JP2000281818A - ポリ乳酸系収縮シート状物、及びこれを用いた包装材又は収縮ラベル材 - Google Patents

ポリ乳酸系収縮シート状物、及びこれを用いた包装材又は収縮ラベル材

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JP2000281818A
JP2000281818A JP9500899A JP9500899A JP2000281818A JP 2000281818 A JP2000281818 A JP 2000281818A JP 9500899 A JP9500899 A JP 9500899A JP 9500899 A JP9500899 A JP 9500899A JP 2000281818 A JP2000281818 A JP 2000281818A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 充分な収縮率を有し、延伸時の厚みムラがな
く、綺麗に印刷可能であり、被包装物に綺麗に巻き付
き、収縮仕上がりの良い生分解可能な包装用ポリ乳酸系
収縮シート状物を提供すること、及び、飲料要ボトル等
のラベルに使用した場合、加熱殺菌時にラベル同士が融
着しない包装用ポリ乳酸系収縮シート状物を提供するこ
とを目的とする。 【解決手段】 L−乳酸とD−乳酸の組成比が100:
0〜94:6又は6:94〜0:100であるポリ乳酸
系重合体、及び、ガラス転移点(Tg)が0℃以下であ
り、かつ融点(Tm)が70℃以上である生分解性脂肪
族ポリエステルを主成分とし、上記ポリ乳酸系重合体1
00重量部に対し、上記生分解性脂肪族ポリエステル1
0〜100重量部を含有した生分解性樹脂組成物から形
成され、この生分解性樹脂組成物の少なくとも1軸方向
に延伸する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ポリ乳酸を主成
分とした収縮性を有するシート状物に関する。
【0002】
【従来の技術】収縮包装や収縮結束包装、収縮ラベル等
に利用される熱収縮性シート又はフィルムとして、ポリ
塩化ビニル、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリエチ
レンテレフタレート等のシートやフィルムが知られてお
り、また、産業界で広く利用され、消費されている。し
かし、これらのシートやフィルムは自然環境下に棄却さ
れると、その安定性のため分解されることなく残留し、
景観を損ない、魚、野鳥等の生活環境を汚染する等の問
題を引き起こす。
【0003】そこで、これらの問題を生じない分解性重
合体からなる材料が要求されており、実際多くの研究、
開発が行われている。その一例として、ポリ乳酸があげ
られる。ポリ乳酸は、土壌中において自然に加水分解が
進行し、土中に原形が残らず、ついで微生物により無害
な分解物となることが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ポリ乳
酸は、素材が本来有する脆性のため、これをシート状や
フィルム状にしても、十分な強度が得られず、実用に供
し難い。
【0005】これに対し、特開平5−212790号公
報には、ポリ乳酸からなるラベル用の熱収縮フィルムが
開示されている。しかし、この熱収縮フィルムは、収縮
温度が140〜150℃と高く、ガラス瓶等のラベルと
して用い得ることができる高温収縮性フィルムである。
このため、生鮮食品や紙箱、あるいは食品や薬品の入っ
た各種容器類等の熱変形を生じやすい被包装体を収縮包
装したり収縮結束包装する場合、70〜120℃程度の
低温収縮加工を行う必要があり、この条件では十分な熱
収縮を有さない。さらに、高温収縮性のラベルとして
も、収縮仕上がりが悪く、被収縮物に接触せずに浮いた
部分などができ、十分な性能を発揮し得ない場合があ
る。
【0006】また、特開平7−256753号公報に
は、所定の要件を満たすポリ乳酸系重合体からなる低温
収縮性の熱収縮フィルムが開示されている。しかし、こ
の熱収縮フィルムは、短時間に収縮させないと熱固定さ
れて十分に収縮しなくなる。また、この熱収縮フィルム
は収縮仕上がりが悪く、被収縮物に接触せずに浮いた部
分などができる場合がある。さらに、熱収縮フィルム
を、生鮮食料品や紙箱、食品、薬品の入った各種容器類
等の収縮包装や収縮結束包装として使用する場合、通
常、収縮率が10%以上がよいが、上記熱収縮フィルム
では充分な収縮率が得られない。さらにまた、上記熱収
縮フィルムを飲料用ボトル等のラベルに使用する場合、
ボトルにラベルを巻き付けた後に飲料を充填して、生産
ラインで加熱殺菌を行う。このとき、隣接するボトルの
ラベル同士が熱により融着することがある。
【0007】さらに、上記の各熱収縮フィルムは、延伸
の際、延伸方向に厚みムラが入りやすい。厚みムラのあ
るものはフィルムの巻き取りが難しく、またフィルムに
印刷を施す場合には濃度ムラを生じやすい。
【0008】ところで、本発明者らは、ポリ乳酸系の樹
脂から形成される延伸フィルムを特開平9−15740
8号公報に開示した。この延伸フィルムは、所定のポリ
乳酸系重合体と所定の生分解性脂肪族ポリエステルの混
合樹脂の延伸フィルムを熱固定したものであり、滑り
性、ヒートシール性能及び溶断シート性能や熱寸法安定
性等に優れている。
【0009】しかし、この延伸フィルムは、熱固定を施
すことにより熱寸法安定性等が向上することが開示され
ているが、熱固定を施す前の延伸フィルムについては、
収縮性、収縮仕上がり性、融着性等の熱収縮フィルムと
しての特性については開示されていない。また、この組
成からなる延伸フィルムはこの公報以前に知られていな
い。このため、この熱固定を施す前の延伸フィルムがど
のような特性を有するかは知られていない。
【0010】そこで、この発明は、充分な収縮率を有
し、延伸時の厚みムラがなく、綺麗に印刷可能であり、
被包装物に綺麗に巻き付き、収縮仕上がりの良い生分解
可能な包装用ポリ乳酸系収縮シート状物を提供するこ
と、及び、飲料要ボトル等のラベルに使用した場合、加
熱殺菌時にラベル同士が融着しない包装用ポリ乳酸系収
縮シート状物を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明は、L−乳酸と
D−乳酸の組成比が100:0〜94:6又は6:94
〜0:100であるポリ乳酸系重合体、及び、ガラス転
移点(Tg)が0℃以下であり、かつ融点(Tm)が7
0℃以上である生分解性脂肪族ポリエステルを主成分と
し、上記ポリ乳酸系重合体100重量部に対し、上記生
分解性脂肪族ポリエステル10〜100重量部を含有し
た生分解性樹脂組成物から形成され、この生分解性樹脂
組成物の少なくとも1軸方向に延伸することにより、上
記の課題を解決したのである。
【0012】所定の組成からなるポリ乳酸系重合体及び
所定の生分解性脂肪族ポリエステルを主成分とするの
で、充分な収縮率を有し、延伸時の厚みムラがなく、綺
麗に印刷可能であり、被包装物に綺麗に巻き付き、収縮
仕上がりの良い生分解可能な包装用ポリ乳酸系収縮シー
ト状物を提供することができる。また、飲料用ボトル等
のラベルに使用した場合、加熱殺菌時にラベル同士が融
着しない包装用ポリ乳酸系収縮シート状物を提供するこ
とができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を説明
する。
【0014】この発明にかかる包装用ポリ乳酸系収縮シ
ート状物は、ポリ乳酸系重合体と生分解性脂肪族ポリエ
ステルを主成分とする生分解性樹脂組成物から成形され
るシート状物である。
【0015】上記生分解性樹脂組成物は、生分解性、す
なわち、最終的に微生物によって分解される重合体をい
う。
【0016】上記ポリ乳酸系重合体とは、乳酸、具体的
には、D−乳酸又はL−乳酸の単独重合体又はそれらの
共重合体をいう。すなわち、構成単位がL−乳酸である
ポリ(L−乳酸)、構造単位がD−乳酸であるポリ(D
−乳酸)さらにはL−乳酸とD−乳酸の共重合体である
ポリ(DL−乳酸)がある。また、これらの混合体も含
まれる。
【0017】上記ポリ乳酸系重合体は、縮重合法、開環
重合法等、公知の方法で製造することができる。例え
ば、縮重合法では、D−乳酸、L−乳酸又はこれらの混
合物を直接脱水縮重合して任意の組成を持つポリ乳酸が
得られる。また、開環重合法では、乳酸の環状二量体で
あるラクチドを、必要に応じて重合調製剤等を用いなが
ら、所定の触媒の存在下で開環重合して任意の組成を持
つポリ乳酸が得られる。上記ラクチドには、L−乳酸の
二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の二量体であるD
−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸の二量体であるDL−
ラクチドがあり、これらを必要に応じて混合して重合す
ることにより任意の組成、結晶性をもつポリ乳酸系重合
体を得ることができる。
【0018】上記生分解性脂肪族ポリエステルは、上記
ポリ乳酸系重合体を除く、生分解性を有する脂肪族ポリ
エステルである。この生分解性脂肪族ポリエステルは、
ガラス転移点(以下、「Tg」と略する。)が0℃以下
であり、かつ融点(以下、「Tm」と略する。)が70
℃以上のものが好ましい。
【0019】Tgが低すぎる場合は耐破断性が低く、フ
ィルムの引張り試験を行っても、伸びが10%を越える
ことはない。耐破断性に優れているということは、衝撃
を受けても容易に破断しないことであり、これはフィル
ムの引張り試験での伸びで代用できる。伸びが10%以
上、好ましくは50%以上、より好ましくは伸びがおお
よそ100%以上あることが重要で、これを実現させる
ためには配合する脂肪族ポリエステルの(配合量にもよ
るが)Tgが0℃以下、好ましくは−10℃以下、より
好ましくは−20℃以下であり、混合する量もポリ乳酸
系重合体100重量部に10重量部以上、好ましくは2
0重量部以上、より好ましい範囲としては30〜100
重量部である。100重量部を越える範囲では、室温下
で使用者が意図せずフィルムが徐々に収縮する、いわゆ
る自然収縮がおこり、使用前にフィルムの平面性が失わ
れることがあるので好ましくない。
【0020】また、Tmが低すぎると、収縮温度領域で
のフィルムの弾性率の低下を抑制できず、フィルムの倒
れ込みによるしわ、アバタが生じやすい。上記のTg及
びTmの条件を満たす生分解性脂肪族ポリエステルを用
いることにより、得られる生分解性樹脂組成物を延伸す
る際、破断が生じるのを防止し、かつ、収縮仕上がり性
を改良することができる。Tmのより好ましい範囲は、
80〜170℃である。
【0021】上記生分解性脂肪族ポリエステルとして
は、具体的には、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオール
を縮合して得られる脂肪族ポリエステル、環状ラクトン
類を開環重合した脂肪族ポリエステル、合成系脂肪族ポ
リエステル、菌体内で生合成される脂肪族ポリエステル
等、これらの各重合体の混合体等があげられる。
【0022】上記脂肪族ジカルボン酸としては、コハク
酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二
酸等が例としてあげられ、また、上記脂肪族ジオールと
しては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール等があげられ
る。これらの任意の脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオー
ルとをエステル化することにより、上記脂肪族ポリエス
テルが製造される。
【0023】上記の環状ラクトン類を開環重合した脂肪
族ポリエステルとしては、環状モノマーとしては、ε−
カブロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチルーδ
−バレロラクトン等が代表的にあげられ、これらから1
種類以上選ばれて重合される。
【0024】上記合成系脂肪族ポリエステルとしては、
環状酸無水物とオキシラン類、例えば、無水コハク酸と
エチレンオキサイド、プロピオンオキサイド等との共重
合体等があげられる。
【0025】菌体内で生合成される脂肪族ポリエステル
としては、アルカリゲネスユートロフアスを始めとする
菌体内でアセチルコエンチームA(アセチルCoA)に
より生合成される脂肪族ポリエステルが知られている。
この脂肪族ポリエステルは、主にポリ−β−ヒドロキシ
酪酸(ポリ3HB)であるが、プラスチックとしての実
用特性向上のために、吉草酸ユニット(HV)を共重合
し、ポリ(3HB−co−3HV)の共重合体にするこ
とが工業的に有利である。HV共重合比は一般的に0〜
40%である。さらに長鎖のヒドロキシアルカノエート
を共重合してもよい。
【0026】上記の各重合工程において、分子量増大を
目的として少量の鎖延長剤、例えば、ジイソシアネート
化合物、エポキシ化合物、酸無水物などを使用できる。
上記のポリ乳酸系重合体又は生分解性脂肪族ポリエステ
ルの重量平均分子量の好ましい範囲としては、ポリ乳酸
系重合体で6万〜100万であり、この範囲を下回る場
合は実用物性がほとんど発現されず、上回る場合には、
溶融粘度が高すぎ成形加工性に劣る。
【0027】上記シート状物とは、シート又はフィルム
をいう。JISにおける定義上、シートとは、薄く、一
般にその厚さが長さと幅の割りには小さい平らな製品を
いい、フィルムとは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて
小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製
品で、通例、ロールの形で供給されるものをいう(JI
S K 6900)。したがって、シートの中でも厚さ
の特に薄いものがフィルムであるといえる。しかし、シ
ートとフィルムの境界は定かではなく、明確に区別しに
くので、本願においては、上記のとおり、シートとフィ
ルムの両方を含んだ概念として「シート状物」の用語を
使用する。
【0028】上記ポリ乳酸重合体におけるL−乳酸とD
−乳酸の組成比は、100:0〜94:6又は6:94
〜0:100がよく、98:2〜94:6または6:9
4〜2:98が好ましい。上記の範囲を外れると、延伸
時に厚みのムラが生じやすく、綺麗に印刷ができなかっ
たり、収縮時の収縮仕上がりが悪くなり、被包装物への
巻き付けが綺麗にできない場合が生じる。
【0029】上記ポリ乳酸系重合体に対する生分解性脂
肪族ポリエステルの混合量は、ポリ乳酸系重合体100
重量部に対して10〜100重量部が好ましい。10重
量部未満だと、一軸方向に延伸したシート状物が延伸方
向に分子鎖が配向し、その方向に僅かな応力を与えるこ
とにより裂けやすくなる。また、上記シート状物を被包
装物に収縮包装する際にしわやアバタが入りやすく、収
縮仕上がりが悪くなる場合がある。また、100重量部
を越えると、延伸する際に均一な延伸ができなくなる場
合がある。そのため、厚みムラを生じやすく、収縮時の
収縮仕上がりが悪くなる場合がある。
【0030】得られるシート状物の収縮率は、80℃,
10秒間において、10%以上であることがよく、20
〜100%が好ましい。収縮率が10%未満だと、収縮
包装や収縮結束包装に使用するためには、不十分となり
やすいからである。一般的に、収縮包装や収縮結束包装
には、上記ポリ乳酸系収縮シート状物の収縮率は、10
%程度でよく、ペットボトル等のラベル等の場合には、
30%以上の収縮率がよい。
【0031】次に、この発明にかかる包装用ポリ乳酸系
収縮シート状物の製膜方法について説明する。
【0032】まず、上記のポリ乳酸系重合体と生分解性
脂肪族ポリエステルを混合する方法としては、シートを
作製する際に、1つの押出機にそれぞれの原料を所定量
ずつ投入する方法や、上記の各原料を一旦ストランド形
状に押し出してペレットを作製した後、この各原料を所
定量ずつ1つの押出機に投入する方法がある。上記のポ
リ乳酸系重合体と生分解性脂肪族ポリエステルとを均一
に混合させるには、後者の方が好ましい。なお、上記の
いずれの場合も、上記各原料は、十分に乾燥し、水分を
除去した後に、押出機に供与するのが好ましい。
【0033】上記押出機に投入された上記各原料は、溶
融され、押し出されてシート状に成形される。このと
き、上記のポリ乳酸系重合体と生分解性脂肪族ポリエス
テルとの混合物の溶融押出温度はL−乳酸構造とD−乳
酸構造の組成比、使用する生分解性脂肪族ポリエステル
の融点、混合比率、及び、上記のポリ乳酸系重合体と生
分解性脂肪族ポリエステルの加熱による分解による分子
量の低下を考慮して、適宜選択する。通常、100〜2
50℃の温度範囲が選択される。
【0034】シート状に溶融成形された生分解性樹脂組
成物は、回転するキャスティングドラム(冷却ドラム)
に接触させて急冷するのが好ましい。混合するポリマー
の性質と割合にもよるがキャスティングドラムの温度は
60℃以下が適当である。これより高いとポリマーがキ
ャスティングドラムに粘着し、引き取れない場合が生じ
る。また、ポリ乳酸部分の結晶化が促進きれて、球晶が
発達し延伸できなくなるため、60℃以下に設定して急
冷し、ポリ乳酸部分を実質上非晶性にすることが好まし
い。
【0035】得られたシートは少なくとも一方向に延伸
される。シートの延伸倍率は、例えば、横(幅)方向の
延伸倍率は1.5〜5倍の範囲で、縦(長手)方向の延
伸倍率は1.01〜5倍の範囲で、延伸温度は50℃〜
90℃の範囲で適宜選択することができる。延伸工程は
シートを周速差のある2個のロール間で延伸するロール
延伸、および/または、テンターを用いクリップでシー
トを把持しながらクリップ列の列間隔を拡大させて延伸
するテンター延伸によって行われる。二軸に延伸する方
法は、特に限定されるものではなく、同時あるいは逐次
延伸法、どちらでも構わない。
【0036】この発明によって得られるポリ乳酸系収縮
シート状物は、包装材や収縮ラベル材として使用するこ
とができる。この包装材や収縮ラベル材が使用される被
包装物としては、容器、生鮮食品等の食品等があげられ
る。上記容器としては、ガラス瓶、ガラス容器、硬質プ
ラスチック容器等の硬度の高い容器、又は、紙や、ポリ
スチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート
等の硬度の低いプラスチック等から成形される容器等が
あげられる。これらの容器は、食品用、飲料用、薬品用
等任意の用途に使用されるものである。
【0037】上記被包装物は、上記包装材によって、収
縮包装又は収縮結束包装される。このとき、上記包装材
がポリ乳酸系収縮シート状物が充分な収縮率を有し、延
伸時の厚みムラがないので、収縮包装したとき収縮仕上
がりがよく、包装された状態において見栄えがよい。さ
らに、包装後に、加熱処理を行っても、包装材が互いに
融着しないので、取扱いが容易となる。また、上記ポリ
乳酸系収縮シート状物は、印刷性能がよく、綺麗に印刷
することができるので、収縮ラベル材として使用する場
合、まず、上記ポリ乳酸系収縮シート状物に印刷したの
ち、被包装材に収縮させて密着させることにより、ラベ
ルとして効果よく使用することができる。
【0038】
【実施例】以下に実施例を示すが、これらにより本発明
は何ら制限を受けるものではない。なお、表1及び表2
において、「L/D比」は、ポリ乳酸を構成するL−乳
酸とD−乳酸の組成比を示す。また、実施例中に示す測
定、評価は、次に示すような条件で行った。
【0039】(1)厚みムラ シート状物を幅方向に、等間隔で10点、長さ方向には
500mm間隔で20点の合計200点の厚みをダイヤ
ルゲージで測定し、その厚みの平均値(X)と標準偏差
(σ)を求め、(3 σ/X)×100(%)を求めた。
この値が15%を下回るものは厚みムラが少ないものと
して(○)と表記し、15%以上のものは(×)と表記
した。
【0040】(2)耐破断性 JIS K7127に基づいて、引張り試験を行い、そ
のときのフィルムの伸びを測定し、耐破断性の代用評価
とした。試験条件は2号試験片、引張り速度200mm
/minで5回測定し、その平均値を求めた。フィルム
の伸びが低いものは耐破断性が低く、伸びが高ければ耐
破断性が高いことを示す。伸びが50%以上のものは良
好な結果で○と表記した。また、これ以下で10%以上
のものはやや良好で△、10%未満のものは不適として
×と表記した。
【0041】(3)収縮率 シート状物のサンプルを、試験方向を長手方向(以下。
「MD」と略する。)として140mm×10mmに切
り出し、MDに100mm間の評線を入れ、80℃の温
水バスに10秒浸漬した後、その評線間の寸法を計り、
次式にしたがって熱収縮率を算出した。
【0042】収縮率(%)={(収縮前の寸法)−(収
縮後の寸法)}/(収縮前の寸法)×100 なお、表1及び表2において示す収縮率は、サンプルの
幅方向(以下、「TD」と略する。)の収縮率を示す。
【0043】(4)収縮仕上がり 縦横10mm間隔の格子目を印刷したフィルムを縦10
0mm、横298mmの大きさに切り取り、横方向の両
端を10mm重ねて溶剤で接着し円筒状にした。この円
筒フィルムを、内容量1.5リットル丸型のペットボト
ル(胴部最大直径90mm、フィルム上端部がボトルに
密着するために必要な収縮率は約30%である)に装着
し、蒸気過熱方式の長さ3mの収縮トンネル中を回転さ
せずに10秒間で通過させた。吹き出し蒸気温度は99
℃、トンネル内雰囲気温度は90〜94℃であった。フ
ィルム被覆後、発生したシワ入り、アバタ、格子目の歪
みの大きさおよび個数、フィルムの密着性を総合評価し
た。
【0044】評価基準 ○:シワ入りおよびアバタはなく、格子目の歪みや縦ひ
けも実用上問題なく、フィルムの密着性も良好なもの。 △:シワ入りおよびアバタが若干あり、格子目の歪みや
縦ひけも若干あるが、フィルムの密着性は実用上問題の
ないもの。 ×:シワ入りおよびアバタが目だち、格子目の歪みや縦
ひけも目立ち、明らかに収縮不足部分があるもの。
【0045】(5)総合評価 得られたポリ乳酸系収縮シート状物について、各物性及
び融着試験から総合評価を行った。表1及び表2におけ
る符号は、下記の内容を意味する。 ○:全体として良好な性能を有する。 ×:全体として十分な性能を有さない。
【0046】(実施例1) L−乳酸:D−乳酸=96:4の構造単位を持ち、ガラ
ス転移点(Tg)が58℃、融点が175℃、重量平均
分子量が24万のポリ乳酸系重合体100重量部と、ガ
ラス転移点(Tg)が−45℃で、融点(Tm)94℃
の生分解性脂肪族ポリエステルであるポリブチレンサク
シネート/アジペート(ポリブチレンサクシネート−ポ
リブチレンアジペート共重合体)(商品名:ビオノーレ
#3003、(株)昭和高分子社製)15重量部を各々
乾燥した後、混合して溶融押し出しにてペレット形状に
した。得られたペレットから30mmφ単軸エクストル
ーダーにて、210℃でTダイより押し出し、キャステ
ィングルーダーにて急冷し、厚み200μmの未延伸シ
ートを得た。得られた未延伸シートを幅方向(以下、
「TD」と略する。)に70℃で3倍に延伸して、ポリ
乳酸系収縮シート状物を得た。なお、上記未延伸シート
の長さ方向(以下、「MD」と略する。)には、1.0
1倍の延伸をかけた。
【0047】得られたポリ乳酸系収縮シート状物の厚み
ムラ及び耐破断性を測定し、収縮仕上がりを観察した。
その結果を表1又は表2に示す。
【0048】(実施例2、3、比較例1〜5)表1又は
表2に示すポリ乳酸重合体及び生分解性脂肪族ポリエス
テルを用いた以外は、実施例1と同様にしてポリ乳酸系
収縮シート状物を得た。得られたポリ乳酸系収縮シート
状物の厚みムラ及び耐破断性を測定し、収縮仕上がりを
観察した。その結果を表1又は表2に示す。
【0049】なお、比較例4において、プラクセルH7
とは、ポリカプロラクトン(ダイセル化学工業(株)
製)の商品名をいい、バイオポールD300Gとは、ポ
リヒドロキシブチレート/バリレート(ポリヒドロキシ
ブチレート−ポリヒドロキシバリレート共重合体)(日
本モンサント(株)販売)の商品名をいう。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】本発明により、充分な収縮率を有し、延
伸時の厚みムラがなく、綺麗に印刷可能であり、被包装
物に綺麗に巻き付き、収縮仕上がりの良い生分解可能な
包装用ポリ乳酸系収縮シート状物を提供することができ
る。
【0053】また、飲料用ボトル等のラベルに使用した
場合、加熱殺菌時にラベル同士が融着しない、生分解可
能なポリ乳酸系収縮シート状物を提供することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 67:00 105:02 B29L 7:00 Fターム(参考) 3E086 AD16 AD30 BA02 BA15 BA33 BB51 BB67 BB75 BB90 CA01 CA11 CA40 4F071 AA44 AF61Y AH04 AH06 BA01 BB06 BB07 BC01 BC10 4F210 AA24C AE01 AG01 RA03 RC02 RG02 RG04 RG30 RG43 4J002 CF032 CF181 CF191 GG02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 L−乳酸とD−乳酸の組成比が100:
    0〜94:6又は6:94〜0:100であるポリ乳酸
    系重合体、及び、ガラス転移点(Tg)が0℃以下であ
    り、かつ融点(Tm)が70℃以上である生分解性脂肪
    族ポリエステルを主成分とし、上記ポリ乳酸系重合体1
    00重量部に対し、上記生分解性脂肪族ポリエステル1
    0〜100重量部を含有した生分解性樹脂組成物から形
    成され、この生分解性樹脂組成物の少なくとも1軸方向
    に延伸したポリ乳酸系収縮シート状物。
  2. 【請求項2】 上記のL−乳酸とD−乳酸の組成比が9
    8:2〜94:6または6:94〜2:98である請求
    項1記載の包装用ポリ乳酸系収縮フィルム状物。
  3. 【請求項3】 80℃,10秒間における収縮率が10
    %以上である請求項1又は2に記載のポリ乳酸系収縮フ
    ィルム状物。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載のポリ
    乳酸系収縮フィルム状物を用いてなる包装材。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3のいずれかに記載のポリ
    乳酸系収縮フィルム状物を用いてなる収縮ラベル材。
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