JP2000274505A - 無段変速機用転動体およびその製造方法 - Google Patents

無段変速機用転動体およびその製造方法

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JP2000274505A
JP2000274505A JP7992499A JP7992499A JP2000274505A JP 2000274505 A JP2000274505 A JP 2000274505A JP 7992499 A JP7992499 A JP 7992499A JP 7992499 A JP7992499 A JP 7992499A JP 2000274505 A JP2000274505 A JP 2000274505A
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Takuo Yamaguchi
口 拓 郎 山
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Nissan Motor Co Ltd
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 浸炭用鋼を素材とする場合のような高い炭素
濃度雰囲気での長時間の浸炭処理を行う必要がないもの
として、高い転動疲労強度と優れた耐久寿命を有する無
段変速機用転動体を提供する。 【解決手段】 転動面をそなえた無段変速機の転動体
(入力ディスク5,出力ディスク9,パワーローラー1
0)において、少なくとも転動面はその表面から少なく
とも深さ1mmまでの部分を直径10μm以下の硬質粒
子を5〜10体積%含有する高速度鋼組成からなるもの
にすると共に、その他の部分を炭素含有量が0.20〜
0.35重量%である合金鋼組成からなるものとした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車などの車両
や回転動力源等において、トロイダル式(転がり式)や
ベルト式(溝幅可変プーリー式)などの無段変速機とし
て使用可能な無段変速機に関し、とくに、トロイダル式
無段変速機やベルト式無段変速機を構成する転動体およ
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】無段変速機は大きく分けて、ベルトと溝
幅可変プーリーとを組み合わせたベルトドライブ方式の
ものと、転動体を用いたトラクションドライブ方式のも
のとがあり、このうち、前者は、伝達動力の小さい場合
について既に用いられている。
【0003】他方、トロイダル式(転がり式)は後者の
一つであり、高馬力に対応できる機構を有し、例えば、
図1に示すように、潤滑油を介して接触する金属製転動
体を用いた構造を有するものであって、このトロイダル
式無段変速機1は、入力軸2に接続したローディングカ
ム3および連結軸4を介して一体で回転する入力ディス
ク5,5を備えていると共に、歯車6,7を介して出力
軸8を回転させる出力ディスク9をそなえ、入力ディス
ク5,5と出力ディスク9,9との間にパワーローラー
10,10,10,10を設け、各パワーローラー10
はボールベアリング11を介して各々支持体12により
支持された構造を有するものである。
【0004】そして、このトロイダル式無段変速機1で
は、入力ディスク5と出力ディスク9との間で挟まれた
パワーローラー10の傾きを変化させ、入出力ディスク
5,9の相対回転速度を変えて変速しつつ、入力軸2か
ら出力軸8へと動力を伝達する仕組みになっている(特
開平1−229158号公報など)。
【0005】このような無段変速機においては、大きな
動力を伝達するため、トロイダル式無段変速機1の転動
体(入出力ディスク5,9,パワーローラー10)は、
高面圧下(例えば、3〜4GPa程度)での転動疲労強
度および耐久寿命に優れる高い表面硬度と深い有効硬化
層深さ(例えば、ECD=2〜3mm程度)を得ること
ができるような材料と製造方法が要求される。
【0006】また、図2はベルト(ドライブ)式無段変
速機の一例を示すものであって、このベルト式無段変速
機21は、原動側の溝幅可変プーリー22と従動側の溝
幅可変プーリー23との間にベルト24をかけわたした
構造を有するものであって、図2(A)に示すロー状態
では原動側の溝幅可変プーリー22が大きい溝幅WL
なっていると共に従動側の溝幅可変プーリー23が小さ
い溝幅WSになっているものとなり、図5(B)に示す
オーバードライブ状態では原動側の溝幅可変プーリー2
2が小さい溝幅WSになっていると共に従動側の溝幅可
変プーリー23が大きい溝幅WLになっていて、これら
の間で変速比を無段で変えることができる仕組みになっ
ており、この場合の転動体(溝幅可変プーリー22,2
3)においても転動疲労強度および耐久寿命に優れてい
るものであることが要求される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような転動体にお
いて、転動疲労強度をより一層向上させたものとするた
めには、使用環境温度での硬度が高いほど有利なものと
なるため、素材として高温軟化抵抗を高めるSiやNi
などの合金元素を多量に添加することが考えられるが、
この種の転動体では曲げ応力に対する疲労強度も高いも
のに確保する必要があるにもかかわらず、合金元素の過
剰添加は内部硬度が上昇し靭性が損なわれて曲げ応力に
対する疲労強度を高いものに確保できないことがあると
共に、鍛造性が悪化したり、旋削・ドリル・歯切り等の
切削加工に使用する切削工具の寿命を低下させてしまう
ことがあるという問題点があった。
【0008】そのため、有効硬化層深さを2〜4mm程
度とすることが可能である浸炭用鋼を素材として用い、
長時間(例えば、40〜50時間)にわたる浸炭焼入れ
焼もどし処理を行うことによって、高い表面硬度と優れ
た靭性の両立をはかることも考えられていた(例えば、
特開平7−71555号公報など)が、浸炭処理によっ
て表面硬度を高めるためには上述したように高炭素濃度
雰囲気での浸炭処理を長時間にわたって行う必要がある
ため、設備維持費が嵩むことになるうえ、長時間処理に
よって表面に軟質の異常層が形成されやすくなり、熱処
理後の加工取り代を大きくしなければならなかったり、
熱処理歪が多く発生したり、スーティング(煤)を生じ
たりするおそれがあるため、あまり高い炭素濃度雰囲気
での浸炭を行うことができないという問題点があった。
【0009】
【発明の目的】本発明は、このような従来の問題点にか
んがみてなされたものであって、浸炭用鋼を素材とする
場合のような高い炭素濃度雰囲気での長時間の浸炭処理
を行う必要がないものとして、高い転動疲労強度と優れ
た耐久寿命を有する無段変速機用転動体を提供できるよ
うにすることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係わる無段変速
機用転動体は、請求項1に記載しているように、転動面
をそなえた無段変速機の転動体において、少なくとも転
動面(ないしは転動面および軸受面を含む面)はその表
面から少なくとも深さ2mmまでの部分を直径10μm
以下の硬質粒子を5〜10体積%含有する高速度鋼組成
からなるものにすると共に、その他の部分を炭素含有量
が0.20〜0.35重量%である合金鋼組成からなる
ものとしたことを特徴としている。
【0011】そして、本発明に係わる無段変速機用転動
体の実施態様においては、請求項2に記載しているよう
に、硬質粒子は、Cr,Mo,W,V,Nb,Ta,T
i,Zr,Hfの炭化物,窒化物,炭窒化物のうち1種
以上からなるものであるようになすことができる。
【0012】同じく、本発明に係わる無段変速機用転動
体の実施態様においては、請求項3に記載しているよう
に、高速度鋼組成は、C:0.75〜1.40重量%、
Si:0.50重量%以下、Mn:0.40重量%以
下、Cr:3.00〜5.00重量%、Mo:3.00
〜10.00重量%、W:1.20〜11.00重量
%、V:0.90〜4.50重量%を含み、残部Feお
よび不純物からなるものであるようになすことができ
る。
【0013】同じく、本発明に係わる無段変速機用転動
体の実施態様においては、請求項4に記載しているよう
に、高速度鋼組成は、C:0.70〜0.90重量%、
Si:0.40重量%以下、Mn:0.40重量%以
下、Cr:3.00〜5.00重量%、W:17.00
〜19.00重量%、V:0.80〜1.60重量%を
含み、残部Feおよび不純物からなるものであるように
なすことができる。
【0014】同じく、本発明に係わる無段変速機用転動
体の実施態様においては、請求項5に記載しているよう
に、Co:4.50〜11.00重量%を含むものとす
ることができる。
【0015】同じく、本発明に係わる無段変速機用転動
体の実施態様においては、請求項6に記載しているよう
に、低合金鋼組成は、C:0.20〜0.35重量%、
Si:0.35重量%以下、Mn:1.00重量%以
下、Cr:3.50重量%以下(0を含む)、Ni:
4.50重量%以下(0を含む)、Mo:0.70重量
%以下(0を含む)を含み、残部Feおよび不純物から
なるものであるようになすことができる。
【0016】また、本発明に係わる無段変速機用転動体
の製造方法は、請求項7に記載しているように、転動面
をそなえた無段変速機の転動体を製造するに際し、少な
くとも転動面はその表面から少なくとも深さ1mmまで
の部分を直径10μm以下の硬質粒子を5〜10体積%
含有する高速度鋼粉末からなるものとすると共にその他
の部分を炭素含有量が0.20〜0.35重量%である
合金鋼粉末からなるものとした圧粉成形体としたのち焼
成して焼結するようにしたことを特徴としている。
【0017】そして、本発明に係わる無段変速機用転動
体の製造方法の実施態様においては、請求項8に記載し
ているように、高速度鋼粉末にFe−B系合金粉末を混
合し、高速度鋼粉末中のMoおよびWとBとの関係を原
子量比で0.8<(Mo+W)/B<1.2とするよう
になすことができる。
【0018】同じく、本発明に係わる無段変速機用転動
体の製造方法の実施態様においては、請求項9に記載し
ているように、焼成して得た焼結体を再加熱して焼入れ
するようになすことができる。
【0019】同じく、本発明に係わる無段変速機用転動
体の製造方法の実施態様においては、請求項10に記載
しているように、焼成して得た焼結体表面の空孔部分に
潤滑成分を含浸させるようになすこともできる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明に係わる無段変速機用転動
体は、図1に例示したような転動面をそなえた無段変速
機1,21の転動体(入力ディスク5,出力ディスク
9,パワーローラ10,プーリー22,23)におい
て、少なくとも転動面はその表面から少なくとも深さ1
mmまでの部分を直径10μm以下の硬質粒子を5〜1
0体積%含有する高速度鋼からなるものにすると共に、
その他の部分を炭素含有量が0.20〜0.35重量%
である合金鋼組成からなるものとしている。
【0021】この場合、転動面における高速度鋼組成の
部分の深さが1mmよりも浅いと、高い転動疲労強度と
優れた耐久性を得ることができがたくなるので、転動面
の表面から少なくとも深さ1mmまでの部分を高速度鋼
組成からなるものとしている。
【0022】そして、高速度鋼組成中において含まれる
硬質粒子の量が5体積%よりも少ないと十分な硬度を得
ることができがたくなり、10体積%よりも多くなると
抗折力が低下することとなるため、硬質粒子の量は5〜
10体積%の範囲とするのがよい。
【0023】さらに、硬質粒子の直径が10μmよりも
大きいとこれが有害な欠陥として作用することにより剥
離寿命の低下をもたらすこととなるため好ましくない。
【0024】そして、この場合の硬質粒子は、Cr,M
o,W,V,Nb,Ta,Ti,Zr,Hfの炭化物,
窒化物,炭窒化物のうち1種以上から選ばれるものを用
いることができる。
【0025】また、高速度鋼組成としては、C:0.7
5〜1.40重量%、Si:0.50重量%以下、M
n:0.40重量%以下、Cr:3.00〜5.00重
量%、Mo:3.00〜10.00重量%、W:1.2
0〜11.00重量%、V:0.90〜4.50重量%
を含み、残部Feおよび不純物からなるものや、C:
0.70〜0.90重量%、Si:0.40重量%以
下、Mn:0.40重量%以下、Cr:3.00〜5.
00重量%、W:17.00〜19.00重量%、V:
0.80〜1.60重量%を含み、残部Feおよび不純
物からなるもの、そしてさらに場合によってはCo:
4.50〜11.00重量%を含むものなどを用いるこ
とができ、規格成分的にはJIS G 4403で制定
するタングステン系(SKH2〜4)、モリブデン系
(SKH51〜59)、バナジウム系(SKH10,5
4)などのものを用いることができる。
【0026】一方、低合金鋼組成としては、C:0.2
0〜0.35重量%、Si:0.35重量%以下、M
n:1.00重量%以下、Cr:3.50重量%以下
(0を含む)、Ni:4.50重量%以下(0を含
む)、Mo:0.70重量%以下(0を含む)を含み、
残部Feおよび不純物からなるものを用いることがで
き、規格成分的には、JIS G 4102〜4106
で制定するニッケルクロム鋼(SNC),ニッケルクロ
ムモリブデン鋼(SNCM),クロム鋼(SCr),ク
ロムモリブデン鋼(SCM),マンガン鋼(SMn),
マンガンクロム鋼(SMnC)などを用いることができ
る。
【0027】このような転動面をそなえた無段変速機の
転動体を製造するに際し、少なくとも転動面はその表面
から少なくとも深さ1mmまでの部分を直径10μm以
下の硬質粒子を5〜10体積%含有する高速度鋼粉末か
らなるものとすると共にその他の部分を炭素含有量が
0.20〜0.35重量%である合金鋼粉末からなるも
のとした圧粉成形体としたのち焼成して焼結する。
【0028】この場合、圧粉成形体とするに際しての加
圧力は550〜700MPa程度のものとし、非酸化性
雰囲気中1100〜1300℃程度に加熱して焼成す
る。
【0029】そして、場合によっては、高速度鋼粉末に
Fe−B系合金粉末を混合し、高速度鋼粉末中のMoお
よびWとBとの関係を原子量比で0.8<(Mo+W)
/B<1.2とするようになすことによって、硬度を得
やすいものの温度に敏感で管理が難しいことや成形性が
悪いことなどの欠点をもつ高速度鋼粉末に対し、Bの添
加により比較的低温から安定して焼結を進行させること
ができるようになる。
【0030】そして、この場合のB量は硼化物を形成す
るMoおよびW量との原子量比として表すことができ、
(Mo+W)/Bの関係において原子量比が0.8より
も少ない(すなわち、Mo+W量に対して相対的にB量
が多い)と最高硬さを得られる温度領域が狭くなりそし
てまた最高硬さが低いものとなる傾向となるので好まし
くなく、上記関係において原子比が1.2よりも多い
(すなわち、Mo+W量に対して相対的にB量が少な
い)と最高硬さは高くなるものの抗折力が低い傾向とな
るので好ましくない。
【0031】また、焼成して得た焼結体を再加熱して焼
入れするようになすことによって、再加熱して焼入れを
行わない場合には加圧焼結後の組織は一部に粗大なマル
テンサイトや粒界へネットワーク状に析出した炭化物や
硼化物を含むのに対して、再加熱焼入れを行った場合に
はネットワーク状炭化物が分断されマルテンサイトも細
かくなるため耐久寿命を長いものとすることが可能とな
る。
【0032】さらに、焼成して得た焼結体表面の空孔部
分にMoS2,WS2,グラファイト,ふっ素樹脂(PT
FE等)などの潤滑成分を含浸させたものとすることに
よって、転動体の部分に潤滑性能を必要とする場合の摩
擦特性をさらに良好なものとすることが可能である。
【0033】このようになすことによって、浸炭用鋼を
用いる場合のように高炭素濃度雰囲気での長時間の浸炭
処理を行うことなく、表面硬度が高く、高面圧下での転
動疲労強度が大きく、耐久寿命の長い無段変速機用転動
体が得られることとなる。
【0034】
【発明の効果】本発明による無段変速機用転動体では、
請求項1に記載しているように、転動面をそなえた無段
変速機の転動体において、少なくとも転動面はその表面
から少なくとも深さ1mmまでの部分を直径10μm以
下の硬質粒子を5〜10体積%含有する高速度鋼組成か
らなるものにすると共に、その他の部分を炭素含有量が
0.20〜0.35重量%である合金鋼組成からなるも
のとしたから、表面硬度が高く高面圧下での転動疲労強
度が大きく耐久寿命の長い品質の安定した無段変速機用
転動体を提供することが可能であるという著しく優れた
効果がもたらされる。
【0035】そして、請求項2に記載しているように、
硬質粒子は、Cr,Mo,W,V,Nb,Ta,Ti,
Zr,Hfの炭化物,窒化物,炭窒化物のうち1種以上
からなるものとすることによって、表面の硬度をより高
いものとすることができ、高面圧下での転動疲労強度に
優れた無段変速機用転動体とすることが可能であるとい
う著しく優れた効果がもたらされる。
【0036】また、請求項3に記載しているように、高
速度鋼組成は、C:0.75〜1.40重量%、Si:
0.50重量%以下、Mn:0.40重量%以下、C
r:3.00〜5.00重量%、Mo:3.00〜1
0.00重量%、W:1.20〜11.00重量%、
V:0.90〜4.50重量%を含み、残部Feおよび
不純物からなるものとしたり、請求項4に記載している
ように、高速度鋼組成は、C:0.70〜0.90重量
%、Si:0.40重量%以下、Mn:0.40重量%
以下、Cr:3.00〜5.00重量%、W:17.0
0〜19.00重量%、V:0.80〜1.60重量%
を含み、残部Feおよび不純物からなるものとしたり、
さらには請求項5に記載しているように、Co:4.5
0〜11.00重量%を含むものとすることによって、
表面の硬度が高く転動疲労特性に優れた無段変速機用転
動体とすることが可能であるという著しく優れた効果が
もたらされる。
【0037】また、請求項6に記載しているように、低
合金鋼組成は、C:0.20〜0.35重量%、Si:
0.35重量%以下、Mn:1.00重量%以下、C
r:3.50重量%以下(0を含む)、Ni:4.50
重量%以下(0を含む)、Mo:0.70重量%以下
(0を含む)を含み、残部Feおよび不純物からなるも
のであるようになすことによって、靭性にも優れた無段
変速機用転動体とすることができ、曲げ応力に対する疲
労強度をも十分に確保することが可能であるという著大
なる効果がもたらされる。
【0038】本発明に係わる無段変速機用転動体の製造
方法では、請求項7に記載しているように、転動面をそ
なえた無段変速機の転動体を製造するに際し、少なくと
も転動面はその表面から少なくとも深さ1mmまでの部
分を直径10μm以下の硬質粒子を5〜10体積%含有
する高速度鋼粉末からなるものとすると共にその他の部
分を炭素含有量が0.20〜0.35重量%である合金
鋼粉末からなるものとした圧粉成形体としたのち焼成し
て焼結するようにしたから、表面硬度が高く高面圧下で
の転動疲労強度が大きいため耐久寿命の長い品質の良好
な無段変速機用転動体を従来の浸炭用鋼を素材とした高
濃度・長時間浸炭によることなく製造することが可能で
あるという著しく優れた効果がもたらされる。
【0039】そして、請求項8に記載しているように、
高速度鋼粉末にFe−B系合金粉末を混合し、高速度鋼
粉末中のMoおよびWとBとの関係を原子量比で0.8
<(Mo+W)/B<1.2とするようになすことによ
って、硬度は得やすいものの温度に敏感で管理が困難で
あることや成形性が悪いことなどの欠点をもつ高速度鋼
において硼素の添加によって比較的低温から安定して焼
結を進行させることができるようになるという著しく優
れた効果がもたらされる。
【0040】そしてまた、請求項9に記載しているよう
に、焼成して得た焼結体を再加熱して焼入れするように
なすことによって、加圧焼結後の組織において一部に粗
大なマルテンサイトや粒界へネットワーク状に析出した
炭化物や硼化物を含むのに対して、再加熱焼入れにより
ネットワーク状炭化物を分断することが可能となり、マ
ルテンサイトも細かくすることが可能となるため、耐久
寿命をさらに延ばすことが可能になるという著しく優れ
た効果がもたらされる。
【0041】さらにまた、請求項10に記載しているよ
うに、焼成して得た焼結体表面の空孔部分に潤滑成分を
含浸させるようになすことによって、転動体のうち摺動
性能が必要とされる部分の摩擦特性をより一層向上させ
ることが可能であるという著しく優れた効果がもたらさ
れる。
【0042】
【実施例】以下、本発明の実施例について詳細に説明す
るが、本発明はこのような実施例のみに限定されないこ
とはいうまでもない。
【0043】高速度鋼粉末として、表1に示す化学成分
を有するAISI規格M7相当材(JIS規格SKH5
8相当材)の溶湯を水アトマイズ法により粉末化して粒
径を250メッシュ以下にそろえたものを用いた。
【0044】
【表1】
【0045】そして、この高速度鋼粉末に、硼素を14
重量%含む粒径が250メッシュのFe−14%B粉末
を混合粉末中の(Mo+W)/Bの原子量比が0.97
となる量だけ配合すると共に、硬質粒子として粒径が1
μmおよび20μmのTiCN粒子を5体積%,10体
積%および20体積%となるように配合して、それぞれ
混合した。
【0046】一方、低合金鋼粉末として、表2に示す化
学成分を有するJIS規格クロムモリブデン鋼(SC
M)の溶湯を水アトマイズ法により粉末化して250メ
ッシュ以下にそろえたものを使用した。
【0047】
【表2】
【0048】そして、直径60mmφの成形型の中に、
まず、上記の高速度鋼粉末とFe−B系粉末と硬質粒子
との混合粉末を入れ、次に残部を上記低炭素合金鋼粉末
として入れ、637MPaの圧力で加圧することによっ
て圧粉成形体を得た。
【0049】次いで、この圧粉成形体を0.1Paの真
空中において1180℃で60分間の焼成を行って焼結
体とし、その後この焼結体を1180℃に再加熱したの
ちガス冷却して焼入れした。
【0050】次に、このようにして得た焼結体を直径6
0mm×厚さ5.5mmのスラスト試験片に仕上げ、硬
度,抗折力およびスラスト試験寿命を調べた。この結果
を表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】表3に示すように、本発明を満足する実施
例1,2では、硬度および抗折力が大きくスラスト寿命
が大であり、耐久性に優れたものとなっていた。
【0053】また、実施例1の条件にてパワーローラを
試作し、供給油量:3 l/min、供給油温:
℃、荷重:60kN、回転数:600rpmとし、9球
式での寿命を比較したところ、表面にふっ素樹脂として
ポリ4フッ化エチレン(PTFE)の含浸なしのもので
は22hrで剥離したのに対して、表面にふっ素樹脂と
してポリ4フッ化エチレン(PTFE)の含浸したもの
は64hrと寿命が向上した。
【0054】これに対して、高速度鋼組成の深さが浅い
比較例1では高い転動疲労強度を得ることができないた
めスラスト寿命が短く、硬質粒子を含まない比較例2で
は硬度が低すぎるものとなり、硬質粒子の直径が大きす
ぎる比較例3では剥離を生じるためスラスト寿命が短
く、硬質粒子の量が多すぎる比較例4では抗折力がかな
り低いものとなっていた。
【0055】次に、表4に示すように高速度鋼組成中の
(Mo+W)/B比を変えたものについて焼結温度と硬
度に及ぼす影響を調べたところ、図3に示す結果であ
り、また、焼結温度と抗折力に及ぼす影響について調べ
たところ、図4に示す結果であった。
【0056】
【表4】
【0057】前述したように、高速度鋼粉末は硬度を得
やすいものの温度に敏感で管理が難しいことや成形性が
悪いことなどの欠点を有しているが、図3および図4に
示すように、Bを適量含有させることによって比較的低
温から安定して焼結を進行させることができ、抗折力を
高いものにすることが可能であるが、B添加量の少ない
比較例5の場合には最高硬度は高いものの抗折力が低
く、また、B含有量が多い比較例6では最高硬度の得ら
れる温度領域が狭いと共に最高硬度が低いものとなり、
抗折力もかなり低いものとなっていた。
【0058】次に、実施例2の転動体において、再焼入
れを行わない場合、および芯部に低合金鋼からなる部分
を有しない場合についてそれぞれ硬度,抗折力およびス
ラスト寿命を調べたところ、表5に示す結果であった。
【0059】
【表5】
【0060】表5に示すように、再焼入れを行わない比
較例7では、本発明実施例2に比べてスラスト寿命が短
くなっているが、これは、加圧焼結後の組織は一部に粗
大なマルテンサイトや粒界へネットワーク状に析出した
炭化物や硼化物を含むのに対して、再加熱して焼入れを
行った実施例2の場合はネットワーク状の炭化物が分断
され、マルテンサイトも細かくなるためと思われた。
【0061】また、比較例8に示すように全体を高速度
鋼組成のものとした場合には硬度は高いものの抗折力が
かなり低いものとなっているのに対して、本発明実施例
2のように芯部を低炭素合金鋼としたことによって抗折
力を大幅に向上できることが明らかである。そして、通
常の使用面圧において高硬度とすべき深さは最大せん断
応力深さを考慮して少なくとも1mmあれば良いことが
わかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】トロイダル式無段変速機の基本構成を示す断面
説明図である。
【図2】ベルト式無段変速機の基本構成を示す断面説明
図である。
【図3】B添加量による焼結温度と硬度に及ぼす影響を
調べた結果を例示するグラフである。
【図4】B添加量による焼結温度と抗折力に及ぼす影響
を調べた結果を例示するグラフである。
【符号の説明】
1 トロイダル式無段変速機 2 入力軸 5 入力ディスク(転動体) 8 出力軸 9 出力ディスク(転動体) 10 パワーローラー(転動体) 21 ベルト式無段変速機 22 原動側の溝幅可変プーリ−(転動体) 23 従動側の溝幅可変プーリ−(転動体)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 38/30 C22C 38/30

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 転動面をそなえた無段変速機の転動体に
    おいて、少なくとも転動面はその表面から少なくとも深
    さ1mmまでの部分を直径10μm以下の硬質粒子を5
    〜10体積%含有する高速度鋼組成からなるものにする
    と共に、その他の部分を炭素含有量が0.20〜0.3
    5重量%である合金鋼組成からなるものとしたことを特
    徴とする無段変速機用転動体。
  2. 【請求項2】硬質粒子は、Cr,Mo,W,V,Nb,
    Ta,Ti,Zr,Hfの炭化物,窒化物,炭窒化物の
    うち1種以上からなるものである請求項1に記載の無段
    変速機用転動体。
  3. 【請求項3】 高速度鋼組成は、C:0.75〜1.4
    0重量%、Si:0.50重量%以下、Mn:0.40
    重量%以下、Cr:3.00〜5.00重量%、Mo:
    3.00〜10.00重量%、W:1.20〜11.0
    0重量%、V:0.90〜4.50重量%を含み、残部
    Feおよび不純物からなるものである請求項1または2
    に記載の無段変速機用転動体。
  4. 【請求項4】 高速度鋼組成は、C:0.70〜0.9
    0重量%、Si:0.40重量%以下、Mn:0.40
    重量%以下、Cr:3.00〜5.00重量%、W:1
    7.00〜19.00重量%、V:0.80〜1.60
    重量%を含み、残部Feおよび不純物からなるものであ
    る請求項1または2に記載の無段変速機用転動体。
  5. 【請求項5】 Co:4.50〜11.00重量%を含
    む請求項3または4に記載の無段変速機用転動体。
  6. 【請求項6】 低合金鋼組成は、C:0.20〜0.3
    5重量%、Si:0.35重量%以下、Mn:1.00
    重量%以下、Cr:3.50重量%以下(0を含む)、
    Ni:4.50重量%以下(0を含む)、Mo:0.7
    0重量%以下(0を含む)を含み、残部Feおよび不純
    物からなるものである請求項1ないし5のいずれかに記
    載の無段変速機用転動体。
  7. 【請求項7】 転動面をそなえた無段変速機の転動体を
    製造するに際し、少なくとも転動面はその表面から少な
    くとも深さ1mmまでの部分を直径10μm以下の硬質
    粒子を5〜10体積%含有する高速度鋼粉末からなるも
    のとすると共にその他の部分を炭素含有量が0.20〜
    0.35重量%である合金鋼粉末からなるものとした圧
    粉成形体としたのち焼成して焼結することを特徴とする
    無段変速機用転動体の製造方法。
  8. 【請求項8】 高速度鋼粉末にFe−B系合金粉末を混
    合し、高速度鋼粉末中のMoおよびWとBとの関係を原
    子量比で0.8<(Mo+W)/B<1.2とする請求
    項7に記載の無段変速機用転動体の製造方法。
  9. 【請求項9】 焼成して得た焼結体を再加熱して焼入れ
    する請求項7または8に記載の無段変速機用転動体の製
    造方法。
  10. 【請求項10】 焼成して得た焼結体表面の空孔部分に
    潤滑成分を含浸させる請求項7ないし9のいずれかに記
    載の無段変速機用転動体の製造方法。
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