す。以下、この
工程に基づいて説明する。
【0030】(1) 原料粉末 本発明で用いる出発原料粉末は、アルミニウムを主成分
として噴霧法で作製されるアルミニウム合金粉末であ
る。組成および粒子径に関する制約はない。ただし、平
均粒子径は50μm以上が好ましい。これは、アルミニ
ウム粉末の流動性が向上して金型へのアルミニウム粉末
の均一な充填がなされ、その結果、圧粉成形体の重量ば
らつき(全長方向の寸法ばらつき)が減少するからであ
る。
【0031】圧粉成形体を金型から取外す際の離型剤に
ついては、金型の内壁面に離型剤を塗布する方法であっ
てもよいし、また、離型剤を原料粉末に混合して使用し
てもよい。ただし、原料粉末に離型剤を混合する場合に
は、その離型剤の添加量は原料粉末の全体に対して1重
量%以上3重量%以下が好ましい。これは、離型剤の添
加量が1重量%未満であれば、成形時におけるアルミニ
ウム粉末と金型の内壁面との凝着が生じるからである。
一方、離型剤の添加量が3重量%を超えると、圧粉成形
体の強度が低下して、圧粉成形体を搬送する際のハンド
リング性が低下するからである。
【0032】(2) 成形工程 (圧粉成形) 上述した原料粉末をアウターロータおよびインナーロー
タ形状を有する金型内にそれぞれ充填して圧縮すること
により、それぞれの形状を有したギアロータ成形体を成
形する。その際の成形体の真密度比は75重量%以上9
0重量%以下であることが望ましい。これは、真密度比
の値が75重量%未満では成形体の強度が低下するから
である。
【0033】一方、真密度比の値が90重量%を超える
と、加熱により離型剤を除去する際に、連結空孔が少な
いために離型剤が成形体から脱離せずに、内部に残存す
るからである。
【0034】また、後工程である温間圧縮工程におい
て、高い寸法精度の歯型部分を創製するといった観点か
らも、成形体中の空孔率の管理も重要になる。つまり、
温間圧縮工程では、加圧・圧縮により焼結体中の空孔が
変形あるいは閉鎖されることによって、ロータの歯型部
分が金型に沿って変形して高い寸法精度が確保される。
このため、金型内においてこのような寸法矯正処理が施
される前のギアロータ焼結体には、適正量の空孔が存在
していることが必要である。したがって、成形体中の空
孔率を管理する必要がある。
【0035】具体的には、成形体の真密度比が75重量
%以上90重量%以下であることが好ましい。これは、
真密度比の値が90重量%を超えると温間圧縮工程にお
いて、十分に変形するために必要な空孔がないために高
い寸法精度のギアロータを創製することができなくなる
からである。
【0036】一方、真密度比の値が75重量%未満であ
れば、温間圧縮工程後におけるギアロータ内の空孔率が
2容積%を超えるために、ギアロータの強度・硬度・耐
摩耗性などが低下するからである。
【0037】なお、以上のようにアルミニウム粉末合金
製のギアロータを金型内で加圧・圧縮することにより、
その歯型部分が寸法矯正される際に、金型の内壁と焼結
体表面との焼付き、焼結体素材の割れ、損傷を回避する
ためには、温間圧縮工程前のギアロータ焼結体が金型形
状に可能な限り近い形状・寸法を有していることが好ま
しい。つまり、ギアロータ焼結体が、いわゆるニア・ネ
ット・シェイプ(NearNet Shape)素材であることが好
ましい。したがって、原料粉末から圧粉成形体を成形す
るための金型についても、アウターロータおよびインナ
ーロータのそれぞれの形状に適したニア・ネット・シェ
イプ成形体を作製できる金型を使用することが望まし
い。
【0038】(3) 焼結工程 アウターロータ成形体およびインナーロータ成形体を、
不活性ガスまたは非酸化性ガス雰囲気中で、温度480
℃以上580℃以下のもとで加熱することにより、アル
ミニウム粉末同士が焼結・結合する。その結果、後述す
る温間圧縮工程において、金型と焼結体との焼付き・凝
着現象を抑制することができる。酸化性雰囲気中で加熱
・焼結したり、または、焼結温度が480℃よりも低い
場合には、アルミニウム粉末同士が焼結・結合しない。
【0039】このような焼結体を温間圧縮工程において
圧縮すると、焼結体が分断・破壊されて、それを構成す
る粉末が単独で存在するようになる。その粉末が金型と
焼結体との間に介在して、両者の間で焼付き・凝着現象
が誘発されて、寸法精度や面粗度が劣化する。したがっ
て、不活性ガスまたは非酸化性ガス雰囲気中で、温度4
80℃以上に加熱・保持することにより、アルミニウム
粉末同士の焼結現象を促進させることが必要である。
【0040】一方、焼結温度が580℃を超えると、急
冷凝固法による微細組織が粗大化して、硬度や強度が低
下する。その結果、焼結体の耐摩耗性が低下する。した
がって、焼結温度は580℃以下とする必要がある。
【0041】ただし、本発明者らは、可能な限り微細な
急冷凝固組織を保持しつつ、アルミニウム合金粉末同士
を焼結・結合させるための、より好ましい焼結温度とし
ては520℃以上560℃以下であることを見い出し
た。
【0042】(4) 予備加熱工程 上記焼結工程を経て得られたアウターロータ焼結体およ
びインナーロータ焼結体を、所定の温度域に加熱して、
続く温間圧縮工程において真密度比の値が98重量%以
上になるように固化する。その際に、予備加熱温度が4
80℃よりも低い場合には、焼結体の変形抵抗が大きい
ために、焼結体中の空孔率が2容積%以下に緻密化でき
ない問題が生じる。また、焼結体が金型に沿って変形し
ないために歯型部分をはじめ各部位において、高い寸法
精度が確保されない問題が生じる。
【0043】一方、予備加熱温度が580℃を超える
と、急冷凝固組織が損なわれて、強度・硬度・耐摩耗性
等の機械的特性が低下する。特に、硬度において、ギア
ロータセットに要求されるマイクロビッカース硬度の値
(180mHv〜270mHv)を大きく下回る問題が
生じる。したがって、予備加熱温度は480℃以上58
0℃以下が好ましい。特に、高い寸法精度と微細な急冷
凝固組織との両立を実現させる観点からは、予備加熱温
度は520℃以上560℃以下がさらに好ましい。
【0044】なお、上述した焼結工程を終了した直後の
所定の温度域に加熱されたギアロータ焼結体を、後述す
る温間圧縮工程に直接搬送して、所定の温度域で圧縮・
固化することによって空孔率2容積%以下のギアロータ
セットを成形することも可能である。この場合には、予
備加熱工程を省略できるといった経済性の効果も得られ
る。
【0045】(5) 温間圧縮工程 上述した所定の温度域に加熱されたギアロータ焼結体
を、それぞれのギアロータ形状を有する加熱された閉塞
金型に挿入して加圧固化する。その際に、金型の内壁面
に塗布する潤滑離型剤の種類と、金型の温度を適正範囲
内に管理することによって、金型の壁面と焼結体との焼
付き、かじり現象を抑えるとともに、高い寸法精度と良
好な表面の粗さを有し、かつ、熱間鍛造法によって作製
した場合と同等の表層部の強度・硬度・耐摩耗性を有す
るギアロータセットを創製することができる。このこと
が、本発明の最大の特徴である。なお、以下、表面の粗
さを面粗度という。良好な表面の粗さとは、低い面粗度
のことをいう。
【0046】具体的には、温間圧縮工程における金型温
度を100℃以上300℃以下に保持する。金型の内壁
面にカルボン酸を含む水溶液を主成分として、黒鉛、ボ
ロンナイトライド(BN)および硫化モリブデン(Mo
2 )のうち少なくともいずれか1つの潤滑成分を含む
離型剤水溶液を塗布する。その後、480℃以上580
℃以下に加熱されたギアロータ焼結体を金型に挿入して
加圧固化する。これにより、高い寸法精度が要求される
歯型部分を、この温間圧縮工程で成形することが可能に
なる。
【0047】金型の温度が100℃よりも低い温度であ
れば、加熱されたギアロータ焼結体と金型の壁面との間
で焼付き・かじりが生じることはなく、歯型部分におけ
る面粗度の値も日本工業規格(JIS B 0601)
による十点平均粗さの値(Rz)で1〜2μmであり極
めて良好な値を示す。しかしながら、ギアロータ焼結体
が金型の壁面と接触することで、ギアロータ焼結体の表
層部の温度が低下するために、圧縮時における加圧力に
よってアルミニウム粉末同士が十分に結合せずに、表層
部の硬度・強度および耐摩耗性が低下する。
【0048】一方、金型の温度が300℃を超える場合
には、金型の内壁面に上述した潤滑離型剤水溶液を塗布
しても、ギアロータ焼結体と金型の壁面との間で焼付き
やかじり現象が生じて、高い寸法精度の歯型部分を成形
することが困難になる。特に、ギアロータの歯型部分に
おいて圧縮方向に対して略垂直な方向、すなわち、ギア
ロータの円周方向における歯型部分の面粗度の値が、上
記日本工業規格による十点平均粗さの値(Rz)で8μ
mを超えてしまう。
【0049】このため、ギアロータセットとして回転す
る際に、歯型部分に摩耗損傷が生じてギアロータセット
として成立しなくなる。したがって、金型の温度は10
0℃以上300℃以下が好ましい。
【0050】さらには、水溶性の潤滑離型剤を早期に乾
燥させてプレスサイクルを短縮させるためには、金型の
温度は150℃以上が望ましい。一方、金型の温度が2
50℃以下であれば、加熱オイルを循環させることで比
較的安価な金型加熱装置を用いて温度管理を行なうこと
ができる。このことから、金型の温度は150℃以上2
50℃以下に管理することがより望ましいといえる。
【0051】潤滑離型剤に関して、従来の技術では、ス
テアリン酸や油脂系を主とした潤滑剤が適用されてい
た。本発明では、ギアロータの表面の荒れを抑えるため
に、金型の内壁面上により低温域で潤滑皮膜を形成し、
離型性に優れ、しかも温間圧縮後のギアロータの外観が
良好となるように、可能な限り黒色系の成分を抑えるよ
うな潤滑離型剤を選定した。
【0052】具体的には、カルボン酸を含む水溶液を主
成分として、黒鉛、ボロンナイトライド(BN)および
硫化モリブデン(MoS2 )のうち少なくともいずれか
1つの潤滑成分を含むものを用いた。これら潤滑成分の
量は、潤滑離型剤の水溶液全体に対して、黒鉛は0.5
体積%以上3.0体積%以下、ボロンナイトライドは
0.5体積%以上5.0体積%以下、硫化モリブデンは
0.5体積%以上2.0体積%以下とした。つまり、こ
の潤滑離型剤は、水溶液を塗布することにより速乾性に
優れている。
【0053】また、この潤滑離型剤では、黒鉛、ボロン
ナイトライドまたは硫化モリブデンなどの潤滑成分を含
むことにより、金型の壁面にこれらの潤滑皮膜が形成さ
れ、さらにカルボン酸が加熱されたギアロータ焼結体と
接触することでガス化(気化)して温間圧縮後のギアロ
ータ焼結体が金型から離型する際の摩擦抵抗が減少す
る。その結果、ギアロータ焼結体と金型の壁面との焼付
きやかじり現象が生じることなく、ギアロータの表面の
荒れを抑えることが可能になる。
【0054】ここで、十分な潤滑皮膜を形成するために
潤滑成分である黒鉛、ボロンナイトライド、硫化モリブ
デンは、潤滑離型剤の水溶液全体に対して0.5体積%
以上必要である。また、黒鉛は3体積%、ボロンナイト
ライドは5体積%、硫化モリブデンは2体積%を超えて
含有しても、潤滑効果は顕著には向上せず、逆に、黒鉛
や硫化モリブデンでは、ギアロータの外観が黒くなると
いった問題が生じる。また、ボロンナイトライドや硫化
モリブデンでは、高価なために経済性の問題が生じる。
【0055】なお、いずれの潤滑成分も混合して添加す
ることも可能であり、たとえば、黒鉛0.5体積%とボ
ロンナイトライド0.5体積%とを混合したカルボン酸
水溶液も同様の効果を有する。
【0056】また、この温間圧縮工程で用いる金型の材
質としては、SKD11などの鋼材も適用することがで
きるが、ギアロータの面粗度を改善する観点からは、超
硬製金型を使用することがより望ましい。
【0057】(6) ギアロータの特性 以上の工程を経て得られたアルミニウム粉末合金製のギ
アロータセット1を有するオイルポンプ4を図2に示
す。図2を参照して、アウターロータ1aおよびインナ
ーロータ1bは、ポンプケース1c内に配設されてい
る。インナーロータ1bには回転駆動軸2が取付けられ
ている。
【0058】このアウターロータ1aおよびインナーロ
ータ1bは、熱間鍛造法または熱間押出法等によって創
製されたギアロータと同等の機械的特性を有している。
しかも、本ギアロータセット1では、各ギアロータ1
a、1bの歯型部分について機械加工を施すことなし
に、ギアロータとして機能上満足する寸法精度と面粗度
とが得られている。つまり、完成した各ギアロータ1
a、1bの歯型部分の表面では、温間圧縮工程後の表面
がそのまま残っている。この点において、本ギアロータ
セットは、熱間鍛造法等によって成形され、機械加工が
施される前の従来のギアロータセットの中間生成物とは
区別される。
【0059】具体的には、アウターロータ1aおよびイ
ンナーロータ1bのそれぞれの空孔率は2容積%以下で
あり、マイクロビッカース硬さの値が180mHv以上
270mHv以下である。
【0060】また、それぞれの歯型部分の面粗度に関し
ては、各ギアロータ1a、1bの円周方向において上記
日本工業規格による十点平均粗さの値(Rz)が8μm
以下である。空孔率の値が2容積%を超える場合には、
特にギアロータの歯型部分の表層域において焼付きやピ
ッチングといった摩耗損傷が生じる。また、マイクロビ
ッカース硬さの値が180mHvよりも小さければ、ポ
ンプケースとギアロータとの焼付き現象が発生する。
【0061】一方、マイクロビッカース硬さの値が27
0mHvを超えると、ギアロータがポンプケースを攻撃
するといった問題が生じる。また、歯型部分の面粗度が
8μmを超えると、アウターロータの歯型の山の部分と
以上の歯型の山の部分が接触した際に、摩耗が生じてギ
アロータセットとして成立しなくなる。さらに、摩耗粉
がオイルポンプ以外の機構、たとえば、電子制御バルブ
等に侵入することによって、バルブの摩耗や焼付きが誘
発される。
【0062】なお、上述したように、本発明では、アウ
ターロータ1aおよびインナーロータ1bに使用するア
ルミニウム粉末合金の合金組成についての制約は特にな
い。アルミニウム粉末合金としては、元素として、S
i、Fe、Ni、Cr、Cu、Mg等を含有し、残部が
Alである。また、必要に応じてAlN、Al2 3
SiCなどの窒化物、酸化物、炭化物の硬質粒子を含有
する焼結体を適用することも可能である。
【0063】さらに、ギアロータセット1を収容するア
ルミニウム合金製のポンプケース3に関しても、その合
金組成および機械的特性上の制約はなく、ダイキャスト
などの量産工法により製造されたポンプケースを適用す
ることができる。
【0064】
【実施例】実施例1 平均粒子径52μmのアルミニウム合金粉末(組成:A
l−10重量%Si−5重量%Fe−6重量%Ni−
3.5重量%Cu−1重量%Mg−2重量%Cr−1重
量%Mo−0.7重量%Zr−0.5重量%Mn)を出
発原料粉末とした。この原料粉末に圧粉成形用潤滑離型
剤として、ステアリン酸亜鉛粉末を重量基準で1%添加
・混合した。
【0065】歯数10のアウターロータ(外径:φ84
mm、厚み10mm)と歯数9のインナーロータ(厚み
10mm)を成形するための成形用金型を準備した。上
記の混合粉末をそれぞれの成形用金型内に充填し、面圧
684MPaにて圧粉成形して真密度比80〜82重量
%の圧粉成形体 (ギアロータ成形体) を作製した。
【0066】この圧粉成形体を、窒素ガス雰囲気中で温
度530℃にて1時間の焼結工程を施すことにより、ア
ウターロータ焼結体およびインナーロータ焼結体を作製
した。このアウターロータ焼結体およびインナーロータ
焼結体を、予備加熱工程において温度540℃にて5分
間加熱保持した。
【0067】その後、直ちにアウターロータ焼結体およ
びインナーロータ焼結体を、それぞれのロータ焼結体に
適した形状・寸法を有する温間圧縮用閉塞金型内に挿入
して、面圧786MPaにて加圧することにより、アル
ミニウム粉末合金製のアウターロータおよびインナーロ
ータを成形した。
【0068】ここで用いた温間圧縮工程の条件を表1に
示す。なお、ギアロータ焼結体を予備加熱している間
に、温間圧縮用の閉塞金型の内壁面に潤滑離型剤を塗布
した。その潤滑離型剤が十分乾燥した後に、アウターロ
ータ焼結体およびインナーロータ焼結体をそれぞれ挿入
した。
【0069】なお、表1における潤滑離型剤中の潤滑成
分の含有量は、潤滑離型剤の全体に対する体積基準で表
示されている。さらに、温間圧縮工程を経て得られたイ
ンナーロータおよびアウターロータの歯型部分の外観、
面粗度、表面の硬さ(ロックウェルBスケールおよびマ
イクロビッカース)の測定結果を表2に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】表1および表2を参照して、本発明例N
o.1〜6では、温間圧縮工程における金型温度を適正
範囲に管理し、本発明が提案する潤滑離型剤を使用する
ことで、金型の壁面と焼結体との焼付き、かじり現象が
生じることなく、良好な面粗度と硬度とを有するアルミ
ニウム合金粉末製のギアロータセットを成形することが
できる。
【0073】一方、比較例No.7〜11では、以下の
ような問題が生じた。比較例No.7および比較例N
o.8では、金型の温度が低いために、金型と接するギ
アロータ焼結体の歯型部分の表層域の硬度が低下した。
比較例No.9および比較例No.10では、カルボン
酸水溶液中に所定量の潤滑成分が含まれないために、ギ
アロータ焼結体と金型の壁面との間でかじり現象が生じ
て、ギアロータの歯型部分の面粗度が劣化した。比較例
No.11では、金型の温度が適正範囲を超えて高いた
めに、ギアロータ焼結体と金型の壁面との間で焼付きや
かじり現象が生じて、ギアロータの歯型部分の面粗度が
劣化した。
【0074】実施例2 実施例1に示した条件と同一の条件により、真密度比8
0〜82重量%のギアロータ成形体を、窒素ガス雰囲気
中で温度530℃にて1時間焼結することにより、アウ
ターロータ焼結体およびインナーロータ焼結体を作製し
た。このアウターロータ焼結体およびインナーロータ焼
結体を、表3に示す温度条件のもとで予備加熱を施し
た。
【0075】その後直ちに、それぞれのギアロータ焼結
体に適した形状・寸法を有する温間圧縮用の閉塞金型内
にアウターロータ焼結体およびインナーロータ焼結体を
それぞれ挿入し、面圧786MPaにて加圧することに
より、アルミニウム粉末合金製のアウターロータおよび
インナーロータを創製した。
【0076】ここでは、潤滑離型剤として、カルボン酸
を含む水溶液にボロンナイトライドを添加した水溶液を
用いた。なお、ボロンナイトライドは水溶液の全体に対
して1.0体積%とした。この水溶液を温間圧縮用金型
の内壁面に塗布して乾燥した後に、アウターロータ焼結
体およびインナーロータ焼結体を挿入した。
【0077】温間圧縮工程における金型の温度200℃
とした。温間圧縮工程を経て得られたインナーロータお
よびアウターロータのそれぞれの歯型部分の分割密度の
平均値から空孔率を算出した。また、歯型部分の円周方
向の面粗度および表面の硬さ(マイクロビッカース硬
度)を測定した。これらの結果を表3に示す。
【0078】
【表3】
【0079】表3を参照して、本発明例No.1〜5で
は、予備加熱工程におけるアウターロータ焼結体および
インナーロータ焼結体の加熱および金型の温度を適正範
囲に管理し、また本発明の提案する潤滑離型剤を使用す
ることにより、金型の壁面と焼結体との焼付きやかじり
現象が生じることなく、アルミニウム合金粉末製のギア
ロータを創製することができた。
【0080】このアルミニウム合金製のギアロータで
は、空孔率はいずれも2容積%以下となって十分に緻密
化されていることがわかった。また、歯型部分が良好な
面粗度および硬度を有していることがわかった。
【0081】一方、比較例No.6〜8では、以下のよ
うな問題が生じた。比較例No.6では、予備加熱工程
における焼結体の温度が低いために、アルミニウム合金
粉末同士が十分に結合しなかった。その結果、アルミニ
ウム粉末合金の緻密化が抑制され、空孔率が3.2容積
%となり、ギアロータの歯型部分の表層域の硬度が低下
した。比較例No.7では、予備加熱工程における焼結
体の温度が適正範囲を超えて高くなったために、ギアロ
ータ焼結体と金型の壁面との間でかじり現象が生じて、
ギアロータの歯型部分の面粗度が劣化するとともに、急
冷凝固組織が損なわれて硬度が低下した。比較例No.
8では、予備加熱工程における焼結体の温度がその融点
を超えたために液相が出現して、ギアロータを作製する
ことができなかった。
【0082】実施例3 実施例1の表3に示された本発明例No.3、5および
比較例No.9、11の条件にて作製したアルミニウム
粉末合金製のギアロータセットを、ADC12製ポンプ
ケースに装着してポンプ性能試験を実際に行なった。
【0083】試験条件として、圧力を1.5MPa、回
転数を5500rpm、時間を2時間とした。そして、
試験後のギアロータの外観を調査した。その結果、本発
明の規定する面粗度の範囲(8μm以下)を満足する本
発明例No.3および5では、ギアロータセットの歯型
部分でのピッチングによるり摩耗損傷やケースとの焼付
き現象が生じていないことが判明した。また、試験前後
における容積効率の低下も見られず、ポンプとして十分
満足する結果が得られた。
【0084】一方、比較例No.9および11では、歯
型部分の面粗度が8μmを超えるために、歯型部分にお
いてピッチング摩耗が生じていることがわかった。ま
た、ギアロータセットとケース材との焼付き現象が発生
して、ポンプの容積効率が低下することが確認された。
【0085】実施例4 実施例2の表3に示された本発明例No.5および比較
例No.7の条件にて作製したアルミニウム粉末合金製
のギアロータセットをADC12製ポンプケースに装着
してポンプ性能試験を実際に行なった。
【0086】試験条件として、圧力を1.5MPa、回
転数を5500rpm、時間を2時間とした。試験後の
ギアロータの外観を調査した。その結果、本発明の規定
する硬度(180〜270mHv)を満足している本発
明例No.5の場合では、ギアロータセットの歯型部分
におけるピッチングによる摩耗損傷やケースとの焼付き
現象が生じないことが確認された。また、試験前後にお
けるポンプの容積効率の低下も見られず、ポンプとして
十分満足する結果が得られた。
【0087】一方、比較例No.7では、ギアロータセ
ットの硬度が180mHvを下回るために、歯型部分に
おけるピッチング摩耗やケース材との焼付き現象が生じ
て、ポンプの容積効率が低下することが確認された。
【0088】実施例5 実施例1の表1に示された本発明例No.4の条件で作
製したギアロータの歯型部分の表層域を光学顕微鏡によ
り観察した結果を図3(a)、(b)に示す。また、比
較のために、同表1の比較例No.7の場合の結果を図
4(a)、(b)に示す。
【0089】図3を参照して、本発明例では、ギアロー
タの歯型部分の表層域においてもアルミニウム粉末同士
が緻密に結合して空孔が存在しないことがわかる。一
方、図4を参照して、比較例では金型の温度が低いため
にアルミニウム合金粉末同士が十分に結合しておらず、
旧粉末粒界も明瞭に観察された。また、表層から内部に
かけて空孔が存在していることがわかる。
【0090】この結果より、温間圧縮工程において本発
明が規定する適正範囲内に金型温度を管理することによ
って、温間圧縮後におけるギアロータの表層部では、粉
末同士の結合性も良好であり空孔が生じないことが確認
された。
【0091】
【発明の効果】本発明によれば、アウターロータおよび
インナーロータの双方の歯型部分において機械加工を施
すことなしに高い寸法精度と良好な面粗度とが得られる
とともに、熱間鍛造法や熱間押出法によって得られるア
ルミニウム粉末合金と同等の高い硬度、強度および耐摩
耗性が得られる。その結果、アルミニウム粉末合金製の
ギアロータセットを経済性よく提供することができる。
【0092】このようなアルミニウム粉末合金製のギア
ロータセットを、アルミニウム化が要求されているトラ
ンスミッション(AT)用または燃料供給用などのオイ
ルポンプ本体に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る製造方法の工程を示す図である。
【図2】本発明に係るギアロータセットを備えたオイル
ポンプの一断面図である。
【図3】本発明に係るギアロータの歯型部分の光学顕微
鏡写真であり、(a)は、その表層部分の写真であり、
(b)は(a)に示す白枠内の拡大写真である。
【図4】比較のための従来のギアロータの歯型部分の光
学顕微鏡写真であり、(a)はその表層部分の写真であ
り、(b)は(a)に示す白枠内の拡大写真である。
【図5】第2の従来技術における工程を示す図である。
【図6】第3の従来技術における工程を示す図である。
【図7】第4の従来技術における工程を示す図である。
【図8】第5の従来技術における工程を示す図である。
【符号の説明】
1 ギアロータセット 1a アウターロータ 1b インナーロータ 2 回転駆動軸 3 ポンプケース 4 オイルポンプ

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温間圧縮により、周部に歯型形状部を有
    する所定形状に成型された焼結アルミニウム合金からな
    るギアロータであって、 前記歯型形状部の表面では、前記温間圧縮後の表面がそ
    のまま残っている、ギアロータ。
  2. 【請求項2】 前記歯型形状部の周方向における表面の
    粗さが、日本工業規格(JIS B 0601)による
    十点平均粗さの値で8μm以下である、請求項1記載の
    ギアロータ。
  3. 【請求項3】 前記焼結アルミニウム合金の空孔率が2
    容積%以下である、請求項1または2に記載のギアロー
    タ。
  4. 【請求項4】 マイクロビッカース硬度の値が180m
    Hv以上270mHv以下である、請求項1〜3のいず
    れかに記載のギアロータ。
  5. 【請求項5】 温間圧縮により所定形状に成型された焼
    結アルミニウム合金からなるギアロータセットであっ
    て、 歯型形状部を内周部に有するアウターロータと、 前記アウターロータ内に配置され、歯型形状部を外周部
    に有するインナーロータとを備え、 前記アウターロータの前記歯型形状部と前記インナーロ
    ータの前記歯型形状部の表面では、前記温間圧縮後の表
    面がそのまま残っている、ギアロータセット。
  6. 【請求項6】 周部に歯型形状部を有するギアロータの
    製造方法であって、 アルミニウム合金粉末を焼結することにより、ギアロー
    タ焼結体を形成する焼結工程と、 前記ギアロータ焼結体を、ギアロータの形状を有する金
    型に挿入し、加圧固化してギアロータを成型する温間圧
    縮工程と前記ギアロータを、前記金型から取外す離型工
    程とを備え、 前記温間圧縮工程では、前記金型の内壁面に、カルボン
    酸を主成分として含み、かつ、黒鉛、ボロンナイトライ
    ドおよび硫化モリブデンからなる群から選ばれる少なく
    ともいずれか1つの潤滑成分を含む潤滑水溶液を塗布し
    た後に、前記ギアロータ焼結体を前記金型に挿入する、
    ギアロータの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記ギアロータ焼結体を前記金型に挿入
    する直前の、前記ギアロータ焼結体の温度は480℃以
    上580℃以下である、請求項6記載のギアロータの製
    造方法。
  8. 【請求項8】 前記ギアロータ焼結体を前記金型に挿入
    する直前の、前記ギアロータ焼結体の温度は520℃以
    上560℃以下である、請求項7記載のギアロータの製
    造方法。
  9. 【請求項9】 前記温間圧縮工程における、前記金型の
    温度は100℃以上300℃以下である、請求項6〜8
    のいずれかに記載のギアロータの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記温間圧縮工程における、前記金型
    の温度は150℃以上250℃以下である、請求項9記
    載のギアロータの製造方法。
  11. 【請求項11】 前記潤滑水溶液では、前記潤滑水溶液
    の全体に対して、黒鉛は0.5体積%以上3.0体積%
    以下であり、ボロンナイトライドは0.5体積%以上
    5.0体積%以下であり、硫化モリブデンは、0.5体
    積%以上2.0体積%以下である、請求項6〜10のい
    ずれかに記載のギアロータの製造方法。
  12. 【請求項12】 前記焼結工程における加熱温度は、5
    20℃以上560℃以下である、請求項6〜11のいず
    れかに記載のギアロータの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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