JP2000270895A - ホモシステイン及びシステインの定量法 - Google Patents
ホモシステイン及びシステインの定量法Info
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Abstract
確に測定できる酵素的定量法を提供する。 【解決手段】 ホモシステイン及びシステインに反応す
る酵素(E2)を用いて、システイン含量と硫化水素生
成量の関係を定数化しておき、システインとホモシステ
インを含有する試料に上記酵素(E2)をある条件下で
作用させ、発生する硫化水素量(1)を測定する。次
に、別途求めた該試料中のシステイン含量から、上記定
数を用いてシステイン由来の硫化水素量(2)を求め、
それを硫化水素量(1)から差し引くことにより、試料
中のホモシステイン含量を求める。なお、システイン含
量は、試料に、システインに特異的に反応して硫化水素
を生成する酵素(E1)を作用させて発生する硫化水素
を測定することにより求めることができる。
Description
テイン及びシステインを、酵素を用いて簡便かつ正確に
測定できるようにしたホモシステイン及びシステインの
定量法に関する。
ノ酸としては、メチオニン、システイン、シスチンが知
られており、生体内では、それぞれが一連の代謝サイク
ルの中で恒常性を維持している。
は、通常、生体内でシステインに代謝されており、この
代謝過程で中間体として生成するホモシステインは、再
メチル化によるメチオニンへの変換、あるいはセリンと
の縮合によるシスタチオニンの形成後、システインに導
かれる経路により速やかに代謝されるため正常時にはほ
とんど存在しない。
あるメチルテトラヒドロ葉酸メチルトランスフェラーゼ
やその補助因子である葉酸及びビタミンB12の欠乏、
シスタチオニン形成を触媒するシスタチオニンβシンタ
ーゼの機能不全等により、代謝サイクルの中で異常が発
生すると、ホモシステインが蓄積されてしてしまう。
り生成するアミノ酸であることから、ホモシステインと
の関連が注目されている。最近、ホモシステインとシス
テインの比を指標として、シスタチオニンβシンターゼ
のヘテロ接合体遺伝子異常のスクリーニングに有用であ
るとの報告もなされている(Boddie等.,Met
abolism 47(2);207−211(199
8)参照)。
塞などの血栓塞栓症あるいは動脈硬化症において、独立
したリスクファクターとして注目されており、血中濃度
と疾患との関係における臨床データが数多く報告されて
いる。
イン代謝異常の原因把握の補助的な指標とも成り得るた
め、ホモシステイン及びシステインの血中濃度測定は有
用と考えられる。
体クロマトグラフィー(HPLC)法が主流で行われて
おり、多くの場合、システインも同時に分離測定できる
長所があるが、操作が煩雑で時間を必要とし、多数検体
を処理するには不向きである(Araki等.,J.C
hromatogr.422;43−52(198
7)、Fiskerstrand等.,Clin.Ch
em.39(2);263−271(1993)、An
dersson等.,Clin.Chem.39
(8);1590−1597(1993)参照)。
素反応によってS−アデノシルホモシステインに変換
し、該変換物に対する抗体を用いて間接的に定量する方
法も開発されているが、この方法では、抗原となる変換
物もまた低分子であることから、抗体を用いた反応原理
は競合阻害法をとらざるを得ず、複雑なものとなってい
る(Shipchandler等.,Clin.Che
m.41(7);991−994(1995)参照)。
グルタチオン・スルヒィドリル・オキシダーゼを用いた
方法(登録特許1594895号)が開示されている
が、該酵素はグルタチオンやジチオスレイトールのよう
なチオール化合物にも反応を示すなど基質特異性に乏し
く、特異的な測定法とは言い難かった。
テイン及びシステインの測定法は、操作性などの面から
有用と考えられるが、上述したように、現在までその測
定系に応用可能な特異的な酵素が見出されておらず、特
にホモシステインに関しては、検体中の濃度が微量であ
ることから、酵素的測定系の開発は実現されていない。
硬化症の指標となるホモシステイン及びホモシステイン
代謝異常の原因把握の補助的な指標となるシステインの
簡便で特異的な酵素的定量法を提供することを目的とす
る。
め、本発明のホモシステインの定量法は、ホモシステイ
ン及びシステインを含有する試料中のホモシステインを
定量する方法であって、 A)試料に、ホモシステイン及びシステインを基質とし
て硫化水素を生成する作用を有する酵素(E2)を作用
させて、生成する硫化水素量(1)を測定する工程と、
B)該試料中のシステイン由来の硫化水素量(2)を測
定する工程とを有し、前記硫化水素量(1)から前記硫
化水素量(2)を差し引いた硫化水素量からホモシステ
インを定量することを特徴とする。
法は、あらかじめ上記酵素(E2)を用いて、システイ
ン含量と硫化水素生成量の関係を定数化しておき、シス
テインとホモシステインを含有する試料に上記酵素(E
2)をある条件下で作用させ、発生する硫化水素量
(1)を測定する。次に、別途求めた該試料中のシステ
イン含量から、上記定数を用いてシステイン由来の硫化
水素量(2)を求め、それを硫化水素量(1)から差し
引くことにより、試料中のホモシステイン含量を求める
方法である。
料に、システインに特異的に反応して硫化水素を生成す
る酵素(E1)を作用させて発生する硫化水素を測定す
る方法である。
2)を用いることにより、ホモシステイン及びシステイ
ン定量の操作が簡便となり、多数の検体も短時間で定量
することができる。
の定量に用いられる酵素(E2)としては、ホモシステ
イン及びシステインに特異的に作用して硫化水素を生成
する作用を有する酵素であれば特に限定されないが、好
ましくは、システインよりホモシステインに対する作用
が強く、かつ後述するように、チオール化合物存在下、
置換反応を有する酵素、例えば、ο−アセチルホモセリ
ン−リアーゼやL−メチオニンγ−リアーゼなどが挙げ
られる。
化合物非存在下では、ホモシステインに対して分解(脱
離)作用を示して硫化水素を発生するが、チオール化合
物存在下では、γ−置換反応を触媒する酵素として知ら
れている。
ーゼは、例えばシュードモナス属の細菌等のそれを産生
する微生物から公知の方法により得ることも出来るが、
和光純薬株式会社等から市販されているものを用いても
良い。
は、これまでアミノ酸合成作用(例えば、ο−アセチル
ホモセリンと硫化水素からはホモシステインが、メタン
チオールからはメチオニンが生成する作用)を有する酵
素として知られていたが、本発明者らは、後述する試験
例に示すように、この酵素をチオール化合物存在下でホ
モシステインに作用させると、γ−置換反応により硫化
水素を生成する触媒作用を示すことを新たに見い出し
た。
−リアーゼは、それを産生する様々な微生物(例えば、
Ozaki等.,J.Biochem.91;1163−
1171(1982)、Yamagata.,J.Bi
ochem.96;1511−1523(1984)、B
rzywczy等.,Acta.Biochimic
a.Polonica.40(3);421−428
(1993))等から公知の方法により得ることができ
る。
社製のバチルス属由来のο−アセチルホモセリン−リア
ーゼ(商品名「GCS」)を使用してもよい。ユニチカ
株式会社製の上記ο−アセチルホモセリン−リアーゼの
理化学的性質は次の通りである。なお、下記理化学的性
質のうち、分子量以外の項目は、本発明者らにより求め
たものである。
化学的性質> 1)作用:L−ホモシステインとチオール化合物のγ置
換反応を触媒し、硫化水素及びチオール化合物置換ホモ
システインを生成する。また、L−メチオニンとチオー
ル化合物の置換反応を触媒し、メタンチオール及びチオ
ール化合物置換ホモシステインを生成する。 2)基質特異性:L−ホモシステイン、L−メチオニン
に作用する。また、L−システインにはβ置換反応とし
て若干反応する。 3)分子量:180,000(ゲル濾過法) 4)至適pH:8.5〜9.0 5)Km:0.9mM(L−ホモシステイン)
に用いられる酵素(E1)としては、システインに特異
的に作用して、硫化水素を生成する作用を有する酵素で
あれば特に制限はなく、例えばβ−シアノアラニンシン
ターゼ、システインリアーゼ及びο−アセチルセリン−
リアーゼなどが挙げられるが、上述したように、チオー
ル化合物存在下で置換反応を触媒する酵素、すなわち、
ο−アセチルセリン−リアーゼが好ましい。
でシステイン合成作用(ο−アセチルセリンと硫化水素
からシステインを生成する作用)を有する酵素として知
られていたが、今回本発明者らによって、チオール化合
物存在下で、システインに作用させると、システイン特
異的にβ−置換反応により硫化水素を生成する触媒作用
を示すことが新たに見出された。
アーゼは、それを産生する微生物や植物(例えば、Bu
rnell等.,Biochim.Biophys.A
cta 481;246−265(1977)、Nag
asaw等.,Methods Enzymol 14
3;474−478(1987)、Droux等.,A
rch.Biochem.Biophys.295
(2);379−390(1992)、Yamaguc
hi等.,Biochim.Biophys.Acta
1251;91−98(1995))等より公知の方
法で得ることができる。
−アセチルセリン−リアーゼの理化学的性質は次の通り
である。なお、下記理化学的性質のうち、分子量以外の
項目は、本発明者らにより求めたものである。
的性質> 1)作用:L−システインとチオール化合物のβ置換反
応を触媒し、硫化水素及びチオール化合物置換システイ
ンを生成する。 2)基質特異性:L−システインに特異的に作用する。 3)分子量:63,000(ゲル濾過法) 4)至適pH:9.0〜11.0 5)Km:0.27mM(L−システイン) 本発明において、上記酵素(E1)、(E2)の添加量
は、試料中のホモシステイン又はシステインを完全に消
費することができる最低必要量を基本とする。
システインに対する反応が、システイン含量依存的に進
行する条件とすることが好ましい。これは、酵素(E
1)の添加量や反応時間を増減することによって、シス
テインから生成する硫化水素量を調節することで達成さ
れる。
どの生体試料中では主に生体内タンパク質とジスルフィ
ド結合しており、一部は遊離ジスルフィド形態として存
在している。本発明において上記酵素(E1)、(E
2)は、フリーな遊離状態のホモシステイン及びシステ
インに作用させるため、チオール類、ホスヒィン類や水
素化硼素類などの還元剤を用いて解離処理を行うことが
好ましい。特にチオール類は、容易にホモシステイン及
びシステインを特異的に還元し、さらにそのまま酵素反
応も行うことができるため好ましい。
タンチオール、2−メルカプトエタン、ジチオスレイト
ール、チオグリセロール、システアミンなど、酵素によ
る置換反応の基質となるものであれば特に制限無く使用
できる。
は、以下のようにして行われる。 あらかじめ、システイン及びホモシステインに、上記
酵素(E2)を作用させたときに発生する硫化水素量と
システイン及びホモシステイン含量の定数をそれぞれ求
めておく。 試料に上記還元剤を添加して、試料中のホモシステイ
ン及びシステインを還元したあと、上記酵素(E2)を
添加して反応を行い、発生する硫化水素量(1)を測定
する。 試料中に含まれるシステイン含量を、公知の方法又は
本発明のシステイン定量法などにより求め、上記定数か
ら換算して、硫化水素量(2)とする。 上記硫化水素量(1)から硫化水素量(2)を差し引
いたものと上記定数から換算して試料中のホモシステイ
ン量を求める。
た2種類の酵素(E1)、(E2)を用いて、生成した
硫化水素量からホモシステイン及びシステインの総和を
求め、次にシステインに特異的な酵素(E1)のみを作
用させ、生成した硫化水素量をシステイン量とし、総和
から差し引くことによりホモシステイン含量を求める方
法も可能である。
述したホモシステインの定量法と同様に、以下のように
して行うことができる。 あらかじめ、システインに、上記酵素(E1)を作用
させたときに発生する硫化水素量とシステイン含量の定
数を求めておく。 試料に上記還元剤を添加して、試料中のシステインを
還元したあと、上記酵素(E1)を添加して反応を行
い、発生する硫化水素量を測定して上記定数からシステ
イン量に換算する。
定量は、酵素の反応生成物である硫化水素を測定するこ
とにより行われるが、その硫化水素を定量する方法は、
公知の方法を使用することができ、硫化水素を直接定量
する方法のみならず、硫化水素に起因する硫化物イオン
を定量する方法であってもよい。
リジルジスルファイド(Svenson.,Anal.
Biochem.107;51−55(1980))や
ニトロプルシッドナトリウムを用いる方法、、さらに、
強酸性下で、N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミ
ンと塩化第二鉄を用いてメチレンブルーを生成させ青色
発色を検出する方法(メチレンブルー法)などを用いる
ことができる。また、セレニウムを触媒として、色素
(トルジンブルーやメチレンブルー)の退色量及びその
速度を測定する方法(Mousavi等.,Bull.
Chem.Soc.Jpn.65;2770−2772
(1992)、Gokmen等.,Analyst 11
9;703−708(1994))などがあるが、チオ
ール化合物存在下で硫化水素の定量を行う場合は、特異
性及び発色感度が良好なメチレンブルー法が好適であ
る。
更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるもの
ではない。
る酵素(E2)として、バチルス属由来のο−アセチル
ホモセリン−リアーゼ(商品名「GCS」、ユニチカ株
式会社製、以下に記載した力価はメーカー表示値によ
る)を使用し、システイン定量に用いる酵素(E1)と
して、ο−アセチルセリン−リアーゼ(ホウレンソウ由
来)を使用した。
の方法(Biochim.Biophys.Acta
1251;91−98(1995))に基づいて調製し
た。
抽出、イオン交換クロマト、疎水クロマト及びゲル濾過
クロマトの工程を経て、約4000単位の酵素を調製し
て用いた。なお、力価は、同文献に記載の方法により測
定した。
ホモシステイン(アルドリッチ社製)を含有する100
mMトリス・塩酸緩衝液(pH8.5)にο−アセチル
ホモセリン−リアーゼ(商品名「GCS」、ユニチカ株
式会社製)を添加し、37℃で反応させ、経時的に反応
液中の生成物と反応のモルバランスを、表1に示す条件
でHPLCにて分析した。
タイム6.7分のDL−ホモシステインのピークが減少
し、新たにリテンションタイム7.8分の位置に反応生
成物のピークが現れた。この反応のモルバランスは一致
していた。
1と同様の条件で反応させた。また、ο−アセチルホモ
セリン−リアーゼと同様の作用を有すると考えられるL
−メチオニンγ−リアーゼ(和光純薬株式会社製)をο
−アセチルホモセリン−リアーゼに換えて添加し、同様
の条件で反応させ、HPLCで分析を行った。
イム7.8分の位置に反応生成物のピークが現れた。
チルホモセリン−リアーゼをDL−ホモシステイン及び
L−メチオニンに作用させた場合の反応生成物のリテン
ションタイムが共に一致していること、更にL−メチオ
ニンγ−リアーゼを作用させた場合の反応生成物のリテ
ンションタイムもすべて一致していることから、ο−ア
セチルホモセリン−リアーゼの作用は、下記化学式1及
び化学式2に示す通り、含硫アミノ酸とチオール化合物
の置換反応であることがわかった。
に、200mM2−メルカプトエタノールを0.025
ml加え、さらに10mMのL−システィン(シグマ社
製)溶液又は10mMのDL−ホモシステインを0.0
5ml加えた後、精製水を0.125ml添加させ混和
後、37℃で5分間加温した。その液に、精製したο−
アセチルセリン−リアーゼ酵素液(ホウレンソウ由来、
6U/ml)を0.05ml加え、37℃で10分間反
応させた後、3%NaOH液を0.1ml、16mM
N,N−ジメチル−p−フェニレンジアミン・硫酸塩溶
液0.325ml及び10mM塩化第二鉄 塩酸溶液
0.075mlを順次添加し、室温で15分放置後、6
70nmの吸光度を測定した。その結果、L−システイ
ン添加時の吸光度が1.01(OD)だったのに対し
て、DL−ホモシステイン添加時の吸光度は0(OD)
であった。よって、ο−アセチルセリン−リアーゼは、
ホモシステインに対する反応性はまったく認められず、
L−システインに特異的であることがわかった。
定) 20mMメチルメルカプタン(東京化成社製)及び10
mML−システイン(シグマ社製)を含有する100m
Mホウ酸緩衝液(pH11.0)にο−アセチルセリン
−リアーゼ(ホウレンソウ由来)を添加し、37℃で反
応させ、経時的に反応液中の生成物と反応のモルバラン
スを、前記表1に示す条件でHPLCにて分析した。
タイム7.2分のL−システインのピークが減少し、新
たにリテンションタイム6.8分の位置に反応生成物の
ピークが現れた。この反応のモルバランスは一致してい
た。
グマ社製)に換え、酵素無添加条件で、HPLCにてピ
ークを確認した。その結果、リテンションタイム6.8
分の位置にピークを確認した。
セリン−リアーゼをメチルメルカプタン存在下、L−シ
ステインに作用させた場合の反応生成物のリテンション
タイムが、S−メチルシステインと一致していることか
ら、ο−アセチルセリン−リアーゼの作用は、下記化学
式3に示す通り、L−システインとチオール化合物の置
換反応であることが分かった。
lに、10mM2−メルカプトエタノールを0.05m
l加え、さらに、各種濃度(0〜50μM)のL−ホモシ
スチン(シグマ社)溶液を0.05ml加えた後、L−
システインの添加回収率を求めるために300μML−
システインを0.1ml添加し、L−ホモシステインへ
の反応定数を求めるために精製水を0.1ml添加し
て、それぞれ混和後、37℃で5分間加温した。その液
に、ο−アセチルホモセリンーリアーゼ(商品名「GC
S」、ユニチカ株式会社製)酵素液(20u/ml)を
0.05ml加え、37℃で10分間反応させた後、3
%NaOH液を0.1ml、16mMN,N−ジメチル
−p−フェニレンジアミン・硫酸塩溶液0.325ml
及び10mM塩化第二鉄塩酸溶液0.075mlを順次
添加し、室温で15分放置後、670nmの吸光度を測
定して検量線を作成し、図1に示した。
非共存下でのホモシステインの検量線で、0〜100μ
M(L−ホモシステイン換算)まで直線となり、その回
帰式の切片を0として計算すると、傾きは0.926で
あった。
テイン共存下でのホモシステインの検量線で、0〜10
0μM(L−ホモシステイン換算)まで直線となり、そ
の回帰式の傾きは0.917であり、切片は80.9と
なった。
ーリアーゼは、L−システインの存在にかかわらず、濃
度依存的にホモシステインと反応することが分かった。
また、L−システインに対する反応誤差が一定であるこ
とが分かった。
lに、10mM2−メルカプトエタノールを0.05m
l加え、さらに各種濃度(0〜400μM)のL−シス
テイン(シグマ社)溶液を0.1ml加えた後、L−ホ
モシステインの添加回収率を求めるために15μML−
ホモシスチンを0.05ml添加し、L−システインへ
の反応定数を求めるために精製水を0.05ml添加し
て、それぞれ混和後、37℃で5分間加温した。その液
に、ο−アセチルホモセリンーリアーゼ(ユニチカ株式
会社製)酵素液(20u/ml)を0.05ml加え、
37℃で10分間反応させた後、3%NaOH液を0.
1ml、16mMN,N−ジメチル−p−フェニレンジ
アミン・硫酸塩溶液0.325ml及び10mM塩化第
二鉄塩酸溶液0.075mlを順次添加し、室温で15
分放置後、670nmの吸光度を測定して検量線を作成
し、図2に示した。
非存在下でのL−システインの検量線で、0〜400μ
Mまで直線となり、その回帰式の切片を0として計算す
ると、傾きは0.259であった。
モシスチンを添加した場合のL−システインの検量線
で、0〜400μMまで直線となり、その回帰式の傾き
は0.263であり、切片は28.4となった。
ーリアーゼのL−システインへの反応が、ホモシステイ
ンの存在にかかわらず、濃度依存的であることが分かっ
た。
L−システイン及びL−ホモシステインの濃度及び添加
回収率を算出した。すなわち、実施例1のL−システイ
ン実添加量300μMに対して、図1の破線(…●…)
の切片値を図2の実線(−◆−)の回帰式に当てはめ、
添加濃度を算出すると濃度は312μMとなり、添加回
収率は104%となった。さらに、実施例2のL−ホモ
シスチン実添加量15μM(L−ホモシステインとして
30μM)に対して、図2の破線(…●…)の切片値を
図1の実線(−◆−)の回帰式に当てはめ、添加濃度を
算出するとL−ホモシステインとしては濃度は30.7
μMとなり、添加回収率は102%となった。
モシステイン量は、L−システイン含量を換算して差し
引くことにより、算出可能であることが分かった。
に、200mM2−メルカプトエタノールを0.025
ml加え、さらに各種濃度(0〜200μM)のL−シ
ステイン(シグマ社)溶液を0.1ml加えた後、精製
水を0.075ml添加させ混和後、37℃で5分間加
温した。その液に、精製したο−アセチルセリンーリア
ーゼ酵素液(6u/ml)を0.05ml加え、37℃
で15分間反応させた後、3%NaOH液を0.1m
l、16mMN,N−ジメチル−p−フェニレンジアミ
ン・硫酸塩溶液0.325ml及び10mM塩化第二鉄
塩酸溶液0.075mlを順次添加し、室温で15分放
置後、670nmの吸光度を測定して検量線を作成し、
図3に示した。
で直線となり、本酵素が触媒する置換反応を利用してシ
ステインの定量が可能であることが分かった。
ホモシステイン及びシステインを基質として硫化水素を
生成する作用を有する酵素を用いることにより、簡便に
ホモシステインの定量ができる。また、システインに特
異的に反応して硫化水素を生成する作用を有する酵素を
用いることにより、簡便にシステインの定量ができる。
定量法は、多数の検体を処理する場合などに有効であ
る。
インの検量線
インの検量線
Claims (8)
- 【請求項1】 ホモシステイン及びシステインを含有す
る試料中のホモシステイを定量する方法であって、 A)試料に、ホモシステイン及びシステインを基質とし
て硫化水素を生成する作用を有する酵素(E2)を作用
させて、生成する硫化水素量(1)を測定する工程と、 B)該試料中のシステイン由来の硫化水素量(2)を測
定する工程とを有し、前記硫化水素量(1)から前記硫
化水素量(2)を差し引いた硫化水素量からホモシステ
インを定量することを特徴とするホモシステインの定量
法。 - 【請求項2】 前記酵素(E2)が、ホモシステイン及
びシステインに対して、チオール化合物存在下、置換反
応を触媒するものである請求項1記載のホモシステイン
の定量法。 - 【請求項3】 前記酵素(E2)が、ο−アセチルホモ
セリン−リアーゼ又はL−メチオニンγリアーゼである
請求項1又は2記載のホモシステインの定量法。 - 【請求項4】 前記システイン由来の硫化水素量(2)
の測定方法が、システイン含量と前記酵素(E2)によ
って生じるシステイン由来の硫化水素量との関係を定数
化し、別途求めた試料中のシステイン含量から換算する
方法である請求項1〜3記載のホモシステインの定量
法。 - 【請求項5】 前記試料中のシステイン含量を求める方
法が、前記試料に、システインに特異的に反応して硫化
水素を生成する作用を有する酵素(E1)を作用させ、
生成する硫化水素を測定する方法である請求項4記載の
ホモシステインの定量法。 - 【請求項6】 試料に、システインに特異的に反応して
硫化水素を生成する作用を有する酵素(E1)を作用さ
せ、生成する硫化水素を測定することを特徴とするシス
テインの定量法。 - 【請求項7】 前記酵素(E1)が、システインに対し
てチオール化合物存在下、置換反応を触媒するものであ
る請求項6記載のシステインの定量法。 - 【請求項8】 前記酵素(E1)が、ο−アセチルセリ
ン−リアーゼである請求項6又は7記載のシステインの
定量法。
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