JP2000265003A - 生分解性アセチルセルロース樹脂組成物 - Google Patents

生分解性アセチルセルロース樹脂組成物

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JP2000265003A
JP2000265003A JP11074387A JP7438799A JP2000265003A JP 2000265003 A JP2000265003 A JP 2000265003A JP 11074387 A JP11074387 A JP 11074387A JP 7438799 A JP7438799 A JP 7438799A JP 2000265003 A JP2000265003 A JP 2000265003A
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carbon atoms
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English (en)
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Mikiko Ishizaki
美紀子 石崎
Katsuaki Matsubayashi
克明 松林
Takaharu Tsuno
隆治 津野
Yusuke Sugihara
裕介 杉原
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Arakawa Chemical Industries Ltd
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Arakawa Chemical Industries Ltd
Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】生分解性可塑剤を含有、優れた溶融成形加工性
と生分解性を有するセチルセルロース樹脂組成物を提供
する。 【解決手段】 一般式(1) の繰り返し単位を有し、数平
均分子量500〜5,000であるポリエステルと生分
解性アセチルセルロースを含有することを特徴とする、
生分解性アセチルセルロース樹脂組成物。 【化1】 (式中、Y及びZは、それぞれが1〜20の炭素原子を
有する有機基を表し、q及びrは、それぞれ1以上の整
数を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた溶融成形加
工性と生分解性を有する新規アセチルセルロース樹脂組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、合成繊維や合成樹脂フィルムは安
価で優れた耐久性と機械的強度を持つ為、各種用途に多
量に用いられている。しかしながら、これらの成形物が
自然界に廃棄された場合には分解されずにそのまま残存
し、環境汚染の原因となる為、重大な社会問題として注
目を浴びている。上記問題を解決するには、成形物が土
中や水中に存在する微生物によって生分解されることが
必要である。
【0003】天然物であるセルロースを原料とする樹脂
として広く利用されているアセチルセルロースは、セル
ロースを完全にアセチル化した後、部分ケン化すること
で製造されており、近年、酢化度56%以下のものは本
質的生分解性を有することが知られるようになった。し
かし、このような生分解性アセチルセルロースは融点と
熱分解温度が近接していて溶融成形加工が困難であるの
で、通常、可塑剤を添加した組成物として利用されてい
る。
【0004】ところで、生分解性を有するとともに、溶
融成形加工性を有する樹脂組成物としてアセチルセルロ
ースを取り扱う場合、使用する可塑剤も生分解性である
ことが必要となってくるが、従来アセチルセルロースの
可塑剤として使用されてきたフタル酸エステル、リン酸
エステルには生分解性が無く、これら可塑剤を配合した
樹脂組成物を土中に放置すると、アセチルセルロースは
生分解しても可塑剤が生分解せずに残ることになってし
まう。
【0005】その為、生分解性の可塑剤を配合した生分
解性アセチルセルロース樹脂組成物に関して、幾つかの
提案がなされている。例えば、セルロースエステルを含
む生分解性樹脂組成物として、特開平4−142344
号公報には、50〜90wt%のセルロースエステル、
0〜40wt%の可塑剤、及び5〜30wt%の脂肪族
ポリエステル(分子量500〜3,000)を含む生分
解性合成樹脂材料が開示されている。但し、この組成物
の生分解性は、可塑剤及び脂肪族ポリエステルの生分解
性に大きく依存し、セルロースエステル自体の生分解性
については何ら触れられていない。
【0006】また、特開平7−76632号公報には、
平均置換度2.15以下の生分解性セルロースエステル
を用いた場合について、生分解性を有することが知られ
ている種々の可塑剤が列挙されている。しかし、これら
の公知の可塑剤では、溶融成形性と熱安定性の両方を満
足するアセテート樹脂組成物が得られない。
【0007】その為、本発明者等は、特開平9−783
39号公報で、溶融紡糸用途として、加工時の熱安定
性、揮発性を考慮して、特定重合度のアセチルセルロー
スと平均分子量400〜2,000の全ての末端が水酸
基であるポリエステルポリオールからなる生分解性アセ
チルセルロース樹脂組成物を提案した。更に特開平9−
122165号公報で、生産性を向上させる為、紡糸温
度を低く抑えることを目的に、平均重合度150未満の
アセチルセルロースと、平均分子量500〜1,000
のカプロラクトンテトラオールを用いる生分解性アセチ
ルセルロース樹脂組成物を提案した。
【0008】融点と熱分解温度が近接したアセチルセル
ロースを用いて、溶融成形加工の中でも高度な技術を必
要とする溶融紡糸を行うことを可能とするという点か
ら、ポリエステルポリオールは可塑剤として非常に有効
であるといえる。しかし、現在のアセチルセルロース樹
脂組成物による成形品は、例えばシート、フィルム、繊
維など非常に多岐にわたり、同時に性能も非常に広範囲
なものが要求され、前記した溶融成形性と熱安定性の他
に、透明性、可塑剤の揮発性、可塑剤の移行性等が重要
となり、ポリエステルポリオールを可塑剤として使用し
ても、十分に対処出来ない場合がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】可塑剤の揮発性は、熱
成形時に樹脂組成物から可塑剤が揮発する現象、可塑剤
の移行性とは、可塑剤が樹脂組成物内部から表面に移行
したり、他の物質と接触している場合は、他の物質に移
行したりする現象である。そこで、本発明は、生分解性
を有するとともに、優れた溶融成形加工性と熱安定性を
有し、かつ、可塑剤の移行性や可塑剤の揮発性が少な
い、新規な生分解性アセチルセルロース樹脂組成物を提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下の各発明
を包含する。
【0011】(1) 一般式(1) 、
【化5】 (式中、Yは1〜20の炭素原子を有する有機基を表
し、Zは1〜20の炭素原子を有する有機基を表し、q
は1以上の整数を表し、rは1以上の整数を表す。)に
より表される繰り返し単位を有し、数平均分子量500
〜5,000であるポリエステルと生分解性アセチルセ
ルロースとを含有することを特徴とする、生分解性アセ
チルセルロース樹脂組成物。
【0012】(2) 前記ポリエステルは、下記一般式(2)
及び/又は一般式(3) 、
【化6】 (各式中、Wは1〜20の炭素原子を有する一価の有機
基を表し、Xは1〜20の炭素原子を有する二価の有機
基を表す。)で表されるカルボン酸化合物を重合開始点
として、一般式(4) 、
【化7】 (式中、Zは1〜20の炭素原子を有する有機基を表
す。)で表されるモノエポキシ化合物と、一般式(5) 、
【化8】 (式中、Yは1〜20の炭素原子を有する有機基を表
す。)で表される二塩基酸無水物とを開環交互共重合さ
せることによって得られる生分解性ポリエステルである
ことを特徴とする、(1) 項に記載の生分解性アセチルセ
ルロース樹脂組成物。
【0013】(3) 前記生分解性アセチルセルロースは、
平均重合度70〜250、酢化度30〜56%のアセチ
ルセルロースであることを特徴とする、(1) 項又は(2)
項に記載の生分解性アセチルセルロース樹脂組成物。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の生分解性樹脂組成物は、
アセチルセルロース及び可塑剤を主成分として構成され
る。本発明で使用されるアセチルセルロースとしては、
針葉樹晒クラフトパルプや溶解パルプのようなセルロー
スパルプ或いはリンターを酢酸によって予備処理した
後、硫酸のような酸性触媒の存在下に無水酢酸を用いて
酢化し、次いで中和と熟成を行うという公知の方法で得
られ、酢化度56%以下の本質的生分解性が確認されて
いるものが用いられる。
【0015】アセチルセルロースは、酢化度が51%を
下回ると易分解性となり生分解性が更に容易となるが、
可塑剤として、数平均分子量が5,000以下の生分解
性を有する一般式(1)、
【化9】 (式中、Yは1〜20の炭素原子を有する有機基を表
し、Zは1〜20の炭素原子を有する有機基を表し、q
は1以上の整数を表し、rは1以上の整数を表す。)に
より表される繰り返し単位を有するポリエステルを使用
する限りにおいては、酢化度51〜56%のアセチルセ
ルロースを用いても、生分解は容易に行われる。
【0016】しかしながら、酢化度が30%未満のアセ
チルセルロースは、耐水性が低下して実用に適さないの
で、本発明では酢化度30〜56%範囲のアセチルセル
ロースが用いられる。また、酢化度の異なる2種類以上
のアセチルセルロースを混合しても良い。平均酢化度の
測定は、公知の中和滴定法に従い求められる。
【0017】アセチルセルロースに可塑剤を配合すると
強度低下が起こる。これを補う為に可塑剤との混練や成
形加工が可能な範囲で、アセチルセルロースの平均重合
度は高いほど好ましい。特に熱流動性及び溶融張力の点
からは平均重合度70〜250の範囲のものが良い。特
に、溶融紡糸の場合は、重合度が70未満になると一般
式(1) により表されるポリエステルを用いても強度が改
善されず、所望の溶融紡糸性は得られない。また、重合
度が250を越えると混練性が著しく低下するので好ま
しくない。
【0018】生分解性アセチルセルロースの平均重合度
(DP)は、公知の測定法に従い、アセチルセルロース
をアセトン溶媒に溶かし、オストワルド粘度計より求め
た相対粘度から得られる極限粘度〔η〕を用いて(1) 式
より求められる。 〔η〕=0.009×DP・・・(1)
【0019】アセチルセルロースの配合量は、アセチル
セルロース及び可塑剤の合計重量当たり55〜85重量
%の範囲が好ましい。この配合量が55重量%未満では
組成物の強度が低下し、また、85重量%を超える量で
は熱流動性の点から成形温度が高くなり過ぎ、可塑剤の
揮発量が増加し、且つアセチルセルロース及び可塑剤の
熱安定性が低下するので適さない。
【0020】本発明に使用される可塑剤としての一般式
(1)
【化10】 (式中、Yは1〜20の炭素原子を有する有機基を表
し、Zは1〜20の炭素原子を有する有機基を表し、q
は1以上の整数を表し、rは1以上の整数を表す。)に
より表される繰り返し単位を有するポリエステルは、一
般式(2) 及び/又は一般式(3) :
【化11】 (式中、Xは1〜20の炭素原子を有する二価の有機基
を表し、Wは1〜20の炭素原子を有する一価の有機基
を表す。)により表されるカルボン酸を重合開始点とし
て、下記一般式(4) により表されるモノエポキシ化合物
及び一般式(5) により表される二塩基酸無水物:
【化12】 (式中、Yは、1〜20の炭素原子を有する有機基を表
し、Zは1〜20の炭素原子を有する有機基を表す。)
を開環交互共重合させることを特徴とするものである。
【0021】この開環交互共重合に用いられるモノエポ
キシ化合物は、上記一般式(4) (式中、Zは1〜20の
炭素原子を有する有機基を表す。)で表される化合物で
あり、例えば、グリシジルメチレート、グリシジルエチ
レート、グリシジルプロピオネート、グリシジルイソプ
ロピオネート、グリシジルブチレート、グリシジルイソ
ブチレート、グリシジルメタクリレート等のグリシジル
エステル類や、メチルグリシジルエーテル、エチルグリ
シジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、イソプロ
ピルグリシジルエーテル、アクリルグリシジルエーテル
等のグリシジルエーテル類、グリシドール等が挙げられ
る。
【0022】これらのなかでは、反応性の点で、グリシ
ジルメチレート、グリシジルエチレート、グリシジルプ
ロピオネート、グリシジルイソプロピオネート、グリシ
ジルブチレート、グリシジルイソブチレート、グリシジ
ルメタクリレート等のグリシジルエステル類が好まし
い。また、式(4) において、Zにより表される有機基
は、炭化水素基に結合した1個以上の−OH、−O−、
又は−O−CO−基等を含むことが出来る。
【0023】二塩基酸無水物としては、前記一般式(5)
(式中、Yは1〜20の炭素原子を有する有機基を表
す。)により表されるものから選ばれ、例えば、無水コ
ハク酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水マレイ
ン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。式(5) におい
て、Yで表される有機基は炭化水素基に結合した1個以
上の−O−、又は>C=O、−NO2 基等を含むことが
出来る。これらのモノエポキシ化合物及び二塩基酸無水
物が、上記反応により、開環交互共重合して、一般式
(1) により表される繰り返し単位を有するポリエステル
が得られる。
【0024】この反応に用いるモノエポキシ化合物及び
二塩基酸無水物の仕込みモル比は、生成するポリエステ
ルに要求される物性を満足し得る限り、特に制限は無い
が、例えば、生成するポリエステルの末端基を水酸基に
する為に、二塩基酸無水物に対してモノエポキシ化合物
の仕込モル比を高くして反応を行うことが出来る。通常
は、分子量制御や末端種の制御の点から、モノエポキシ
化合物と二塩基酸無水物の仕込みモル比は1/3〜3/
1の範囲であることが好ましい。
【0025】上記反応の重合開始点として用いられるカ
ルボン酸としては、前記一般式(2)及び/又は一般式(3)
(式中、Xは1〜20の炭素原子を有する二価の有機
基を表し、Wは1〜20の炭素原子を有する一価の有機
基を表す。)により表されるものから選ばれ、二価のカ
ルボン酸として、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられ、一価の
カルボン酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪
酸、アクリル酸等が挙げられ、これらのカルボン酸を単
独又は2種類以上を混合して使用することが出来る。
【0026】前記一般式(2) 及び/又は一般式(3) によ
り表されるカルボン酸は、合成するポリエステルの分子
量に応じて、任意の量を用いることが出来るが、多くの
場合は、反応温度や反応時間を考慮して、前記一般式
(5) により表される二塩基酸無水物1モルに対して、
0.005〜0.5モルの範囲で用いられる。その使用
量が、二塩基酸無水物1モルに対して0.005モルよ
り少ない場合は、多くの場合、この反応により得られる
ポリエステルの数平均分子量は5,000よりも高くな
り、アセチルセルロースとの可塑化効果が小さくなり、
混練性の低下に加え、成形温度が高くなるので好ましく
ない。また、カルボン酸の使用量が、二塩基酸無水物1
モルに対して0.5モルより多い場合は、多くの場合、
得られるポリエステルの数平均分子量は500よりも低
くなり、アセチルセルロースとの混練時や成形加工時
に、ポリエステル中の揮発成分が見られ、また、成形品
からポリエステル成分の移行が生じる為に好ましくな
い。
【0027】上記、開環交互共重合反応の反応温度は、
反応に用いるモノエポキシ化合物、二塩基酸無水物の反
応性や安定性、生成ポリエステルの安定性等を考慮し、
通常0〜250℃であることが好ましく、より好ましく
は70〜200℃である。また、反応時間は、使用され
るモノエポキシ化合物及び二塩基酸無水物の仕込量比や
反応時間等に依存して定まるが、工業的見地から通常1
〜10時間とすることが好ましい。
【0028】前記一般式(1) により表される繰り返し単
位を有するポリエステルの配合量は、アセチルセルロー
ス及び可塑剤の合計重量当たり15〜45重量%が好ま
しい。前記配合量が45重量%を越えると成形物の強度
が低下し、特に溶融紡糸の場合には紡糸断糸率が増加す
るので適さない。一方、前記配合量が15重量%未満で
は熱流動性の点から成形温度が高くなり過ぎ、可塑剤の
揮発量が増加し、且つアセチルセルロース及び可塑剤の
熱安定性が低下するので適さない。
【0029】前記一般式(1) により表される繰り返し単
位を有するポリエステルは、生分解性を有し、アセチル
セルロースとの相溶性が良好な数平均分子量500〜
5,000の化合物であり、単独或いは分子量の異なる
もの2種類以上を選択して混合して用いることが出来
る。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィーを用い、ポリスチレンを標準にして換算するこ
とで測定される。数平均分子量が500未満では可塑化
効果は良好であるが、成形温度180〜250℃におい
て、一般式(1) により表される繰り返し単位を有するポ
リエステル中の低分子量成分の揮発性が高くなり、ま
た、熱安定性も低下し、強度の低下が大きくなる。逆に
数平均分子量が5,000を越えると可塑化効果が小さ
く混練性の低下に加え、成形温度が高くなり、可塑剤と
アセチルセルロースの熱安定性が低下する。
【0030】本発明の生分解性樹脂組成物の主成分は、
アセチルセルロースと可塑剤であるが、その他に必要に
応じて要求される性能を損なわない範囲で、熱劣化防止
と熱着色防止の為の安定剤として弱有機酸、エポキシ化
合物、金属石鹸、フォスフェイト、チオフォスフェイト
等の安定剤を単独又は相乗効果を出す為に数種類混合し
て添加しても差し支えない。また、その他、染料、顔
料、充填剤、滑剤、帯電防止剤、生分解促進剤等を目的
に応じて添加しても差し支えない。
【0031】本発明において用いられている生分解性
は、土壌中に一定期間埋設した後の重量減少又はJIS
K−6950に準拠した重量減少等から評価すること
が出来る。また、本質的な生分解性はASTM−D−5
338又はアセチルセルロースや可塑剤に馴化した微生
物を含む土壌や活性汚泥で制御された環境を用いて生分
解性を評価することが出来る。
【0032】本発明で用いられるアセチルセルロースと
前記一般式(1) により表される繰り返し単位を有するポ
リエステルの混合に際して、ニーダー、ロールミル、バ
ンバリーミキサー等の通常使用されている公知の混練機
が特に制限無く用いられる。なお、混合を容易にする為
に粉砕機により予めアセチルセルロースの粒子を50メ
ッシュ以上に細かく粉砕しておくことが望ましい。ま
た、混合物は気泡の混入を出来るだけ少なくする為に、
成形機に供給する前にエクストルーダーを用いてペレッ
ト化しておくことが望ましい。また、ペレット化した生
分解性アセチルセルロース樹脂組成物は各種成形に先立
ち、成形時の加水分解や気泡の発生を防止する為に含水
率を0.1%以下に乾燥することが好ましい。
【0033】本発明の生分解性組成物は、優れた溶融紡
糸性を有している他、ブロー成形、押出成形、射出成形
等の公知の手段により、適宜所望の形状に成形すること
も可能であるとともに、優れた生分解性を示す。
【0034】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をよ
り具体的に説明するが、勿論、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。なお、実施例及び比較例における%
は、全て重量%を示す。
【0035】ポリエステル合成例1:200mLの四つ
口フラスコに、窒素気流下で、グリシジルイソプロピオ
ネート43.3g(300mmol)と無水コハク酸2
0.0g(200mmol)を仕込み、80℃で攪拌し
た。無水コハク酸が完全に溶解したところで、コハク酸
を4.72g(40.0mmol)を加え、150℃で
6時間攪拌を行った。得られた生成物を100℃、10
mmHgで60分間減圧することにより、未反応のグリ
シジルイソプロピオネートを取り除き、44.4gの無
色透明の液体を得た。得られたポリエステルのゲルパー
ミエーションクロマトグラフィー(ポリスチレン換算:
HLC−8020、東ソー社製)による数平均分子量M
nは830、重量平均分子量Mwは1,300であっ
た。酸価は45mgKOH/g、水酸基価は281mg
KOH/gであった。
【0036】ポリエステル合成例2〜4:コハク酸仕込
量を表1に示すものに変えた以外は、ポリエステル合成
例1と同様にして反応を行い、ポリエステルを得た。得
られたポリエステルの物性を表1に示す。
【0037】
【表1】
【0038】実施例1〜6:絶乾アセチルセルロース
(イーストマンケミカル(株)製;398−30、酢化
度40%)微粉末と表2記載の可塑剤をビーカーに合計
重量100%となるように秤とり、混ぜ合わせたのち、
205℃に調温されているラボプラストミルニーダー
((株)東洋精機製作所;50−C−150)中に回転
翼を60rpmで回転させた状態で素早く投入し、その
まま10分間混練し、均一なアセチルセルロース樹脂組
成物を得た。
【0039】
【表2】
【0040】比較例1〜2:絶乾アセチルセルロース
(イーストマンケミカル(株)製;398−30、酢化
度40%)微粉末と表−2記載の可塑剤をビーカーに合
計重量100%となるように秤とり、実施例1〜4と同
様に混ぜ合わせたのち、205℃に調温されているラボ
プラストミルニーダー中に回転翼を60rpmで回転さ
せた状態で素早く投入し、そのまま10分間混練し、均
一なアセチルセルロース樹脂組成物を得た。得られた混
練物の熱流動性、溶融紡糸性、熱劣化、引張破断強度、
移行性及び生分解性については以下に示す方法で評価し
た。
【0041】(1) 熱流動性 フローテスター((株)島津製作所製;CFT−50
0、ダイL/D=1.0mm/0.3mm)を用い、1
0kg加重下、混練物の溶融粘度が1000poise を示
す温度を測定し、熱流動性の尺度とした。 (2) 溶融紡糸性 (1) の粘度が1000poise を示す温度にて、上記のダ
イから吐出される混練物をイジェクターで引き取り、直
径0.02mmのモノフィラメントを得るのに際し、フ
ィラメント切れの頻度を下記の3段階で判定して溶融紡
糸性の尺度とした。 ○;全く問題無く、紡糸可能 △;若干のフィラメント切れが見られるが、紡糸可能 ×;フィラメント切れが多発し、紡糸困難
【0042】(3) 熱劣化 (2) で行った溶融紡糸性評価の前後における変色の度合
いを、下記の3段階で評価して、熱劣化の尺度とした。 ○;変色せず ○〜△;わずかに変色 △;やや変色 ×;著しく変色
【0043】(4) 可塑剤の移行性 混練物をラボプレス((株)東洋精機製作所製)を用い
て200℃、150kg/cm2 加圧下で2分間プレス
し、厚さ0.03mmのフィルムを得た。このフィルム
とクラフト紙(坪量;50g/m2 )を交互に重ね合わ
せて100g/cm2 の荷重をかけ両者を一体化させ、
100℃に保った送風乾燥機中で24時間放置した後、
クラフト紙の変色を下記の3段階で判定して、移行性の
有無を判定した。 ○;全く変色しておらず、移行性無し △;一部が変色しており、やや移行性がある ×;全面が変色しており、移行性がある
【0044】(5) 引張破断強度 直径0.02mmのフィラメントを小型万能試験機(テ
スター産業(株)製)を用いて引張破断強度を測定し
た。 (6) 生分解性 (4) と同様のラボプレスを用いて混練物を200℃、1
50kg/cm2 加圧下で2分間プレスし、厚さ0.6
mmのシートを得て、10mm×80mmの大きさに切
りそろえた。これを東京都江東区の野外の土中(東京都
江東区東雲1丁目10番6号、王子製紙(株)東雲研究
センター敷地内)25cmの深さに埋設し、6ヶ月経過
後に取り出し、形状変化を重量変化から次の3段階で評
価した。 ○;形態変化と重量減少とも著しい △;形態変化と重量減少が認められる ×;形態変化と重量減少が認められない
【0045】実施例1〜6及び比較例1〜2で得られた
混練物について、熱流動性、溶融紡糸性、熱劣化、フィ
ラメントの引張破断強度、移行性及び生分解性を評価
し、表3に示す結果を得た。
【0046】
【表3】
【0047】表3から分かるように、本発明の生分解性
アセチルセルロース樹脂組成物(実施例1〜4)はカプ
ロラクトントリオール(比較例1〜2)に比べて、同等
の溶融紡糸性と強度を有しているにも拘らず、熱流動性
が優れている為、成形温度を低く設定することが可能と
なり、可塑剤の揮発防止や熱劣化を防ぐことが出来る。
また、実施例5〜6は溶融紡糸性、熱流動性及び強度的
には同等であるが、他の実施例と同様に、移行性の問題
が無い上、優れた生分解性を有している。
【0048】
【発明の効果】本発明は、可塑剤の揮発防止や熱劣化に
よる着色を防ぎながら、優れた溶融成形加工が可能で、
可塑剤の移行が無く、生分解性に優れる新規アセチルセ
ルロース樹脂組成物を提供するという効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松林 克明 東京都江東区東雲1丁目10番6号 王子製 紙株式会社東雲研究センター内 (72)発明者 津野 隆治 茨城県つくば市大久保5番地 荒川化学工 業株式会社筑波研究所内 (72)発明者 杉原 裕介 茨城県つくば市大久保5番地 荒川化学工 業株式会社筑波研究所内 Fターム(参考) 4J002 AB02X CF03W 4J029 AA01 AA07 AB01 AB07 AC02 AE02 AE03 CA04 CA05 CA06 FA12 FB03 GA13 GA17 GA42 HA05 HB01 HB06 JE011

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1) により表される繰り返し
    単位を有し、数平均分子量500〜5,000のポリエ
    ステルと生分解性アセチルセルロースを含有することを
    特徴とする、生分解性アセチルセルロース樹脂組成物。 【化1】 (式中、Yは1〜20の炭素原子を有する有機基を表
    し、Zは1〜20の炭素原子を有する有機基を表し、q
    は1以上の整数を表し、rは1以上の整数を表す。)
  2. 【請求項2】 前記ポリエステルは、一般式(2) 及び/
    又は一般式(3) 、 【化2】 (各式中、Wは1〜20の炭素原子を有する一価の有機
    基を表し、Xは1〜20の炭素原子を有する二価の有機
    基を表す。)で表されるカルボン酸化合物を重合開始点
    として、一般式(4) 、 【化3】 (式中、Zは1〜20の炭素原子を有する有機基を表
    す。)で表されるモノエポキシ化合物と、一般式(5) 、 【化4】 (式中、Yは1〜20の炭素原子を有する有機基を表
    す。)で表される二塩基酸無水物とを開環交互共重合さ
    せることによって得られる生分解性ポリエステルである
    ことを特徴とする、請求項1に記載の生分解性アセチル
    セルロース樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記生分解性アセチルセルロースは、平
    均重合度70〜250、酢化度30〜56%のアセチル
    セルロースであることを特徴とする、請求項1又は2に
    記載の生分解性アセチルセルロース樹脂組成物。
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