JP2000263282A - 真空ろう付け用アルミニウム合金ブレージングシート - Google Patents
真空ろう付け用アルミニウム合金ブレージングシートInfo
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- JP2000263282A JP2000263282A JP6760699A JP6760699A JP2000263282A JP 2000263282 A JP2000263282 A JP 2000263282A JP 6760699 A JP6760699 A JP 6760699A JP 6760699 A JP6760699 A JP 6760699A JP 2000263282 A JP2000263282 A JP 2000263282A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 成形加工後表面に浸透し残存する揮発性油が
容易に加熱脱脂される真空ろう付け用Al合金ブレージ
ングシートを提供する。 【解決手段】 Al−Si−Mg系合金を皮材(ろう
材)とするブレージングシートにおいて、前記皮材表面
に開口するクラックの開口部最大径が6μm以上のクラ
ックの数密度が150個/mm2 以下である真空ろう付
け用アルミニウム合金ブレージングシート。 【効果】 本発明のブレージングシートはその表面(ろ
う材表面)に開口するクラックの開口部最大径が6μm
以上のクラックの数密度が小さいので、タンクプレート
2などにプレス成形したのちに残存する揮発性油量が少
なく、タンクプレート2などを中空部を有する積層型の
エバポレータなどのコア1に組み立てたのちに行う加熱
脱脂において脱脂が良好になされ、依って優れた真空ろ
う付け性が得られる。
容易に加熱脱脂される真空ろう付け用Al合金ブレージ
ングシートを提供する。 【解決手段】 Al−Si−Mg系合金を皮材(ろう
材)とするブレージングシートにおいて、前記皮材表面
に開口するクラックの開口部最大径が6μm以上のクラ
ックの数密度が150個/mm2 以下である真空ろう付
け用アルミニウム合金ブレージングシート。 【効果】 本発明のブレージングシートはその表面(ろ
う材表面)に開口するクラックの開口部最大径が6μm
以上のクラックの数密度が小さいので、タンクプレート
2などにプレス成形したのちに残存する揮発性油量が少
なく、タンクプレート2などを中空部を有する積層型の
エバポレータなどのコア1に組み立てたのちに行う加熱
脱脂において脱脂が良好になされ、依って優れた真空ろ
う付け性が得られる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中空部を有する積
層型熱交換器(エバポレータなど)の部材(例えばタン
クプレート)などに有用な、成形加工後に表面に浸透し
残存する揮発性潤滑油が容易に加熱脱脂される真空ろう
付け用アルミニウム合金ブレージングシートに関する。
層型熱交換器(エバポレータなど)の部材(例えばタン
クプレート)などに有用な、成形加工後に表面に浸透し
残存する揮発性潤滑油が容易に加熱脱脂される真空ろう
付け用アルミニウム合金ブレージングシートに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用熱交換器などには、中空部を有
する積層型(ドロンカップタイプ)のエバポレータ(カ
ーエアコン用)、オイルクーラー、インタークーラーな
どが用いられている。前記エバポレータのコア1は、図
1に示すように、冷媒通路を形成してプレス成形された
タンクプレート2と、コルゲート加工したフィン3とを
交互に積層して組付け、この組付け体を真空ろう付けし
て製造される。前記真空ろう付けは10-5〜10-4torr
台の真空中で約600℃に加熱して行われる。
する積層型(ドロンカップタイプ)のエバポレータ(カ
ーエアコン用)、オイルクーラー、インタークーラーな
どが用いられている。前記エバポレータのコア1は、図
1に示すように、冷媒通路を形成してプレス成形された
タンクプレート2と、コルゲート加工したフィン3とを
交互に積層して組付け、この組付け体を真空ろう付けし
て製造される。前記真空ろう付けは10-5〜10-4torr
台の真空中で約600℃に加熱して行われる。
【0003】前記タンクプレート2は、JIS3000
(Al−Mn系)系Al合金を芯材とし、その片面また
は両面にJIS4000(Al−Mg−Si系)系Al
合金の皮材(ろう材)をクラッドした厚さ0.4〜1.
2mmのAl合金ブレージングシートをプレス成形して
製造される。フィン3には、厚さ0.08〜0.3mm
のJIS1000系AlまたはJIS3000系Al合
金の板材が使用されている。
(Al−Mn系)系Al合金を芯材とし、その片面また
は両面にJIS4000(Al−Mg−Si系)系Al
合金の皮材(ろう材)をクラッドした厚さ0.4〜1.
2mmのAl合金ブレージングシートをプレス成形して
製造される。フィン3には、厚さ0.08〜0.3mm
のJIS1000系AlまたはJIS3000系Al合
金の板材が使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前記タンク
プレートのプレス成形には潤滑油が用いられ、プレス成
形後のタンクプレート上(ろう材上)には潤滑油が浸透
して残存する。この潤滑油はタンクプレートにフィンを
組付けたのち有機溶媒により脱脂されるが、前記有機溶
媒は環境保全の観点から使用が規制されるようになっ
た。このため、潤滑油に揮発性潤滑油(以下揮発性油と
略記する)を用い、脱脂を大気加熱して行う方法が採用
されるようになった。
プレートのプレス成形には潤滑油が用いられ、プレス成
形後のタンクプレート上(ろう材上)には潤滑油が浸透
して残存する。この潤滑油はタンクプレートにフィンを
組付けたのち有機溶媒により脱脂されるが、前記有機溶
媒は環境保全の観点から使用が規制されるようになっ
た。このため、潤滑油に揮発性潤滑油(以下揮発性油と
略記する)を用い、脱脂を大気加熱して行う方法が採用
されるようになった。
【0005】しかし、この方法では、コア内側に残存す
る揮発性油が加熱脱脂され難いという問題がある。揮発
性油が脱脂されずに残存すると、ろう付け加熱中に皮膜
が生成して変色したり、ろう付け性が低下したりする。
る揮発性油が加熱脱脂され難いという問題がある。揮発
性油が脱脂されずに残存すると、ろう付け加熱中に皮膜
が生成して変色したり、ろう付け性が低下したりする。
【0006】このようなことから、本発明者等は、揮発
性油がコア内側で加熱脱脂され難い原因を調査した。そ
の結果、タンクプレートの表面(ろう材表面)に開口す
るクラックに揮発性油が浸透し、この揮発性油が加熱脱
脂の際ガス化してタンクプレートの冷媒通路内に充満し
て揮発性油の揮発を遅らせることを知見した。そして前
記知見をもとにさらに研究を進め、タンクプレート表面
(ろう材表面)に開口するクラックの大きさと数密度を
規定すれば容易に加熱脱脂されることを見いだし、本発
明を完成させるに至った。本発明は、成形加工後、表面
に浸透し残存する揮発性油が容易に加熱脱脂される真空
ろう付け用Al合金ブレージングシートの提供を目的と
する。
性油がコア内側で加熱脱脂され難い原因を調査した。そ
の結果、タンクプレートの表面(ろう材表面)に開口す
るクラックに揮発性油が浸透し、この揮発性油が加熱脱
脂の際ガス化してタンクプレートの冷媒通路内に充満し
て揮発性油の揮発を遅らせることを知見した。そして前
記知見をもとにさらに研究を進め、タンクプレート表面
(ろう材表面)に開口するクラックの大きさと数密度を
規定すれば容易に加熱脱脂されることを見いだし、本発
明を完成させるに至った。本発明は、成形加工後、表面
に浸透し残存する揮発性油が容易に加熱脱脂される真空
ろう付け用Al合金ブレージングシートの提供を目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
Al−Si−Mg系合金を皮材(ろう材)とするブレー
ジングシートにおいて、前記皮材表面に開口するクラッ
クの開口部最大径が6μm以上のクラックの数密度が1
50個/mm2 以下であることを特徴とする真空ろう付
け用アルミニウム合金ブレージングシートである。
Al−Si−Mg系合金を皮材(ろう材)とするブレー
ジングシートにおいて、前記皮材表面に開口するクラッ
クの開口部最大径が6μm以上のクラックの数密度が1
50個/mm2 以下であることを特徴とする真空ろう付
け用アルミニウム合金ブレージングシートである。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のブレージングシートは、
ブレージングシート表面(ろう材表面)に開口するクラ
ックの開口部最大径が6μm以上のクラックの数密度を
150個/mm2 以下に規定して、前記ブレージングシ
ート表面(ろう材表面)に浸透する揮発性油の量を低減
し、エバポレータなどの中空部を有する積層型熱交換器
のコア内側においても加熱脱脂が良好に行えるようにし
たものである。
ブレージングシート表面(ろう材表面)に開口するクラ
ックの開口部最大径が6μm以上のクラックの数密度を
150個/mm2 以下に規定して、前記ブレージングシ
ート表面(ろう材表面)に浸透する揮発性油の量を低減
し、エバポレータなどの中空部を有する積層型熱交換器
のコア内側においても加熱脱脂が良好に行えるようにし
たものである。
【0009】本発明において、数密度を規定するクラッ
クは、そのブレージングシート表面(ろう材表面)に開
口するクラックの開口部最大径が6μm以上のクラック
で、この開口部の最大径はクラック内に第2相粒子が含
まれている場合は、前記第2相粒子も含む径である。ク
ラックの開口部の形状が細長形状の場合はその長さが最
大径になる開口部の径である。前記クラックの開口部の
最大径は、前記ブレージングシート表面(ろう材表面)
をSEM観察して測定する。
クは、そのブレージングシート表面(ろう材表面)に開
口するクラックの開口部最大径が6μm以上のクラック
で、この開口部の最大径はクラック内に第2相粒子が含
まれている場合は、前記第2相粒子も含む径である。ク
ラックの開口部の形状が細長形状の場合はその長さが最
大径になる開口部の径である。前記クラックの開口部の
最大径は、前記ブレージングシート表面(ろう材表面)
をSEM観察して測定する。
【0010】本発明において、ブレージングシート表面
(ろう材表面)に開口するクラックの開口部最大径が6
μm以上のクラックの数密度を150個/mm2 以下に
規定する理由は、前記クラックの数密度が150個/m
m2 を超えると揮発性油の浸透量が多くなり、通常の加
熱条件ではコア内側の揮発性油が十分除去されなくなる
ためである。開口部の最大径が6μm未満のクラック
は、揮発性油が浸透し難いため数密度が大きくても加熱
脱脂が良好に行える。
(ろう材表面)に開口するクラックの開口部最大径が6
μm以上のクラックの数密度を150個/mm2 以下に
規定する理由は、前記クラックの数密度が150個/m
m2 を超えると揮発性油の浸透量が多くなり、通常の加
熱条件ではコア内側の揮発性油が十分除去されなくなる
ためである。開口部の最大径が6μm未満のクラック
は、揮発性油が浸透し難いため数密度が大きくても加熱
脱脂が良好に行える。
【0011】本発明のブレージングシートは、例えば、
均質化処理(ソーキング)後のろう材鋳塊と芯素材とを
重ね合わせ加熱したのち、この重ね合わせ材に熱間圧
延、冷間圧延、中間焼鈍、冷間圧延の各工程を順に施し
て製造される。ブレージングシート表面(ろう材表面)
に開口するクラックは、ろう材中のSiやMg2 Siな
どの第2相粒子を起点として圧延加工時などに発生し、
その大きさや数密度は、前記ブレージングシートの製造
条件(圧延ロールの表面粗度なども含む)に左右され
る。
均質化処理(ソーキング)後のろう材鋳塊と芯素材とを
重ね合わせ加熱したのち、この重ね合わせ材に熱間圧
延、冷間圧延、中間焼鈍、冷間圧延の各工程を順に施し
て製造される。ブレージングシート表面(ろう材表面)
に開口するクラックは、ろう材中のSiやMg2 Siな
どの第2相粒子を起点として圧延加工時などに発生し、
その大きさや数密度は、前記ブレージングシートの製造
条件(圧延ロールの表面粗度なども含む)に左右され
る。
【0012】以下に、クラックの大きさまたは数密度を
小さくするための製造条件について説明する。 ろう材鋳塊の均質化処理温度は520℃以下とする。
520℃を超えると第2相粒子が大きく成長し粗大クラ
ックが発生するようになる。特には470℃以下が望ま
しい。 合わせ材の熱間圧延温度は300℃以上、520℃以
下とする。300℃未満では皮材(ろう材)と芯材が十
分圧着せず、圧延時に割れが生じる。また520℃を超
えると圧延時に第2相粒子が大きく成長し粗大クラック
が発生するようになる。 合わせ材の熱間圧延終了後の板厚は4mm以下とす
る。これは板厚が4mmを超えると次の冷間圧延で圧延
率が大きくなりクラックが拡大する。 冷間圧延では、圧延温度を70℃以上に制御する。圧
延温度が70℃未満では圧延割れが生じる。圧延温度は
圧延油量などを調整して制御する。 冷間圧延での1パスあたりの圧延率は20%以上にす
る。前記圧延率が20%未満では圧延回数が多くなり、
圧延時に掛かる大きな剪断力が多数回作用し皮材(ろう
材)表面のクラックが大きくなる。特に前記圧延率は4
0%以上が望ましい。 冷間圧延用ロールの表面粗度は0.6μm以下にす
る。前記表面粗度が0.6μmを超えると圧延時に粗大
クラックが発生することがある。 前記〜の製造条件を満足させることにより、本発明
のブレージングシートが安定して製造される。
小さくするための製造条件について説明する。 ろう材鋳塊の均質化処理温度は520℃以下とする。
520℃を超えると第2相粒子が大きく成長し粗大クラ
ックが発生するようになる。特には470℃以下が望ま
しい。 合わせ材の熱間圧延温度は300℃以上、520℃以
下とする。300℃未満では皮材(ろう材)と芯材が十
分圧着せず、圧延時に割れが生じる。また520℃を超
えると圧延時に第2相粒子が大きく成長し粗大クラック
が発生するようになる。 合わせ材の熱間圧延終了後の板厚は4mm以下とす
る。これは板厚が4mmを超えると次の冷間圧延で圧延
率が大きくなりクラックが拡大する。 冷間圧延では、圧延温度を70℃以上に制御する。圧
延温度が70℃未満では圧延割れが生じる。圧延温度は
圧延油量などを調整して制御する。 冷間圧延での1パスあたりの圧延率は20%以上にす
る。前記圧延率が20%未満では圧延回数が多くなり、
圧延時に掛かる大きな剪断力が多数回作用し皮材(ろう
材)表面のクラックが大きくなる。特に前記圧延率は4
0%以上が望ましい。 冷間圧延用ロールの表面粗度は0.6μm以下にす
る。前記表面粗度が0.6μmを超えると圧延時に粗大
クラックが発生することがある。 前記〜の製造条件を満足させることにより、本発明
のブレージングシートが安定して製造される。
【0013】本発明のブレージングシートには、通常の
真空ろう付け用Al合金ブレージングシートが用いられ
る。即ち、芯材がJIS3003(Al−0.15wt%
Cu−1.1wt%Mn)合金、JIS3005(Al−
1.1wt%Mn−0.4wt%Mg)合金、JIS310
5合金、Al−Mg−Si−Cu−Mn系合金などから
なり、皮材(ろう材)がJIS4004(Al−10wt
%Si−1.5wt%Mg)合金、JIS4104(Al
−10wt%Si−1.5wt%Mg−0.1wt%Bi)合
金などからなるブレージングシートである。
真空ろう付け用Al合金ブレージングシートが用いられ
る。即ち、芯材がJIS3003(Al−0.15wt%
Cu−1.1wt%Mn)合金、JIS3005(Al−
1.1wt%Mn−0.4wt%Mg)合金、JIS310
5合金、Al−Mg−Si−Cu−Mn系合金などから
なり、皮材(ろう材)がJIS4004(Al−10wt
%Si−1.5wt%Mg)合金、JIS4104(Al
−10wt%Si−1.5wt%Mg−0.1wt%Bi)合
金などからなるブレージングシートである。
【0014】前記ブレージングシートの皮材(ろう材)
に含まれるMgは、真空ろう付け加熱で温度が400℃
付近になったあたりから徐々に蒸発し始め、この蒸発し
たMgは炉内の酸化性ガスをゲッター作用(H2 O+M
g→MgO+H2 、O2 +2Mg→2MgO)により除
去し、また蒸発時に皮材(ろう材)表面の酸化皮膜を破
壊してろう付け性を改善する。Siは皮材(ろう材)の
融点を下げることでろう付け性を改善する。Biはろう
材の流動性を高め、またMgの蒸発を促進してろう付け
性を改善する。
に含まれるMgは、真空ろう付け加熱で温度が400℃
付近になったあたりから徐々に蒸発し始め、この蒸発し
たMgは炉内の酸化性ガスをゲッター作用(H2 O+M
g→MgO+H2 、O2 +2Mg→2MgO)により除
去し、また蒸発時に皮材(ろう材)表面の酸化皮膜を破
壊してろう付け性を改善する。Siは皮材(ろう材)の
融点を下げることでろう付け性を改善する。Biはろう
材の流動性を高め、またMgの蒸発を促進してろう付け
性を改善する。
【0015】本発明のブレージングシートは、中空部を
有する積層型熱交換器を構成する、プレス成形により加
工される部材(例えばタンクプレート)の製造に適した
ものである。
有する積層型熱交換器を構成する、プレス成形により加
工される部材(例えばタンクプレート)の製造に適した
ものである。
【0016】
【実施例】以下に本発明を実施例により詳細に説明す
る。 (実施例1)表1に示す組成の芯材とろう材の合金を金
型に鋳造し、各々の鋳塊を均質化処理したのち、芯材鋳
塊は面削して厚さ42mmの板材に仕上げ、ろう材鋳塊
は面削後、熱間圧延して厚さ9mmの板材に仕上げた。
次に前記各板材を、ろう材、芯材、ろう材の順に3枚重
ね合わせて加熱し、その後熱間圧延して厚さ3.5mm
の3層クラッド材とし、このクラッド材を厚さ0.6m
mに冷間圧延したのち、360℃で2時間焼鈍してブレ
ージングシートを製造した。ろう材のクラッド率は片面
あたり15%である。冷間圧延ロールには表面粗度が
0.5μmのものを用いた。均質化処理温度、熱間圧延
温度、冷間圧延温度、冷間圧延の圧延率などの製造条件
は、得られるブレージングシートの表面(ろう材表面)
に開口するクラックの開口部最大径が6μm以上のクラ
ックの数密度が150個/mm2 以下になるように設定
した。
る。 (実施例1)表1に示す組成の芯材とろう材の合金を金
型に鋳造し、各々の鋳塊を均質化処理したのち、芯材鋳
塊は面削して厚さ42mmの板材に仕上げ、ろう材鋳塊
は面削後、熱間圧延して厚さ9mmの板材に仕上げた。
次に前記各板材を、ろう材、芯材、ろう材の順に3枚重
ね合わせて加熱し、その後熱間圧延して厚さ3.5mm
の3層クラッド材とし、このクラッド材を厚さ0.6m
mに冷間圧延したのち、360℃で2時間焼鈍してブレ
ージングシートを製造した。ろう材のクラッド率は片面
あたり15%である。冷間圧延ロールには表面粗度が
0.5μmのものを用いた。均質化処理温度、熱間圧延
温度、冷間圧延温度、冷間圧延の圧延率などの製造条件
は、得られるブレージングシートの表面(ろう材表面)
に開口するクラックの開口部最大径が6μm以上のクラ
ックの数密度が150個/mm2 以下になるように設定
した。
【0017】(比較例1)均質化処理温度、熱間圧延温
度、冷間圧延温度、冷間圧延の圧延率などの製造条件
を、得られるブレージングシートの表面(ろう材表面)
に開口するクラックの開口部最大径が6μm以上のクラ
ックの数密度が150個/mm2 を超えるように設定し
た他は、実施例1と同じ方法によりブレージングシート
を製造した。
度、冷間圧延温度、冷間圧延の圧延率などの製造条件
を、得られるブレージングシートの表面(ろう材表面)
に開口するクラックの開口部最大径が6μm以上のクラ
ックの数密度が150個/mm2 を超えるように設定し
た他は、実施例1と同じ方法によりブレージングシート
を製造した。
【0018】得られた各々のブレージングシートについ
て、クラックの数密度、ろう付け性および浸透ガス量を
下記方法により調べた。 (1)クラックの数密度:ブレージングシートの表面
(ろう材表面)をSEM観察して、前記表面に開口する
クラックの各々の開口部の最大径を測定し、前記開口部
の最大径が6μm以上のクラックの数密度を求めた。 (2)ろう付け性:ブレージングシートを揮発性油を用
いてプレス成形して図2(イ)(ロ)に示すドロンカッ
プ4を作製し、このドロンカップ4を複数積み重ね、こ
れを大気中で180℃で10分間保持して揮発性油を脱
脂したのち、5×10-5torrの真空中で600℃で3分
間加熱しろう付けして図3に示すろう付け性評価用コア
6を作製した。図2、3で5はドロンカップの排気口、
図3で7は排気口のないドロンカップである。ろう付け
性は、図4に示す前記コア6のドロンカップ4間のろう
材8のフィレット9長さLを測定して評価した。フィレ
ット長さLが2.2mm以上のものを合格とした。 (3)浸透ガス量:供試材を10-3torr台の真空中で、
実際の加熱脱脂条件と同じ条件(180℃で10分間保
持)で加熱し、放出されるガス量を測定し、単位面積当
たりの放出ガス量を求めた。結果を、主な製造条件を併
記して表2、3に示す。
て、クラックの数密度、ろう付け性および浸透ガス量を
下記方法により調べた。 (1)クラックの数密度:ブレージングシートの表面
(ろう材表面)をSEM観察して、前記表面に開口する
クラックの各々の開口部の最大径を測定し、前記開口部
の最大径が6μm以上のクラックの数密度を求めた。 (2)ろう付け性:ブレージングシートを揮発性油を用
いてプレス成形して図2(イ)(ロ)に示すドロンカッ
プ4を作製し、このドロンカップ4を複数積み重ね、こ
れを大気中で180℃で10分間保持して揮発性油を脱
脂したのち、5×10-5torrの真空中で600℃で3分
間加熱しろう付けして図3に示すろう付け性評価用コア
6を作製した。図2、3で5はドロンカップの排気口、
図3で7は排気口のないドロンカップである。ろう付け
性は、図4に示す前記コア6のドロンカップ4間のろう
材8のフィレット9長さLを測定して評価した。フィレ
ット長さLが2.2mm以上のものを合格とした。 (3)浸透ガス量:供試材を10-3torr台の真空中で、
実際の加熱脱脂条件と同じ条件(180℃で10分間保
持)で加熱し、放出されるガス量を測定し、単位面積当
たりの放出ガス量を求めた。結果を、主な製造条件を併
記して表2、3に示す。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】 (注)均質化処理温度/熱間圧延温度/冷間圧延温度。冷間圧延の圧延率。 開口部の最大径が6μm以上のクラックの数密度、単位:個数/mm2 。 単位:μリットル/g、at1気圧、20℃。
【0021】
【表3】 (注)〜は表2の注と同じ。
【0022】表2、3より明らかなように、本発明例の
No.1〜9 はいずれもフィレット長さLが長くろう付け性
に優れることが判る。これは開口部最大径が6μm以上
のクラックの数密度が小さいためプレス成形後の揮発性
油の残存量が少なく大気加熱で十分脱脂できたためであ
る。これに対し、比較例の No.10〜14はいずれもフィレ
ット長さLが短くろう付け性に劣ることが判る。これは
前記クラックの数密度が大きいためプレス成形後に揮発
性油が多量に残存し大気加熱で十分脱脂できなかったた
めである。プレス成形後の揮発性油の残存量が多いこと
は放出ガス量(浸透ガス量)が多いことから明らかであ
る。
No.1〜9 はいずれもフィレット長さLが長くろう付け性
に優れることが判る。これは開口部最大径が6μm以上
のクラックの数密度が小さいためプレス成形後の揮発性
油の残存量が少なく大気加熱で十分脱脂できたためであ
る。これに対し、比較例の No.10〜14はいずれもフィレ
ット長さLが短くろう付け性に劣ることが判る。これは
前記クラックの数密度が大きいためプレス成形後に揮発
性油が多量に残存し大気加熱で十分脱脂できなかったた
めである。プレス成形後の揮発性油の残存量が多いこと
は放出ガス量(浸透ガス量)が多いことから明らかであ
る。
【0023】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明の真空ろう
付け用Al合金ブレージングシートはその表面(ろう材
表面)に開口するクラックの開口部最大径が6μm以上
のクラックの数密度が小さいので、タンクプレートなど
にプレス成形したのち表面に浸透して残存する揮発性油
量が少なく、前記タンクプレートなどを中空部を有する
積層型のエバポレータなどのコアに組み立てたのちに行
う加熱脱脂において脱脂が良好になされ、依って優れた
真空ろう付け性が得られる。
付け用Al合金ブレージングシートはその表面(ろう材
表面)に開口するクラックの開口部最大径が6μm以上
のクラックの数密度が小さいので、タンクプレートなど
にプレス成形したのち表面に浸透して残存する揮発性油
量が少なく、前記タンクプレートなどを中空部を有する
積層型のエバポレータなどのコアに組み立てたのちに行
う加熱脱脂において脱脂が良好になされ、依って優れた
真空ろう付け性が得られる。
【図1】中空部を有する積層型エバポレータのコアの斜
視図である。
視図である。
【図2】(イ)は排気口付きドロンカップの平面図、
(ロ)は(イ)のY−Y線断面図である。
(ロ)は(イ)のY−Y線断面図である。
【図3】複数のドロンカップを積み重ねろう付けしたろ
う付け性評価用コアの縦断面図である。
う付け性評価用コアの縦断面図である。
【図4】ろう付け性評価方法の説明図である。
1 中空部を有する積層型エバポレータのコア 2 タンクプレート 3 コルゲート加工したフィン 4 排気口付きドロンカップ 5 排気口 6 ろう付け性評価用コア 7 排気口のないドロンカップ 8 ろう材 9 フィレット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 21/00 C22C 21/00 E F28F 21/08 F28F 21/08 D // B23K 1/19 B23K 1/19 F
Claims (1)
- 【請求項1】 Al−Si−Mg系合金を皮材(ろう
材)とするブレージングシートにおいて、前記皮材表面
に開口するクラックの開口部最大径が6μm以上のクラ
ックの数密度が150個/mm2 以下であることを特徴
とする真空ろう付け用アルミニウム合金ブレージングシ
ート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6760699A JP2000263282A (ja) | 1999-03-12 | 1999-03-12 | 真空ろう付け用アルミニウム合金ブレージングシート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6760699A JP2000263282A (ja) | 1999-03-12 | 1999-03-12 | 真空ろう付け用アルミニウム合金ブレージングシート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000263282A true JP2000263282A (ja) | 2000-09-26 |
Family
ID=13349772
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP6760699A Pending JP2000263282A (ja) | 1999-03-12 | 1999-03-12 | 真空ろう付け用アルミニウム合金ブレージングシート |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000263282A (ja) |
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---|---|---|---|---|
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-
1999
- 1999-03-12 JP JP6760699A patent/JP2000263282A/ja active Pending
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