JP2000282186A - 延性および耐リジング性に優れたフェライト系ステンレス鋼板 - Google Patents

延性および耐リジング性に優れたフェライト系ステンレス鋼板

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JP2000282186A
JP2000282186A JP8864999A JP8864999A JP2000282186A JP 2000282186 A JP2000282186 A JP 2000282186A JP 8864999 A JP8864999 A JP 8864999A JP 8864999 A JP8864999 A JP 8864999A JP 2000282186 A JP2000282186 A JP 2000282186A
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stainless steel
ductility
less
ferritic stainless
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Hiroki Ota
裕樹 太田
Yasushi Kato
康 加藤
Takumi Ugi
工 宇城
Susumu Sato
佐藤  進
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 良好な延性と、優れた耐リジング性をもち成
形後の優れた表面品質とを有するフェライト系ステンレ
ス鋼板を提供する。 【解決手段】 フェライト系ステンレス鋼において、
N:0.03〜0.055 mass%を含み、N/C:0.5 以上で、
かつγP = 647×C−11.5×Si+ 7.0×Mn−478 ×Al+
36×Ni−11.5×Cr−57×V−60×Nb+ 437×N+ 173
(ここに、C、Si、Mn、Al、Ni、Cr、V、Nb、N:各元
素の含有量(mass%))で定義されるγP 値が30〜55を
満足する組成とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物の外装材、
厨房器具、化学プラント、貯水槽等の使途に好適なフェ
ライト系ステンレス鋼板に係り、とくに、延性に優れ、
かつ加工後の表面性状が良好なフェライト系ステンレス
鋼板に関する。なお、本発明でいう鋼板は、鋼板、鋼帯
を含むものとする。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼板は、表面が美麗で耐食性
が優れているため、建築物の外装材、厨房器具、化学プ
ラント、貯水槽などの使途に幅広く使用されている。と
くに、オーステナイト系ステンレス鋼板は、延性に優
れ、リジングの発生もなくプレス成形性に優れているこ
とから、上記した用途に幅広く用いられてきた。
【0003】一方、フェライト系ステンレス鋼板は、鋼
の高純度化技術の進歩により、成形性が改善され、最近
では、SUS 304 、SUS 316 などのオーステナイト系ステ
ンレス鋼板に代わり上記した用途への適用が検討されて
いる。これは、フェライト系ステンレス鋼が有する特
徴、例えば、熱膨張係数が小さく、応力腐食割れ感受性
が小さく、しかも高価なNiを含まないため安価であると
いった長所が、広く知られるようになってきたからであ
る。
【0004】しかし、成形加工品への適用を考えた場
合、このフェライト系ステンレス鋼板は、オーステナイ
ト系ステンレス鋼板に比べて延性に乏しく、また、リジ
ングと呼ばれる加工品表面での凹凸が生じて、成形加工
品の美観を損ね、表面研磨の負荷を増大させるという問
題があった。このため、フェライト系ステンレス鋼板の
一層の用途拡大のために、延性の向上と耐リジング性の
改善が要求されていた。
【0005】このような要求に対し、例えば、特開昭52
-24913号公報には、C:0.03〜0.08%、N:0.01%以
下、Al:2×N%以上0.2 %以下を含有させた加工性に
優れたフェライト系ステンレス鋼が提案されている。特
開昭52-24913号公報に記載された技術では、C、N含有
量を低減し、さらにAlをN含有量の2倍以上添加するこ
とにより、結晶粒の微細化を図り、延性、r値(ランク
フォード値)、耐リジング性を向上させるとしている。
【0006】特開昭54-112319 号公報には、(C+
N):0.02〜0.06%、Zr:0.2 〜0.6 %を含有し、Zr:
10(C+N)±0.15%とすることにより、延性、r値を
向上させたプレス成形性に優れた耐熱フェライト系ステ
ンレス鋼が提案されている。特開昭57-70223号公報に
は、sol Al:0.08〜0.5 %、およびB、Ti、Nb、V、Zr
の1種または2種以上を含有するフェライト系ステンレ
ス鋼スラブを熱間圧延したのち、冷間圧延し、ついで最
終焼鈍する加工性に優れたフェライト系ステンレス薄鋼
板の製造方法が提案されている。
【0007】しかしながら、特開昭52-24913号公報、特
開昭54-112319 号公報、特開昭57-70223号公報に記載さ
れた技術では、主として延性とr値の向上を目的として
おり、(1)低Cおよび低Nを前提としているため、製
鋼工程でのコスト増が避けられないこと、(2)Al、Ti
といった元素を添加するため、鋼中の介在物量が増し、
これに起因した表面欠陥の発生が避けられないこと、
(3)加工性には大きな改善が認められるものの、耐リ
ジング性の点では十分でないため、プレス成形などの加
工を施す場合には、成形品の表面美観が低下し、美観向
上のための研磨を必要とし、研摩負荷が増大しコストが
上昇すること、などの問題があった。
【0008】また、特開昭59-193250 号公報には、C:
0.02%以下、N:0.03%以下とし、V:0.5 〜5.0 %を
含有する耐食性に優れたフェライト系ステンレス鋼が提
案されている。特開昭59-193250 号公報に記載されたフ
ェライト系ステンレス鋼では、V添加により耐食性、と
くに耐応力腐食割れ性が顕著に向上するとされている。
しかし、特開昭59-193250 号公報に記載されたフェライ
ト系ステンレス鋼では、延性についての配慮は全くされ
ておらず、延性に問題を残していた。
【0009】また、特開平1-201445公報には、P、Sお
よびO含有量を低減し、C:0.07%以下、Al:0.2 %以
下、N:0.15%以下を含有し、(C+N)量をCr量との
関係を適正化して加工性および耐食性を向上させたフェ
ライト系ステンレス鋼が提案されている。また、特開平
1-201445公報に記載された技術では、(C+N)量とCr
量との関係を制限することなく、Mo:40S%〜2.0 %、
Ti:20S%〜0.5 %、Nb:20S%〜0.5 %、V:20S%
〜0.5 %、Zr:20S%〜0.5 %、B:0.010 %以下のう
ちの1種または2種以上を含有することにより、固溶
C、N量を共に低減でき、加工性および耐食性が向上す
るとされる。特開平1-201445公報に記載された技術で
は、AlあるいはさらにTi、Zr等を添加するため、鋼中の
介在物量が増し、これに起因した表面欠陥の発生が避け
られないことに加えて、耐リジング性の改善が不十分で
あるなどの問題が残されていた。
【0010】特開平7-34205 号公報には、C:0.05%以
下、N:0.10%以下、S:0.03%以下とし、Ca:5 〜50
ppm 、Al:0.5 %以下、P:0.04%超〜0.20%を含有す
る耐候性、耐隙間腐食性に優れたフェライト系ステンレ
ス鋼が提案されている。しかしながら、特開平7-34205
号公報に記載されたフェライト系ステンレス鋼は、P含
有量が高く、しかも、Ca、Alを多量に含んでいるため、
耐食性の改善は認められるが、延性の改善が不十分であ
り、また介在物量が増加し表面欠陥の発生が避けられな
い等の問題が残されていた。
【0011】また、特開平8-92652 公報には、プレス加
工性に優れた表面硬さの高いフロッピーディスクセンタ
−コア用フェライト系ステンレス鋼板の製造方法が記載
されている。特開平8-92652 公報に記載されたフェライ
ト系ステンレス鋼板は、C:0.01〜0.10%、N:0.01〜
0.10%、Mn:0.1 〜2.0 %、とし、不純物であるP、
S、Si、Al、Niの含有量を規制したフェライト系ステン
レス鋼板である。しかしながら、特開平8-92652 公報に
記載されたフェライト系ステンレス鋼板では、最終冷延
での表面粗さの調整を必要とし、工程が複雑になるう
え、成形性が不十分であり、更なる改善が要望されてい
た。
【0012】なお、耐リジング性の改善には、例えば、
特開平10-53817号公報に記載されているように、熱間圧
延における強圧下が有効である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】このように、上記した
従来技術では、低コストでかつ表面品質と延性を両立さ
せたフェライト系ステンレス鋼板の製造は不可能であっ
た。本発明は、上記した従来技術の問題を解決し、良好
な延性と、優れた耐リジング性をもち成形後の優れた表
面品質を有するフェライト系ステンレス鋼板を提供する
ことを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
課題を達成するために、延性、耐リジング性を支配する
因子について鋭意検討を重ねた。その結果、本発明者ら
は、フェライト系ステンレス鋼にNを0.03〜0.055 ma
ss%と積極的に含有させることにより耐リジング性が顕
著に向上すること、および、フェライト系ステンレス
鋼の耐リジング性と延性(伸び)は、Nを含め各成分の
含有量を用いて定義されるγP 値によりよく整理でき、
組成をγP 値が30〜55の範囲となるように調整すること
により、延性と耐リジング性がともに向上することを見
いだした。
【0015】また、N含有量とC含有量との比、N/C
を0.5 以上に調整することにより、さらに延性と耐リジ
ング性が向上することを見いだした。本発明は、上記し
た知見に基づいて完成されたものである。すなわち、本
発明は、N:0.03〜0.055 mass%を含み、N/C:0.5
以上で、かつ次(1)式 γP = 647×C−11.5×Si+ 7.0×Mn−478 ×Al+36×Ni−11.5×Cr−57×V −60×Nb+ 437×N+ 173 …………(1) (ここに、C、Si、Mn、Al、Ni、Cr、V、Nb、N:各元
素の含有量(mass%))で定義されるγP 値が30〜55を
満足する組成を有することを特徴とする延性および耐リ
ジング性に優れたフェライト系ステンレス鋼板である。
【0016】また、本発明は、mass%で、C:0.02〜0.
06%、Si:1.0 %以下、Mn:1.0 %以下、P:0.05%以
下、S:0.01%以下、Al:0.030 %以下、N:0.03〜0.
055%、Cr:11〜30%、Ni:0.7 %以下を含み、N/
C:0.5 以上で、かつ前記(1)式で定義されるγP
が30〜55を満足し、残部Feおよび不可避的不純物からな
る組成を有することを特徴とする延性および耐リジング
性に優れたフェライト系ステンレス鋼板であり、また、
本発明では、前記組成に加えさらに、mass%で、V:0.
03〜0.15%、Nb:0.005 〜0.020 %のうちの1種または
2種を含有してもよい。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のフェライト系ステンレス
鋼板は、N:0.03〜0.055 mass%を含有し、しかもN/
Cが0.5 以上であり、(1)式で定義されるγP 値を30
〜55となるように組成を調整される。 N:0.03〜0.055 mass% 本発明では、Nは耐リジング性を向上させるために積極
的に含有させる。Nは、従来から、延性を低下させると
考えられ、延性向上のためには、Cとともに低減する必
要があった。しかし、CやNの含有量の低下は、耐リジ
ング性の面からは不利であるため、成形後の優れた表面
品質を実現できなかった。本発明では、Nを添加し、か
つN/Cを0.5 以上とする。これにより、延性を劣化さ
せることなく、耐リジング性の向上が可能となる。
【0018】本発明者らは、0.04mass%C−0.3mass %
Si−0.6mass %Mn−0.04mass%P−0.01mass%S−0.4
mass%Ni−17mass%Cr−Nを含有するフェライト系ステ
ンレス鋼冷延焼鈍板を用い、リジング高さにおよぼすN
量の影響を調べた。図1にその結果を示す。図1から、
N含有量を0.03mass%以上とすることにより、リジング
高さが5μm 以下となり、耐リジング性が向上すること
がわかる。
【0019】N含有量が0.03%未満では、耐リジング性
の顕著な向上は見られない。一方、0.055 %を超えてN
を過剰に添加すると、耐リジング性の向上効果が飽和
し、延性が低下する。このため、Nは0.03〜0.055 mass
%とした。N含有量が0.03〜0.055 mass%の範囲内で、
N/Cが0.5 未満では、スラブの冷却時に割れが発生し
やすいうえ、耐リジング性の改善が得られない。このた
め、本発明では、N/Cを0.5 以上に限定した。
【0020】また、本発明では、(1)式で定義される
γP 値が30〜55の範囲となるように組成を調整する。 γP = 647×C−11.5×Si+ 7.0×Mn−478 ×Al+36×Ni−11.5×Cr−57×V −60×Nb+ 437×N+ 173 …………(1) ここに、C、Si、Mn、Al、Ni、Cr、V、Nb、Nは各元素
の含有量(mass%)である。なお、γP 値の計算にあた
っては、含有しない元素については含有量を0として計
算するものとする。
【0021】γP 値は、フェライト系ステンレス鋼にお
ける延性と耐リジング性におよぼす各元素の影響を包括
的に表すことができる。図2に、延性、耐リジング性と
γP値との関係を示す。γP 値が30未満では、リジング
高さが高く耐リジング性が劣化する。一方、γP 値が55
を超えると延性が著しく低下する。このようなことか
ら、γP 値は30〜55の範囲に限定した。
【0022】本発明のフェライト系ステンレス鋼板で
は、N含有量を0.03〜0.055 mass%とし、他の成分の含
有量はγP 値が30〜55の範囲となるように調整すればよ
く、それぞれの成分の含有量をとくに限定する必要はな
いが、下記組成範囲とするのが好ましい。 C:0.02〜0.06mass% Cは、強度を増加させ、延性を低下させる元素であり、
加工性の向上のためにはできるだけ低減するのが好まし
いが、C含有量が少なすぎると、V(C,N)、VC、V4C3とい
った炭窒化物や炭化物の微細析出による結晶粒の微細化
効果が得られない。このため、耐リジング性が劣化し、
プレス成形時の加工部に凹凸が生じ、成形後の表面品質
が劣化し、美観を損ねることになる。一方、Cを過剰に
含有すると、成形性が低下するうえ、発錆の起点となる
脱Cr層や、粗大な析出物、介在物が増加する。このよう
なことから、Cは0.02〜0.06mass%の範囲に限定するの
が好ましい。
【0023】Si:1.0mass %以下 Siは、脱酸のために有用な元素であるが、過剰の含有は
冷間加工性の低下や延性の低下を招く。このため、Siは
1.0mass %以下に限定するのが好ましい。なお、好まし
くは0.03〜0.5mass %である。 Mn:1.0mass %以下 Mnは、鋼中に存在するSと結合しMnS を形成し、熱間圧
延性を確保するために有用な元素であるが、過剰の含有
は熱間加工性の低下や耐食性の低下を招く。このため、
Mnは1.0mass %以下に限定するのが好ましい。なお、好
ましくは0.3 〜0.8mass %である。
【0024】P:0.05mass%以下 Pは、熱間加工性を低下させ、食孔を発生させる有害な
元素であるが、0.05mass%までは許容できる。しかし、
0.05mass%を超える含有は、特にその影響が顕著とな
る。このため、Pは0.05mass%以下とするのが好まし
い。 S:0.01mass%以下 Sは、Mnと結合してMnS を形成して発錆起点となるとと
もに、結晶粒界に偏析し、粒界脆化を促進する有害な元
素であり、できるだけ低減するのが好ましいが、0.01ma
ss%までは許容できる。しかし、0.01mass%を超える含
有は、その影響が顕著になる。このため、Sは0.01mass
%以下とするのが好ましい。
【0025】Al:0.030 mass%以下 Alは、0.030mass %を超えて過剰に含有すると、酸化物
等の介在物を形成し表面欠陥(ヘゲ)の原因となるた
め、本発明ではできるだけ低減するのが望ましい。この
ようなことから、Alは0.030 mass%以下に限定するのが
好ましい。 Cr:11〜30mass% Crは,耐食性を改善するうえで不可欠な元素である。し
かし、Cr含有量が11mass%未満では十分な耐食性は得ら
れない.一方、30mass%を超えると,熱延後に脆化相が
生成し易くなるため、Crは30mass%以下に限定するのが
好ましい。
【0026】Ni:0.7mass %以下 Niは,耐食性を向上させる元素であるが、過剰な含有は
延性を劣化させるうえ、経済的にも不利となるため、Ni
は0.7mass %以下に限定するのが好ましい。V:0.03〜
0.15mass%、Nb:0.005 〜0.020 mass%のうちから選ば
れた1種または2種以上 V、Nbは、いずれも、CやNと結びついて炭窒化物を形
成し、結晶粒の粗大化を抑制する元素であり、必要に応
じ含有できる。これらの効果は、Vが0.03mass%以上、
Nbが0.005 mass%以上の含有で認められる。一方、Vを
0.15mass%を超えて含有しても効果が飽和し経済的に不
利となる。Nbを0.020 mass%を超えて含有すると、耐リ
ジング特性が劣化する。このため、Vは0.03〜0.15mass
%、Nbは0.005 〜0.020 mass%の範囲に限定するのが好
ましい。
【0027】上記した成分以外の残部はFeおよび不可避
的不純物である。不可避的不純物としては、Ti:0.020
mass%以下が許容される。つぎに、本発明鋼板の製造方
法について説明する。上記した組成の溶鋼を、通常公知
の転炉または電気炉で溶製し、真空脱ガス(RH)、V
OD、AOD等でさらに精錬したのち、好ましくは連続
鋳造法で鋳造し、圧延素材(スラブ等)とする。
【0028】ついで、圧延素材は、加熱され、熱間圧延
されて、熱延板とされる。熱間圧延の加熱温度は、1050
℃〜1250℃の温度範囲とするのが好ましく、また、熱間
圧延仕上温度は、製造性の観点から800 〜900 ℃とする
のが好ましい。熱延板は、後工程における加工性を改善
する目的で、必要に応じて、700 ℃以上の熱延板焼鈍を
行うことができる。なお、熱延板は、脱スケール処理を
行って、そのまま製品とすることも、また、冷間圧延用
素材とすることもできる。
【0029】冷間圧延用素材の熱延板は、冷延圧下率:
30%以上の冷間圧延を施され冷延板とされる。冷延圧下
率は、とくに50〜95%が好適である。また、冷延板のさ
らなる加工性の付与のために、600 ℃以上、とくに700
〜900 ℃の再結晶焼鈍を行うことができる。また、冷延
−焼鈍を2回以上繰り返し行ってもよい。また、冷延板
仕上は、2D、2B、BAおよび各種研摩が可能であ
る。
【0030】
【実施例】表1に示す組成の溶鋼を転炉および2次精錬
(VOD)で溶製し、連続鋳造法によりスラブとした。
これらスラブを1170℃に加熱したのち、仕上温度が850
℃となる熱間圧延を行い熱延板とした。これら熱延板
に、860 ℃×8hrの熱延板焼鈍を施したのち、酸洗し、
ついで総圧下率87%の冷間圧延を施し冷延板とした。つ
いで、これら冷延板に、830 ℃×30sec の仕上焼鈍を施
して、板厚0.7mm の冷延焼鈍板とした。得られた冷延焼
鈍板について、伸びEl、リジング高さを求め、延性、
耐リジング性を評価した。伸びEl、リジング高さの測
定方法はつぎのとおりである。
【0031】
【表1】
【0032】(1)伸び 冷延焼鈍板の各方向(圧延方向(L方向)、圧延直角方
向(T方向)および圧延方向から45°方向(D方向))
からJIS 13号B試験片を採取した。これら引張試験片を
用いて引張試験を実施し、各方向の伸びを測定した。各
方向伸び値を用いて次式より伸びの平均値を求めた。
【0033】El=(ElL + 2ElD +El T) /4 ここで、ElL 、 El D 、El Tは、それぞれL方向、D方
向、T方向の伸びを表す。 (2)リジング高さ 冷延焼鈍板の圧延方向からJIS 5号引張試験片を採取し
た。これら試験片の片面を#600で仕上げ研磨し、これら
試験片に20%の単軸引張予歪を与えたのち、試験片中央
部で粗度計を用いて表面のうねり高さを測定した。この
うねり高さはリジングの発生による凹凸である。うねり
の高さから、A:5 μm 以下、B:5 μm 超え〜10μm
以下、C:10μm 超え〜20μm 以下、D:20μm 超え、
の4段階で耐リジング性を評価した。
【0034】得られた結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
【0036】本発明例は、いずれも、Elが34%以上、
うねりの高さが4.9 μm 以下で、耐リジング性評価がA
であり、良好な延性と耐リジング性を有している。これ
に対し、本発明の範囲を外れる比較例では、耐リジング
性評価がB以下と耐リジング性が低下し、あるいは伸び
が低下して、良好な延性と成形後の優れた表面品質をと
もに満足することができない。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、良好な延性を有すると
ともに、耐リジング性に優れ、加工後の表面品質が優れ
たフェライト系ステンレス鋼板を安価に製造でき、産業
上格段の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】冷延焼鈍板のリジング高さとN含有量の関係を
示すグラフである。
【図2】冷延焼鈍板の伸び、リジング高さとγP 値の関
係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宇城 工 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 佐藤 進 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N:0.03〜0.055 mass%を含み、N/
    C:0.5 以上で、かつ下記(1)式で定義されるγP
    が30〜55を満足する組成を有することを特徴とする延性
    および耐リジング性に優れたフェライト系ステンレス鋼
    板。 記 γP = 647×C−11.5×Si+ 7.0×Mn−478 ×Al+36×Ni−11.5×Cr−57×V −60×Nb+ 437×N+ 173 …………(1) ここに、C、Si、Mn、Al、Ni、Cr、V、Nb、N:各元素
    の含有量(mass%)
  2. 【請求項2】 mass%で、 C:0.02〜0.06%、 Si:1.0 %以下、 Mn:1.0 %以下、 P:0.05%以下、 S:0.01%以下、 Al:0.030 %以下、 N:0.03〜0.055 %、 Cr:11〜30%、 Ni:0.7 %以下 を含み、N/C:0.5 以上で、かつ下記(1)式で定義
    されるγP 値が30〜55を満足し、残部Feおよび不可避的
    不純物からなる組成を有することを特徴とする延性およ
    び耐リジング性に優れたフェライト系ステンレス鋼板。 記 γP = 647×C−11.5×Si+ 7.0×Mn−478 ×Al+36×Ni−11.5×Cr−57×V −60×Nb+ 437×N+ 173 …………(1) ここに、C、Si、Mn、Al、Ni、Cr、V、Nb、N:各元素
    の含有量(mass%)
  3. 【請求項3】 前記組成に加えさらに、mass%で、V:
    0.03〜0.15%、Nb:0.005 〜0.020 %のうちの1種また
    は2種を含有することを特徴とする請求項2に記載の延
    性および耐リジング性に優れたフェライト系ステンレス
    鋼板。
JP8864999A 1999-03-30 1999-03-30 延性および耐リジング性に優れたフェライト系ステンレス鋼板 Pending JP2000282186A (ja)

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